特許第6919692号(P6919692)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6919692
(24)【登録日】2021年7月28日
(45)【発行日】2021年8月18日
(54)【発明の名称】受信装置および制御方法
(51)【国際特許分類】
   H03G 3/04 20060101AFI20210805BHJP
   H04R 3/00 20060101ALI20210805BHJP
   H04B 1/16 20060101ALI20210805BHJP
【FI】
   H03G3/04
   H04R3/00 310
   H04B1/16 C
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2019-179148(P2019-179148)
(22)【出願日】2019年9月30日
(62)【分割の表示】特願2015-238210(P2015-238210)の分割
【原出願日】2015年12月7日
(65)【公開番号】特開2020-14241(P2020-14241A)
(43)【公開日】2020年1月23日
【審査請求日】2019年9月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(72)【発明者】
【氏名】立儀 一臣
(72)【発明者】
【氏名】黒岩 寛治
(72)【発明者】
【氏名】中村 弘
【審査官】 工藤 一光
(56)【参考文献】
【文献】 特開平9−261336(JP,A)
【文献】 特開2012−182639(JP,A)
【文献】 特開平9−130173(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F3/16
H03G3/00−3/34
H04B1/16
H04M1/02
H04R3/00−3/14
H04S7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声信号に応じた音声を出力する音声出力部と、
ユーザ操作に応じて音声の音量を示す操作値を出力する音量操作部と、
前記音量を前記操作値に応じて変化可能な非ロック状態と、前記操作値を一定のロック値に固定したロック状態とを切り替え、非ロック状態からロック状態に変更された場合に前記音量操作部の操作値をロック値として登録するロック管理部と、
ユーザ操作に応じて前記ロック管理部におけるロック状態と非ロック状態の切り替えの指示を行う操作部と、
非ロック状態において、前記操作値に応じた音量の音声を前記音声出力部から出力させ、ロック状態において、前記ロック値が示す音量の音声を前記音声出力部から出力させる音量制御部と、
を備え、
前記ロック管理部は、
前記操作部によりロック状態から非ロック状態とされた際に、前記音量操作部が出力した操作値を取得し、取得した操作値が前記ロック値から予め定められた範囲外の場合はロック状態を維持し、取得した操作値が前記ロック値から予め定められた範囲内の場合は非ロック状態に変更することを特徴とする受信装置。
【請求項2】
前記ロック管理部は、
前記操作部によりロック状態から非ロック状態とされた際に、前記音量操作部が出力した操作値を取得し、取得した操作値が前記ロック値から予め定められた範囲外の場合はロック状態を維持し、さらに、音量操作部の操作により操作値がロック値から予め定められた範囲の値とならなければ、ロック状態が維持されることを特徴とする請求項1に記載の受信装置。
【請求項3】
前記音声信号が変調された受信信号を受信し、前記受信信号を復調して前記音声信号を生成する受信部と、
前記受信信号が所定のレベル以下の場合、もしくは前記受信信号に所定の制御信号が含まれない場合、前記音声出力部による音声の出力を停止させるスケルチ処理部をさらに備え、
前記操作部は、前記スケルチ処理部の機能をオフするためのモニターキーであり、
前記スケルチ処理部は、前記モニターキーがオンとなった場合、前記受信信号の有無、もしくは前記制御信号が含まれているか否かに関わらず、前記音声出力部により音声を出力させる、
請求項1または2に記載の受信装置。
【請求項4】
音声信号に応じた音声を出力する音声出力部と、
ユーザ操作に応じて、前記音声の音量を示す操作値を出力する音量操作部と、
ユーザ操作に応じて、前記操作値に応じた音量で前記音声出力部から音声を出力させる非ロック状態と、前記操作値を一定のロック値に固定した音量で前記音声出力部から音声を出力させるロック状態とを切り替えるロック管理部と、
ユーザ操作に応じて前記ロック管理部におけるロック状態と非ロック状態の切り替えの指示を行う操作部と、
を備える受信装置の制御方法であって、
前記ロック管理部が、前記操作部の操作により非ロック状態からロック状態に変更された場合に前記音量操作部の操作値をロック値として登録するステップと、
前記操作部の操作によりロック状態とされ、その後、前記操作部の操作により非ロック状態とされた際に、前記操作値を取得するステップと、
取得した操作値が前記ロック値から予め定められた範囲内であるかを確認するステップと、
を含み、
取得した操作値が前記ロック値から予め定められた範囲内である場合にロック状態を維持し、取得した操作値が前記ロック値から予め定められた範囲外である場合には非ロック状態に変更する、
制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受信装置および制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯型の無線機は、一般に、音声の音量を固定する音量ロック機能を有する。これによ
り、無線機は、誤ってボリュームキーを操作してしまった場合であっても、意図しない大
きな音量の音声が突然出力されてしまうことを回避することができる。
【0003】
特許文献1には、誤って動かされたボリュームキーを任意の時点の位置に自動復帰させ
る装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平09−130173号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来の無線機では、音量をロックした後に音量を再設定する場合、ロック状
態を一旦解除してからボリュームキーを操作し、その後、ロック状態に設定しなければな
らなかった。従って、従来の無線機では、ロックする音量を再設定するための操作が煩雑
であった。また、従来の無線機では、ロック状態において誤ってボリュームキーが操作さ
れた場合、ロック状態を解除した途端に意図しない音量の音声が出力される。このため、
従来の無線機では、音量をロックした後に音量を再設定する場合、ロック状態の解除直後
に意図しない大きな音量の音声が出力されてしまう可能性があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ロック状態において誤ってボリュームキーが操作された場合、ロック状態を解除した途端に意図しない音量の音声が出力されることを防止する受信装置および制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る受信装置は、音声信号に応じた音声を出力する音声出力部と、ユーザ操作に応じて音声の音量を示す操作値を出力する音量操作部と、音声の音量を前記操作値に応じて変化可能な非ロック状態と、前記操作値を一定のロック値に固定したロック状態とを切り替えるロック管理部と、ユーザ操作に応じて前記ロック管理部におけるロック状態と非ロック状態の切り替えの指示を行う操作部と、前記操作部の操作により非ロック状態とされ、その後、前記操作部の操作によりロック状態とされるまでの期間において、前記操作値が前記ロック値の所定の範囲内の場合には、前記操作値に応じた音量の音声を前記音声出力部から出力させ、前記操作値が前記ロック値の所定の範囲外の場合には、前記ロック値が示す音量の音声を前記音声出力部から出力させる音量制御部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、音声の音量を一定に固定するロック状態において、誤ってボリュームキーが操作された場合、ロック状態を解除した途端に意図しない音量の音声が出力されることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態に係る無線機のハードウェア構成を示す図である。
図2図2は、実施形態に係る無線機の音声出力のための機能構成を示す図である。
図3図3は、非ロック状態とロック状態とを切り替える処理を示すフローチャートである。
図4図4は、音量操作部が操作された場合の処理を示すフローチャートである。
図5図5は、ロック値を変更する場合の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、実施形態に係る無線機10のハードウェア構成を示す図である。無線機10は
、音声信号を無線送信する送信装置および音声信号を無線受信する受信装置の機能を有す
る。
【0011】
無線機10は、アンテナ20と、送受信回路22と、マイクロホン24と、スピーカ2
6と、信号処理回路28と、主制御回路30と、不揮発性メモリ32と、ディスプレイ3
4と、ボリュームキー36と、PTT(Push To Talk)スイッチ38と、モニターキー
40と、操作キー群42とを備える。
【0012】
アンテナ20は、電磁波を空中に放射し、また、空中の電磁波を取得する。送受信回路
22は、送信時において、信号処理回路28から変調信号を取得し、取得した変調信号を
搬送波に変調して被変調信号つまり送信信号を生成する。そして、送受信回路22は、送
信時において、送信信号をアンテナ20を介して他の装置(他の無線機10)または基地
局等へ送信する。また、送受信回路22は、受信時において、アンテナ20を介して被変
調信号を他の装置または基地局等から受信し、受信した被変調信号つまり受信信号を復調
して復調信号を生成する。そして、送受信回路22は、受信時において、復調信号を信号
処理回路28へ与える。
【0013】
マイクロホン24は、周囲の音を集音して電気信号に変換して音声信号を出力する。ス
ピーカ26は、音声信号を振動に変換して外部に音を放音する。
【0014】
信号処理回路28は、送信時において、マイクロホン24により出力された音声信号に
帯域制限等の所定の処理を行い変調信号を生成し、生成した変調信号を送受信回路22に
与える。信号処理回路28は、受信時において、送受信回路22により出力された復調信
号に帯域制限等の処理を行い音声信号を抽出し、抽出した音声信号をスピーカ26に与え
る。なお、信号処理回路28は、AD/DA変換回路を有してデジタルで信号処理を実行
してもよいし、アナログで信号処理を実行してもよい。
【0015】
主制御回路30は、無線機10の全体を制御する。主制御回路30は、例えば、CPU
(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random
Access Memory)等を有する。主制御回路30は、予め組み込まれたプログラムを実行
して、信号処理回路28等の各部を制御する。不揮発性メモリ32は、例えばフラッシュ
メモリ等であり、主制御回路30により実行されるプログラムおよび送受信のために用い
られる各種の設定値を記憶する。
【0016】
ディスプレイ34は、筐体の主面等に設けられ、ユーザに対して情報を表示する。主制
御回路30は、ディスプレイ34を制御して各種の情報をディスプレイ34に表示させる
【0017】
ボリュームキー36は、受信時において出力する音声の音量をユーザが操作するための
装置である。ボリュームキー36は、筐体に設けられた機械式の操作装置である。ボリュ
ームキー36は、例えば、回転式の可変抵抗器であり、回転軸の位置が音量を表す。主制
御回路30は、ボリュームキー36に電圧を印加し、回転位置に応じた電圧値をAD変換
することにより検出する。そして、主制御回路30は、検出した電圧値を、ボリュームキ
ー36の回転位置に応じた操作値として取得する。
【0018】
PTTスイッチ38は、送信と受信とを切り替えるためのスイッチである。PTTスイ
ッチ38は、例えばユーザが押している場合にオン、ユーザが押していない場合にはオフ
となるモーメンタリ動作をするスイッチである。主制御回路30は、PTTスイッチ38
がオンの場合に送信処理を実行させ、PTTスイッチがオフの場合に受信処理を実行させ
る。
【0019】
モニターキー40は、後述するスケルチ機能を解除するためのスイッチである。モニタ
ーキー40は、例えばユーザが押している場合にオン、ユーザが押していない場合にはオ
フとなるモーメンタリ動作をするスイッチである。スケルチ機能とは、受信時において、
有効な受信信号が含まれない場合音声信号の出力を停止させ、有効な受信信号が含まれる
場合に音声を出力させる機能である。モニターキー40は、受信時において有効な受信信
号が含まれない場合であっても、オンにすることにより音声信号をスピーカ26から出力
することができる。
【0020】
操作キー群42は、無線機10を操作するための複数のキーである。操作キー群42は
、例えば、電源ボタン、チャネル選択スイッチおよび状態切替スイッチ等を含む。主制御
回路30は、操作キー群42に対してされた操作を検出して無線機10を制御する。
【0021】
図2は、実施形態に係る無線機10の音声出力のための機能構成を示す図である。無線
機10は、音声出力部62と、スケルチ処理部66と、音量操作部72と、ロック管理部
74と、音量制御部76とを備える。
【0022】
音声出力部62は、送受信回路22により出力された復調信号を受け取る。音声出力部
62は、復調信号から音声信号を抽出し、抽出した音声信号をスピーカ26に与える。音
声出力部62は、信号処理回路28により実現される。
【0023】
スケルチ処理部66は、スケルチ機能を実行する。スケルチ機能は大きく分けて2つの
方法がある。第1の方法はノイズスケルチと称される方法であり、復調帯域外のノイズを
検出し、ノイズが所定のレベル以上の場合には復調信号の出力を停止する。第1の方法で
は、所定の受信信号強度以上の場合には復調帯域外のノイズも抑圧されるため、ノイズの
検出レベルが下がったことを検出して復調信号を出力を許可する。第2の方法は、トーン
スケルチやコードスケルチと称される方法であり、変調信号に所定のトーン信号やデジタ
ルコード信号といった制御信号による変調がなされ、それらの制御信号を検出した場合に
復調信号の出力を許可する。第2の方法は、受信信号から所定のトーンやコードといった
制御信号が検出できない場合は、復調信号を出力を停止する。
【0024】
すなわち、スケルチ処理部66は、受信信号が所定のレベル以下の場合、もしくは受信
信号にスケルチを解除する制御信号が含まれない場合、音声出力部62による音声の出力
を停止させる。スケルチ処理部66は、受信信号にスケルチを解除する制御信号が含まれ
るか否かをどのような方法で検出してもよい。このようにスケルチ処理部66は、無信号
時のホワイトノイズや不要な信号の復調音声の出力を抑えることができる。
【0025】
また、スケルチ処理部66は、ユーザの操作に応じて、スケルチ機能を解除する。すな
わち、スケルチ処理部66は、ユーザの操作に応じて、受信信号の有無、もしくは制御信
号が含まれているか否かに関わらず、音声出力部62により音声を出力させる。例えば、
スケルチ処理部66は、モニターキー40がオンの場合に、スケルチ機能を解除する。従
って、無線機10は、モニターキー40がオンの場合には、受信信号が存在しない場合で
あっても、ホワイトノイズ等の音声を出力して音量の調整をさせることができる。スケル
チ処理部66は、信号処理回路28および主制御回路30により実現される。
【0026】
音量操作部72は、ユーザ操作に応じて、音声の音量を示す操作値を出力する。例えば
、音量操作部72は、ボリュームキー36と主制御回路30とにより実現される。ボリュ
ームキー36が例えば回転式の3端子型の可変抵抗器である場合、ボリュームキー36に
おける抵抗の両端に所定電圧が印加される。主制御回路30は、ボリュームキー36にお
ける移動端子の電圧をアナログデジタル変換により検出し、検出した電圧に基づきボリュ
ームキー36の回転位置に応じた値を検出する。そして、主制御回路30は、検出した回
転位置に応じた値を、操作値として出力する。
【0027】
ロック管理部74は、ユーザの操作に応じて、非ロック状態とロック状態とを切り替え
る。非ロック状態は、音声の音量を音量制御部76が出力した操作値に応じて変化可能な
状態である。ロック状態は、音声の音量を一定に固定した状態である。例えば、ロック管
理部74は、操作キー群42に対する操作に応じて、非ロック状態からロック状態へ、ま
たは、ロック状態から非ロック状態へ切り替える。
【0028】
音量制御部76は、音声出力部62から出力する音声の音量を制御する。具体的には、
音量制御部76は、非ロック状態において、音量操作部72が出力した操作値に応じた音
量の音声を音声出力部62から出力させる。すなわち、音量制御部76は、非ロック状態
において、音量操作部72の操作値に応じて、音声の音量を変化させる。また、音量制御
部76は、ロック状態において、ロック管理部74が登録したロック値が示す音量の音声
を音声出力部62から出力させる。すなわち、音量制御部76は、ロック状態において、
音量操作部72が出力する操作値に関わらず、音声の音量を固定する。
【0029】
ここで、ロック管理部74は、ロック状態において出力すべき音声の音量を示すロック
値を登録する。具体的には、ロック管理部74は、ユーザの操作に応じて非ロック状態か
らロック状態に変更された場合、変更操作時における、音量操作部72の操作値をロック
値として登録する。
【0030】
ロック管理部74は、音量操作部72が出力するどのような操作値も、ロック値として
登録することができる。例えば、ロック管理部74は、無音を表す操作値から最大音量を
表す操作値まで、何れの操作値もロック値として登録することができる。従って、音量制
御部76は、ロック状態において、音声を無音で固定させることもできるし、音声を最大
音量で固定させることもできる。
【0031】
また、ロック管理部74は、ロック状態においてユーザにより予め定められた手順で操
作がされた場合、登録しているロック値を更新する。具体的には、次のような手順でロッ
ク値を更新する。
【0032】
まず、ロック状態において所定の操作部がオンとなった場合、ロック管理部74は、所
定の操作部がオンとなってから、音量操作部72が出力する操作値がロック値から予め定
められた範囲の値となるまでの期間、ロック状態を維持する。この場合、ロック管理部7
4は、所定の操作部がオンとなってから操作値がロック値から予め定められた範囲の値と
なるまでの期間、ロック中であることを知らせる情報をディスプレイ34に表示させても
よい。
【0033】
続いて、ロック管理部74は、操作値がロック値から予め定められた範囲の値となって
から、所定の操作部がオフとなるまでの期間において、非ロック状態に変更する。なお、
ロック状態において所定の操作部がオンとなった時点で、操作値がロック値から予め定め
られた範囲の値となっている場合には、所定の操作部がオンとなった時点で、ロック状態
から非ロック状態に変更する。
【0034】
続いて、非ロック状態に変更した後に所定の操作部がオフとなった場合、ロック管理部
74は、所定の操作部がオフとなった時点における音量操作部72が出力する操作値をロ
ック値として更新して、ロック状態に変更する。これにより、ロック管理部74は、ロッ
ク値を更新することができる。
【0035】
なお、所定の操作部は、本例においては、モニターキー40である。従って、ロック管
理部74は、モニターキー40がオンとなり、受信信号に有効な音声信号が含まれている
か否かに関わらず、音声出力部62が音声を出力させている状態において、ロック値を変
更する。これにより、受信信号が存在する場合にはその有効な音声が出力され、受信信号
がない場合であってもホワイトノイズを出力されるので、ロック管理部74は、ユーザに
音声の音量を確認させながら固定したい音量を再設定させることができる。
【0036】
図3は、非ロック状態とロック状態とを切り替える処理を示すフローチャートである。
ロック管理部74は、非ロック状態とロック状態とを切り替える場合、図3に示すフロー
チャートに従った処理を実行する。
【0037】
まず、ステップS111において、ロック管理部74は、ユーザにより操作キー群42
が操作されて、音量ロックの設定を変更するためのユーザインターフェイスである音量ロ
ックメニューが操作されたか否かを判断する。ロック管理部74は、音量ロックメニュー
が操作されていない場合には(S111のNo)、処理をステップS111で待機し、音
量ロックメニューが操作された場合には(S111のYes)、処理をステップS112
に進める。
【0038】
ステップS112において、ロック管理部74は、操作内容を判断する。ロック管理部
74は、ステップS112でロック状態から非ロック状態への変更操作がされたと判断し
た場合には、処理をステップS113に進める。ステップS113において、ロック管理
部74は、ロック状態から非ロック状態に変更する。例えば、ロック管理部74は、ロッ
ク状態か否かを表す所定のフラグを1から0に変更する。ロック管理部74は、ステップ
S113を終えると、本フローを終了する。
【0039】
また、ロック管理部74は、ステップS112で非ロック状態からロック状態への変更
操作がされたと判断した場合には、処理をステップS114に進める。ステップS114
において、ロック管理部74は、音量操作部72が出力する操作値を取得し、取得した操
作値をロック値として登録する。例えば、ロック管理部74は、所定の記憶領域に操作値
を記憶させる。続いて、ステップS115において、ロック管理部74は、非ロック状態
からロック状態に変更する。例えば、ロック管理部74は、ロック状態か否かを表す所定
のフラグを0から1に変更する。ロック管理部74は、ステップS115を終えると、本
フローを終了する。
【0040】
以上のように、ロック管理部74は、ユーザの操作に応じて、非ロック状態とロック状
態とを切り替えることができる。さらに、ロック管理部74は、ユーザの操作に応じて非
ロック状態からロック状態に変更された場合、変更操作時における、音量操作部72の操
作値をロック値として登録することができる。
【0041】
図4は、音量操作部72が操作された場合の処理を示すフローチャートである。音量制
御部76は、音量操作部72が操作された場合、図4に示すフローチャートに従った処理
を実行する。
【0042】
まず、ステップS121において、音量制御部76は、音量操作部72が操作されたこ
とにより、音量操作部72から出力される操作値が変更したか否かを判断する。音量制御
部76は、操作値が変更していない場合には(S121のNo)、処理をステップS12
1で待機し、操作値が変更した場合には(S121のYes)、処理をステップS122
に進める。
【0043】
ステップS122において、音量制御部76は、ロック状態か否かを判断する。例えば
、音量制御部76は、ロック状態か否かを表す所定のフラグが1であるか否かを判断する
【0044】
音量制御部76は、ロック状態ではない場合(S122のNo)、つまり、非ロック状
態である場合、処理をステップS123に進める。ステップS123において、音量制御
部76は、音量操作部72が出力した操作値に応じた音量の音声を音声出力部62から出
力させる。例えば、音量制御部76は、操作値を音声出力部62に設定して、音声出力部
62の音量の増幅率を変更させる。音量制御部76は、ステップS123を終えると、本
フローを終了する。
【0045】
音量制御部76は、ロック状態である場合(S122のYes)、処理をステップS1
24に進める。ステップS124において、音量制御部76は、ロック管理部74により
登録されたロック値に応じた音量の音声を音声出力部62から出力させる。例えば、音量
制御部76は、所定の記憶領域からロック値を読み出し、読み出したロック値を音声出力
部62に設定して、音声出力部62の音量の増幅率を設定させる。音量制御部76は、ス
テップS124を終えると、本フローを終了する。
【0046】
以上のように、音量制御部76は、非ロック状態において、音量操作部72が出力した
操作値に応じた音量の音声を音声出力部62から出力させることができる。すなわち、音
量制御部76は、非ロック状態において、ユーザによる音量操作部72の操作に応じて、
出力される音声の音量を変更することができる。
【0047】
音量制御部76は、ロック状態において、登録したロック値が示す音量の音声を音声出
力部62から出力させることができる。すなわち、音量制御部76は、ロック状態におい
て、ユーザが音量操作部72を操作した場合であっても、出力される音声を、登録したロ
ック値に応じた音量に固定することができる。
【0048】
図5は、ロック値を変更する場合の処理を示すフローチャートである。スケルチ処理部
66およびロック管理部74は、ロック状態において、既に登録されているロック値を変
更する場合、図5に示すフローチャートに従った処理を実行する。
【0049】
まず、ステップS131において、スケルチ処理部66およびロック管理部74は、モ
ニターキー40がオンされたか否かを判断する。スケルチ処理部66およびロック管理部
74は、モニターキー40がオンされていない場合には(S131のNo)、処理をステ
ップS131で待機し、モニターキー40がオンされた場合には(S131のYes)、
処理をステップS132に進める。
【0050】
ステップS132において、スケルチ処理部66は、スケルチ機能を解除する。これに
より、音声出力部62は、受信信号に有効な音声信号が含まれているか否かに関わらず、
音声を出力することができる。従って、ユーザは、後において、ホワイトノイズ等の音量
を確認しながらロック値を変更することができる。なお、ステップS132の時点では、
ロック状態であるので、音声出力部62は、ロック管理部74により登録されたロック値
に応じた音量の音声を出力する。
【0051】
続いて、ステップS133において、ロック管理部74は、音量操作部72が出力した
操作値を取得する。続いて、ステップS134において、ロック管理部74は、取得した
操作値が、登録されたロック値から予め定められた範囲内の値か否かを判断する。ロック
値から予め定められた範囲は、例えば、ロック値から所定の第1値を減じた値から、ロッ
ク値から所定の第2値を加算した値までの範囲である。より具体的には、ロック値から予
め定められた範囲は、ロック値の95%の値から、ロック値の105%の値までの範囲等
である。また、ロック値から予め定められた範囲は、例えば、ロック値より小さい範囲で
あってもよい。
【0052】
ステップS134で操作値がロック値から予め定められた範囲内の値ではないと判断さ
れた場合(ステップS134のNo)、ロック管理部74は、処理をステップS135に
進める。ステップS135において、ロック管理部74は、ディスプレイ34にロック中
であることを知らせる情報を表示させる。続いて、ステップS136において、ロック管
理部74は、ロック状態を維持する。これにより、音量制御部76は、音声出力部62か
ら出力される音声の音量を、現在登録されているロック値に固定することができる。
【0053】
続いて、ステップS137において、スケルチ処理部66およびロック管理部74は、
モニターキー40がオフされたか否かを判断する。スケルチ処理部66およびロック管理
部74は、モニターキー40がオフされていない場合には(S137のNo)、すなわち
、モニターキー40がオンされたまま維持されている場合には、処理をステップS133
に戻して、処理をステップS133から繰り返す。
【0054】
ステップS133からステップS137を繰り返すことにより、ロック管理部74は、
モニターキー40がオンとなってから、音量操作部72が出力する操作値がロック値から
予め定められた範囲の値となるまでの期間、ロック状態を維持することができる。これに
より、ロック管理部74は、ユーザにより音量操作部72が操作された場合であっても、
操作値がロック値から予め定められた範囲の値とならなければ、ロック状態が維持される
ので、突然大音量が出力されるようなことを無くすことができる。さらに、ロック管理部
74は、モニターキー40がオンとなってから操作値がロック値から予め定められた範囲
の値となるまでの期間、ロック中であることを知らせる情報をディスプレイ34に表示さ
せることができる。これにより、ロック管理部74は、音量操作部72を操作しても音量
が変化しないことをユーザに知らせることができる。
【0055】
また、スケルチ処理部66は、ステップS137においてモニターキー40がオフされ
た場合には(S137のNo)、処理をステップS138に進める。ステップS138に
おいて、スケルチ処理部66は、スケルチ機能を復帰させる。これにより、ロック管理部
74は、ロック値を変更せずに、ロック値の変更処理を終了させることができる。スケル
チ処理部66およびロック管理部74は、ステップS138の処理を終えると、本フロー
を終了する。
【0056】
一方、ステップS134で操作値がロック値から予め定められた範囲内の値であると判
断された場合(ステップS134のYes)、ロック管理部74は、処理をステップS1
39に進める。ステップS139において、ロック管理部74は、ロック中であることを
知らせる情報をディスプレイ34に表示していた場合には、その情報の表示を消去させる
。続いて、ステップS140において、ロック管理部74は、非ロック状態に変更する。
【0057】
続いて、ステップS141において、音量制御部76は、音声出力部62から出力され
る音声の音量を、音量操作部72が出力した操作値に応じて変更する。続いて、ステップ
S142において、スケルチ処理部66およびロック管理部74は、モニターキー40が
オフされたか否かを判断する。スケルチ処理部66およびロック管理部74は、モニター
キー40がオフされていない場合には(S141のNo)、すなわち、モニターキー40
がオンされたまま維持されている場合には、処理をステップS141に戻して、ステップ
S141およびステップS142の処理を繰り返す。
【0058】
ステップS141からステップS142を実行することにより、ロック管理部74は、
操作値がロック値から予め定められた範囲の値となってから、モニターキー40がオフと
なるまでの期間、非ロック状態として、音声出力部62から出力される音声の音量を音量
操作部72が出力した操作値に応じて変更させ続けることができる。このように、ロック
管理部74は、操作値がロック値から予め定められた範囲の値となった後には、ユーザに
よる音量操作部72の操作に応じた音量の音声を出力させることができる。
【0059】
ロック管理部74は、モニターキー40がオフされた場合には(S141のYes)、
処理をステップS143に進める。ステップS143において、ロック管理部74は、音
量操作部72が出力する現在の操作値を、ロック値として登録する。続いて、ステップS
144において、ロック管理部74は、非ロック状態からロック状態に変更する。続いて
、ステップS145において、音量制御部76は、音声出力部62から出力される音声の
音量を、ロック値が示す音量に固定する。続いて、ステップS146において、ロック管
理部74は、ディスプレイ34にロック中であることを知らせる情報を表示させる。
【0060】
ステップS143からステップS146を実行することにより、非ロック状態に変更し
た後にモニターキー40がオフとなった場合、ロック管理部74は、モニターキー40が
オフとなった時点における音量操作部72が出力する操作値をロック値として更新して、
ロック状態に変更することができる。これにより、ロック管理部74は、ロック値を容易
に変更することができる。
【0061】
そして、ステップS147において、スケルチ処理部66は、スケルチ機能を復帰させ
る。スケルチ処理部66およびロック管理部74は、ステップS147の処理を終えると
、本フローを終了する。
【0062】
以上のように、本実施形態に係る無線機10は、ロック状態において所定の操作部がオ
ンとなった場合、所定の操作部がオンとなってから、音量操作部72が出力する操作値が
ロック値から予め定められた範囲の値となるまでの期間、ロック状態を維持する。これに
より、無線機10は、ユーザにより音量操作部72が操作された場合であっても、操作値
がロック値から予め定められた範囲の値とならなければ、ロック状態が維持して、突然大
音量が出力されるようなことを無くすことができる。
【0063】
さらに、本実施形態に係る無線機10は、操作値がロック値から予め定められた範囲の
値となってから、所定の操作部がオフとなるまでの期間、非ロック状態に変更する。これ
により、無線機10は、操作値がロック値から予め定められた範囲の値となった後に、音
量操作部72の操作に応じた音量の音声を出力させることができる。よって、無線機10
は、ユーザに対して、音量を確認しながら周囲環境の状況に応じた音量を再設定させるこ
とができる。
【0064】
そして、無線機10は、所定の操作部がオフとなった場合、その時点における操作値を
ロック値に更新して、非ロック状態からロック状態に変更する。これにより、無線機10
は、容易に、ロック値を変更させることができる。
【0065】
以上の実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図し
ていない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり
、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0066】
10 無線機
20 アンテナ
22 送受信回路
24 マイクロホン
26 スピーカ
28 信号処理回路
30 主制御回路
32 不揮発性メモリ
34 ディスプレイ
36 ボリュームキー
38 PTTスイッチ
40 モニターキー
42 操作キー群
62 音声出力部
66 スケルチ処理部
72 音量操作部
74 ロック管理部
76 音量制御部
図1
図2
図3
図4
図5