特許第6920146号(P6920146)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社東京建設コンサルタントの特許一覧

特許6920146河川の流況などを観測する機器を橋梁高欄に設置するのに適した台座装置
<>
  • 特許6920146-河川の流況などを観測する機器を橋梁高欄に設置するのに適した台座装置 図000002
  • 特許6920146-河川の流況などを観測する機器を橋梁高欄に設置するのに適した台座装置 図000003
  • 特許6920146-河川の流況などを観測する機器を橋梁高欄に設置するのに適した台座装置 図000004
  • 特許6920146-河川の流況などを観測する機器を橋梁高欄に設置するのに適した台座装置 図000005
  • 特許6920146-河川の流況などを観測する機器を橋梁高欄に設置するのに適した台座装置 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6920146
(24)【登録日】2021年7月28日
(45)【発行日】2021年8月18日
(54)【発明の名称】河川の流況などを観測する機器を橋梁高欄に設置するのに適した台座装置
(51)【国際特許分類】
   F16M 13/02 20060101AFI20210805BHJP
   E01D 19/10 20060101ALI20210805BHJP
   E01D 22/00 20060101ALI20210805BHJP
   F16M 13/00 20060101ALI20210805BHJP
   G03B 17/56 20210101ALI20210805BHJP
【FI】
   F16M13/02 S
   E01D19/10
   E01D22/00 A
   F16M13/00 S
   G03B17/56 A
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-172784(P2017-172784)
(22)【出願日】2017年9月8日
(65)【公開番号】特開2019-49279(P2019-49279A)
(43)【公開日】2019年3月28日
【審査請求日】2020年8月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】507039774
【氏名又は名称】株式会社東京建設コンサルタント
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】小林 範之
(72)【発明者】
【氏名】野谷 靖浩
(72)【発明者】
【氏名】森田 正人
【審査官】 志水 裕司
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭51−097437(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0252188(US,A1)
【文献】 特開2003−337376(JP,A)
【文献】 実開昭60−044960(JP,U)
【文献】 実開平03−130407(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3150865(JP,U)
【文献】 実開昭62−128294(JP,U)
【文献】 特開平08−032329(JP,A)
【文献】 特開2004−226959(JP,A)
【文献】 特開2007−256893(JP,A)
【文献】 特開2002−090855(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01D 1/00−24/00
F16M 11/00−11/42
F16M 13/00−13/08
G01D 18/00−21/02
G03B 17/56−17/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
つぎの事項(1)〜(9)により特定される台座装置。
(1)台座装置は、高欄取付部と機器取付部とから構成されること
(2)高欄取付部は、長方形状の堅牢な金属平板からなる本体基板を主体とし、この本体基板の上面中央部分に機器取付部を位置決めするための位置決め枠体が一体的に固設されていること
(3)機器取付部は、本体基板より小さい長方形状の堅牢な金属平板からなる上面板を主体とし、この上面板における2つの短辺側から下方に垂れ下がるように一体化された側面板を備えること
(4)機器取付部は、前記上面板および前記側面板からなる外形形状が前記位置決め枠体に接するように高欄取付部に着脱自在に嵌め込まれ、高欄取付部上に位置決めされて載置されること
(5)機器取付部は、前記上面板の中央に機器連結具を備えており、これにより観測機器の底面を前記上面板の上面に接合した状態で両者を強固に固定することができること
(6)機器取付部は前記上面板に固設された複数個の引き止め型トグルクランプを備え、高欄取付部は前記位置決め枠体に固設された複数のフックを備え、高欄取付部上に機器取付部を位置決め載置した状態で前記引き止め型トグルクランプを前記フックに引っ掛けてクランプすることにより機器取付部を高欄取付部に強固に固定することができること
(7)高欄取付部は、前記本体基板の両端部分の下面にそれぞれ2個の接地パッドを下方突出状態で備え、これら4個の接地パッドが橋梁高欄の上面部分に当接する状態で載置されること
(8)高欄取付部は、橋梁高欄の上面部分に当接する状態で、橋梁高欄に架け回した2本のラチェット式ラッシングベルトにより前記本体基板の両端部分をそれぞれ締め付けることにより橋梁高欄に固縛されること
(9)高欄取付部は、前記本体基板の両端部分の上面側にそれぞれ、前記ラチェット式ラッシングベルトの幅広ベルトを通すための1対のベルト通し金具が所定間隔をおいて固設されており、この1対のベルト通し金具の間隔部分が前記ラチェット式ラッシングベルトのラチェット機体の載置領域となっていること
【請求項2】
前記引き止め型トグルクランプは、機器取付部の前記上面板の四隅部分にそれぞれ固設されて合計4個あることを特徴とする請求項1に記載の台座装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、河川の流況などを観測するための機器(たとえば撮影装置や電波流速計やドップラー水象レーダーなど)を橋梁の高欄に安定的に設置するという用途に適した台座装置に関し、とくに、さまざまな形態の橋梁高欄に融通自在に適合するように工夫した構造の台座装置に関する。
【背景技術】
【0002】
河川の流況などを観測する場としては、いろいろな観点から橋梁が好適であり便利である。そのため橋梁に観測機器類を設置して観測を続けることがよく行われている。最近では河川観測用の計測システムにも進歩した情報通信技術が適用されており、橋梁の所定の場所に機器類を設置した後は人は現場を離れて遠方監視システムにより観測データを処理することが普通に行われている。
【0003】
よりよい河川管理のためには観測地点を多くすることが有効であり、河川に架かる数多くの橋梁に観測用の機器類を設置して遠方監視システムに組み入れることが望ましい。そのために、橋梁の所定位置に観測機器を簡単な作業で短時間に設置できるようにすること、設置した観測機器が長期間安定した姿勢に保たれること、設置した観測機器の撤去も簡単な作業で行えること、などが要請されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上のことから、橋梁に観測機器を設置する具体的な場所として高欄(欄干)が選ばれることが多い。周知のように、橋梁高欄は、橋梁の規模や構造によってさまざまな形態のものが造られている。このような状況下において、さまざまな形態の橋梁高欄に融通自在に適合する便利な台座装置がこれまで開発されていなかったため、建築用などの各種の固定具や締結具などを利用して現場現場で工夫しながら観測機器を高欄に据え付けしているのが現状であり、上述した要請に十分に応えることができていなかった。また、これらの固定具や締結具はねじ機構であるため、高欄を傷つけやすいことも問題であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の観点で創作されたこの発明に係る台座装置は、つぎの事項(1)〜(9)により特定されるものである。
(1)台座装置は、高欄取付部と機器取付部とから構成されること
(2)高欄取付部は、長方形状の堅牢な金属平板からなる本体基板を主体とし、この本体基板の上面中央部分に機器取付部を位置決めするための位置決め枠体が一体的に固設されていること
(3)機器取付部は、本体基板より小さい長方形状の堅牢な金属平板からなる上面板を主体とし、この上面板における2つの短辺側から下方に垂れ下がるように一体化された側面板を備えること
(4)機器取付部は、前記上面板および前記側面板からなる外形形状が前記位置決め枠体に接するように高欄取付部に着脱自在に嵌め込まれ、高欄取付部上に位置決めされて載置されること
(5)機器取付部は、前記上面板の中央に機器連結具を備えており、これにより観測機器の底面を前記上面板の上面に接合した状態で両者を強固に固定することができること
(6)機器取付部は前記上面板に固設された複数個の引き止め型トグルクランプを備え、高欄取付部は前記位置決め枠体に固設された複数のフックを備え、高欄取付部上に機器取付部を位置決め載置した状態で前記引き止め型トグルクランプを前記フックに引っ掛けてクランプすることにより機器取付部を高欄取付部に強固に固定することができること
(7)高欄取付部は、前記本体基板の両端部分の下面にそれぞれ2個の接地パッドを下方突出状態で備え、これら4個の接地パッドが橋梁高欄の上面部分に当接する状態で載置されること
(8)高欄取付部は、橋梁高欄の上面部分に当接する状態で、橋梁高欄に架け回した2本のラチェット式ラッシングベルトにより前記本体基板の両端部分をそれぞれ締め付けることにより橋梁高欄に固縛されること
(9)高欄取付部は、前記本体基板の両端部分の上面側にそれぞれ、前記ラチェット式ラッシングベルトの幅広ベルトを通すための1対のベルト通し金具が所定間隔をおいて固設されており、この1対のベルト通し金具の間隔部分が前記ラチェット式ラッシングベルトのラチェット機体の載置領域となっていること
【発明の効果】
【0006】
高欄取付部は、橋梁高欄の所定個所の上面部分に4個の接地パッドで載置した状態で2本のラチェット式ラッシングベルトにより橋梁高欄に固縛することとしたので、橋梁高欄のさまざまな形態に融通自在に適用することができるし、橋梁高欄を傷つけることもなくなる。また高欄取付部をラチェット式ラッシングベルトによって固縛する作業とは別に、機器取付部を観測機器の所定部位に接合して前記機器連結具により強固に固定する作業を行い、そのうえで、橋梁高欄に固縛された高欄取付部上に機器取付部を位置決め載置して前記引き止め型トグルクランプにより強固に固定することで目的の作業の終了となる。したがって観測機器を橋梁高欄に据え付けることも撤去することもきわめて簡単に行える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】高欄取付部1と機器取付部2の分解状態の斜視図
図2】高欄取付部1と機器取付部2の組み合わせ状態の斜視図
図3】高欄取付部1と機器取付部2の組み合わせ状態の正面図と正断面図
図4】高欄取付部1と機器取付部2の組み合わせ状態の側面図
図5】台座装置を用いて橋梁高欄に観測機器を接地した状態の具体例
【発明を実施するための形態】
【0008】
===高欄取付部1と機器取付部2の基本構成===
図1は台座装置を構成する高欄取付部1と機器取付部2とを分離した状態の斜視図であり、図2は高欄取付部1に機器取付部2を位置決めして載置した状態の斜視図である。図3および図4も高欄取付部1に機器取付部2を組み合わせた状態を示している。
【0009】
図1に示すように、高欄取付部1は、長方形状の堅牢な金属平板からなる本体基板3を主体として構成されている。本体基板3の上面中央部分には、機器取付部2を位置決めするための位置決め枠体4a・4bが一体的に固設されている。
【0010】
機器取付部2は、本体基板3より小さい長方形状の堅牢な金属平板からなる上面板5を主体とし、この上面板5における2つの短辺側から下方に垂れ下がるように一体的に折り曲げ形成された側面板6a・6bを備えている。
【0011】
高欄取付部1の位置決め枠体4aと4bの間隔寸法は、機器取付部2の上面板5の長辺寸法(側面板6aと6bの間隔寸法)とほぼ等しい。また、位置決め枠体4a・4bの長さ寸法(コ字型部分の対向寸法)は上面板5の短辺寸法とほぼ等しい。
【0012】
上記のように構成されていることから図2図4に示すように、機器取付部2は、前記上面板5および前記側面板6a・6bからなる外形形状が前記位置決め枠体4a・4bに接するように高欄取付部1に着脱自在に嵌め込まれ、高欄取付部1上に位置決めされて載置される。
【0013】
===機器取付部2と観測機器の結合構造===
機器取付部2は、前記上面板5の中央に機器連結具7を備えており、これにより観測機器の底面を前記上面板5の上面に接合した状態で両者を強固に固定することができる(図5参照)。この実施例の機器連結具7は、上面板5の中央のねじ穴にねじ込まれるボルトである。
【0014】
図5に示した実使用例においては、観測機器はカメラ20と雲台21である。カメラ20は雲台21に装着され、雲台21の底面が機器取付部2の上面板5の上に接合されて機器連結具(ボルト)7で強固に固定されている。
【0015】
===高欄取付部1と機器取付部2の結合構造===
機器取付部2は、前記上面板5の四隅部分に固設された4個の引き止め型トグルクランプ8を備える。これに対応して、高欄取付部1は、前記位置決め枠体4a・4bに一体的に固設された4個のフック9を備える。
【0016】
高欄取付部1の中央に前述のように機器取付部2を位置決め載置した状態で、機器取付部2の4個の引き止め型トグルクランプ8を4個の前記フック9にそれぞれ引っ掛けてクランプすることにより、機器取付部2を高欄取付部1に強固に固定することができる(図5参照)。
【0017】
===高欄取付部1と橋梁高欄の結合構造===
図3図4に示すように、高欄取付部1は、前記本体基板3の両端部分の下面にそれぞれ2個の接地パッド10を下方突出状態で備え、これら4個の接地パッド10が橋梁高欄の上面部分に当接する状態で載置される(図5参照)。接地パッド10は多少の弾性を有するゴムまたは硬質プラスチック製であり、本体基板3に強固にネジ止めされている。
【0018】
図5に示すように、高欄取付部1は、橋梁高欄の上面部分に4個の接地パッド10により当接する状態で、橋梁高欄に架け回した2本のラチェット式ラッシングベルト11により前記本体基板3の両端部分をそれぞれ締め付けることにより橋梁高欄に固縛される。
【0019】
ラチェット式ラッシングベルト11による高欄取付部1の固縛を簡便に確実に行えるようにするために、高欄取付部1は、前記本体基板3の両端部分の上面側にそれぞれ、前記ラチェット式ラッシングベルト11の幅広ベルトを通すための1対のベルト通し金具12が所定間隔をおいて固設されている。また、この1対のベルト通し金具12と12の間隔部分が前記ラチェット式ラッシングベルトのラチェット機体13を載置して収容する領域となっている。
【0020】
図5に示すように、高欄取付部1の両端部分において、それぞれ、ラッシングベルト11を一方のベルト通し金具12に通すとともに、ラチェット機体13を対向する2個のベルト通し金具12の間隔部分に収容する。そして、一方の金具12を通したベルト11を橋梁高欄に架け回して、そのベルト先端を他方の金具12を通してラチェット機体13に装着する。そしてラチェット機体13のハンドルを繰り返し動かしてラッシングベルト11を引き締める。
【0021】
===まとめ===
以上のようにして、高欄取付部1は、橋梁高欄の上面部分に4個の接地パッド10により当接する状態で、橋梁高欄に架け回した2本のラチェット式ラッシングベルト11により前記本体基板3の両端部分をそれぞれ締め付けることにより橋梁高欄に固縛される。この固縛作業の前あるいは後で、前述したように観測機器(カメラ20と雲台21)を機器連結具(ボルト)7によって機器取付部2に固定し、さらに機器取付部2を4個の引き止め型トグルクランプ8によって高欄取付部1に固定することで、図5に示すような態様で観測機器を橋梁高欄に強固に安定に据え付けすることができる。
【0022】
観測が終わって機材を撤収するには、まず引き止め式トグルクランプ8による結合を解除し、観測機器と機器取付部2を高欄取付部1から取り外し、その後でラチェット式ラッシングベルト11による固縛を解いて高欄取付部1を橋梁高欄から取り外す。
【0023】
以上詳細に説明したように、この発明に係る台座装置を使用することにより、4個の接地パッドと2本のラチェット式ラッシングベルトの作用で、さまざまな形態の橋梁高欄に安定に高欄取付部1を据え付けて強固に固定することができる。また、高欄取付部1を橋梁高欄に据え付けする作業と、観測機器を機器取付部2に結合する作業とを別々に行ってから、機器取付部2を高欄取付部1に引き止め式トグルクランプ8により確実に固定することができるので、きわめて作業性がよい。もちろん機器撤去の作業性も良好である。またベルト固縛式であるので橋梁高欄を傷つける心配もない。
【符号の説明】
【0024】
1…高欄取付部、2…機器取付部、3…本体基板、4a・4b…位置決め枠体、5…上面板、6a・6b…側面板、7…機器連結具、8…引き止め式トグルクランプ、9…フック、10…接地パッド、11…ラチェット式ラッシングベルト、12…ベルト通し金具、13…ラチェット機体、20…カメラ、21…雲台。
図1
図2
図3
図4
図5