特許第6919654号(P6919654)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6919654
(24)【登録日】2021年7月28日
(45)【発行日】2021年8月18日
(54)【発明の名称】電動ポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04C 15/00 20060101AFI20210805BHJP
【FI】
   F04C15/00 K
   F04C15/00 L
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-529874(P2018-529874)
(86)(22)【出願日】2017年7月24日
(86)【国際出願番号】JP2017026662
(87)【国際公開番号】WO2018021232
(87)【国際公開日】20180201
【審査請求日】2020年6月30日
(31)【優先権主張番号】特願2016-147524(P2016-147524)
(32)【優先日】2016年7月27日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000220505
【氏名又は名称】日本電産トーソク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118496
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 耕三
(74)【代理人】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】日本電産株式会社
(72)【発明者】
【氏名】小林 喜幸
(72)【発明者】
【氏名】片岡 慈裕
【審査官】 嘉村 泰光
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−287886(JP,A)
【文献】 特開2002−288776(JP,A)
【文献】 特表2013−530669(JP,A)
【文献】 特開2005−299491(JP,A)
【文献】 特開2012−120384(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04C 11/00−15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に延びる中心軸を中心として回転するシャフトと、
前記シャフトを回転させるモータ部と、
前記モータ部の軸方向一方側に位置し、前記モータ部によって前記シャフトを介して駆動されるポンプ部と、
前記シャフト、前記モータ部および前記ポンプ部を格納するとともに、前記モータ部と前記ポンプ部とが固定された筒状の電動ポンプケースと、
前記ポンプ部によって加圧される流体の圧力を計測する圧力センサ装置と、
前記モータ部の軸方向他方側に位置し、前記モータ部と電気的に接続される回路基板と、
を備え、
前記ポンプ部は、
前記シャフトの回転に伴い回転するポンプギアと、
軸方向一方側の面から軸方向他方側に窪み前記ポンプギアを収容するポンプ室、および軸方向両端に開口し前記シャフトが通され、軸方向一方側の開口が前記ポンプ室に開口する貫通孔を有するポンプボディと、
を有し、
前記圧力センサ装置は、
軸方向で前記ポンプ部と前記モータ部との間に配置された圧力センサ装置本体と、
前記圧力センサ装置本体と前記回路基板とを電気的に接続する電気接続ケーブルと、
を有し、
前記電気接続ケーブルは、前記圧力センサ装置本体から前記回路基板まで、前記電動ポンプケースの径方向内側を通って引き回され、
前記モータ部は、前記シャフトの径方向外側において、周方向に沿って配置されたステータを有し、
前記ステータは、
環状のコアバック部と、
前記コアバック部から径方向内側に延び、周方向に沿って配置された複数のティース部と、
前記複数のティース部のそれぞれに巻き回された複数のコイルと、
を有し、
前記電気接続ケーブルは、前記圧力センサ装置本体から前記回路基板までの間において、周方向に隣り合う前記ティース部同士の間を通って引き回されている、電動ポンプ。
【請求項2】
前記ポンプ部は、
前記ポンプ室に流体を吸入する導入油路と、
前記ポンプ室から流体を吐出する吐出油路と、
を有し、
前記ポンプボディは、
軸方向他方側の面から軸方向一方側に窪み、前記圧力センサ装置本体を収容するセンサ収容凹部と、
前記吐出油路と前記センサ収容凹部とを繋ぐ検出油路と、
を有する、請求項1に記載の電動ポンプ。
【請求項3】
前記回路基板と電気的に接続され、前記モータ部の回転を計測する回転センサと、
前記回路基板と電気的に接続され、前記回転センサに電源を供給する電源用端子と、
前記回路基板と電気的に接続され、前記回転センサの接地をとる接地用端子と、
をさらに備え、
前記電気接続ケーブルは、
前記圧力センサ装置本体に電源を供給する電源用リード線と、
前記圧力センサ装置本体の接地をとる接地用リード線と、
を有し、
前記電源用リード線は、前記電源用端子と電気的に接続され、
前記接地用リード線は、前記接地用端子と電気的に接続されている、請求項1からのいずれか一項に記載の電動ポンプ。
【請求項4】
前記回路基板を保持する保持部材と、
前記電気接続ケーブルを前記保持部材に固定する第1固定部と、
前記電気接続ケーブルを前記ポンプボディに固定する第2固定部と、
をさらに備える、請求項1からのいずれか一項に記載の電動ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】

本発明は、電動ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】

モータを用いた電動ポンプが知られている。例えば、特許文献1には、ポンプ部とモータ部とが一体化された電動ポンプが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】

【特許文献1】特開2004−353536号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】

ところで、上記のような電動ポンプによって加圧されるオイル等の流体の圧力を圧力センサによって計測する場合、電動ポンプ内に圧力センサを配置する構成が考えられる。しかし、この場合、電動ポンプ自体に電源を供給するための配線と、圧力センサに電源を供給するための配線と、がそれぞれ必要となる。そのため、電動ポンプの組み立て作業が煩雑化する場合があった。また、電動ポンプと外部との接続箇所が2箇所となり、電動ポンプが大型化する場合があった。
【0005】

本発明は、上記問題点に鑑みて、圧力センサ装置を備えた電動ポンプであって、組み立て作業が煩雑化することを抑制できるとともに、大型化することを抑制できる構造を有する電動ポンプを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】

本発明の電動ポンプの一つの態様は、軸方向に延びる中心軸を中心として回転するシャフトと、前記シャフトを回転させるモータ部と、前記モータ部の軸方向一方側に位置し、前記モータ部によって前記シャフトを介して駆動されるポンプ部と、前記シャフト、前記モータ部および前記ポンプ部を格納するとともに、前記モータ部と前記ポンプ部とが固定された筒状の電動ポンプケースと、前記ポンプ部によって加圧される流体の圧力を計測する圧力センサ装置と、前記モータ部の軸方向他方側に位置し、前記モータ部と電気的に接続される回路基板と、を備え、前記ポンプ部は、前記シャフトの回転に伴い回転するポンプギアと、軸方向一方側の面から軸方向他方側に窪み前記ポンプギアを収容するポンプ室、および軸方向両端に開口し前記シャフトが通され、軸方向一方側の開口が前記ポンプ室に開口する貫通孔を有するポンプボディと、を有し、前記圧力センサ装置は、軸方向で前記ポンプ部と前記モータ部との間に配置された圧力センサ装置本体と、前記圧力センサ装置本体と前記回路基板とを電気的に接続する電気接続ケーブルと、を有し、前記電気接続ケーブルは、前記圧力センサ装置本体から前記回路基板まで、前記電動ポンプケースの径方向内側を通って引き回されている。
【発明の効果】
【0007】

本発明の一つの態様によれば、圧力センサ装置を備えた電動ポンプであって、組み立て作業が煩雑化することを抑制できるとともに、大型化することを抑制できる構造を有する電動ポンプが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】

図1図1は、本実施形態の電動ポンプを示す断面図である。
図2図2は、本実施形態の電動ポンプを示す部分断面斜視図である。
図3図3は、本実施形態の電動ポンプの部分を示す図であって、図1におけるIII−III断面図である。
図4図4は、本実施形態の電動ポンプの部分を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】

本実施形態の電動ポンプ10は、流体としてオイルを加圧して送る電動オイルポンプである。図1および図2に示すように、電動ポンプ10は、電動ポンプケース11と、軸方向に延びる中心軸Jを中心として回転するシャフト21と、シャフト21を回転させるモータ部20と、モータ部20によってシャフト21を介して駆動されるポンプ部30と、センサマグネット140と、バスバーユニット100と、回路基板110と、回転センサ130と、圧力センサ装置50と、を備える。
【0010】

以下の説明においては、特に断りのない限り、中心軸Jの軸方向と平行な方向を単に「軸方向」と呼び、中心軸Jを中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、中心軸Jを中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。また、特に断りのない限り、図1における軸方向の上側を単に「上側」と呼び、図1における軸方向の下側を単に「下側」と呼ぶ。本実施形態においては、下側が軸方向一方側に相当し、上側が軸方向他方側に相当する。なお、上側および下側とは、単に説明のために用いられる名称であって、実際の位置関係や方向を限定しない。
【0011】

電動ポンプケース11は、モータ部20およびポンプ部30を格納するとともに、モータ部20とポンプ部30とが固定された筒状である。図1では、電動ポンプケース11は、ハウジング12と、モータカバー13と、を有する。ハウジング12は、中心軸Jを中心とし、軸方向両端に開口する円筒状である。ハウジング12は、内部にモータ部20とポンプ部30とを保持している。モータカバー13は、ハウジング12の上側に取り付けられている。モータカバー13は、下側に開口し、上端にハウジング12の上側の開口を覆う蓋部を有する筒状である。
【0012】

モータ部20は、ロータ23と、ステータ22と、を有する。ロータ23は、シャフト21の外周面に固定されている。ステータ22は、シャフト21の径方向外側において、周方向に沿って配置されている。より詳細には、ステータ22は、ロータ23の径方向外側に配置され、ロータ23を囲んでいる。ステータ22は、コアバック部26aと、複数のティース部26bと、インシュレータ24と、複数のコイル25と、を有する。
【0013】

図3に示すように、コアバック部26aは、環状である。より詳細には、図2および図3に示すように、コアバック部26aは、中心軸Jを中心とする円筒状である。コアバック部26aの外周面は、ハウジング12の内周面に固定されている。図3に示すように、複数のティース部26bは、コアバック部26aから径方向内側に延び、周方向に沿って配置されている。図3では、ティース部26bは、例えば、12個設けられており、周方向に沿って等間隔に配置されている。
【0014】

インシュレータ24は、ティース部26bに装着されている。複数のコイル25は、複数のティース部26bのそれぞれに巻き回されている。より詳細には、複数のコイル25は、インシュレータ24を介してティース部26bに巻き回されている。なお、図3においては、シャフト21およびロータ23の図示を省略している。
【0015】

図1に示すように、ポンプ部30は、モータ部20の下側に位置する。ポンプ部30は、ポンプボディ31と、ポンプギア32と、ポンプカバー36と、を有する。ポンプボディ31は、モータ部20の下側において、モータ部20と軸方向に隙間を介して対向して配置されている。ポンプボディ31は、下側の面から上側に窪みポンプギア32を収容するポンプ室35を有する。図示は省略するが、ポンプ室35の軸方向に視た形状は、円形状である。ポンプボディ31は、軸方向両端に開口しシャフト21が通され、下側の開口がポンプ室35に開口する貫通孔31aを有する。
【0016】

ポンプボディ31は、上側の面から下側に窪み、後述する圧力センサ装置本体54を収容するセンサ収容凹部37を有する。センサ収容凹部37は、貫通孔31aよりも径方向外側に配置されている。図2および図3に示すように、センサ収容凹部37は、中心を中心軸Jが通る円環状である。ポンプボディ31は、上側に突出するシール保持部38を有する。シール保持部38は、中心軸Jを中心とし、上側に開口する円筒状である。シール保持部38は、センサ収容凹部37の径方向内側に配置されている。図1に示すように、シール保持部38の内部にはオイルシール40が保持されている。シール保持部38の内部は、貫通孔31aと連通している。シール保持部38の内部には、シャフト21が通されている。
【0017】

ポンプギア32は、シャフト21の回転に伴い回転する。本実施形態においてポンプギア32は、シャフト21の下端部に取り付けられている。ポンプギア32は、シャフト21の下端部における外周面に固定されたインナーロータ33と、インナーロータ33の径方向外側を囲むアウターロータ34と、を有する。ポンプカバー36は、ポンプボディ31の下側に取り付けられている。ポンプカバー36は、径方向に拡がる蓋状である。ポンプカバー36は、ポンプ室35の下側の開口を閉塞する。なお、インナーロータ33とシャフト21とは、中心軸J周りの相対的な回動が、ある程度許容された状態であってもよい。
【0018】

ポンプ部30は、導入油路91と、吐出油路92と、を有する。図1では、導入油路91は、ポンプカバー36に設けられている。導入油路91は、ポンプ室35と繋がり、ポンプ室35にオイルを吸入する油路である。図1では、吐出油路92は、ポンプボディ31に設けられている。吐出油路92は、ポンプ室35と繋がり、ポンプ室35からオイルを吐出する油路である。ポンプボディ31は、検出油路93を有する。検出油路93は、吐出油路92とセンサ収容凹部37とを繋ぐ油路である。図1では、検出油路93は、吐出油路92から上方斜め径方向外側に向かって延びている。
【0019】

センサマグネット140は、中心を中心軸Jが通る円環状である。センサマグネット140は、シャフト21の上端に嵌合されて固定された取付部材141を介して、シャフト21に取り付けられている。センサマグネット140は、シャフト21の回転と共に回転する。
【0020】

バスバーユニット100は、モータ部20の上側に配置されている。バスバーユニット100は、ステータ22と電気的に接続された複数の第1バスバー105と、回路基板110と電気的に接続された複数の第2バスバー106と、各バスバーを保持する筒状のバスバーホルダ101と、を有する。バスバーホルダ101は、径方向に拡がる底部102と、底部102の径方向外縁から上側に延びる筒部103と、筒部103から径方向外側に突出する筒状のコネクタ部104と、を有する。底部102の中央には、シャフト21の上端部を支持するベアリングが保持されている。コネクタ部104には、図示しない外部装置が接続される。コネクタ部104に接続される外部装置は、例えば、制御部および電源を含み、モータ部20を制御するための装置である。
【0021】

第1バスバー105および第2バスバー106は、一部がバスバーホルダ101に埋め込まれて保持されている。図4に示すように、第1バスバー105の一端は、筒部103の内周面から径方向内側に突出している。第1バスバー105の一端は、図示しない配線部材を介して、コイル25と電気的に接続されている。図1に示すように、第1バスバー105の他端は、コネクタ部104の内部に突出している。
【0022】

図4に示すように、第2バスバー106は、コネクタ部104が延びる方向に沿って延びている。第2バスバー106の一端は、回路基板110の上面110aと接続されている。第2バスバー106の他端は、コネクタ部104の内部に突出している。なお、図4においては、モータカバー13の図示を省略している。
【0023】

図1に示すように、回路基板110は、径方向に拡がる板状である。回路基板110は、モータ部20の上側に位置する。回路基板110は、バスバーホルダ101の径方向内側においてバスバーホルダ101に保持されている。すなわち、電動ポンプ10は、回路基板110を保持する保持部材としてバスバーホルダ101を備える。回路基板110は、底部102から上側に突出した突起に下側から支持されてバスバーホルダ101に保持されている。
【0024】

回転センサ130は、回路基板110と電気的に接続されている。回転センサ130は、回路基板110の下面に取り付けられている。回転センサ130は、センサマグネット140と隙間を介して軸方向に対向している。本実施形態において回転センサ130は、センサマグネット140から放出される磁束の変化を検出することで、モータ部20の回転を計測する。回転センサ130は、例えば、ホール素子であり、周方向に沿って3つ設けられている。
【0025】

図4に示すように、電動ポンプ10は、第2バスバー106として、回転センサ130に電源を供給する電源用端子111と、回転センサ130の接地をとる接地用端子112と、を備える。電源用端子111および接地用端子112は、回路基板110と電気的に接続されている。電源用端子111および接地用端子112は、コネクタ部104に接続される外部装置と電気的に接続される。電動ポンプ10は、電源用端子111および接地用端子112の他に、第2バスバー106として、回転センサ130が検出した信号を外部装置に伝達する出力用端子を備える。電源用端子111、接地用端子112および出力用端子は、回路基板110に設けられた図示しないプリント配線を介して、回転センサ130と電気的に接続されている。
【0026】

コネクタ部104に外部装置が接続されると、コネクタ部104の内部に突出する第1バスバー105および第2バスバー106が外部装置と電気的に接続される。コイル25には、第1バスバー105を介して、外部装置から電源が供給される。回転センサ130には、第2バスバー106のうち電源用端子111を介して、外部装置から電源が供給される。回転センサ130によって検出された信号は、第2バスバー106のうちの出力用端子を介して、外部装置に伝達される。外部装置の制御部は、回転センサ130からの信号に応じて第1バスバー105を介してコイル25に供給される電流を制御する。これにより、モータ部20の駆動が制御され、ポンプ部30の駆動が制御される。このように、本実施形態においては、外部装置がコネクタ部104に接続されることによって、外部装置を介して、回路基板110は、モータ部20と電気的に接続される。
【0027】

なお、例えば、外部装置の制御部が、回路基板110に取り付けられていてもよい。この場合、第1バスバー105は、回路基板110に接続され、回路基板110を介して、コイル25に電源を供給してもよい。この構成では、外部装置がコネクタ部104に接続されていない状態であっても、回路基板110は、モータ部20と電気的に接続されている。
【0028】

図1から図3に示す圧力センサ装置50は、ポンプ部30によって加圧される流体、すなわち本実施形態ではオイルの圧力を計測する。圧力センサ装置50は、電動ポンプ10内に配置されている。圧力センサ装置50は、圧力センサ装置本体54と、電気接続ケーブル60と、を有する。圧力センサ装置本体54は、軸方向の寸法が比較的小さい扁平状である。図3に示すように、平面視において圧力センサ装置本体54の概略形状は、頂点が径方向外側を向き、開き角が鈍角のV字形状である。図1に示すように、圧力センサ装置本体54は、軸方向でポンプ部30とモータ部20との間に配置されている。より詳細には、圧力センサ装置本体54は、センサ収容凹部37内にネジで固定されている。
【0029】

電気接続ケーブル60は、圧力センサ装置本体54から上側に延びて回路基板110に接続されている。電気接続ケーブル60は、圧力センサ装置本体54と回路基板110とを電気的に接続している。電気接続ケーブル60は、圧力センサ装置本体54から回路基板110まで、電動ポンプケース11の径方向内側を通って引き回されている。
【0030】

このように、電気接続ケーブル60が、電動ポンプ10内に配置された圧力センサ装置本体54から電動ポンプ10内を通って回路基板110に接続されているため、圧力センサ装置50と外部との電気的接続を、回路基板110を介して、モータ部20と外部との電気的接続と共有化できる。これにより、電動ポンプ10内において、圧力センサ装置50およびモータ部20における配線の取り回しを簡素化でき、電動ポンプ10の組み立て作業が煩雑化することを抑制できる。また、外部との接続箇所を、モータ部20を制御するための外部装置が接続されるコネクタ部104のみとできるため、電動ポンプ10が大型化することを抑制できる。したがって、本実施形態によれば、組み立て作業が煩雑化することを抑制できるとともに、大型化することを抑制できる構造を有する電動ポンプ10が得られる。
【0031】

また、本実施形態によれば、圧力センサ装置本体54は、センサ収容凹部37に収容されているため、電動ポンプ10が軸方向に大型化することを抑制できる。また、センサ収容凹部37に接続された検出油路93を介して、吐出油路92内のオイルがセンサ収容凹部37内に流入することで、ポンプ部30によって加圧されたオイルの圧力を、圧力センサ装置本体54で計測できる。
【0032】

図3に示すように、電気接続ケーブル60は、圧力センサ装置本体54から回路基板110までの間において、周方向に隣り合うティース部26b同士の間を通って引き回されている。このように、ステータ22の隙間を利用して電気接続ケーブル60を取り回すことができるため、電気接続ケーブル60を取り回すための通路を別途作る必要がなく、電動ポンプ10の構成を簡単にできる。
【0033】

より詳細には、電気接続ケーブル60は、周方向に隣り合うコイル25同士の間を通って引き回されている。電気接続ケーブル60は、第1リード線61と、第2リード線62と、第3リード線63と、を有する。第1リード線61と第2リード線62と第3リード線63とは、被覆用のチューブ内に束ねられている。各リード線は、圧力センサ装置本体54に電源を供給する電源用リード線と、圧力センサ装置本体54の接地をとる接地用リード線と、圧力センサ装置本体54が計測した圧力の値を電気信号として出力する出力用リード線と、のうちのいずれかである。本実施形態では、一例として、第1リード線61が電源用リード線であり、第2リード線62が接地用リード線であり、第3リード線63が出力用リード線である。
【0034】

図4に示すように、第1リード線61は第1接続端子161を介して回路基板110の上面110aに接続されている。第2リード線62は第2接続端子162を介して回路基板110の上面110aに接続されている。第3リード線63は第3接続端子163を介して回路基板110の上面110aに接続されている。
【0035】

第1接続端子161は、回路基板110の上面110aに設けられたプリント配線170によって電源用端子111と接続されている。これにより、電源用リード線である第1リード線61は、電源用端子111と電気的に接続されている。第2接続端子162は、回路基板110の上面110aに設けられたプリント配線170によって接地用端子112と接続されている。これにより、接地用リード線である第2リード線62は、接地用端子112と電気的に接続されている。そのため、回転センサ130の電源用端子111および接地用端子112を、圧力センサ装置50の電源用端子および接地用端子として共用化して用いることができる。これにより、圧力センサ装置50用の電源用端子および接地用端子を設ける必要がなく、回路基板110に接続される端子の数を少なくできる。
【0036】

図2に示すように、電動ポンプ10は、電気接続ケーブル60をバスバーホルダ101に固定する第1固定部120と、電気接続ケーブル60をポンプボディ31に固定する第2固定部39と、を備える。そのため、電気接続ケーブル60を軸方向に沿って弛みなく真っ直ぐに張りやすく、電気接続ケーブル60が電動ポンプ10内で動くことを抑制できる。これにより、本実施形態のように電気接続ケーブル60をティース部26b同士の間に配置する場合に、電気接続ケーブル60がロータ23に接触することを抑制できる。
【0037】

本実施形態において第1固定部120は、バスバーホルダ101に固定された金具である。第1固定部120は、第1把持部121と、第1取付部122と、を有する。図4に示すように、第1把持部121は、平面視において略U字状で電気接続ケーブル60の上端部を把持する部分である。図1に示すように、第1取付部122は、底部102に固定される部分である。第1取付部122は、底部102を軸方向に貫通する孔に底部102の上側から挿入されている。第1取付部122の下端部は、底部102の下側に露出しており、第1取付部122が通される孔の軸周りにねじられている。これにより、第1取付部122は、底部102に固定されている。
【0038】

図2に示すように、本実施形態において第2固定部39は、ポンプボディ31に固定された金具である。第2固定部39は、第2把持部39aと、第2取付部39bと、を有する。図3に示すように、第2把持部39aは、平面視において略U字状で電気接続ケーブル60の下端部を把持する部分である。図2に示すように、第2取付部39bは、ネジ70によって、ポンプボディ31に固定されている。より詳細には、第2取付部39bは、センサ収容凹部37の底面に締め込まれたネジ70によって、センサ収容凹部37の底面に固定されている。
【0039】

圧力センサ装置本体54には、電源用端子111、プリント配線170、第1接続端子161および第1リード線61を介して、コネクタ部104に接続される外部装置から、電源が供給される。圧力センサ装置本体54が計測した圧力の値の電気信号は、第3リード線63、第3接続端子163、図示しないプリント配線、および回転センサ130の出力用端子を介して、コネクタ部104に接続される外部装置に出力される。外部装置の制御部は、入力された圧力値に応じて、モータ部20に供給する電流の量を調整し、ポンプ部30によって送られるオイルの量を制御する。これにより、ポンプ部30によって加圧されるオイルの圧力を調整できる。
【0040】
なお、電気接続ケーブル60は、電動ポンプケース11の径方向内側を通って引き回されているならば、引き回され方は特に限定されない。例えば、コアバック部26aを軸方向に貫通する貫通孔、あるいはコアバック部26aの外周面から径方向内側に窪みコアバック部26aの軸方向両端に開口する溝が設けられ、電気接続ケーブル60は、その貫通孔あるいは溝を通って引き回されてもよい。また、例えば、ハウジング12の側壁部の一部が径方向外側に突出して設けられ、電気接続ケーブル60は、ハウジング12の側壁部における突出した部分とコアバック部26aとの径方向の間を通って引き回されてもよい。
【0041】

また、圧力センサ装置本体54は、軸方向でポンプ部30とモータ部20との間に配置されているならば、センサ収容凹部37内以外の箇所に設けられてもよい。例えば、圧力センサ装置本体54は、モータ部20に固定されていてもよい。また、圧力センサ装置本体54の形状等の構成は、特に限定されない。
【0042】

また、上記説明において第1固定部120は、バスバーホルダ101と別部材としたが、これに限られない。バスバーホルダ101と第1固定部120とは、単一の部材の部分として設けられてもよい。また、上記説明において第2固定部39は、ポンプボディ31と別部材としたが、これに限られない。ポンプボディ31と第2固定部39とは、単一の部材の部分として設けられてもよい。
【0043】

なお、本発明が適用される電動ポンプは、オイル以外の流体を加圧して送る電動ポンプであってもよい。
【0044】
また、上記の各構成は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0045】

10…電動ポンプ、11…電動ポンプケース、20…モータ部、21…シャフト、22…ステータ、25…コイル、26a…コアバック部、26b…ティース部、30…ポンプ部、31…ポンプボディ、31a…貫通孔、32…ポンプギア、35…ポンプ室、37…センサ収容凹部、39…第2固定部、50…圧力センサ装置、54…圧力センサ装置本体、60…電気接続ケーブル、91…導入油路、92…吐出油路、93…検出油路、110…回路基板、111…電源用端子、112…接地用端子、120…第1固定部、130…回転センサ、J…中心軸
図1
図2
図3
図4