【実施例】
【0056】
本発明を詳細に説明するために以下に実施例を挙げるが、本発明はこれらの例のみに限定されるものではない。特に断りのない限り、「%」は「質量%(重量%)」を、「部」は「質量部(重量部)」を、それぞれ意味する。
なお、各種物性等は以下のようにして評価した。
【0057】
1、各原料成分中の水分量(カールフィッシャー滴定)
(1)無機粉体中の水分量
滴定セルにメタノールを入れ、水分気化装置(平沼産業社製「EVAPORATER EV−2000」)にセットし、ブランク操作を行ってから試料0.5gを投入した。加熱保持時間10分で水分測定装置(平沼産業社製「AQUA COUNTER AQV−2200」)を用いて水分量を測定した。
(2)油(無機粉体以外の原料)中の水分量
滴定セルにメタノールを入れ、ブランク操作をしてから試料0.5gを投入し、水分測定装置(平沼産業社製「AQUA COUNTER AQV−2200」)で水分量を測定した。
【0058】
2、粘度
液状分散体を作製後、40℃で1日又は1週間静置した後、25℃まで冷却し、B型粘度計(LVDV1M、英弘精機社製)にて測定した(測定温度:25℃)。
【0059】
3、ケーキング及び上澄み
液状分散体を作製後、40℃で静置し、1週間後に目視で確認した。
表では、ケーキング又は上澄みが発生したものを「発生」と記載し、発生しなかったものを「なし」と記載した。
【0060】
4、粒度
(1)粒度分布
白色の無機粉体を含む液状分散体について、水で希釈後、堀場製作所製「LA−950」にてメディアン径D
50を測定した。
(2)グラインドゲージ
有色の無機粉体を含む液状分散体について、JIS K5600(1999年)に従い、50μmグラインドゲージにより測定した。
【0061】
実施例1
金属ビーカーに、表1に示す量で1,3−ブチレングリコール(ダイセル社製)、非イオン性界面活性剤(信越化学工業社製「KF−6013」、ポリエーテル変性シリコーン)、酸化チタン(堺化学工業社製「MKR−1S」、酸化チタン98.5%、ハイドロゲンジメチコン1.5%、平均粒子径:200nm)の順で投入した。それぞれ投入時に、金ベラを用いて馴染ませ、撹拌機で混合した。このようにして得た液状分散体について、上述した評価を行った。結果を表1に示す。
【0062】
実施例2
各原料成分の量を表1に示す量に変更したこと以外は、実施例1と同様にして液状分散体を作製し、上述した評価を行った。結果を表1に示す。
【0063】
実施例3
酸化チタンの平均粒子径を500nmに変更したこと以外は、実施例1と同様にして液状分散体を作製し、上述した評価を行った。結果を表1に示す。
【0064】
実施例4
酸化チタンを酸化鉄(黄色)
(三好化成社製「SI−イエロー LL−100P LHC」、ハイドロゲンジメチコン処理、平均粒子径:700nm)に変更したこと、及び、各原料成分の量を表1に示す量に変更したこと以外は、実施例1と同様にして液状分散体を作製し、上述した評価を行った。結果を表1に示す。
【0065】
実施例5
酸化チタンを酸化鉄(赤色)(三好化成社製「SI−レッド R−516PS LHC」、ハイドロゲンジメチコン処理、平均粒子径:700nm)に変更したこと、及び、各原料成分の量を表1に示す量に変更したこと以外は、実施例1と同様にして液状分散体を作製し、上述した評価を行った。結果を表1に示す。
【0066】
実施例6
酸化チタンを酸化鉄(黒色)(三好化成社製「SI−ブラック BL−100P LHC」、ハイドロゲンジメチコン処理、平均粒子径:300nm)に変更したこと、及び、各原料成分の量を表1に示す量に変更したこと以外は、実施例1と同様にして液状分散体を作製し、上述した評価を行った。結果を表1に示す。
【0067】
実施例7
金属ビーカーに、表1に示す量で1,3−ブチレングリコール(ダイセル社製)、非イオン性界面活性剤(信越化学工業社製「KF−6013」、ポリエーテル変性シリコーン)、レシチン(J−オイルミルズ製「レシチンCL」)、酸化チタン(堺化学工業社製「MKR−1S」、酸化チタン98.5%、ハイドロゲンジメチコン1.5%、平均粒子径:200nm)の順で投入した。それぞれ投入時に、金ベラを用いて馴染ませ、撹拌機で混合した。このようにして得た液状分散体について、上述した評価を行った。結果を表1に示す。
【0068】
実施例8
酸化チタン(堺化学工業社製MKR−1S」、酸化チタン98.5%、ハイドロゲンジメチコン1.5%、平均粒子径:200nm)60.1g、酸化鉄(黄色)(三好化成社製「SI−イエロー LL−100P LHC」、ハイドロゲンジメチコン処理、平均粒子径:700nm)2.6g、酸化鉄(黒色)(三好化成社製「SI−ブラック BL−100P LHC」、ハイドロゲンジメチコン処理、平均粒子径:300nm)0.7g、酸化鉄(赤色)(三好化成社製「SI−レッド R−516PS LHC」、ハイドロゲンジメチコン処理、平均粒子径:700nm)7.8gを混合し、肌色に調色した疎水化処理無機粉体を得た。
金属ビーカーに、表1に示す量で1,3−ブチレングリコール(ダイセル社製)、非イオン性界面活性剤(信越化学工業社製「KF−6013」、ポリエーテル変性シリコーン)上記肌色に調色した疎水化処理無機粉体の順で投入した。それぞれ投入時に、金ベラを用い馴染ませ、撹拌機で混合した。このようにして得た液状分散体について、上述した評価を行った。結果を表1に示す。
【0069】
比較例1
非イオン性界面活性剤を使用しなかったこと及び各原料成分の量を表1に示す量に変更したこと以外は、実施例1と同様にして液状分散体を作製しようとしたが、分散しなかった。それゆえ、液状分散体を得ることができなかった。
【0070】
比較例2
金属ビーカーに、表1に示す量で1,3−ブチレングリコール(ダイセル社製)、非イオン性界面活性剤(信越化学工業社製「KF−6013」、ポリエーテル変性シリコーン)、酸化チタン(堺化学工業社製「MKR−1S」、酸化チタン98.5%、ハイドロゲンジメチコン1.5%、平均粒子径:200nm)、水の順で投入した。それぞれ投入時に、金ベラを用いて手で馴染ませた。このようにして得た液状分散体について、上述した評価を行った。結果を表1に示す。
【0071】
上述のカールフィッシャー滴定法にて測定した各原料成分100質量%中の水分量は、以下のとおりである。
平均粒子径200nmの酸化チタン:0.126質量%
平均粒子径500nmの酸化チタン:0.103質量%
酸化鉄(赤色):0.130質量%
酸化鉄(黄色):0.487質量%
酸化鉄(黒色):0.061質量%
1,3−ブチレングリコール:0.262質量%
非イオン性界面活性剤(KF−6013):0.272質量%
レシチン:0.186質量%
【0072】
【表1】
【0073】
表1より、以下のことを確認した。
実施例1〜6、8は、多価アルコール(A)、非イオン性界面活性剤(B)及び疎水化処理無機粉体(C)を含む液状分散体であり、実施例7は更にレシチン及び/又は水添レシチン(D)を含む液状分散体であって、かつ液状分散体100質量%中の水分量が1質量%以下である例であるが、この場合、粘度が経時的に安定しており、上澄みやケーキングの発生も抑制された液状分散体が得られた。実施例1〜3、7ではメディアン径D
50も小さく、疎水化処理無機粉体(C)の分散が良好であり、実施例4〜6、8ではグラインドゲージによる粗粒確認を行った場合にも粗粒は確認されなかった。
また、実施例1〜8で得た液状分散体はいずれも、O/W型化粧料(水中油型化粧料)のみならず、W/O型化粧料(油中水型化粧料)にも安定に配合することができた。
【0074】
これに対し、比較例1は、非イオン性界面活性剤(B)のいずれかを使用しなかった例であるが、この場合は分散せず、液状分散体を得ることができなかった。また表には記載していないが、実施例1において非イオン性界面活性剤の代わりにポリビニルピロリドンを使用した場合についても検討したところ、この場合も分散せず、液状分散体を得ることができなかった。比較例2は、原料成分として水を含む例であるが、この場合、W/O型化粧料(油中水型化粧料)に配合し、50℃1週間の条件で静置を行うと分離し、安定性が悪く、また比較例2で得た液状分散体は、当初は流動性のある液状であったが、1週間経過後には流動性に著しく劣る状態(固化)となっていた。
【0075】
以上より、多価アルコール(A)、非イオン性界面活性剤(B)及び疎水化処理無機粉体(C)を含み、更にレシチン及び/又は水添レシチン(D)を配合した場合でも、液状分散体100質量%中の水分量が1質量%以下であるという構成とすることによって初めて、長時間安定して分散状態を維持することができ、しかもO/W型化粧料及びW/O型化粧料の両者に好適に適用可能な液状分散体となることが分かった。
【0076】
(処方例)
実施例9(O/Wファンデーション)
下記表2に示す成分を用い、以下の製造方法にてO/Wファンデーションを得た。
(製造方法)
(1)成分15〜18を成分19の一部に均一に混合する。
(2)成分1〜7を均一に混合し、加熱する。
(3)成分8〜14及び成分19の残部を均一に混合し、加熱する。
(4)上記(3)に上記(2)を添加して乳化し、冷却して上記(1)を添加し、O/Wファンデーションを得た。
【0077】
【表2】
【0078】
以上のようにして得られた実施例9のO/Wファンデーションは、経時変化を起こさず安定で、また使用感に関しても、塗布時の肌へののび広がりが良くなめらかで、後肌のべたつき感もキシミ感もなく、化粧持ちに優れたO/Wファンデーションであった。
【0079】
実施例10(O/Wファンデーション)
下記表3に示す成分を用い、以下の製造方法にてO/Wファンデーションを得た。
(製造方法)
(1)成分16〜19を成分20の一部に均一に混合する。
(2)成分1〜8を均一に混合し、加熱する。
(3)成分9〜15及び成分20の残部を均一に混合し、加熱する。
(4)上記(3)に上記(2)を添加して乳化し、冷却して上記(1)を添加し、O/Wファンデーションを得た。
【0080】
【表3】
【0081】
以上のようにして得られた実施例10のO/Wファンデーションは、経時変化を起こさず安定で、また使用感に関しても、塗布時の肌へののび広がりが良くなめらかで、後肌のべたつき感もキシミ感もなく、紫外線防御効果のある化粧持ちに優れたO/Wファンデーションであった。
【0082】
実施例11(O/Wファンデーション)
下記表4に示す成分を用い、以下の製造方法にてO/Wファンデーションを得た。
(製造方法)
(1)成分11〜14を成分17の一部に均一に混合する。
(2)成分1〜6を均一に混合し、加熱する。
(3)成分7〜10及び成分17の残部を均一に混合し、加熱する。
(4)上記(3)に上記(2)を添加して乳化し、冷却して成分15、16及び上記(1)を添加し、O/Wファンデーションを得た。
【0083】
【表4】
【0084】
以上のようにして得られた実施例11のO/Wファンデーションは、経時変化を起こさず安定で、また使用感に関しても、塗布時の肌へののび広がりが良くなめらかで、後肌のべたつき感もキシミ感もなく、非常に化粧持ちに優れた紫外線遮断効果の高いO/Wファンデーションであった。
【0085】
実施例12(W/Oファンデーション)
下記表5に示す成分を用い、以下の製造方法にてW/Oファンデーションを得た。
(製造方法)
(1)成分8〜11を成分15の一部に均一に混合する。
(2)成分1〜7を均一に混合する。
(3)成分12〜14及び成分15の残部を均一に混合し、上記(1)を添加する。
(4)上記(2)に上記(3)を添加して乳化し、W/Oファンデーションを得た。
【0086】
【表5】
【0087】
以上のようにして得られた実施例12のW/Oファンデーションは、経時変化を起こさず安定で、また使用感に関しても、塗布時の肌へののび広がりが良くなめらかで止まりも良く、後肌のべたつき感もキシミ感もなく、化粧持ちに優れたW/Oファンデーションであった。
【0088】
実施例13(W/Oファンデーション)
下記表6に示す成分を用い、以下の製造方法にてW/Oファンデーションを得た。
(製造方法)
(1)成分6〜9を成分15の一部に均一に混合する。
(2)成分1〜5を均一に混合する。
(3)成分10〜14及び成分15の残部を均一に混合し、上記(1)を添加する。
(4)上記(2)に上記(3)を添加して乳化し、W/Oファンデーションを得た。
【0089】
【表6】
【0090】
以上のようにして得られた実施例13のW/Oファンデーションは、経時変化を起こさず安定で、また使用感に関しても、塗布時の肌へののび広がりが良くなめらかで止まりも良く、後肌のべたつき感もキシミ感もなく、非常に化粧持ちに優れたW/Oファンデーションであった。
【0091】
実施例14(O/Wマスカラ)
下記表7に示す成分を用い、以下の製造方法にてO/Wマスカラを得た。
(製造方法)
(1)成分10を成分11の一部に均一に混合する。
(2)成分2〜4及び成分11の残部を混合する。
(3)上記(2)に成分5を加え、更に成分6を添加する。
(4)上記(3)に成分7,8を加え、均一して加熱する。
(5)上記(4)に加熱した成分1を加えて乳化する。
(6)上記(5)に成分9及び上記(1)を加え、均一にしてO/Wマスカラを得た。
【0092】
【表7】
【0093】
以上のようにして得られた実施例14のO/Wマスカラは、経時変化を起こさず安定で、また使用感に関しても、塗布時の睫毛へののび・付きが良くなめらかでべたつきもなく、化粧持ちに優れたO/Wマスカラであった。