(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
基端側に内針ハブを有する内針が基端側に外針ハブを有する外針に対して引抜可能に挿通されていると共に、該外針から引き抜かれた該内針の針先を保護するプロテクタを備えた留置針組立体において、
前記プロテクタが、前記内針の針先側に向かって延びて側方に向けて付勢された弾性片を備えており、
該内針の針先側に向かって延びて先端部分が前記外針ハブの内面に係止されたヒンジ片を有する固定部材が、該プロテクタに対して軸方向で移動可能に組み付けられており、
該弾性片に設けられた規制部が該ヒンジ片に対して係合されることにより、該弾性片の側方への移動が規制されて、該弾性片により該ヒンジ片が該外針ハブの内面に対して固定保持されており、
該内針の該外針からの引き抜きにより、該プロテクタが該内針に係止されて該固定部材に対して相対移動することで該弾性片における該規制部の該ヒンジ片への係合が解除されて、該プロテクタの該弾性片が側方へ移動して該内針の針先が覆われると共に、該固定部材の該ヒンジ片における該外針ハブの径方向内側への移動が許容されて該固定部材の該外針ハブからの離脱が許容されるようになっていることを特徴とする留置針組立体。
前記固定部材の前記ヒンジ片には、針先側に延びる長さ方向の先端部分において前記外針ハブの内面に対する係止部が設けられていると共に、長さ方向の中間部分において周方向の端縁部から突出する係合用突部が形成されており、
該係合用突部に対して前記弾性片における前記規制部が係合されている請求項1〜3の何れか1項に記載の留置針組立体。
前記プロテクタの前記弾性片には、横方に突出する係合片が設けられて前記規制部が構成されており、該係合片が前記固定部材の前記ヒンジ片に対して係合されている請求項1〜4の何れか1項に記載の留置針組立体。
前記固定部材には、前記プロテクタへ装着された基端部分の両側縁部からそれぞれ前記内針の針先側に向かって延びる前記ヒンジ片が形成されていると共に、該ヒンジ片の基端側には相互の対向方向への屈曲を許容する可倒部が設けられている請求項1〜6の何れか1項に記載の留置針組立体。
基端側に内針ハブを有する内針が基端側に外針ハブを有する外針に対して引抜可能に挿通されていると共に、該外針から引き抜かれた該内針の針軸上に移動するプロテクタを備えた留置針組立体において、
外面に固定部を有する固定部材が外針ハブ内にて該プロテクタの外側に設けられていると共に、該プロテクタには外側に向かって横方に突出する係合片が設けられており、
該プロテクタの該係合片が該固定部材に対して当接されて該係合片の側方への移動が規制されることとなり、該固定部材の該外針ハブの径方向内側への移動が阻止されて該固定部材が該外針ハブ内で位置決めされており、
該内針の該外針からの引き抜きにより、該プロテクタが該内針に係止されて、内針及び該プロテクタが該固定部材に対して相対移動することで、該プロテクタが側方へ移動して該内針の針軸上に移動すると共に、該固定部材の該外針ハブの径方向内側への移動が許容されて該固定部材の該外針ハブからの離脱が許容されるようになっていることを特徴とする留置針組立体。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述の事情を背景に為されたものであって、その解決課題は、
内針の引抜き時における抵抗力の軽減などの外針ハブからの離脱作動の改善を図ることができる、新規な構造の留置針組立体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様は、基端側に内針ハブを有する内針が基端側に外針ハブを有する外針に対して引抜可能に挿通されていると共に、該外針から引き抜かれた該内針の針先を保護するプロテクタを備えた留置針組立体において、前記プロテクタが、前記内針の針先側に向かって延びて側方に向けて付勢された弾性片を備えており、該内針の針先側に向かって延びて先端部分が前記外針ハブの内面に係止されたヒンジ片を有する固定部材が、該プロテクタに対して軸方向で移動可能に組み付けられており、該弾性片に設けられた規制部が該ヒンジ片に対して係合されることにより、該弾性片の側方への移動が規制され
て、該弾性片により該ヒンジ片が該外針ハブの内面に対して固定保持されており、該内針の該外針からの引き抜きにより、該プロテクタが該内針に係止されて該固定部材に対して相対移動することで該弾性片における該規制部の該ヒンジ片への係合が解除されて、該プロテクタの該弾性片が側方へ移動して該内針の針先が覆われると共に、該固定部材の該ヒンジ片における該外針ハブの径方向内側への移動が許容されて該固定部材の該外針ハブからの離脱が許容されるようになっていることを特徴とするものである。
【0008】
本発明に従う構造とされた留置針組立体によれば、
プロテクタの外針ハブに対する位置決めが、外針ハブの内周面に対する固定部材のヒンジ片の係合によって実現されており、ヒンジ片はプロテクタの弾性片により外針ハブの内周面に付勢されている。内針が引き抜かれることにより、かかるヒンジ片が内方向に変位可能となる。それ故、内針引き抜き時において、大きな抵抗感を生じさせることなく、ヒンジ片と外針ハブ内面との係合解除が可能とされる。
【0009】
また、
内針の引抜操作でプロテクタが固定部材に対して軸方向に相対移動されることに伴い、プロテクタの弾性片の固定部材への作用が解除されることで、固定部材による外針ハブへの係止状態の解除に際してのプロテクタによる内針の針先保護が効率的に且つ確実に実現され得る。
【0010】
本発明の別の態様は、前記第1の態様に係る留置針組立体であって、前記ヒンジ片が前記外針ハブの内面に対して固定保持された状態において、前記弾性片が前記内針への非当接状態に保持されているものである。本態様に従う構造とされた留置針組立体によれば、プロテクタの弾性片が固定部材のヒンジ片への係合により内針への非当接状態に保持されていることから、外針から内針を引き抜く際にプロテクタの弾性片の内針への摺動が回避される。
【0011】
本発明の第2の態様は、前記第1の態様に係る留置針組立体であって、前記固定部材の前記ヒンジ片には、前記内針を挟んで設けられた前記弾性片側に向かって突出する係合用突部が形成されており、該内針の前記外針からの引き抜きにより、該弾性片における前記規制部が該係合用突部より基端側に移動することで、該弾性片が側方に移動して前記針先を覆うようになっているものである。
【0012】
本態様に従う構造とされた留置針組立体によれば、簡易な構成で、プロテクタの側方である内方向への移動を規制できる。その結果、不具合を生じ難くすることができる。
【0013】
本発明の第3の態様は、前記第1又は2の態様に係る留置針組立体であって、前記固定部材の前記ヒンジ片には、針先側に延びる長さ方向の先端部分において前記外針ハブの内面に対する係止部が設けられていると共に、長さ方向の中間部分において周方向の端縁部から突出する係合用突部が形成されており、該係合用突部に対して前記弾性片における前記規制部が係合されているものである。
【0014】
本態様の留置針組立体では、ヒンジ片の係合用突部に対して弾性片の規制部が係合した状態下では、例えば弾性片の弾性力を利用して、ヒンジ片の係止部を外針ハブの内面に対して係止状態に維持できる。また、内針の引抜きにより、弾性片の規制部をヒンジ片の係合用突部から離脱させることで、ヒンジ片に対する弾性力の作用を解除して、ヒンジ片の外針ハブに対する係止を解除することも可能になる。
【0015】
なお、本態様では、例えば針軸に直交する方向で対向するように相互に接近方向に付勢された一対の弾性片と、該一対の弾性片の外側をそれぞれ内針の針先側に向かって延びる一対のヒンジ片とを設けた態様を採用し、一対の弾性片に設けた各規制部における付勢力を一対のヒンジ片に対してそれぞれ及ぼすようにした態様を採用することができる。このような態様では、一対の弾性片から及ぼされる付勢力により一対のヒンジ片が、対向方向で離隔することで外針ハブの内周面へ係合されると共に、一対の弾性片の規制部が一対のヒンジ片の係合用突部から外れて当該一対のヒンジ片が対向方向で接近することで外針ハブの内周面への係合が解除されるようにされる。そして、各ヒンジ片の長さ方向の中間部分に設けた係合用突部に対して弾性片の規制部を係合させることで、一対のヒンジ片の先端部分における対向方向での移動量を確保しつつ、弾性片による弾性を及ぼし得ることとなる。また、内針の引抜きでプロテクタが固定部材に対して相対移動して、弾性片の規制部が係合用突部から外れることで、弾性片によるヒンジ片への弾性の作用が解除されて、プロテクタによる針先保護と、固定部材の外針ハブへの係止状態の解除とが、効率的に実現され得る。
【0016】
本発明の第4の態様は、前記第1〜3の何れかの態様に係る留置針組立体であって、前記プロテクタの前記弾性片には、横方に突出する係合片が設けられて前記規制部が構成されており、該係合片が前記固定部材の前記ヒンジ片に対して係合されているものである。
【0017】
本態様の留置針組立体では、弾性片が内針の針先を保護するために弾性によって変位する方向に対して交差する横方向に向かって、例えば弾性片の側面から外方に突設された少なくとも一つの係合片をヒンジ片に係合させることにより、弾性片による内針の針先保護構造への影響を充分に回避しつつ、弾性片の弾性を係合片に及ぼす力伝達構造を、容易に実現することが可能になる。
【0018】
本発明の第5の態様は、前記第1〜4の何れかの態様に係る留置針組立体であって、前記外針ハブには、弁体と、該弁体を基端側から押し開く押し子とが、収容状態で組み込まれていると共に、前記固定部材における前記ヒンジ片の先端部分が、該外針ハブの基端側から該押し子の外周にまで延びて配されているものである。
【0019】
本態様の留置針組立体では、留置針を遮断して止血等すると共に、外針ハブへの雄ルアーなどの挿入に際して連通させる弁体と押し子を外針ハブに収容配置せしめた構造において、外針ハブや留置針組立体の長さ方向への大型化を抑えつつ、固定部材を省スペースで配することが可能になる。
【0020】
本発明の第6の態様は、前記第1〜5の何れかの態様に係る留置針組立体であって、前記プロテクタの基端部分には、前記内針が挿通される挿通孔が設けられている共に、該内針の長さ方向に延びる案内面が設けられている一方、前記固定部材の基端部分には、該プロテクタの該基端部分に外挿される装着穴が設けられており、該プロテクタの該案内面に沿って該固定部材の基端部分が軸方向へ相対移動可能に組み付けられているものである。
【0021】
本態様の留置針組立体では、内針の引抜きに際して、固定部材に対してプロテクタが内針と共により安定して相対移動され得る。その結果、固定部材のヒンジ片に対するプロテクタの弾性片における規制部の係合解除が一層スムーズに実現されると共に、内針の引抜抵抗の更なる低減も図られる。
【0022】
加えて、本態様に従う構造とされた留置針組立体によれば、例えばプロテクタの弾性片における弾性力により、固定部材のヒンジ片が外針ハブの内周面に向けて付勢されて係止状態に保持されているとともに、プロテクタの基端部分の案内面の作用が働くことによって、留置針組立体の使用前などの内針引抜操作前の状態では、プロテクタの弾性片と固定部材のヒンジ片と外針ハブなどの各部材間における過度のがたつき等も抑えられて安定した組付状態に維持され得る。
【0023】
本発明の第7の態様は、前記第1〜6の何れかの態様に係る留置針組立体において、前記固定部材には、前記プロテクタへ装着された基端部分の両側縁部からそれぞれ前記内針の針先側に向かって延びる前記ヒンジ片が形成されていると共に、該ヒンジ片の基端側には相互の対向方向への屈曲を許容する可倒部が設けられているものである。
【0024】
本態様の留置針組立体では、軸方向に長手状のヒンジ片を採用し、基端側に可倒部を設けたことで、ヒンジ片がない方向に撓み易くすることができる。また、部材の設計自由度が向上し、例えば、ヒンジ片の長さ方向の中間部分において、プロテクタの弾性片の規制部による弾性の作用部を容易に設定することが可能になる。
【0025】
本発明の第8の態様は、前記第1〜7の何れかの態様に係る留置針組立体であって、前記プロテクタの前記弾性片が前記固定部材の前記ヒンジ片に係合されて、該ヒンジ片の先端部分が前記外針ハブの内面に係止された状態において、該プロテクタと該固定部材との各基端部分が、該外針ハブの基端側開口部から外方に突出していると共に、該プロテクタの該弾性片と該固定部材の該ヒンジ片との各先端部分が、該外針ハブの基端側開口部から内方に挿し入れられているものである。
【0026】
本態様の留置針組立体では、外針ハブの基端側開口部から突出する状態で組み付けられたプロテクタと固定部材の各基端側部分を、内針ハブに収容させることなどによって、留置針組立体の長さ方向への大型化を抑えることが可能になる。
【0027】
本発明の第9の態様は、前記第1〜8の何れかの態様に係る留置針組立体であって、前記固定部材の前記ヒンジ片の先端部分の外周面に係止凸部が設けられている一方、前記外針ハブの内周面には、該係止凸部が係止される係止凹部が設けられていると共に、該係止凸部と該係止凹部との少なくとも一方の基端側端縁部には、該固定部材の該外針ハブからの引き抜き方向への移動に際して該係止凸部を該係止凹部からの離脱方向へ案内する傾斜面が設けられているものである。
【0028】
本態様の留置針組立体では、固定部材のヒンジ片と外針ハブの内周面とが凹凸係止構造をもって実現されると共に、プロテクタの弾性片から固定部材のヒンジ片に及ぼされる弾性が解除されて固定部材を引き抜く際に、傾斜面による案内作用により、かかる凹凸係止構造による引抜抵抗の更なる軽減が図られ得る。
【0029】
本発明の第10の態様は、前記第1〜9の何れかの態様に係る留置針組立体において、前記ヒンジ片が側方に向かって付勢している状態で前記規制部に対して係合されており、該ヒンジ片と該規制部との係合が解除されることで自動的に該ヒンジ片が前記外針ハブ内径方向に移動するものである。
【0030】
本態様に従う構造とされた留置針組立体によれば、自動的にヒンジ片が内側方向に移動することから、不具合を生じ難くすることができる。
【0031】
本発明の第11の態様は、基端側に内針ハブを有する内針が基端側に外針ハブを有する外針に対して引抜可能に挿通されていると共に、該外針から引き抜かれた該内針の針軸上に移動するプロテクタを備えた留置針組立体において、固定部材が外針ハブ内にて該プロテクタの対向位置に設けられており、該プロテクタが該固定部材に対して付勢状態で設けられていることにより、該プロテクタの側方への移動が規制されて該プロテクタが該内針への非当接状態に保持されていると共に、該プロテクタにより該固定部材が該外針ハブに対して固定保持されており、該内針の該外針からの引き抜きにより、該プロテクタが該内針に係止されて、内針及び該プロテクタが該固定部材に対して相対移動することで、該プロテクタが側方へ移動して該内針の針軸上に移動すると共に、該固定部材の該外針ハブの径方向内側への移動が許容されて該固定部材の該外針ハブからの離脱が許容されるようになっていることを特徴とするものである。
【0032】
本態様に従う構造とされた留置針組立体によれば、プロテクタと内針との抵抗を0とすることができる。その結果、抵抗が生じる長さを短くすることができる。
【0033】
本発明の第12の態様は、基端側に内針ハブを有する内針が基端側に外針ハブを有する外針に対して引抜可能に挿通されていると共に、該外針から引き抜かれた該内針の針軸上に移動するプロテクタを備えた留置針組立体において、外面に固定部を有する固定部材が外針ハブ内にて該プロテクタの対向位置に設けられており、該プロテクタが該固定部材に対して当接状態で設けられていることにより、該プロテクタの側方への移動が阻止されて該プロテクタが該内針への非当接状態に保持されていると共に、該固定部材の該外針ハブの径方向内側への移動が阻止されて該固定部材が該外針ハブ内で位置決めされており、該内針の該外針からの引き抜きにより、該プロテクタが該内針に係止されて、内針及び該プロテクタが該固定部材に対して相対移動することで、該プロテクタが側方へ移動して該内針の針軸上に移動すると共に、該固定部材の該外針ハブの径方向内側への移動が許容されて該固定部材の該外針ハブからの離脱が許容されるようになっていることを特徴とするものである。
【0034】
本態様に従う構造とされた留置針組立体によれば、プロテクタと内針との抵抗を0とすることができる。その結果、抵抗が生じる長さを短くすることができる。
【0035】
本発明の第13の態様は、基端側に内針ハブを有する内針が基端側に外針ハブを有する外針に対して引抜可能に挿通されていると共に、該外針から引き抜かれた該内針の針軸上に移動するプロテクタを備えた留置針組立体において、固定部材が外針ハブ内にて該プロテクタの対向位置に設けられており、該プロテクタが該固定部材に対して付勢状態で設けられていることにより、該プロテクタの側方への移動が規制されて該プロテクタが該内針及び該固定部材に当接状態に保持されていると共に、該プロテクタにより該固定部材が該外針ハブに対して固定保持されており、該内針の該外針からの引き抜きにより、該プロテクタが該内針に係止されて、内針及び該プロテクタが該固定部材に対して相対移動することで、該プロテクタが側方へ移動して該内針の針軸上に移動すると共に、該固定部材の該外針ハブの径方向内側への移動が許容されて該固定部材の該外針ハブからの離脱が許容されるようになっていることを特徴とするものである。
【0036】
本態様に従う構造とされた留置針組立体によれば、プロテクタからの付勢力の一部が固定部材にかかるので、内針を外針から引き抜く際に生じる内針とプロテクタとの間の摺動抵抗が軽減される。
【発明の効果】
【0037】
本発明に従う構造とされた留置針組立体においては、
内針の引抜き時における抵抗力の軽減などの外針ハブからの離脱作動の改善を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0040】
先ず、
図1〜5には、本発明の第1の実施形態としての留置針組立体10が示されている。この留置針組立体10は、互いに離脱可能に組み付けられた内針ユニット12と外針ユニット14を含んで構成されている。なお、本明細書では、留置針組立体10を使用して患者への針の穿刺手技を行う際に、施術者よりも遠位の側となる
図3,4中の左側を先端側、及びそのような遠位側に位置する留置針組立体の端部、或いはそれらを構成する各部材の端部を先端部と言い、また、施術者の近位の側となる
図3,4中の右側を基端側、及びそのような基端側の端部を基端部と言う。さらに、軸方向および長さ方向とは留置針の針軸方向となる
図3,4中の左右方向を言うとともに、上下方向とは
図3,4中の上下方向を言う。
【0041】
より詳細には、内針ユニット12は、先端に針先16を有する内針18と、内針18の基端側に設けられた内針ハブ20を備えている。内針18は、例えばステンレス鋼、アルミニウム、チタン又はそれらの合金等の公知の材料から形成されているとともに、内針ハブ20は、例えば硬質の合成樹脂により形成されている。そして、かかる内針18の先端部分には、他の部分より外径寸法が僅かに大きくされた大径部22が設けられており、本実施形態では、当該大径部22が、内針18の周方向の全周に亘って設けられている。
【0042】
なお、内針18は中実針でも良いが、本実施形態では中空針が採用されている。そして、例えば特開2012−130523号公報等に記載されているように内針ハブ20の基端側に設けられた公知の逆血確認用の内部空所へ、中空針(内針18)の基端側が連通されている。なお、
図1,2では、内針ハブ20の図示を省略するとともに、
図5では、
図1〜4に示された状態から内針ユニット12をある程度基端側に移動させた状態を示す。なお、他の公知の逆血確認用手段を用いてもよい。
【0043】
また、内針ハブ20の先端部分は、先端側に開口する筒状の収容筒部24とされており、当該収容筒部24の周上の一部(
図3,4中の下方)には先端側に突出する位置決め突部26が設けられている。位置決め突部26により、内針ハブ20と後述する外針ハブ30とが位置決めされており、内針ハブ20に形成された一対の使用者把持部(親指と人差し指の載置部)と外針ハブ30に形成された後述する翼状部46とを好適な状態で位置決めすることができる。なお、位置決め突部26は設けずともよい。
【0044】
一方、外針ユニット14は、外針28と、外針28の基端側に設けられた外針ハブ30とを備えている。外針28は、内針18よりも短い長さを有するチューブ形状とされており、その先端部分が、例えば先端側に向かうに従って次第に小径化するテーパ状部とされている。これにより、生体への穿刺抵抗を軽減することもできる。更に、外針28の内径寸法は、内針18の外径寸法と略等しいか僅かに大きくされており、外針28に対して内針18が挿通可能とされている。なお、外針28の先端部分における周壁には1個または複数の貫通孔が設けられてもよく、これにより外針28に対する流体の流通効率の向上が図られ得る。かかる外針28は、例えば軟質の合成樹脂により好適に形成され得る。
【0045】
さらに、外針ハブ30は全体として軸方向に延びる略筒形状とされており、例えば内針ハブ20と同様の硬質の合成樹脂により好適に形成される。外針ハブ30の内面31aおよび外面31bは先端側よりも基端側が大径とされており、先端部分における内径寸法は外針28の外径寸法と略等しくされている。なお、外針ハブ30の先端部分における内面31aには、略筒状のカシメピン32が固着されており、カシメピン32と外針ハブ30との径方向間に外針28の基端部分が挿入されて、必要に応じて接着等の処理が施されることにより、外針ハブ30の先端から外針28が延び出している。かかるカシメピン32は、例えば金属等により好適に形成され得て、外針ハブ30と外針28との接続部分の強度の向上が図られ得る。
【0046】
また、外針ハブ30の基端側開口部34において、外針ハブ30の外面31bには外周側に突出するフランジ部36が設けられている。かかる外針ハブ30の基端側開口部34の内径寸法は収容筒部24の内径寸法と略等しくされており、後述する内針ユニット12と外針ユニット14との組付状態において、外針ハブ30の内部と収容筒部24の内部とが軸方向で連通されるようになっている。
【0047】
さらに、フランジ部36の外周面において、内針ハブ20における位置決め突部26と周上で対応する位置(
図3,4中の下方)には、軸方向に延びる位置決め溝38が設けられている。なお、フランジ部36の外周面において、位置決め溝38を周方向に外れた部分にはねじ山が設けられており、外針28の留置後に、外針ハブ30に対してルアーロック式のシリンジやコネクタ等が接続可能となっている。
【0048】
更にまた、外針ハブ30の先端部分における内面31aには、周方向の全周に亘って延びて内周側に開口する係止凹部40が設けられている。本実施形態では、当該係止凹部40を構成する内面のうち、軸方向中間部分が軸方向に延びる環状の平坦面とされている一方、軸方向両端部分が軸方向に対して傾斜する傾斜面42a,42bとされている。すなわち、先端側端縁部に設けられた傾斜面42aが、基端側に向かって次第に内径寸法が大きくされている一方、基端側端縁部に設けられた傾斜面42bが、基端側に向かって次第に内径寸法が小さくされている。なお、傾斜面42a,42bがない構成とすることもできる。
【0049】
また、外針ハブ30の内面31aにおいて、かかる係止凹部40の先端側には、内周側に突出する止血弁機構用位置決め突起44が形成されている。本実施形態では、かかる止血弁機構用位置決め突起44が、周上の4箇所において、略等間隔に形成されている。
【0050】
一方、外針ハブ30の外面31bには、径方向両側(
図3中の紙面手前奥方向)に突出する一対の翼状部46,46が設けられている。
【0051】
そして、以上の如き外針ハブ30の内部には、止血弁機構48が収容状態で組み込まれている。この止血弁機構48の構造は何等限定されるものではないが、本実施形態では、弁体としてのディスク弁50と押し子52と押し子ガイド54とから構成されている。
【0052】
ディスク弁50は中央にスリット56(
図12参照)が形成されており、ゴム弾性体やエラストマーにより形成されている。また、押し子52は全体として略筒状とされており、内径寸法が内針18の外径寸法より大きくされている。更に、押し子ガイド54は全体として略筒状とされており、当該押し子ガイド54が、押し子52と外針ハブ30との径方向間に配置されて、外針ハブ30の内面31aに設けられた位置決め突起44により軸方向で位置決め固定されている。かかるディスク弁50が、外針ハブ30の内部に装着されていると共に、当該ディスク弁50の基端側に押し子52と押し子ガイド54が位置しており、押し子52が押し子ガイド54に対して摺動して軸方向に移動可能とされている。
【0053】
そして、外針28が患者の皮膚に留置された後に、外針ハブ30の基端側開口部34からシリンジ等が挿入されることにより、シリンジの先端などの雄ルアーが押し子52を先端方向に押し込み、ディスク弁50のスリット56を基端側から押し開いて開放させるようになっている。これにより、シリンジ等の内部と外針28とが連通される。なお、外針ハブ30からシリンジ等を抜き取ることにより、ディスク弁50の弾性復元作用によりスリット56は速やかに閉鎖される。
【0054】
以上の如き構造とされた外針ユニット14に対して内針ユニット12が組み付けられることにより、留置針組立体10が構成されている。すなわち、外針ユニット14に対して内針18が基端側から挿通されて、ディスク弁50を貫通して、外針28の先端から内針18の針先16が突出するようになっている。かかる組付状態では、外針ハブ30の基端に設けられた位置決め溝38に対して内針ハブ20に設けられた位置決め突部26が入り込んでおり、外針ユニット14と内針ユニット12との相対回転が防止されている。
【0055】
そして、これら内外針ユニット12,14の組立体からなる留置針組立体10を、患者に対して針先から穿刺した後に、外針ユニット14から内針18を引き抜くことにより、外針ユニット14が患者の皮膚に留置されようになっている。
【0056】
ここにおいて、留置針組立体10には、穿刺後、外針28から引き抜かれた内針18の針先16を保護する針先プロテクタ機構58が設けられている。かかる針先プロテクタ機構58は、内針18に対して外挿状態で装着されたプロテクタ60と、該プロテクタ60の外周に組み付けられて軸方向先端側に向かって延び出す固定部材62とを、含んで構成されている。
【0057】
プロテクタ60は、NiTi合金やステンレス鋼などで形成された金属部材であって、
図6〜8に示されるように、全体として有底の略角筒形状とされている。なお、かかるプロテクタ60は、例えば金属素板を所定の形状に切り出して複数回プレス加工を施すこと等により形成され得る。なお、プロテクタは樹脂部材であってもよく、プロテクタを針軸上に移動させる弾性力を生じさせる部材を別途設けてもよい。また、プロテクタの形状は弾性片に限らず、例えば、ボール部材であってもよい。さらに、
図6〜8では、プロテクタ60が、
図1〜5に示される初期状態の留置針組立体10内において組み付けられている状態で示されている。
【0058】
すなわち、プロテクタ60は、基端に矩形状の底壁部64を備えており、当該底壁部64の上下両側縁部からは、先端側に延び出す第1の弾性片66と第2の弾性片68が相互に対向して形成されている。また、これら第1および第2の弾性片66,68からは側板部70,72が延び出しており、当該側板部70,72が、第1および第2の弾性片68の側方に位置して、先端側に延び出している。そして、これら側板部70,72が、第1および第2の弾性片66,68の対向方向と直交する方向において、相互に対向している。これら底壁部64、第1および第2の弾性片66,68および側板部70,72をもって、プロテクタ60が有底の略角筒形状として構成されている。
【0059】
なお、プロテクタ60の軸方向中間部分では、一方の側板部72の先端が屈曲して軸直角方向に広がっており、中間板部74が構成されている。そして、底壁部64と中間板部74の中央には、それぞれ挿通孔76,78が形成されている。底壁部64に設けられた挿通孔76の内径寸法は、内針18において大径部22が設けられていない部分の外径寸法より大きく、且つ大径部22の外径寸法より小さくされている。一方、中間板部74に設けられた挿通孔78の内径寸法は、内針18の大径部22における外径寸法より大きくされている。
【0060】
第1の弾性片66は、底壁部64の上方の縁部から先端側に延び出している一方、第2の弾性片68は、底壁部64の下方の縁部から先端側に延び出しており、これら両弾性片66,68はそれぞれ所定の軸方向寸法を有する略矩形板状とされている。また、両弾性片66,68の基端部分は略軸方向にのびており、それら基端部分の外面80,81が、平坦面とされている。さらに、両弾性片66,68の軸方向中間部分から先端側は、両弾性片66,68の対向方向で弾性変形可能とされており、さらにその先端部分は、中間部分に比べて対向方向内方に僅かにくの字状に屈曲している。そして、両弾性片66,68の先端には、反対側の弾性片に向かって折り返す折返部82,84が設けられている。
【0061】
なお、
図1〜5に示される初期状態(
図6〜8に示される状態)では、第1および第2の弾性片66,68が対向方向外方に弾性変形した状態で示されているが、内針18などに組み付けられる以前の単品状態では、第1および第2の弾性片66,68が、略軸方向に延びて、両折返部82,84の頂点付近が軸方向で相互に重なるようになっている。すなわち、
図6〜8に示されるプロテクタ60は、単品状態から第1および第2の弾性片66,68が対向方向外方に弾性変形せしめられており、第1および第2の弾性片66,68には、弾性的な復元力に伴う付勢力が相互に接近する方向である対向方向内方に向かって及ぼされている。なお、本実施形態では、第1および第2の弾性片66,68において付勢力の作用方向である側方が、相互に接近する対向方向内方とされている。
【0062】
ここにおいて、両弾性片66,68の先端に設けられた折返部82,84からは、それぞれ幅方向の端縁部から横方に突出する係合片86,88が設けられている。これら係合片86,88は、それぞれ両弾性片66,68の対向方向と直交する方向に延びており、相互に反対方向に延びている。すなわち、第1の弾性片66からは、
図8中の右方に向かって係合片86が延び出している一方、第2の弾性片68からは、
図8中の左方に向かって係合片88が延び出している。本実施形態では、これら係合片86,88が、折返部82,84から連続的に延び出す板片状として形成されている。また、本実施形態では、第1の弾性片66の幅方向両側に、第二の弾性片68に向かって延びる側壁板89,89が設けられているが、かかる側壁板89には、係合片88の干渉を回避する適切な切欠きが設けられている。
【0063】
また、本実施形態では、第1の弾性片66および第2の弾性片68の軸方向中間部分において、幅方向中央部分には、所定の軸方向寸法をもって厚さ方向に貫通する貫通窓90,92が形成されている。そして、これら貫通窓90,92の基端側の内周面からは先端側に延び出す弾性突片94,96が形成されている。これら弾性突片94,96の周囲の三方は第1および第2の弾性片66,68と連結されておらず、弾性突片94,96が板厚方向で弾性変形可能とされている。かかる弾性突片94,96は、
図5などにも示されるように、第1および第2の弾性片66,68から対向方向外方に突出するように設けられている。なお、弾性突片94,96は使用後における固定部材62に対するプロテクタ60の先端方向への移動を規制する構成であるが、第1および第2の弾性片66,68と固定部材62とにより、使用後における固定部材62に対するプロテクタ60の相対移動を規制してもよく、その場合、弾性突片94,96は不要である。
【0064】
一方、固定部材62は、全体として略有底の筒形状とされており、例えば硬質の合成樹脂などにより一体形成されている。すなわち、基端に基端壁部100を備えており、当該基端壁部100から先端側に向かって一対のヒンジ片102,104が延び出している。この基端壁部100は略矩形状とされており、中央に略矩形の装着穴105が形成されている。なお、基端壁部100において、装着穴105を挟んだ上下両側基端面には、基端側に開口する凹部106,106が形成されている。なお、固定部材62は、金属で形成されていてもよく、また、ヒンジ片102,104と基端壁部100とが別体でそれぞれ構成された後にそれぞれ固定されることで一部材となっていてもよい。
【0065】
そして、当該基端壁部100の上下両側縁部に、一対のヒンジ片102,104がヒンジ連結された形状とされている。すなわち、これらヒンジ片102,104が、基端壁部100に対して、薄肉とされた可倒部107,107を介して連結されている。かかる可倒部107,107がヒンジ片102,104の基端側に設けられることにより、それぞれのヒンジ片102,104の先端側が、対向方向内方に接近して屈曲することが可能とされている。これらヒンジ片102,104は、それぞれプロテクタ60より大きな軸方向寸法を有して、それぞれ基端側が略矩形板形状とされている一方、先端側が半周に満たない周方向寸法を有する略湾曲板形状とされており、上下方向で相互に対向している。これにより、一対のヒンジ片102,104の周方向間には、固定部材62の軸方向略全長に亘って延びる対向間隙間108,108が、両ヒンジ片102,104の対向方向と直交する方向で対向して形成されており、先端側に開口している。
【0066】
ここにおいて、ヒンジ片102,104の軸方向中間部分からは、それぞれ反対側のヒンジ片に向かって延びる係合用突部110,112が形成されている。これら係合用突部110,112は、それぞれヒンジ片102,104における反対側の周方向端部から対向方向内方に向かって対向間隙間108,108内に突出して、軸直角方向で相互に対向している。すなわち、上方のヒンジ片102からは
図1中手前側の周方向端部において下方のヒンジ片104に向かって突出する係合用突部110が設けられている一方、下方のヒンジ片104からは
図1中奥側(
図2中手前側)の周方向端部において上方のヒンジ片102に向かって突出する係合用突部112が設けられている。本実施形態では、これら係合用突部110,112が、両ヒンジ片102,104における基端側の略矩形板状とされた部分の先端部分に設けられている。かかる係合用突部110,112が設けられることにより、両ヒンジ片102,104間の対向距離が、係合用突部110,112の形成位置で小さくされている。
【0067】
また、ヒンジ片102,104の先端部分には外周側に突出する係止部としての係止凸部114,114が形成されている。本実施形態では、これら係止凸部114,114が、両ヒンジ片102,104における先端側の略湾曲板形状とされた部分の先端において、周方向の略全周に亘って設けられている。
【0068】
以上の如き構造とされたプロテクタ60と固定部材62とが相互に組み付けられている。すなわち、固定部材62の基端壁部100に設けられた装着穴105にプロテクタ60が挿通されて、換言すればプロテクタ60に対して装着穴105を有する基端壁部100が外挿されて、プロテクタ60の基端部分の外周側に固定部材62が位置している。すなわち、プロテクタ60における第1および第2の弾性片66,68の外側に固定部材62におけるヒンジ片102,104が位置している。これにより、プロテクタ60が、固定部材62に対して軸方向で移動可能に支持されている。特に、プロテクタ60の第1および第2の弾性片66,68の基端部分の外面80,81および側板部70,72の外面が装着穴105の内面に当接することで、固定部材62の基端壁部100が、プロテクタ60における外面80,81および側板部70,72の外面に沿って軸方向で移動可能とされている。これにより、プロテクタ60と固定部材62とが軸直角方向でずれることなく軸方向で相対移動可能とされている。それ故、これら第1および第2の弾性片66,68の基端部分の外面80,81および側板部70,72の外面によりプロテクタ60の基端部分に案内面が構成されており、当該案内面が軸方向に延びている。
【0069】
そして、これらプロテクタ60と固定部材62とからなる針先プロテクタ機構58が内針18に挿通されている。すなわち、固定部材62の先端側開口部からプロテクタ60が挿入されて基端壁部100を通じて基端側に突出せしめられるとともに、かかる針先プロテクタ機構58の先端側から内針18が挿通されてその基端部分が内針ハブ20に固定されている。したがって、プロテクタ60の挿通孔76,78に内針18が挿通されて、針先プロテクタ機構58が、内針18に対して軸方向で移動可能とされている。
【0070】
そして、
図1〜
図5に示される内針ユニット12と外針ユニット14との組付時には、かかる針先プロテクタ機構58(プロテクタ60および固定部材62)の先端側が、外針ハブ30の基端側開口部34から内方に挿入されるとともに、針先プロテクタ機構58(プロテクタ60および固定部材62)の基端側が外針ハブ30の基端側開口部34から外方に突出して内針ハブ20の収容筒部24内に挿入されている。さらに、固定部材62におけるヒンジ片102,104が、外針ハブ30の基端側開口部34から挿入されて押し子52の外周側を先端側に延びて、その先端に設けられた係止凸部114,114が、外針ハブ30の内面31aに設けられた係止凹部40内に入り込んで係止されている。
【0071】
ここにおいて、かかる組付状態では、プロテクタ60の第1および第2の弾性片66,68に設けられた係合片86,88が、固定部材62に設けられた対向間隙間108,108の先端側開口部から挿し入れられて、
図9,10に示すように、それぞれヒンジ片104に設けられた係合用突部112とヒンジ片102、およびヒンジ片102に設けられた係合用突部110とヒンジ片104とに挟まれて保持されている。すなわち、係合片86,88が、係合用突部112,110に係合されており、第1および第2の弾性片66,68の対向方向内方への変形が阻止されて、第1および第2の弾性片66,68が、
図6〜8に示される如き対向方向外方への変形状態で維持されるようになっている。したがって、本実施形態では、第1および第2の弾性片66,68に設けられてヒンジ片104,102に係合される規制部が、係合片86,88により構成されている。
【0072】
そして、第1および第2の弾性片66,68に設けられた係合片86,88が内側からヒンジ片102,104に当接することで、ヒンジ片102,104の対向方向内方への変位が阻止されている。それに加えて、第1および第2の弾性片66,68が、それぞれ対向方向内方に付勢されることで、ヒンジ片104,102が、係合用突部112,110を介して、対向方向外方、即ち外針ハブ30の内面31aに向かって付勢されている。これにより、係止凸部114,114と係止凹部40との係合、すなわち針先プロテクタ機構58と外針ハブ30との連結が安定して維持されるようになっている。
【0073】
また、かかる組付時には、第1および第2の弾性片66,68が対向方向外方への変形状態で維持されることから、第1および第2の弾性片66,68の折返部82,84が内針18に当接することがなく、両弾性片66,68が内針18への非当接状態に保持されている。
【0074】
以上の如き構造とされた針先プロテクタ機構58により内針18の針先16を保護するには、留置針組立体10の穿刺後、外針ユニット14から内針18を引き抜く。ここで、内針18に設けられた大径部22の外径寸法はプロテクタ60の底壁部64に設けられた挿通孔76の内径寸法より大きくされていることから、内針18の引抜きに伴い、内針18の大径部22がプロテクタ60の底壁部64に係止される。かかる係止状態から、内針18を更に引き抜くことで、
図11,12に示されるように、内針18と共にプロテクタ60が固定部材62に対して基端側に移動せしめられる。
【0075】
なお、本実施形態では、第1および第2の弾性片66,68の軸方向中間部分に、対向方向外方に突出する弾性突片94,96が設けられており、これらは、プロテクタ60の固定部材62に対する基端側への移動に際して、装着穴105の内面に当接せしめられる。これにより、弾性突片94,96は対向方向内方に押し込まれるが、装着穴105の通過に伴い弾性的に復元変形して、装着穴105の通過後、再び第1および第2の弾性片66,68の対向方向外方に突出せしめられて、装着穴105を挟んで上下両側に設けられた凹部106,106に嵌め入れられる。この結果、弾性突片94,96が固定部材62の基端壁部100に当接することで、弾性突片94,96による装着穴105の通過後の、プロテクタ60の固定部材62に対する先端側への移動が阻止され得る。
【0076】
そして、更にプロテクタ60が固定部材62に対して基端側に移動せしめられることで、ヒンジ片102と係合用突部112との対向間に位置していた係合片86が、係合用突部112より基端側に移動して係合片86と係合用突部112との係合が解除される。同様に、ヒンジ片104と係合用突部110との対向間に位置していた係合片88が、係合用突部110より基端側に移動して係合片88と係合用突部110との係合が解除される。これにより、第1および第2の弾性片66,68が付勢力に従いプロテクタ60に対して側方となる対向方向内方へ移動し、第1および第2の弾性片66,68の先端に設けられた折返部82,84により内針18の針先16が覆われて、内針18の針先16がプロテクタ60により保護されるようになっている。
【0077】
そして、かかる第1および第2の弾性片66,68に設けられた係合片86,88の対向方向内方への移動により、それらにより対向方向内方への変位が阻止されていたヒンジ片102,104の対向方向内方への変位が許容され得る。すなわち、第1および第2の弾性片66,68によりヒンジ片104,102が対向方向外方へ付勢されていたが、かかる付勢が解除されることにより、これらヒンジ片102,104の対向方向内方への変位が許容され得る。
【0078】
そして、ヒンジ片102,104の対向方向内方への変位が許容された状態下で、更に内針18を基端側に引き抜くことにより、
図13,14に示されているように、外針ユニット14から内針ユニット12が離脱せしめられる。すなわち、例えばヒンジ片102,104の対向方向内方への変位が許容されることで、留置針組立体10の使用時に上方となるヒンジ片102が重力作用で下方へ移動して、係止凸部114と係止凹部40との係合が解除せしめられて、針先プロテクタ機構58を含む内針ユニット12が外針ユニット14から離脱可能とされる。
【0079】
あるいは、本実施形態の係止凹部40の基端側端縁部には、基端側に向かって内径寸法が小さくなる傾斜面42bが設けられていることから、外針ハブ30に対して固定部材62を基端側に移動させることで、ヒンジ片102,104の先端に設けられた係止凸部114,114が傾斜面42bに沿って対向方向内方、即ち係止凹部40からの離脱方向に案内されて、これにより、係止凸部114と係止凹部40との係合が解除されるようになっていてもよい。なお、かかる係止凸部114を係止凹部40からの離脱方向に案内する案内面(傾斜面)は、係止凹部40の基端側端縁部ではなく、係止凸部114の基端側端縁部に設けてもよい。これにより、係止凹部40から係止凸部114を離脱させるに際して、係止凸部114が、基端側端縁部に設けた傾斜面に沿って案内されて、ヒンジ片102,104が対向方向内方に変位せしめられる。あるいは、かかる傾斜面は、係止凹部40の基端側端縁部と係止凸部114の基端側端縁部との両方に設けられて、係止凹部40からの係止凸部114の離脱に際して、両傾斜面が当接することで、ヒンジ片102,104が対向方向内方に変位せしめられるようになっていてもよい。
【0080】
このように、留置針組立体10の穿刺後に、外針ユニット14から内針ユニット12を離脱させることで、外針ユニット14が患者の皮膚に留置される。
【0081】
以上の如き構造とされた留置針組立体10では、内針ユニット12と外針ユニット14との組付時において、針先プロテクタ機構58を構成する固定部材62が内側から外針ハブ30に係合して連結されることから、留置針組立体10の大型化が回避される。また、かかる組付時には、プロテクタ60に設けられた係合片86,88が、固定部材62のヒンジ片104,102における係合用突部112,110に係合して、第1および第2の弾性片66,68が対向方向外方への弾性変形状態で維持される。それ故、第1および第2の弾性片66,68の特に内針18側に延びる折返部82,84と内針18とが当接することが回避されて、内針18の引抜時に内針18と第1および第2の弾性片66,68とが擦れて摺動抵抗が生じることが防止され得る。
【0082】
さらに、固定部材62に対してプロテクタ60が基端側に移動する際には、プロテクタ60の基端部分に設けられた案内面(第1および第2の弾性片66,68の基端部分の外面80,81、側板部70,72の外面)と固定部材62の基端壁部100に設けられた装着穴105の内面とが相互に当接して移動せしめられることから、プロテクタ60と固定部材62とが軸直角方向に相対移動することが防止され得る。これにより、内針18の引抜きおよびプロテクタ60の基端側への移動に際して、使用者が抵抗感を感じるおそれが一層低減され得る。
【0083】
更にまた、固定部材62のヒンジ片102,104における基端側には可倒部107,107が設けられて、ヒンジ片102,104の先端側が相互に接近する方向に屈曲容易とされている。これにより、ヒンジ片102,104の先端に設けられた係止凸部114,114と外針ハブ30の内面31aに設けられた係止凹部40との係合の解除がより安定して実現され得る。
【0084】
また、第1および第2の弾性片66,68から突出する係合片86,88が、ヒンジ片104に設けられた係合用突部112とヒンジ片102に設けられた係合用突部110に係合することで、第1および第2の弾性片66,68が対向方向外方への弾性変形状態で保持される。それと共に、係合片86,88がヒンジ片102,104に内側から当接するとともに、係合用突部112,110を介してヒンジ片104,102を対向方向外方に付勢することでヒンジ片102,104の対向方向内方への変位が阻止される。かかる構造を採用することにより、係合片86,88が、第1および第2の弾性片66,68の形状の保持とヒンジ片102,104の変位防止との2つの機能を兼ね備えることから、針先プロテクタ機構58の構造が簡易なものとされつつ、内針18の針先16の保護作動を安定して行うことができる。
【0085】
さらに、本実施形態の外針ハブ30には止血弁機構48が収容配置されていることから、内針18の引抜時における血液の漏出がより確実に抑制される。そして、かかる止血弁機構48には、シリンジなどを接続することでディスク弁50のスリット56を押し開く押し子52が採用されていることから、流体流路の連通と遮断とが効率的に切り換えられ得る。
【0086】
更にまた、内針ユニット12と外針ユニット14との組付時には、針先プロテクタ機構58の先端側が外針ハブ30に挿入されるとともに、針先プロテクタ機構58の基端側が内針ハブ20に挿入される。これにより、針先プロテクタ機構の全体を外針ハブや内針ハブに収容する場合に比べて、外針ハブや内針ハブの大型化が回避されて、ひいては留置針組立体10の小型化が促進され得る。
【0087】
また、本実施形態では、係止凹部40の基端側端縁部が、基端側に向かって内径寸法が小さくなる傾斜面42bとされており、外針ユニット14から内針ユニット12を離脱させるに際して、固定部材62のヒンジ片102,104に設けられた係止凸部114,114が傾斜面42bに沿って移動することにより、係止凸部114,114を係止凹部40からの離脱方向に案内させることも可能である。これにより、外針ユニット14から内針ユニット12を離脱させる際に、内針ユニット12を外針ユニット14に対して軸方向に引き抜くのみで内針ユニット12が外針ユニット14から離脱され得る。
【0088】
次に、
図15には、本発明の第2の実施形態としての留置針組立体120が示されているとともに、
図16(a)〜(d)には、当該留置針組立体120を構成する針先プロテクタ機構122が示されている。前記第1の実施形態では、固定部材(62)において、一対のヒンジ片(102,104)の両方の先端部分に係止凸部(114,114)が設けられて外針ハブ30の係止凹部40に係止されていたが、本実施形態では、固定部材124において上下対向して位置するヒンジ片126,128のうち、上方のヒンジ片126のみに係止部としての係止凸部130が設けられて外針ハブ30の係止凹部40に係止されている。なお、本実施形態において、前記第1の実施形態と実質的に同一の部材および部位には、図中に、前記第1の実施形態と同一の符号を付すことにより詳細な説明を省略する。
【0089】
すなわち、本実施形態の針先プロテクタ機構122は、プロテクタ132と固定部材124とから構成されており、本実施形態においては、プロテクタ132が1つの弾性片136を含んで構成されて、その先端から横方に向かって規制部としての係合片140が突設されている。なお、本実施形態では、下方に位置する弾性片136から、
図16(c),(d)中の手前側に係合片140が突出している。
【0090】
一方、本実施形態においても、一方のヒンジ片126(128)の周方向端部から、反対側のヒンジ片128(126)に向かって突出する係合用突部142,144が形成されている。なお、本実施形態では、上方のヒンジ片126から、
図16(c),(d)中の手前側において、下方に向かって係合用突部142が突出している一方、下方のヒンジ片128から、
図16(a),(b)中の手前側において、上方に向かって係合用突部144が突出している。
【0091】
ここにおいて、本実施形態では、上方のヒンジ片126の基端部分に薄肉とされた可倒部107が設けられて、上方のヒンジ片126が、基端壁部100に対して上下方向で屈曲変形容易とされている。一方、下方のヒンジ片128には可倒部(107)が設けられておらず、下方のヒンジ片128が、基端壁部100に対して屈曲し難くされている。
【0092】
また、本実施形態では、上方のヒンジ片126に比べて下方のヒンジ片128の軸方向寸法が小さくされており、特に本実施形態では、下方のヒンジ片128の軸方向寸法が上方のヒンジ片126の略半分程度とされている。そして、かかる上方のヒンジ片126の軸方向中間部分に係合用突部142が形成されている一方、下方のヒンジ片128の先端部分に係合用突部144が形成されている。また、かかる係合用突部144の突出高さ寸法は、反対側の係合用突部142の突出高さ寸法の略半分程度とされている。一方、弾性片136に向かって突出する係合用突部142の突出高さ寸法は内針18を越えて弾性片136側まで延びて形成されている。
【0093】
かかる構造とされた針先プロテクタ機構122が、内針18に外挿装着されている。そして、
図15などに示される初期状態では、プロテクタ132および固定部材124の先端部分が外針ハブ30の基端側開口部34から挿入されている。
【0094】
さらに、本実施形態の留置針組立体120においても、初期状態では、
図16(a)〜(d)に示されるように、プロテクタ132における弾性片136から突出する係合片140が、ヒンジ片128と、ヒンジ片126から突出する係合用突部142とにより上下方向で挟まれて支持されている。そして、かかる係合片140が、プロテクタ132に対して側方となる対向方向内方に付勢されていることから、係合用突部142を介してヒンジ片126が対向方向外方、即ち外針ハブ30の内面31aに向かって付勢されている。なお、本実施形態では、係合片140が、ヒンジ片128と、ヒンジ片126とにより上下方向で挟まれて支持されているが、ヒンジ片128が、基端壁部100に対して屈曲し難くされていることから、ヒンジ片128と係合片140とが係合していなくともよい。また、ヒンジ片128がない構成でもよく、その場合は、弾性片136が外針ハブ30の内面31aに近接するように構成される。このようにすることで、弾性片136と外針ハブ30の内面31aとの間に、ヒンジ片126の係止凸部130を外針ハブ30の内面31aの係止凹部40から外すだけの隙間がなく、弾性片136が内側方向に移動しない限り、外針ハブ30から固定部材124を離脱できないようにすることができる。
【0095】
これにより、ヒンジ片126の先端に設けられた係止凸部130が、外針ハブ30の内面31aに設けられた係止凹部40に挿し入れられて係止されて、針先プロテクタ機構122と外針ハブ30とが係合している。なお、ヒンジ片128は、外針ハブ30の基端側開口部34から内方に挿し入れられており、その外面が外針ハブ30の内面31aに当接していてもよいが、係止凸部130が係止凹部40から離脱できないだけの離隔距離をもって対向していてもよい。
【0096】
以上の如き構造とされた本実施形態の留置針組立体120においても、
図15に示される初期状態から、内針ユニット12を基端側に引き抜くことで、内針18の大径部22と、プロテクタ132における底壁部64とが係合して、更に内針18を基端側に引き抜くことで、内針18と共にプロテクタ132が、固定部材124に対して基端側に移動せしめられる。
【0097】
その結果、
図17(a)〜(d)に示されているように、係合片140が係合用突部142を通過することで、係合片140と係合用突部142との係合が解除される。これにより、弾性片136が付勢力に従って側方(内方)に復元的に弾性変形して内針18の針先(16)を保護するとともに、ヒンジ片126への付勢が解除されて、ヒンジ片126の内方への変形が許容される。本実施形態においては、ヒンジ片126は初期の形状に戻ろうとするヒンジ片126自体の弾性力に従って、ヒンジ片126が内方に屈曲変形される。この結果、係止凸部130と係止凹部40との係合が解除せしめられて、内針ユニット12が外針ユニット14から離脱され得る。なお、ヒンジ片126は付勢力を生じさせるように組み付けられた別の弾性部材の弾性力、或いは、ヒンジ片126の内方への変形許容状態下において生じる重力作用、或いは、内針ユニット12を更に基端側に引き抜くことに伴う係止凹部40における傾斜面42bの案内作用を利用して、内方に屈曲変形せしめられるようにしてもよい。
【0098】
以上の如き本実施形態における留置針組立体120においても、前記第1の実施形態と同様の効果が発揮され得る。特に、本実施形態に示されているように、固定部材124のヒンジ片126,128において、先端に設けられる係止凸部130は、何れか一方にのみ設けられればよい。また、両ヒンジ片126,128の何れもが基端壁部100に対して屈曲可能とされる必要はなく、一方のヒンジ片126のみが屈曲可能とされればよい。尤も、本実施形態では、一方のヒンジ片126に対して、他方のヒンジ片128が基端壁部100を含んで対向方向内方に屈曲可能と把握することも可能であり、要するに、少なくとも一方のヒンジ片126,128が対向方向内方に屈曲可能とされていればよく、必ずしも基端壁部100に対して屈曲可能とされる必要はない。
【0099】
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、これはあくまでも例示であって、本発明は、かかる実施形態に関する具体的な記載によって、何等限定的に解釈されるものではない。
【0100】
たとえば、前記第2の実施形態において、プロテクタ132は1つの弾性片136のみで構成したが、第1の実施形態のように、内針18を挟んで対向するような2つの弾性片を含んでもよく、
図15中の上方に設けられる弾性片から延びる係合片をヒンジ片128に形成された係合用突部144に係合させてもよい。また、プロテクタが内針を挟んで第1の弾性片と対向するような第2の弾性片を含んでいる場合において、ヒンジ片128を無くし、それぞれの弾性片から延びる係合片をヒンジ片126のみに係合させるようにしてもよい。すなわち、第2の弾性片から延びる係合片用のガイド溝をヒンジ片に形成し、第2の弾性片の係合片はヒンジ片126のガイド溝に係合し、第1の弾性片の係合片はヒンジ片126の内面に係合するようにしてもよい。
【0101】
前記実施形態では、プロテクタ60が弾性片を備えていたが、引抜き後に内針の針軸上に移動して針先を誤穿刺防止するように保護する各種プロテクタが採用可能である。なお、重力、弾性力、磁力等を利用することで、プロテクタを内針の針軸上に移動させることが考えられる。
【0102】
尤も、固定部材と外針ハブとの係合に際して、前記実施形態においては、固定部材の外面に設けられた固定部として係止凸部を採用し、係止凸部と係止する係止凹部を外針ハブに形成しているが、固定部の態様としてはこれに限るものではない。すなわち、固定部は固定部材を外針ハブ内に位置決めするものであればよく、係止凸部や係止凹部を設けずに、ヒンジ片の先端に摩擦増大部を設けて、摩擦増大部と外針ハブの内面とが当接して、その摩擦により固定部材と外針ハブとが係合されるようになっていてもよい。また、係止凸部はヒンジ片と別体で且つヒンジ片に固定された仕様でもよい。さらに、係止凸部に係合する係止凹部は外針ハブ内面以外の構成に設けられてもよい。例えば、押し子ガイドに設けられてもよい。更にまた、外針ハブ内面に係止凹部を設ける場合、外針ハブ基端から少なくとも7.5mm以上離れていることが好ましい。
【0103】
さらに、前記実施形態では、固定部材62,124において、基端壁部100から先端側に突出するヒンジ片102,104,126,128が上下両側に設けられていたが、例えば上下の何れか一方のみに設けられていてもよい。すなわち、例えば前記実施形態において、下方のヒンジ片104,128は必須なものではなく、基端壁部から上方のヒンジ片のみが先端側に延び出す態様であってもよい。かかる態様では、例えば、上方のヒンジ片における係合用突部が、プロテクタにおける下側の弾性片の係合片(規制部)と係合して、外針ハブの内面側に付勢されて上方のヒンジ片に設けられた係止凸部が外針ハブの内面に設けられた係止凹部に係止されるとともに、下側の弾性片の、特にくの字状に屈曲する部分が、外針ハブの内面に当接するか、係止凸部が係止凹部から離脱できない程度の対向距離をもって離隔する構造が採用され得る。
【0104】
この場合、上側の弾性片は設けられなくてもよいが、上側の弾性片が設けられる場合には、例えば上側の弾性片の側方(対向方向内方)への変位を規制する機構が上方のヒンジ片に設けられてもよい。すなわち、例えば上方のヒンジ片には、横向きのL字状で、対向方向内方側に開口されたガイド溝が設けられてもよい。かかる構造を採用することで、初期状態では、上側の弾性片に設けられた係合片(規制部)が当該ガイド溝に挿し入れられることで係合されて対向方向内方への変位が規制されるとともに、内針の引抜時には、当該ガイド溝に沿って係合片が所定距離だけ軸方向に移動した後に、上下方向に延びるガイド溝に沿って係合片を含む弾性片が対向方向内方へ変位されるようにされ得る。
【0105】
また、前記実施形態において、使用後の固定部材62,124のプロテクタ60,132に対する基端方向への相対移動は、弾性突片94,96と凹部106,106との係合により規制されているが、係合用突部の基端面と係合片とで規制されるようであってもよい。なお、係合用突部の基端に形成された切り欠き幅を係合片のガイド溝として、使用後の固定部材とプロテクタとの針軸方向相対変位が所定以上不可能な構成としてもよい。
【0106】
さらに、前記実施形態において、ヒンジ片102,104、126,128の先端形状は半周に満たない周方向寸法を有する略湾曲板形状とされているが、半周を超える周方向寸法を有する略湾曲板形状としてもよい。また、ヒンジ片の先端形状を断面コ状の板形状等の略湾曲板形状以外の形状としてもよい。更にまた、前記実施形態において、係合用突部110,112,142,144と係合する係合片86,88,140は単に横方向に延びている部分であったが、内針を挟んで対向するヒンジ片側に突出する構成としてもよく、その突出高さは内針を超えて対向するヒンジ片側に至る高さにしてもよい。
【0107】
また、前記実施形態における係合片又は係合用突部に、係合片と係合用突部同士の摺動抵抗を低減するようなコーティングや形状工夫を施してもよい。
【0108】
なお、固定部材やプロテクタなどの各部材は、一体成形等で一体的に製造してもよく、或いは、各部分構成別体として製造して後に組み付けることで一体的な部材としてもよい。また、本安全機構は血管穿刺用留置針に好適に用いられるが、皮下ポート穿刺用留置針に用いられてもよく、外針から内針を引き抜く仕様のものであれば、本安全機構は有効に用いられる。
【0109】
さらに、前記実施形態では、弾性片66,68,136がヒンジ片102,104,126に設けられた係合用突部86,88,142に係合することで、側方(内方)への変位が規制されていたが、例えばヒンジ片と一体的、あるいは別体として形成された部材に弾性片が係合されることで、当該弾性片の側方(内方)への変位が規制されるようになっていてもよい。