(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ランプボディと、このランプボディに対して上下方向および左右方向にエイミング可能に支持された灯具ユニットと、この灯具ユニットを上記エイミングによる回動とは独立して上下方向に回動させるためのレベリングアクチュエータと、を備えた車両用灯具において、
上記灯具ユニットを上下方向にエイミングするためのエイミングスクリュウが、上記ランプボディに対して灯具前後方向に延びる軸線回りに回転可能に支持されており、
上記エイミングスクリュウに、該エイミングスクリュウと螺合するエイミングナットが取り付けられており、
上記レベリングアクチュエータは、上記灯具ユニットに固定支持されたアクチュエータ本体と、このアクチュエータ本体に対して灯具前後方向に移動可能に支持された出力軸部材とを備えており、
上記出力軸部材は、上記アクチュエータ本体から上方向または下方向へ向けて突出するように配置されており、該出力軸部材の先端部において上記エイミングナットに連結されている、ことを特徴とする車両用灯具。
上記エイミングナットに、該エイミングナットを上記ランプボディに対して上下方向に弾性的に押圧するための弾性片が設けられている、ことを特徴とする請求項2記載の車両用灯具。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記「特許文献1」に記載された車両用灯具においては、レベリングアクチュエータの出力軸部材がエイミングスクリュウに対して直列的に配置されているので、レベリングアクチュエータとエイミングスクリュウとを足し合わせた前後長が長くなってしまい、このためレベリングアクチュエータを配置するためのスペースを確保することが容易でない。
【0007】
本願発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、レベリングアクチュエータを備えた車両用灯具において、レベリングアクチュエータを配置するためのスペースを容易に確保することができる車両用灯具を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明は、レベリングアクチュエータの構成に工夫を施すことにより、上記目的達成を図るようにしたものである。
【0009】
すなわち、本願発明に係る車両用灯具は、
ランプボディと、このランプボディに対して上下方向および左右方向にエイミング可能に支持された灯具ユニットと、この灯具ユニットを上記エイミングによる回動とは独立して上下方向に回動させるためのレベリングアクチュエータと、を備えた車両用灯具において、
上記灯具ユニットを上下方向にエイミングするためのエイミングスクリュウが、上記ランプボディに対して灯具前後方向に延びる軸線回りに回転可能に支持されており、
上記エイミングスクリュウに、該エイミングスクリュウと螺合するエイミングナットが取り付けられており、
上記レベリングアクチュエータは、上記灯具ユニットに固定支持されたアクチュエータ本体と、このアクチュエータ本体に対して灯具前後方向に移動可能に支持された出力軸部材とを備えており、
上記出力軸部材は、上記アクチュエータ本体から上方向または下方向へ向けて突出するように配置されており、該出力軸部材の先端部において上記エイミングナットに連結されている、ことを特徴とするものである。
【0010】
上記「エイミングスクリュウ」は、ランプボディに対して灯具前後方向に延びる軸線回りに回転可能に支持されていれば、灯具前後方向に延びる部分のみからなる構成であってもよいし、灯具前後方向に延びる部分に対して灯具前後方向と交差する方向に延びる部分がギヤ等を介して連結された構成であってもよい。
【0011】
上記「出力軸部材」は、アクチュエータ本体から上方向または下方向へ向けて突出するように配置されているが、必ずしも真上や真下の方向へ向けて突出するように配置されていなくてもよく、レベリングならびに上下方向および左右方向のエイミングに支障が生じてしまわない範囲内であれば、真上や真下の方向から傾斜した方向へ向けて突出するように配置されていてもよい。
【0012】
上記「出力軸部材」は、その先端部においてエイミングナットに連結されているが、その具体的な連結構造については特に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0013】
本願発明に係る車両用灯具は、灯具ユニットをエイミングによる回動とは独立して上下方向に回動させるためのレベリングアクチュエータを備えているが、このレベリングアクチュエータの出力軸部材は、その先端部において、灯具ユニットを上下方向にエイミングするためのエイミングスクリュウと螺合するエイミングナットに連結されているので、この出力軸部材をアクチュエータ本体に対して灯具前後方向に移動させることによってレベリングを行うことができる。
【0014】
その際、レベリングアクチュエータの出力軸部材は、灯具ユニットに固定支持されたアクチュエータ本体から上方向または下方向へ向けて突出するように配置されており、従来のようにエイミングスクリュウに対して直列的に配置された構成とはなっていないので、レベリングアクチュエータとエイミングスクリュウとを足し合わせた前後長を短くすることができ、これによりレベリングアクチュエータを配置するためのスペースを確保することが容易に可能となる。
【0015】
このように本願発明によれば、レベリングアクチュエータを備えた車両用灯具において、レベリングアクチュエータを配置するためのスペースを容易に確保することができる。
【0016】
上記構成において、エイミングナットがランプボディに対して灯具前後方向にスライド可能に支持された構成とすれば、灯具ユニットを上下方向にエイミングするためにエイミングスクリュウを回転させたとき、エイミングナットが連れ回りしようとしてレベリングアクチュエータの出力軸部材との連結部分に無理な力が掛かってしまうのを未然に防止することができる。
【0017】
その際、エイミングナットに、該エイミングナットをランプボディに対して上下方向に弾性的に押圧するための弾性片が設けられた構成とすれば、エイミングナットとランプボディとの係合状態を確実に維持した上で、エイミングナットをランプボディに対してスライドさせるようにすることができる。
【0018】
上記「弾性片」は、エイミングナットと一体的に形成されたものであってもよいし、エイミングナットに別部材として取り付けられたものであってもよい。
【0019】
上記構成において、レベリングアクチュエータの出力軸部材がエイミングスクリュウの軸線を含む鉛直面内においてエイミングナットに連結された構成とすれば、灯具ユニットを左右方向にエイミングする際の回動中心軸線を鉛直方向に延びる軸線に設定することが可能となり、これにより左右方向のエイミングを精度良く行うことができる。またこれにより、レベリングアクチュエータの出力軸部材とエイミングナットとの連結部分に無理な力が掛からないようにすることが容易に可能となる。
【0020】
ところで、本願発明のレベリングアクチュエータは、その出力軸部材がアクチュエータ本体から上方向または下方向へ向けて突出しており、その先端部においてエイミングナットに連結されているので、エイミングナットの構成として、出力軸部材の先端部を嵌め込むための凹部が形成された構成とした上で、この凹部の構成として、該凹部に嵌め込まれた出力軸部材の先端部が上下方向に所要量相対変位し得る内周面形状を有する構成とすることが可能となる。
【0021】
そして、このような構成を採用した場合には、レベリングアクチュエータの出力軸部材とエイミングナットとの連結部分に無理な力が掛からないようにした上で、出力軸部材の灯具前後方向の移動を灯具ユニットの上下方向の回動として動力伝達することが可能となり、これによりレベリングおよび上下方向のエイミングが円滑に行われるようにすることができる。また、このような構成を採用することにより、各部材の組付け誤差を吸収することが可能となる。
【0022】
その際、エイミングナットの凹部の内周面形状を、該凹部に嵌め込まれた出力軸部材の先端部が左右方向に所要量相対変位し得る形状とすれば、レベリングや上下方向のエイミングを行う際の灯具ユニットの回動中心軸線が車幅方向に対して前後方向に傾斜した方向に延びているような場合であっても、レベリングアクチュエータの出力軸部材とエイミングナットとの連結部分に無理な力が掛からないようにすることが容易に可能となる。また、このような構成を採用することにより、各部材の組付け誤差を吸収することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を用いて、本願発明の実施の形態について説明する。
【0025】
図1は、本願発明の一実施形態に係る車両用灯具10を示す正面図である。また、
図2は、
図1のII−II線断面図である。
【0026】
これらの図において、Xで示す方向が灯具としての「前方」(車両としても「前方」)であり、Yで示す方向が「前方」と直交する「左方向」(車両としても「左方向」であるが灯具正面視では「右方向」)であり、Zで示す方向が「上方向」である。これら以外の図においても同様である。
【0027】
図1に示すように、本実施形態に係る車両用灯具10は車両の右前端部に配置されるヘッドランプであって、ランプボディ12とその前端開口部に取り付けられた素通し状の透光カバー14とで形成される灯室内に、ロービーム照射用の灯具ユニット20Aと、ハイビーム照射用の灯具ユニット20Bとが車幅方向に並んで収容された構成となっている。
【0028】
上記灯室内には、2つの灯具ユニット20A、20Bの前方近傍において、これらを囲むように形成されたエクステンションパネル16が配置されている。このエクステンションパネル16には、各灯具ユニット20A、20Bに対応する位置に該灯具ユニット20A、20Bからの光照射を許容するための円形開口部16aが形成されている。
【0029】
2つの灯具ユニット20A、20Bは、共通のブラケット40を介してランプボディ12に支持されている。
【0030】
このブラケット40は、ランプボディ12に対して、右上(灯具正面視では左上)に位置するピボット42と左上および右下に位置する2つのエイミングスクリュウ44、46とによって、上下方向および左右方向に回動可能に支持されている。
【0031】
また、このブラケット40には、2つの灯具ユニット20A、20Bを該ブラケット40と共に、上記エイミングによる回動とは独立して上下方向に回動させるためのレベリングアクチュエータ60が固定支持されている。
【0032】
2つの灯具ユニット20A、20Bは、いずれもプロジェクタ型の灯具ユニットとして構成されている。
【0033】
図2に示すように、右側に位置するロービーム照射用の灯具ユニット20Aは、車両前後方向に延びる光軸Axを有する投影レンズ22と、この投影レンズ22の後側焦点Fよりも後方側に配置された発光素子24と、この発光素子24を上方側から覆うように配置され、該発光素子24からの光を投影レンズ22へ向けて反射させるリフレクタ26とを備えた構成となっている。
【0034】
発光素子24およびリフレクタ26は、ベース部材30に支持されており、投影レンズ22は、レンズホルダ28を介してベース部材30に支持されている。
【0035】
このベース部材30には、ロービーム用配光パターンのカットオフラインを形成するために、リフレクタ24からの反射光の一部を上向きに反射させて投影レンズ22に入射させる上向き反射面30aが形成されている。
【0036】
このベース部材30の下面には、複数の放熱フィン30bが形成されており、これによりベース部材30はヒートシンクとして機能するようになっている。
【0037】
そして、灯具ユニット20Aは、このベース部材30においてブラケット40に固定支持されている。
【0038】
一方、灯具ユニット20Bは、ハイビーム照射を行うために、その構成の一部が灯具ユニット20Aと異なっているが、それ以外の構成は灯具ユニット20Aと同様である。
【0039】
ブラケット40は、2つの灯具ユニット20A、20Bの後方側において車幅方向に延びており、その下端部には2つの灯具ユニット20A、20Bを支持するようにして灯具前方へ向けて延びる下壁部40aが形成されている。
【0040】
灯室内の右上に位置するピボット42は、灯具前後方向に延びるように配置されており、その先端部(前端部)42aが球状に形成されている。このピボット42は、その基端部においてランプボディ12に固定支持されている。そして、このピボット42は、その先端部42aにおいて、ブラケット40に装着されたスフェリカルステップベアリング48と全方向回動可能に係合している。
【0041】
灯室内の左上に位置するエイミングスクリュウ44(
図1参照)は、灯具前後方向に延びるように配置されており、その基端部(後端部)においてランプボディ12に回転可能に支持されている。このエイミングスクリュウ44は、その先端近傍部位において、ブラケット40に装着されたエイミングナット50と螺合している。このエイミングナット50は、エイミングスクリュウ44との螺合位置Bを中心にしてブラケット40が前後方向にある程度回動し得る態様でブラケット40に装着されている。
【0042】
灯室内の右下に位置するエイミングスクリュウ46も、灯具前後方向に延びるように配置されており、その基端部(後端部)においてランプボディ12に回転可能に支持されている。このエイミングスクリュウ46の先端近傍部位には、該エイミングスクリュウ46と螺合するエイミングナット52が取り付けられている。このエイミングナット52は、レベリングアクチュエータ60を介してブラケット40に支持されている。
【0043】
図1に示すように、ピボット42の先端部42aとスフェリカルステップベアリング48との係合位置Aは、エイミングスクリュウ44とエイミングナット50との螺合位置Bと同じ高さに位置している。ただし、係合位置Aは螺合位置Bに対して灯具後方側に変位している。一方、エイミングスクリュウ46とエイミングナット52との螺合位置Cは、係合位置Aの真下に位置している。
【0044】
2つの灯具ユニット20A、20Bを上下方向にエイミングする際の回動中心軸線Labは、係合位置Aと螺合位置Bとを結ぶ直線となるので、水平面内において螺合位置Bから係合位置Aへ向けて灯具後方側に傾斜した方向に延びる直線となる。
【0045】
一方、2つの灯具ユニット20A、20Bを左右方向にエイミングする際の回動中心軸線Lacは、係合位置Aとその真下に位置する螺合位置Cおよび連結位置D(これについては後述する)とを結ぶ鉛直方向に延びる直線となっている。
【0046】
図3は、
図2のIII 部詳細図である。また、
図4は、
図3のIV−IV線断面図であり、
図5は、
図3のV−V線断面図である。さらに、
図6は、車両用灯具10の要部を斜め上前方から見て示す斜視図である。
【0047】
これらの図にも示すように、レベリングアクチュエータ60は、ブラケット40の下壁部40aに固定支持されたアクチュエータ本体62と、このアクチュエータ本体62に対して灯具前後方向に移動可能に支持された出力軸部材64とを備えた構成になっている。
【0048】
アクチュエータ本体62の下壁部には、灯具前後方向に延びる長孔62aが形成されている。そして、出力軸部材64は、アクチュエータ本体62の長孔62aから下方向(具体的には真下の方向)へ向けて突出するように配置されている。また、アクチュエータ本体62の左右両側面には、その上端部に孔付きのタブ62bが形成されている。そして、レベリングアクチュエータ60は、各タブ62bにおいてネジ66を締め付けることによりブラケット40の下壁部40aに固定されている。
【0049】
出力軸部材64の先端部64aは、その軸部よりも径の大きい球状に形成されているが、該先端部64aの最先端部分は平面状に形成されている。そして、この出力軸部材64は、その先端部64aにおいてエイミングナット52に連結されている。
【0050】
この出力軸部材64の先端部64aとエイミングナット52との連結は、エイミングスクリュウ46の回転中心となる灯具前後方向に延びる軸線Ax1を含む鉛直面内において行われている。すなわち、出力軸部材64の先端部64aとエイミングナット52との連結位置Dは、螺合位置Cと同一の鉛直面内に位置している。
【0051】
さらに本実施形態においては、連結位置Dが螺合位置Cの真上(すなわち回動中心軸線Lac上)の位置に設定されている。
【0052】
エイミングナット52は、樹脂製の射出成形品として構成されており、ランプボディ12に対して灯具前後方向にスライド可能に支持されている。
【0053】
このエイミングナット52の上部には、出力軸部材64の先端部64aを嵌め込むための凹部52aが形成されている。
【0054】
この凹部52aは、該凹部52aに嵌め込まれた出力軸部材64の先端部64aが上下方向および左右方向にそれぞれ所要量相対変位し得る内周面形状を有している。
【0055】
具体的には、この凹部52aは、出力軸部材64の先端部64aの径よりも僅かに大きい前後幅で平面状に形成された前後1対の鉛直面と、出力軸部材64の先端部64aの径よりもある程度大きい円筒面の一部として形成された左右1対の鉛直面と、出力軸部材64の先端部64aの上下幅よりも多少深い位置に形成された底壁面とを有している。また、この凹部52aにおける前後1対の鉛直面の上端部には、該凹部52aに嵌め込まれた出力軸部材64の先端部64aが該凹部52aから抜け出してしまうのを防止するための突起部52a1が左右方向に所定長にわたって延びるように形成されている。
【0056】
これにより、この凹部52aに先端部64aが嵌め込まれた出力軸部材64は、その灯具前後方向の移動をエイミングナット52に的確に伝達する一方、上下方向に関しては多少の遊びを持たせるとともに左右方向に関しては比較的大きな遊びを持たせるようになっている。
【0057】
エイミングナット52において、エイミングスクリュウ46と螺合するスクリュウ螺合部52bは、凹部52aの真下に位置している。
【0058】
エイミングナット52は、エイミングスクリュウ46を囲むようにして灯具前後方向に延びるドーム部52cを備えている。このドーム部52cの上端部は、凹部52aの下端部およびスクリュウ螺合部52bの上端部から前後両方向へ延びるようにして半円筒状に形成されている。このドーム部52cの前後両端壁部には、エイミングスクリュウ46を挿通させるための開口部52c1がそれぞれ形成されている。また、このドーム部52cの上端部には、スクリュウ螺合部52bの前後両側の、凹部52aに形成された前後1対の突起部52a1の各々の真下に位置する部分に、該突起部52a1よりもひとまわり大きいスリット52c2がそれぞれ形成されている。
【0059】
エイミングナット52は、ドーム部52cの下端部から灯具前方へ延びる前側平板部52dおよび灯具後方へ延びる後側平板部52eを備えている。これら前側平板部52dおよび後側平板部52eは、いずれもドーム部52cよりも広い左右幅で水平面に沿って延びるように形成されている。
【0060】
前側平板部52dには、ドーム部52cよりも狭幅で灯具前後方向に延びる矩形状の開口部52d1が形成されており、この開口部52d1内には、灯具前後方向に延びる矩形状の弾性片52fが配置されている。この弾性片52fは、ドーム部52cの前壁部の下端位置から灯具前方へ向けてやや下向きに延びるようにしてカンチレバー状に形成されている。
【0061】
また、この前側平板部52dには、開口部52d1の左右両側縁に沿ってドーム部52cの前壁部の下端位置から前側平板部52dの前端縁まで延びる左右1対のビード部52d2が形成されており、その前端部には前側平板部52dの前端縁に沿って上方へ向けて延びるフランジ部52d3が形成されている。
【0062】
さらに、この前側平板部52dには、その灯具前後方向の中間位置において、該前側平板部52dの左右両側面から左右両方向へ張り出す左右1対のタブ部52d4が形成されている。
【0063】
一方、後側平板部52eは、前側平板部52dよりも短い前後長で平板状に形成されている。
【0064】
ランプボディ12には、エイミングナット52を灯具前後方向にスライド可能に支持するための左右1対のスライド係合部12cが形成されている。これら左右1対のスライド係合部12cは、ランプボディ12の下面壁12aの上面においてランプボディ12の後面壁12bから前方へ向けて平行に延びるように形成されている。その際、これら左右1対のスライド係合部12cは、互いに向き合うL字形の断面形状で形成されており、エイミングナット52よりもやや長い前後長を有している。
【0065】
図6に示すように、エイミングナット52は、その凹部52aに出力軸部材64の先端部64aが嵌め込まれた状態で、ランプボディ12に対して灯具前方側から図中矢印で示す方向へ向けて組み付けられるようになっている。
【0066】
すなわち、左右1対のスライド係合部12cの間に、エイミングナット52の後側平板部52eを挿入した後、エイミングナット52のスクリュウ螺合部52bをエイミングスクリュウ46の先端部に挿入して該エイミングスクリュウ46と螺合させながら灯具後方側へ移動させ、そして、エイミングナット52の前側平板部52dの左右1対のタブ部52d4を左右1対のスライド係合部12cに係合させた後、さらにエイミングナット52を所定の位置まで灯具後方側へ移動させることにより、ランプボディ12への組付けが行われるようになっている。
【0067】
その際、エイミングナット52のフランジ部52d3を灯具前方側から指で押すことにより、エイミングナット52をランプボディ12の下面壁12aの上面に沿って灯具後方側へ向けて容易に移動させ得るようになっている。またこのとき、弾性片52fを下面壁12aに当接させてこれを弾性変形させることにより、左右1対のタブ部52d4を左右1対のスライド係合部12cに容易に係合させ得るようになっている。
【0068】
図7は、本実施形態に係る車両用灯具10のレベリング機能を説明するための、
図2と同様の図である。
【0069】
同図においては、灯具ユニット20Aがブラケット40と共に、上下方向のエイミング基準位置にある状態から、レベリングアクチュエータ60の駆動によって上下両方向にレベリングされる際の様子を示している。
【0070】
同図において実線で示すように、灯具ユニット20Aが上下方向のエイミング基準位置にありかつレベリングが行われていない状態では、その光軸Axが灯具前後方向に水平に延びている。
【0071】
そして、同図において2点鎖線で示すように、灯具ユニット20Aを上向きにレベリングする際には、レベリングアクチュエータ60の出力軸部材64がアクチュエータ本体62に対して灯具後方側へ相対的に移動する。その際、出力軸部材64の先端部64aは、連結位置Dにおいて上下方向のエイミング基準位置にあるエイミングナット52に連結されたままであるので、実際にはアクチュエータ本体62が灯具前方側へ移動する。これにより、ブラケット40と共に灯具ユニット20Aは、回動中心軸線Labを中心にして上向きに回動し、その光軸Axが斜め上向きに延びた状態となる。
【0072】
一方、同図において破線で示すように、灯具ユニット20Aを下向きにレベリングする際には、レベリングアクチュエータ60の出力軸部材64がアクチュエータ本体62に対して灯具前方側へ相対的に移動するが、実際にはアクチュエータ本体62が灯具後方側へ移動する。これにより、ブラケット40と共に灯具ユニット20Aは、回動中心軸線Labを中心にして下向きに回動し、その光軸Axが斜め下向きに延びた状態となる。
【0073】
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
【0074】
本実施形態に係る車両用灯具10は、灯具ユニット20Aをエイミングによる回動とは独立して上下方向に回動させるためのレベリングアクチュエータ60を備えているが、このレベリングアクチュエータ60の出力軸部材64は、その先端部64aにおいて、灯具ユニット20Aを上下方向にエイミングするためのエイミングスクリュウ46と螺合するエイミングナット52に連結されているので、この出力軸部材64をアクチュエータ本体62に対して灯具前後方向に移動させることによってレベリングを行うことができる。
【0075】
その際、レベリングアクチュエータ60の出力軸部材64は、灯具ユニット20Aに固定支持されたアクチュエータ本体62から下方向へ向けて突出するように配置されており、従来のようにエイミングスクリュウ46に対して直列的に配置された構成とはなっていないので、レベリングアクチュエータ60とエイミングスクリュウ46とを足し合わせた前後長を短くすることができ、これによりレベリングアクチュエータ60を配置するためのスペースを確保することが容易に可能となる。
【0076】
このように本実施形態によれば、レベリングアクチュエータ60を備えた車両用灯具10において、レベリングアクチュエータ60を配置するためのスペースを容易に確保することができる。
【0077】
しかも本実施形態においては、エイミングナット52がランプボディ12に対して灯具前後方向にスライド可能に支持されているので、灯具ユニット20Aを上下方向にエイミングするためにエイミングスクリュウ46を回転させたとき、エイミングナット52が連れ回りしようとしてレベリングアクチュエータ60の出力軸部材64との連結部分に無理な力が掛かってしまうのを未然に防止することができる。
【0078】
その際、エイミングナット52には、該エイミングナット52をランプボディ12に対して下方向へ弾性的に押圧するための弾性片52fが形成されているので、エイミングナット52とランプボディ12との係合状態を確実に維持した上で、エイミングナット52をランプボディ12に対してスライドさせるようにすることができる。
【0079】
また本実施形態においては、レベリングアクチュエータ60の出力軸部材64がエイミングスクリュウ46の軸線Ax1を含む鉛直面内においてエイミングナット52に連結されているので、灯具ユニット20Aを左右方向にエイミングする際の回動中心軸線Lacを鉛直方向に延びる軸線に設定することが可能となり、これにより左右方向のエイミングを精度良く行うことができる。またこれにより、レベリングアクチュエータ60の出力軸部材64とエイミングナット52との連結部分に無理な力が掛からないようにすることが容易に可能となる。
【0080】
本実施形態においては、エイミングナット52に、レベリングアクチュエータ60の出力軸部材64の先端部64aを嵌め込むための凹部52aが形成されているが、この凹部52aは該凹部52aに嵌め込まれた出力軸部材64の先端部64aが上下方向に所要量相対変位し得る内周面形状を有しているので、レベリングアクチュエータ60の出力軸部材64とエイミングナット52との連結部分に無理な力が掛からないようにした上で、出力軸部材64の灯具前後方向の移動を灯具ユニット20Aの上下方向の回動として動力伝達することができる。そしてこれにより、レベリングおよび上下方向のエイミングが円滑に行われるようにすることができ、また各部材の組付け誤差を吸収することが可能となる。
【0081】
しかも、このエイミングナット52の凹部52aは、該凹部52aに嵌め込まれた出力軸部材64の先端部64aが左右方向に所要量相対変位し得る内周面形状を有しているので、レベリングや上下方向のエイミングを行う際の灯具ユニット20Aの回動中心軸線Labが車幅方向に対して前後方向に傾斜した方向に延びているにもかかわらず、レベリングアクチュエータ60の出力軸部材64とエイミングナット52との連結部分に無理な力が掛からないようにすることができ、また、これにより各部材の組付け誤差を吸収することが可能となる。
【0082】
上記実施形態においては、弾性片52fがエイミングナット52と一体的に形成されているものとして説明したが、エイミングナット52に金属製の弾性片が別部材として取り付けられた構成等を採用することも可能である。
【0083】
上記実施形態においては、2つの灯具ユニット20A、20Bがいずれもプロジェクタ型の灯具ユニットであるものとして説明したが、これらの代わりにパラボラ型の灯具ユニット等を採用することも可能である。
【0084】
上記実施形態においては、2つの灯具ユニット20A、20Bがブラケット40を介してランプボディ12に支持されているものとして説明したが、1つまたは3つ以上の灯具ユニットがブラケット40を介してランプボディ12に支持された構成とすることも可能であり、また、灯具ユニットがブラケット40を介することなくランプボディ12に直接支持された構成とすることも可能である。
【0085】
次に、上記実施形態の変形例について説明する。
【0086】
まず、上記実施形態の第1変形例について説明する。
【0087】
図8は、本変形例に係る車両用灯具110の要部を示す、
図5と同様の図である。
【0088】
同図に示すように、この車両用灯具110の基本的な構成は上記実施形態の場合と同様であるが、そのエイミングナット152の構成が上記実施形態の場合と一部異なっている。
【0089】
すなわち、本変形例のエイミングナット152は、その凹部152aから左右両方向へ向けて角状に延びる左右1対のアクチュエータ係合片152gが追加形成されている点で上記実施形態のエイミングナット52と異なっている。
【0090】
各アクチュエータ係合片152gは、凹部152aの外周壁から斜め上方向に延びた後、真上の方向に延びるように形成されている。
【0091】
そして、これら左右1対のアクチュエータ係合片152gは、エイミングナット152の凹部152aにレベリングアクチュエータ60の出力軸部材64の先端部64aが嵌め込まれたときに、レベリングアクチュエータ60のアクチュエータ本体62に対して、その両側壁部と緩く係合するようになっている。
【0092】
なお、エイミングナット152の凹部152aの構成自体は上記実施形態の場合と同様であり、その以外の部分の構成についても上記実施形態の場合と同様である。
【0093】
本変形例の構成を採用することにより、次のような作用効果を得ることができる。
【0094】
すなわち、本変形例のように左右1対のアクチュエータ係合片152gがアクチュエータ本体62と係合する構成とすることにより、エイミングナット152が、その凹部152aに出力軸部材64の先端部64aが嵌め込まれた状態において回動中心軸線Lac回りに不用意に回転してしまうのを未然に防止することができ、これによりエイミングナット152の向きを略一定に維持することができる。
【0095】
そして、ブラケット40をランプボディ12に組み付ける際には、このブラケット40に固定支持されたレベリングアクチュエータ60の出力軸部材64の先端部64aをエイミングナット152の凹部152aに嵌め込んだ後、このエイミングナット152をエイミングスクリュウ46と螺合させる作業が行われることとなるが、その際、エイミングナット152の向きは略一定に維持されているので、そのスクリュウ螺合部152bをエイミングスクリュウ46の先端部と略正対させることができる。したがって、エイミングナット152とエイミングスクリュウ46との螺合作業を容易に行うことができ、これにより組付作業性を高めることができる。
【0096】
次に、上記実施形態の第2変形例について説明する。
【0097】
図9は、本変形例に係る車両用灯具210を示す、
図2と同様の図である。
【0098】
同図に示すように、この車両用灯具210の基本的な構成は上記実施形態の場合と同様であるが、本変形例においては、灯具ユニット20Aをブラケット240と共にエイミングおよびレベリングするための機構が上記実施形態の場合と上下反転した状態で配置されており、これに伴いランプボディ212の構成も上記実施形態の場合と一部異なっている。
【0099】
すなわち本変形例においては、灯具ユニット20Aを上下方向にエイミングする際の回動中心軸線Labが、灯具ユニット20Aの下方側に位置している。
【0100】
また本変形例においても、灯具ユニット20Aを左右方向にエイミングする際の回動中心軸線Lacは鉛直方向に延びる直線であるが、係合位置Aと螺合位置Cおよび連結位置Dとの位置関係が上記実施形態の場合と逆になっている。
【0101】
これに伴い、本変形例においては、灯具ユニット20Aの下方側にピボット42およびスフェリカルステップベアリング48が位置しており、また、灯具ユニット20Aの上方側にエイミングスクリュウ46およびエイミングナット50ならびにレベリングアクチュエータ60が位置している。
【0102】
そして本変形例においては、レベリングアクチュエータ60の出力軸部材64が、アクチュエータ本体62から上方向(具体的には真上の方向)へ向けて突出するように配置された状態でエイミングナット52に連結されている。
【0103】
また本変形例においては、エイミングナット52を灯具前後方向にスライド可能に支持する左右1対のスライド係合部212cは、ランプボディ212の上面壁212dの下面に形成されている。
【0104】
なお、本変形例のブラケット240は、灯具ユニット20Aをエイミングおよびレベリングするための構成が上下反転しているのに伴って、その形状が上記実施形態のブラケット240とは一部異なった形状を有している。
【0105】
本変形例の構成を採用した場合においても、レベリングアクチュエータ60の出力軸部材64は、灯具ユニット20Aに固定支持されたアクチュエータ本体62から上方向へ向けて突出するように配置されており、従来のようにエイミングスクリュウ46に対して直列的に配置された構成とはなっていないので、レベリングアクチュエータ60とエイミングスクリュウ46とを足し合わせた前後長を短くすることができ、これによりレベリングアクチュエータ60を配置するためのスペースを確保することが容易に可能となる。
【0106】
次に、上記実施形態の第3変形例について説明する。
【0107】
図10は、本変形例に係る車両用灯具310を示す、
図2と同様の図である。
【0108】
同図に示すように、この車両用灯具310の基本的な構成は上記第2変形例の場合と同様であるが、エイミングスクリュウ346の構成が上記第2変形例の場合と異なっており、これに伴ってランプボディ312の構成も上記第2変形例の場合と一部異なっている。
【0109】
すなわち、本変形例のエイミングスクリュウ346は、灯具前後方向に延びるスクリュウ本体部346Aと上下方向に延びる駆動用軸部346Bとが1対の傘歯車346Aa、346Baを介して連結された構成となっている。
【0110】
スクリュウ本体部346Aは、上記第2変形例のエイミングスクリュウ46と同様、灯具前後方向に延びる軸線Ax1上に配置されている。このスクリュウ本体部346Aは、上記第2変形例のエイミングスクリュウ46の後部が切断されたような形状を有しており、傘歯車346Aaはその後端部に固定されている。
【0111】
ランプボディ312の上面壁312dには、このスクリュウ本体部346Aを傘歯車346Aaの前方近傍において回転可能に支持する支持具318が設けられている。
【0112】
一方、駆動用軸部346Bは、軸線Ax1と直交するようにして鉛直方向に延びる軸線Ax2上に配置されており、その上端部においてランプボディ312の上面壁312dに回転可能に支持されている。傘歯車346Baは、この駆動用軸部346Bhの下端部に固定された状態で、スクリュウ本体部346Aの傘歯車346Aaと噛合している。
【0113】
そして本変形例においては、エイミングスクリュウ346の駆動用軸部346Bを軸線Ax2回りに回転させることにより、そのスクリュウ本体部346Aを軸線Ax1回りに回転させ、これにより灯具ユニット20Aの上下方向のエイミングを行うようになっている。
【0114】
本変形例の構成を採用した場合においても、上記第2変形例の場合と同様の作用効果を得ることができる。
【0115】
また、本変形例の構成を採用することにより、灯具ユニット20Aの上下方向のエイミングを、車両用灯具310の上方側からの操作によって容易に行うことが可能となる。
【0116】
なお、上記実施形態およびその変形例において諸元として示した数値は一例にすぎず、これらを適宜異なる値に設定してもよいことはもちろんである。
【0117】
また、本願発明は、上記実施形態およびその変形例に記載された構成に限定されるものではなく、これ以外の種々の変更を加えた構成が採用可能である。