特許第6920002号(P6920002)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6920002
(24)【登録日】2021年7月28日
(45)【発行日】2021年8月18日
(54)【発明の名称】眼科用注射装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/145 20060101AFI20210805BHJP
   A61F 9/007 20060101ALI20210805BHJP
   A61M 39/22 20060101ALI20210805BHJP
   A61K 31/56 20060101ALI20210805BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20210805BHJP
   A61K 35/12 20150101ALI20210805BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20210805BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20210805BHJP
   A61P 27/06 20060101ALI20210805BHJP
   A61P 31/00 20060101ALI20210805BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20210805BHJP
【FI】
   A61M5/145 500
   A61F9/007 130D
   A61M39/22
   A61K31/56
   A61K45/00
   A61K35/12
   A61K31/7088
   A61P27/02
   A61P27/06
   A61P31/00
   A61P29/00
【請求項の数】16
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2018-513827(P2018-513827)
(86)(22)【出願日】2016年9月16日
(65)【公表番号】特表2018-528835(P2018-528835A)
(43)【公表日】2018年10月4日
(86)【国際出願番号】EP2016072024
(87)【国際公開番号】WO2017046358
(87)【国際公開日】20170323
【審査請求日】2019年9月11日
(31)【優先権主張番号】62/220,165
(32)【優先日】2015年9月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517094356
【氏名又は名称】オクラー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003007
【氏名又は名称】特許業務法人謝国際特許商標事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100153394
【弁理士】
【氏名又は名称】謝 卓峰
(74)【代理人】
【識別番号】100145056
【弁理士】
【氏名又は名称】當別當 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100116311
【弁理士】
【氏名又は名称】元山 忠行
(72)【発明者】
【氏名】ヤマモト、ロナルド ケイ
(72)【発明者】
【氏名】コンストン、スタンレイ アール
(72)【発明者】
【氏名】ブレイ、ロバート スティーヴン
【審査官】 竹下 晋司
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−516666(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0223977(US,A1)
【文献】 特表2013−543418(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/083599(WO,A1)
【文献】 特表2013−520287(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/145
A61F 9/007
A61K 31/56
A61K 31/7088
A61K 35/12
A61K 45/00
A61M 39/22
A61P 27/02
A61P 27/06
A61P 29/00
A61P 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体の遠位末端に固定された中空のカニューレを有する細長い本体;
カニューレを通して送達される注入物質のための容器;
注入物質に注入力を与える力要素を有するプランジャー;
容器とカニューレとの間の流路に配置されたバルブ;および、
バルブの外側にある、バルブに対するバルブ作動機構であって、細長い本体に取り付けられているバルブ作動機構;
を備える眼科用注射装置であって、
使用中、バルブが閉位置にあるとき、注入力が注入物質に加えられ、
バルブ作動機構の作動はバルブを通る流路を開放し、バルブ作動機構の漸進的な作動は注入流量を増加させる、
眼科用注射装置。
【請求項2】
前記バルブが、
弾性的に変形可能な材料または材料の組み合わせを備える流路;および、
圧縮力を加えてバルブ内の流路を閉鎖する、流路の外側にある機構;
を備え、
バルブ作動機構による圧縮力の軽減は、閉鎖または部分的に閉鎖された形状から、流れ抵抗が低下した形状に流路の弾性を回復させる、
請求項1に記載の眼科用注射装置。
【請求項3】
前記弾性的に変形可能な材料または材料の組み合わせが、弾性管を含む、請求項2に記載の眼科用注射装置。
【請求項4】
前記機構が、二つの対抗面間の距離を縮めるように作動するスプリング力と連結している二つの対抗面を備え、当該二つの対抗面は、流路の流れ抵抗を圧縮または増大させるように、流路の対辺に設置される、請求項2または3に記載の眼科用注射装置。
【請求項5】
前記バルブが、
内部バルブスプリング;
密閉要素;および、
弁座;
を備え、
密閉要素は、バルブスプリングによる密閉力の下で弁座に対して押し付けられ、バルブ作動機構によるバルブに対する外力は、弁座を変形させて流路を形成する、
請求項1に記載の眼科用注射装置。
【請求項6】
前記バルブが、
内部バルブスプリング;
密閉要素;および、
弁座;
を備え、
密閉要素は、バルブスプリングによる密閉力の下で弁座に対して押し付けられ、少なくとも一つの密閉要素および弁座は磁性体または常磁性体であり、前記作動機構は、移動した場合、密閉要素と弁座との間の流路を開放する磁石を備える、
請求項1に記載の眼科用注射装置。
【請求項7】
さらに、前記容器を充填するためのコネクタ、バルブまたは隔壁を備える、請求項1〜6のいずれか1項に記載の眼科用注射装置。
【請求項8】
前記カニューレが、0.08 mm〜0.41 mmの外径を有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の眼科用注射装置。
【請求項9】
前記容器が、使用する前に、装置内に挿入されたカートリッジを備える、請求項1〜6のいずれか1項に記載の眼科用注射装置。
【請求項10】
前記作動機構が、装置本体の対辺に二つの対抗する機械要素を備え、当該要素を、相互に押し込むことにより作動するように構成された、請求項1〜6のいずれか1項に記載の眼科用注射装置。
【請求項11】
前記力要素が制動機構と連結している、請求項1〜6のいずれか1項に記載の眼科用注射装置。
【請求項12】
さらに、カニューレの遠位末端に固定された組織接点を備える、請求項1〜6のいずれか1項に記載の眼科用注射装置。
【請求項13】
前記組織接点が、長さにおいて弾性的に圧縮可能である、請求項12に記載の眼科用注射装置。
【請求項14】
さらに、装置本体と組織接点との間に第二の力要素を備える、請求項12に記載の眼科用注射装置。
【請求項15】
さらに、装置本体と組織接点との間に折り畳み可能要素を備える、請求項12に記載の眼科用注射装置。
【請求項16】
前記弁座は、溝を含むか、または流路を形成するように構成された非対称弁座である、請求項5または6に記載の眼科用注射装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2015年9月17日に出願された米国仮出願62/220,165に基づく優先権を主張する。アプリケーション・データ・シートにおいて、本出願と共に出願されたものとして確認される外国または国内優先権の主張に対するすべての出願は、37連邦規制基準(CFR)1.57のもとに、参照することにより本明細書に組み込まれる。許容可能な場合は、本明細書中で参照されるすべての特許および特許出願は、参照により本明細書中に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
眼の固有の解剖学的形態と生理機能が原因で、眼組織への有意な薬物輸送を妨げる複数のバリアが存在する。眼の血管は、眼内液を調節する血液眼関門のため、透過性が制限されている。この血液眼関門が原因で、全身的に投与された薬物は、眼組織で有意な濃度に到達しない。いくつかの薬物は、点眼により眼の前側部分に送達されるが、局所投与法によって眼の後方部分や網膜において有意な治療濃度に到達させることは、一般的には実現されない。
【0003】
眼における薬物輸送に対する眼関門および眼の後方部分における網膜治療の必要性のため、多くの眼治療薬は注射により投与される。一定の眼疾患および眼組織の治療においては、治療薬を特定の組織層に注入するため、通常は存在しない間隙を作成することが求められることが多い。一例として、液体の注入により、結膜と強膜との間に間隙または小疱が形成される結膜下腔が挙げられる。投与される液体の圧力と流動性により、注入物質のための間隙が形成され、治療薬の貯蔵所としての役割を果たす。
【0004】
特異的な遺伝子治療および細胞治療による網膜の治療の最近の進歩のため、非常に小さなゲージのカニューレを用いて、治療薬を網膜下腔に注入することが求められることが多く、ここでは、液体の注入により、網膜と網膜色素上皮との間または網膜と脈絡膜との間に小疱が作成される。しかしながら網膜下注射については、注射は、好ましくない網膜の恒久的な剥離をもたらす可能性のある敏感な網膜組織への外傷や小疱の形成を防ぐような方法で行わなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記の考察に従って、本発明は、小ゲージのカニューレを通して液体中の治療薬を高度に制御して送達する注射のための眼科用注射器を提供する。カニューレの小ゲージは、注入部位に対して自己密閉性を与え、送達時およびカニューレの除去後の注入物質の漏出を防ぐ。また小ゲージのカニューレは、敏感な眼組織への外傷を最小限にすることが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
装置は、遠位末端で中空のカニューレを有する細長い本体で構成される。容器は、カニューレを通して送達される注入物質を保持する。装置の細長い本体の中のプランジャーは、注入力を注入物質に供給する圧縮スプリングまたはガス貯蔵器などの力要素により作動する。また、装置は、カニューレと容器との間に、注入動作および注入速度の漸進的な制御を可能にするバルブ機構を備える。容器中の注入物質は、注射する標的組織または組織間隙中にカニューレを留置する前に、力要素により加圧下に置かれる。この機構は、使用者によるバルブの作動が行えるようにし、また、プランジャーの操作なしに注入速度が制御できるようにし、注射器と同様に、組織または組織間隙への注入物質の制御された片手注射を可能にする。装置の組織留置を高度に制御し、一方で注入速度を制御することは、結膜下腔、上毛様体腔、上脈絡膜腔、テノン下腔および網膜下腔などの通常は開いていない組織間隙に注射する場合に、より高い精度と簡便性を与える。
【0007】
本装置の一実施態様では、装置は先端に組織接点を備える。この組織接点は、組織接点が注射する標的組織の表面と接触し、カニューレが組織中に前進し、注入物質を送達する間、その表面上に留まるように、カニューレの外径上に摺動可能に配置される。組織接点は、特に網膜のような敏感な組織に対して組織表面を固定する働きをし、注入物質の送達中に漏出を制限するためのシールとなる。
【0008】
本発明のこれらおよび他の態様は、添付の図面とともに、以下の詳細な説明を考慮することにより明らかになる。
【0009】
ある実施態様では、本体の遠位末端に固定された中空のカニューレを有する細長い本体、カニューレを通して送達される注入物質のための容器、注入物質に注入力を与えるように構成された力要素を有するプランジャー、容器とカニューレとの間の流路に配置されたバルブであって、通常は注入物質に加えられた注入力により閉じられているバルブ、および、バルブの外側にある、バルブに対するバルブ作動機構を備える注射装置が提供される。ここで、バルブ作動機構は、細長い本体に取り付けられており、バルブ作動機構の作動はバルブを通る流路を開放し、バルブ作動機構の漸進的な作動は注入流量を増加させる。
【0010】
ある実施態様では、本体の遠位末端に固定された中空のカニューレを有する細長い本体、カニューレを通して送達される注入物質のための容器、注入物質に注入力を与える力要素を有するプランジャー、容器とカニューレとの間の流路に配置されたバルブであって、通常は注入物質に加えられた注入力により閉じられているバルブ、および、バルブの外側にある、バルブに対するバルブ作動機構を備える注射装置が提供される。ここで、バルブ作動機構は細長い本体に取り付けられており、バルブ作動機構の作動はバルブを通る流路を開放し、バルブ作動機構の漸進的な作動は注入流量を増加させ、バルブは、弾性的に変形可能な材料または材料の組み合わせを備える流路、および圧縮力を加えてバルブ内の流路を閉鎖する、流路の外側にある機構を備え、また、バルブ作動機構による圧縮力の軽減は、閉鎖または部分的に閉鎖された形状から、流れ抵抗が低下した形状に流路の弾性を回復させる。好ましくは、弾性的に変形可能な材料または材料の組み合わせは、弾性管を含んでもよい。
【0011】
ある実施態様では、本体の遠位末端に固定された中空のカニューレを有する細長い本体、カニューレを通して送達される注入物質のための容器、注入物質に注入力を与える力要素を有するプランジャー、容器とカニューレとの間の流路に配置されたバルブであって、通常は注入物質に加えられた注入力により閉じられているバルブ、および、バルブの外側にある、バルブに対するバルブ作動機構を備える注射装置が提供される。ここで、バルブ作動機構は細長い本体に取り付けられており、バルブ作動機構の作動はバルブを通る流路を開放し、バルブ作動機構の漸進的な作動は注入流量を増加させ、バルブは、弾性的に変形可能な材料または材料の組み合わせを備える流路、および圧縮力を加えてバルブ内の流路を閉鎖する、流路の外側にある機構を備え、当該機構は、二面間の距離を縮めるように作動するスプリング力と連結している二つの対抗面を備え、また、当該二つの対抗面は、流路の流れ抵抗を圧縮または増大させるように、流路の対辺に設置される。
【0012】
ある実施態様では、本体の遠位末端に固定された中空のカニューレを有する細長い本体、カニューレを通して送達される注入物質のための容器、注入物質に注入力を与える力要素を有するプランジャー、容器とカニューレとの間の流路に配置されたバルブであって、通常は注入物質に加えられた注入力により閉じられているバルブ、および、バルブの外側にある、バルブに対するバルブ作動機構を備える注射装置が提供される。ここで、バルブ作動機構は細長い本体に取り付けられており、バルブ作動機構の作動はバルブを通る流路を開放し、バルブ作動機構の漸進的な作動は注入流量を増加させ、前記バルブは、内部バルブスプリング、密閉要素および弁座を備え、密閉要素は、バルブスプリングによる密閉力の下で弁座に対して押し付けられ、バルブ作動機構によるバルブに対する外力は、弁座を変形させて流路を形成する。
【0013】
ある実施態様では、本体の遠位末端に固定された中空のカニューレを有する細長い本体、カニューレを通して送達される注入物質のための容器、注入物質に注入力を与える力要素を有するプランジャー、容器とカニューレとの間の流路に配置されたバルブであって、通常は注入物質に加えられた注入力により閉じられているバルブ、および、バルブの外側にある、バルブに対するバルブ作動機構を備える注射装置が提供される。ここで、バルブ作動機構は細長い本体に取り付けられており、バルブ作動機構の作動はバルブを通る流路を開放し、バルブ作動機構の漸進的な作動は注入流量を増加させ、前記バルブは、内部バルブスプリング、密閉要素および弁座を備え、密閉要素は、バルブスプリングによる密閉力の下で弁座に対して押し付けられ、少なくとも一つの密閉要素および弁座は磁性体または常磁性体であり、バルブ作動機構は、移動した場合、密閉要素と弁座との間の流路を開放する磁石を備える。
【0014】
ある実施態様では、本体の遠位末端に固定された中空のカニューレを有する細長い本体、カニューレを通して送達される注入物質のための容器、当該容器を充填するためのコネクタ、バルブまたは隔壁、注入物質に注入力を与える力要素を有するプランジャー、容器とカニューレとの間の流路に配置されたバルブであって、通常は注入物質に加えられた注入力により閉じられているバルブ、および、バルブの外側にある、バルブに対するバルブ作動機構を備える注射装置が提供される。ここで、バルブ作動機構は細長い本体に取り付けられており、バルブ作動機構の作動はバルブを通る流路を開放し、また、バルブ作動機構の漸進的な作動は注入流量を増加させる。
【0015】
ある実施態様では、本体の遠位末端に固定された中空のカニューレを有する細長い本体、カニューレを通して送達される注入物質のための容器、注入物質に注入力を与える力要素を有するプランジャー、容器とカニューレとの間の流路に配置されたバルブであって、通常は注入物質に加えられた注入力により閉じられているバルブ、および、バルブの外側にある、バルブに対するバルブ作動機構を備える注射装置が提供される。ここで、バルブ作動機構は細長い本体に取り付けられており、バルブ作動機構の作動はバルブを通る流路を開放し、バルブ作動機構の漸進的な作動は注入流量を増加させ、前記容器は、使用する前に、装置内に挿入されたカートリッジを備える。
【0016】
ある実施態様では、本体の遠位末端に固定された中空のカニューレを有する細長い本体、カニューレを通して送達される注入物質のための容器、注入物質に注入力を与える力要素を有するプランジャー、容器とカニューレとの間の流路に配置されたバルブであって、通常は注入物質に加えられた注入力により閉じられているバルブ、および、バルブの外側にある、バルブに対するバルブ作動機構を備える注射装置が提供される。ここで、バルブ作動機構は細長い本体に取り付けられており、バルブ作動機構の作動はバルブを通る流路を開放し、バルブ作動機構の漸進的な作動は注入流量を増加させる。
【0017】
ある実施態様では、本体の遠位末端に固定された中空のカニューレを有する細長い本体、カニューレを通して送達される注入物質のための容器、注入物質に注入力を与える力要素を有するプランジャー、容器とカニューレとの間の流路に配置されたバルブであって、通常は注入物質に加えられた注入力により閉じられているバルブ、および、バルブの外側にある、バルブに対するバルブ作動機構を備える注射装置が提供される。ここで、バルブ作動機構は細長い本体に取り付けられており、バルブ作動機構の作動はバルブを通る流路を開放し、バルブ作動機構の漸進的な作動は注入流量を増加させ、また、当該バルブ作動機構は、装置本体の対辺に二つの対抗する機械要素を備え、当該要素を、相互に押し込むことにより作動するように構成される。
【0018】
ある実施態様では、本体の遠位末端に固定された中空のカニューレを有する細長い本体、カニューレを通して送達される注入物質のための容器、注入物質に注入力を与える力要素を有するプランジャー、容器とカニューレとの間の流路に配置されたバルブであって、通常は注入物質に加えられた注入力により閉じられているバルブ、および、バルブの外側にある、バルブに対するバルブ作動機構を備える注射装置が提供される。ここで、バルブ作動機構は細長い本体に取り付けられており、バルブ作動機構の作動はバルブを通る流路を開放し、バルブ作動機構の漸進的な作動は注入流量を増加させ、力要素は制動機構と連結している。
【0019】
ある実施態様では、本体の遠位末端に固定された中空のカニューレを有する細長い本体、カニューレを通して送達される注入物質のための容器、注入物質に注入力を与える力要素を有するプランジャー、容器とカニューレとの間の流路に配置されたバルブであって、通常は注入物質に加えられた注入力により閉じられているバルブ、および、バルブの外側にある、バルブに対するバルブ作動機構を備える注射装置が提供される。ここで、バルブ作動機構は細長い本体に取り付けられており、バルブ作動機構の作動はバルブを通る流路を開放し、バルブ作動機構の漸進的な作動は注入流量を増加させ、前記装置はさらに、カニューレの遠位末端に固定された組織接点を備える。
【0020】
ある実施態様では、本体の遠位末端に固定された中空のカニューレを有する細長い本体、カニューレを通して送達される注入物質のための容器、注入物質に注入力を与える力要素を有するプランジャー、容器とカニューレとの間の流路に配置されたバルブであって、通常は注入物質に加えられた注入力により閉じられているバルブ、および、バルブの外側にある、バルブに対するバルブ作動機構を備える注射装置が提供される。ここで、バルブ作動機構は細長い本体に取り付けられており、バルブ作動機構の作動はバルブを通る流路を開放し、バルブ作動機構の漸進的な作動は注入流量を増加させ、前記装置はさらに、カニューレの遠位末端に固定された組織接点を備え、当該組織接点は、長さにおいて弾性的に圧縮可能である。
【0021】
ある実施態様では、本体の遠位末端に固定された中空のカニューレを有する細長い本体、カニューレを通して送達される注入物質のための容器、注入物質に注入力を与える力要素を有するプランジャー、容器とカニューレとの間の流路に配置されたバルブであって、通常は注入物質に加えられた注入力により閉じられているバルブ、および、バルブの外側にある、バルブに対するバルブ作動機構を備える注射装置が提供される。ここで、バルブ作動機構は細長い本体に取り付けられており、バルブ作動機構の作動はバルブを通る流路を開放し、バルブ作動機構の漸進的な作動は注入流量を増加させ、前記装置は、さらに、カニューレの遠位末端に固定された組織接点、および装置本体と組織接点との間に折り畳み可能要素を備える。
【0022】
ある実施態様では、本体の遠位末端に固定された中空のカニューレを有する細長い本体、カニューレを通して送達される注入物質のための容器、注入物質に注入力を与える力要素を有するプランジャー、容器とカニューレとの間の流路に配置されたバルブであって、通常は注入物質に加えられた注入力により閉じられているバルブ、および、バルブの外側にある、バルブに対するバルブ作動機構を備える注射装置が提供される。ここで、バルブ作動機構は細長い本体に取り付けられており、バルブ作動機構の作動はバルブを通る流路を開放し、バルブ作動機構の漸進的な作動は注入流量を増加させ、また、注入物質に注入力を供給すること、注射装置のカニューレの遠位末端を眼の網膜下腔内に配置すること、および網膜下腔に注入物質を送達する作動機構を作動させることを含む眼の治療方法が提供される。
【0023】
ある実施態様では、本体の遠位末端に固定された中空のカニューレを有する細長い本体、カニューレを通して送達される注入物質のための容器、注入物質に注入力を与える力要素を有するプランジャー、容器とカニューレとの間の流路に配置されたバルブであって、通常は注入物質に加えられた注入力により閉じられているバルブ、および、バルブの外側にある、バルブに対するバルブ作動機構を備える注射装置が提供される。ここで、バルブ作動機構は細長い本体に取り付けられており、バルブ作動機構の作動はバルブを通る流路を開放し、バルブ作動機構の漸進的な作動は注入流量を増加させ、また、注入物質に注入力を与えること、注射装置のカニューレの遠位末端を眼の結膜下腔内に配置すること、および結膜下腔に注入物質を送達する作動機構を作動させることを含む眼の治療方法が提供される。
【0024】
本発明の第二の態様以降の好ましい態様は、第一の態様に必要な変更を加えたものに関する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】眼に適用した装置を示す図である。
図2】外側に変形可能なバルブを備えた装置の一実施態様を示す図である。
図3A】閉位置にある図2のバルブを示す図である。
図3B】開位置にある図2のバルブを示す図である。
図4】磁気作動バルブを備えた装置の一実施態様を示す図である。
図5A】閉位置にある図4のバルブを示す図である。
図5B】開位置にある図4のバルブを示す図である。
図6】カートリッジに基づく液体容器を備えた装置の一実施態様を示す図である。
図7図6の装置の断面図を示す図である。
図8A】閉位置にある図6のバルブの断面図を示す図である。
図8B】開位置にある図6のバルブの断面図を示す図である。
図9図6の内部流体経路の構成要素の断面図を示す図である。
図10図6の基部要素の断面図を示す図である。
図11図6の基部要素の代替実施態様の断面図を示す図である。
図12図6の作動機構を示す図である。
図13】組織接点機構を備えた装置の遠位末端を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明は、液状媒体中の治療薬を、小ゲージのカニューレを通して眼組織または眼組織間隙へ送達するための眼科用注射器である。本装置は、遠位末端に中空のカニューレを有する細長い本体、近位末端に摺動可能なプランジャー、および、カニューレとプランジャーとの間に存在する、注入する物質のための容器を備える。少量の物質を注入する場合、カニューレの管腔は、容器または容器の一部としても役立つ。プランジャーは、注入物質を、容器からカニューレ内に、またカニューレを通して所望の組織位置に押し出すように作動する。プランジャーは、注入物質が容器内に配置された後、かつ、注入物質が眼内に注射される前に、装置内の注入物質に注入力が加えられるように、スプリングまたは加圧されたガス貯蔵器などの力源に機械的に連結される。バルブは、カニューレと容器との間の流路に配置される。バルブは通常は閉鎖され、注入力の適用中に注入物質が流れるのを防ぐ。注入力は、注射装置の先端を注射のための所望の組織位置内に配置する前に、注入物質に加えてもよい。注入物質にかけられた注入力によりバルブが作動することにより、容器からカニューレへ、それから組織または組織間隙への流れが可能になる。バルブの漸進的な作動は、バルブを通る流れを漸進的に増加させ、流量を調節する。
【0027】
一実施態様において、力要素は装置内に自己内蔵されるか、または装置の本体上に合体されている。注入物質は、注射器と同様に、容器への流体接続におけるコネクタ、バルブまたは隔壁を通して本体の容器部内に配置される。代替として、注入物質は、装置の容器領域に配置されたカートリッジ内にあってもよい。装置における注入物質の配置は、容器内の注入物質に注入力を与えるプランジャーを作動させる圧縮スプリングなどの力要素を与圧する。注入力を作動させるためには、他の機構を提供することができる。例えば、装置の外側から力要素を圧縮する機構により、注入力を作動させることができる。別の方法では、使用する前に、束縛された力要素またはガスを機械的に解放することにより、注入力を作動させることができる。一実施態様において、容器に注入材料を充填するため、ルアー継手または他のコネクタが提供され、一方向弁は、コネクタを通る注入物質の逆流を防止する。
【0028】
本装置は、使用者によるカニューレ位置の正確な制御を可能にする。カニューレは装置の本体に固定され、装置の本体が保持されたときに、カニューレの先端の直接的な制御を可能にする。注入力は力要素により与えられるため、装置のプランジャーを、装置を保持する手または別の手により遠位に押し進める必要はなく、装置は筆記具や外科用メスなどと共に、自然に、高度に制御可能な位置に保持され、また使用することが可能である。装置の位置制御をさらに支援するものには、注射装置の位置を組織内に固定または調節しながら、人差し指および/または親指により動かすことができる押しボタン、レバーまたはスライド機構などのバルブ作動機構がある。この作動機構は、装置本体の先端部の中または上に配置され、針位置において、使用者が標的組織内の装置を適切な位置に配置することを可能にする。この作動機構は、眼内において装置の先端を正しい位置に置くと同時に、流量制御バルブの調節を可能にする。
【0029】
特定のバルブ構造は、注射装置に対して有利である。バルブは、流れを開始するだけではなく、バルブ作動の程度に応じて流量の調節を可能にするように設計される。バルブは、装置の本体に固定または一体化された作動機構と共に使用するように設計される。使用者により作動される作動機構部分は、筆記具や外科用メスと共にあっても満足できる位置に注射装置を保持しながら使用される配置において、装置の外面上に設置される。注射装置の作動機構は、好ましくはバルブの外側にあり、これは、作動機構の要素がバルブ内にないこと、流路内にないこと、または注入物質と接触しないことを意味する。注射装置の外部バルブ機構は、バルブとバルブの外側にある表面または空間との間に流路ができる可能性をなくすと同時に、流量の微調整を可能にする。バルブとバルブの外側にある表面または空間との間に流路ができる可能性のあるバルブ機構は、無菌の注入物質の漏出または汚染につながる経路を与える。係るバルブ構造はシールを必要とし、不具合の原因となる。バルブ機構は、バルブ内の注入液のデッドボリュームを限定するように設計される。
【0030】
一実施態様において、注射装置は、カニューレと容器との間に存在し、外側にバルブを変形させることにより作動するバルブを備える。バルブは、弁座に対して密閉要素を押し付ける内部バルブスプリングまたは圧縮要素の作用により、通常は閉鎖されている。弁座はゴムまたは軟質ポリマーなどの変形可能な材料で形成され、バルブ外面の力がバルブを圧縮すると、流路を形成するように弁座の形状が変形する。流路の大きさは外面の力に比例し、加えられた力の量により流量を制御できるようにする。密閉要素は、球形または円錐形に成形し、補完的な大きさと形状を有する弁座内に押し入れ、シールを形成するようにする。弁座付近のバルブに加えられる力は、弁座内の一つ以上の流路を開放し、注入物質の送達を可能にする。漸進的に加えられる力は弁座内の流路を漸進的に開放し、バルブを通る流れを増加させる。
【0031】
一実施態様において、注射装置は、カニューレと容器との間に存在し、バルブに作用する閉鎖力を除去することにより作動するバルブを備える。バルブは、バルブ内の流路を閉鎖する圧縮力を加えるバルブの外側にある機構の作用により、通常は閉鎖されている。外部の閉鎖力に応答する流路の一部分は、弾性的に変形可能な材料または材料の組み合わせにより形成されている。バルブに対する外部の閉鎖力の軽減は、外部作動機構に加えられる力と比例しており、流路を開放し、バルブの流れ抵抗を減少させる。流路を開放することによる結果として生じた流れ抵抗の減少は、流量調節する作動機構に加えられた力に比例する。作動機構に漸進的に加えられる力は、流路の漸進的な開放をもたらし、バルブを通り抜ける流量を増加させる。一実施態様において、流路は、弾性的な配管部分を備える。一実施態様において、流路を閉鎖する圧縮力を加える作動機構は、二面間の流路部分を縮めるように作動するスプリング力と連結している二つの対抗面を備える。当該二つの対抗面は流路の対辺に設置され、スプリング力は流路を圧迫し、また二面間の流路の流れ抵抗を圧縮および増大させるように作動する。作動機構に力を加えると、二面間の流路部分に加えられた力を減少させ、バブルの流れ抵抗を低下させる。
【0032】
一実施態様において、注射装置は、カニューレと容器との間に存在し、磁気で作動するバルブを備える。バルブは、密閉要素を弁座に対して押し付ける内部スプリングまたは圧縮要素の作用により、通常は閉鎖されている。密閉要素または弁座は、内部バルブ要素に物理的に連結することなく外部から動かす、または移動させる磁性体または常磁性体を備える。バルブ外側の装置上での磁石の移動または磁場の活性化は、密閉要素と弁座との間で流路が形成されるようにし、注入物質の送達を可能にする。外部の磁石または磁場の漸進的な移動は、バルブ内の流路を漸進的に開放し、バルブを通り抜ける流量を増加させる。
【0033】
密閉要素および弁座を有するの装置の一実施態様において、弁座は非対称性であってもよく、または、弁座の予定された領域において、優先して流路を形成するための溝を有してもよい。特に薬物または生物学的物質の懸濁液の送達において、流れのために優先してバルブ領域を開放する密閉要素および弁座の機構は、懸濁液による流路の詰りを防ぐため、より大きな横断面領域を有する流路を形成する。
【0034】
装置のカニューレは小さなゲージサイズの管状部材であり、眼組織への外傷を限定し、カニューレ穿刺を自己封着させる効果がある。カニューレは20〜40ゲージの大きさであり、これは0.90 mm〜0.08 mmの外径に相当する。標的組織への外傷を最小限にし、注射部位の封着を促進するため、カニューレは27〜40ゲージの大きさであり、これは0.41 mm〜0.08 mmの外径に相当する。カニューレは、直径において、遠位末端で、ある直径からより小さな直径まで推移してもよい。カニューレは、金属、セラミック、高弾性ポリマーまたはガラスから構成することができる。好ましいカニューレ材料には、鋼鉄、ニチノール、ポリイミド、ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレンおよびテレフタル酸ポリエチレンが含まれる。標的組織または組織間隙における挿入のためのカニューレの長さは、注射のための標的位置に適合するように選ばれ、解剖学的な可変性による標的位置の変動を考慮に入れる。カニューレは、ある付加的な長さを有してもよく、注入物質により形成される途上の組織間隙または小疱における先端の操作を可能にする。組織または組織間隙中へ挿入するように意図されたカニューレ部分の長さは、1 mm〜20 mmの範囲である。カニューレは、真っ直ぐであっても、または曲線状の形状を有していてもよい。カニューレは、最初の組織貫通を補助するため、斜角を有していてもよい。カニューレは、カニューレが組織または組織間隙中に置かれた時点で、カニューレの視覚化を補助するため、着色されていてもよい。
【0035】
一実施態様において、注入物質用の容器は、使用する前に装置の本体内に挿入されるカートリッジを備える。カートリッジは、管腔、閉じた遠位末端および開いた近位末端を有する管状部材を備える。摺動液体シールはカートリッジの管腔の内側に適合する大きさであり、管状部材内を移動する。閉じた遠位末端は、固定された液体シールと合体してもよい。カートリッジは、取り外し可能な外部管状体とプランジャーとを用いて供給され、注入流体を含むバイアルからカートリッジを満たす。外部管状体の近位末端は、カートリッジを受け入れるための内部空洞を備える。内部空洞の遠位末端は、カートリッジが外部管状体に挿入される場合、カートリッジの末端シールを貫通する貫通要素と合体してもよい。貫通要素は、カートリッジから装置のカニューレへの流路を提供するため、管腔によって構成されている。貫通要素は、斜角をつけた針、管の剛性部分または管腔を有する剛性コネクタである。あるいは、カートリッジは、管状体の内部空洞の遠位末端上の隔壁を貫通する針、管の剛性部分または管腔を有する剛性コネクタと合体し、カートリッジからカニューレへの流路を提供する。装置の内部空洞におけるカートリッジの配置は、装置のプランジャーを、近位液体シールを遠位に移動させる位置に設定し、注入物質を置き換える。一実施態様において、装置におけるカートリッジの配置は、針、管の剛性部分または管腔を有する剛性コネクタが末端シールを貫通するようにも作動し、カートリッジ中の注入物質のカニューレへの流路を提供する。一実施態様において、末端シールの近位部分および近位シールの末端部部は、デッドボリュームが小さくなるように成形された相補的な面を構成する。一実施態様において、近位シールは、近位面上に円錐凹部を持つ、末端シールで成形された円錐状のものであり、対となる面の間で液体の捕捉がないか最小になるように近位シールと一致する。装置本体にカートリッジを配置するとスプリングを圧縮し、注入物質を加圧する。あるいは、プランジャーを動かす力要素は、注入物質を加圧するカートリッジの挿入後に作動してもよい。
【0036】
一実施態様において、バルブは、装置本体の外面に設置された作動機構により、開放および閉鎖される。作動機構は、自然な手位置で装置の保持および使用ができるように設置され、注入物質の送達を活動的にさせ、制御しながら、組織または組織間隙内で先端を前進させ、適切な位置に配置することを可能にする。一実施態様において、作動機構は装置本体上に二つ以上の機械要素を備え、当該要素を、装置を保持する手の親指および人差し指により相互に押し込むことにより作動するように構成される。二つの機械要素の場合、当該要素は、装置の対辺に配置することができる。機械要素が二つを超える場合、当該要素は、装置の外周を囲むように均等に割り付けて配置することができる。押し込み動作は装置位置を安定化させ、所望の組織または組織間隙位置に装置の先端を保持しながら、注入流量の制御を可能にする。
【0037】
一実施態様において、プランジャーへの力源は、75〜500グラム力の範囲にある力を供給するスプリングまたは加圧されたガス貯蔵器である。一実施態様において、力源は、近接した定力要素を有する圧縮力要素であり、プランジャーに加えられ、着実な流動特性を与える。近接した定力要素は、移動mmあたり15〜200グラム力の範囲にある定常スプリング力を与える圧縮された支柱を備える。支柱は、鋼鉄もしくはニチノールなどの金属、またはポリイミドもしくはポリアミドなどのポリマーで作製される。一実施態様において、支柱は、圧縮軸に沿って放射状に配列される。一実施態様において、支柱は、圧縮軸を交差して線状に配列される。支柱の数、幅および長さは、所望の加えられた力を与えるように、調節することができる。
【0038】
一実施態様において、力源は、ピストンに加えられる力を制動するものにより、安定した流動特性を与える手段に連結される。制動するものは、安定した力特性を与えるために線形スプリング要素に連結されるか、または、さらに流動特性を安定させるために、一定力要素に連結される。制動するものは、移動中に摩擦を減少させて線形スプリングの力を減少させるものなど、力源に適合した摩擦源を備える。制動するものは、プランジャーが漸進的に動く間、流量制限オリフィスを通して移す、粘性流体充填チャンバーなどの粘性制動要素を備えることができる。
【0039】
一実施態様において、装置は、カニューレの先端に組織接点を備える。組織接点は、カニューレの外径に適合する大きさであり、カニューレ上に摺動可能に配置される。組織接点は、カニューレにより貫通される組織表面上に留まり、カニューレ穿刺を封着させる役目を果たし、かつ、注入物質が組織に入れられ、空隙が形成されると同時に、穿刺部位で組織を外傷から保護する。一実施態様において、組織接点は弾性的に圧縮可能であり、組織表面上でシールが作成されるのに役立つ。組織接点は、標的組織表面に対して圧縮されている間、組織接点を蛇腹や網目に成形するなど、組織接点の長さの弾性的な減少を可能にするように構成される。一実施態様において、組織接点の密閉力は、装置本体と組織接点の近位末端との間の圧縮スプリングなどの、第二の力要素により与えられる。一実施態様において、組織接点は、密閉力を加えるためにカニューレを前進させる間、長さの弾性的な減少を可能にするように構成される。
【0040】
一実施態様において、組織接点の中または周囲に配置された摩擦要素は、組織接点をカニューレに沿って近位に動かすのに必要な力を増加させる。それによって、カニューレを前に進める間、組織接点と眼表面との接着が促進され、組織表面に対するシールが維持される。一実施態様において、組織接点は、カニューレの近位末端で固定され、遠位末端では自由である、軸方向に圧縮可能または変形可能な材料を備える。一旦組織表面に接触すると、組織接点は軸方向に圧縮または変形してカニューレを組織に貫通させ、その一方で、組織表面に対する密閉力は維持される。注入物質の圧力と流入により、一旦組織間隙が作成されると、組織間隙内の圧力は減少し、カニューレは除去される。組織接点は、ゴムまたは低弾性ポリマーなどの、組織表面に追従する柔軟で変形可能な材料で構成される。組織接点材料は透明または半透明であり、標的組織内に最初に挿入する間に、カニューレの視認を容易にする。組織接点は、カニューレの両側に平面的な外面を有し、カニューレ先端が組織接点内にある場合、カニューレ先端の視認を容易にする。
【0041】
一実施態様において、組織接点は、一つ以上の折り畳み可能要素により、装置本体に取り付けられる。折り畳み可能要素は、長さの増加が、組織接点がカニューレの先端から動くことを妨げないようにする。折り畳み可能要素は、長さの減少を可能にし、それによって、カニューレが組織内に前進する間に、組織接点の近位移動を可能にする。一実施態様において、折り畳み可能要素は、組織接点の近位移動中に、カニューレを変形、屈曲または折り畳むことができる一つ以上の細長い支柱を備える。一実施態様において、折り畳み可能要素は、折り畳み可能な支柱を形成するための管の軸長に沿って開口を形成するように切断されたカニューレと同心の管部分を備える。折り畳み可能な支柱の形状および配置は、組織接点の所望の力−移動特性を与えるように調整することができる。
【0042】
一実施態様において、折り畳み可能要素は、単位移動当たりの増加するスプリング様の力から、移動に無関係である一定の力に移行する密閉力を与え、眼内へのカニューレのさらなる前進を伴う力を過度に加えることなく、組織接点を眼の表面に密閉接触した状態に保つ。定力への移行は、カニューレの先端の長さが眼組織または組織間隙に挿入された後に生じるように設計され、これは0.3 mm〜2 mmの折り畳み可能要素の圧縮または崩壊に相当する。一実施態様において、折り畳み可能要素は、標的組織表面へのカニューレの最初の挿入中に組織接点を眼表面へ接触させるが、カニューレの先端が組織内に完全に挿入された後、カニューレに沿って組織接点が近位に動くことに対する抵抗がほとんどないかまったくないようにつぶれる。折り畳み可能要素は、管状構造の構成要素から組み立てられてもよく、あるいは、レーザー加工されたニッケルチタン合金(ニチノール)またはポリイミド管のような管部分から切り取ってもよい。
【0043】
注射装置を使用するため、注入物質が容器内に配置され、力要素が作動し、注入物質が加圧される。装置の先端は標的組織に対して置かれ、カニューレの先端は組織内に進む。注入物質は、装置先端が標的組織内に置かれる前に、注入のために加圧される。しかしながら注入物質は、流量制御バルブが閉じているために装置に存在しない。一旦組織内に挿入されると、使用者は作動機構を徐々に作動させ、バルブを開放し、カニューレ先端に注入圧力を与える。空間に注入物質が到達すると、注入物質はカニューレを通って組織内に流れ始め、液体の空間または小疱を作り始める。注入速度は使用者により増減されるが、同時に、作り出された空間におけるカニューレの先端の位置調整をして、形成された組織間隙または小疱を、所望の位置と形状に成形する。
【0044】
図1は、網膜下腔内に注射するために、眼に適用した装置を示す図である。装置1は、毛様体扁平部3で眼2内に挿入される。装置1の遠位末端は眼の後部表面に前進し、先端は網膜を通って挿入され、装置1は、十分な注入物質を注射し、網膜下腔4を作り出すように作動する。
【0045】
図2の図式に示されるように、本装置の一実施態様において、装置は、容器6およびバルブ機構を取り囲む本体部分5を備える。本体5の近位末端は、注入物質を吐出する力要素としての役割を果たすプランジャー7およびプランジャースプリング8を収納する。本体5の遠位末端は、中空軸9に取り付けられる。中空軸9の遠位末端は、中空カニューレ10に取り付けられる。本体5の中央部分は、変形可能な弁座11、球形バルブ密閉要素12、バルブスプリング13およびバルブアクチュエータ14を備えるバルブ機構を収納する。
【0046】
バルブ機構起動の断面図が、図3Aおよび図3Bに示される。図3Aにおいて、バルブ機構は閉位置にあることが示される。バルブスプリング13は、弁座11に対するバルブ密閉要素12に力を供給する。それによって、容器6から軸管腔15への流れを止めている。バルブアクチュエータ14は押し下げられていない位置にあり、弁座11の外側と接触しているが、弁座11に対していかなる力も与えていない。図3Bにおいて、バルブアクチュエータ14は押し下げられ、弁座11の変形をもたらしている。弁座11の変形は、容器6から、バルブ密閉要素12の周囲および軸管腔15内への流れを可能にする。
【0047】
図4の図に示されるように、本装置の一実施態様において、装置は、容器17およびバルブ機構を取り囲む本体部分16を備える。本体16の近位末端は、注入物質を吐出する力要素としての役割を果たすプランジャー18およびプランジャースプリング19を収納する。本体16の遠位末端は、中空軸20に取り付けられる。中空軸20の遠位末端は、中空カニューレ21に取り付けられる。本体16の中央部分は、弁座22、バルブ密閉要素23、バルブスプリング24およびバルブアクチュエータ25を備えるバルブ機構を収納する。バルブ密閉要素23は、磁性または常磁性要素26を収納する。バルブアクチュエータは磁性要素27を含み、直線状の軌道に摺動可能に配置される。
【0048】
バルブ機構起動の断面図が、図5Aおよび図5Bに示される。図5Aにおいて、バルブ機構は閉位置にあることが示される。バルブスプリング24は、弁座22に対するバルブ密閉要素23に力を供給する。それによって、容器17から軸管腔29への流れを止めている。バルブアクチュエータ25およびアクチュエータ磁性要素27は、遠位位置にある。図5Bにおいて、バルブアクチュエータ25は近位位置にあり、アクチュエータ磁性要素27は、磁性または常磁性要素26およびバルブ密閉要素23を、バルブスプリング24に対して近位に動かす力を与える。それによって、容器17から軸管腔29への流れを可能にする。
【0049】
本装置の一実施態様の図が、図6に示される。装置は、近位筺体30、遠位筺体31、遠位筺体蓋32、二つの機械的作動レバー33および遠位カニューレ組立品34を備える。図7は、本装置の断面図を示す。遠位筺体32の中に、遠位カニューレ組立品34に対して遠位に、かつカートリッジ受け器組立品36に対して近位に取り付けられたバルブ組立品35があり、またカートリッジ組立品37がある。近位筺体30の中に、プランジャー組立品38がある。
【0050】
図7のバルブ機構の図が、図8Aおよび図8Bに示される。図8Aにおいて、バルブ組立品35は、通常は閉位置にある。当該バルブは、上部バルブ本体39、下部バルブ本体40およびバルブスプリング41を備える。これらのバルブ本体は、孔部42および43を通して合体している。弾性管44は、バルブ孔42および43を通して配置される。バルブスプリング41が下部バルブ本体を押す場合、孔42および43は、軸方向には整列せず、弾性管44は締め付けられて閉じる。これは、バルブの通常の閉位置を説明する。図8Bに示されるように、力を加えて、バルブ本体39および40をバルブスプリング41に対して共に押し付ける場合、バルブ孔42および43は整列する。それによって弾性管44の管腔45が開き、バルブを通って液体が流れることを可能にする。
【0051】
図9は、図6の装置の遠位内部要素の図を示す。遠位カニューレ組立品34は、先端46に小口径の注入管を備え、この注入管はより大口径の中間軸管47に結合している。次に、中間軸管47は、より大きな口径を持つ主軸管48に結合している。主軸管48の近位末端は、バルブ組立品の弾性管44の遠位末端に挿入される。バルブ組立品は、上部バルブ本体39、バルブスプリング41および下部バルブ本体40を備える。弾性管44は、バルブ本体39および40を通って挿入される。カートリッジ受け器36は、受け器本体49および受け器針50を備える。受け器針50の遠位末端は、バルブ組立品の弾性管44の近位末端に挿入される。受け器針の近位末端は、カートリッジ組立品の隔壁52を貫通するように斜角がつけられる。カートリッジ組立品37は、カートリッジ本体51、カートリッジ隔壁52、カートリッジ蓋53および動かすことができるカートリッジプランジャー54を備える。O-リング55はカートリッジプランジャーに取り付けられ、カートリッジ本体51の内部表面に対する摺動シールを与える。
【0052】
図10は、図6の装置の近位要素の図を示す。近位筺体30は、プランジャー組立品38を収納する。プランジャー組立品38は、プランジャー軸56、プランジャースプリング57およびプランジャー止58を備える。プランジャー軸56の遠位末端は、遠位末端孔に組み込まれ、カートリッジプランジャーと結合する。
【0053】
図11は、動作速度を制御する制動機構に合体している図6の装置の、近位要素の別の実施態様の図を示す。近位筺体30は、プランジャー組立品38を収納する。プランジャー組立品38は、プランジャー軸56、プランジャースプリング57およびプランジャー止58を備える。プランジャー軸56の遠位末端は、遠位末端孔に組み込まれ、カートリッジプランジャーと結合する。プランジャー軸56の近位末端は、先細部分59と合体している。摩擦制動要素60は、制動要素60の先端がプランジャー軸56の先細部分59と可変接触するように、近位筺体30内に配置される。
【0054】
図12は、図6の装置の作動機構を示す。二つの作動レバー33は、遠位筺体に旋回軸61によって近位で取り付けられる。レバー33の遠位末端は、バルブ組立品本体39および40の先に係合する。レバー33が手動で押された場合、図8Bに示されるように、バルブ本体39および40は、組み合わさってバルブを開放する。
【0055】
図13は、組織接点機構を備える装置の一実施態様の遠位末端を示す。遠位末端は、カニューレ組立品および組織接点組立品を備える。カニューレ組立品は近位主軸62を備え、その中には小口径中間軸63が結合している。細いゲージの注入管64は、中間軸63の末端に結合している。組織接点組立品は、中間軸63および注入管64の周囲に配置される。組織接点は、遠位弾性組織シール65および2軸圧縮要素66を備える。組織接点組立品は、遠位シール65を貫通する注入管64、および装置の縦軸から離れるように湾曲した、または曲げられた圧縮要素66を伴う作動位置にあることが示される。
【0056】
本発明により、炎症、感染、黄斑変性、網膜変性、血管新生、増殖性硝子体網膜症、緑内障および浮腫を含む種々の眼疾患および症状の治療のために、様々な治療薬を眼に送達することができる。有用な薬物には以下が含まれるが、これらに限定されない。すなわち、デキサメタゾン、フルオシノロン、ロテプレドノール、ジフルプレドナート、フルオロメトロン、プレドニゾロン、メドリゾン、トリアムシノロン、ベタメタゾンおよびリメキソロンを含む副腎皮質ステロイドなどのステロイド;ブロムフェナク、ジクロフェナク、フルルビプロフェン、ケトロラクトロメタミンおよびネパフェナクを含むサリチル酸-、インドール酢酸-、アリール酢酸-、アリールプロピオン酸-およびエノール酸-誘導体などの非ステロイド性抗炎症薬;アジスロマイシン、バシトラシン、ベシフロキサシン、シプロフロキサシン、エリスロマイシン、ガチフロキサシン、ゲンタマイシン、レボフロキサシン、モキシフロキサシン、オフロキサシン、スルファセタミドおよびトブラマイシンを含む抗生物質;チロシンキナーゼ阻害剤、VEGFに対する抗体、VEGFに対する抗体フラグメント、VEGF結合融合タンパク質などのVEGF阻害剤;PDGFに対する抗体、PDGFに対する抗体フラグメント、PDGF結合融合タンパク質などのPDGF阻害剤;インフリキシマブ、エタネルセプト、アダリムマブ、セルトリズマブおよびゴリムマブを含むTNFαに対する抗体、TNFαに対する抗体フラグメントおよびTNF結合融合タンパク質などの抗TNFα剤;シロリムス、シロリムス類似体、エベロリムス、テムシロリムスおよびmTORキナーゼ阻害剤などのmTOR阻害剤;間葉系細胞(例えば間葉系幹細胞)または治療用化合物を産生するように遺伝子導入された細胞などの細胞;抗酸化剤、カルシニューリン阻害剤、NOS阻害剤、σ1修飾因子、AMPA拮抗薬、カルシウムチャネル遮断薬およびヒストン脱アセチル化酵素阻害薬などの神経保護薬;プロスタグランジン類似体、β遮断薬、α刺激薬および炭酸脱水酵素阻害剤などの降圧薬;スクアラミンなどのアミノステロール;H1受容体拮抗薬およびH2受容体拮抗薬などの抗ヒスタミン薬;治療用細胞;チロシンキナーゼ阻害剤ならびに遺伝子ベクター、プラスミドおよびsiRNAなどの核酸に基づく治療薬である。
【0057】
本発明は、以下の実施例に言及しながら説明するが、これらの実施例は説明に役立てることのみを目的としており、請求項に係る発明を限定するものとして解釈されるべきものではない。
【実施例1】
【0058】
〔注射装置の一実施態様の製造〕
図2に示される装置と同様の一実施態様に係る装置を製造した。長さ14.75 mmのバルブ本体は、デュロメータ50ショアA(Nusil社、品番MED-4950)のシリコーンゴムから成形した。このバルブ本体は、バルブ密閉要素として作動する直径3.175 mmのステンレス鋼球形ボールならびに直径0.3 mmの針金から作製された直径3.175 mmおよび長さ8.26 mmのバルブ圧縮スプリングが入る大きさに成形した、直径3.43 mmおよび奥行き6.5 mmの近位バルブチャンバーを備えた。直径1.91 mmおよび奥行き2.35 mmの弁座をチャンバーの遠位に組み込み、前記ボールがバルブ密閉要素として作動するように構成したバルブ本体を、バルブスプリングにより弁座に対して押し込んだ。成形したバルブ本体の近位末端に、直径9.25 mmおよび厚さ1.25 mmの圧縮フランジを組み込んだ。バルブ本体の遠位末端には、本体中に圧入された23ゲージの管を受け入れる管腔を配置した。
【0059】
中空管状軸は、内径0.33 mm、外径0.64 mmおよび長さ30 mmの23ゲージの細長い管から作製した。内径0.15 mmおよび外径0.30 mmの30ゲージの細長い管の小断片を、23ゲージ管の先端内部に接着によって結合させ、23ゲージ軸と遠位カニューレとの間のスペーサーとして作用するようにした。30ゲージ軸部分は、露出長を8.9 mmとした。遠位カニューレは、内径0.09 mmおよび外径0.13 mmのポリイミド管(Microlumen社、品番039-I)から作製し、30ゲージ軸管の内部に接着によって結合させた。露出長は6.35 mmとした。遠位軸およびカニューレ組立品は、バルブ本体の遠位末端中に挿入し、また、バルブ密閉要素およびバルブスプリングは、バルブ本体の近位末端中に組み立てた。それによってバルブ組立品が形成された。
【0060】
容器は、0.5 mLのシリンジ本体(テルモ、U-100型)の遠位末端を切断することにより作製し、完成長を40 mmとした。シリンジ本体の指当ては小さくし、バルブ本体フランジと一致させるため、直径8.45 mmの遠位円形フランジ部分を作成した。シリンジ本体は、内径3.63 mmおよび外径5.35 mmとした。シリンジ本体の近位末端には、8-32 UNCのねじ山を取り付けた。
【0061】
プランジャーは、内径0.9 mmおよび外径1.8 mmならびに長さ72 mmのステンレス鋼管から作製した。内径1.7 mmおよび外径3.25 mmの鋼ワッシャー2枚を、ワッシャー間に1.31 mmの間隙をおいて、プランジャーの遠位末端に圧入した。内径1.07 mmおよび横断面1.27 mmのシリコーンO-リングを、容器本体の内部でプランジャーシールとしての役割を果たすように、ワッシャー間に取り付けた。外径3.35 mm、長さ38 mmおよび線径0.3 mmのプランジャースプリングを、ワッシャーの近位にあるプランジャー軸のすべてにわたり取り付けた。プランジャー末端キャップは、ナイロン8-32穴付きボルトから作製した。らせん軸は、直径1.9 mmにドリルで孔を開け、キャップ部分は直径5 mmに機械加工した。末端キャップは、プランジャースプリングの近位にあるプランジャーの上に取り付けた。プランジャーの近位末端は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)スペーサーを持つルアーチェックバルブ(Qosina社、品番80088)に取り付け、チェックバルブ遠位管継手中に圧入するように、またプランジャー軸を受け入れるように機械加工した。それによって、チェックバルブとプランジャーとの間に、液漏れしない接続を形成した。組み立てられたプランジャーは容器内に挿入し、また、末端キャップは容器の近位末端内にねじ込み、それによって容器組立品が形成された。
【0062】
作動ボタンはPEEKから作製した。ボタンは、指ボタン部分および軸部分を備えた。指ボタン部分は、直径9.7 mmおよび厚さ2.1 mmとした。軸部分は長さ8.8 mmであり、その先端は直径1.6 mmであった。装置本体は、二つの部分ともアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)から作製した。遠位部分は、組み立てられたバルブ本体を受け入れるように構成し、また近位末端は、容器組立品を受け入れるように構成した。当該二つの部分は、螺合して組み立てるように構成した。装置本体の長軸に対して垂直な先端部分にドリルで孔を開け、作動ボタンの軸を受けるようにした。孔は、作動ボタン軸がバルブ本体と、弁座の近位端で接触するように設置した。作動ボタンの押し込みにより、バルブ本体が押し込まれ、弁座が変形した。
【0063】
中央ワッシャーは、内径2.36 mm、外径8.95 mmおよび厚さ0.88 mmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)から作製した。当該ワッシャーは、バルブフランジと容器フランジとの間を密閉し、また、弁座に対するバルブ密閉要素の密閉力を与えるバルブスプリングを圧縮する役目を果たす。バルブ組立品は装置本体の遠位部分に挿入し、容器組立品はバルブ本体の近位部分に挿入し、また中央ワッシャーは、容器フランジとバルブフランジとの間に存するように、近位部分に挿入した。装置本体の当該二つの部分は螺合した。作動ボタンは遠位部分の孔に挿入し、装置の組み立てを完了した。
【実施例2】
【0064】
〔注射装置の検査〕
実施例1に記載の装置を作製した。注入物質として脱イオン水を1 mLシリンジに吸い上げ、このシリンジを、プランジャーチェックバルブのルアー取り付け具に取り付けた。約0.3 mLの水を容器に充填し、プランジャーを近位に後退させて、プランジャースプリングを圧縮した。それによって、装置容器の中の注入物質に力を与えた。注入物質の、遠位カニューレからの流出はなかった。作動ボタンが押し下げられると、遠位カニューレからの水の流出が見られた。作動ボタンを自由にすると、液流が止まった。この動作を繰り返しても、同じ結果が得られた。
【実施例3】
【0065】
〔眼における注射装置の検査〕
実施例1に記載の装置を作製した。網膜下注射を目的として本装置を使用するため、ブタ死体眼を準備した。処置は、視覚化を容易にするために実体顕微鏡下で行った。死体眼の網膜に接近するため、角膜縁で角膜を完全に除去した。実のレンズを、レンズから小帯線維を切り取ることにより注意深く切除した後、眼球からレンズを取り除いた。硝子体を、網膜を後ろに残したまま、ひとまとめに除去した。本装置には、0.1%フルオレセイン溶液を満たし、プランジャーチェックバルブに取り付けた1 mLシリンジを使用して、0.2 mLのフルオレセイン溶液を充填した。遠位カニューレを、網膜組織を通して注意深く挿入し、前進させた。カニューレは、脈絡膜表面を横切って曲がり、組織に沿って短い距離を横切った。
【0066】
作動ボタンを約1.5秒間押し下げると、その間に、フルオレセイン溶液が網膜下に空隙を作り、その空隙を満たすのが見られた。注入時間後、作動ボタンを自由にすると、カニューレからの流れは止まり、それからカニューレを引き抜いた。
【実施例4】
【0067】
〔注射装置の一実施態様の製造〕
図6および7に示された装置と同類である実施態様の装置を作製した。本装置は、二つの要素で構成された円筒形の筺体、および遠位カニューレ組立品を保持する筺体キャップを備えた。遠位筺体要素は、注入物質を含むカートリッジを受け入れる大きさの内部空洞を、近位末端に備えた。遠位筺体の中に、カートリッジの受け器本体およびバルブ本体から成る組立品を入れた。遠位筺体の外側に、バルブを作動させるために、180度離れて二つの機械的作動レバーを取り付けた。遠位筺体は、外径9.4 mm、内径8.7 mmおよび長さ56.5 mmの真鍮管から作製した。近位筺体要素には、液体充填カートリッジの上から適合する大きさの開放された近位末端、およびカートリッジ内の摺動シールの中に適合する大きさのスプリングを装着したプランジャー組立品を備え、カートリッジの内容物を吐出する力を与えた。近位筺体要素は、外径10.3 mm、内径9.5 mmおよび長さ62 mmの真鍮管から作製され、遠位筺体要素と摺動可能に結合する大きさとした。
【0068】
容器およびバルブ組立品は、遠位筺体本体の中に適合するように作製した。容器はポリエチレンから作製し、閉鎖された遠位末端および開放された近位末端を持たせた。開放された近位末端は、カートリッジの遠位末端をわずかに締まり嵌めしながら収容する大きさとした。容器軸にドリルで孔を開け、23ゲージの細長い管の短い部分を容器内に圧入した。細長い管は容器内で近位に伸び、管の近位末端には斜角がつけられ、カートリッジが筺体内に挿入される場合は、カートリッジの末端シールを貫通することを可能とした。
【0069】
二つの要素で構成されたバルブ本体は、アセタール重合体から作製した。バルブ本体の第一の要素は、一端に、第二の要素にある容器孔内に適合する大きさの円筒形の突起を備えた。ステンレス鋼圧縮スプリングは、第一の要素にある円筒形の突起の周囲に適合するように巻かれ、第二の要素に対して力を与えた。ドリルで、両方の要素に、要素の軸に対して90度で孔を開けると、スプリングが圧縮されて前記突起が容器内に摺動する場合、孔は同軸状に整列し、そのため孔が開き、また、スプリングが、当該二つの要素を別々に押す場合、孔軸はもはや整列せず、バルブは閉じた。内径0.30 mmおよび外径0.64 mmのシリコーン弾性管の一部を、孔を通して挿入した。圧縮されていない状態では、シリコーン管は、閉鎖した貫通孔により締め付けられて閉じた。このような方法で、通常閉じたバルブが作り出された。バルブ要素が一緒に押し込まれた場合、前記孔の開放は、シリコーン管の締め付けを解放し、バルブを通って液体が流れることを可能にした。流量は、二つのバルブ要素の押し込み量により制御することができた。容器の細長い管の遠位末端を、シリコーンバルブ管の近位末端に結合させた。バルブ本体要素の外端は、円筒形の突起を備えた。機械的作動レバーは円筒形の突起を圧迫し、バルブ機構が作動するように構成した。
【0070】
遠位カニューレ組立品を、筺体キャップ内に圧入することのできる長さの23ゲージの細長い管で構成した。23ゲージ管を、キャップから24 mmの長さで遠位に、またキャップから3 mm の長さで近位に伸ばした。30ゲージの細長い管部品は、23ゲージの細長い管の遠位IDに接合させ、23ゲージ管端を越えて、4 mm伸ばした。内径0.01 mmおよび外径0.13 mmのポリイミド管部品は、30ゲージ管の遠位末端に接合させ、端から遠位に5 mm伸ばした。23ゲージ管の近位末端は、シリコーンバルブ管の遠位末端に接合させた。遠位カニューレおよび筐体キャップ、バルブ本体ならびに容器本体を備える組立品は、遠位筐体に挿入した。二つの機械的作動レバーは、外径10.3 mm、内径9.5 mmおよび長さ35 mmの真鍮管の単体から機械加工した。ここで、管の近位末端は円形のままであり、遠位筐体への取り付けを可能にした。2本の幅広の溝を、管の遠位末端から管長の大部分に沿って切り、真鍮の2本の軸長がレバーアームとしての役割を果たすようにした。レバー本体は遠位筐体上を摺動し、2本のレバーアームが、バルブ本体の円筒形の突起上に位置するような場所に結合させた。
【0071】
近位筐体には、プランジャー軸およびスプリング組立品が含まれた。プランジャー軸は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)から作製され、遠位末端に孔を、また近位末端に直径が小さくなった軸を備えた。プランジャー軸の近位10 mmには、ねじ山を付けた。プランジャー遠位末端は、カートリッジ摺動シールの近位末端の上に適合する孔を持つ、液体で満たしたカートリッジの管腔内に適合する大きさとし、スプリングからの力が摺動シールに伝達されるようにした。ステンレス鋼圧縮スプリングは、プランジャーの近位末端上を摺動した。スプリング止は、近位装置筐体の内部に取り付けた。スプリング止は、プランジャー軸の近位末端に滑り嵌めするように、孔を組み込んだ。プランジャー軸は、スプリング止を通して取り付け、またナイロンナットを、軸の近位末端上に装着した。このような方法でプランジャー軸が近位に押し進められ、スプリングを圧縮し、カートリッジの内容物を吐出する力を与えた。
【0072】
容器液体カートリッジ組立品を作製した。カートリッジ本体は、8 mmの冠部直径を持つ、標準ガラスの1.8 mL医薬品グレードカートリッジで構成された。遠位シールは、デュロメータ10ショアAを持つシリコーンエラストマーから作製した。当該シールは、8 mm丸パンチを用いて、シートから打ち抜いた。シールは冠部に取り付け、また一般的な8 mmアルミニウムシールを端上に取り付けて、圧縮工具を用いて圧着した。摺動シール本体は、PEEKから作製した。当該シールの遠位末端は、ガラスカートリッジの内部曲率に近似するように機械加工し、デッドボリュームを限定した。本体周囲に溝を切り込み、シリコーンO-リングをその溝に取り付けて、本体とガラスカートリッジとの間に、密閉力を与えた。本体の近位末端は、ねじ山を付けた長さ5 mmの突起を備えた。取り外し可能な手動のプランジャーは、一般的なポリプロピレンシリンジプランジャーから作製した。プランジャーの先端は切り取り、遠位末端には、カートリッジ中の摺動シール本体に取り付けられるように、ねじ山を付けた。注入シリンジは、一般的な3 mLポリプロピレンルアーロックシリンジ筒および針組立品から作製した。針組立品は、ルアーハブに挿入された25ゲージの細長い針を備え、針の近位末端が、ルアーハブから9.5 mm近位に伸びるようにした。針の近位末端には斜角をつけ、針がカートリッジの遠位シールを貫通するようにした。針組立品は、シリンジ筒に取り付けた。
【0073】
使用にあたって、カートリッジはシリンジ筒に挿入し、プランジャーを、カートリッジ摺動シールに取り付けた。針を液体充填バイアルに挿入し、プランジャーおよびシール近位に引き寄せ、液体をカートリッジ内に取り出した。シリンジ本体およびプランジャーは、カートリッジから取り除いた。カートリッジは、受け器に固定されるまで、遠位装置筐体に挿入した。近位装置筐体を遠位筐体に取り付け、プランジャー軸の遠位末端をカートリッジ摺動シールと係合させ、またプランジャー軸でプランジャースプリングを圧縮した。バルブが閉じていれば、液体は流れなかった。作動レバーを手動で押して、バルブ本体部分を共に圧縮し、シリコーン管を開放すると、流れが装置を通り、末端ポリイミド管から流れ出るようになった。アクチュエータへの圧力を増すと、シリコーン管の管腔の開きが大きくなり、それによって、装置を通る流れが増加した。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12
図13