(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記断熱層には、前記開口と連通される前記接続孔の出口周囲に、前記開口から前記キャビティ内へ充填し切れない余剰な未加硫ゴム材料を前記断熱層を通して前記材料供給装置側へ逃がすための逃げ道が設けられていることを特徴とする、請求項4に記載の成形装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
コンプレッション成形法や射出成形法を用いて、ゴム栓をシート状に成形した後、打ち抜きを行うことで製品化するというやり方は、打ち抜き後のシート残部はバリとなるため、使用した原材料の約40%が廃棄されることになり、原材料の無駄や廃棄ゴムが多いという課題があった。
一方、特許文献1に開示されているトランスファ成形法では、材料歩留りは向上するが、予備成形型及び製品成形型という2種類の成形型を用いて成形を行うため、成形金型や成形装置の部品点数が多くなり、かつ構成も複雑になるという課題が生じる。
【0006】
この発明は、このような背景のもとになされたもので、主たる目的は、原材料の無駄を少なくし、かつ、簡易な成形金型及び成形装置によって生産性(成形時間及び成形コスト)を大幅に向上させることのできる医療用ゴム栓の成形金型、成形装置及び製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するためのこの発明は、以下の構成を有している。
第1の発明は、未加硫ゴム材料をキャビティに充填して加硫成形する医療用ゴム栓のための成形金型であって、ゴム栓の一部に対応する凹部が形成された第1金型と、ゴム栓の残部に対応する凹部を有し、前記第1金型と組み合わせることによりゴム栓成形用キャビティ
の一部を区画する第2金型とを含み、前記第2金型の凹部には、ゴム栓の笠部を形成するための凹部が含まれており、当該笠部形成用凹部は、笠部頂面に対応する面が開放された開口とされており、前記開口は、前記ゴム栓成形用キャビティへの未加硫ゴム材料の充填口を構成していることを特徴とする医療用ゴム栓のための成形金型である。
【0008】
第2の発明は、未加硫ゴム材料を収容する収容室と、前記収容室に連通され、等径で真っ直ぐに延びる注出孔と、前記収容室に収容された未加硫ゴム材料を加圧し、前記注出孔から外部へ押し出す押し出し軸と、を含む材料供給装置と、前記注出孔の出口に前記開口が連通されるように組み合わされる第1の発明の成形金型と、を有することを特徴とする医療用ゴム栓の成形装置である。
【0009】
第3の発明は、前記押し出し軸は、その先端面が、前記注出孔の出口に連通された前記開口をぴったりと塞ぐ輪郭を有することを特徴とする成形装置である。
第4の発明は、前記材料供給装置と前記成形金型との間に、前記成形金型の発する熱が前記未加硫ゴム材料に伝搬するのを防止するための断熱層が設けられ、当該断熱層には、前記注出孔の出口と前記開口とを等径でつなぐ接続孔が形成されていることを特徴とする成形装置である。
【0010】
第5の発明は、前記断熱層には、前記開口と連通される前記接続孔の出口周囲に、前記開口から前記キャビティ内へ充填し切れない余剰な未加硫ゴム材料を前記断熱層を通して前記材料供給装置側へ逃がすための逃げ道が設けられていることを特徴とする成形装置である。
第6の発明は、第4または第5の発明に係る成形装置を用いた医療用ゴム栓の製造方法であって、前記収容室へ未加硫ゴム材料を収容し、前記押し出し軸によって未加硫ゴム材料を注出口から押し出し、前記ゴム栓成形用キャビティに未加硫ゴム材料を加圧充填し、前記押し出し軸の先端面によって未加硫ゴム材料が加圧充填されたキャビティの前記開口を塞ぎ、その状態で前記成形金型を加熱することによってキャビティに加圧充填されたゴム材料を加硫し、加硫後、前記第1金型と第2金型とを開いて成形金型から成形品を取り出すことを特徴とする医療用ゴム栓の製造方法である。
【0011】
第7の発明は、前記断熱層と入替え可能に、または、前記断熱層と前記成形金型との間に配置可能に設けられた樹脂フィルムラミネート用の成形プレートを有し、前記成形プレートは、ラミネートする樹脂フィルムの位置決め穴が形成されたガイドプレートと、前記ガイドプレートに対して上下に開閉可能に設けられた押圧用の加圧プレートとを含むことを特徴とする成形装置である。
【0012】
第8の発明は、第1の発明に係る成形金型、または、第2〜5のいずれかの発明に係る成形装置を用いた医療用ゴム栓の製造方法であって、製造するゴム栓の表面にラミネートするための樹脂フィルムを前記第1金型の前記凹部の内面に沿って、予め配置する工程を含むことを特徴とする医療用ゴム栓の製造方法である。
第9の発明は、第7の発明に係る成形装置を用いた医療用ゴム栓の製造方法であって、前記収容室へ未加硫ゴム材料を収容し、前記押し出し軸によって未加硫ゴム材料を抽出口から押し出し、前記ゴム栓成形用キャビティに未加硫ゴム材料を加圧充填し、前記押し出し軸の先端面によって未加硫ゴム材料が加圧充填されたキャビティの前記開口を塞ぎ、その状態で前記成形金型を所定時間加熱し、所定時間の加熱後、キャビティの前記開口を開き、前記ガイドプレートと加圧プレートとの間にラミネートする樹脂フィルムがセットされた成形プレートを前記開口の上面に配置して前記材料供給装置を用いて成形プレートを成形金型側へ加圧し、その状態で前記成形金型を加熱することによってキャビティに加圧充填されたゴム材料の加硫を完了させると共に、前記樹脂フィルムをゴム材料の頂面に加硫接着させ、前記第1金型と第2金型とを開いて成形金型から成形品を取り出すことを特徴とする医療用ゴム栓の製造方法である。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、成形金型を工夫することによりバリなし成形を行うことができるので、必要量の原材料を使用して成形を行え、バリとして廃棄される廃棄物を減らすことができる。また、原材料であるコンパウンドの使用量の削減が可能となる。
また、バリなし成形を行うことで、打ち抜き工程が不要となり、生産性(成形時間及び成形コスト)の向上を図ることができる。
【0014】
また、ゴム栓の表面に樹脂フィルムがラミネートされたものについても、バリなし成形を行うことができる。
さらに、打ち抜き工程における製品形状のばらつきを抑えることができ、成形金型により形状が厳格に維持されるため、寸法安定性の向上を図ることができる。
また、廃棄物を減らすことができるので、いわゆる省エネを実現した医療用ゴム栓の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下には、図面を参照して、この発明の実施形態について具体的に説明をする。
図1は、この発明の一実施形態に係る成形装置により成形された医療用ゴム栓の一例を示す縦断面図である。すなわち、バイアル瓶用のゴム栓1の縦断面図である。
ゴム栓1は、平面視円形をした笠部2と、笠部2の下面側から下方に延び出た円環状の脚部(挿入部)3とを含んでいる。ゴム栓1がバイアル瓶4の口部5に嵌められてバイアル瓶4に栓がされた状態では、脚部3の外周面と、その外周面6に連設された笠部2の外側下面7とがバイアル瓶4の口部5に密着されるものである。
【0017】
ゴム栓1は、この例では、笠部2の直径R1が、R1=19.0mm、脚部(挿入部)3の外径R2が、R2=13.2mm、ゴム栓1の高さHが、H=11.0mm、笠部2の頂面8の直径R3が、R3=16.0mmとなっている。
図2〜
図4は、この発明の一実施形態に係る医療用ゴム栓の成形装置10の構成及び動作を説明するための図であり、
図2は準備状態、
図3は加圧状態、
図4は加硫状態をそれぞれ示している。
【0018】
図2〜
図4において、医療用ゴム栓の成形装置10には、第1金型11及び第2金型12が備えられている。第1金型11及び第2金型12は組み合わされる金型対である。第1金型11にはゴム栓1の一部(具体的には脚部3及び笠部2の下方部)に対応する凹部13が形成されている。また、第2金型12にはゴム栓1の残部(具体的には笠部2の上方部)に対応する凹部14が形成されている。そして図示のように第1金型11の上に第2金型12が組み合わされることにより、ゴム栓1を成形するためのキャビティ15が区画される。
【0019】
この実施形態では、第2金型12に形成された凹部14は、ゴム栓1の笠部2の頂面に対応する面が開放された開口16とされている。すなわち、開口16は円形で、その口径はφであり、φ=R3=16.0mmとされている。そして開口16は、キャビティ15への未加硫ゴム材料の充填口を構成している。
第2金型12の上面には断熱層17が設けられ、断熱層17の上には材料供給装置18が配置されている。材料供給装置18には、未加硫ゴム材料を収容するための収容室19を有するポット20と、収容室19内に収容された未加硫ゴム材料を加圧して押し出すための加圧押し出し装置21とが含まれている。
【0020】
加圧押し出し装置21は、基板22と、基板22の中心から下方に延び出した軸径φの円柱状の押し出し軸23と、押し出し軸23に対して同心状に押し出し軸23の周囲に嵌合された環状の押し出し板24とを含んでいる。押し出し板24は、その直径がφ2とされている。押し出し軸23に対して押し出し板24は軸方向に摺動可能に係合されている。押し出し板24と基板22との間にはばねなどの弾力付勢体25が設けられており、押し出し板24を下方に向けて弾力的に付勢している。
【0021】
ポット20に形成された収容室19は、平面視円形をしており、その内径はφ2とされている。収容室19の底面26にはその中央部から下方へ通じる注出孔27が形成されている。注出孔27の内径はφとされている。
さらに、注出孔27を第2金型12の開口16に連通させるために、断熱層17には内径φの接続孔28が形成されている。注出孔27及び接続孔28は内径φの等径で真っ直ぐに延び、第2金型12の口径φの開口16に連通されている。
【0022】
図2に示す準備状態では、収容室19内にゴム栓1の成形に必要な量の未加硫ゴム材料が収容され、ポット20によって例えば70〜100℃に加熱される。この状態から、図示しないプレス装置により加圧押し出し装置21に下向きの圧力が加えられ、加圧押し出し装置21はポット20に向かって降下される。
そして、
図3に示すように、押し出し軸23及び押し出し板24によって収容室19内に収容された未加硫ゴム材料が押圧され、注出孔27及び接続孔28を通って開口16からキャビティ15へと充填される。
【0023】
加圧押し出し装置21が降下されると、最初は、押し出し軸23の先端面29と押し出し板24の下面とは面一になっており、収容室19内の未加硫ゴム材料は押し出し軸23及び押し出し板24によって全体が押圧される。このため収容室19内の未加硫ゴム材料は、注出孔27及び接続孔28へと流れ込み、開口16からキャビティ15内へと移動する。
【0024】
図3に示すように、押し出し軸23の先端面29及び押し出し板24の下面が収容室19の底面26に近接する状態まで下がると、押し出し板24はそれ以上降下できなくなるが、加圧押し出し装置21にはさらにプレス装置による圧力が掛け続けられる。このため、圧力は弾力付勢体25の付勢力に勝ち、押し出し軸23だけがさらに降下され、
図4に示すように、押し出し軸23の先端面29が開口16をぴったりと塞ぐ位置まで降下(加圧)される。
【0025】
換言すれば、キャビティ15に備えられた充填口としての開口16は、キャビティ15内にゴム材料が加圧充填された後、押し出し軸23の先端面29によってぴったりと塞がれ、開口16は閉じた状態にされる。
このとき、キャビティ15内に充填し切れず余剰となったゴム材料は、断熱層17の接続孔28の出口周囲に下方から上方へ向かって斜めに延びるように形成された狭い逃げ道30を通って断熱層17の上方、すなわち材料供給装置18側へと逃げる。押し出し軸23が降下することにより、押し出し軸23の先端面29の周縁角で逃げ道30へ逃げた余剰な未加硫ゴム材料はカットされ、先端面29は開口16に嵌合する。つまり、未加硫ゴムの充填口である開口16において、逃げ道30へ逃げた余剰のゴムは押し出し軸23の先端面29の角で切断され、いわゆるバリカットがされた状態となる。
【0026】
そして、キャビティ15内に未加硫ゴム材料が加圧充填された後、金型11,12が加熱されてキャビティ15内のゴムが加硫される。加硫時には、第1金型11及び第2金型12共に、約180℃程度に加熱される。
加硫完了後、加圧押し出し装置21が上方へ変位され、ポット20、断熱層17、第1金型11及び第2金型12が分離されて、成形品が取り出される。
【0027】
この実施形態の成形装置10は、以上のような構成及び動作を行うため、ポット20の収容室19内に残った未加硫ゴム材料は再利用することができる。
また、逃げ道30から逃げたゴム材料は、断熱層17によって第2金型12から隔離されているため、加硫温度まで温度が上昇せず、再利用することが可能であるが、廃棄しても構わない。
【0028】
この実施形態では、キャビティ15の開口16は押し出し軸23の先端面29で塞がれ、それがゴム栓1の笠部2の頂面となるので、笠部2の周囲にバリが発生することはない。
図5は、この発明の実施形態に係る成形装置により成形された別の医療用ゴム栓50を示す縦断面図である。すなわち、バイアル瓶用のゴム栓50の縦断面図である。
図5において、符号2〜8は、
図1における構成と同じ構成を示す。
【0029】
医療用ゴム栓は、用途により、笠部の頂面に密着防止用の樹脂フィルムがラミネートされた構造を必要とする製品がある。また、脚部(瓶への挿入部)にフッ素樹脂等の樹脂フィルムがラミネートされた構造を必要とする製品がある。
図5に示すゴム栓50は、笠部2の頂面8にラミネートされた樹脂フィルム層52及び脚部3の外周面及び脚部3で囲まれた笠部2の下面2aにラミネートされた樹脂フィルム層51を備えている。なお、笠部2の外側下面7は、瓶4の口部5との高いシール性が要求されるので、ゴムが露出しており、樹脂フィルムはラミネートされていない。
【0030】
図6(A)〜(D)は、脚部に樹脂フィルムがラミネートされたゴム栓50を作るための成形装置の部分構成及びその動作を説明するための図である。
ゴム栓50の脚部に樹脂フィルムをラミネートするために、
図6(A)〜(D)に示すように、第1金型11が用いられる。
第1金型11は、ゴム栓50の脚部3及び笠部2の下面2a,7(
図5を参照)に対応する凹部13が形成された下金型である。この第1金型11の上に、ラミネートする樹脂フィルム51がセットされる(
図6(A))。樹脂フィルム51は、例えば厚み50〜100μm程度のETFE(テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体)フィルムを用いることができる。なお、用いる樹脂フィルムは、ETFEに限定されず、種々の樹脂フィルム、例えばPTFE、変性PTFE、PFA、FEP、PCTFEなどを用いてもよい。
【0031】
そして、例えば、エアブロー方式で上方からETFEフィルム51を加圧し、ETFEフィルム51を第1金型11の凹部13の内面に沿わせて密着させる(
図6(B))。なお、エアブロー方式ではなく、凹部13にぴたりと嵌合する押し金型を用いてもよい。ETFEフィルム51の加圧は、一例として、180℃で6分間行ってもよい。これにより、ETFEフィルム51を凹部13の内面に沿った形状にプレ成形できる。
【0032】
その後、第1金型11の凹部13の外周縁部を境にして、第1金型11の上面のフィルム部分を、例えばカッター55によりカットする((
図6(C))。これにより、凹部13の内面に沿ってETFEフィルム51が配置された第1金型11が得られる(
図6(D))。
次に、ETFEフィルム51が配置された第1金型11(
図6(D)を参照)を移動して、
図7に示すように、医療用ゴム栓の成形装置10(この成形装置10は、
図2を参照して説明したものと同じものである。)の第1金型11として配置する。その後は、
図8及び
図9に示すように、すなわち先に
図2〜
図4を参照して説明した成形装置10の成形動作と同様に、未加硫ゴム材料の充填・加圧が行われる。
【0033】
より効率的に、ゴム栓50を連続的に成形するために、第1金型11を2面(2つ)準備してもよい。そして、第1金型11の1面を用いて、その凹部13にETFEフィルム51が配置されたものを準備し、それを成形装置10に移動させて、未加硫ゴム材料の充填・加圧が行われる間に、第1金型11の2面を用いて、その凹部13にETFEフィルム51を配置する樹脂フィルムのプレ成形処理を行う。そうすれば、凹部13にETFEフィルム51が配置された第1金型11を、交互に成形装置10へ移動させ、ゴム栓50の連続成形を行うことができる。
【0034】
なお、
図9に示す加圧処理では、次に説明するように、ゴム栓50の笠部2の頂面8に樹脂フィルム52をラミネートする場合は、ゴム材料が完全に加硫してしまわないように、例えば、1.5分から4分程度の短めの加圧時間が設定される。
次に、
図9に示す加圧処理を行った後、ゴム栓50の笠部2の頂面8に樹脂フィルム52をラミネートするための成形装置の構成及び動作について説明する。
【0035】
図10は、ゴム栓50の笠部2の頂面8に樹脂フィルム52をラミネートするために用いられる成形プレート60の一例を示す図解的な側面断面図である。成形プレート60は、位置決め用の穴63のあいたガイドプレート61と、ガイドプレート61に対して上下方向に動いて開閉する押圧用の加圧プレート62とを含む。ガイドプレート61は、例えば、プレートの厚みTがT=0.1mmの薄板で、金属板等で形成されている。ガイドプレート61には、例えば、直径φがφ=16.0mmの穴63が形成されている。加圧プレート62は、厚みのある、例えば、円盤状の金属板で、その下面中央部に、直径φ=16.0mmの円形凸部64が備えられている。凸部64の突出寸法Pは、例えばP=0.1〜0.15mmである。加圧プレート62が下方へ動いてガイドプレート61の上面に当接されると、凸部64が穴63にぴたりと嵌まり込む構成である。
【0036】
ゴム栓50の笠部2の頂面8にラミネートする樹脂フィルム52は、成形プレート60のガイドプレート61と加圧プレート62が開いた状態において、ガイドプレート61及び加圧プレート62の間にセットされる。
次に、
図9に示す加圧処理を行った後、
図11に示すように、第2金型12の上に配置されている断熱層17及び材料供給装置18(ポット20及び加圧押し出し装置21)が上方へ移動され、第2金型12の上に成形プレート60を配置する領域(空隙)が確保される。そして、この領域(空隙)に、樹脂フィルム52がセットされた成形プレート60が配置される。
【0037】
なお、上記の操作に代えて、断熱層17と成形プレート60を入れ替えることにより、第2金型12の上に成形プレート60を配置してもよい(
図12を参照)。
そして、
図12に示すように、第2金型12の上に配置された成形プレート60を材料供給装置18を用いて加圧すると共に、金型11及び12が加熱され、キャビティ15内のゴムが完全に加硫される。これにより、笠部2の頂面8に積層される樹脂フィルム52は、ゴムと加硫接着する。この実施例では、
図12に示す状態の加圧・加熱は、2〜3.5分程度行われる。
【0038】
なお、この実施形態では、材料供給装置18全部を用いて加圧する例を示したが、材料供給装置18のうちのポット20は外し、加圧押し出し装置21だけを用い、成形プレート60を上から加圧するようにしてもよい(
図13を参照)。
加熱・加圧が完了した後、加圧押し出し装置21による加圧が解除され、第2金型12の上から成形プレート60が上方へ開かれる。このとき、笠部2の頂面8にラミネートされた樹脂フィルム52の残りのフィルムは、ガイドプレート61と加圧プレート62とに挟まれたまま上方へ移動され、その後廃棄される。
【0039】
そして、第1金型11及び第2金型12が開かれて、樹脂フィルム51、52がラミネートされたゴム栓50が金型から取り出される。
上記実施形態の説明では、ゴム栓50は、その脚部及び頂面の双方に樹脂フィルムがラミネートされた構成のものを例にとり、それに用いる成形装置について説明した。しかし、ゴム栓50が、例えば脚部にだけ樹脂フィルムがラミネートされた構成のものが望まれる場合(このようなゴム栓を、ゴム栓50aとする)、または、頂面だけ樹脂フィルムがラミネートされた構成のものが望まれる場合(このようなゴム栓を、ゴム栓50bとする)には、それぞれ、前者の場合は、
図10〜
図13を参照して説明した処理を省略すればよい。また、後者の場合は、
図6(A)〜(D)を参照して説明した処理を省略すればよい。
【実施例】
【0040】
IIR系のバイアルゴム栓用配合を用いて、10mlバイアル瓶向けのゴム栓1、ゴム栓50a及びゴム栓50bを作成した。
【0041】
<製造方法>
実施例1は、この発明の実施形態で説明した成形装置10を用いてゴム栓1を作成した。
比較例1は、圧縮成形法、打ち抜き工程を含む成形方法でゴム栓1を作成した。
実施例2は、この発明の実施形態で説明した成形装置10及び
図6(A)〜(D)で説明した脚部にラミネートするための樹脂フィルムのプレ成形を用いて脚側ラミネート付ゴム栓50aを作成した。
比較例2は、圧縮成形法、打ち抜き工程を含む成形方法でゴム栓50aを作成した。
実施例3は、この発明の実施形態で説明した成形装置10及び
図10〜13で説明した頂面に樹脂フィルムをラミネートする工程を加えて頂面ラミネート付ゴム栓50bを作成した。
比較例3は、圧縮成形法、打ち抜き工程を含む成形方法でゴム栓50bを作成した。
【0042】
<試験方法>
25個取りの金型を作成し、ゴム栓作成の状況を10ショット分実行して比較した。
<比較の内容>
(1)廃棄するゴムの量
(2)製品寸法(製品の高さ)
(3)溶出物試験
について、比較試験を行った。
【0043】
試験結果は、表1〜3に示す通りである。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】
【表3】
【0047】
表1〜3の結果から、この発明の各実施例によれば、各比較例と比べて、ゴム使用量を大きく削減でき、しかもゴムの廃棄量を極めて大きく削減できていることが理解できる。