【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、カウンタウェイトがエレベータの側部に配設されレイアウトが改善されたエレベータを提供することを目的とする。また、上述の欠点および/または本明細書の別の場所で述べ、あるいは暗示する欠点のうちの1つ以上を改善する解決策を提供する。とりわけ、乗りかごとカウンタウェイトとの間に吊り下がるロープを空間効率の良い状態で配設して、実質的に乗りかごの案内およびロープの懸垂に主軸をおいた簡易な設計を可能とする実施形態を提示する。また、とりわけ、ガイドローラまたはガイド摺動子によってガイドレールから得られる側方支持力の大幅な不平衡が補償ローピングに起因して生じないようにする実施形態を提示する。とりわけ、上記事項を達成して、エレベータの固定機能を与える高度な構造を有する補償装置をエレベータに設けた実施形態を提示する。
【0010】
次のような新規なエレベータを提案する。すなわち本エレベータは、高さ方向、幅方向および奥行き方向を有する昇降路と、昇降路内を上下動可能なエレベータ乗りかごとを備え、乗りかごへの出入口が昇降路の奥行き方向、とくにエレベータ乗りかごの前側を通って設けられ、本エレベータはさらに、昇降路の幅方向においてエレベータ乗りかごの横にあってとくに昇降路壁とエレベータ乗りかごの側面壁との間で昇降路内を上下動可能なカウンタウェイトと、エレベータ乗りかごおよびカウンタウェイトを相互に連結し、両者間に吊り下がる1本または複数本のロープと、昇降路の底端部に設置されて1本または複数本のロープを案内するロープホイール機構とを備え、1本または複数本のロープはロープホイール機構のロープホイールを巻回し、さらに本エレベータは、エレベータ乗りかごとカウンタウェイトとの間を垂直に延伸しエレベータ乗りかごを案内する垂直に配向されたガイドレールを備えている。本エレベータは、昇降路の床に設けられた橋梁構造体を備え、橋梁構造体は横材を備え、エレベータ乗りかごを案内するガイドレールは横材の頂部に取り付けられ、橋梁構造体は横材の下側に1本または複数本のロープの走路を備え、1本または複数本のロープはカウンタウェイトからロープホイール機構に向かって下方向に走行し、ロープホイール機構は、走路を通って横材の下側へ、さらにはエレベータ乗りかごに向かって上方へと1本または複数本のロープを案内する。この方式により、上記目的の1つ以上を達成できる。以下に好適な詳細事項を提示する。更なる詳細事項を個別に、あるいは任意に組み合わせて、本ロープホイール機構に導入してもよい。
【0011】
好適な一実施形態において、横材はガイドレールを垂直に支持するように配設される。さらに、ガイドレールは、橋梁構造体の横材の頂部、具体的にはその上面に載置される。
【0012】
好適な一実施形態において、横材は頂部にガイドレールが取り付けられる上面を備え、上面は昇降路の床の上面より1m以上高く、なおかつエレベータの最下階乗り場の敷居より下に位置する。ガイドレールは、好適には、上記のとおり当該上面に載置される。
【0013】
好適な一実施形態において、横材は、頂部にガイドレールが取り付けられる上面、および下方の走路を画成する下面を備えている。下面は、好適には昇降路の床の上面より0.8m以上高く、なおかつエレベータの最下階乗り場の敷居より下に位置する。上面および下面は、横材の対向する面である。ガイドレールは、好適には、上記のとおり当該上面に載置されている。
【0014】
好適な一実施形態において、エレベータの最下階乗り場の敷居は、昇降路の床の上面より1m以上上方に位置する。
【0015】
好適な一実施形態において、1本または複数本のロープは、橋梁構造体の下側を通ってガイドレールの垂直投影面を横断する1本または複数本のロープで構成される。
【0016】
好適な一実施形態において、1本または複数本のロープは、カウンタウェイトの懸垂点およびエレベータ乗りかごの懸垂点に結合された1本または複数本のロープで構成され、これらの懸垂点はガイドレールと同じ垂直面上にある。当該同一垂直面は、好適には昇降路の幅方向と平行である。
【0017】
好適な一実施形態において、上記走路は横材の下側を昇降路の幅方向に延伸し、これによって1本または複数本のロープは走路を通って昇降路の幅方向に走行可能である。
【0018】
好適な一実施形態において、橋梁構造体は昇降路の床から立ち上がる第1の支持脚および第2の支持脚を備え、第1および第2の支持脚は昇降路の奥行き方向における位置が異なり、第1および第2の支持脚はそれぞれ横材を垂直に支持し、上記走路は横材の下で第1および第2脚の間を昇降路の幅方向に延伸している。上記横材は好適には、水平方向に配向される。このような長尺状支持脚は好適には垂直方向に配向される。横材は、好適には、第1および第2の支持脚の上端に連結される。
【0019】
好適な一実施形態において、第1の支持脚、第2の支持脚および横材はそれぞれ長尺状であり、各中心軸は、昇降路の奥行き方向と平行に延伸する共通の垂直面に沿って延伸している。
【0020】
好適な一実施形態において、第1の支持脚および第2の支持脚はそれぞれに金属梁を有する。
【0021】
好適な一実施形態において、横材は金属梁を備える。
【0022】
好適な一実施形態において、橋梁構造体は昇降路の床に不動に取り付けられ、具体的には昇降路の床に載置される。
【0023】
好適な一実施形態において、橋梁構造体は実質的に逆U字状である。
【0024】
好適な一実施形態において、ガイドレールはエレベータ乗りかごの奥行きの中央3分の1とカウンタウェイトの奥行きの中央3分の1の間に配置されている。
【0025】
好適な一実施形態において、カウンタウェイトの懸垂点はカウンタウェイトの奥行きの中央3分の1の範囲内に配され、エレベータ乗りかごの懸垂点はエレベータ乗りかごの奥行きの中央3分の1の範囲内に配されている。
【0026】
好適な一実施形態において、1本または複数本のロープはベルト状である。
【0027】
好適な一実施形態において、1本または複数本のロープは複数のロープで構成される。複数のロープはそれぞれ、昇降路の幅方向と平行に延伸する垂直面に沿って走行することが望ましく、ロープの各垂直面は昇降路の奥行き方向において互いに隣接している。
【0028】
好適な一実施形態において、ロープホイール機構は互いに平行な水平回転軸を有する第1のロープホイールおよび第2のロープホイールを備え、第1のロープホイールはカウンタウェイトから到来したロープの方向を転換させて第2のロープホイールへ送り、第2のロープホイールは到来したロープの方向を転換させてエレベータ乗りかごに向かって上方に送る。好適には、これらの平行な回転軸は昇降路の奥行き方向と平行になるように配され、第1のロープホイールおよび第2のロープホイールは昇降路の幅方向において互いに並列している。
【0029】
好適な一実施形態において、第2のロープホイールの少なくとも一部が橋脚構造体の横材の下に位置し、少なくとも部分的に横材の垂直投影面と重なる。
【0030】
好適な一実施形態において、ロープホイール機構は昇降路の床に据え付けられる。
【0031】
好適な一実施形態において、ロープホイール機構は橋脚構造体とは別体である。
【0032】
好適な一実施形態において、ロープホイール機構は昇降路の床に不動に取り付けられたフレームを備え、フレームにロープホイール機構のロープホイールが取り付けられる。
【0033】
好適な一実施形態において、ロープホイール機構のロープホイールは昇降路の床に不動に取り付けられたフレームに上下動可能に取り付けられる。
【0034】
好適な一実施形態において、ロープホイール機構は内部にロープホイールが取り付けられたケーシングを備え、ケーシングは昇降路の床に不動に取り付けられたフレームに上下動可能に取り付けられる。
【0035】
好適な一実施形態において、ロープホイール機構のフレームは橋梁構造体とは別体である。
【0036】
好適な一実施形態において、ロープホイール機構の備えるロープホイールは非駆動型のみである。エレベータ乗りかごとカウンタウェイトとを相互に連結する1本または複数本のロープは、非駆動型ロープホイールのみを巻回するように配設されている。
【0037】
好適な一実施形態において、エレベータは、エレベータ乗りかごとカウンタウェイトを相互に連結する1本または複数本の懸垂ロープと、昇降路の上面または少なくともその近傍に設けられ、1本または複数本の懸垂ロープを案内する1本または複数本の懸垂ロープ用のロープホイール機構とを備え、1本または複数本の懸垂ロープはロープホイール機構のロープホイールを巻回し、エレベータはさらに、1本または複数本の懸垂ロープ用のロープホイール機構のロープホイールを回転させるモータを備えている。
【0038】
好適な一実施形態において、エレベータは、エレベータ乗りかごを案内することを目的として、昇降路の幅方向においてエレベータ乗りかごの両側で垂直に延伸する乗りかご案内用の垂直に配向されたガイドレールを備えている。上記ガイドレールは、エレベータ乗りかごとカウンタウェイトの間を垂直に延伸して乗りかごを案内する垂直に配向されたガイドレールを含むものである。エレベータ乗りかごのガイドレールは、さらに好適には、各々の垂直長手軸が昇降路の幅方向と平行に延伸する共通の垂直面上にあるように配設されている。
【0039】
好適な一実施形態において、エレベータはカウンタウェイトを案内する垂直に配向されたガイドレールを備えている。これらのガイドレールは垂直方向に、好適には昇降路の奥行き方向におけるカウンタウェイトの両側で延伸している。
【0040】
好適な一実施形態において、エレベータ乗りかごの案内を行なう目的で、エレベータは、エレベータ乗りかごに取り付けられてエレベータ乗りかごのガイドレールに対して水平方向に載る案内部材を備えている。
【0041】
好適な一実施形態において、エレベータは、好適には、エレベータ乗りかご用の1または複数の緩衝器を備え、これはエレベータ乗りかごの下方の昇降路の床に取り付けられている。この好適な実施形態では、エレベータ乗りかごのガイドレールが延伸しているエレベータ乗りかごの垂直ガイドレール面の両側に、2つの緩衝器が設けられている。緩衝器は、さらに好適には、昇降路の奥行き方向dと平行に延伸する共通の垂直面上にその垂直長手軸があるように配設されている。当該面は、好適には、エレベータ乗りかごの重心を通って延伸するものである。
【0042】
好適な一実施形態において、エレベータは、カウンタウェイト用の1または複数の緩衝器を備えている。その場合、カウンタウェイトの下の昇降路の床にカウンタウェイト用の緩衝器が取り付けられている。この緩衝器は、さらに好適には、エレベータ乗りかごのガイドレールが配され昇降路の幅方向dと平行に延伸する垂直面上にその垂直長手軸があるように配設されている。当該面は、好適には、エレベータ乗りかごの重心を通って延伸するものである。
【0043】
好適な一実施形態において、エレベータ乗りかごは、前面壁、背面壁、および前面壁と背面壁を連結する向かい合った側面壁を有し、エレベータ乗りかごへの出入口は、昇降路の奥行き方向におけるエレベータ乗りかごの前面壁を通して、具体的にはエレベータ乗りかごの備えるドアを通して前面壁に到るように設けられている。エレベータ乗りかごの垂直投影面は、好適には、実質的に長方形である。
【0044】
好適な一実施形態において、エレベータは、乗り場、ならびに乗り場ドアおよび乗りかごドアを備え、乗客は、乗りかごが乗り場に停まって乗り場ドアおよび乗りかごドアが開くと、各ドアを通って乗りかごと乗り場との間を昇降路の奥行き方向に行き来できる。
【0045】
好適な一実施形態において、各ガイドレールはT字形状の断面を有する。一般に、各ガイドレールは、区分ガイドレールを接続して形成することができる。
【0046】
本エレベータでは、好適には、乗りかごは、垂直方向の位置が異なる2床以上の乗り場に対応するように構成されている。本エレベータは、好適には、乗り場および/または乗りかご内に配設されたユーザインタフェースから送られる信号に応動して乗りかごの動作を制御し、乗り場および/またはエレベータ乗りかご内の乗客に対応するように構成されている。好適には、エレベータ乗りかごは、1または複数の乗客もしくは貨物を収容するのに適した内部空間を有し、さらに乗りかごは閉じた内部空間を形成するドアを備えるものでよい。