(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。但し、第2実施形態以降の各実施形態において、第1実施形態と同一又は類似の構成要素は、第1実施形態と同一又は類似の符号で表し、詳細な説明を適宜省略する。また、第2実施形態以降の各実施形態において得られる効果について、第1実施形態と同様のものについては説明を適宜省略する。各実施形態の図面は例示であり、各部の寸法や形状は模式的なものであり、本願発明の技術的範囲を当該実施形態に限定して解するべきではない。
【0014】
各々の図面には、各々の図面相互の関係を明確にし、各部材の位置関係を理解する助けとするために、便宜的にX軸、Y軸、及びZ軸からなる直交座標系(XYZ座標系)を付すことがある。この場合、例えば、X軸と平行な方向を「X軸方向」と呼ぶこととする。他の軸と平行な方向についても同様とする。以下の説明において、Z軸正方向側を上(上方)と呼ぶこととする。なお、X軸方向は、矢印の正方向に限定されず、矢印とは反対の負方向も含むものとする。また、X軸及びY軸によって特定される面と平行な面を「XY面」と呼ぶこととし、以下、他の軸によって特定される面と平行な面についても同様とする。
【0015】
<第1実施形態>
まず、
図1及び
図2を参照しつつ、本発明の第1実施形態に係る半導体装置100の構成について説明する。
図1は、第1実施形態に係る半導体装置の構成を概略的に示す断面図である。
図2は、第1実施形態に係る半導体装置の構成を概略的に示す平面図である。
【0016】
半導体装置100は、例えば、回路や素子等を備えた集積回路に相当する。半導体装置100は、半導体基板110、絶縁膜120、給電線170、及びポーラス金属酸化膜180を備えている。
【0017】
半導体基板110は、XY面と平行な第1主面110A及び第2主面110Bを有している。第1主面110AはZ軸正方向側の主面であり、第2主面110BはZ軸負方向側の主面である。第1主面110Aの法線方向から視たとき、半導体基板110は矩形状である。但し、半導体基板110の形状は上記に限定されるものではなく、多角形状、円形状、楕円状、又はこれらを組み合わせた形状であってもよい。
【0018】
半導体基板110は、陽極酸化処理の際に、半導体基板110の第1主面110A側に設けられる陽極へと化成電圧を給電するための外部端子が接続される給電パッドとして機能する。具体的には、製造工程において、半導体基板110の第1主面110A側には被陽極酸化膜が設けられ、半導体基板110の第2主面110B側に接続された外部端子から給電される。こうして、被陽極酸化膜が陽極酸化され、半導体基板110の第1主面110A側に陽極酸化膜であるポーラス金属酸化膜180が形成される。このように半導体基板110の第2主面110Bから第1主面110Aに給電するため、半導体基板110は、第1主面110A側においてポーラス金属酸化膜180に電気的に接続された接続部111を有し、第2主面110B側から第1主面110A側の接続部111に給電経路を提供するように構成されている。
【0019】
ここで、半導体装置100を、半導体基板ウェハの第1主面側に設けられた給電パッドから導出される複数の給電線を通して複数の被陽極酸化膜に化成電圧を給電して形成される半導体装置と比較する。すなわち、半導体基板に接続部が設けられておらず、第1主面側においてポーラス金属酸化膜に電気的に接続された給電線のみが残留する半導体装置と比較する。本実施形態によれば、例えば、半導体基板ウェハの第1主面側に給電パッドや給電線を設けなくてもよいため、半導体基板ウェハ1枚に対して製造可能な半導体装置100の数を増加させることができる。また、半導体装置100においては、各々の被陽極酸化膜に化成電圧を供給する各々の給電線の長さの違いによる、化成電圧の変動を抑制することができる。つまり、半導体装置100においては、同一の半導体基板ウェハに形成される複数のポーラス金属酸化膜間での細孔の密度や寸法の変動を抑制することができる。以上のことから、製造効率を改善することが可能な半導体装置100を提供することができる。また、ポーラス金属酸化膜が半導体装置に転写によって設けられる構成と比較して、半導体装置100においては、ポーラス金属酸化膜180の密着強度を向上させることができる。したがって、半導体装置100の信頼性の改善を図ることが可能である。
【0020】
半導体基板110は、例えばp型又はn型のシリコン基板によって形成されている。半導体基板110の材料は特に限定されるものではなく、シリコンカーバイド(SiC)、ガリウム砒素(GaAs)、等の化合物半導体基板によって形成されてもよい。半導体基板110は、第2主面110Bに半導体を有する基板であれば上記に限定されるものではなく、例えばSOI(Silicon on Insulator)基板であってもよい。半導体基板110の電気抵抗率は、100Ω・cm以下であることが望ましい。これによれば、半導体基板110の第2主面110Bに外部端子を接続して化成電圧を印加する際に、半導体基板110内部での電力損失を低減することができる。したがって、半導体基板ウェハ内における各々の半導体基板110の位置による、ポーラス金属酸化膜180の細孔の密度や寸法の変動を抑制することができる。
【0021】
接続部111は、半導体基板110の第1主面110Aにおいて、周囲よりも電気抵抗率の低い領域を有しているのが望ましい。例えば、半導体基板110がシリコン基板である場合、接続部111は、不純物濃度が周囲よりも高い高濃度領域を有している。これによれば、半導体基板110と給電線170との界面をオーミック接触とすることができる。つまり、半導体装置100の製造工程においては、半導体基板110と給電線170との界面における電力ロスを低減することができる。
【0022】
絶縁膜120は、半導体基板110とポーラス金属酸化膜180との間に設けられている。絶縁膜120は、例えば、半導体基板110の第1主面110Aを覆っている。絶縁膜120は、例えば、シリコン酸化物(SiO
2)、シリコン窒化物(SiN)、アルミナ(Al
2O
3)、等によって設けられる。絶縁膜120は、PVD(Physical Vapor Deposition)法やCVD(Chemical Vapor Deposition)法によって設けられる。絶縁膜120は、半導体基板110の熱酸化によって設けられてもよい。例えば、半導体基板110がシリコン基板である場合、半導体基板110を熱酸化することによりシリコン酸化物である絶縁膜120を設けることができる。
【0023】
絶縁膜120には、貫通孔CH11が形成されている。貫通孔CH11は、絶縁膜120をZ軸方向に貫通している。貫通孔CH11は、半導体基板110の第1主面110Aを平面視したとき、接続部111と重なっている。つまり、ポーラス金属酸化膜180は、貫通孔CH11を通して、半導体基板110の接続部111と電気的に接続されている。このように、半導体基板110とポーラス金属酸化膜180との間に絶縁膜120が設けられたとしても、半導体装置100においては、半導体基板110の第2主面110B側からの給電によりポーラス金属酸化膜180を形成することができる。
図3に示した例では、貫通孔11はポーラス金属酸化膜180と重なっているが、ポーラス金属酸化膜180の外側にあってもよい。なお、絶縁膜120は省略されてもよい。つまり、ポーラス金属酸化膜180は、半導体基板110の上、又は多層基板の半導体層の上に設けられてもよい。
【0024】
給電線170は、接続部111とポーラス金属酸化膜180とを電気的に接続している。給電線170は、第1金属膜の一部に相当し、絶縁膜120の上、及び貫通孔CH11の内部に設けられている。給電線170を備えることで、半導体基板110の第1主面110Aを平面視したときに、ポーラス金属酸化膜180の外側に接続部111を設けることができる。したがって、半導体基板110とポーラス金属酸化膜180との間に素子や回路等を設けることができる。給電線170は、半導体基板110の接続部111に接触し、ポーラス金属酸化膜180の半導体基板110側の面に接触している。つまり、半導体基板110の第1主面110Aを平面視したとき、給電線170がポーラス金属酸化膜180と重なっている。このため、被陽極酸化膜を陽極酸化してポーラス金属酸化膜180を形成するとき、被陽極酸化膜の面内における化成電圧の変動を抑制することができる。したがって、ポーラス金属酸化膜180の面内における細孔の密度や寸法の変動を抑制することができる。
【0025】
給電線170は、Al,Cu,Ti,Ta、等を備えている。給電線170は、単層構造でも多層構造でもよい。多層構造の場合、給電線170は、例えば、絶縁膜120側にTi,TiN,Ta,TaN、等を有するバリア層を備え、反対側には同様のキャップ層を備えている。バリア層とキャップ層との間には、W,Al,Cu、等を有する導電層を備えている。
【0026】
ポーラス金属酸化膜180は、半導体基板110の第1主面110A側に形成されている。ポーラス金属酸化膜180は、複数の細孔181を有する。複数の細孔181は、ポーラス金属酸化膜180において半導体基板110側とは反対側に開口し、Z軸方向に延在している。これによれば、ポーラス金属酸化膜180の半導体基板110側とは反対側の表面積を増大させることができる。複数の細孔181は、例えば、XY面と平行な方向に規則的に配列している。複数の細孔181それぞれの開口形状は、半導体基板110の第1主面110Aを平面視したとき、例えば六角形状である。複数の細孔181それぞれの開口形状は、上記に限定されるものではなく、三角形や四角形等の多角形状、円形状、楕円形状、及びこれらの組み合わせであってもよい。
【0027】
ポーラス金属酸化膜180の例としては、アルミニウム酸化物(Al
2O
3)、タンタル酸化物(Ta
2O
5)、チタン酸化物(TiO
2)、ジルコニウム酸化物(ZrO
2)、シリコン酸化物、スズ酸化物、亜鉛酸化物、タングステン酸化物等の陽極酸化膜を挙げることができる。但し、ポーラス金属酸化膜180は上記に限定されるものではなく、その他の陽極酸化膜であってもよい。例えば、ポーラス金属酸化膜180は、AlSi、AlCu、AlSiCu、等の合金の陽極酸化膜であってもよい。
【0028】
次に、
図3〜
図10を参照しつつ、第1実施形態に係る半導体装置100の製造方法について説明する。
図3は、第1実施形態に係る半導体装置の回路としての実装例を概略的に示す回路図である。
図4は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法のうち、被陽極酸化膜を形成する工程を概略的に示すフローチャートである。
図5は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法のうち、陽極酸化する工程を概略的に示すフローチャートである。
図6は、絶縁膜を設ける工程を概略的に示す断面図である。
図7は、高濃度領域を設ける工程を概略的に示す断面図である。
図8は、被陽極酸化膜を設ける工程を概略的に示す断面図である。
図9は、被陽極酸化膜に複数の凹部を設ける工程を概略的に示す断面図である。
図10は、半導体基板ウェハを割断して、複数の半導体装置へと個片化する工程を概略的に示す断面図である。
【0029】
まず、半導体基板Z10を準備する(S11)。ここで、互いに対向する第1主面Z10A及び第2主面Z10Bを有する半導体基板Z10を準備する。半導体基板Z10は、複数の半導体装置を形成することが可能な集合基板に相当し、半導体基板ウェハや、半導体基板ウェハを分割したものが用いられる。半導体基板Z10は、一般的な半導体基板ウェハの形成工程によって準備される。
【0030】
次に、絶縁膜Z20を設ける(S12)。絶縁膜Z20は、半導体基板Z10の第1主面Z10A側に設けられる。
図5に示すように、絶縁膜Z20は、半導体基板Z10の第1主面Z10Aを覆う。絶縁膜Z20は、PVD法、CVD法、熱酸化処理、等によって設けられる。なお、先に絶縁膜Z20を準備し、絶縁膜Z20の上に半導体基板Z10を設けてもよい。例えば、絶縁膜Z20の上に、LTPS(Low−Temperature Polycrystalline Silicon)等の半導体薄膜を半導体基板Z10として設けてもよい。
【0031】
次に、絶縁膜Z20に貫通孔CHZ1を形成する(S13)。まず、絶縁膜Z20を覆うようにレジストZ01を設ける。次に、
図6に示すように、貫通孔CHZ1に対応する開口部をレジストZ01にパターニングする。次に、レジストZ01をマスクとして用い、絶縁膜Z20をエッチングする。
【0032】
次に、半導体基板Z10にイオン注入する(S14)。半導体基板Z10の第1主面Z10A側から不純物イオンを注入する。このとき、絶縁膜Z20をマスクとして用い、貫通孔CHZ1を通して接続部Z11に不純物イオンを注入する。これによって、接続部Z11を高濃度領域とすることができる。なお、接続部Z11の形成方法は、電気抵抗率を低下させることができれば上記の方法に限定されず、エキシマレーザ照射、プラズマ処理、等を利用してもよい。
【0033】
次に、給電線Z70を設ける(S15)。給電線Z70は、絶縁膜Z20の上に設けられる。このとき、給電線Z70は、貫通孔CHZ1の内部を埋めて、接続部Z11に接触する。なお、接続部Z11の内部はビア電極によって埋められてもよい。このような構成においては、給電線Z70は、ビア電極を通して接続部Z11と電気的に接続される。また、このような構成においては、絶縁膜Z20のZ軸方向に沿った厚みが大きい場合であっても、給電線Z70と半導体基板Z10との間での電気的接続の断線を抑制することができる。
【0034】
次に、被陽極酸化膜Z89を設ける(S16)。被陽極酸化膜Z89は、給電線Z70の上に設けられる。被陽極酸化膜Z89の材料は、陽極酸化処理によってポーラス金属酸化膜を形成するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、Al,Ta,Ti,Zr,Sn,Zn,AlSi,AlCu,AlSiCu、等によって設けられる。給電線Z70及び被陽極酸化膜Z89は、パターニングされる。
図7に示した例では、給電線Z70及び被陽極酸化膜Z89は、レジストZ02を用いたエッチングによってパターニングされる。給電線Z70及び被陽極酸化膜Z89は、一括して同じパターンにエッチングされてもよく、それぞれ異なるパターンにエッチングされてもよい。
【0035】
次に、被陽極酸化膜Z89に複数の凹部STを形成する(S21)。
図8に示すように、複数の凹部STは、被陽極酸化膜Z89の半導体基板Z10側とは反対側に設けられる。複数の凹部STは、ポーラス金属酸化膜の複数の細孔の開始点に相当する。つまり、複数の細孔は、複数の凹部STからZ軸方向に沿って形成される。複数の凹部STは、モールドを被陽極酸化膜Z89に押し付けて、モールド表面の凹凸を転写することによって形成される。このように予め被陽極酸化膜Z89に複数の凹部STを設けることを、テクスチャリング処理と称する。テクスチャリング処理を施すことによって、ポーラス金属酸化膜の複数の細孔の規則性を高めることができる。複数の凹部STの形状や配列によって、ポーラス金属酸化膜の複数の細孔の形状や配列を制御することができる。なお、被陽極酸化膜Z89に複数の凹部STを形成する工程は省略してもよい。このような場合であっても、陽極酸化処理の条件を好適に設定することで、ポーラス金属酸化膜には自己組織化によって複数の細孔が形成される。
【0036】
次に、レジストZ03をパターニングする(S22)。レジストZ03は、陽極酸化処理の時に被陽極酸化膜Z89の側面や給電線Z70の電解液との接触を防ぐためのものであり、被陽極酸化膜Z89とZ軸方向で対向する領域において開口している。
【0037】
次に、給電治具をセットする(S23)。給電治具は、半導体基板Z10の第2主面10Bに接続される。給電治具は、半導体基板Z10と外部電源を電気的に接続するとともに、エアチャック等によって半導体基板Z10を保持する。
【0038】
次に、被陽極酸化膜Z89の表面を電解液に浸漬する(S24)。例えば、被陽極酸化膜Z89がAl、AlSi、AlCu、AlSiCuの場合、電解液は硫酸、シュウ酸、リン酸などを用いることができる。
【0039】
次に、陽極酸化処理を行う(S25)。被陽極酸化膜Z89に陽極として5〜100Vの化成電圧を給電する事で、直径5〜200nmの細孔を持つポーラス金属酸化膜Z80を形成することができる。その後、ポーラス金属酸化膜Z80をリン酸などのアルミナを溶解させる事のできる溶液に浸漬することにより、所望の大きさまで細孔の直径を拡大することもできる。なお、給電方法としては直流法だけでなく、交流法や交直重畳法やパルス法を適用することもできる。
【0040】
次に、レジストを除去する(S26)。レジストZ03を除去した後、半導体基板Z10をダイシングラインBLに沿って切断し、複数の半導体装置Z00へと個片化する。半導体基板Z10の切断方法は、ダイシングソーによるものでもよく、レーザを利用したステルスダイシングであってもよい。
【0041】
次に、
図11を参照しつつ、第2実施形態に係る半導体装置200の構成について説明する。
図11は、第2実施形態に係る半導体装置の構成を概略的に示す断面図である。
【0042】
第2実施形態に係る半導体装置200は、半導体装置100と同様、半導体基板210、絶縁膜220、給電線270、及びポーラス金属酸化膜280を備えている。また、半導体基板210には接続部211が設けられ、給電線270は貫通孔CH21を通して半導体基板210と電気的に接続されている。
【0043】
第2実施形態に係る半導体装置200は、絶縁膜230,240、信号線231,232,241,242、電極パッド233,243、及び素子261を備えている点で、半導体装置100と相違している。
【0044】
絶縁膜230は、絶縁膜220とポーラス金属酸化膜280との間に設けられている。絶縁膜230は、絶縁膜220の上に設けられている。絶縁膜240は、絶縁膜230とポーラス金属酸化膜280との間に設けられている。絶縁膜240は、絶縁膜230の上に設けられている。絶縁膜230には貫通孔CH22が形成され、絶縁膜240には貫通孔CH23が形成されている。貫通孔CH22は絶縁膜240も貫通している。なお、貫通孔CH21は、絶縁膜230及び絶縁膜240も貫通している。
【0045】
信号線231,232,241,242は、半導体装置200への入力信号、又は半導体装置200からの出力信号を伝達する。信号線231は絶縁膜220と絶縁膜230との間に設けられ、信号線232は貫通孔CH22の内部及び絶縁膜240の上に設けられている。信号線232は、外部回路に電気的に接続される。信号線231は、貫通孔CH22において、信号線232と電気的に接続されている。信号線241は絶縁膜230と絶縁膜240との間に設けられ、信号線242は貫通孔CH23の内部及び絶縁膜240の上に設けられている。信号線242は、外部回路に電気的に接続される。信号線241は、貫通孔CH23において、信号線242と電気的に接続されている。給電線270、信号線232、及び信号線242は、それぞれ第1金属膜の一部に相当する。給電線270、信号線232、及び信号線242は、同じ工程によって同時に設けることができる。但し、給電線270、信号線232、及び信号線242は、それぞれ、互いに電気的に分離されている。これによれば、半導体基板210及び給電線270を接地することができる。
【0046】
電極パッド233は、外部回路と電気的に接続するための接続端子であり、信号線232の上に設けられている。電極パッド243は、外部回路と電気的に接続するための接続端子であり、信号線242の上に設けられている。電極パッド233及び電極パッド243は、例えばワイヤボンディングによって外部回路と接続されるため、ボンディングワイヤとの密着性が良好な材料によって構成されることが望ましい。ポーラス金属酸化膜280の陽極酸化前の被陽極酸化膜は、電極パッド233及び電極パッド243と同層の金属膜として形成されてもよい。つまり、被陽極酸化膜は、電極パッド233及び電極パッド243と同じ工程によって同時に設けられる。そして、被陽極酸化膜だけが陽極酸化され、ポーラス金属酸化膜280となってもよい。このとき、ポーラス金属酸化膜280は、電極パッド233及び電極パッド243に含まれる金属材料の酸化物を有することとなる。これによれば、半導体装置の製造工程を簡略化することができる。
【0047】
素子261は、絶縁膜220と絶縁膜230との間に設けられ、信号線231に電気的に接続されている。素子261は、例えば、半導体基板210とポーラス金属酸化膜280との間に設けられている。素子261は、レジスタ、インダクタ、キャパシタ、ダイオード、TFT(Thin Film Transistor)等の回路素子、半導体素子、等の各種素子、又はこれらを組み合わせた回路である。このように、半導体装置200によれば、積層によって集積された回路基板に直接ポーラス金属酸化膜280を形成することができる。
【0048】
半導体装置200においては、半導体基板210とポーラス金属酸化膜280との間に絶縁膜がさらに積層されてもよい。また、半導体装置200においては、半導体基板210とポーラス金属酸化膜280との間に、半導体膜や金属膜がさらに積層されてもよい。
【0049】
次に、
図12を参照しつつ、第3実施形態に係る半導体装置300の構成について説明する。
図12は、第3実施形態に係る半導体装置の構成を概略的に示す断面図である。
【0050】
第3実施形態に係る半導体装置300は、半導体装置200と同様、半導体基板310、絶縁膜320,330,340、給電線370、ポーラス金属酸化膜380、信号線331,332,341,342、電極パッド333,343、及び素子361を備えている。また、半導体基板310には接続部311が設けられ、給電線370は貫通孔CH31を通して半導体基板310と電気的に接続されている。絶縁膜330には貫通孔CH32が形成され、絶縁膜340には貫通孔CH33が形成されている。
【0051】
第3実施形態に係る半導体装置300は、素子362,363を備えている点で、半導体装置200と相違している。素子362は、絶縁膜330と絶縁膜340との間に設けられ、信号線341と電気的に接続されている。素子363は、絶縁膜340の上に設けられている。
図12に示すように、半導体基板310の第1主面310Aを平面視したとき、素子362,363は、ポーラス金属酸化膜380の外側に設けられてもよい。このような半導体装置300においても、半導体装置200と同様の効果を得ることができる。
【0052】
次に、
図13を参照しつつ、第4実施形態に係る半導体装置400の構成について説明する。
図13は、第4実施形態に係る半導体装置の構成を概略的に示す断面図である。
【0053】
第4実施形態に係る半導体装置400は、半導体装置200と同様、半導体基板410、絶縁膜420,430,440、給電線470、ポーラス金属酸化膜480、信号線431,432,441,442、電極パッド433,443、及び素子461を備えている。また、半導体基板410には接続部411が設けられ、給電線470は貫通孔CH41を通して半導体基板410と電気的に接続されている。絶縁膜430には貫通孔CH42が形成され、絶縁膜440には貫通孔CH43が形成されている。
【0054】
第4実施形態に係る半導体装置400は、ポーラス金属酸化膜480の端部の少なくとも一部を覆う保護膜491をさらに備える点で、半導体装置200と相違している。これによれば、保護膜491が半導体装置400への水分の侵入を抑制し、半導体装置400の劣化を抑制することができる。
【0055】
次に、
図14を参照しつつ、第5実施形態に係る半導体装置500の構成について説明する。
図14は、第5実施形態に係る半導体装置の構成を概略的に示す断面図である。
【0056】
第5実施形態に係る半導体装置500は、半導体装置200と同様、半導体基板510、絶縁膜520,530,540、給電線570、ポーラス金属酸化膜580、信号線531,532,541,542、電極パッド533,543、及び素子561を備えている。また、半導体基板510には接続部511が設けられ、給電線570は貫通孔CH51を通して半導体基板510と電気的に接続されている。絶縁膜530には貫通孔CH52が形成され、絶縁膜540には貫通孔CH53が形成されている。
【0057】
第5実施形態に係る半導体装置500は、給電線570がポーラス金属酸化膜580の端部に接触している点で、半導体装置200と相違している。ポーラス金属酸化膜580は、例えば絶縁膜540に接触している。これによれば、ポーラス金属酸化膜580の表面積を増大させることができる。このようなポーラス金属酸化膜580は、例えば給電線570の一部を陽極酸化膜として陽極酸化させることで形成することができる。つまり、ポーラス金属酸化膜580は、給電線570に含まれる金属材料の酸化物を有する。これによれば、被陽極酸化膜の形成工程を省略することで、半導体装置500の製造工程を簡略化することができる。
【0058】
次に、
図15を参照しつつ、第6実施形態に係る半導体装置600の構成について説明する。
図15は、第6実施形態に係る半導体装置の構成を概略的に示す断面図である。
【0059】
第6実施形態に係る半導体装置600は、半導体装置200と同様、半導体基板610、絶縁膜620,630,640、給電線670、ポーラス金属酸化膜680、信号線631,632,641,642、電極パッド633,643、及び素子661を備えている。また、半導体基板610には接続部611が設けられ、給電線670は貫通孔CH61を通して半導体基板610と電気的に接続されている。絶縁膜630には貫通孔CH62が形成され、絶縁膜640には貫通孔CH63が形成されている。
【0060】
第6実施形態に係る半導体装置600は、給電線670が絶縁膜630と絶縁膜640との間に設けられ、XY面と平行な方向に沿ってポーラス金属酸化膜680と絶縁膜640が並んでいる点で、半導体装置200と相違している。このとき、給電線670及び信号線641は、絶縁膜630(第1絶縁膜に相当する。)の半導体基板610側とは反対側に設けられた第1金属膜に相当する。そして、信号線632及び信号線642は、絶縁膜640(第2絶縁膜に相当する。)の半導体基板610側とは反対側に設けられた第2金属膜に相当する。本実施形態に係る半導体装置600によれば、ポーラス金属酸化膜680よりも半導体基板610から離れた層にも素子や回路等を集積することができる。なお、ポーラス金属酸化膜680は、キャパシタ等の素子を構成し、絶縁膜640によって覆われてもよい。
【0061】
次に、
図16を参照しつつ、第7実施形態に係る半導体装置700の構成について説明する。
図16は、第7実施形態に係る半導体装置の構成を概略的に示す断面図である。
【0062】
第7実施形態に係る半導体装置700は、半導体装置600と同様、半導体基板710、絶縁膜720,730,740、給電線770、ポーラス金属酸化膜780、信号線731,732,741,742、電極パッド733,743、及び素子761を備えている。また、半導体基板710には接続部711が設けられ、給電線770は貫通孔CH71を通して半導体基板710と電気的に接続されている。絶縁膜730には貫通孔CH72が形成され、絶縁膜740には貫通孔CH73が形成されている。
【0063】
第7実施形態に係る半導体装置700は、絶縁膜740(第2絶縁膜に相当する。)を覆う保護膜791をさらに備える点で、半導体装置600と相違している。保護膜791は、絶縁膜740のポーラス金属酸化膜780と対向する開口領域の内側面を覆っている。これによれば、保護膜791が半導体装置700への水分の侵入を抑制し、半導体装置700の劣化を抑制することができる。
【0064】
次に、
図17を参照しつつ、第8実施形態に係る半導体装置800の構成について説明する。
図17は、第8実施形態に係る半導体装置の構成を概略的に示す断面図である。
【0065】
第8実施形態に係る半導体装置800は、半導体装置200と同様、半導体基板810、絶縁膜820,830,840、給電線870、ポーラス金属酸化膜880、信号線831,832,841,842、電極パッド833,843、及び素子861を備えている。また、半導体基板810には接続部811が設けられ、給電線870は貫通孔CH81を通して半導体基板810と電気的に接続されている。絶縁膜830には貫通孔CH82が形成され、絶縁膜840には貫通孔CH83が形成されている。
【0066】
第8実施形態に係る半導体装置800は、半導体基板810の第2主面810B側に裏面金属膜819をさらに備える点で、半導体装置200と相違している。これによれば、陽極酸化処理のとき、給電治具と半導体基板810との間での接触抵抗を低減することができる。つまり、半導体装置800の製造工程における電力損失を低減し、ポーラス金属酸化膜880の細孔の密度や寸法の変動を抑制することができる。
【0067】
次に、
図18A及び
図18Bを参照しつつ、第9実施形態に係る半導体装置900の構成について説明する。
図18Aは、第9実施形態に係る半導体装置の構成を概略的に示す断面図である。
図18Bは、第9実施形態に係る半導体装置におけるキャパシタの他の構成例を概略的に示す断面図である。
【0068】
第9実施形態に係る半導体装置900は、半導体装置600と同様、半導体基板910、絶縁膜920,930,940、給電線970、ポーラス金属酸化膜980、信号線931,932,941,942、電極パッド933,943、及び素子961を備えている。また、半導体基板910には接続部911が設けられ、給電線970は貫通孔CH91を通して半導体基板910と電気的に接続されている。絶縁膜930には貫通孔CH92が形成され、絶縁膜940には貫通孔CH93が形成されている。
【0069】
図18Aに示す第9実施形態に係る半導体装置900は、ポーラス金属酸化膜980を誘電体膜として給電線970との間で静電容量を形成するキャパシタ電極993をさらに備える点で、半導体装置600と相違している。キャパシタ電極993は、ポーラス金属酸化膜980の半導体基板910側とは反対側に設けられ、ポーラス金属酸化膜980の複数の細孔の内部に延在している。本実施形態に係る半導体装置900によれば、キャパシタの対向電極の対向面積を増大させることができる。すなわち、半導体装置900においては、給電線970及びキャパシタ電極993によって形成される静電容量を増大させることができる。キャパシタ電極993の上には、電極パッド994が設けられている。電極パッド994は、電極パッド933及び電極パッド943と同様に、外部回路と電気的に接続される外部端子であり、例えばワイヤボンディングのボンディングパッドである。キャパシタ電極993は、電極パッド994を通して電圧が印加される。なお、電極パッド994は省略されてもよい。つまり、キャパシタ電極993には、半導体装置900に形成された配線を通して電圧が印加されてもよい。
【0070】
図18Bに示すように、第9実施形態に係る半導体装置900は、キャパシタ電極993の上に、誘電体膜996及びキャパシタ電極998をさらに備えてもよい。キャパシタ電極993は、第1キャパシタ電極に相当する。キャパシタ電極993とキャパシタ電極998との間で静電容量が形成される。キャパシタ電極998は、第2キャパシタ電極に相当する。誘電体膜996は、キャパシタ電極993の半導体基板910側とは反対側に設けられ、ポーラス金属酸化膜980の複数の細孔の内部に延在している。言い換えると、誘電体膜996は、キャパシタ電極993を挟んでポーラス金属酸化膜980と対向し、ポーラス金属酸化膜980の複数の細孔の内壁に沿って延在している。キャパシタ電極998は、誘電体膜996の半導体基板910側とは反対側に設けられ、誘電体膜996を挟んでキャパシタ電極993と対向している。電極パッド994は、キャパシタ電極998の上に設けられている。誘電体膜996は、その誘電率や膜厚を変更することができる。このため、半導体装置900においては、キャパシタ電極993及びキャパシタ電極998によって形成される静電容量を増大させつつ、静電容量の大きさを好適に調整することができる。
【0071】
次に、
図19を参照しつつ、第10実施形態に係る半導体装置A00の構成について説明する。
図19は、第10実施形態に係る半導体装置の構成を概略的に示す断面図である。
【0072】
第11実施形態に係る半導体装置A00は、半導体装置400と同様、半導体基板A10、絶縁膜A20,A30,A40、給電線A70、ポーラス金属酸化膜A80、信号線A31,A32,A41,A42、電極パッドA33,A43、素子A61、及び保護膜A91を備えている。また、半導体基板A10には接続部A11が設けられ、給電線A70は貫通孔CHA1を通して半導体基板A10と電気的に接続されている。絶縁膜A30には貫通孔CHA2が形成され、絶縁膜A40には貫通孔CHA3が形成されている。
【0073】
第11実施形態に係る半導体装置A00は、触媒膜A95がさらに備えられている点で、半導体装置400と相違している。触媒膜A95は、ポーラス金属酸化膜A80の半導体基板A10側とは反対側に設けられ、ガスを吸着する。素子A61には、触媒膜A95のガスの吸着量に応じた温度変化を検出するガス検出素子を配置する。これによれば、ガス検出機能を有する半導体装置A00を提供することができる。
【0074】
素子A61(ガス検出素子)は、例えば、温度変化によるレジスタの電気抵抗率の変化を測定する回路である。このような素子A61としては、例えば、ホイートストーンブリッジ回路を用いることができる。これに、電源と電流検出手段とを組み込むことで、電気抵抗率の変化を測定することができる。素子A61(ガス検出素子)は、温度変化を電気的特性の変化として検出する半導体温度センサであってもよい。このような素子A61としては、例えば、FETやTFT等の半導体素子を用いることができる。これによれば、温度変化をより高感度で検出することができる。
【0075】
素子A61は、例えば、触媒膜A95に吸着したガスを燃焼するときの燃焼熱を検出するガス検出素子であってもよい。素子A61は、ガスが触媒膜A95に吸着されるとき、又はガスが触媒膜A95から離脱するときの反応熱を検出するガス検出素子であってもよい。素子A61(ガス検出素子)は、半導体基板A10とポーラス金属酸化膜A80との間に設けられている。これによれば、ガス検出素子の感度を向上させることができる。
【0076】
なお、
図19に図示した例では、触媒膜A95は、ポーラス金属酸化膜A80の複数の細孔A81の内部の表面に沿って延在する連続した薄膜である。これによれば、ポーラス金属酸化膜A80の表面積が増大しているため、触媒膜A95の表面積を増大させることができる。したがって、ガス検出素子の感度を向上させることができる。
【0077】
次に、
図20を参照しつつ、第11実施形態に係る半導体装置の触媒膜B95の構成について説明する。
図20は、第11実施形態に係る半導体装置の触媒膜の構成を概略的に示す断面図である。
【0078】
第12実施形態に係る半導体装置の触媒膜B95は、ポーラス金属酸化膜B80の複数の細孔B81の内部の表面において、複数の島状に形成されている点で、触媒膜A95と相違している。本実施形態に係る触媒膜B95によれば、第11実施形態に係る半導体装置の触媒膜A95よりも、表面積を増大させることができる。
【0079】
次に、
図21を参照しつつ、第12実施形態に係る半導体装置の触媒膜C95の構成について説明する。
図21は、第12実施形態に係る半導体装置の触媒膜の構成を概略的に示す断面図である。
【0080】
第12実施形態に係る半導体装置の触媒膜C95は、ポーラス金属酸化膜C80の複数の細孔C81の外側の表面において、複数の島状に形成されている点で、触媒膜A95と相違している。塗工工程によって触媒膜C95を設けるときに、ポーラス金属酸化膜C80によれば、表面張力によって触媒膜C95の濡れ広がりが制限され、複数の細孔C81の間の凸部の先端において触媒膜C95が島状に形成される。これによれば、平面上に薄膜状に設けられた触媒膜と比べて、触媒膜C95の表面積を増大させることができる。
【0081】
次に、
図22を参照しつつ、第13実施形態に係る半導体装置D00の構成について説明する。
図22は、第13実施形態に係る半導体装置の構成を概略的に示す断面図である。
【0082】
第13実施形態に係る半導体装置D00は、半導体装置A00と同様、半導体基板D10、絶縁膜D20,D30,D40、給電線D70、ポーラス金属酸化膜D80、信号線D31,D32,D41,D42、電極パッドD33,D43、素子D61、保護膜D91、及び触媒膜D95を備えている。また、半導体基板D10には接続部D11が設けられ、給電線D70は貫通孔CHD1を通して半導体基板D10と電気的に接続されている。絶縁膜D30には貫通孔CHD2が形成され、絶縁膜D40には貫通孔CHD3が形成されている。
【0083】
第13実施形態に係る半導体装置D00は、半導体基板D10のポーラス金属酸化膜D80と対向する領域の少なくとも一部を除去されている点で、半導体装置A00と相違している。これによれば、伝熱経路を削減し、素子D61(ガス検出素子)及び触媒膜D95の周囲の熱容量を小さくすることができる。これによって、ガス検出素子の感度を向上させることができる。また、絶縁膜D20,D30,D40には、ポーラス金属酸化膜D80の周囲にスリットSLが形成されている。素子D61(ガス検出素子)及び触媒膜D95を有するスリットSLの内側の領域は、スリットSLの外側の領域に対して、ブリッジBRによって連結され、保持されている。給電線D70、信号線D31、等の配線は、ブリッジBRを通して繋がっている。スリットSLが形成されることによって、伝熱経路を削減し、素子D61(ガス検出素子)及び触媒膜D95の周囲の熱容量を小さくすることができる。
【0084】
次に、
図23を参照しつつ、第14実施形態に係る半導体装置E00の構成について説明する。
図23は、第14実施形態に係る半導体装置の構成を概略的に示す断面図である。
【0085】
第14実施形態に係る半導体装置E00は、半導体装置A00と同様、半導体基板E10、絶縁膜E20,E30,E40、給電線E70、ポーラス金属酸化膜E80、信号線E31,E32,E41,E42、電極パッドE33,E43、素子E61、保護膜E91、及び触媒膜E95を備えている。また、半導体基板E10には接続部E11が設けられ、給電線E70は貫通孔CHE1を通して半導体基板E10と電気的に接続されている。絶縁膜E30には貫通孔CHE2が形成され、絶縁膜E40には貫通孔CHE3が形成されている。
【0086】
第14実施形態に係る半導体装置E00は、素子E62を備えている点で、半導体装置A00と相違している。素子E62は、触媒膜E95を加熱可能な加熱素子である。加熱素子は、例えば、電気を熱に変換するヒータ線である。素子E62(加熱素子)は、触媒膜E95に吸着したガスを燃焼させることができる。または、素子E62(加熱素子)は、触媒膜E95とガスとの吸着反応又は離脱反応を促進することができる。すなわち、素子E61(ガス検出素子)の感度を向上させることができる。素子E62(加熱素子)は、素子E61(ガス検出素子)とポーラス金属酸化膜E80との間に設けられている。これによれば、素子E62(加熱素子)によって効率的に触媒膜E95を加熱することができる。
【0087】
以上のように、本発明の一態様によれば、互いに対向する第1主面110A及び第2主面110Bを有する半導体基板110と、半導体基板110の第1主面110A側に形成され、複数の細孔181を有するポーラス金属酸化膜180と、を備え、半導体基板110は、第1主面110A側においてポーラス金属酸化膜180に電気的に接続された接続部111を有し、かつ、第2主面110B側から第1主面110A側の接続部111に給電経路を提供するように構成されている、半導体装置100、が提供される。
【0088】
上記態様によれば、半導体装置の製造工程において、例えば、半導体基板ウェハの第1主面側に給電パッドや給電線を設けなくてもよいため、半導体基板ウェハ1枚に対して製造可能な半導体装置の数を増加させることができる。また、本実施形態に係る半導体装置においては、各々の被陽極酸化膜に化成電圧を供給する各々の給電線の長さの違いによる、化成電圧の変動を抑制することができる。つまり、半導体装置においては、同一の半導体基板ウェハに形成される複数のポーラス金属酸化膜間での細孔の密度や寸法の変動を抑制することができる。以上のことから、製造効率を改善することが可能な半導体装置を提供することができる。また、形成済みのポーラス金属酸化膜が半導体装置に転写によって設けられる構成と比較して、本実施形態に係る半導体装置においては、ポーラス金属酸化膜の密着強度を向上させることができる。したがって、半導体装置の信頼性の改善を図ることが可能である。
【0089】
複数の細孔181は、ポーラス金属酸化膜180において半導体基板110側とは反対側に開口し、半導体基板110の第1主面110Aと交差する方向に延在してもよい。これによれば、ポーラス金属酸化膜の半導体基板側とは反対側の表面積を増大させることができる。
【0090】
半導体装置100は、半導体基板110とポーラス金属酸化膜180との間に設けられ、貫通孔CH11が形成された第1絶縁膜120をさらに備え、ポーラス金属酸化膜180は、第1絶縁膜120の貫通孔CH11を通して接続部111と電気的に接続されてもよい。本実施形態に係る半導体装置100においては、半導体基板とポーラス金属酸化膜との間に絶縁膜が設けられたとしても、半導体基板の第2主面側からの給電によりポーラス金属酸化膜を形成することができる。絶縁膜は省略されてもよい。つまり、ポーラス金属酸化膜は、半導体基板の上、又は多層基板の半導体層の上に設けられてもよい。
【0091】
半導体基板110の電気抵抗率は、100Ω・cm以下であってもよい。これによれば、半導体基板の第2主面に外部端子を接続して化成電圧を印加する際に、半導体基板内部での電力損失を低減することができる。したがって、半導体基板ウェハ内における各々の半導体基板の位置による、ポーラス金属酸化膜の細孔の密度や寸法の変動を抑制することができる。
【0092】
接続部111は、不純物濃度が周囲よりも高い高濃度領域を有してもよい。これによれば、半導体基板と給電線との界面をオーミック接触とすることができる。つまり、本実施形態に係る半導体装置においては、半導体基板と給電線との界面における電力ロスを低減することができる。
【0093】
半導体装置100は、接続部111とポーラス金属酸化膜180とを電気的に接続する給電線170を備える第1金属膜をさらに備えてもよい。これによれば、半導体基板の第1主面を平面視したときに、ポーラス金属酸化膜の外側に接続部を設けることができる。したがって、半導体基板とポーラス金属酸化膜との間に素子や回路等を設けることができる。
【0094】
給電線170は、ポーラス金属酸化膜180の半導体基板110側の面に接触してもよい。これによれば、被陽極酸化膜を陽極酸化してポーラス金属酸化膜を形成するとき、被陽極酸化膜の半導体基板側の全面に化成電圧が印加可能であるため、被陽極酸化膜の面内における化成電圧の変動を抑制することができる。したがって、ポーラス金属酸化膜の面内における細孔の密度や寸法の変動を抑制することができる。
【0095】
給電線570は、ポーラス金属酸化膜580の端部に接触してもよい。これによれば、ポーラス金属酸化膜の表面積を増大させることができる。
【0096】
半導体装置200は、半導体基板210の第1主面210A側に設けられ外部回路と電気的に接続される電極パッド233,243をさらに備え、ポーラス金属酸化膜280は、電極パッド233,243に含まれる金属材料の酸化物を有してもよい。これによれば、半導体装置の製造工程を簡略化することができる。
【0097】
ポーラス金属酸化膜580は、給電線570に含まれる金属材料の酸化物を有してもよい。これによれば、被陽極酸化膜の形成工程を省略することで、半導体装置の製造工程を簡略化することができる。
【0098】
第1金属膜は、給電線270とは電気的に分離され外部回路と電気的に接続される信号線232,242をさらに備えてもよい。これによれば、半導体基板及び給電線を接地することができる。
【0099】
半導体装置900は、ポーラス金属酸化膜980の半導体基板910側とは反対側に設けられ、複数の細孔の内部に延在するキャパシタ電極993をさらに備え、ポーラス金属酸化膜980を誘電体膜として、給電線970とキャパシタ電極993との間で静電容量が形成されてもよい。本実施形態に係る半導体装置によれば、キャパシタの対向電極に相当する給電線とキャパシタ電極との対向面積を増大させることができる。したがって、給電線及びキャパシタ電極によって形成される静電容量を増大させることができる。
【0100】
半導体装置900は、ポーラス金属酸化膜980の半導体基板910側とは反対側に設けられ、複数の細孔の内部に延在するキャパシタ電極993と、第1キャパシタ電極993の半導体基板910側とは反対側に設けられ、複数の細孔の内部に延在する誘電体膜996と、誘電体膜996を挟んで第1キャパシタ電極993と対向する第2キャパシタ電極998と、をさらに備え、第1キャパシタ電極993と第2キャパシタ電極998との間で静電容量が形成されてもよい。これによれば、キャパシタを形成する誘電体膜の誘電率や膜厚を変更することができる。したがって、本実施形態に係る半導体装置においては、第1キャパシタ電極及び第2キャパシタ電極によって形成される静電容量を増大させつつ、静電容量の大きさを好適に調整することができる。
【0101】
半導体装置A00は、ポーラス金属酸化膜A80の半導体基板A10側とは反対側に設けられ、ガスを吸着する触媒膜A95と、ガスの吸着量に応じた温度変化を検出するガス検出素子A61と、をさらに備えてもよい。これによれば、ガス検出機能を有する半導体装置を提供することができる。
【0102】
ガス検出素子A61は、触媒膜A95に吸着したガスを燃焼するときの燃焼熱を検出してもよい。
【0103】
ガス検出素子A61は、ガスが触媒膜A95に吸着されるとき、又はガスが触媒膜A95から離脱するときの反応熱を検出してもよい。
【0104】
本発明の他の一態様によれば、互いに対向する第1主面Z10A及び第2主面Z10Bを有する半導体基板Z10を準備する工程と、半導体基板Z10の第1主面Z10A側に被陽極酸化膜Z89を設ける工程と、半導体基板Z10の第2主面Z10B側から給電することによって、半導体基板Z10の第1主面Z10A側に設けられた被陽極酸化膜Z89を陽極酸化させて、複数の細孔Z81を有するポーラス金属酸化膜Z80を形成する工程と、を備える、半導体装置Z00の製造方法、が提供される。
【0105】
上記態様によれば、半導体装置の製造工程において、半導体基板ウェハの第1主面側に給電パッドや給電線を設けなくてもよいため、半導体基板ウェハ1枚に対して製造可能な半導体装置の数を増加させることができる。また、本実施形態に係る半導体装置においては、各々の被陽極酸化膜に化成電圧を供給する各々の給電線の長さの違いによる、化成電圧の変動を抑制することができる。つまり、同一の半導体基板ウェハに形成される複数のポーラス金属酸化膜間での細孔の密度や寸法の変動を抑制することができる。以上のことから、製造効率を改善することが可能な半導体装置を提供することができる。また、形成済みのポーラス金属酸化膜が半導体装置に転写によって設けられる製造方法と比較して、本実施形態に係る半導体装置の製造方法においては、ポーラス金属酸化膜の密着強度を向上させることができる。したがって、半導体装置の信頼性の改善を図ることが可能である。
【0106】
複数の細孔Z81は、ポーラス金属酸化膜Z80において半導体基板Z10側とは反対側に開口し、半導体基板Z10の第1主面Z10Aと交差する方向に延在してもよい。これによれば、ポーラス金属酸化膜の半導体基板側とは反対側の表面積を増大させることができる。
【0107】
半導体装置Z00の製造方法は、半導体基板Z10の第1主面Z10A側に第1絶縁膜Z20を設ける工程と、第1絶縁膜Z20に貫通孔CHZ1を設ける工程と、をさらに備え、陽極酸化する工程において、被陽極酸化膜Z89は、貫通孔CHZ1を通して半導体基板Z10から給電されてもよい。本実施形態に係る半導体装置Z00の製造方法においては、半導体基板とポーラス金属酸化膜との間に絶縁膜が設けられたとしても、半導体基板の第2主面側からの給電によりポーラス金属酸化膜を形成することができる。絶縁膜は省略されてもよい。つまり、ポーラス金属酸化膜は、半導体基板の上、又は多層基板の半導体層の上に設けられてもよい。
【0108】
半導体装置Z00の製造方法は、半導体基板Z10に第1主面Z10A側から不純物を注入し、不純物濃度が周囲よりも高い高濃度領域を形成する工程をさらに備えてもよい。これによれば、半導体基板と給電線との界面をオーミック接触とすることができる。つまり、本実施形態に係る半導体装置の製造方法においては、半導体基板と給電線との界面における電力ロスを低減することができる。
【0109】
半導体装置Z00の製造方法は、半導体基板Z10とポーラス金属酸化膜Z80とを電気的に接続する給電線Z70を設ける工程をさらに備えてもよい。これによれば、半導体基板の第1主面を平面視したときに、ポーラス金属酸化膜の外側に接続部を設けることができる。したがって、半導体基板とポーラス金属酸化膜との間に素子や回路等を設けることができる。
【0110】
半導体装置A00の製造方法は、温度変化を検出するガス検出素子A61を設ける工程と、ポーラス金属酸化膜A80の半導体基板A10側とは反対側に、ガスを吸着する触媒膜A95を設ける工程をさらに備えてもよい。これによれば、ガス検出機能を有する半導体装置を提供することができる。
【0111】
以上説明したように、本発明の一態様によれば、製造効率の改善を図ることが可能な半導体装置を提供することが可能となる。
【0112】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更/改良され得ると共に、本発明にはその等価物も含まれる。即ち、各実施形態に当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、各実施形態が備える各要素及びその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、各実施形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。