(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する制御装置、入力システムおよび制御方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0010】
(第1の実施形態)
<1.入力システムの制御処理>
図1は、第1の実施形態に係る入力システム1の構成例を示す図である。
図1に示すように、実施形態に係る入力システム1は、パネル10と、振動素子14と、制御装置20とを備える。
【0011】
パネル10は、支持板11と、保護層12と、接触センサ13とを備え、支持板11上に接触センサ13と保護層12とが順に積層される。保護層12は、例えば、ガラスまたは樹脂フィルムによって形成され、保護層12の表面がパネル10の操作面15である。
【0012】
接触センサ13は、ユーザUのパネル10の操作面15への接触位置(以下、ユーザ接触位置と記載する場合がある)を検出可能なセンサであり、例えば、静電容量式タッチパネルである。振動素子14は、パネル10に取り付けられており、制御装置20から出力される駆動電圧に基づいて振動する。
【0013】
制御装置20は、パネル10の操作面15へのユーザUの操作(以下、ユーザ操作と記載する場合がある)に応じて振動素子14を駆動しパネル10を振動させる。かかる制御装置20は、操作検出部40と、駆動部41とを備える。
【0014】
操作検出部40は、接触センサ13によって検出されたユーザ接触位置と駆動部41で駆動されていない状態の振動素子14から出力される電圧とに基づいて、ユーザ操作を検出することができる。ユーザ操作には、例えば、操作面15へのユーザUの押圧操作や操作面15へのユーザUのスライド操作などがある。なお、押圧操作とは、操作面15を押圧する操作であり、スライド操作とは、操作面15上を移動する操作(XY平面上の移動)である。
【0015】
振動素子14は、例えば、電気機械変換素子であり、パネル10へ加わる圧力に応じた電圧を出力する。操作検出部40は、駆動されていない状態の振動素子14から出力される電圧に基づいて、ユーザUの操作面15への接触圧力を検出する。
【0016】
操作検出部40は、ユーザUの操作面15への接触圧力が所定圧力値以上である場合に、ユーザUの押圧操作を検出する。また、操作検出部40は、ユーザ接触位置が所定距離以上移動した場合に、ユーザUのスライド操作を検出する。
【0017】
駆動部41は、操作検出部40によって検出されたユーザ操作に基づいて、振動素子14を駆動してパネル10を振動させる。
【0018】
例えば、駆動部41は、操作検出部40によってスライド操作が検出された場合に、振動素子14を超音波帯域の高周波数で振動させる。これにより、パネル10には超音波振動が発生する。パネル10が超音波振動することで、スクイーズ効果を利用してユーザUに対する操作面15の摩擦力を低減させることができる。
【0019】
スクイーズ効果とは、振動素子14により操作面15が超音波振動すると、振動による圧力変動で、ユーザUの指U1と操作面15との間に空気が引き込まれて空気層が形成され、ユーザUの指U1と操作面15との間の摩擦抵抗が、振動がない場合に比べて相対的に低くなる現象を指す。
【0020】
このようにパネル10の操作面15の摩擦力が低減することから、パネル10の操作面15上で指U1を移動させるユーザUのスライド操作のスライド方向に対して吸い込まれていくような、つるつるした触感を与えることができ、ユーザUに与える操作感を向上させることができる。
【0021】
ところで、振動素子14により超音波振動しているパネル10の操作面15を、ユーザUが操作すると、雑音(ノイズ)が発生することがある。
図2は、第1の実施形態において、雑音に対して行われる処理を説明する図である。
【0022】
図2の上図に示すように、振動素子14は、超音波帯域の高周波数Aで振動されているものとする。なお、高周波数Aは、任意の値に設定されるが、ここでは例えば30kHzに設定される。
【0023】
そして、上記したように、超音波振動しているパネル10の操作面15が操作されると、周波数Bの雑音が生じる。周波数Bは可聴域にあるため、雑音は、ユーザUに異音として認識される。なお、可聴域と非可聴域(超音波帯域)との境界を示す周波数faは、例えば20kHzとされる。
【0024】
上記した雑音について本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、雑音の周波数Bは、振動素子14の振動の高周波数Aに対して分数次、例えば1/2の周波数になるという知見を得た。
【0025】
したがって、本実施形態に係る制御装置20は、上記した知見に基づき、雑音を抑制するようにした。具体的には、制御装置20の駆動部41は、雑音を抑制するため、二音抑圧効果の条件を満たす音をパネル10から発生させるようにした。
【0026】
ここで、二音抑圧効果とは、既に発生している第1音(ここでは雑音)に対し、第1音の周波数や音圧に基づいて導き出された所定の周波数および所定の音圧を有する第2音を発生させると、第1音に対するユーザの聴覚反応が抑圧される効果である。すなわち、第2音を発生させることで、第1音たる雑音をユーザに聴感上小さく感じさせることができる。以下、第2音を「抑圧音」と記載する場合がある。
【0027】
抑圧音について、
図2の下図に参照して説明すると、駆動部41は、雑音の周波数Bより高い周波数Cの抑圧音を発生させる。なお、抑圧音の周波数Cは、雑音の周波数Bや音圧Pに基づいた、二音抑圧効果の条件(以下「抑圧条件」と記載する場合がある)を満たす値に設定される。また、抑圧音の音圧Qも抑圧条件を満たす値に設定される。この抑圧音の周波数Cおよび音圧Qの設定については、
図5を参照して後述する。
【0028】
このように、本実施形態にあっては、雑音の周波数Bより高い周波数Cの抑圧音を発生させることで、抑圧音による二音抑圧効果によって雑音を抑制することができる。
【0029】
<2.電子装置システムの構成>
図3は、第1の実施形態に係る入力システム1を有する電子装置システム100の構成を示す図である。
図3に示す電子装置システム100は、例えば、車両に搭載される車載システムであるが、かかる例に限定されず、PC(Personal Computer)を含むコンピュータシステムなどであってもよい。
【0030】
図3に示すように、電子装置システム100は、入力システム1と、制御装置2と、表示装置3とを備える。入力システム1は、ユーザ操作を受け付け、ユーザ操作を示す情報を制御装置2へ通知する。制御装置2は、ユーザ操作に応じて表示装置3に表示される画面を制御する。
【0031】
入力システム1は、入力ユニット9と、制御装置20とを備える。入力ユニット9は、上述したように、パネル10と、複数の振動素子14とを備える。なお、パネル10の接触センサ13は、ユーザUのパネル10の操作面15への接触位置を検出可能なセンサであり、上述したように、静電容量式タッチパネルであるが、静電容量式タッチパネル以外の接触センサであってもよい。例えば、ユーザUのパネル10の操作面15への接触圧力を接触センサ13で検出する場合、接触センサ13は、抵抗感圧式のタッチセンサを用いることができる。
【0032】
振動素子14は、パネル10の表面または裏面に取り付けられる。かかる振動素子14は、例えば、ピエゾ素子であるが、振動素子14によってパネル10の操作面15に対するユーザ操作の圧力を検出せずに接触センサ13を感圧センサとする場合、振動素子14は、リニア共振アクチュエータなどであってもよい。なお、図示しないが入力ユニット9には、制御装置20から出力される駆動電圧を増幅して振動素子14へ出力する増幅部を備えていてもよい。
【0033】
図4は、本実施形態に係る振動素子14の配置例を示す図である。
図4に示す例では、入力ユニット9は4つの振動素子14を備える。4つの振動素子14は、パネル10の両端部にそれぞれ2つずつ配置される。なお、振動素子14の数は、4つに限定されず、3つ以下であってもよく、5つ以上であってもよい。例えば、振動素子14は、パネル10の両端部に1つずつ配置されてもよい。
【0034】
図3の説明に戻ると、制御装置20は、記憶部21と、制御部22とを備える。記憶部21は、抑圧音情報30を記憶している。抑圧音情報30は、抑圧音の周波数Cおよび音圧Qの設定に用いられる情報である。
【0035】
制御部22は、操作検出部40と、駆動部41とを備える。操作検出部40は、接触センサ13によって検出されるユーザUの操作面15に対する接触位置を示す検出情報を取得する。また、操作検出部40は、駆動部41によって駆動されていない状態で振動素子14から出力される出力電圧の値を取得し、かかる出力電圧の値に基づいて、ユーザUの操作面15に対する接触圧力を検出する。
【0036】
操作検出部40は、接触センサ13から取得した情報や、検出された接触圧力に基づいて、ユーザ操作を検出する。具体的には、操作検出部40は、ユーザUの操作面15への押圧操作やスライド操作などの各種のユーザ操作を検出することができる。なお、接触センサ13が感圧センサである場合、操作検出部40は、振動素子14の出力電圧を用いずに、接触センサ13からユーザUの操作面15への接触圧力を示す情報を取得することもできる。
【0037】
操作検出部40は、ユーザUの操作面15に対する接触位置が継続して同一位置にあり、かつ、接触圧力が所定圧力値以上である場合に、ユーザUの操作面15への押圧操作があると判定することができる。
【0038】
また、操作検出部40は、ユーザUの操作面15に対する接触圧力が所定圧力値以上の状態でユーザUの操作面15に対する接触位置が所定距離以上移動した場合に、ユーザUの操作面15へのスライド操作があると判定することができる。なお、操作検出部40は、接触圧力にかかわらず接触位置が所定距離以上移動した場合にスライド操作があると判定することもできる。
【0039】
駆動部41は、操作検出部40によってスライド操作または押圧操作が検出された場合に、振動素子14を駆動してパネル10に振動を発生させることができる。
【0040】
例えば、駆動部41は、操作検出部40によってスライド操作が検出された場合、振動素子14を超音波帯域の高周波数で振動させることができる。具体的には、駆動部41は、スライド操作が検出されると、高周波振動させる駆動信号を生成し、駆動信号に応じた駆動電圧を振動素子14へ出力する。
【0041】
かかる駆動電圧は、超音波帯域の高周波数(例えば、30kHz)を有する正弦波電圧であり、駆動電圧が各振動素子14に印加されることで、各振動素子14が超音波帯域の周波数で振動し、パネル10に超音波振動が発生する。これにより、駆動部41は、例えばユーザUに対してつるつるした触感を与えて操作感を向上させることができる。
【0042】
また、駆動部41は、例えば、操作検出部40によって押圧操作が検出された場合、振動素子14を超音波帯域の高周波数より低い低周波数で振動させることができる。具体的には、駆動部41は、押圧操作が検出されると、低周波振動させる駆動信号を生成し、駆動信号に応じた駆動電圧を振動素子14へ出力する。
【0043】
かかる駆動電圧は、超音波帯域よりも低い低周波帯域の周波数(例えば、200Hz以下の周波数)を有する正弦波電圧であり、駆動電圧が各振動素子14に印加されることで、各振動素子14が低周波帯域の周波数で振動し、パネル10に低周波振動が発生する。これにより、駆動部41は、例えば「カチッ」としたクリック感をユーザUに与えることができ、ユーザUに与える操作感を向上させることができる。
【0044】
上記したように、振動素子14を超音波帯域の高周波数で振動させる際に、雑音が生じることから、駆動部41は、抑圧音情報30を取得し、雑音に対して抑圧音を発生させる。
【0045】
抑圧音情報30について
図5を参照して説明する。
図5は、抑圧音情報30の一例を示す図であるが、限定されるものではない。上記したように、抑圧音の周波数および音圧は、雑音の周波数等に基づき、抑圧条件を満たす値に設定される。
【0046】
かかる抑圧条件を満たす周波数等は、例えば、
図5に斜線で示された領域である。
図5は、周波数B、音圧Pの雑音の場合のグラフであり、抑圧条件を満たすのは、周波数Bに対して高周波側の第1領域50H、および、低周波側の第2領域50Lである。なお、
図5に示すグラフは、予め実験や演算等を通じて求めることができる。
【0047】
抑圧音は、第1、第2領域50H,50L内の周波数等に設定されていれば、雑音に対する二音抑圧効果を得ることができるが、本実施形態の駆動部41は、白抜きの四角形で示すように、第1領域50Hを用いて周波数および音圧を設定するようにした。具体的に、抑圧音は、例えば、雑音の周波数Bより高く、かつ、振動素子14の高周波数Aより低い周波数Cに設定される(
図2の下図参照)。
【0048】
これにより、本実施形態にあっては、雑音をより効果的に抑制することができる。すなわち、第2領域50Lは、可聴域の雑音に対して低周波側の領域であるため、第2領域50L内の周波数等に設定された抑圧音はユーザに聞こえ易く、結果として雑音を抑制する効果が低下するおそれがある。
【0049】
これに対し、本実施形態にあっては、雑音よりも高周波側、言い換えれば、非可聴域に近い側の第1領域50H内の周波数等に設定された抑圧音を用いることで、抑圧音自体をユーザに聞こえにくくすることができる。そして、本実施形態にあっては、ユーザに聞こえにくい抑圧音を用いることで、雑音をより効果的に抑制することができる。
【0050】
なお、
図2の下図に示す例では、周波数Cは、可聴域に設定されるが、これに限られず、非可聴域であってもよい。
【0051】
また、振動素子14の振動の高周波数Aは既知であり、また、雑音の周波数Bも高周波数Aの1/2となることから、周波数Bの雑音に対して抑圧条件を満たす抑圧音の周波数や音圧を予め算出するようにしてもよい。そして、算出された抑圧音の周波数や音圧を示す情報を、抑圧音情報30として記憶部21に記憶しておいてもよい。
【0052】
そして、駆動部41は、設定された周波数Cの抑圧音を、振動素子14を振動させてパネル10から発生させる。具体的には、駆動部41は、周波数Cの抑圧音を発生させる振動の駆動信号を生成し、駆動信号に応じた駆動電圧を振動素子14へ出力する。かかる駆動電圧が各振動素子14に印加されることで、各振動素子14が周波数Cで振動し、パネル10から抑圧音が発生する。
【0053】
これにより、本実施形態にあっては、パネル10を抑圧音の音源として利用することができる。また、雑音が生じるパネル10から抑圧音を発生させることで、雑音を効果的に抑制することができる。
【0054】
パネル10から抑圧音を発生させる場合、駆動部41は、振動素子14を高周波数Aで振動させる駆動信号に、抑圧音を発生させる駆動信号を重畳させるようにしてもよい。言い換えると、駆動部41は、高周波数Aで駆動させる駆動信号に、抑圧音の音信号を重畳させて、駆動信号に音信号を組み合わせてもよい。
【0055】
具体的には、駆動部41は、駆動信号を重畳し、重畳した駆動信号に応じた駆動電圧を振動素子14へ出力するようにしてもよい。駆動部41は、かかる駆動電圧を各振動素子14に印加することで、パネル10にユーザUの触感のための振動と抑圧音を出力するための振動とを同時に発生させることができる。
【0056】
また、触感のための振動と抑圧音のための振動とを同時に発生させる場合、抑圧音のための振動の強度が比較的大きいと、例えばユーザの触感が低下するなどの影響が生じるおそれがある。
【0057】
そこで、駆動部41は、触感のための振動と抑圧音のための振動とを同時に発生させる場合、抑圧音を発生させるときの振動素子14の振動の強度を規定値以下となるように制限してもよい。なお、上記した規定値は、任意の値に設定可能であるが、例えば、振動素子14を高周波数Aで振動させるときの強度に対して所定の割合(例えば5%)を乗算した値に設定してもよい。
【0058】
これにより、触感のための振動と抑圧音のための振動とを同時に発生させる場合であっても、抑圧音のための振動による、ユーザの触感への影響を抑制することができる。
【0059】
なお、上記では、駆動部41は、スライド操作が検出された場合に振動素子14を高周波数で振動させるようにしたが、これに限られず、例えば高周波数での振動と低周波数での振動との間で切り替えるように振動素子14を駆動するようにしてもよい。これにより、ユーザに対してつるつるした触感やクリック感、ざらざらした触感などを与えることが可能となる。
【0060】
また、駆動部41は、高周波数での振動と低周波数での振動との間で切り替えるように振動素子14を駆動する場合、上記した抑圧音を発生させるときの振動素子14の振動の強度を規定値以下とする制限を解除してもよい。
【0061】
すなわち、振動素子14の振動態様が高周波数と低周波数とで切り替わるような場合、抑圧音のための振動によるユーザの触感への影響は比較的少ないことから、上記した制限を解除してもよく、これにより駆動部41の処理負荷を軽減することができる。
【0062】
電子装置システム100は、
図6に示すように、入力ユニット9と表示装置3とを一体化したタッチパネルディスプレイを含む構成であってもよい。
図6は、電子装置システム100における入力ユニット9と表示装置3との関係を示す図である。
図6に示すように、パネル10の背面に表示装置3が配置されており、ユーザUは、パネル10を介して表示装置3に表示された画面を見ることができる。
【0063】
なお、
図3に示す例では、制御装置2と制御装置20とを別体で構成しているが、制御装置2の機能を制御装置20に加えることもできる。この場合、制御装置2は、入力ユニット9に接続されると共に表示装置3に接続され、入力ユニット9への操作に応じた画面を表示装置3に表示させることができる。
【0064】
<3.入力システム1の制御装置20による処理>
次に、制御装置20の制御部22が実行する処理の流れの一例を説明する。
図7は、制御部22が実行する処理手順の一例を示すフローチャートであり、繰り返し実行される処理である。
【0065】
図7に示すように、制御部22は、ユーザUによるスライド操作があるか否かを判定する(ステップS10)。制御部22は、スライド操作があると判定した場合(ステップS10,Yes)、振動素子14を高周波振動させる駆動信号を生成する(ステップS11)。
【0066】
続いて、制御部22は、周波数Cの抑圧音を発生させる振動の駆動信号を生成する(ステップS12)。次いで、制御部22は、振動素子14を高周波数Aで振動させる駆動信号に、抑圧音を発生させる振動の駆動信号(抑圧音の音信号)を重畳させ、重畳した駆動信号に応じた駆動電圧を振動素子14へ印加する(ステップS13)。これにより、パネル10には、ユーザUの触感のための高周波振動と、抑圧音を出力するための振動とが発生する。
【0067】
他方、制御部22は、スライド操作がないと判定した場合(ステップS10,No)、ユーザUによる押圧操作があるか否かを判定する(ステップS14)。制御部22は、押圧操作があると判定した場合(ステップS14,Yes)、振動素子14を低周波振動させる駆動信号を生成する(ステップS15)。
【0068】
続いて、制御部22は、低周波振動の駆動信号に応じた駆動電圧を振動素子14へ印加する(ステップS16)。これにより、パネル10には、ユーザUの触感のための低周波振動が発生する。制御部22は、ステップS14においてユーザUの押圧操作がないと判定した場合(ステップS14,No)、処理をステップS10から繰り返し行う。
【0069】
上述してきたように、第1の実施形態に係る制御装置20は、駆動部41を備える。駆動部41、操作面15を有するパネル10に取り付けられた振動素子14を駆動してパネル10に振動を発生させる。また、駆動部41は、振動素子14を高周波数Aで振動させるときに生じる雑音の周波数Bより高い周波数Cの音(抑圧音)を発生させる。これにより、振動素子14を高周波数Aで振動させる際に生じる雑音を抑制することができる。
【0070】
(第2の実施形態)
次いで、第2の実施形態について説明する。なお、以下においては、第1の実施形態と共通の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0071】
図8は、第2の実施形態に係る入力システム1を有する電子装置システム100の構成を示す図である。第2の実施形態においては、入力システム1は、音声等を出力するスピーカ60を備える。
【0072】
スピーカ60は、駆動部41によって制御される。また、スピーカ60は、例えば入力ユニット9の近傍、詳しくはパネル10の近傍に配置される。なお、スピーカ60の配置位置は、これに限定されるものではない。
【0073】
第2の実施形態に係る入力システム1にあっては、第1の実施形態ではパネル10から発生させていた抑圧音を、スピーカ60から出力するようにした。
【0074】
図9は、制御部22が実行する処理手順の一例を示すフローチャートであり、繰り返し実行される処理である。
【0075】
図9に示すように、制御部22は、ユーザUによるスライド操作があると判定した場合(ステップS10,Yes)、振動素子14を高周波振動させる駆動信号を生成し(ステップS11)、高周波振動の駆動信号に応じた駆動電圧を振動素子14へ印加する(ステップS17)。これにより、パネル10には、ユーザUの触感のための高周波振動が発生するとともに、雑音も生じる。
【0076】
そして、制御部22は、雑音の周波数Bや抑圧音情報30などに基づいてスピーカ60を駆動し、スピーカ60から抑圧音を出力させる(ステップS18)。このように、第2の実施形態にあっては、スピーカ60からの抑圧音を用いた二音抑圧効果により、雑音を抑制することができる。
【0077】
(第3の実施形態)
次いで、第3の実施形態について説明する。
図10は、第3の実施形態において、雑音に対して行われる処理を説明する図である。
【0078】
図10の上図に示すように、振動素子14が高周波数Aで振動すると、周波数Bの雑音が生じる。第3の実施形態にあっては、
図10の下図に示すように、雑音に対して付加する音(以下「付加音」と記載する場合がある)をパネル10から発生させ、雑音と付加音とで構成される高調波の音(倍音)を生じさせるようにした。
【0079】
なお、高調波の音の例としては、例えばユーザUの操作に対して「カチッ」といったパネル10の触感を連想させる音、楽器、声および自然音などであるが、これらに限定されるものではない。
【0080】
具体的に説明すると、第3の実施形態に係る制御装置20の記憶部21には、
図3に想像線で示すように、付加音情報31が記憶される。付加音情報31は、付加音の周波数D1〜D3および音圧の設定に用いられる情報である。
【0081】
なお、付加音は、周波数Bの雑音との組み合わせにより高調波の音を構成することから、付加音の周波数D1〜D3は、例えば雑音の周波数Bの1/n(nは2以上の整数)を満たす値とされる。
【0082】
また、第3の実施形態において、付加音を発生させる手法は、第1の実施形態における抑圧音を発生させる手法と概ね同じである。すなわち、
図7を参照して説明すると、第3の実施形態に係る制御部22は、スライド操作があると判定した場合(ステップS10,Yes)、振動素子14を高周波振動させる駆動信号を生成する(ステップS11)。
【0083】
続いて、制御部22は、付加音情報31から付加音に関する情報を取得して、周波数D1〜D3の付加音を発生させる振動の駆動信号を生成する(ステップS12)。次いで、制御部22は、振動素子14を高周波数Aで振動させる駆動信号に、付加音を発生させる振動の駆動信号(付加音の音信号)を重畳させ、重畳した駆動信号に応じた駆動電圧を振動素子14へ印加する(ステップS13)。従って、パネル10には、ユーザUの触感のための高周波振動と、付加音を出力するための振動とが発生し、雑音と付加音と組み合わせた高調波の音を発生させることができる。
【0084】
これにより、第3の実施形態にあっては、雑音を、付加音と組み合わせた高調波の音としてユーザUに認識させることが可能となる。すなわち、雑音がユーザUに異音として認識されにくくすることができる。
【0085】
また、駆動部41は、第1の実施形態と同様、触感のための振動と付加音のための振動とを同時に発生させる場合、付加音を発生させるときの振動素子14の振動の強度を規定値以下となるように制限してもよい。
【0086】
なお、
図10に示す例では、付加音の数を3つとしたが、これに限られず、2つ以下あるいは4つ以上であってもよい。
【0087】
なお、上記した第1、第2、第3の実施形態を適宜に組み合わせてもよい。すなわち、第1、第2の実施形態を組み合わせて、雑音に応じて抑圧音をパネル10から発生させたり、スピーカ60から発生させたりしてもよい。また、第1、第3の実施形態を組み合わせて、雑音に応じて抑圧音および付加音の一方、あるいは両方をパネル10から発生させるようにしてもよい。また、第2、第3の実施形態を組み合わせて、付加音をスピーカ60から発生させるようにしてもよい。
【0088】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。