(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
[本発明の実施形態の説明]
最初に、本発明の実施形態の内容を列記して説明する。一実施形態に係る第1〜第4の光90度ハイブリッド集積回路は、コヒーレント変調されたX偏波光及びY偏波光を受信して復調する光90度ハイブリッド集積回路であって、局部発振光を分岐する光分岐部と、或る軸線を挟む一対の領域にそれぞれ配置された2入力4出力の第1及び第2の多モード光干渉部と、2入力2出力の第3及び第4の多モード光干渉部と、を備え、光分岐部及び第1〜第4の多モード光干渉部は共通の光導波路基板上に設けられており、第1の多モード光干渉部は、光導波方向に並ぶ一対の端辺と、一方の端辺に設けられ、X偏波光を受ける第1の入力端と、一方の端辺において第1の入力端と軸線との間に設けられ、光分岐部により分岐された一方の局部発振光を受ける第2の入力端と、他方の端辺において軸線側から順に並ぶ第1〜第4の出力端と、を有し、第2の多モード光干渉部は、光導波方向に並ぶ一対の端辺と、一方の端辺に設けられ、Y偏波光を受ける第3の入力端と、一方の端辺において第3の入力端と軸線との間に設けられ、光分岐部により分岐された他方の局部発振光を受ける第4の入力端と、他方の端辺において軸線側から順に並ぶ第5〜第8の出力端と、を有する。
【0018】
そして、第1の光90度ハイブリッド集積回路においては、第1及び第2の出力端が第3の多モード光干渉部の2つの入力端にそれぞれ光結合され、第2の出力端と第3の多モード光干渉部とを結ぶ光導波路が、第1の出力端と第3の多モード光干渉部とを結ぶ光導波路に対して45°の位相遅れを有し、第7及び第8の出力端が第4の多モード光干渉部の2つの入力端にそれぞれ光結合され、第8の出力端と第4の多モード光干渉部とを結ぶ光導波路が、第7の出力端と第4の多モード光干渉部とを結ぶ光導波路に対して135°の位相遅れを有する。
【0019】
このような第1の光90度ハイブリッド集積回路の構成によれば、X偏波光を復調した後の干渉光の並び順と、Y偏波光を復調した後の干渉光の並び順とを同一としつつ、これらの光90度ハイブリッド回路及び光分岐部を共通の光導波路基板上に集積することができる。従って、装置の小型化および部品点数の削減に寄与できる。
【0020】
また、第2の光90度ハイブリッド集積回路においては、第1及び第2の出力端が第3の多モード光干渉部の2つの入力端にそれぞれ光結合され、第2の出力端と第3の多モード光干渉部とを結ぶ光導波路が、第1の出力端と第3の多モード光干渉部とを結ぶ光導波路に対して45°の位相遅れを有し、第5及び第6の出力端が第4の多モード光干渉部の2つの入力端にそれぞれ光結合され、第5の出力端と第4の多モード光干渉部とを結ぶ光導波路が、第6の出力端と第4の多モード光干渉部とを結ぶ光導波路に対して135°の位相遅れを有する。
【0021】
このような第2の光90度ハイブリッド集積回路の構成であっても、X偏波光を復調した後の干渉光の並び順と、Y偏波光を復調した後の干渉光の並び順とを同一としつつ、これらの光90度ハイブリッド回路及び光分岐部を共通の光導波路基板上に集積することができる。従って、装置の小型化および部品点数の削減に寄与できる。
【0022】
また、第3の光90度ハイブリッド集積回路においては、第3及び第4の出力端が第3の多モード光干渉部の2つの入力端にそれぞれ光結合され、第4の出力端と第3の多モード光干渉部とを結ぶ光導波路が、第3の出力端と第3の多モード光干渉部とを結ぶ光導波路に対して135°の位相遅れを有し、第7及び第8の出力端が第4の多モード光干渉部の2つの入力端にそれぞれ光結合され、第7の出力端と第4の多モード光干渉部とを結ぶ光導波路が、第8の出力端と第4の多モード光干渉部とを結ぶ光導波路に対して45°の位相遅れを有する。
【0023】
このような第3の光90度ハイブリッド集積回路の構成であっても、X偏波光を復調した後の干渉光の並び順と、Y偏波光を復調した後の干渉光の並び順とを同一としつつ、これらの光90度ハイブリッド回路及び光分岐部を共通の光導波路基板上に集積することができる。従って、装置の小型化および部品点数の削減に寄与できる。
【0024】
また、第4の光90度ハイブリッド集積回路においては、第3及び第4の出力端が第3の多モード光干渉部の2つの入力端にそれぞれ光結合され、第4の出力端と第3の多モード光干渉部とを結ぶ光導波路が、第3の出力端と第3の多モード光干渉部とを結ぶ光導波路に対して135°の位相遅れを有し、第5及び第6の出力端が第4の多モード光干渉部の2つの入力端にそれぞれ光結合され、第6の出力端と第4の多モード光干渉部とを結ぶ光導波路が、第5の出力端と第4の多モード光干渉部とを結ぶ光導波路に対して45°の位相遅れを有する。
【0025】
このような第4の光90度ハイブリッド集積回路の構成であっても、X偏波光を復調した後の干渉光の並び順と、Y偏波光を復調した後の干渉光の並び順とを同一としつつ、これらの光90度ハイブリッド回路及び光分岐部を共通の光導波路基板上に集積することができる。従って、装置の小型化および部品点数の削減に寄与できる。
【0026】
上述した第1〜第4の光90度ハイブリッド集積回路は、共通の光導波路基板上に設けられ、第1の入力端と光結合しており、X偏波光を共通の光導波路基板の外部から入力する第1の光入力ポートと、共通の光導波路基板上に設けられ、第3の入力端と光結合しており、Y偏波光を共通の光導波路基板の外部から入力する第2の光入力ポートと、共通の光導波路基板上に設けられ、光分岐部と光結合しており、局部発振光を共通の光導波路基板の外部から入力する第3の光入力ポートと、を更に備えてもよい。そして、第3の光入力ポートは第1の光入力ポートと第2の光入力ポートとの間に配置されてもよい。これにより、X偏波光、Y偏波光及び局部発振光を共通の光導波路基板の外部から入力するとともに、光導波路を交差させることなく、これらの光を第1及び第2の多モード光干渉部並びに光分岐部に配分することができる。
【0027】
上述した第1〜第4の光90度ハイブリッド集積回路は、共通の光導波路基板上に設けられ、X偏波光及びY偏波光を含む光信号を共通の光導波路基板の外部から入力する光入力ポートと、共通の光導波路基板上に設けられた偏波分岐部と、を更に備えてもよい。そして、偏波分岐部は、光入力ポートと光結合した入力端と、第1の入力端と光結合してX偏波光を出力する出力端と、第3の入力端と光結合してY偏波光を出力する出力端と、を有してもよい。このように、共通の光導波路基板上に偏波分岐部を更に集積することによって、装置の小型化および部品点数の削減により一層寄与できる。
【0028】
[本発明の実施形態の詳細]
本発明の実施形態に係る光90度ハイブリッド集積回路の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。以下の説明では、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0029】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る光90度ハイブリッド集積回路(以下、単に光集積回路と称する)1Aの構成を概略的に示す平面図である。
図1に示される光集積回路1Aは、偏波多重コヒーレント光通信に使用される光受信器2Aに設けられ、コヒーレント変調信号を含むX偏波光N
1、及び別のコヒーレント変調信号を含むY偏波光N
2を受信してこれらを復調する。光受信器2Aにおいて、光集積回路1Aの前段には偏光ビームスプリッタ4(偏波分岐部)が設けられる。偏光ビームスプリッタ4の入力端は、光受信器2Aの光信号入力ポート2bと光学的に結合されており、偏波多重されたコヒーレント変調信号光N
0を光受信器2Aの外部から光信号入力ポート2bを介して受ける。偏光ビームスプリッタ4の一方の出力端からは、コヒーレント変調されたX偏波光N
1が出力される。偏光ビームスプリッタ4の他方の出力端からは、コヒーレント変調されたY偏波光N
2が出力される。
【0030】
光集積回路1Aは、1枚の光導波路基板10を備える。光導波路基板10は、例えばInPといった材料からなる平板状の部材であって、その平面形状は例えば四角形である。光導波路基板10は、平坦な主面10aを有する。主面10aは、方向A1において互いに対向する一対の端辺10b,10cと、方向A1と交差する(例えば直交する)方向A2において互いに対向する一対の端辺10d,10eとを有する。端辺10b,10cはそれぞれ直線状に延びており、互いに平行である。端辺10d,10eはそれぞれ直線状に延びており、互いに平行である。端辺10b,10cの延伸方向と端辺10d,10eの延伸方向とは互いに交差(一例では直交)する。端辺10b,10cの長さは例えば3.5mm〜4.5mmの範囲内であり、端辺10d,10eの長さは例えば2.0mm〜3.0mmの範囲内である。
【0031】
光集積回路1Aは、第1の光入力ポート11、第2の光入力ポート12、及び第3の光入力ポート13を更に備える。光入力ポート11〜13は、共通の光導波路基板10上に設けられている。本実施形態では、光入力ポート11〜13は光導波路基板10の端辺10bに沿って並んでおり、一例では端辺10b上に位置する。光入力ポート13は、光入力ポート11と光入力ポート12との間に配置されている。光入力ポート11と光入力ポート13との間隔W1と、光入力ポート11と光入力ポート13との間隔W2とは互いに等しい。間隔W1,W2は、例えば0.7mm〜0.9mmの範囲内である。
【0032】
光入力ポート11は、X偏波光N
1を光導波路基板10の外部から入力する。本実施形態では、光入力ポート11は偏光ビームスプリッタ4の一方の出力端と光学的に結合されている。光入力ポート12は、Y偏波光N
2を光導波路基板10の外部から入力する。本実施形態では、光入力ポート12は偏波回転部5を介して偏光ビームスプリッタ4の他方の出力端と光学的に結合されている。光入力ポート13は、局部発振光L
0を光導波路基板10の外部から入力する。本実施形態では、光入力ポート13は光受信器2Aの局部発振光入力ポート2cと光学的に結合されており、局部発振光入力ポート2cを介して局部発振光L
0を受ける。
【0033】
光集積回路1Aは、光分岐部14を更に備える。光分岐部14は、光入力ポート11〜13と共通の光導波路基板10上に設けられている。光分岐部14は、1つの入力端14aと、2つの出力端14b,14cとを有する。入力端14aは、光導波路基板10上に設けられた光導波路21を介して、光入力ポート13と光学的に結合されている。光分岐部14は、光入力ポート13から入力された局部発振光L
0を、局部発振光L
1と局部発振光L
2とに分岐する。分岐比率は1:1である。光分岐部14は、一方の局部発振光L
1を出力端14bから出力し、他方の局部発振光L
2を出力端14cから出力する。
【0034】
光集積回路1Aは、4つの多モード光干渉部15〜18を更に備える。多モード光干渉部15は本実施形態における第1の多モード光干渉部である。多モード光干渉部16は本実施形態における第2の多モード光干渉部である。多モード光干渉部17は本実施形態における第3の多モード光干渉部である。多モード光干渉部18は本実施形態における第4の多モード光干渉部である。
【0035】
多モード光干渉部15,16は、光入力ポート11〜13及び光分岐部14と共通の光導波路基板10上に設けられた2入力4出力のMMI(Multi-Mode Interference)である。多モード光干渉部15,16は、光導波路基板10の主面10a上に設定される仮想の軸線AXを挟む一対の領域10f,10gにそれぞれ配置されている。なお、本実施形態では、軸線AXは方向A1に沿って延びている。一例では、光入力ポート13は軸線AX上に配置され、光入力ポート11は軸線AXに対して多モード光干渉部15と同じ側(すなわち領域10f)に配置され、光入力ポート12は軸線AXに対して多モード光干渉部16と同じ側(すなわち領域10g)に配置される。
【0036】
多モード光干渉部17,18は、光入力ポート11〜13、光分岐部14、及び多モード光干渉部15,16と共通の光導波路基板10上に設けられた2入力2出力のMMIである。多モード光干渉部17は軸線AXに対して多モード光干渉部15と同じ側(すなわち領域10f)に配置され、多モード光干渉部18は軸線AXに対して多モード光干渉部16と同じ側(すなわち領域10g)に配置されている。
【0037】
多モード光干渉部15は、光導波方向である方向A3に並ぶ一対の端辺15a,15bと、方向A3と交差する方向A4に並ぶ一対の側辺15c,15dとを有する。本実施形態では、方向A3は方向A1と一致しており、方向A4は方向A2と一致している。なお、方向A3は方向A1に対して傾斜してもよく、方向A4は方向A2に対して傾斜してもよい。多モード光干渉部15は、第1の入力端15eと、第2の入力端15fと、第1〜第4の出力端15g〜15jとを更に有する。入力端15eは、一方の端辺15aに設けられ、光導波路基板10上に設けられた光導波路22を介して、光入力ポート11と光学的に結合されている。入力端15eは、光導波路基板10の外部(本実施形態では偏光ビームスプリッタ4)から、光入力ポート11を介してX偏波光N
1を受ける。入力端15fは、一方の端辺15aにおいて入力端15eと軸線AXとの間に設けられ、光導波路基板10上に設けられた光導波路23を介して、光分岐部14の一方の出力端14bと光学的に結合されている。入力端15fは、光分岐部14により分岐された一方の局部発振光L
1を受ける。第1〜第4の出力端15g〜15jは、他方の端辺15bにおいて軸線AX側から順に並んでいる。出力端15g〜15jは、それぞれ干渉光F
1〜F
4を出力する。このうち、干渉光F
3は負のXI信号成分(XIN)を含み、干渉光F
4は正のXI信号成分(XIP)を含む。
【0038】
多モード光干渉部17は、軸線AX側から順に並ぶ入力端17a,17bと、軸線AX側から順に並ぶ出力端17c,17dとを有する。入力端17aは、光導波路基板10上に設けられた光導波路24を介して、多モード光干渉部15の出力端15gと光学的に結合されている。入力端17aは、出力端15gから干渉光F
1を受ける。入力端17bは、光導波路基板10上に設けられた光導波路25を介して、多モード光干渉部15の出力端15hと光学的に結合されている。入力端17bは、出力端15hから干渉光F
2を受ける。
【0039】
光導波路25は、位相シフタ25aを含んでいる。位相シフタ25aは、光導波路25を導波して入力端17bに到達する干渉光F
2を、光導波路24を導波して入力端17aに到達する干渉光F
1に対して45°の位相分だけ遅延させる。すなわち、光導波路25は光導波路24に対して45°の位相遅れを有し、入力端17bに到達する干渉光F
2には、入力端17aに到達する干渉光F
1に対して45°の位相差が与えられる。一例では、位相シフタ25aは、位相差に相当する長さの光導波路の余長部分により構成される。
【0040】
多モード光干渉部17の出力端17c,17dは、それぞれ干渉光F
5,F
6を出力する。干渉光F
5は負のXQ信号成分(XQN)を含み、干渉光F
6は正のXQ信号成分(XQP)を含む。
【0041】
多モード光干渉部16は、光導波方向である方向A5に並ぶ一対の端辺16a,16bと、方向A5と交差する方向A6に並ぶ一対の側辺16c,16dとを有する。本実施形態では、方向A5は方向A1と一致しており、方向A6は方向A2と一致している。なお、方向A5は方向A1に対して傾斜してもよく、方向A6は方向A2に対して傾斜してもよい。多モード光干渉部16は、第3の入力端16eと、第4の入力端16fと、第5〜第8の出力端16g〜16jとを更に有する。入力端16eは、一方の端辺16aに設けられ、光導波路基板10上に設けられた光導波路26を介して、光入力ポート12と光学的に結合されている。入力端16eは、光導波路基板10の外部(本実施形態では偏光ビームスプリッタ4)から、光入力ポート12を介してY偏波光N
2を受ける。入力端16fは、一方の端辺16aにおいて入力端16eと軸線AXとの間に設けられ、光導波路基板10上に設けられた光導波路27を介して、光分岐部14の他方の出力端14cと光学的に結合されている。入力端16fは、光分岐部14により分岐された他方の局部発振光L
2を受ける。第5〜第8の出力端16g〜16jは、他方の端辺16bにおいて軸線AX側から順に並んでいる。出力端16g〜16jは、それぞれ干渉光F
7〜F
10を出力する。このうち、干渉光F
7は正のYI信号成分(YIP)を含み、干渉光F
8は負のYI信号成分(YIN)を含む。
【0042】
多モード光干渉部18は、軸線AX側から順に並ぶ入力端18a,18bと、軸線AX側から順に並ぶ出力端18c,18dとを有する。入力端18aは、光導波路基板10上に設けられた光導波路28を介して、多モード光干渉部16の出力端16iと光学的に結合されている。入力端18aは、出力端16iから干渉光F
9を受ける。入力端18bは、光導波路基板10上に設けられた光導波路29を介して、多モード光干渉部16の出力端16hと光学的に結合されている。入力端18bは、出力端16jから干渉光F
10を受ける。
【0043】
光導波路29は、位相シフタ29aを含んでいる。位相シフタ29aは、光導波路29を導波して入力端18bに到達する干渉光F
10を、光導波路28を導波して入力端18aに到達する干渉光F
9に対して135°の位相分だけ遅延させる。すなわち、光導波路29は光導波路28に対して135°の位相遅れを有し、入力端18bに到達する干渉光F
10には、入力端18aに到達する干渉光F
9に対して135°の位相差が与えられる。一例では、位相シフタ29aは、位相差に相当する長さの光導波路の余長部分により構成される。
【0044】
多モード光干渉部18の出力端18c,18dは、それぞれ干渉光F
11,F
12を出力する。干渉光F
11は正のYQ信号成分(YQP)を含み、干渉光F
12は負のYQ信号成分(YQN)を含む。
【0045】
光集積回路1Aは、フォトダイオード31〜38を更に備える。フォトダイオード31〜38は、基板10の主面10a上において多モード光干渉部15〜18等とモノリシックに設けられている。フォトダイオード31〜38は、基板10上にフォトダイオードのための各種半導体層を成長することにより形成される。なお、フォトダイオード31〜38は基板10の外部に設けられてもよい。
【0046】
フォトダイオード31,32は、基板10上の光導波路を介して、多モード光干渉部17の出力端17c,17dとそれぞれ光学的に結合されている。フォトダイオード31,32は、それぞれ干渉光F
5,F
6を電流信号に変換して、XQNに関する電気信号、及びXQPに関する電気信号をそれぞれ生成する。フォトダイオード33,34は、基板10上の光導波路を介して、多モード光干渉部15の出力端15i,15jとそれぞれ光学的に結合されている。フォトダイオード33,34は、それぞれ干渉光F
3,F
4を電流信号に変換して、XINに関する電気信号、及びXIPに関する電気信号をそれぞれ生成する。フォトダイオード35,36は、基板10上の光導波路を介して、多モード光干渉部16の出力端16g,16hとそれぞれ光学的に結合されている。フォトダイオード35,36は、それぞれ干渉光F
7,F
8を電流信号に変換して、YIPに関する電気信号、及びYINに関する電気信号をそれぞれ生成する。フォトダイオード37,38は、基板10上の光導波路を介して、多モード光干渉部18の出力端18c,18dとそれぞれ光学的に結合されている。フォトダイオード37,38は、それぞれ干渉光F
11,F
12を電流信号に変換して、YQPに関する電気信号、及びYQNに関する電気信号をそれぞれ生成する。
【0047】
以上の構成を備える光集積回路1Aの動作(作用)及び効果について説明する。まず、
図2を参照して、90度ハイブリッド回路の基本的な動作について説明する。
図2には、4入力4出力のMMI51と、2入力2出力のMMI52と、4つのフォトダイオード61〜64とが示されている。コヒーレント変調信号光NはMMI51の一方の側面から数えて2番目の入力端に入力され、局部発振光LはMMI51の3番目の入力端に入力されるものとする。そして、MMI51の一方の側面から数えて3番目の出力端はMMI52の1番目の入力端と光結合され、4番目の出力端はMMI52の2番目の入力端と光結合されている。MMI51の3番目の出力端とMMI52の1番目の入力端との間には45°の位相シフタ53が設けられている。
【0048】
図2に示された90度ハイブリッド回路において、MMI51の4つの入力端と4つの出力端との間で付与される位相は、
図3の(a)に示される図表の通りである。従って、MMI51の動作は、次の数式(1)のように表すことができる。E
N及びE
Lはそれぞれコヒーレント変調信号光N及び局部発振光Lの光強度である。E1〜E4はMMI51の各出力端から出力される干渉光の光強度である。
【数1】
【0049】
また、位相シフタ53の動作は、次の数式(2)のように表すことができる。E3’及びE4’はそれぞれMMI52の各入力端に入力される干渉光の光強度である。
【数2】
【0050】
また、MMI52の動作は、次の数式(3)のように表すことができる。E3”及びE4”はそれぞれMMI52の各出力端から出力される干渉光の光強度である。
【数3】
【0051】
これらの数式(1)〜(3)を総合すると、
図2に示された90度ハイブリッド回路の動作は、次の数式(4)のように表すことができる。
【数4】
【0052】
図3の(b)は、コヒーレント変調信号光N及び局部発振光Lの、フォトダイオード61〜64に入力されるときの位相を示す図表である。この図表に示されるように、干渉光FA
1におけるコヒーレント変調信号光Nの位相と局部発振光Lの位相との差は180°となり、干渉光FA
2におけるコヒーレント変調信号光Nの位相と局部発振光Lの位相との差は0°となり、干渉光FA
3におけるコヒーレント変調信号光Nの位相と局部発振光Lの位相との差は−90°となり、干渉光FA
4におけるコヒーレント変調信号光Nの位相と局部発振光Lの位相との差は90°となる。従って、QPSK変調されたコヒーレント変調信号光Nを良好に復調することができる。
【0053】
ここで、フォトダイオード61〜64に入力される干渉光FA
1〜FA
4の、コヒーレント変調信号光Nと局部発振光Lとの位相差に対する依存性について説明する。コヒーレント変調信号光Nに対する或る干渉光の位相をpS、局部発振光Lに対する或る干渉光の位相をpLとし、コヒーレント変調信号光Nと局部発振光Lとの位相差をθ、光周波数をω、コヒーレント変調信号光N及び局部発振光Lのパワーを1とすると、出力電界E及び出力パワーPは下記の数式(5)により表わされる。但し、E
Sigはコヒーレント変調信号光Nの電界であり、E
LOは局部発振光Lの電界である。
【数5】
【0054】
また、コヒーレント変調信号光N及び局部発振光Lの位置を入れ替えた場合の出力パワーP’は、θを−θに置き換えて、下記の数式(6)により表わされる。
【数6】
【0055】
図4の(a)は、4つの干渉光FA
1〜FA
4の光強度と位相差θとの関係を示すグラフである。
図4の(a)において、横軸は位相差θ(単位:度)を表し、縦軸は光強度(すなわちフォトダイオードからの出力電流の大きさ)を表す。グラフG11は干渉光FA
1(IP)の光強度を表し、グラフG12は干渉光FA
2(IN)の光強度を表し、グラフG13は干渉光FA
3(QP)の光強度を表し、グラフG14は干渉光FA
4(QN)の光強度を表す。また、
図4の(b)は、干渉光FA
1(IP)と干渉光FA
2(IN)との光強度差(グラフG15)、及び干渉光FA
3(QP)と干渉光FA
4(QN)との光強度差(グラフG16)を示すグラフである。
図4の(b)に示されるように、
図2に示された90度ハイブリッド回路では、直交成分であるQ信号成分の位相が、同相成分であるI信号成分の位相に対して90°前にずれる(これをAdvanced-Qと称する)。
【0056】
ここで、DP−QPSK方式に用いられる光受信器において、X偏波光を復調する90度ハイブリッド回路と、Y偏波光を復調する90度ハイブリッド回路と、局部発振光を分岐する光分岐部とを、共通の基板上に配置する場合を考える。
図5は、
図2に示された90度ハイブリッド回路を共通の光導波路基板10上に単純に2つ並べ、さらに同一の光導波路基板10上に光分岐部54を設けた構成を示す図である。このような構成では、Y偏波光N
2を復調する90度ハイブリッド回路におけるMMI51のY偏波光N
2及び局部発振光L
2の入力端の並び順が、X偏波光N
1を復調する90度ハイブリッド回路におけるMMI51のX偏波光N
1及び局部発振光L
1の入力端の並び順に対して反転する。
【0057】
図6の(a)は、MMI51の入力端の並び順が
図2に対して反転した場合における、4つの干渉光FA
1〜FA
4の光強度と位相差θとの関係を示すグラフである。
図6の(a)において、横軸は位相差θ(単位:度)を表し、縦軸は光強度(すなわちフォトダイオードからの出力電流の大きさ)を表す。グラフG21は干渉光FA
1(IP)の光強度を表し、グラフG22は干渉光FA
2(IN)の光強度を表し、グラフG23は干渉光FA
3(QP)の光強度を表し、グラフG24は干渉光FA
4(QN)の光強度を表す。また、
図6の(b)は、干渉光FA
1(IP)と干渉光FA
2(IN)との光強度差(グラフG25)、及び干渉光FA
3(QP)と干渉光FA
4(QN)との光強度差(グラフG26)を示すグラフである。
図6の(b)に示されるように、MMI51の入力端の並び順が
図2に対して反転した場合、直交成分であるQ信号成分の位相が、同相成分であるI信号成分の位相に対して90°後ろにずれる(これをDelayed-Qと称する)。
【0058】
このように、
図2に示された90度ハイブリッド回路を単純に2つ並べた場合、一方の90度ハイブリッド回路ではAdvanced-Qとなり、他方の90度ハイブリッド回路ではDelayed-Qとなる。従って、光90度ハイブリッド回路の後段に設けられる電子回路の構成をI信号成分とQ信号成分とで共通化できず、電子部品の種類が増えてしまう。
【0059】
そこで、本実施形態の光集積回路1Aでは、位相シフタ29aを、
図2に示された位相シフタ53の位置ではなく、
図1に示される多モード光干渉部16の出力端16h(すなわち4番目の出力端)に設けている。そして、位相シフタ29aの位相シフト量を、45°ではなく135°としている。
図7の(a)は、各干渉光におけるX偏波光N
1の位相、局部発振光L
1の位相、及びX偏波光N
1と局部発振光L
1との位相差を示す図表である。
図7の(b)は、各干渉光におけるY偏波光N
2の位相、局部発振光L
2の位相、及びY偏波光N
2と局部発振光L
2との位相差を示す図表である。
図7の(a)に示されるように、本実施形態の光集積回路1Aによれば、X偏波光N
1に関する復調後の干渉光における信号光と局部発振光との位相差は、光導波路基板10の端辺10d側から順に、180°(干渉光F
4:XIP),0°(干渉光F
3:XIN)、−90°(干渉光F
6:XQP)、及び90°(干渉光F
5:XQN)となる。同様に、
図7の(b)に示されるように、Y偏波光N
2に関する復調後の干渉光における信号光と局部発振光との位相差は、光導波路基板10の端辺10d側から順に、180°(干渉光F
7:YIP),0°(干渉光F
8:YIN)、−90°(干渉光F
11:YQP)、及び90°(干渉光F
12:YQN)となる。
【0060】
図8の(a)は、本実施形態の光集積回路1Aにおける4つの干渉光F
7,F
8,F
11,及びF
12の光強度と位相差θとの関係を示すグラフである。
図8の(a)において、横軸は位相差θ(単位:度)を表し、縦軸は光強度(すなわちフォトダイオード35〜38からの出力電流の大きさ)を表す。グラフG31は干渉光F
7(YIP)の光強度を表し、グラフG32は干渉光F
8(YIN)の光強度を表し、グラフG33は干渉光F
11(YQP)の光強度を表し、グラフG34は干渉光F
12(YQN)の光強度を表す。また、
図8の(b)は、干渉光F
7(YIP)と干渉光F
8(YIN)との光強度差(グラフG35)、及び干渉光F
11(YQP)と干渉光F
12(YQN)との光強度差(グラフG36)を示すグラフである。
図8の(b)に示されるように、本実施形態においては、直交成分であるQ信号成分の位相が、同相成分であるI信号成分の位相に対して90°前にずれる(Advanced-Q)。従って、本実施形態の光集積回路1Aによれば、XI信号成分とXQ信号成分との位相関係と、YI信号成分とYQ信号成分との位相関係とを互いに同一(Advanced-Q)としつつ、これらの光90度ハイブリッド回路及び光分岐部14を共通の光導波路基板10上に集積することができる。
【0061】
なお、位相シフタ29aの位相シフト量を135°とした理由は次の通りである。
図2に示されたMMI51への信号光N及び局部発振光Lの入力が反転した状態でAdvanced-Qを実現するためには、
図9の(a)に示されるように、位相シフタ53の位相シフト量を225°とすればよい。しかしながら、このように位相シフト量が大きくなると、位相シフタ53において光導波路に付与する光路長差が長くなり、光導波路基板10の小型化を妨げる。この225°の位相シフト量は、
図9の(b)に示されるように、MMI52への入力干渉光の一方に360°の位相シフト量を設定し、他方に135°の位相シフト量を設定する場合と等価である。また、360°の位相シフト量は、
図9の(c)に示されるように、0°の位相シフト量(すなわち位相をシフトしない)と等価である。従って、位相シフタ29aの位相シフト量を135°とすることにより、位相シフト量を225°とする場合と比較して光導波路基板10を小型化しつつ、双方の光90度ハイブリッド回路においてAdvanced-Qを実現することができる。
【0062】
また、本実施形態のように、光集積回路1Aは、光導波路基板10上に設けられ、入力端15eと光結合しており、X偏波光N
1を光導波路基板10の外部から入力する第1の光入力ポート11と、光導波路基板10上に設けられ、入力端16eと光結合しており、Y偏波光N
2を光導波路基板10の外部から入力する第2の光入力ポート12と、光導波路基板10上に設けられ、光分岐部14と光結合しており、局部発振光L
0を光導波路基板10の外部から入力する第3の光入力ポート13と、を備えてもよい。そして、第3の光入力ポート13は、第1の光入力ポート11と第2の光入力ポート12との間に配置されてもよい。これにより、X偏波光N
1、Y偏波光N
2及び局部発振光L
0を光導波路基板10の外部から入力するとともに、光導波路22,23と光導波路26,27とを交差させることなく、これらの光N
1,N
2,及びL
0を多モード光干渉部15,16及び光分岐部14に配分することができる。
【0063】
(第1変形例)
図10は、第1変形例に係る光集積回路1Bの部分拡大図である。
図10に示されるように、本変形例の光集積回路1Bと上記実施形態の光集積回路1Aとの相違点は、多モード光干渉部18及び位相シフタの配置である。すなわち、本変形例では、多モード光干渉部18の入力端18aが光導波路41を介して多モード光干渉部16の出力端16gと光結合されており、多モード光干渉部18の入力端18bが光導波路42を介して多モード光干渉部16の出力端16hと光結合されている。多モード光干渉部18の出力端18cからは干渉光F
13が出力され、多モード光干渉部18の出力端18dからは干渉光F
14が出力される。そして、本変形例では、出力端16g(すなわち多モード光干渉部16の1番目の出力端)と入力端18aとの間の光導波路41に位相シフタ41aが設けられている。位相シフタ41aの位相シフト量は135°である。すなわち、本変形例では、出力端16gと多モード光干渉部18とを結ぶ光導波路41は、出力端16hと多モード光干渉部18とを結ぶ光導波路42に対して135°の位相遅れを有する。
【0064】
図11の(a)は、各干渉光におけるX偏波光N
1の位相、局部発振光L
1の位相、及びX偏波光N
1と局部発振光L
1との位相差を示す図表である。
図11の(b)は、各干渉光におけるY偏波光N
2の位相、局部発振光L
2の位相、及びY偏波光N
2と局部発振光L
2との位相差を示す図表である。なお、
図11の(a)に示される各値は、
図7の(a)に示される各値と同じである。また、
図11の(b)に示されるように、Y偏波光N
2に関する復調後の干渉光における信号光と局部発振光との位相差は、光導波路基板10の端辺10d側から順に、−90°(干渉光F
13:YIP),90°(干渉光F
14:YIN)、0°(干渉光F
9:YQP)、及び180°(干渉光F
10:YQN)となる。
【0065】
図12の(a)は、本変形例の光集積回路1Bにおける4つの干渉光F
13,F
14,F
9,及びF
10の光強度と位相差θとの関係を示すグラフである。
図12の(a)において、横軸は位相差θ(単位:度)を表し、縦軸は光強度(すなわちフォトダイオード35〜38からの出力電流の大きさ)を表す。グラフG41は干渉光F
13(YIP)の光強度を表し、グラフG42は干渉光F
14(YIN)の光強度を表し、グラフG43は干渉光F
9(YQP)の光強度を表し、グラフG44は干渉光F
10(YQN)の光強度を表す。また、
図12の(b)は、干渉光F
13(YIP)と干渉光F
14(YIN)との光強度差(グラフG45)、及び干渉光F
9(YQP)と干渉光F
10(YQN)との光強度差(グラフG46)を示すグラフである。
図12の(b)に示されるように、本変形例においても、Y偏波光N
2の直交成分であるYQ信号成分の位相が、同相成分であるYI信号成分の位相に対して90°前にずれる(Advanced-Q)。従って、本変形例の光集積回路1Bによれば、XI信号成分とXQ信号成分との位相関係と、YI信号成分とYQ信号成分との位相関係とを互いに同一(Advanced-Q)としつつ、2つの光90度ハイブリッド回路及び光分岐部14を共通の光導波路基板10上に集積することができる。
【0066】
(第2変形例)
図13は、第2変形例に係る光集積回路1Cの部分拡大図である。
図13に示されるように、本変形例の光集積回路1Cと上記実施形態の光集積回路1Aとの相違点は、多モード光干渉部17及び2つの位相シフタの配置である。すなわち、本変形例では、多モード光干渉部17の入力端17aが光導波路43を介して多モード光干渉部15の出力端15iと光結合されており、多モード光干渉部17の入力端17bが光導波路44を介して多モード光干渉部15の出力端15jと光結合されている。そして、多モード光干渉部17の出力端17cからは干渉光F
15が出力され、多モード光干渉部17の出力端17dからは干渉光F
16が出力される。そして、本変形例では、出力端15jと入力端17bとの間の光導波路44に位相シフタ44aが設けられている。位相シフタ44aの位相シフト量は135°である。すなわち、本変形例では、出力端15jと多モード光干渉部17とを結ぶ光導波路44は、出力端15iと多モード光干渉部17とを結ぶ光導波路43に対して135°の位相遅れを有する。
【0067】
更に、本変形例では、上記実施形態の位相シフタ29aに変えて、位相シフタ28aが設けられている。すなわち、本変形例では、出力端16iと入力端18aとの間の光導波路28に位相シフタ28aが設けられている。位相シフタ28aの位相シフト量は45°である。従って、出力端16iと多モード光干渉部18とを結ぶ光導波路28は、出力端16jと多モード光干渉部18とを結ぶ光導波路29に対して45°の位相遅れを有する。
【0068】
図14の(a)は、各干渉光におけるX偏波光N
1の位相、局部発振光L
1の位相、及びX偏波光N
1と局部発振光L
1との位相差を示す図表である。
図14の(b)は、各干渉光におけるY偏波光N
2の位相、局部発振光L
2の位相、及びY偏波光N
2と局部発振光L
2との位相差を示す図表である。
図14の(a)に示されるように、X偏波光N
1に関する復調後の干渉光における信号光と局部発振光との位相差は、光導波路基板10の端辺10d側から順に、90°(干渉光F
16:XIP),−90°(干渉光F
15:XIN)、0°(干渉光F
2:XQP)、及び180°(干渉光F
1:XQN)となる。また、
図14の(b)に示されるように、Y偏波光N
2に関する復調後の干渉光における信号光と局部発振光との位相差は、光導波路基板10の端辺10d側から順に、180°(干渉光F
7:YIP),0°(干渉光F
8:YIN)、90°(干渉光F
11:YQP)、及び−90°(干渉光F
12:YQN)となる。
【0069】
図15の(a)は、本変形例の光集積回路1Cにおける4つの干渉光F
16,F
15,F
2,及びF
1の光強度と位相差θとの関係を示すグラフである。
図15の(a)において、横軸は位相差θ(単位:度)を表し、縦軸は光強度(すなわちフォトダイオード31〜34からの出力電流の大きさ)を表す。グラフG51は干渉光F
16(XIP)の光強度を表し、グラフG52は干渉光F
15(XIN)の光強度を表し、グラフG53は干渉光F
2(XQP)の光強度を表し、グラフG54は干渉光F
1(XQN)の光強度を表す。また、
図15の(b)は、干渉光F
16(XIP)と干渉光F
15(XIN)との光強度差(グラフG55)、及び干渉光F
2(XQP)と干渉光F
1(XQN)との光強度差(グラフG56)を示すグラフである。
図15の(b)に示されるように、本変形例においては、X偏波光N
1の直交成分であるXQ信号成分の位相が、同相成分であるXI信号成分の位相に対して90°後ろにずれる(Delayed-Q)。また、Y偏波光N
2に関する光90度ハイブリッド回路の構成は
図5に示された回路と同様であるので、Y偏波光N
2の直交成分であるYQ信号成分の位相もまた、同相成分であるYI信号成分の位相に対して90°後ろにずれる(Delayed-Q)。従って、本変形例の光集積回路1Cによれば、XI信号成分とXQ信号成分との位相関係と、YI信号成分とYQ信号成分との位相関係とを互いに同一(Delayed-Q)としつつ、2つの光90度ハイブリッド回路及び光分岐部14を共通の光導波路基板10上に集積することができる。
【0070】
(第3変形例)
図16は、第3変形例に係る光集積回路1Dの部分拡大図である。
図16に示されるように、本変形例の光集積回路1Dと上記第2変形例の光集積回路1Cとの相違点は、多モード光干渉部18及び位相シフタの配置である。すなわち、本変形例では、多モード光干渉部18の入力端18aが光導波路41を介して多モード光干渉部16の出力端16gと光結合されており、多モード光干渉部18の入力端18bが光導波路42を介して多モード光干渉部16の出力端16hと光結合されている。そして、多モード光干渉部18の出力端18cからは干渉光F
17が出力され、多モード光干渉部18の出力端18dからは干渉光F
18が出力される。そして、本変形例では、出力端16hと入力端18bとの間の光導波路42に位相シフタ42aが設けられている。位相シフタ42aの位相シフト量は45°である。すなわち、本変形例では、出力端16hと多モード光干渉部18とを結ぶ光導波路42は、出力端16gと多モード光干渉部18とを結ぶ光導波路41に対して45°の位相遅れを有する。
【0071】
図17の(a)は、各干渉光におけるX偏波光N
1の位相、局部発振光L
1の位相、及びX偏波光N
1と局部発振光L
1との位相差を示す図表である。
図17の(b)は、各干渉光におけるY偏波光N
2の位相、局部発振光L
2の位相、及びY偏波光N
2と局部発振光L
2との位相差を示す図表である。なお、
図17の(a)に示される各値は、
図14の(a)に示される各値と同じである。また、
図17の(b)に示されるように、Y偏波光N
2に関する復調後の干渉光における信号光と局部発振光との位相差は、光導波路基板10の端辺10d側から順に、90°(干渉光F
17:YIP),−90°(干渉光F
18:YIN)、0°(干渉光F
9:YQP)、及び180°(干渉光F
10:YQN)となる。
【0072】
図18の(a)は、本変形例の光集積回路1Dにおける4つの干渉光F
17,F
18,F
9,及びF
10の光強度と位相差θとの関係を示すグラフである。
図18の(a)において、横軸は位相差θ(単位:度)を表し、縦軸は光強度(すなわちフォトダイオード35〜38からの出力電流の大きさ)を表す。グラフG61は干渉光F
17(YIP)の光強度を表し、グラフG62は干渉光F
18(YIN)の光強度を表し、グラフG63は干渉光F
9(YQP)の光強度を表し、グラフG64は干渉光F
10(YQN)の光強度を表す。また、
図18の(b)は、干渉光F
17(YIP)と干渉光F
18(YIN)との光強度差(グラフG65)、及び干渉光F
9(YQP)と干渉光F
10(YQN)との光強度差(グラフG66)を示すグラフである。
図18の(b)に示されるように、本変形例においても、Y偏波光N
2の直交成分であるYQ信号成分の位相が、同相成分であるYI信号成分の位相に対して90°後ろにずれる(Delayed-Q)。従って、本変形例の光集積回路1Dによれば、XI信号成分とXQ信号成分との位相関係と、YI信号成分とYQ信号成分との位相関係とを互いに同一(Delayed-Q)としつつ、2つの光90度ハイブリッド回路及び光分岐部14を共通の光導波路基板10上に集積することができる。
【0073】
(第4変形例)
図19は、上記実施形態の第4変形例に係る光集積回路1Eの構成を概略的に示す平面図である。
図19に示されるように、本変形例の光集積回路1Eでは、上記実施形態とは異なり、偏光ビームスプリッタ4(偏波分岐部)及び偏波回転部5が光導波路基板10上に設けられている。偏光ビームスプリッタ4は1つの入力端4aと2つの出力端4b,4cとを有する。入力端4aは、光導波路47を介して、光導波路基板10上の光入力ポート19と光結合されている。光入力ポート19は、X偏波光N
1及びY偏波光N
2を含むコヒーレント変調信号光N
0を光導波路基板10の外部から入力する。出力端4bは、光導波路22を介して多モード光干渉部15の入力端15eと光結合しており、入力端15eに対してX偏波光N
1を出力する。出力端4cは、偏波回転部5及び光導波路26を介して多モード光干渉部16の入力端16eと光結合しており、入力端16eに対してY偏波光N
2を出力する。本変形例のように、光導波路基板10上に偏光ビームスプリッタ4を更に集積することによって、装置の小型化および部品点数の削減により一層寄与できる。
【0074】
本発明による光90度ハイブリッド集積回路は、上述した実施形態に限られるものではなく、他に様々な変形が可能である。例えば、上述した実施形態及び各変形例を、必要な目的及び効果に応じて互いに組み合わせてもよい。