特許第6920123号(P6920123)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6920123
(24)【登録日】2021年7月28日
(45)【発行日】2021年8月18日
(54)【発明の名称】受電装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/10 20160101AFI20210805BHJP
   B60L 5/00 20060101ALI20210805BHJP
   B60L 53/12 20190101ALI20210805BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20210805BHJP
   H02J 50/90 20160101ALI20210805BHJP
【FI】
   H02J50/10
   B60L5/00 B
   B60L53/12
   H02J7/00 301D
   H02J7/00 P
   H02J50/90
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-139008(P2017-139008)
(22)【出願日】2017年7月18日
(65)【公開番号】特開2019-22333(P2019-22333A)
(43)【公開日】2019年2月7日
【審査請求日】2020年6月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】特許業務法人青海特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高木 靖
(72)【発明者】
【氏名】稲村 耕
(72)【発明者】
【氏名】垣生 淳二
(72)【発明者】
【氏名】松崎 哲
(72)【発明者】
【氏名】戸塚 裕太
【審査官】 佐藤 卓馬
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−217214(JP,A)
【文献】 特表2011−527884(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0131505(US,A1)
【文献】 特開2014−128124(JP,A)
【文献】 特開2015−029387(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/10
B60L 5/00
B60L 53/12
H02J 7/00
H02J 50/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地面に設けられた送電部から非接触で電力を受電可能な受電部と、前記受電部を収容するケースとを有する本体部と、
前記本体部を格納する格納位置、および、前記格納位置よりも鉛直下方の受電位置に前記本体部を移動させる移動機構と、を備え、
前記ケースは、前記受電位置に配置された状態で、水平面に対して傾斜し、
前記受電部は、前記受電位置に配置された状態で、水平面に平行となるように前記ケースに対して傾斜して収容される受電装置。
【請求項2】
地面に設けられた送電部から非接触で電力を受電可能な受電部と、前記受電部を収容するケースとを有する本体部と、
前記本体部を格納する格納位置、および、前記格納位置よりも鉛直下方の受電位置に前記本体部を移動させる移動機構と、を備え、
前記ケースは、前記受電位置に配置された状態で、水平面に対して傾斜し、
前記移動機構は、前記本体部の移動に応じて、フロントスポイラーの開閉を連動させる受電装置。
【請求項3】
前記ケースは、前記受電位置に配置された状態で、前記ケースにおける車両の前方側端に比べ、前記ケースにおける前記車両の後方側端が鉛直下方に位置する方向に傾斜する請求項1または2に記載の受電装置。
【請求項4】
前記受電部は、
受電コイルと、
前記受電コイルよりも鉛直上方に配置される電磁遮蔽部材と、
を有する請求項1から3のいずれか1項に記載の受電装置。
【請求項5】
前記本体部は、前記受電位置に配置された状態で、前輪の後方端部よりも前方に配置される請求項1から4のいずれか1項に記載の受電装置。
【請求項6】
前記移動機構は、
前記本体部を車両に連結するリンクアームと、
前記リンクアームを介して前記本体部を前記格納位置および前記受電位置に移動させるモータと、
前記本体部を前記格納位置に移動する方向に付勢する弾性部材と、
を有する請求項1から5のいずれか1項に記載の受電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載される受電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電気自動車やハイブリッド自動車などの車両のバッテリを、車両外の電源から非接触で充電する技術が開示されている。この技術では、電源に接続された送電部が地面に設けられ、バッテリに接続された受電部が車両に設けられる。受電部が送電部に臨んで配置されると、受電部は、送電部と受電部との間の電磁誘導によって電力を受電し、バッテリが充電される。また、受電部は、受電を行わない場合には車体の底面付近の格納位置に格納されており、受電を行う場合には格納位置よりも地面に近い受電位置に移動可能となっている。受電部は、受電位置において地面に平行に配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−217214号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、例えば、受電部が受電位置にある状態で車両が走行した場合、受電部が地面に引っかかったり、異物を巻き込んだりするおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、受電部が受電位置にある状態の安全性を向上することができる受電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の受電装置は、地面に設けられた送電部から非接触で電力を受電可能な受電部と、受電部を収容するケースとを有する本体部と、本体部を格納する格納位置、および、格納位置よりも鉛直下方の受電位置に本体部を移動させる移動機構と、を備え、ケースは、受電位置に配置された状態で、水平面に対して傾斜し、受電部は、受電位置に配置された状態で、水平面に平行となるようにケースに対して傾斜して収容される
また、上記課題を解決するために、本発明の受電装置は、地面に設けられた送電部から非接触で電力を受電可能な受電部と、受電部を収容するケースとを有する本体部と、本体部を格納する格納位置、および、格納位置よりも鉛直下方の受電位置に本体部を移動させる移動機構と、を備え、ケースは、受電位置に配置された状態で、水平面に対して傾斜し、移動機構は、本体部の移動に応じて、フロントスポイラーの開閉を連動させる。
【0007】
また、ケースは、受電位置に配置された状態で、ケースにおける車両の前方側端に比べ、ケースにおける車両の後方側端が鉛直下方に位置する方向に傾斜してもよい。
【0009】
また、受電部は、受電コイルと、受電コイルよりも鉛直上方に配置される電磁遮蔽部材と、を有してもよい。
【0010】
また、本体部は、受電位置に配置された状態で、前輪の後方端部よりも前方に配置されてもよい。
【0011】
また、移動機構は、本体部を車両に連結するリンクアームと、リンクアームを介して本体部を格納位置および受電位置に移動させるモータと、本体部を格納位置に移動する方向に付勢する弾性部材と、を有してもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、受電部が受電位置にある状態の安全性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】受電装置の構成を示す側面概略図である。
図2】受電部の構成を示す組み立て図である。
図3】受電部の構成を示す断面図である。
図4】フロントスポイラーの開閉を説明する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0016】
図1は、受電装置1の構成を示す側面概略図である。受電装置1は、電気自動車やハイブリッド自動車などの電動機を動力源とする車両2に搭載される。図1は、車両2の前輪付近の側面を示し、前輪およびフレームの一部を透視して示す。また、図1には、理解を容易にするため、受電装置1に加え、送電装置5を示す。
【0017】
送電装置5は、本体部50、インバータ61、力率改善回路(以下、PFCという)62および電源63を含んで構成される。本体部50はインバータ61に接続されており、インバータ61はPFC62に接続されており、PFC62は電源63に接続されている。
【0018】
電源63は、例えば、商用の交流電源である。PFC62は、インバータ61によって力率が低下してしまうことを防止することで、結果として、高調波電流の発生を抑える。インバータ61は、PFC62から供給される交流電力を直流電力に変換し、その直流電力をスイッチング素子のスイッチングによって所定の周波数(例えば、商用の周波数よりも高い周波数)の交流電力に変換して本体部50に供給する。
【0019】
本体部50は、ケース51および送電部52を含んで構成される。ケース51は、扁平した直方体状に形成されている。具体的には、ケース51は、鉛直方向の寸法が短く、水平方向の寸法が長い。ケース51は、地面に設置されており、地中に埋設されてもよいし、地上に置かれてもよい。ケース51内には、空間が形成されており、送電部52が収容されている。送電部52は、インバータ61に接続された送電コイルを含んで構成される。送電コイルは、インバータ61から交流電力が供給されると、周囲に磁界を発生させる。
【0020】
受電装置1は、本体部10および移動機構20を含んで構成される。本体部10は、ケース11および受電部12を含んで構成される。ケース11は、扁平した直方体状に形成されている。具体的には、ケース11は、鉛直方向の寸法が短く、水平方向の寸法が長い。例えば、ケース11は、下面が一辺当たり約50cmの四角形に形成されている。本体部10は、車両2の前方の底部に設けられている。具体的には、本体部10は、左右の前輪の間に設けられている。ケース11内には、空間が形成されており、受電部12が収容されている。受電部12は、受電コイルを含んで構成される。
【0021】
ここで、受電装置1の本体部10が送電装置5の本体部50に臨んで配置され、送電コイルに交流電力が供給されると、送電コイルと受電コイルとの間の電磁誘導によって受電コイルに交流電力が生じる。すなわち、受電装置1は、送電装置5から非接触で電力を受電する。
【0022】
受電部12の受電コイルは、車両2に設けられた整流器31に接続されており、整流器31は、バッテリ32に接続されている。整流器31は、受電コイルに生じた交流電力を直流電力に変換してバッテリ32に供給する。バッテリ32は、車両2の各部に電力を供給する電源である。また、バッテリ32は、受電部12の受電コイルに生じた交流電力が整流器31によって変換されて直流電力として供給されることにより充電される。
【0023】
本体部10は、移動機構20によって、本体部10を格納する格納位置Psと、格納位置Psよりも鉛直下方の受電位置Prとの間を移動可能となっている。格納位置Psは、例えば、車体の底面と同程度の高さにある。受電位置Prは、例えば、車体の底面よりも鉛直下方にあり、前輪の接地位置よりも上方にある。図1では、受電位置Prに配置された本体部10および移動機構20を実線で示し、格納位置Psに配置された本体部10および移動機構20を破線で示している。
【0024】
移動機構20は、リンクアーム21、モータ22および弾性部材23を含んで構成される。リンクアーム21は、本体部10を車両2に連結する。具体的には、リンクアーム21は、略棒状の部材である。リンクアーム21の一端は、車体の底面における前輪よりも前方の位置に連結されており、他端は、本体部10に連結されている。図1の例では、リンクアーム21が2個設けられている。
【0025】
モータ22は、リンクアーム21の車両2側の端部に設けられている。モータ22は、リンクアーム21を介して本体部10を格納位置Psおよび受電位置Prに移動させる。例えば、モータ22の回転軸およびリンクアーム21の車両2側の端部のそれぞれに互いに噛み合うギアが設けられており、モータ22は、リンクアーム21の車両2側の端部を支点として、リンクアーム21を回転移動させる。これにより、リンクアーム21の本体部10側の端部が略鉛直方向に上下動し、本体部10は、格納位置Psから受電位置Prに移動するとともに、受電位置Prから格納位置Psに移動する。モータ22は、例えば、運転者による操作子(図示略)の操作に応じて作動する。
【0026】
弾性部材23は、例えば、スプリングである。弾性部材23の一端は、車両2の車体底部3に固定されており、他端は、本体部10のケース11の上面に固定されている。弾性部材23は、本体部10を格納位置Psに移動させる方向に付勢する。
【0027】
本体部10を受電位置Prに移動させて維持する場合、モータ22は、弾性部材23の付勢力に抗する駆動力を発生させて、リンクアーム21および本体部10を押し下げて維持する。また、例えば、モータ22が故障した場合など、モータ22に駆動力が発生しなくなった場合、本体部10は、弾性部材23の付勢力によって格納位置Psに移動する。
【0028】
図2は、受電部12の構成を示す組み立て図である。図3は、受電部12の構成を示す断面図である。受電部12は、トレイ121、受電コイル122、磁性タイル123および電磁遮蔽部材124を含んで構成される。
【0029】
トレイ121は、略四角形の平板状に形成されている。トレイ121の上面には、トレイ121の厚さ方向に窪む溝部125が形成されている。溝部125は、トレイ121の周方向に延在する。溝部125には、受電コイル122が収容される。受電コイル122は、例えば、直径5mm程度のリッツワイヤを溝部125に沿って巻いたものである。なお、受電コイル122は、リッツワイヤを巻いたものに限らない。
【0030】
トレイ121の上面には、平板状の磁性タイル123が配置される。磁性タイル123は、受電コイル122の上面の全てを覆う面積を有している。磁性タイル123は、例えば、強磁性を示すフェライトによって構成される。磁性タイル123は、受電コイル122が受電することによって生じる磁界を、磁性タイル123の上方に伝えないように遮蔽する。なお、磁性タイル123を構成する材料は、フェライトに限らない。
【0031】
磁性タイル123の上面には、平板状の電磁遮蔽部材124が配置される。電磁遮蔽部材124は、受電コイル122の上面の全てを覆う面積を有している。電磁遮蔽部材124は、例えば、アルミニウムによって構成される。電磁遮蔽部材124は、受電コイル122が受電することによって生じる電磁波を、電磁遮蔽部材124の上方に伝えないように遮蔽する。なお、電磁遮蔽部材124を構成する材料は、アルミニウムに限らない。以上が、受電部12の構成である。
【0032】
送電部52は、例えば、受電部12を上下反対にした構成となっている。すなわち、送電部52は、電磁遮蔽部材の上に磁性タイルが配置され、磁性タイルの上に送電コイルが収容されたトレイが配置される。
【0033】
図1に戻って、受電装置1の本体部10のケース11は、受電位置Prに配置された状態で、水平面(すなわち、鉛直方向に垂直な面)に対して傾斜する。具体的には、ケース11は、受電位置Prに配置された状態で、ケース11における車両2の前方側端に比べ、ケース11における車両2の後方側端が、鉛直下方に位置する方向に傾斜する。このため、ケース11の下面は、車両2の前方から後方に向かって車両2から地面に近づくように傾斜している。ケース11の傾斜角は、車両2がピッチングした(車両2の車幅方向の軸の周りに車両2が揺れた)としても、本体部10(より詳細には、ケース11における車両2の前方側端)が地面に引っかからない程度である。具体的には、ケース11の傾斜角は、水平面を基準として、約3°〜約15°であるのが好ましい。
【0034】
また、受電部12は、受電位置Prに配置された状態で、水平面に平行な姿勢でケース11に対して傾斜して収容される。これにより、受電コイル122は、受電位置Prに配置された状態において、送電部52の送電コイルに対して平行となる。
【0035】
また、本体部10は、受電位置Prに配置された状態で、前輪の後方端部よりも前方に配置される。図1では、前輪の後方端部を通る鉛直方向の仮想線を一点鎖線Lで示している。図1に示すように、受電位置Prに配置された本体部10全体は、一点鎖線Lよりも前方に位置する。
【0036】
次に、受電装置1の動作を説明する。受電装置1の使用例として、2種類の態様が考えられる。
【0037】
第1の使用例として、送電装置5が所定の位置に設置されており、受電装置1の本体部10が送電装置5の本体部50に対向する位置に車両2が停止して受電を行う態様が考えられる。この場合、本体部10は、車両2の走行中には格納位置Psに格納されている。本体部10が本体部50に対向する位置に車両2が停止すると、本体部10は、移動機構20によって格納位置Psから受電位置Prに移動され、受電位置Prに維持される。そして、本体部10は、受電が完了すると、移動機構20によって受電位置Prから格納位置Psに移動される。
【0038】
第2の使用例として、送電装置5が車両2の進路に沿って設置されており、車両2が送電装置5から受電を行いつつ走行する態様が考えられる。この場合、本体部10は、バッテリ32を充電する際、車両2の走行中において受電位置Prに維持される。送電装置5が電力を供給する送電コイルを車両2の走行に応じて切り替えることにより、車両2の受電が維持される。バッテリ32の充電が開始されるとき、本体部10は、移動機構20によって格納位置Psから受電位置Prに移動される。そして、バッテリ32の充電が終了すると、本体部10は、移動機構20によって受電位置Prから格納位置Psに移動されて格納される。
【0039】
以上のように、本実施形態の受電装置1は、本体部10が受電位置Prに配置された状態で、ケース11が水平面に対して傾斜する。このため、受電装置1は、受電コイル122が受電位置にある状態の安全性を向上することができる。
【0040】
例えば、車両2が受電を行いつつ走行する態様(上述の第2の使用例)では、本体部10が格納位置Psよりも地面に近い受電位置Prにある状態で走行することとなる。また、例えば、走行中に本体部10が格納位置Psに格納される態様(上述の第1の使用例)において、移動機構20のモータ22が故障した場合、車両2がピッチングすると、弾性部材23によって付勢された本体部10が上下方向に振動し、走行中に本体部10が受電位置Pr付近に移動するおそれがある。このように、車両2は、本体部10が受電位置Prあるいは受電位置Pr付近にある状態で走行するおそれがある。本実施形態の受電装置1は、ケース11が受電位置Prにおいて傾斜しているため、走行中に本体部10が地面に引っかかったり、異物を巻き込んだりすることを低減することができる。したがって、本実施形態の受電装置1は、本体部10が受電位置Prにおいて地面に平行に配置される構成に比べ、走行中に本体部10が受電位置Prまたは受電位置Pr付近にあったとしても、車両2の安全性を向上することができる。
【0041】
また、本実施形態の受電装置1は、本体部10が受電位置Prに配置された状態で、受電部12が送電部52に対して平行となるようにケース11に収容されている。このため、受電装置1は、ケース11が水平面に対して傾斜していても、受電効率の低下を防止することができる。
【0042】
また、本実施形態の受電装置1は、受電時に本体部10を受電位置Prに移動させるため、本体部10が格納位置Psから移動しない構成の受電装置に比べ、受電効率の低下を防止することができる。また、本実施形態の受電装置1は、本体部10が格納位置Psから移動しない構成の受電装置に比べ、受電時において本体部10と送電装置5の本体部50との間に異物(例えば小動物など)が入り込むことを低減することができる。また、本実施形態の受電装置1は、受電時に受電部12が発熱するが、受電時には格納位置Psに比べ車両2から離れた位置である受電位置Prに受電部12を位置させるため、受電部12で発生した熱が車両2に伝わることを低減することができる。
【0043】
また、本実施形態の受電装置1は、受電コイル122よりも鉛直上方に電磁遮蔽部材124が配置されているため、受電コイル122が受電することによって生じる電磁波が車両2方向に漏洩することを防止することができる。また、本実施形態の受電装置1は、受電コイル122よりも鉛直上方に磁性タイル123が配置されているため、受電コイル122が受電することによって生じる磁界が車両2方向に漏洩することを防止することができる。すなわち、本実施形態の受電装置1は、車両2に渦電流が発生して車両2が発熱することを防止することができる。
【0044】
また、本実施形態の受電装置1は、本体部10が受電位置Prに配置された状態で前輪の後方端部よりも前方に配置されているため、回転する前輪によって石跳ねなどが発生したとしても、本体部10がその石跳ねによって破損することを低減することができる。
【0045】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0046】
上記実施形態において、移動機構20は、本体部10の移動に応じてフロントスポイラーの開閉を連動させてもよい。例えば、図4(A)に示すように、移動機構20は、本体部10を受電位置Prに移動させるのに応じて、フロントスポイラー70を閉めてもよい。本体部10が受電位置Prにある状態で走行した場合に、フロントスポイラー70を介して本体部10の下面へ風が流れるのを防止し、その風によって好ましくない影響(例えば、空気抵抗の増加など)が生じるのを抑えることができる。また、反対に、図4(B)に示すように、移動機構20は、本体部10を受電位置Prに移動させるのに応じて、フロントスポイラー70を開いてもよい。走行中に受電する場合、フロントスポイラー70を開くことで、フロントスポイラー70を介して本体部10に風が当たり易くなり、本体部10の発熱を抑えることができる。
【0047】
上記実施形態において、整流器31は、車両2に設けられていた。しかし、整流器31は、本体部10のケース11内に収容されてもよい。
【0048】
上記実施形態において、移動機構20は、本体部10が格納位置Psに格納された場合に本体部10を格納位置Psに保持する保持機構を備えてもよい。この態様によれば、モータ22が故障した場合に、本体部10を格納位置Psに保持させて、本体部10が弾性部材23によって上下に振動するような事態を防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、車両に搭載される受電装置に利用できる。
【符号の説明】
【0050】
1 受電装置
2 車両
10 本体部
11 ケース
12 受電部
20 移動機構
21 リンクアーム
22 モータ
23 弾性部材
52 送電部
Ps 格納位置
Pr 受電位置
図1
図2
図3
図4