特許第6919871号(P6919871)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6919871-自動車内装材およびその製造方法 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6919871
(24)【登録日】2021年7月28日
(45)【発行日】2021年8月18日
(54)【発明の名称】自動車内装材およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B60R 13/02 20060101AFI20210805BHJP
   B32B 5/22 20060101ALI20210805BHJP
   D04H 3/16 20060101ALI20210805BHJP
   D06M 15/507 20060101ALI20210805BHJP
   D06M 23/16 20060101ALI20210805BHJP
【FI】
   B60R13/02 B
   B32B5/22
   D04H3/16
   D06M15/507
   D06M23/16
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-86940(P2016-86940)
(22)【出願日】2016年4月25日
(65)【公開番号】特開2017-196925(P2017-196925A)
(43)【公開日】2017年11月2日
【審査請求日】2019年4月5日
【審判番号】不服2020-13046(P2020-13046/J1)
【審判請求日】2020年9月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003160
【氏名又は名称】東洋紡株式会社
(72)【発明者】
【氏名】岩根 正好
(72)【発明者】
【氏名】坂口 浩康
【合議体】
【審判長】 島田 信一
【審判官】 一ノ瀬 覚
【審判官】 藤井 昇
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−214293(JP,A)
【文献】 特開2015−143401(JP,A)
【文献】 特開2010−255162(JP,A)
【文献】 特開2004−132463(JP,A)
【文献】 実開平2−7193(JP,U)
【文献】 特開2004−210059(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 13/02
D06M 13/00 - 15/715
D06M 23/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニードルパンチ長繊維不織布の片面側に油剤が塗布され、該ニードルパンチ長繊維不織布の油剤塗布面の反対面に樹脂が積層されたニードルパンチ不織からなり、
該ニードルパンチ不織布の油剤塗布面とファスナーとの、JIS L3416(2000)7.4.2に準拠した剥離強さが35N以上である自動車用内装材。
【請求項2】
前記油剤が塗布された面は前記ニードルパンチ長繊維不織布のニードル貫入面であり、
前記油剤は、前記ニードルパンチ長繊維不織布の繊維重量に対し1〜30質量%である請求項1に記載の自動車用内装材。
【請求項3】
前記ニードルパンチ長繊維不織布が、熱圧着長繊維不織布にニードルパンチ加工したニードルパンチ長繊維不織布である請求項1または2に記載の自動車内装材。
【請求項4】
前記ニードルパンチ長繊維不織布が、前記熱圧着長繊維不織布のエンボス面からニードルを貫入したニードルパンチ長繊維不織布である請求項3に記載の自動車内装材。
【請求項5】
前記樹脂がポリエステル系樹脂である請求項1から4のいずれか1項に記載の自動車用内装材。
【請求項6】
繊維不織布の片面側に油剤塗布かつニードルパンチ加工をして前記ニードルパンチ長繊維不織布を得て、該ニードルパンチ長繊維不織布の油剤塗布面の反対面に樹脂を積層する請求項1から5のいずれか1項に記載の自動車内装材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂を塗布したニードルパンチ長繊維不織布からなる自動車内装材およびその製造方法に関するものであり、施工時の自動車内装材へのファスナー取り付けが容易で、かつ自動車内装材からのファスナー取り外しの際の毛羽立ちの発生が少ない、加工性が良好な自動車内装材およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車内装材においては織物、編物、不織布等が主流として用いられている、これらは適度な伸度があり、縫製加工が容易なため、加工性に有利である。しかし、自動車用途も多種多様な使用部位があり、内装材をファスナーを取り付けする部位へ使用する際の問題点について検討された自動車内装材は従来なかった(例えば、参考文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−24769号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、難燃性があり、ファスナーの取り付けが可能で、かつファスナー取り外し時の毛羽立ちが抑えられ、適度な伸度を持つニードルパンチ長繊維不織布からなる自動車内装材およびその製造方法を提供することを課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、自動車内装材にニードルパンチ長繊維不織布を使用するにあたり、難燃性の付与のため、不織布への樹脂含浸量を増やすことを検討した。しかし、その結果不織布へのファスナーの取り付けに必要な係合力を損ねる結果となった。そこで、不織布への樹脂の塗布方法や塗布する樹脂成分を種々検討し、さらに不織布へ油剤を所定の条件で塗布することで、難燃性を付与しつつ、係合力も維持できることを見出し本発明に到達した。
【0006】
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)ニードルパンチ長繊維不織布の片面側に油剤を塗布し、該ニードルパンチ長繊維不織布の油剤塗布面の反対面に樹脂を積層したニードルパンチ不織布からなる自動車用内装材。
(2)樹脂がポリエステル系樹脂である(1)に記載の自動車用内装材。
(3)長繊維不織布にニードルパンチ加工したニードルパンチ長繊維不織布の片面側に油剤を塗布し、該ニードルパンチ長繊維不織布の油剤塗布面の反対面に樹脂を積層する自動車用内装材の製造方法。
(4)ニードルパンチ長繊維不織布が、熱圧着長繊維不織布にニードルパンチ加工したニードルパンチ長繊維不織布である(3)に記載の自動車内装材の製造方法。
(5)ニードルパンチ長繊維不織布が、熱圧着長繊維不織布のエンボス面からニードルを貫入し、さらにエンボス面に油剤を塗布したニードルパンチ長繊維不織布である(4)に記載の自動車内装材の製造方法。
(6)樹脂がポリエステル系樹脂である(3)〜(5)のいずれかに記載の自動車内装材の製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明の自動車内装材は、ファスナーの取り付けが可能で、ファスナー取り外し時の毛羽立ちを抑えられ、適度な伸度があり、難燃性に優れた自動車用内装材を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】テーバ磨耗の外観変化判定用限度写真である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の自動車用内装材は、ニードルパンチ長繊維不織布の片面側に油剤を塗布し、該ニードルパンチ長繊維不織布の油剤塗布面の反対面に樹脂を積層したニードルパンチ不織布からなる。
【0010】
本発明の自動車内装材に用いられるニードルパンチ長繊維不織布の素材としては、ポリエステル系樹脂からなるものが好ましいが、なかでもポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」と言う)からなる長繊維不織布が好ましい。PET長繊維不織布は、機械強力や耐熱性等の特性に優れているからである。長繊維不織布としては、スパンボンド不織布が高速生産が可能であり安価に入手できるため好ましい。自動車内装材に使用する場合、長繊維不織布の引張強さや引裂強さが不足する場合があるため、本発明ではニードルパンチ加工によって繊維を交絡させたニードルパンチ長繊維不織布を使用する。なお、長繊維不織布の素材に対し10質量%以下であれば、共重合ポリエステル系樹脂等がブレンドされていてもよい。素材にPETを使用する場合、PETの固有粘度は、特に限定されないが、0.6以上が好ましい。
【0011】
ニードルパンチ長繊維不織布を構成する長繊維の単繊維の繊度は、0.1〜10dtexが好ましく、1〜5dtexがより好ましい。単繊維の繊度が0.1dtex未満では満足する長繊維不織布の強力が得られず、10dtexを超えると長繊維不織布の柔軟性が損なわれる。
【0012】
ニードルパンチ長繊維不織布の目付は、50〜150g/mが好ましく、70〜120g/mがより好ましい。目付が上記範囲内であれば、長繊維不織布の強力、加工性、柔軟性等の各特性のバランスがよく自動車内装材の使用に好ましいものにすることができる。
【0013】
本発明のニードルパンチ長繊維不織布は、エンボスロールとフラットロールで圧着させることにより得られる、いわゆる熱圧着長繊維不織布に、ニードルパンチ加工を施したニードルパンチ長繊維不織布であることが好ましい。エンボスロールとフラットロールで圧着させて得られる熱圧着長繊維不織布は、製造工程等でのウェブの搬送性が良いからである。熱圧着長繊維不織布にニードルパンチ加工を施す際、熱圧着長繊維不織布のエンボスロール面側からニードルを貫入させることが好ましい。ニードルをエンボスロール面側から貫入させることで、交絡が適度になり、ファスナー取り外し時の毛羽立ちが抑制できる。
【0014】
本発明において、ニードルパンチ長繊維不織布の片面側に油剤を塗布することが必要である。油剤としては、ポリエステル系油剤が好ましく、さらには親水性を付与させる油剤が好ましい。塗布方法として、公知のスプレー法、コート法などあるが、スプレー法が表面塗布でき、より好ましい。塗布量については長繊維不織布の繊維重量に対し1〜30質量%が好ましく、5〜20質量%がより好ましい。塗布量が1質量以上とするのは、ニードルパンチ交絡後のファスナー取り付け性が向上するからである。塗布量が1質量%未満では、ファスナー取り付け性が低下し、取り付け後のファスナーが脱落する可能性がある。
【0015】
本発明の自動車内装材において、油剤を塗布する面は、ニードルパンチ長繊維不織布のニードル貫入面であることが好ましい。なぜなら貫入面に塗布することで繊維交絡後の不織布のファスナー取り付け性が向上するからである。
【0016】
本発明の自動車内装材において、ニードルパンチ長繊維不織布の油剤を塗布した面の反対面のみに樹脂を積層することが必要である。樹脂を両面に塗布する、あるいは含浸(ディップ)する場合、自動車内装材の剥離強さが低下し、ファスナー取り付け性が悪くなる。
【0017】
本発明に使用する樹脂としては、特に限定されるものではないが、柔軟性、難燃性を有する樹脂が好ましく、例えばポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂を挙げることができる。
本発明に使用する樹脂としては、水性樹脂を用いることが好ましい。ここでいう水性樹脂とは、例えばポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール、ポリウレタンなどの樹脂およびこれらの樹脂の共重合体や混合体などの中から選ぶことができるが、これらに限定されるものではない。これらの中で最も好ましい樹脂は、ポリエステル系樹脂である。
【0018】
前記ポリエステル系樹脂を構成する成分としては、下記のような多価カルボン酸および多価ヒドロキシ化合物を例示できる。すなわち、多価カルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、フタル酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2−カリウムスルホテレフタル酸、5−ソジウムスルホイソフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、グルタル酸、コハク酸、トリメリット酸、トリメシン酸、無水トリメリット酸、無水フタル酸、p−ヒドロキシ安息香酸、トリメリット酸モノカリウム塩およびそれらのエステル形成性誘導体などを用いることができ、多価ヒドロキシ化合物としては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、p−キシリレングリコール、ビスフェノールA−エチレングリコール付加物、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリテトラメチレンオキシドグリコール、ジメチロールプロピオン酸、グリセリン、トリメチロールプロパン、ジメチロールエチルスルホン酸ナトリウム、ジメチロールプロピオン酸カリウムなどを用いることができる。
【0019】
本発明において、樹脂に、公知の架橋剤、難燃剤、湿潤剤、粘性調節剤、増粘剤、消泡剤、改質剤、顔料、着色剤、充填剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤等の添加剤を、本発明の目的を阻害しない範囲で加えてもよく、これらを混合した樹脂組成物の形態で用いることも好ましい。
【0020】
前記樹脂は、ニードルパンチ長繊維不織布に対し、樹脂乾燥後の質量で5〜10質量%塗布するのが好ましい。塗布量が5質量%未満であると難燃性が得られず、10質量%を超えると風合いが硬くなる。
【0021】
油剤を塗布および樹脂を積層した後のニードルパンチ長繊維不織布である自動車内装材の目付は、60〜180g/mが好ましく、90〜150g/mがより好ましい。目付が上記範囲内であれば、自動車内装材の強力、加工性、柔軟性等の各特性をバランスよく優れたものにすることができる。
【0022】
本発明の自動車内装材の好適な製造方法の一例を説明する。まず、公知の方法でスパンボンド不織布を製造する。続いて、油剤をスプレー法で不織布の片面側に噴霧し、ニードルパンチ加工にて繊維を交絡させ、ニードルパンチ長繊維不織布を得る。このニードルパンチ長繊維不織布の油剤塗布面と反対側の片面のみに前記樹脂を積層する。樹脂を積層する方法としては特に限定されず、公知のスプレー法、コート法などがある。
【0023】
上記によって得られた不織布は、乾燥工程を通過させて、樹脂による皮膜を張らせることが好ましい。
【0024】
本発明にニードルパンチ長繊維不織布に用いるスパンボンド不織布は、熱圧着率(エンボスロール側凸部の頂部面積の不織布全体面積の面積割合)が2〜30%のエンボスロールを通して圧着したものを用いるのが好ましい。前記エンボスロールで熱圧着することによりスパンボンド不織布の保形性が高まり、搬送時に不織布の形状が崩れ難くなる。また、コストの点からは、スパンボンド不織布は、片面のみにエンボス加工が施されたものであるのが好ましい。
【0025】
本発明のニードルパンチ長繊維不織布は、上記で得られた長繊維不織布にニードルパンチによって繊維を交絡させる。ニードルパンチ加工を行う場合、ニードル密度は60〜150個/cm程度が好ましく、80〜120個/cm程度がより好ましい。
【0026】
本発明の自動車内装材は、ファスナーの取り付け性が良好である。取り付け性が良好とは、自動車内装材の剥離強さ(下記に測定方法を記載)が35N以上であることである。剥離強さが35N未満であると、自動車内装材にファスナーを取り付けて作業する場合、ファスナーが外れることがあり、作業性に劣る自動車内装材となる。
【0027】
本発明の自動車内装材は、樹脂の塗布量を適性範囲に設定したため、毛羽立ち(磨耗性)が抑制されたものである。本発明の自動車内装材の磨耗性は、磨耗試験で3級以上が好ましく、4級以上がより好ましい。磨耗試験が3級未満では自動車内装材が毛羽立ち易く、自動車内装材からファスナーを取り外す際に毛羽立ちやすくなる。
【0028】
本発明の自動車内装材は、縫製加工後のシート生地(本願自動車内装材を使用)を引き込む際に適度な伸びが必要とされる場合がある。そのため、初期応力が機械方向70N/5cm以上、機械幅方向40N/5cm以上であることが好ましく、機械方向80N/5cm以上、機械幅方向50N/5cm以上であることがより好ましい。初期応力が機械方向70N/5cm未満、機械幅方向40N/5cm未満の場合、適度な伸びが得られず、自動車内装材が伸び過ぎてしまう。
【実施例】
【0029】
以下実施例によって本発明をさらに詳述するが、下記実施例は本発明を制限するものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施をすることは全て本発明の技術的範囲に包含される。なお、特に断らない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」をそれぞれ意味する。
【0030】
<不織布の目付>
JIS L1913(2010) 6.2 単位面積当たりの質量(ISO法)に記載の方法に準拠し、20cm×20cmのサイズで測定した。
【0031】
<難燃性>
JIS D1201記載の方法に準拠し測定した。上記評価方法に従い、標線から50mm以内かつ60秒以内(標線までに消えたものも含む)で消えるものについては○、標線から50mm以内かつ60秒以内で消えなかったものについては×として評価した。
【0032】
<剥離強さ>
JIS L3416(2000)7.4.2 剥離強さに記載の方法に準拠し測定した。上記方法に従い、引張り試験を行い剥離強さの平均値(n=5)を求めた。
【0033】
<磨耗試験>
JIS L1913(2010)6.6.2 テーバ形法に記載の方法に準拠し、直径100mmサイズの円盤状試験片を3点採取し、テーバ磨耗試験機を用いて磨耗回数100回で試験を行い、判定は試験後の試験片を図1の各等級と比較し限度内にある最高等級でテーバ磨耗を評価した。
【0034】
<初期応力>
5cm×20cmサイズの試験片を機械方向・機械幅方向にそれぞれ5点採取する。テンシロンを用いて引張速度30cm/分、つかみ間隔10cmの条件で引張り試験を行い、破断強力の5%伸張時の応力の平均値を求めて、初期応力とする。
【0035】
(実施例1)
固有粘度0.63dl/gのポリエチレンテレフタレート(PET)を用い、紡糸温度285℃、単孔吐出量1.7g/分で溶融紡糸し、エジェクターで引き取りつつ開繊して、ネットコンベア上に繊維配列がランダムになるように速度調整して堆積させた。単糸繊度3.5dtexの長繊維からなる目付100g/mのスパンボンド不織布を得た。次いで圧着面積率8%の角錐台形状の凸部が千鳥配列されたエンボスロールで、193℃、線圧30kN/mでエンボス加工を行い、熱圧着タイプの長繊維不織布を得た。
上記不織布をニードルパンチ工程においてオイルを噴霧すると共に、ニードル密度90ケ/cm、ニードル針深度13mmにてニードルパンチによる交絡処理を行った不織布を得た。
このとき、オイル付与面、ニードルパンチのニードル貫入面を上記エンボス加工のエンボス面側から加工し、ポリエステル樹脂(ポリエステル樹脂/エチレングリコールモノ‐t‐ブチルエーテル/水=25/10/65;互応化学株式会社製「プラスコート(登録商標)RZ−105」)が固形分で18%となるように、各成分をよく混合し、樹脂組成物を得た。
上記のニードルパンチ不織布に、スプレー法によって、上記樹脂組成物を非エンボス面側に付着させて、樹脂の乾燥後付着量が10g/mの自動車内装材を得た。
難燃性、剥離強さ、磨耗試験、初期応力を上記方法で評価し、表1に示した。
【0036】
(実施例2)
固有粘度0.63dl/gのポリエチレンテレフタレート(PET)を用い、紡糸温度285℃、単孔吐出量1.7g/分で溶融紡糸し、エジェクターで引き取りつつ開繊して、ネットコンベア上に繊維配列がランダムになるように速度調整して堆積させた。単糸繊度3.5dtexの長繊維からなる目付100g/mのスパンボンド不織布を得た。次いで圧着面積率8%の角錐台形状の凸部が千鳥配列されたエンボスロールで、193℃、線圧30kN/mでエンボス加工を行い、熱圧着タイプの長繊維不織布を得た。
上記不織布をニードルパンチ工程においてオイルを噴霧すると共に、ニードル密度90ケ/cm、ニードル針深度13mmにてニードルパンチによる交絡処理を行った不織布を得た。
このとき、オイル付与面、ニードルパンチのニードル貫入面を上記エンボス加工の非エンボス面側から加工し、ポリエステル樹脂(ポリエステル樹脂/エチレングリコールモノ‐t‐ブチルエーテル/水=25/10/65;互応化学株式会社製「プラスコート(登録商標)RZ−105」)が固形分で18%となるように、各成分をよく混合し、樹脂組成物を得た。
上記のニードルパンチ不織布に、スプレー法によって、上記樹脂組成物をエンボス面側に付着させて、樹脂の乾燥後付着量が10g/mの自動車内装材を得た。
難燃性、剥離強さ、磨耗試験、初期応力を上記方法で評価し、表1に示した。
【0037】
(実施例3)
固有粘度0.63dl/gのポリエチレンテレフタレート(PET)を用い、紡糸温度285℃、単孔吐出量1.7g/分で溶融紡糸し、エジェクターで引き取りつつ開繊して、ネットコンベア上に繊維配列がランダムになるように速度調整して堆積させた。単糸繊度3.5dtexの長繊維からなる目付100g/mのスパンボンド不織布を得た。次いで圧着面積率8%の角錐台形状の凸部が千鳥配列されたエンボスロールで、193℃、線圧30kN/mでエンボス加工を行い、熱圧着タイプの長繊維不織布を得た。
上記不織布をニードルパンチ工程においてオイルを噴霧すると共に、ニードル密度90ケ/cm、ニードル針深度13mmにてニードルパンチによる交絡処理を行った不織布を得た。
このとき、オイル付与面を非エンボス面側にニードルパンチのニードル貫入面を上記エンボス加工のエンボス面側から加工し、ポリエステル樹脂(ポリエステル樹脂/エチレングリコールモノ‐t‐ブチルエーテル/水=25/10/65;互応化学株式会社製「プラスコート(登録商標)RZ−105」)が固形分で18%となるように、各成分をよく混合し、樹脂組成物を得た。
上記のニードルパンチ不織布に、スプレー法によって、上記樹脂組成物をエンボス面側に付着させて、樹脂の乾燥後付着量が10g/mの自動車内装材を得た。
難燃性、剥離強さ、磨耗試験、初期応力を上記方法で評価し、表1に示した。
【0038】
(実施例4)
固有粘度0.63dl/gのポリエチレンテレフタレート(PET)を用い、紡糸温度285℃、単孔吐出量1.7g/分で溶融紡糸し、エジェクターで引き取りつつ開繊して、ネットコンベア上に繊維配列がランダムになるように速度調整して堆積させた。単糸繊度3.5dtexの長繊維からなる目付100g/mのスパンボンド不織布を得た。次いで圧着面積率8%の角錐台形状の凸部が千鳥配列されたエンボスロールで、193℃、線圧30kN/mでエンボス加工を行い、熱圧着タイプの長繊維不織布を得た。
上記不織布をニードルパンチ工程においてオイルを噴霧すると共に、ニードル密度90ケ/cm、ニードル針深度13mmにてニードルパンチによる交絡処理を行った不織布を得た。
このとき、オイル付与面をエンボス面側にニードルパンチのニードル貫入面を上記エンボス加工の非エンボス面側から加工し、ポリエステル樹脂(ポリエステル樹脂/エチレングリコールモノ‐t‐ブチルエーテル/水=25/10/65;互応化学株式会社製「プラスコート(登録商標)RZ−105」)が固形分で18%となるように、各成分をよく混合し、樹脂組成物を得た。
上記のニードルパンチ不織布に、スプレー法によって、上記樹脂組成物を非エンボス面側に付着させて、樹脂の乾燥後付着量が10g/mの自動車内装材を得た。
難燃性、剥離強さ、磨耗試験、初期応力を上記方法で評価し、表1に示した。
【0039】
(実施例5)
固有粘度0.63dl/gのポリエチレンテレフタレート(PET)を用い、紡糸温度285℃、単孔吐出量1.7g/分で溶融紡糸し、エジェクターで引き取りつつ開繊して、ネットコンベア上に繊維配列がランダムになるように速度調整して堆積させた。単糸繊度3.5dtexの長繊維からなる目付100g/mのスパンボンド不織布を得た。次いで圧着面積率8%の角錐台形状の凸部が千鳥配列されたエンボスロールで、193℃、線圧30kN/mでエンボス加工を行い、熱圧着タイプの長繊維不織布を得た。
塩化ビニルの共重合体エマルジョンおよびアンチモン(塩化ビニル/アンチモン=85/15)で塩化ビニルとアクリルの共重合体エマルジョン(塩ビ/アクリル=80/20;日信化学工業株式会社製「ビニブラン(登録商標)278」)が固形分で85%、三酸化アンチモン水分散液(sb/HO=60/40;日本精鉱株式会社製「STOX−W−60」)が固形分25%となるように、各成分をよく混合し、樹脂組成物を得た。
上記のニードルパンチ不織布に、スプレー法によって、上記樹脂組成物を非エンボス面側に付着させて、樹脂の乾燥後付着量が10g/mの自動車内装材を得た。
難燃性、剥離強さ、磨耗試験、初期応力を上記方法で評価し、表1に示した。
【0040】
(比較例1)
固有粘度0.63dl/gのポリエチレンテレフタレート(PET)を用い、紡糸温度285℃、単孔吐出量1.7g/分で溶融紡糸し、エジェクターで引き取りつつ開繊して、ネットコンベア上に繊維配列がランダムになるように速度調整して堆積させた。単糸繊度3.5dtexの長繊維からなる目付100g/mのスパンボンド不織布を得た。次いで圧着面積率8%の角錐台形状の凸部が千鳥配列されたエンボスロールで、193℃、線圧30kN/mでエンボス加工を行い、熱圧着タイプの長繊維不織布を得た。
上記不織布をニードルパンチ工程においてオイルを噴霧せずに、ニードル密度90ケ/cm、ニードル針深度13mmにてニードルパンチによる交絡処理を行った不織布を得た。
このとき、ニードルパンチのニードル貫入面を上記エンボス加工のエンボス面側から加工し、ポリエステル樹脂(ポリエステル樹脂/エチレングリコールモノ‐t‐ブチルエーテル/水=25/10/65;互応化学株式会社製「プラスコート(登録商標)RZ−105」)が固形分で18%となるように、各成分をよく混合し、樹脂組成物を得た。
上記のニードルパンチ不織布に、スプレー法によって、上記樹脂組成物を非エンボス面側に付着させて、樹脂の乾燥後付着量が10g/mの自動車内装材を得た。
難燃性、剥離強さ、磨耗試験、初期応力を上記方法で評価し、表1に示した。
【0041】
(比較例2)
固有粘度0.63dl/gのポリエチレンテレフタレート(PET)を用い、紡糸温度285℃、単孔吐出量1.7g/分で溶融紡糸し、エジェクターで引き取りつつ開繊して、ネットコンベア上に繊維配列がランダムになるように速度調整して堆積させた。単糸繊度3.5dtexの長繊維からなる目付100g/mのスパンボンド不織布を得た。次いで圧着面積率8%の角錐台形状の凸部が千鳥配列されたエンボスロールで、193℃、線圧30kN/mでエンボス加工を行い、熱圧着タイプの長繊維不織布を得た。
記不織布をニードルパンチ工程においてオイルを噴霧すると共に、ニードル密度90ケ/cm、ニードル針深度13mmにてニードルパンチによる交絡処理を行った不織布を得た。
このとき、オイル付与面をエンボス面側にニードルパンチのニードル貫入面を上記エンボス加工のエンボス面側から加工し、ポリエステル樹脂(ポリエステル樹脂/エチレングリコールモノ‐t‐ブチルエーテル/水=25/10/65;互応化学株式会社製「プラスコート(登録商標)RZ−105」)が固形分で18%となるように、各成分をよく混合し、樹脂組成物を得た。
上記のニードルパンチ不織布に、ディッピング法によって、上記樹脂組成物を付着させて、樹脂の乾燥後付着量が10g/mの自動車内装材を得た。
難燃性、剥離強さ、磨耗試験、初期応力を上記方法で評価し、表1に示した。
【0042】
(比較例3)
固有粘度0.63dl/gのポリエチレンテレフタレート(PET)を用い、紡糸温度285℃、単孔吐出量1.7g/分で溶融紡糸し、エジェクターで引き取りつつ開繊して、ネットコンベア上に繊維配列がランダムになるように速度調整して堆積させた。単糸繊度3.5dtexの長繊維からなる目付100g/mのスパンボンド不織布を得た。次いで圧着面積率8%の角錐台形状の凸部が千鳥配列されたエンボスロールで、193℃、線圧30kN/mでエンボス加工を行い、熱圧着タイプの長繊維不織布を得た。
上記不織布をニードルパンチ工程においてオイルを噴霧すると共に、ニードル密度90ケ/cm、ニードル針深度13mmにてニードルパンチによる交絡処理を行った不織布を得た。
このとき、オイル付与面をエンボス面側にニードルパンチのニードル貫入面を上記エンボス加工のエンボス面側から加工した自動車内装材を得た。
難燃性、剥離強さ、磨耗試験、初期応力を上記方法で評価し、表1に示した。
【0043】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明の自動車内装材は、ファスナーの取り付けが可能で、ファスナー取り外し時の毛羽立ちを抑えられ、適度な伸度があり、難燃性に優れた自動車用内装材を提供することが可能であり産業界への寄与大である。
図1