(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記大シャッタによって前記保護キャビンの前記通過開口部を閉じた状態において、基端部が前記大シャッタの前記通過切欠部に接続可能に構成され、棒状のワークの一部及び/又は棒状のワークから取り出した製品を覆う遮光ボックスを備えたことを特徴とする請求項1に記載のファイバレーザ加工機。
前記大シャッタに前記通過切欠部を囲むように設けられ、上面に前記小シャッタを進入させるための進入間隙部が形成され、X軸方向の一方側の側面に前記大シャッタの前記通過切欠部に連通可能な接続開口部が形成された箱型の接続ボックスを備え、
前記遮光ボックスの基端側は、前記大シャッタによって前記保護キャビンの前記通過開口部を閉じた状態において、前記接続ボックスの前記接続開口部に接続可能に構成されていることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のファイバレーザ加工機。
【背景技術】
【0002】
従来から、レーザ光の照射によって平板状のワーク(板金)のレーザ加工(平板加工)とパイプ材等の棒状のワークのレーザ加工(棒材加工)を行う併用型のレーザ加工機として炭酸ガスレーザ加工機が広く普及している(特許文献1及び特許文献2等参照)。そして、炭酸ガスレーザ加工機の構成について簡単に説明すると、次の通りである。
【0003】
炭酸ガスレーザ加工機は、ワークのレーザ加工(平板加工と棒材加工)を行うための加工領域と、加工領域のX軸方向の一方側に配置した平板待機領域と、加工領域のX軸方向の他方側に配置した棒待機領域とを有している。また、炭酸ガスレーザ加工機は、加工領域と平板待機領域との間においてX軸方向へ移動可能に設けられかつ平板状のワークを支持する平板パレットと、加工領域と棒待機領域との間においてX軸方向へ移動可能に設けられかつ棒状のワークを保持する棒パレットとを備えている。
【0004】
炭酸ガスレーザ加工機は、棒待機領域の一部をY軸方向に跨ぐように立設された門型フレーム(門型の支持フレーム)を備えており、門型フレームの内側には、棒パレットを進入させるための進入通路(進入空間)が形成されている。また、門型フレームの内側には、炭酸ガス(CO
2)レーザ光を発振する炭酸ガスレーザ発振器が設けられている。更に、特許文献1等には記載されていないが、 炭酸ガスレーザ加工機は、加工領域の全体を覆う保護キャビンを備えている。保護キャビンのX軸方向の他側部は、門型フレームに接続(連結)しており、保護キャビンの内部は、門型フレームの進入通路に連通している。
【0005】
保護キャビンは、X軸方向の一方側に、Y軸方向に沿って立設された側壁を有している。換言すれば、炭酸ガスレーザ加工機は、加工領域と平板待機領域との間にY軸方向に沿って立設された側壁を備えている。側壁には、平板パレットを通過させるための通過開口部(保護キャビンの通過開口部)が形成されている。また、スパッタの平板待機領域側への飛散等を防止するため、側壁には、通過開口部を開閉するシャッタが昇降可能(上下方向へ移動可能)に設けられている。シャッタの下部には、棒状のワークから取り出した製品を通過させるための通過切欠部(通過穴部)が形成されている。
【0006】
なお、本発明に関連する先行技術として特許文献1及び特許文献2の他に、特許文献3から特許文献5に示すものがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、近年、ランニングコストの大幅な削減を図るために、レーザ発振器として、炭酸ガスレーザ発振器に代えて、炭酸ガスレーザ発振器よりも発振効率(レーザ効率)に優れたファイバレーザ発振器を用いることが検討されている。換言すれば、併用型のレーザ加工機として、炭酸ガスレーザ加工機に代えて、ファイバレーザ加工機を用いることが検討されている。
【0009】
一方、炭酸ガスレーザ光の波長が10μm帯であるのに対して、ファイバレーザ発振器から発振されるファイバレーザ光の波長は1μm帯である。そのため、併用型のファイバレーザ加工機を用いた場合に、シャッタによって側壁の通過開口部を閉じた状態において、ファイバレーザ光の反射光がシャッタの通過切欠部から外部(ファイバレーザ加工機の外部)に漏れると、作業者の安全性を阻害することになる。つまり、併用型のファイバレーザ加工機を用いた場合に、作業者の安全性を十分に確保することが困難であるという問題がある。
【0010】
そこで、本発明は、前述の問題を解決することができる、新規な構成のファイバレーザ加工機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の実施形態は、ファイバレーザ光の照射によって平板状のワーク(板金)のレーザ加工(平板加工)と棒状のワークのレーザ加工(棒材加工)を行うファイバレーザ加工機であって、ワークのレーザ加工(平板加工と棒材加工)を行うための加工領域と、前記加工領域のX軸方向の一方側に配置した平板待機領域(第1待機領域)との間においてX軸方向へ移動可能に設けられ、平板状のワークを支持する平板パレット(第1パレット)と、前記加工領域と前記加工領域のX軸方向の他方側に配置した棒待機領域(第2待機領域)との間においてX軸方向へ移動可能に設けられ、棒状のワークを保持する棒パレット(第2パレット)と、前記平板パレットを通過させるための通過開口部が形成され、前記加工領域を覆う保護キャビンと、下部(下側)に棒状のワークから取り出した製品及び/又は棒状のワークの一部を通過させるための通過切欠部が形成され、前記保護キャビンの前記通過開口部を開閉する大シャッタと、前記大シャッタの前記通過切欠部を開閉する小シャッタと、を備えたことである。
【0012】
また、本発明の実施態様は、前記大シャッタによって前記保護キャビンの前記通過開口部を閉じた状態において、基端部(内部)が前記大シャッタの前記通過切欠部に接続可能に構成され、棒状のワークの一部及び/又は棒状のワークから取り出した製品を覆う棒状のワークの一部を覆う遮光ボックス(箱型の遮光カバー)を備えてもよい。
【0013】
本発明の実施態様によると、平板状のワークのレーザ加工及び棒状のワークのレーザ加工中に、ファイバレーザ光の反射光が前記保護キャビン側から外部(前記ファイバレーザ加工機の外部)に漏れることを十分に防止することができる。また、棒状のワークから取り出した製品を前記平板待機領域側から外部へ排出できる共に、棒状のワークのレーザ加工を直ちに再開して、レーザ加工の中断時間の短縮化を図ることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ファイバレーザ加工機の生産性を高めつつ、作業者の安全性を十分に確保することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0017】
なお、本願の明細書及び特許請求の範囲において、「設けられる」とは、直接的に設けられることの他に、別部材を介して間接的に設けられることを含む意である。「立設される」とは、立てた状態(起立した状態)で設けられることである。「棒状のワーク」とは、パイプ材(角パイプ材、丸パイプ材)、形鋼を含む意である。また、「X軸方向」とは、水平方向の1つであり、本発明の実施形態にあっては、左右方向のことである。「Y軸方向」とは、X軸方向に直交する水平方向の1つであり、本発明の実施形態にあっては、前後方向のことである。「及び/又は」とは、2つのうちのいずれか一方と両方を含む意である。更に、図面中に、「FF」は、前方向、「FR」は、後方向、「L」は、左方向、「R」は、右方向、「U」は、上方向、「D」は、下方向をそれぞれ指している。
【0018】
図1から
図4に示すように、本発明の実施形態に係るレーザ加工機10は、1μm帯の波長のファイバレーザ光の照射によって平板状のワーク(板金)Wのレーザ加工(平板加工)とパイプ材等の棒状のワークW’のレーザ加工(棒材加工)を行う併用型のレーザ加工機である。また、ファイバレーザ加工機10は、ワークW,W’のレーザ加工を行うための加工領域PAと、加工領域PAのX軸方向の一方側(左側)に配置した平板待機領域(第1待機領域)FAと、加工領域PAのX軸方向の他方側(右側)に配置した棒待機領域(第2待機領域)BAとを有している。
【0019】
ファイバレーザ加工機10は、加工領域PAと平板待機領域FAとの間においてX軸方向(左右方向)へ移動可能に設けられかつ平板状のワークWを支持する平板パレット(第1パレット)12を備えている。また、平板パレット12は、例えば、特許文献1及び特許文献2に示す公知の構成からなり、スケルトン状の平板パレット本体14と、平板パレット本体14に設けられかつ平板状のワークWを点接触で支持するための複数のスキッド(図示省略)とを有している(
図3参照)。
【0020】
ファイバレーザ加工機10は、加工領域PAと棒待機領域BAとの間においてX軸方向へ移動可能に設けられかつ棒状のワークW’を保持する棒パレット16を備えている。また、棒パレット16は、例えば、特許文献1及び特許文献2に示す公知の構成からなり、スケルトン状の棒パレット本体18を有している。更に、棒パレット16は、棒パレット本体18の右端側(X軸方向の他端側)に回転可能に設けられかつ棒状のワークW’を把持するメインチャック20と、棒パレット本体18におけるメインチャック20の近傍に設けられかつメインチャック20を回転させるチャック用回転モータ(図示省略)とを有している(
図1参照)。
【0021】
棒パレット16は、棒パレット本体18におけるメインチャック20の左側(X軸方向の一方側)にX軸方向へ移動可能かつ回転可能に設けられかつ棒状のワークW’の被加工部の近傍を把持するサポートチャック22を有している。サポートチャック22は、棒状のワークW’の被加工部の近傍を把持した状態で、メインチャック20と一体的に回転する。また、棒パレット16は、棒パレット本体18におけるサポートチャック22の左側にX軸方向へ移動可能かつ回転可能に設けられかつ棒状のワークW’における製品に相当する部分又は製品M(
図4参照)を把持する複数の製品サポートチャック24を有している。各製品サポートチャック24は、棒状のワークW’における製品に相当する部分を把持した状態で、メインチャック20と一体的に回転する(
図1参照)。
【0022】
ファイバレーザ加工機10は、X軸方向に延びたベッド26を備えている。ベッド26の大部分は、加工領域PA(加工領域PAの下側)に位置しており、ベッド26の右端側(X軸方向の他端側)は、棒待機領域BAに位置している。また、ファイバレーザ加工機10は、棒待機領域BAの一部をY軸方向に跨ぐように立設された門型フレーム(門型の支持フレーム)28を備えている。門型フレーム28の内側には、棒パレット16を進入させるための進入通路(進入空間)28pが形成されている。
【0023】
門型フレーム28の左側面(X軸方向の一方側の側面)には、門型フレーム28の進入通路28pの左側(X軸方向の一方側)を開閉するライトシャッタ30が昇降可能(上下方向へ移動可能)に設けられている。また、門型フレーム28の右側面(X軸方向の他方側の側面)には、門型フレーム28の進入通路28pの右側(X軸方向の他方側)を開閉する別のライトシャッタ32が昇降可能に設けられている。これにより、平板状のワークWのレーザ加工中に、ファイバレーザ光の反射光が門型フレーム28の進入通路28pを経由して外部(ファイバレーザ加工機10の外部)に漏れることを防止することができる。
【0024】
ベッド26の上側には、Y軸方向に延びたキャリッジ34がX軸方向へ移動可能に設けられている。ここで、キャリッジ34は、棒パレット16を加工領域PAと棒待機領域BAとの間においてX軸方向へ移動させる時に、棒パレット本体18に一体的に連結するように構成されている。換言すれば、棒パレット16(棒パレット本体18)は、加工領域PAと棒待機領域BAとの間においてキャリッジ34と一体的にX軸方向へ移動することで、棒パレット16を加工領域PAに対して搬入及び搬出することができる。また、キャリッジ34は、棒状のワークW’のレーザ加工(棒材加工)を行う時に、サポートチャック22を一体的にX軸方向へ移動可能に連結するように構成されている(
図1参照)。
【0025】
キャリッジ34には、下方向に向かってファイバレーザ光を照射する加工ヘッド36がY軸方向へ移動可能に設けられている。また、門型フレーム28の上部28aの内側には、ファイバレーザ光を発振するファイバレーザ発振器38が設けられており、ファイバレーザ発振器38は、加工ヘッド36に光学的に接続されている。
【0026】
平板待機領域FA(ベッド26のX軸方向の一方側)には、平板パレット12を待機させるための平板パレット待機機構40が設けられている。平板パレット待機機構40は、平板パレット12をX軸方向へ移動可能に支持する平板ガイドフレーム(第1ガイドフレーム)42を有している。平板ガイドフレーム42は、平板加工用の高さ位置とそれよりも低い棒材加工用の高さ位置との間において昇降可能に構成されている。ここで、平板加工用の高さ位置とは、平板パレット12をX軸方向へ移動させる時及平板状のワークWのレーザ加工(平板加工)を行う時における高さ位置のことである(
図1及び
図3参照)。棒材加工用の高さ位置とは、棒状のワークW’のレーザ加工(棒材加工)を行う時における高さ位置のことである(
図2及び
図4参照)。また、棒待機領域BAにおけるベッド26のX軸方向の他方側(右側)には、棒パレット16をX軸方向へ移動可能に支持する棒ガイドフレーム44が設けられている。
【0027】
棒ガイドフレーム44の内側(棒待機領域BA)には、棒状のワークW’の終端側(X軸方向の他端側)を収容する集塵ダクト46がリフター機構(図示省略)を介して昇降可能(上下方向へ移動可能)に設けられている。集塵ダクト46は、例えば、特許文献1に示す公知の構成からなり、集塵ダクト46の内部は、前記集塵機に接続されている。これにより、棒状のワーク’のレーザ加工中に生じた粉塵を集塵ダクト46を介して集塵すると共に、ファイバレーザ光の反射光が棒状のワークW’(パイプ材等の棒状のワークW’の内部空間を含む)に沿って外部(ファイバレーザ加工機10の外部)に漏れることを防止することができる。
【0028】
ファイバレーザ加工機10は、加工領域PAの全体及び棒待機領域BAのX軸方向の一端側の一部を覆う保護キャビン48を備えている。保護キャビン48の右側部(X軸方向の他側部)は、門型フレーム28に接続(連結)しており、保護キャビン48の内部は、門型フレーム28の進入通路28pに連通可能である。また、保護キャビン48は、その正面側(前側)に、開閉可能な複数の扉50を有しており、図示は省略するが、各扉50の一部は、透明な窓部になっている。
【0029】
図3から
図6に示すように、保護キャビン48は、その左側(X軸方向の一方側)に、Y軸方向に沿って立設された側壁52を有している。換言すれば、ファイバレーザ加工機10は、加工領域PAと平板待機領域FAとの間にY軸方向に沿って立設された側壁52を備えている。また、側壁52には、矩形の凹部52dが形成されており、凹部52dは、Y軸方向(前後方向)に延びている。更に、側壁52の凹部52dの下部には、平板パレット12を通過させるための矩形の通過開口部52aが形成されており、通過開口部52a(保護キャビン48の通過開口部52a)は、Y軸方向(前後方向)に延びている。
【0030】
側壁52の凹部52dには、通過開口部52a(保護キャビン48の通過開口部52a)を開閉するレフト大シャッタ54が昇降可能(上下方向へ移動可能)に設けられている。レフト大シャッタ54は、側壁52の通過開口部52aを覆うことができるように、Y軸方向に延びており、レフト大シャッタ54の下部(下側)には、棒状のワークW’から取り出した製品M及び/又は棒状のワークW’の一部を通過させるための通過切欠部54nが形成されている。また、側壁52の凹部52dにおける通過開口部52aの前後両側(Y軸方向の両側)には、レフト大シャッタ54を昇降させるレフト大シャッタ用の昇降アクチュエータとして昇降シリンダ56が設けられている。各昇降シリンダ56は、側壁52の凹部52dに設けられたシリンダ本体58と、シリンダ本体58に上下方向へ伸縮可能(移動可能)に設けられかつ先端部(上端部)がレフト大シャッタ54に連結された作動ロッド60とを有している。なお、レフト大シャッタ用の昇降アクチュエータとして昇降シリンダ56を用いる代わりに、昇降モータ(図示省略)を用いてもよい。
【0031】
側壁52におけるレフト大シャッタ54の通過切欠部54nに対応する位置には、シャッタガイド62が設けられている。シャッタガイド62には、レフト大シャッタ54によって側壁52の通過開口部52aを閉じた状態において、レフト大シャッタ54の通過切欠部54nを開閉するレフト小シャッタ64が昇降可能に設けられている。また、シャッタガイド62の上部には、レフト小シャッタ64を昇降させるレフト小シャッタ用の昇降アクチュエータとして別の昇降シリンダ66が設けられている。各別の昇降シリンダ66は、シャッタガイド62の上部に設けられたシリンダ本体68と、シリンダ本体68に上下方向へ伸縮可能(移動可能)に設けられかつ先端部(下端部)がレフト小シャッタ64に連結された作動ロッド70とを有している。なお、レフト小シャッタ用の昇降アクチュエータとして別の昇降シリンダ66を用いる代わりに、別の昇降モータ(図示省略)を用いてもよい。
【0032】
なお、側壁52だけでなく、門型フレーム28、ライトシャッタ30、別のライトシャッタ32、レフト大シャッタ54、シャッタガイド62、及びレフト小シャッタ64は、それぞれ、保護キャビン48の一部を構成すると捉えてもよい。
【0033】
レフト大シャッタ54の下部には、箱型の接続ボックス72が通過切欠部54nを囲むように設けられている。また、接続ボックス72の上面には、レフト小シャッタ64を進入させるための進入間隙部72gが形成されている。接続ボックス72の左側面(X軸方向の一方側の側面)には、レフト大シャッタ54の通過切欠部54nに連通可能(接続可能)な接続開口部(接続切欠部)72aが形成されており、接続ボックス72の下側は、開放(開口)されている。
【0034】
側壁52における通過開口部52aの下側には、レフト大シャッタ54によって側壁52の通過開口部52aを閉じた状態において、接続ボックス72を受ける(支持する)ボックス受け台74が設けられている。これにより、レフト大シャッタ54の通過切欠部54nを通過したファイバレーザの反射光が外部(ファイバレーザ加工機10の外部)に漏れることを十分に防止することができる。
【0035】
図7及び
図8に示すように、平板パレット12(平板パレット本体14)の内側には、製品M及び棒状のワークW’の一部を支持する複数(本発明の実施形態にあっては、例えば3つ)の補助サポート台(補助受け台)76が係脱可能(着脱可能)かつX軸方向に間隔を置いて設けられている。また、複数の補助サポート台76は、製品M及び棒状のワークW’の一部を覆う遮光ボックス(箱型の遮光カバー)78が係脱可能に支持する。換言すれば、平板パレット12の内側には、遮光ボックス78が複数の補助サポート台76を介して係脱可能に設けられている。
【0036】
遮光ボックス78は、複数の補助サポート台76の上側を開閉する蓋部材80を有しており、蓋部材80の一部は、透明な窓部80aになっている。遮光ボックス78の基端側(右端側)は、開放(開口)されている。遮光ボックス78の先端側(左端側)は、閉鎖されている。また、遮光ボックス78の基端側は、レフト大シャッタ54によって側壁52の通過開口部52aを閉じた状態において、接続ボックス72の接続開口部72aを介してレフト大シャッタ54の通過切欠部54nに接続可能に構成されている。これにより、レフト大シャッタ54の通過切欠部54n及び接続ボックス72の接続開口部72a通過したファイバレーザの反射光が外部に漏れることを十分に防止することができる。
【0037】
前述のファイバレーザ加工機10の構成に基づいて、本発明の実施形態の作用及び効果について説明する。
【0038】
平板パレット12を平板待機領域FAに位置させかつ棒パレット16の大部分を加工領域PAに位置させた状態で、平板状のワークWのレーザ加工(平板加工)を行う場合には、次のような動作を実行する。
【0039】
ライトシャッタ30によって門型フレーム28の進入通路28pの左側を開くと共に、別のライトシャッタ32によって門型フレーム28の進入通路28pの右側を開く。そして、キャリッジ34を棒パレット本体18に一体的に連結させた状態で、キャリッジ用の移動モータ(図示省略)の駆動により棒パレット16をキャリッジ34と一体的に右方向(X軸方向他方側)へ移動させて、加工領域PAから搬出して棒待機領域BAに待機させる。また、一対の昇降シリンダ56の駆動によりレフト大シャッタ54を上昇(上方向へ移動)させて、レフト大シャッタ54によって側壁52の通過開口部52aを開く。併せて、別の昇降シリンダ66の駆動によりレフト小シャッタ64を上昇させる。
【0040】
続いて、平板パレット用の移動モータ(図示省略)の駆動により平板パレット12を右方向(X軸方向の一方側)へ移動させて、加工領域PAに搬入する。そして、一対の昇降シリンダ56の駆動によりレフト大シャッタ54を下降(下方向へ移動)させて、レフト大シャッタ54によって側壁52の通過開口部52aを閉じる。併せて、別の昇降シリンダ66の駆動によりレフト小シャッタ64を下降させて、レフト小シャッタ64によってレフト大シャッタ54の通過切欠部54nを閉じる。また、ライトシャッタ30によって門型フレーム28の進入通路28pの左側を閉じると共に、別のライトシャッタ32によって門型フレーム28の進入通路28pの右側を閉じる。すると、保護キャビン48、ライトシャッタ30、別のライトシャッタ32、レフト大シャッタ54、及びレフト小シャッタ64によって、加工領域PAの上部を含めた全体を密閉した状態(遮光状態)にすることができる。
【0041】
その後、キャリッジ用の移動モータ駆動により加工ヘッド36をキャリッジ34と一体的にX軸方向へ移動させる。また(或いは)、加工ヘッド用の移動モータ(図示省略)の駆動により加工ヘッド36をY軸方向へ移動させる。すると、平板パレット12に支持された平板状のワークWに対して加工ヘッド36をX軸方向及び/又はY軸方向に位置決めすることができる。そして、加工ヘッド36を平板状のワークWに対してX軸方向及び/又はY軸方向に位置決めしながら、加工ヘッド36から平板状のワークWに向かってファイバレーザ光を照射する。これにより、平板状のワークWのレーザ加工(平板加工)を行うことができる。
【0042】
ここで、前述のように、平板状のワークWのレーザ加工中に、レフト大シャッタ54によって側壁52の通過開口部52aを閉じると共に、レフト小シャッタ64によってレフト大シャッタ54の通過切欠部54nを閉じている。また、ライトシャッタ30によって門型フレーム28の進入通路28pの左側を閉じると共に、別のライトシャッタ32によって門型フレーム28の進入通路28pの右側を閉じている。そのため、棒状のワークW’のレーザ加工中に、ファイバレーザ光の反射光が側壁52側及び門型フレーム28の進入通路28p側から外部(ファイバレーザ加工機10の外部)に漏れることを十分に防止することができる。
【0043】
棒パレット16を棒待機領域BAに位置させかつ平板パレット12を加工領域PAに位置させた状態で、棒状のワークW’のレーザ加工(棒材加工)及び製品Mの搬出を行う場合には、次のような動作を実行する。
【0044】
一対の昇降シリンダ56の駆動によりレフト大シャッタ54を上昇(上方向へ移動)させて、レフト大シャッタ54によって側壁52の通過開口部52aを開く。併せて、別の昇降シリンダ66の駆動によりレフト小シャッタ64を上昇させる。また、平板パレット用の移動モータの駆動により平板パレット12を左方向(X軸方向の一方側)へ移動させて、加工領域PAから搬出して平板待機領域FAに待機させる。そして、平板パレット12の内側に複数の補助サポート台76をX軸方向に間隔を置いて装着(セット)する。
【0045】
続いて、ライトシャッタ30によって門型フレーム28の進入通路28pの左側を開くと共に、別のライトシャッタ32によって門型フレーム28の進入通路28pの右側を開く。そして、キャリッジ34を棒パレット本体18に一体的に連結させた状態で、キャリッジ用の移動モータの駆動により棒パレット16をキャリッジ34と一体的に左方向(X軸方向の一方側)へ移動させて、棒待機領域BAから加工領域PAに搬入する。このとき、棒パレット16の一部である右端側(X軸方向の他端側)は、棒待機領域BAに位置している。更に、一対の昇降シリンダ56の駆動によりレフト大シャッタ54を下降させて、レフト大シャッタ54によって側壁52の通過開口部52aを閉じる。併せて、別の昇降シリンダ66の駆動によりレフト小シャッタ64を下降させて、レフト小シャッタ64によってレフト大シャッタ54の通過切欠部54nを閉じる。すると、保護キャビン48、レフト大シャッタ54、レフト小シャッタ64、棒パレット16に設けられた遮蔽部材(図示省略)、及び門型フレーム28に設けられた他の遮光部材(図示省略)によって、加工領域PAの上部を含めた全体を略密閉した状態(遮光状態)にすることができる。
【0046】
その後、キャリッジ34をサポートチャック22に回転可能に連結させた状態で、キャリッジ用の移動モータ駆動により加工ヘッド36及びサポートチャック22をキャリッジ34と一体的にX軸方向へ移動させる。また、加工ヘッド用の移動モータ(図示省略)の駆動により加工ヘッド36をY軸方向へ移動させる。すると、棒パレット16に保持された棒状のワークW’に対して加工ヘッド36をX軸方向及び/又はY軸方向に位置決めすることができる。更に、回転モータの駆動によりメインチャック20及びサポートチャック22を回転させて、棒状のワークW’を回転させる。そして、加工ヘッド36を棒状のワークW’に対してX軸方向及び/又はY軸方向に位置決めしかつ適宜に棒状のワークW’を回転させなら、加工ヘッド36から棒状のワークW’に向かってファイバレーザ光を照射する。これにより、棒状のワークW’のレーザ加工(棒材加工)を行って、棒状のワークW’から製品Mを取り出すことができる。
【0047】
ここで、前述のように、棒状のワークW’のレーザ加工中に、レフト大シャッタ54によって側壁52の通過開口部52aを閉じると共に、レフト小シャッタ64によってレフト大シャッタの前記通過切欠部を閉じている。そのため、棒状のワークW’のレーザ加工中に、ファイバレーザ光の反射光が側壁52側から外部に漏れることを十分に防止することができる。なお、棒状のワークW’のレーザ加工中に、棒パレット16及び門型フレーム28にそれぞれ設けられた遮蔽部材等によって、ファイバレーザの反射光が門型フレーム28の進入通路28p側から外部に漏れることを防止している。
【0048】
棒状のワークW’から製品Mを取り出した後に、棒状のワークW’のレーザ加工を一旦中断する。次に、レフト大シャッタ54によって側壁52の通過開口部52aを閉じた状態で、一対の別の昇降シリンダ66の駆動によりレフト小シャッタ64を上昇させて、レフト小シャッタ64によってレフト大シャッタ54の通過切欠部54nを開く。また、複数の扉50を開いて、加工領域PAの正面側を開放する。そして、製品Mを加工領域PAからレフト大シャッタ54の通過切欠部54n及び接続ボックス72を経由して複数の補助サポート台76(平板待機領域FA)へ送り出す。更に、一対の別の昇降シリンダ66の駆動によりレフト小シャッタ64を下降させて、レフト小シャッタ64によってレフト大シャッタ54の通過切欠部54nを閉じる。これにより、棒状のワークW’から取り出した製品Mを平板待機領域FA側から外部(ファイバレーザ加工機10の外部)へ排出できると共に、棒状のワークW’のレーザ加工を直ちに再開して、レーザ加工の中断時間の短縮化を図ることができる。
【0049】
なお、
図8に示すように、レフト大シャッタ54によって側壁52の通過開口部52aを閉じた状態で、レフト小シャッタ64によってレフト大シャッタ54の通過切欠部54nを開きかつ遮光ボックス78の基端側をレフト大シャッタ54の通過切欠部54nに接続ボックス72を介して接続してもよい。この場合には、加工領域PAのX軸方向の寸法(長さ)を超える長尺棒状(長尺の棒状)のワークTW’(
図2参照)の先端側(始端側)の一部を遮光ボックス78内に進入(挿入)させることにより、長尺棒状のワークTW’(W’)の終端側を加工領域PAに位置させることができる(
図2参照)。このとき、ファイバレーザ光の反射光がレフト大シャッタ54の通過切欠部54nから漏れても、遮光ボックス78によって外部に漏れることを十分に防止することができる。
【0050】
以上の如き、本発明の実施形態によれば、前述のように、棒状のワークW’から製品Mを取り出した後におけるレーザ加工の中断時間の短縮化を図りつつ、ファイバレーザ光の反射光が側壁52側から外部に漏れることを十分に防止することができる。よって、本発明の実施形態によれば、ファイバレーザ加工機10の生産性を高めつつ、作業者の安全性を十分に確保することができる。
【0051】
なお、本発明は、前述の実施形態の説明に限られるものではなく、種々の変更を行うことにより、その他、種々の態様で実施可能である。そして、本発明に包含される権利範囲は、前述の実施形態に限定されないものである。