特許第6919595号(P6919595)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6919595
(24)【登録日】2021年7月28日
(45)【発行日】2021年8月18日
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/14 20060101AFI20210805BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20210805BHJP
   B41J 29/393 20060101ALI20210805BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20210805BHJP
【FI】
   G03G21/14
   G03G15/00 303
   B41J29/393 107
   H04N1/00 E
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-32178(P2018-32178)
(22)【出願日】2018年2月26日
(65)【公開番号】特開2019-148656(P2019-148656A)
(43)【公開日】2019年9月5日
【審査請求日】2020年1月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】椿 和大
(72)【発明者】
【氏名】有月 琢哉
(72)【発明者】
【氏名】松本 信
(72)【発明者】
【氏名】宮本 健司
【審査官】 市川 勝
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−264246(JP,A)
【文献】 特開2006−159480(JP,A)
【文献】 特開2017−071146(JP,A)
【文献】 特開2004−306555(JP,A)
【文献】 特開平11−129559(JP,A)
【文献】 特開2017−158140(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/14
B41J 29/393
G03G 15/00
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体上に印刷画像を表すトナー像を作像するとともに前記像担持体上の前記トナー像をシートに転写する印刷処理を実行する印刷処理装置と、
予め定められたテストトナー像を作像する処理を前記印刷処理装置に実行させるとともに前記テストトナー像の状態に応じて前記印刷処理装置のパラメーターを補正するキャリブレーション処理を実行するキャリブレーション制御装置と、を備え、
前記キャリブレーション制御装置は、前記印刷処理のジョブが発生してから終了するまでの間に、印刷枚数に関する予め定められた調整実行条件が成立する場合に、予め定められた文字条件を満たす文字画像が前記印刷画像に含まれる場合には前記ジョブが終了した後に前記キャリブレーション処理を実行し、前記文字条件を満たす文字画像が前記印刷画像に含まれない場合には前記ジョブの終了を待たずに前記キャリブレーション処理を実行し、
前記文字条件が、手書きの文字画像が前記印刷画像において予め定められた比率を超えて占めるという第1文字条件を含む、画像形成装置。
【請求項2】
前記文字条件が、予め定められたサンセリフ書体の文字画像が前記印刷画像において予め定められた比率を超えて占めるという第2文字条件を含む、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記文字条件が、予め定められた文字サイズを超える大きさの文字画像が前記印刷画像において予め定められた比率を超えて占めるという第3文字条件を含む、請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記キャリブレーション制御装置は、前記印刷処理のジョブが発生してから終了するまでの間に、前記調整実行条件が成立する場合に、前記文字条件を満たす文字画像が前記印刷画像に含まれ、かつ、写真画像が前記印刷画像に含まれない場合には前記ジョブが終了した後に前記キャリブレーション処理を実行し、前記文字条件を満たす文字画像が前記印刷画像に含まれない、または、前記写真画像が前記印刷画像に含まれる場合には前記ジョブの終了を待たずに前記キャリブレーション処理を実行する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャリブレーション処理を実行する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電子写真方式の画像形成装置において、印刷処理装置は、像担持体上に印刷画像を表すトナー像を作像するとともに前記像担持体上の前記トナー像をシートに転写する印刷処理を実行する。
【0003】
また、前記画像形成装置は、予め定められた印刷枚数条件が成立する場合にキャリブレーション処理を実行する。前記キャリブレーション処理は、予め定められたテストトナー像を作像する処理を前記印刷処理装置に実行させ、前記テストトナー像の状態に応じて前記印刷処理装置のパラメーターを補正する処理である。
【0004】
前記画像形成装置において、前記印刷処理のジョブが発生してから終了するまでの間に前記印刷枚数条件が成立する場合がある。
【0005】
上記の場合、前記キャリブレーション処理が前記ジョブよりも優先して実行されると、良好な印刷品質が確保される反面、前記ジョブの終了が遅くなる。一方、前記ジョブが前記キャリブレーション処理よりも優先して実行されると、前記ジョブが早く終了する反面、良好な印刷品質が確保されない可能性がある。
【0006】
また、前記画像形成装置が、クライアントから受信したページ記述言語ファイルのヘッダ情報に含まれるフラグの内容に応じて、前記キャリブレーション処理および前記ジョブのいずれかを優先して実行することが知られている(例えば、特許文献1参照)。前記フラグは、画質または時間を重視することを表す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−157804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、ユーザーが、前記ジョブを前記画像形成装置に実行させるごとに前記ジョブおよび前記キャリブレーション処理のいずれを優先すべきかを指定することは手間である。
【0009】
本発明の目的は、ユーザーの手間を要することなく印刷処理のジョブおよびキャリブレーション処理のいずれを優先すべきかを自動的に制御可能な画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一の局面に係る画像形成装置は、印刷処理装置と、キャリブレーション制御装置と、を備える。前記印刷処理装置は、像担持体上に印刷画像を表すトナー像を作像するとともに前記像担持体上の前記トナー像をシートに転写する印刷処理を実行する。前記キャリブレーション制御装置は、予め定められたテストトナー像を作像する処理を前記印刷処理装置に実行させるとともに前記テストトナー像の状態に応じて前記印刷処理装置のパラメーターを補正するキャリブレーション処理を実行する。前記キャリブレーション制御装置は、前記印刷処理のジョブが発生してから終了するまでの間に、印刷枚数に関する予め定められた調整実行条件が成立する場合に、予め定められた文字条件を満たす文字画像が前記印刷画像に含まれる場合には前記ジョブが終了した後に前記キャリブレーション処理を実行し、前記文字条件を満たす文字画像が前記印刷画像に含まれない場合には前記ジョブの終了を待たずに前記キャリブレーション処理を実行する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ユーザーの手間を要することなく印刷処理のジョブおよびキャリブレーション処理のいずれを優先すべきかを自動的に制御可能な画像形成装置を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、第1実施形態に係る画像形成装置の構成図である。
図2図2は、第1実施形態に係る画像形成装置における制御装置のブロック図である。
図3図3は、第1実施形態に係る画像形成装置における印刷制御の手順の一例を示すフローチャートである。
図4図4は、第2実施形態に係る画像形成装置における印刷制御の手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0014】
[第1実施形態:画像形成装置10の構成]
第1実施形態に係る画像形成装置10は、電子写真方式で印刷処理を実行する。前記印刷処理は、シートにトナー像を形成する処理である。
【0015】
図1に示されるように、画像形成装置10は、前記印刷処理を実行する印刷処理装置2および制御装置8を備える。
【0016】
例えば、画像形成装置10は、プリンター、複写機、ファクシミリ装置または複合機などである。そのため、画像形成装置10は、原稿9から画像を読み取る読取処理を実行する画像読取装置1をさらに備える。
【0017】
前記印刷処理の対象となる画像は、画像読取装置1によって読み取られた画像および不図示のホスト装置から受信される印刷データが表す画像などである。前記シートは、用紙または合成樹脂のシートなどのシート状の画像形成媒体である。
【0018】
制御装置8は、前記印刷処理のジョブなどに関する各種のデータ処理を実行し、さらに、各種の電気機器を制御する。
【0019】
図1に示されるように、画像読取装置1は、プラテンガラス13、イメージセンサーユニット110、可動支持装置11およびプラテンカバー12などを備える。
【0020】
プラテンガラス13は、原稿9が載置される透明な原稿台である。プラテンカバー12は、プラテンガラス13およびプラテンガラス13上の原稿9を覆う。画像読取装置1は、プラテンカバー12に組み込まれたADF(Auto Document Feeder)14をさらに備える。
【0021】
原稿9は、プラテンガラス13上に載置されるか、或いはADF14によって搬送される。イメージセンサーユニット110は、プラテンガラス13上の原稿9を対象とする前記読取処理およびADF14によって搬送される原稿9を対象とする前記読取処理を実行可能である。
【0022】
印刷処理装置2は、画像読取装置1によって原稿9から読み取られる画像に基づく前記印刷処理、または、他装置から受信される印刷データが表す画像に基づく前記印刷処理を実行可能である。
【0023】
図1に示されるように、印刷処理装置2は、シート搬送装置3および画像形成部4を備える。シート搬送装置3は、前記シートをシート収容部20からシート搬送路30へ送り出し、さらに前記シートをシート搬送路30に沿って搬送する。
【0024】
画像形成部4は、作像ユニット4x、レーザースキャニングユニット40、転写装置44および定着装置46を備える。
【0025】
作像ユニット4xにおいて、ドラム状の感光体41が回転し、帯電装置42が感光体41の表面を一様に帯電させる。さらに、レーザースキャニングユニット40が帯電した感光体41の表面に静電潜像を書き込む。
【0026】
さらに、作像ユニット4xの現像装置43が、前記静電潜像をトナー像へ現像する。転写装置44は、感光体41の表面の前記トナー像を前記シートに転写する。続いて、定着装置46が、前記シート上の前記トナー像を加熱および加圧することにより、前記トナー像を前記シートに定着させる。
【0027】
図1に示される印刷処理装置2は、タンデム式の画像形成部4を有するカラープリンターである。そのため、画像形成部4は、それぞれ異なる色のトナーに対応する4つの作像ユニット4xを備る。さらに、転写装置44は、4つの一次転写装置441、中間転写ベルト440および二次転写装置442を含む。
【0028】
4つの作像ユニット4xが、それぞれ感光体41、帯電装置42および現像装置43を含む。4つの作像ユニット4xは、それぞれシアン、マゼンタ、イエローおよびブラックの前記トナー像を感光体41の表面に形成する。
【0029】
作像ユニット4x各々において、一次転写装置441が、前記トナー像を感光体41から中間転写ベルト440へ転写する。これにより、4色の前記トナー像からなるカラー画像が中間転写ベルト440上に形成される。
【0030】
二次転写装置442は、中間転写ベルト440上の4色の前記トナー像を前記シートに転写する。なお、画像形成装置10において、感光体41および中間転写ベルト440は、それぞれ前記トナー像を担持して回転する像担持体の一例である。
【0031】
以上に示されるように、印刷処理装置2は、感光体41および中間転写ベルト440上に印刷画像を表す前記トナー像を作像するとともに中間転写ベルト440上の前記トナー像を前記シートに転写する印刷処理を実行する。
【0032】
また、印刷処理装置2は、帯電バイアス印加装置42a、現像バイアス印加装置43a、一次転写バイアス印加装置44aおよび画像濃度センサー7をさらに備える。
【0033】
帯電バイアス印加装置42aは、帯電装置42に帯電バイアスを印加する電気回路を含む。現像バイアス印加装置43aは、現像装置43に現像バイアスを印加する電気回路を含む。一次転写バイアス印加装置44aは、一次転写装置441に一次転写バイアスを印加する電気回路を含む。
【0034】
画像濃度センサー7は、中間転写ベルト440が担持する前記トナー像の濃度を検出するセンサーである。画像濃度センサー7は、中間転写ベルト440の表面に光を照射する発光素子および中間転写ベルト440の表面での反射光の光量を検出する光電変換素子と含む。前記光電変換素子の出力信号が、中間転写ベルト440が担持する前記トナー像の濃度を表す。
【0035】
図2に示されるように、制御装置8は、CPU(Central Processing Unit)80、RAM(Random Access Memory)81、二次記憶装置82および通信装置83を備える。
【0036】
CPU80は、プログラムを実行することにより、ジョブ制御部8a、画像データ処理部8bおよびキャリブレーション制御部8cなどとして動作する。
【0037】
ジョブ制御部8aは、前記読取処理のジョブ、前記印刷処理のジョブおよび複写処理のジョブなどの各種のジョブに関する各種のデータ処理および制御を実行する。前記複写処理は、前記読取処理と前記読取処理により原稿9から読み取られた画像に基づく前記印刷処理を含む。
【0038】
画像データ処理部8bは、画像読取装置1または通信装置83を通じて得られる画像データに対して加工処理およびデータ変換処理などの各種の画像処理を実行する。
【0039】
キャリブレーション制御部8cは、キャリブレーション処理を実行する。前記キャリブレーション処理は、予め定められたテストトナー像を作像する処理を印刷処理装置2に実行させるとともに前記テストトナー像の状態に応じて印刷処理装置2のパラメーターを補正する処理である。
【0040】
例えば、キャリブレーション制御部8cは、4つの作像ユニット4x各々に対して前記テストトナー像を作像させる。これにより、4色の前記テストトナー像が、感光体41の表面で現像された後、中間転写ベルト440に転写される。例えば、前記テストトナー像は、トナーパッチを含む。
【0041】
さらに、キャリブレーション制御部8cは、画像濃度センサー7による4色の前記テストトナー像の濃度の検出結果を取得する。さらに、キャリブレーション制御部8cは、4色の前記テストトナー像の濃度の検出結果と予め定められた目標濃度との差に応じて、印刷処理装置2のパラメーターを補正する
【0042】
例えば、前記キャリブレーション処理で補正される前記パラメーターは、前記現像バイアスの設定値である。また、前記パラメーターが、前記帯電バイアスおよび前記一次転写バイアスの一方または両方を含むことも考えられる。
【0043】
なお、画像形成装置10がモノクロプリンターである場合、前記テストトナー像は感光体41上に作像され、画像濃度センサー7は、感光体41上の前記テストトナー像の濃度を検出する。
【0044】
キャリブレーション制御部8cは、印刷枚数に関する予め定められた調整実行条件が成立する場合に、前記キャリブレーション処理を実行する。なお、キャリブレーション制御部8cは、キャリブレーション制御装置の一例である。
【0045】
具体的には、キャリブレーション制御部8cは、累積印刷枚数をカウントする。例えば、前記調整実行条件は、前記累積印刷枚数が予め定められた設定枚数の整数倍を下回る状態から超える状態へ変化したという条件である。この場合、キャリブレーション制御部8cは、前記累積印刷枚数が前記設定枚数の整数倍を超えるごとに前記キャリブレーション処理を実行する。
【0046】
前記調整実行条件が、前記印刷処理の前記ジョブが発生してから終了するまでの間に成立する場合がある。この場合、前記キャリブレーション処理が前記ジョブよりも優先して実行されると、良好な印刷品質が確保される反面、前記ジョブの終了が遅くなる。一方、前記ジョブが前記キャリブレーション処理よりも優先して実行されると、前記ジョブが早く終了する反面、良好な印刷品質が確保されない可能性がある。
【0047】
なお、ジョブ制御部8a、画像データ処理部8bおよびキャリブレーション制御部8cの一部または全部が、MPU(Micro Processing Unit)またはDSP(Digital Signal Processor)などのプロセッサーによって実現されてもよい。また、ジョブ制御部8a、画像データ処理部8bおよびキャリブレーション制御部8cの一部または全部が、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの回路によって実現されることも考えられる。
【0048】
通信装置83は、不図示のネットワークを通じて不図示のホスト装置またはその他の外部装置との間で通信を行う通信インターフェイスデバイスである。前記ホスト装置は、パーソナルコンピューターまたは携帯情報端末などの情報処理装置である。CPU80は、前記外部装置との間のデータの送信および受信の全てを、通信装置83を通じて行う。
【0049】
二次記憶装置82は、コンピューター読み取り可能な不揮発性の記憶装置である。二次記憶装置82は、CPU80により実行されるプログラムおよびCPU80により参照される各種のデータを記憶する。例えば、フラッシュメモリーまたはハードディスクドライブの一方または両方が、二次記憶装置82として採用される。
【0050】
RAM81は、揮発性の記憶装置である。RAM81は、CPU80が実行するプログラムおよびCPU80が前記プログラムを実行する過程で出力および参照するデータを一次記憶する。RAM81は、二次記憶装置82よりも高速なデータアクセスが可能な記憶装置である。
【0051】
ところで、ユーザーが、前記ジョブを画像形成装置10に実行させるごとに前記ジョブおよび前記キャリブレーション処理のいずれを優先すべきかを指定することは手間である。
【0052】
画像形成装置10において、CPU80は、後述する印刷制御を実行する。これにより、画像形成装置10は、前記ユーザーの手間を要することなく前記印刷処理のジョブおよび前記キャリブレーション処理のいずれを優先すべきかを自動的に制御可能である。
【0053】
[印刷制御]
以下、図3に示されるフローチャートを参照しつつ、前記印刷制御の手順の一例について説明する。ジョブ制御部8aは、前記印刷処理を含むジョブが発生したときに、前記印刷制御を開始させる。
【0054】
例えば、ジョブ制御部8aは、不図示の操作装置に対する複写開始操作を検出したときに、前記印刷処理を含む前記複写処理のジョブが発生したことを検出する。また、ジョブ制御部8aは、通信装置83を通じて前記ホスト装置から印刷要求を受信したときに、前記印刷処理のジョブが発生したことを検出する。
【0055】
以下の説明において、S101,S102,…は、本実施形態の前記印刷制御における複数の工程の識別符号を表す。
【0056】
<工程S101>
前記印刷制御において、まず、ジョブ制御部8aは、印刷対象の画像を取得する。以下の説明において、前記印刷対象の画像のことを印刷画像と称する。
【0057】
ジョブ制御部8aは、前記複写処理のジョブの発生を検出した場合、画像読取装置1に前記読取処理を実行させ、前記読取処理によって得られる画像データを、前記印刷画像を表すデータとして取得する。
【0058】
また、ジョブ制御部8aは、前記ホスト装置からの要求に基づく前記印刷処理のジョブの発生を検出した場合、前記ホスト装置から通信装置83を通じて前記印刷画像を表す前記印刷データを取得する。
【0059】
さらに、ジョブ制御部8aは、処理を工程S101から工程S102へ移行させる。
【0060】
<工程S102>
工程S102において、キャリブレーション制御部8cが、前記調整実行条件が成立するか否かを判定する。キャリブレーション制御部8cは、前記調整実行条件が成立すると判定した場合に処理を工程S103へ移行させ、そうでない場合に処理を工程S105へ移行させる。
【0061】
<工程S103>
工程S102において、画像データ処理部8bが、文字条件判定処理を実行する。前記文字条件判定処理は、前記印刷画像が、予め定められた文字条件を満たす文字画像を含むか否かを判定する処理である。
【0062】
例えば、前記文字条件が、以下に示される第1文字条件、第2文字条件および第3文字条件のうちの一部または全部を含むことが考えられる。
【0063】
前記第1文字条件は、手書きの文字画像が前記印刷画像において予め定められた比率を超えて占めるという条件である。一般に、前記手書きの文字画像は、高い印刷品質を求められない画像である。
【0064】
従って、前記手書きの文字画像が前記印刷画像において占める比率が大きい場合、前記印刷処理が前記キャリブレーション処理よりも優先されることが望ましい。即ち、前記印刷処理の早期終了が、印刷処理装置2のパラメーターの補正よりも優先されることが望ましい。
【0065】
画像データ処理部8bは、前記第1文字条件の判定において、前記印刷画像に対して周知の手書き文字認識処理を実行することにより、前記手書きの文字画像を抽出する。さらに、画像データ処理部8bは、認識した前記手書きの文字画像が、前記印刷画像における全描画画素おいて予め定められた比率を超えて占めるか否かを判定する。
【0066】
前記第2文字条件は、予め定められたサンセリフ書体の文字画像が前記印刷画像において予め定められた比率を超えて占めるとい条件である。
【0067】
一般に、文字線の端にセリフを有するセリフ書体の文字の画像が印刷される場合、印刷品質の低下がセリフの部分に顕著に表れる。一方、前記セリフを有さないサンセリフ書体の文字の画像が印刷される場合、印刷品質の低下が前記文字画像の印刷物に現れにくい。
【0068】
従って、前記サンセリフ書体の前記文字画像が前記印刷画像において占める比率が大きい場合、前記印刷処理が前記キャリブレーション処理よりも優先されることが望ましい。
【0069】
画像データ処理部8bは、前記第2文字条件の判定において、前記印刷画像に対して周知の文字認識処理を実行することにより、文字画像を抽出する。
【0070】
さらに、画像データ処理部8bは、認識した前記文字画像における文字線の端にセリフが存在するか否かを判定する。これにより、画像データ処理部8bは、認識した前記文字画像がサンセリフ書体の文字を表すか否かを判定する。
【0071】
さらに、画像データ処理部8bは、前記サンセリフ書体の文字を表すと判定した前記文字画像が、前記印刷画像における全描画画素おいて予め定められた比率を超えて占めるか否かを判定する。
【0072】
前記第3文字条件は、予め定められた文字サイズを超える大きさの文字画像が前記印刷画像において予め定められた比率を超えて占めるという条件である。一般に、サイズの大きな前記文字画像が印刷される場合、印刷品質の低下が前記文字画像の印刷物に現れにくい。
【0073】
従って、サイズの大きな前記文字画像が前記印刷画像において占める比率が大きい場合、前記印刷処理が前記キャリブレーション処理よりも優先されることが望ましい。
【0074】
画像データ処理部8bは、前記第3文字条件の判定において、前記印刷画像に対して周知の文字認識処理を実行することにより、文字画像を抽出する。
【0075】
さらに、画像データ処理部8bは、認識した前記文字画像が予め定められた文字サイズを超える大サイズ文字画像であるか否かを判定する。さらに、画像データ処理部8bは、前記大サイズ文字画像であると判定した前記文字画像が、前記印刷画像における全描画画素おいて予め定められた比率を超えて占めるか否かを判定する。
【0076】
そして、画像データ処理部8bは、前記文字条件を満たす前記文字画像が前記印刷画像に含まれる判定した場合、処理を工程S106へ移行させ、そうでない場合に処理を工程S104へ移行させる。
【0077】
<工程S104>
工程S104において、キャリブレーション制御部8cが、前記キャリブレーション処理を実行する。その後、キャリブレーション制御部8cは、処理を工程S105へ移行させる。
【0078】
なお、工程S101から工程S104の処理は、前記印刷処理を含む前記ジョブが発生してから終了するまでの間に実行される。
【0079】
<工程S105>
工程S105において、ジョブ制御部8aが、前記印刷処理のジョブを印刷処理装置2に実行させる。その後、ジョブ制御部8aは、前記印刷制御を終了させる。
【0080】
<工程S106>
工程S106において、ジョブ制御部8aが、前記印刷処理のジョブを印刷処理装置2に実行させる。その後、ジョブ制御部8aは、処理を工程S107へ移行させる。
【0081】
<工程S107>
工程S107において、キャリブレーション制御部8cが、前記キャリブレーション処理を実行する。その後、キャリブレーション制御部8cは、前記印刷制御を終了させる。
【0082】
前記印刷処理のジョブが、複数ページ分の前記印刷画像に基づく前記印刷処理を含むことが考えられる。この場合、キャリブレーション制御部8cおよび画像データ処理部8bおよびジョブ制御部8aは、先頭ページから1ページ分の前記印刷画像ごとに工程S102および工程S103の処理を順次実行する。
【0083】
そして、前記調整実行条件が成立すると判定されない限り、工程S105において、1ページ分の前記印刷画像に基づく前記印刷処理が順次実行される。
【0084】
一方、前記印刷処理のジョブの途中で、前記調整実行条件が成立すると判定された場合、前記文字条件を満たす前記文字画像が含まれると判定されるページの前記印刷画像については、工程S106において前記印刷処理が実行される。
【0085】
そして、前記印刷処理のジョブの途中で、前記調整実行条件が成立すると判定された後、前記文字条件を満たす前記文字画像が含まれないと判定されるページを含む残りの全てのページの前記印刷画像については、工程S104において前記キャリブレーション処理が実行された後に、工程S105において前記印刷処理が実行される。
【0086】
以上に示されるように、キャリブレーション制御部8cは、前記印刷処理のジョブが発生してから終了するまでの間に前記調整実行条件が成立する場合に、前記文字条件を満たす文字画像が前記印刷画像に含まれる場合には、前記ジョブが終了した後に前記キャリブレーション処理を実行する(S107)。
【0087】
一方、キャリブレーション制御部8cは、前記印刷処理のジョブが発生してから終了するまでの間に前記調整実行条件が成立する場合に、前記文字条件を満たす文字画像が前記印刷画像に含まれない場合には、前記ジョブの終了を待たずに前記キャリブレーション処理を実行する(S104)。
【0088】
前記第1文字条件、前記第2文字条件および前記第3文字条件は、前記印刷処理および前記キャリブレーション処理のいずれを優先すべきかの判断への影響が大きい。画像形成装置10は、そのような文字条件の判定結果に応じて、ユーザーの手間を要することなく前記印刷処理のジョブおよび前記キャリブレーション処理のいずれを優先すべきかを自動的に制御可能である。
【0089】
[第2実施形態]
第2実施形態に係る画像形成装置は、画像形成装置10と同じ構成を備えるが、前記印刷制御の手順の一部が、図3に示される手順と異なる。
【0090】
以下、図4を参照しつつ、本実施形態に係る画像形成装置における前記印刷制御の手順の一例について説明する。
【0091】
以下の説明において、S201,S202,…は、本実施形態の前記印刷制御における複数の工程の識別符号を表す。
【0092】
<工程S201,S202>
本実施形態において、まず、ジョブ制御部8aおよびキャリブレーション制御部8cは、図3の工程S101および工程S102と同じ処理を実行する。
【0093】
そして、キャリブレーション制御部8cは、前記調整実行条件が成立すると判定した場合に処理を工程S203へ移行させ、そうでない場合に処理を工程S205へ移行させる。
【0094】
<工程S203>
工程S203において、画像データ処理部8bが、写真条件判定処理を実行する。前記写真条件判定処理は、写真画像が前記印刷画像に含まれるか否かを判定する処理である。
【0095】
一般に、前記写真画像の印刷は、前記キャリブレーション処理が前記印刷処理よりも優先されることが望ましい。即ち、印刷処理装置2のパラメーターの補正が、前記印刷処理の早期終了よりも優先されることが望ましい。
【0096】
そして、画像データ処理部8bは、前記写真画像が前記印刷画像に含まれると判定した場合、処理を工程S204および工程S205へ移行させ、そうでない場合に処理を工程S206へ移行させる。
【0097】
<工程S204,S205>
工程S204および工程S205において、キャリブレーション制御部8cおよびジョブ制御部8aが、図3の工程S104および工程S105と同じ処理を実行する。その後、ジョブ制御部8aは、前記印刷制御を終了させる。
【0098】
<工程S206>
工程S206において、画像データ処理部8bが、図3の工程S103と同じ処理を実行する。そして、画像データ処理部8bは、前記文字条件を満たす前記文字画像が前記印刷画像に含まれる判定した場合、処理を工程S207および工程S208へ移行させ、そうでない場合に処理を工程S204へ移行させる。
【0099】
<工程S207,S208>
工程S207および工程S208において、ジョブ制御部8aおよびキャリブレーション制御部8cが、図3の工程S106および工程S107と同じ処理を実行する。その後、キャリブレーション制御部8cは、前記印刷制御を終了させる。
【0100】
本実施形態において、キャリブレーション制御部8cは、前記印刷処理のジョブが発生してから終了するまでの間に前記調整実行条件が成立する場合に、前記文字条件を満たす文字画像が前記印刷画像に含まれ、かつ、前記写真画像が前記印刷画像に含まれない場合には、前記ジョブが終了した後に前記キャリブレーション処理を実行する(S208)。
【0101】
一方、キャリブレーション制御部8cは、前記印刷処理のジョブが発生してから終了するまでの間に前記調整実行条件が成立する場合に、前記文字条件を満たす文字画像が前記印刷画像に含まれない、または、前記写真画像が前記印刷画像に含まれる場合には、前記ジョブの終了を待たずに前記キャリブレーション処理を実行する(S204)。
【0102】
本実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。また、本実施形態においては、前記印刷処理および前記キャリブレーション処理のいずれを優先すべきかの判断への影響が大きな前記写真画像の有無が考慮される。この点において、本実施形態は、よりユーザーの意図に沿った前記キャリブレーション処理の制御が実行される。
【符号の説明】
【0103】
1 :画像読取装置
2 :印刷処理装置
3 :シート搬送装置
4 :画像形成部
4x :作像ユニット
7 :画像濃度センサー
8 :制御装置
8a :ジョブ制御部
8b :画像データ処理部
8c :キャリブレーション制御部
9 :原稿
10 :画像形成装置
11 :可動支持装置
12 :プラテンカバー
13 :プラテンガラス
20 :シート収容部
30 :シート搬送路
40 :レーザースキャニングユニット
41 :感光体
42 :帯電装置
42a :帯電バイアス印加装置
43 :現像装置
43a :現像バイアス印加装置
44 :転写装置
44a :一次転写バイアス印加装置
46 :定着装置
80 :CPU
81 :RAM
82 :二次記憶装置
83 :通信装置
110 :イメージセンサーユニット
440 :中間転写ベルト
441 :一次転写装置
442 :二次転写装置
図1
図2
図3
図4