(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6919896
(24)【登録日】2021年7月28日
(45)【発行日】2021年8月18日
(54)【発明の名称】大腿部揺動装置
(51)【国際特許分類】
A61H 7/00 20060101AFI20210805BHJP
A61H 23/02 20060101ALI20210805BHJP
【FI】
A61H7/00 323E
A61H23/02 350
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2017-234734(P2017-234734)
(22)【出願日】2017年12月6日
(65)【公開番号】特開2019-98035(P2019-98035A)
(43)【公開日】2019年6月24日
【審査請求日】2020年11月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】517427473
【氏名又は名称】永山 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100161229
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 達彦
(72)【発明者】
【氏名】永山 敬
【審査官】
山田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−79055(JP,A)
【文献】
特開2004−41383(JP,A)
【文献】
特開平11−56888(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 7/00
A61H 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人が仰向けに横たわることができるベッドと、
前記ベッドの上面に対し垂直方向上側に突出した中心支柱と、
前記中心支柱の左右にそれぞれ設けられ、前記ベッドの上面に対し垂直方向上側に突出した左右支柱と、
前記左右支柱の間隔を調節する調節手段と、
前記中心支柱及び前記左右支柱を一体的に左右に揺動させる揺動手段と、
を備えた大腿部揺動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大腿部にマッサージ効果を与える大腿部揺動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
施術師は、大腿部をマッサージする場合、手の平に体重をかけて施術部位を押し、そのまま手の平を動かすことで行うことが多い。いわゆる押し揉みである。しかし、この方法では大腿部の前側と後ろ側は、被施術者を仰向けに寝かせたり、うつ伏せに寝かせたりすることで可能となるが、外側と内側を行うのは容易ではなかった。また、内側は陰部に近いこともあって、施術を拒む被施術者も少なくなかった。
【0003】
大腿部にマッサージ効果等を与える器具として、例えば特許文献1や特許文献2に記載の技術が提案されているが、いずれも大腿部の後ろ側の筋肉に対するものであり、外側と内側を対象にしたものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−100223号公報
【特許文献2】特開2010−104698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、大腿部の外側と内側に対してマッサージ効果を与える装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る大腿部揺動装置は、
人が仰向けに横たわることができるベッドと、ベッドの上面に対し垂直方向上側に突出した中心支柱と、中心支柱の左右にそれぞれ設けられベッドの上面に対し垂直方向上側に突出した左右支柱と、左右支柱の間隔を調節する調節手段と、中心支柱及び前記左右支柱を一体的に左右に揺動させる揺動手段と、を備えている。なお、ここでいう左右とは、ベッドに横たわった人から見て左右という意味である。
【発明の効果】
【0007】
中心支柱を股の間に挟ませ、左右支柱の間隔を狭めることで大腿部の外側と内側を押し、中心支柱及び前記左右支柱を一体的に左右に揺動させることで押したまま揉むのと同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第一の実施形態である大腿部揺動装置を模式的に示した平面図である。
【
図2】第一の実施形態である大腿部揺動装置を模式的に示した正面図(ベッドの下半身部を除いたもの)である。
【
図3】第二の実施形態である大腿部揺動装置を模式的に示した平面図である。
【
図4】第二の実施形態である大腿部揺動装置を模式的に示した正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の大腿部揺動装置を具現化した実施形態について、図面を用いて説明するが、本発明の技術的範囲は、もちろんこれだけに限定されるものではない。なお、周知の技術に関しては、詳細な説明を省略する。
【0010】
(第一の実施形態)
まず、第一の実施形態である大腿部揺動装置1の構成について、
図1及び
図2を参照して説明する。
図1は本実施形態の大腿部揺動装置1を模式的に示した平面図である。
図2は大腿部揺動装置1を模式的に示した正面図(ベッドの下半身部を除いたもの)である。
【0011】
図1及び
図2に示すように、大腿部揺動装置1は、主にベッド11、中心支柱12、左右支柱13、13、調節手段14、揺動手段15で構成される。
【0012】
ベッド11は、人が仰向けに横たわるのに十分な大きさのものである。本実施形態では、上半身部11aと下半身部11bとで構成され、上半身部11aと下半身部11bとの間には、隙間が設けてある。
【0013】
図2に示すように、中心支柱12は、金属パイプ製の芯12aにクッション性を有するウレタン等の材料を被覆させ、さらに外面表面をビニール等で被覆させたものである。
【0014】
中心支柱12はベッド11の上面に対し垂直方向上側に突出し、芯12aはベッド11の隙間から下方向に延び、後述するケース15aに固定されている。
【0015】
左右支柱13、13は、中心支柱12とほぼ同様の構成である。なお、本実施形態では、中心支柱12及び左右支柱13、13の構成をこのようにしたが、これに限らないのはもちろんである。ただし、大腿部を挟んで揺動させるため、ある程度の強度が必要である。また、大腿部に接する部分は、弾性部材であることが望ましいが、あまり柔らかいと大腿部をしっかり挟めないため、適度な弾性であることが望ましい。
【0016】
図2に示すように、調節手段14は、ベッド11の下方、ケース15a内で左右支柱13、13の芯13a、13aに接続され、ハンドル14aを用いて、左右支柱13、13の間隔を調節できるようになっている。ラック・アンド・ピニオン等の周知の技術を用いているため、説明は省略する。バイスのようにボルトを用いたものでもよい。
【0017】
揺動手段15は、中心支柱12及び左右支柱13、13を調節手段14ごと一体的に左右に揺動させるもので、中心支柱12及び左右支柱13、13、調節手段14を納めたケース15aと駆動力15bとで構成される。ケース15aは、ベッド11に固定された図示しないスライドレールに支持されて左右にスライド可能となっている。駆動力15bは、ベッド11に固定されたモータとモータの回転軸に接続された円板状のフライホイールとフライホイールの中心軸から外れた位置に接続されたシャフトから構成される。これらは、いずれも周知の技術を用いている。
【0018】
つぎに、大腿部揺動装置1の使用方法について説明する。
図1に示すように被施術者Hをベッドに仰向けに寝かせ、中心支柱12を股の間に挟ませる。調節手段14を用い、大腿部の外側と内側を少し押すところまで左右支柱13、13を狭める。その状態で揺動手段15により、中心支柱12及び左右支柱13、13を一体的に左右に揺動させる。
【0019】
そうすると、中心支柱12及び左右支柱13、13が右に移動した時は、両足ともかかとを支点として全体的に右回転し、中心支柱12及び左右支柱13、13が左に移動した時は、両足ともかかとを支点として全体的に左回転する。これにより、中心支柱12及び左右支柱13、13によって挟まれた大腿部の部位に対し、手の平で押したまま揉む(押した手の平を足の回転方向とは反対の方向に移動させる)のと同様のマッサージ効果を与えることができる。
【0020】
被施術者の寝る位置を上下させることでマッサージ効果を与える施術部位を変えることができるが、リンパ液等は、体の中心に向かって流すとよいと言われているため、最初はひざに近いところを中心支柱12及び左右支柱13、13で挟んで揺動させ、少しずつ足の付け根のほうに移動させていくのが望ましい。
【0021】
(第二の実施形態)
つぎに、第二の実施形態である大腿部揺動装置2の構成について、
図3及び
図4を参照して説明する。
図3は本実施形態の大腿部揺動装置2を模式的に示した平面図である。
図4は、本実施形態の大腿部揺動装置2を模式的に示した正面図である。
【0022】
図3及び
図4に示すように、大腿部揺動装置2は、主にベッド21、中心支柱22、左右支柱23、23、調節手段24、揺動手段25で構成される。
【0023】
ベッド21は、ベッド11と異なり分割されていない通常のものである。
【0024】
中心支柱22、左右支柱23、23は、芯22a、芯23a、23aの長さが短い以外中心支柱11、左右支柱13、13とほぼ同様の構成である。
【0025】
中心支柱22はベッド21の上面に対し垂直方向上側に突出し、芯22aは後述するケース25aに固定されている。左右支柱23、23は、中心支柱22ほぼ同様の構成である。
【0026】
調節手段24は、長尺のボルトを用いた周知の技術であるため、説明を省略する。調節手段24は、ケース25a内に設けられている。調節手段24には、左右支柱23、23の芯23a、23aが接続されている。
【0027】
揺動手段25は、中心支柱22及び左右支柱23、23を調節手段24ごと一体的に左右に揺動させるもので、ケース25aと駆動力25bとで構成される。ケース25aは、図示しない固定手段によってベッド21の上面に固定されたスライドレール25cに支持されて左右にスライド可能となっている。駆動力25bは、ベッド21に固定されたモータとモータの回転軸に接続された円板状のフライホイールとフライホイールの中心軸から外れた位置に接続されたシャフトから構成される。これらは、いずれも周知の技術を用いている。
【0028】
大腿部揺動装置2の使用方法は、大腿部揺動装置1と同じである。なお、本実施形態では、ケース25aには、臀部も載置されるようになっているが、施術部位付近だけが載置されるようになっていてもよい。
【0029】
上述した内容は、あくまでも本発明の一実施形態に関するものであって、本発明が上記内容に限定されることを意味するものではない。例えば、第一の実施形態では、ベッド11は上半身部11aと下半身部11bの2つからなり、間に隙間のあるものであるが、1つの部材からなるベッドとし、スリットを設けたものでもよい。
【符号の説明】
【0030】
1 大腿部揺動装置1
2 大腿部揺動装置2
11 ベッド 11a 上半身部 11b 下半身部
12 中心支柱
13 左右支柱
14 調節手段
15 揺動手段
21 ベッド
22 中心支柱
23 左右支柱
24 調節手段
25 揺動手段