(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
岸壁に立つ脚構造体と、この脚構造体に支持されて一端がこの構造体から海側に張り出すと共に他端が陸側に張り出した桁部と、前記桁部の延在方向の中央部で鉛直方向及びその延在方向のうちの少なくとも一方に移動自在に構成されてコンテナが一時的に載せ置かれる中継載置台と、この中継載置台及び前記桁部の他端部の下方の停車位置に停車した運搬車の間でコンテナを荷役する陸側荷役装置と、前記中継載置台及び前記桁部の一端部の下方に係留したコンテナ船の指示された荷役位置の間でコンテナを荷役する海側荷役装置と、を備えたクレーンの制御システムにおいて、
前記陸側荷役装置、前記海側荷役装置、及び前記運搬車の現在位置を取得する位置取得装置と、前記海側荷役装置、前記陸側荷役装置、前記中継載置台、及び前記位置取得装置に接続された制御装置と、を備えて、この制御装置に予め前記停車位置及び前記荷役位置が設定されて、
設定された前記停車位置及び前記荷役位置と前記位置取得装置が取得した前記陸側荷役装置、前記海側荷役装置、及び前記運搬車の現在位置とに基づいて、前記制御装置により、前記陸側荷役装置又は前記海側荷役装置のどちらか一方の荷役装置にコンテナ荷役作業における待機時間の発生が予測される場合は、予測されるその待機時間を含んだ前記一方の荷役装置のコンテナ荷役作業に関するサイクルタイムと他方の荷役装置のコンテナ荷役作業に関するサイクルタイムと、を等しくする位置に前記中継載置台を移動させる制御をする構成にし、
前記等しくする位置は、前記一方の荷役機器の前記延在方向の移動距離及び前記一方の荷役機器におけるコンテナの鉛直方向の移動距離の合計距離を、前記他方の荷役機器の前記延在方向の移動距離及び前記他方の荷役機器におけるコンテナの鉛直方向の移動距離の合計距離よりも短くする位置であることを特徴とするクレーンの制御システム。
岸壁に立つ脚構造体と、この脚構造体に支持されて一端がこの構造体から海側に張り出すと共に他端が陸側に張り出した桁部と、前記桁部の延在方向の中央部で鉛直方向及びその延在方向のうちの少なくとも一方に移動自在に構成されてコンテナが一時的に載せ置かれる中継載置台と、この中継載置台及び前記桁部の他端部の下方の停車位置に停車した運搬車の間でコンテナを荷役する陸側荷役装置と、前記中継載置台及び前記桁部の一端部の下方に係留したコンテナ船の指示された荷役位置の間でコンテナを荷役する海側荷役装置と、を備えたクレーンの制御システムにおいて、
前記陸側荷役装置、前記海側荷役装置、及び前記運搬車の現在位置を取得する位置取得装置と、前記海側荷役装置、前記陸側荷役装置、前記中継載置台、及び前記位置取得装置に接続された制御装置と、を備えて、この制御装置に予め前記停車位置及び前記荷役位置が設定されて、
前記制御装置により、設定された前記停車位置及び前記荷役位置に基づいて、前記陸側荷役装置のコンテナ荷役作業に関する仮陸側サイクルタイムと前記海側荷役装置のコンテナ荷役作業に関する仮海側サイクルタイムとを等しくする仮位置を算出し、算出したその仮位置に前記中継載置台が存在すると仮定して、その仮位置と前記位置取得装置が取得した前記陸側荷役装置、前記海側荷役装置、及び前記運搬車の現在位置とに基づいて、前記陸側荷役装置又は前記海側荷役装置のどちらか一方の荷役装置にコンテナ荷役作業における待機時間を予測し、予測したその待機時間を含んだ前記一方の荷役装置のコンテナ荷役作業に関するサイクルタイムと他方の荷役装置のコンテナ荷役作業に関するサイクルタイムと、を等しくする位置に前記中継載置台を移動させる制御をする構成にしたことを特徴とするクレーンの制御システム。
前記待機時間は、前記陸側荷役装置が前記停車位置の上方に到着してから前記運搬車がその停車位置に到着するまでの時間として予測される請求項1又は2に記載のクレーンの制御システム。
中継載置台を岸壁に立つ脚構造体に支持されて一端がこの構造体から海側に張り出すと共に他端が陸側に張り出した桁部の延在方向の中央部で鉛直方向及びその延在方向のうちの少なくとも一方に移動させて、陸側荷役装置に前記中継載置台と前記桁部の陸側の下方の停車位置に停車した運搬車との間でコンテナを荷役させると共に、海側荷役装置に前記中継載置台と前記桁部の海側の下方に係留したコンテナ船の荷役位置との間でコンテナを荷役させるクレーンの制御方法において、
前記陸側荷役装置、前記海側荷役装置、及び前記運搬車の現在位置を逐次取得し、
予め設定された前記停車位置及び前記荷役位置と、取得した前記陸側荷役装置、前記海側荷役装置、及び前記運搬車の現在位置とに基づいて、前記陸側荷役装置又は前記海側荷役装置のどちらか一方の荷役装置のコンテナ荷役作業における待機時間の発生を予測し、
前記待機時間の発生を予測した場合は、その待機時間を含んだ前記一方の荷役装置のコンテナ荷役作業に対するサイクルタイムと他方の荷役装置のコンテナ荷役作業に対するサイクルタイムと、を等しくする位置を前記一方の荷役機器の前記延在方向の移動距離及び前記一方の荷役機器におけるコンテナの鉛直方向の移動距離の合計距離を、前記他方の荷役機器の前記延在方向の移動距離及び前記他方の荷役機器におけるコンテナの鉛直方向の移動距離の合計距離よりも短くする位置として算出し、
算出したその等しくする位置に、前記中継載置台を移動させることを特徴とするクレーンの制御方法。
中継載置台を岸壁に立つ脚構造体に支持されて一端がこの構造体から海側に張り出すと共に他端が陸側に張り出した桁部の延在方向の中央部で鉛直方向及びその延在方向のうちの少なくとも一方に移動させて、陸側荷役装置に前記中継載置台と前記桁部の陸側の下方の停車位置に停車した運搬車との間でコンテナを荷役させると共に、海側荷役装置に前記中継載置台と前記桁部の海側の下方に係留したコンテナ船の荷役位置との間でコンテナを荷役させるクレーンの制御方法において、
前記陸側荷役装置、前記海側荷役装置、及び前記運搬車の現在位置を逐次取得し、
予め設定された前記停車位置及び前記荷役位置に基づいて、前記陸側荷役装置のコンテナ荷役作業に関する仮陸側サイクルタイムと前記海側荷役装置のコンテナ荷役作業に関する仮海側サイクルタイムとを等しくする仮位置を算出し、
算出したその仮位置に前記中継載置台が存在すると仮定して、その仮位置と取得した前記陸側荷役装置、前記海側荷役装置、及び前記運搬車の現在位置とに基づいて、前記陸側荷役装置又は前記海側荷役装置のどちらか一方の荷役装置にコンテナ荷役作業における待機時間を予測し、
前記待機時間の発生を予測した場合は、その待機時間を含んだ前記一方の荷役装置のコンテナ荷役作業に対するサイクルタイムと他方の荷役装置のコンテナ荷役作業に対するサイクルタイムと、を等しくする位置を算出し、
算出したその等しくする位置に、前記中継載置台を移動させることを特徴とするクレーンの制御方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明のクレーンの制御システム及びクレーンの制御方法の実施形態について説明する。図中では、蔵置レーン13の長手方向をx方向、蔵置レーン13の短手方向をy方向、鉛直方向をz方向で示す。
【0012】
図1〜3に例示するように、第一実施形態の制御システム30は、コンテナターミナル10でコンテナCを荷役する岸壁クレーン(ガントリークレーンともいう)20のコンテナCの荷役を制御するシステムである。
【0013】
図1に例示するように、コンテナターミナル10は、x方向に隣接するコンテナヤード11と本船荷役エリア12とに区画される。コンテナヤード11は、多数のコンテナCが蔵置される複数の蔵置レーン13を備える。本船荷役エリア12は、岸壁に沿って敷設されるレールの上を走行する複数の岸壁クレーン20を備える。蔵置レーン13の長手方向がy方向に向いて設置されてもよい。
【0014】
コンテナターミナル10は、コンテナヤード11及び本船荷役エリア12の間でコンテナCを運搬する構内運搬車14と、コンテナヤード11及び外部の間でコンテナCを運搬する外来用運搬車15とが走行する。また、コンテナターミナル10は、複数の門型クレーン16が、蔵置レーン13を跨いだ状態で蔵置レーン13に沿ってx方向に走行する。
【0015】
コンテナターミナル10は、管理棟17が設置される。管理棟17には、上位システム18が設置されて、上位システム18から通信機を介して荷役機器(14〜16、20)に荷役作業の指示等が行われる。
【0016】
コンテナターミナル10は、荷役機器が上位システム18からの指示により自動的に荷役可能な自動化ターミナルや、遠隔操作用コントローラ等が管理棟17に設置されて荷役機器を遠隔から操作可能なターミナルが例示できる。また、コンテナターミナル10は、荷役機器に運転者が搭乗して直接操作するターミナルも例示できる。
【0017】
図2に例示するように、岸壁クレーン20は、脚構造体21、桁部22、中継載置台23、陸側荷役装置24、及び海側荷役装置25を備えている。
【0018】
脚構造体21は、下端に岸壁に敷設されてy方向に延在するレールに沿って走行可能な走行装置21aが設置されていて、走行装置21aから上方に延在する複数の脚体21bと、その脚体21bどうしを連結する水平梁21cとから構成されている。
【0019】
桁部22は、脚構造体21の上部に支持されていて、脚構造体21からx方向海側に張り出したブーム22aと、脚構造体21からx方向陸側に張り出したガーダ22bとから構成されている。なお、桁部22としては、荷役するときに脚構造体21からx方向海側に張り出し、待機中に脚構造体21からx方向陸側に張り出すシャトルブームや、ブーム22aが待機中にx方向中途位置で屈曲する中折式のものが例示される。
【0020】
中継載置台23は、桁部22のx方向の中央部でx方向及びz方向のうちの少なくとも一方に移動自在に構成されてコンテナCが一時的に載せ置かれる移動式の台である。具体的に、中継載置台23は、中継トロリ23a、ワイヤ23b、及び載置台本体23cを有している。中継トロリ23aは、桁部22に支持されていて、桁部22をx方向に移動可能に構成されている。載置台本体23cは、上端にコンテナCが一時的に載せ置かれる台であり、平面視で中継トロリ23aの中央部から下方に向って吊架した複数本のワイヤ23bにより吊り下げられていて、ワイヤ23bを巻き取るあるいは繰り出すことで、上下に昇降する。
【0021】
中継載置台23は、コンテナCが載置台本体23cに載せ置かれた状態で、中継トロリ23aがx方向に移動可能な構成にしてもよく、載置台本体23cがz方向に移動可能な構成にしてもよい。
【0022】
陸側荷役装置24は、陸側トロリ24a、ワイヤ24b、及び陸側吊具(スプレッダともいう)24cを有している。陸側トロリ24aは、桁部22に支持されていて、桁部22をx方向に移動可能に構成されている。陸側吊具24cは、下端がコンテナの上端と接合可能に構成されていて、平面視で陸側トロリ24aの中央部から下方に向って吊架した複数本のワイヤ24bにより吊り下げられていて、ワイヤ24bを巻き取るあるいは繰り出すことで、上下に昇降する。
【0023】
海側荷役装置25は、海側トロリ25a、ワイヤ25b、及び海側吊具25cを有している。海側トロリ25aは、桁部22に支持されていて、桁部22をx方向に移動可能に構成されている。海側吊具25cは、下端がコンテナの上端と接合可能に構成されていて、平面視で海側トロリ25aの中央部から下方に向って吊架した複数本のワイヤ25bにより吊り下げられていて、ワイヤ25bを巻き取るあるいは繰り出すことで、上下に昇降する。
【0024】
岸壁クレーン20は、桁部22の陸側端部の上端に機械室26が設置されていて、その機械室26に中継載置台23、陸側荷役装置24、及び海側荷役装置25を駆動する図示しない駆動装置が収納されている。なお、各駆動装置は、中継載置台23、陸側荷役装置24、及び海側荷役装置25のそれぞれに設置されていてもよい。
【0025】
制御システム30は、載置台位置取得装置31、陸側位置取得装置32、海側位置取得装置33、運搬車位置取得装置34、及び制御装置35を備えている。
【0026】
載置台位置取得装置31、陸側位置取得装置32、海側位置取得装置33、及び運搬車位置取得装置34のそれぞれは、中継載置台23、陸側荷役装置24、海側荷役装置25、及び構内運搬車14の現在位置(Q1〜Q4)を逐次取得する装置である。
【0027】
載置台位置取得装置31、陸側位置取得装置32、及び海側位置取得装置33としては、全球測位衛星システム(GNSS)アンテナや、各駆動装置の駆動状況に基づいてトロリのx方向の移動距離及び吊架物のz方向の移動距離を算出して現在位置を逐次取得するものが例示される。この現在位置(Q1〜Q3)としては、陸側荷役装置24及び海側荷役装置25の荷役経路における現在位置が例示される。例えば、中継載置台23の現在位置Q1としては載置台本体23cにコンテナCを載置したときのコンテナCの上端の中心位置が例示される。陸側荷役装置24の現在位置Q2としては陸側吊具24cの下端の中心位置が例示される。海側荷役装置25の現在位置Q3としては海側吊具25cの下端の中心位置が例示される。
【0028】
運搬車位置取得装置34としては、構内運搬車14に設置されたGNSSアンテナやRFIDタグが例示される。構内運搬車14の現在位置Q4としては構内運搬車14にコンテナCを載置したときのコンテナCの上端の中心位置が例示される。
【0029】
制御装置35は、各種情報処理を行うCPU、その各種情報処理を行うために用いられるプログラムや情報処理結果を読み書き可能な内部記憶装置、及び各種インターフェースなどから構成されるハードウェアである。制御装置35は、機械室26に設置されていて、中継載置台23、陸側荷役装置24、及び海側荷役装置25を駆動する図示しない駆動装置に信号線を介して電気的に接続されている。また、制御装置35は、無線アンテナを
介して各位置取得装置(31〜34)に通信可能に接続されている。
【0030】
図3に例示するように、制御装置35は、各機能要素として、算出部36、予測部37、及び制御部38を有している。算出部36は、上位システム18から荷役指令S0を受信したときに中継載置台23の仮位置R1を算出する機能要素である。また、算出部36は、予測部37で陸側荷役装置24が停車位置P0の上方に到着してから構内運搬車14が停車位置P0に到着するまでの待機時間t0の発生が予測されたときに、中継載置台23の中継位置R2を算出する機能要素である。予測部37は、中継載置台23が仮位置R1に存在していると仮定した場合に、陸側荷役機器24の待機時間t0の発生を予測する機能要素である。制御部38は、中継載置台23の駆動装置に算出部36で算出された仮位置R1又は中継位置R2に中継載置台23を移動させる指示S1を出す機能要素である。各機能要素は、プログラムとして内部記憶装置に記憶されていて、適時、CPUにより実行されている。なお、各機能要素としては、プログラムの他にそれぞれが独立して機能する装置としてもよい。
【0031】
図4に例示するように、仮位置R1は、予め設定された構内運搬車14の停車位置P0と上位システム18から送信された荷役指令S0に応じたコンテナ船19における荷役位置P1とに基づいて設定される。具体的に、仮位置R1は、待機時間t0が発生しない理想的な陸側荷役装置24のコンテナCの荷役作業に関する仮陸側サイクルタイムT1と、理想的な海側荷役装置25のコンテナCの荷役作業に関する仮海側サイクルタイムT2とを等しくする位置である。
【0032】
なお、停車位置P0は、予め設定された位置とするが、構内運搬車14ごとに停車位置P0が変更する場合は、その都度、上位システム18から制御装置35に送られるものとする。
【0033】
仮陸側サイクルタイムT1は、陸側トロリ24aが停車位置P0の上方の位置と仮位置R1の上方の位置との間を往復する時間T3×2と、陸側吊具24cが昇降して構内運搬車14に対するコンテナCの受け渡しに要する時間T4×2と、陸側吊具24cが昇降して中継載置台23に対するコンテナCの受け渡しに要する時間T5×2との合計時間である。
【0034】
仮海側サイクルタイムT2は、海側トロリ25aが荷役位置P1の上方の位置と仮位置R1の上方の位置との間を往復する時間T6×2と、海側吊具25cが昇降して荷役位置P1に対するコンテナCの受け渡しに要する時間T7×2と、海側吊具25cが昇降して中継載置台23に対するコンテナCの受け渡しに要する時間T8×2との合計時間である。
【0035】
なお、往復する時間(T3、T6)は、陸側トロリ24a、海側トロリ25aの平均移動速度を用いて算出するとよい。また、受け渡しに要する時間(T4、T5、T7、T8)は、センサなどによる予測が難しく、実際に受け渡しに要する時間を一定回数カウントして、その移動平均を用いることが好ましい。この実施形態では、受け渡しに要する時間の5回の移動平均を用いている。
【0036】
図5に例示するように、待機時間t0は、中継載置台23が仮位置R1に存在すると仮定したときの陸側到着時刻t1と運搬車到着時刻t2との差分である。
【0037】
陸側到着時刻t1は、現在時刻txに、陸側トロリ24aが現在位置Q2から停車位置P0の上方の位置に到着に要する時間を加算した時刻であり、逐次算出される。到着に要する時間は、現在位置Q2から仮位置R1に存在する中継載置台23の上方の位置に到着
する時間T9と、上述した時間T5×2と時間T3との合計時間を加算した時刻である。
【0038】
運搬車到着時刻t2は、現在時刻txに、構内運搬車14が現在位置Q4から停車位置P0に到着するまでの時間T10を加算した時刻である。なお、到着するまでの時間10は、構内運搬車14の平均移動速度を用いて算出するとよい。また、運搬車到着時刻t2は、管理棟17にある上位システム18より得てもよい。
【0039】
図6に例示するように、中継位置R2は、中継位置R2に中継載置台23が存在すると仮定したときの陸側サイクルタイムT11に待機時間t0を加算した陸側サイクルタイムT19と、海側サイクルタイムT12とを等しくする位置である。なお、等しくする位置は、陸側サイクルタイムT19と海側サイクルタイムT12とを略等しくする位置も含む。
【0040】
具体的に、中継位置R2は、陸側到着時刻t1と運搬車到着時刻t2との差分である待機時間t0分、陸側荷役装置24のコンテナ荷役作業を減少させると共に海側荷役装置25のコンテナ荷役作業を増加させる位置である。陸側サイクルタイムT11は、仮位置R1に中継載置台23が存在すると仮定したときの仮陸側サイクルタイムT1よりも待機時間t0の半分の時間が短縮される。海側サイクルタイムT12は、仮位置R1に中継載置台23が存在すると仮定したときの仮海側サイクルタイムT2よりも待機時間t0の半分の時間が延長される。つまり、陸側サイクルタイムT11は、海側サイクルタイムT12よりも待機時間t0分だけ短縮される。
【0041】
陸側サイクルタイムT11は、陸側トロリ24aが停車位置P0の上方の位置と中継位置R2の上方の位置との間を往復する時間T13×2と、陸側吊具24cが昇降して構内運搬車14に対するコンテナCの受け渡しに要する時間T14×2と、陸側吊具24cが昇降して中継載置台23に対するコンテナCの受け渡しに要する時間T15×2との合計時間である。
【0042】
海側サイクルタイムT12は、海側トロリ25aが荷役位置P1の上方の位置と中継位置R2の上方の位置との間を往復する時間T16×2と、海側吊具25cが昇降して荷役位置P1に対するコンテナCの受け渡しに要する時間T17×2と、海側吊具25cが昇降して中継載置台23に対するコンテナCの受け渡しに要する時間T18×2との合計時間である。
【0043】
図7に例示するように、制御装置35の算出部36は、仮位置R1を算出する制御を行う。この制御は、予め設定した周期ごとに行われる。具体的に、上位システム18から荷役指令S0を受信する(S110:YES)と、算出部36は、荷役指令S0に基づいて、コンテナ船19における荷役位置P1を設定する(S120)。
【0044】
次いで、算出部36は、予め設定されていた停車位置P0及び荷役位置P1に基づいて、仮陸側サイクルタイムT1と仮海側サイクルタイムT2とが等しくなる仮位置R1を算出する(S130)。
【0045】
このステップの一例をいかに例示する。算出部36は、停車位置P0及び荷役位置P1の中間地点(荷役経路の中間地点)として仮位置R1を算出する。次いで、算出部36は、停車位置P0及び算出した仮位置R1に基づいて仮陸側サイクルタイムT1を算出すると共に、荷役位置P1及び仮位置R1に基づいて仮海側サイクルタイムT2を算出する。次いで、算出部36は、仮陸側サイクルタイムT1と仮海側サイクルタイムT2との差分を算出する。次いで、算出部36は、その差分に基づいて、仮位置R1を補正する。
【0046】
このステップの他の例としては、算出部36が予め実験や試験により荷役位置P1に応じた仮位置R1が設定されたマップデータを用いて仮位置R1を算出する方法も例示される。
【0047】
仮位置R1が算出されると、スタートへ戻る。なお、算出部36が算出した仮位置R1は、内部記憶装置に記憶される。
【0048】
図8に例示するように、制御装置35の予測部37は、陸側荷役装置24の待機時間t0を予測する制御を行う。また、制御装置35の制御部38は、中継載置台23を移動する制御を行う。これらの予測する制御と移動する制御は、対象となるコンテナCを構内運搬車14からコンテナ船19に荷積みする、又はコンテナ船19から構内運搬車14に荷卸しするごとに行われる。
【0049】
なお、スタート時点で、陸側荷役装置24が構内運搬車14の停車位置P0の上方付近に存在し、海側荷役装置25がコンテナ船19の荷役位置P1の上方付近に存在するものとする。また、スタート時点で、対象となるコンテナCにおける仮位置R1は、既に算出されて内部記憶装置に記憶されているものとする。
【0050】
前回の対象となるコンテナCの荷役が完了すると、各位置取得装置31〜34が現在位置(Q1〜Q4)を取得する(S210)。次いで、予測部37は、陸側荷役装置24の現在位置Q2、仮位置R1、及び停車位置P0に基づいて、陸側到着時刻t1を予測する(S220)。次いで、予測部37は、構内運搬車14の現在位置Q4、及び停車位置P0に基づいて、運搬車到着時刻t2を予測する(S230)。次いで、予測部37は、予測した陸側到着時刻t1が運搬車到着時刻t2よりも早いか否かを判定する(S240)。
【0051】
陸側到着時刻t1が運搬車到着時刻t2よりも早いと判定すると(S240:YES)、予測部37は、運搬車到着時刻t2から陸側到着時刻t1を減算した差分として待機時間t0を算出する(S250)。
【0052】
次いで、算出部36は、待機時間t0にもとづいて、中継位置R2を算出する(S260)。
【0053】
このステップの一例をいかに例示する。算出部36は、上述したステップS130で算出した仮位置R1に中継載置台23が存在すると仮定したときの仮陸側サイクルタイムT1から待機時間t0の半分の時間を減じた陸側サイクルタイムT11を算出する。次いで、算出部36は、仮海側サイクルタイムT2に待機時間t0の半分の時間を加えて海側サイクルタイムT12を算出する。次いで、算出部36は、算出した陸側サイクルタイムT11と海側理想サイクルタイムT12とに基づいて、中継位置R2を算出する。
【0054】
このステップの他の例としては、算出部36が予め実験や試験により荷役位置P1と待機時間t0に応じた中継位置R2が設定されたマップデータを用いて中継位置R2を算出する方法も例示される。
【0055】
次いで、制御部38は、中継載置台23を算出した中継位置R2へ移動する(S270)。
【0056】
一方、陸側到着時刻t1が運搬車到着時刻t2以上と判定すると(S240:NO)、制御部38は、中継載置台23を算出した仮位置R1へ移動する(S280)。
【0057】
以上のように中継載置台23を移動すると、スタートへ戻り、次の対象となるコンテナCの荷役が開始されると(今回の対象となるコンテナCの荷役が終了すると)、再度、スタートから開始される。
【0058】
図9〜
図11は、横軸がx方向の移動距離を示し、縦軸が時間経過を示している。
図9に例示するように、上記の制御システム30は、陸側到着時刻t1が運搬車到着時刻t2よりも遅い場合に、中継載置台23を仮位置R1に移動する制御を行う(S110〜S130、S210〜S280)。このように、待機時間t0が発生しない場合は、仮陸側サイクルタイムT1と仮海側サイクルタイムT2とが等しくなる仮位置R1に中継載置台23を移動させる。
【0059】
図10に例示するように、上記の制御システム30は、陸側到着時刻t1が運搬車到着時刻t2よりも早い場合に、中継載置台23を中継位置R2に移動する制御(S110〜S130、S210〜S270)を行う。これにより、陸側荷役装置24が停車位置P0の上方で待機する待機時間t0が発生しても、陸側荷役装置24の実陸側サイクルタイムT19と、海側荷役装置25の海側サイクルタイムT12とが略等しくなる。
【0060】
図11に例示するように、従来技術の制御システムは、陸側到着時刻t1が運搬車到着時刻t2よりも早い場合に、待機時間t0を考慮することなく、中継載置台23は仮位置R1に存在し続けることになる。つまり、待機時間t0分、陸側荷役装置24の実際のサイクルタイムと海側荷役装置25の実際のサイクルタイムとが乖離する。このようなサイクルタイムの乖離が生じると、例えば、コンテナ船19からコンテナCを荷卸しする場合は、中継載置台23にコンテナCが溜まることになる。また、コンテナ船19にコンテナCを荷積みする場合は、中継載置台23にコンテナCが到着しないことになる。つまり、サイクルタイムの乖離によって、待機時間t0が生じていない方の荷役装置にも待機時間が生じることになる。
【0061】
上記の制御システム30によれば、陸側荷役装置24に待機時間t0の発生が予測される場合は、その待機時間t0を含めた陸側荷役装置24の実陸側サイクルタイムT19と海側荷役装置25の海側サイクルタイムT12とを等しくする中継位置R2に中継載置台23を移動させる。つまり、待機時間t0が発生した陸側荷役装置24のコンテナ荷役作業を減らすと共に発生していない海側荷役装置25のコンテナ荷役作業を増やすことで、陸側荷役装置24の待機時間t0の発生に伴って生じる海側荷役装置25の待機時間を短縮することができる。これにより、クレーン20の全体のサイクルタイムの最適化には有利になり、陸側荷役装置24に待機時間t0が生じても、コンテナ船19と構内運搬車14との間のコンテナCの荷役効率を向上することができる。
【0062】
この実施形態では、陸側到着時刻t1が運搬車到着時刻t2よりも早いときにのみ、中継位置R2に中継載置台23を移動させている。つまり、陸側到着時刻t1が運搬車到着時刻t2よりも遅くなるときには、仮位置R1に中継載置台23を移動させている。それ故、中継載置台23を移動させる頻度を低減するには有利になり、中継載置台23の移動で消費されるエネルギーを抑制することができる。
【0063】
この実施形態では、陸側荷役装置24における待機時間t0の発生を予測したときに、中継位置R1に中継載置台23を移動させる構成にしたが、これに限定されない。例えば、構内運搬車14からコンテナ船19に荷積みする場合に、海側荷役装置25が仮位置R1に存在する中継載置台23の上方に到着する時刻が、陸側荷役装置24が中継載置台23の上方に到着する時刻よりも早いときに移動させてもよい。また、コンテナ船19から構内運搬車14に荷卸しする場合に、陸側荷役装置24が仮位置R1に存在する中継載置台23の上方に到着する時刻が、海側荷役装置25が中継載置台23の上方に到着する時
刻よりも早いときに移動させてもよい。
【0064】
但し、この実施形態のように、待機時間t0を陸側荷役装置24が停車位置P0の上方に到着してから構内運搬車14がその停車位置P0に到着するまでの時間として予測することが好ましい。クレーン20の荷役において、海側荷役装置25に比して陸側荷役装置24の方が待機時間t0の発生が生じる可能性が高い。それ故、陸側荷役装置24における待機時間t0の発生を予測するだけで、その待機時間t0の発生に伴って発生する海側荷役装置25の待機時間の発生も予測することになる。
【0065】
つまり、陸側荷役装置24の待機時間により、海側荷役装置25にも同程度の待機時間が発生していたが、陸側荷役装置24の荷役時間を減らし、海側荷役装置25の荷役時間を増やすことで、海側荷役装置25の待機時間を確実に減少させ、全体のサイクルタイムを減少することができる。
【0066】
この実施形態では、陸側荷役装置24が中継載置台23に到着するまでの間に行っている。このように、陸側荷役装置24が中継載置台23に到着するまでの間に中継位置R2に中継載置台23を移動させることで、中継載置台23に対する陸側荷役装置24の待機時間の発生を回避するには有利になる。
【0067】
実施形態の制御システム30が制御可能な岸壁クレーン20としては、
図2に例示するものには限定されない。
【0068】
図12に例示するように、実施形態の制御システム30が制御可能な岸壁クレーン20は、既述した実施形態に対して桁部22が、二つに別れて脚構造体21の上部と下部とに支持されているものでもよい。この桁部22は、脚構造体21からx方向海側に張り出したブーム22aと、脚構造体21からx方向陸側に張り出したガーダ22bと、脚構造体21からx方向陸側に張り出した第二ガーダ22cとから構成されている。中継載置台23及び陸側荷役装置24は第二ガーダ22cに支持されてx方向に移動し、海側荷役装置25はブーム22a及びガーダ22bに支持されてx方向に移動する。なお、第二ガーダ22cをz方向に移動可能に構成してもよい。
【0069】
図13に例示するように、実施形態の制御システム30が制御可能な岸壁クレーン20は、既述した実施形態に対して中継載置台23が桁部22に支持されていないものでもよい。この中継載置台23は、岸壁を走行可能な走行装置を有した中継トロリ23aと、この中継トロリ23aの上端に設置された伸縮装置23dと、伸縮装置23dの上端に設置された載置台本体23cとを有している。
【0070】
このように、実施形態の制御システム30が制御可能な岸壁クレーン20は、陸側荷役装置24及び海側荷役装置25の少なくとも二つの荷役装置と、それらの荷役装置の間でx方向及びz方向の少なくとも一方に移動可能な中継載置台23を備えていればよく、上記の構成に限定されない。例えば、第一実施形態のワイヤ23bの代わりに鉛直方向に伸縮自在の油圧ダンパーなどを用いてもよい。