(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6920314
(24)【登録日】2021年7月28日
(45)【発行日】2021年8月18日
(54)【発明の名称】架橋性ポリエチレン化合物を製造するための装置および方法
(51)【国際特許分類】
C08J 3/20 20060101AFI20210805BHJP
B29B 7/32 20060101ALI20210805BHJP
B29B 7/38 20060101ALI20210805BHJP
B29B 7/82 20060101ALI20210805BHJP
B29B 7/88 20060101ALI20210805BHJP
【FI】
C08J3/20CES
B29B7/32
B29B7/38
B29B7/82
B29B7/88
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-537529(P2018-537529)
(86)(22)【出願日】2017年1月11日
(65)【公表番号】特表2019-504167(P2019-504167A)
(43)【公表日】2019年2月14日
(86)【国際出願番号】IB2017050117
(87)【国際公開番号】WO2017122122
(87)【国際公開日】20170720
【審査請求日】2020年1月6日
(31)【優先権主張番号】16151519.2
(32)【優先日】2016年1月15日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】507040264
【氏名又は名称】ブス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100133503
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 一哉
(72)【発明者】
【氏名】ラベ, ドゥニ
【審査官】
松田 成正
(56)【参考文献】
【文献】
実公平07−021297(JP,Y2)
【文献】
特表2011−502062(JP,A)
【文献】
特表2017−511400(JP,A)
【文献】
特表2009−534222(JP,A)
【文献】
特表平02−503657(JP,A)
【文献】
特表2011−527649(JP,A)
【文献】
特表2015−503047(JP,A)
【文献】
中国特許出願公開第1640938(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29B 7/00− 7/94
B29C 48/00−48/96
C08J 3/00− 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料が受け入れられるエントリポイントから始まる生産経路を画定し、第1の溶融機(101)、溶融物ポンプ(102)および濾過ユニット(103)を含む、架橋性ポリエチレン化合物を製造するための装置(100)であって、
前記エントリポイントから始まり、かつ前記生産経路に沿って進む方向に、前記濾過ユニット(103)の後に配置された冷却器(104)、前記冷却器(104)の後に配置されたミキサー(106)および前記第1の溶融機(101)と、前記冷却器(104)と、前記ミキサー(106)と、および/または前記冷却器(104)および前記ミキサー(106)を互いに接続する接続手段と接続された添加剤投入ユニット(105)、あるいは前記濾過ユニット(103)の後に配置された第2の溶融機(111)および前記第2の溶融機(111)に接続された添加剤投入ユニット(105)、あるいは前記濾過ユニット(103)の後に配置された押出後添加剤投入ユニット(112)および前記押出後添加剤投入ユニット(112)に接続された添加剤投入ユニット(105)のいずれかを含むことを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記エントリポイントから始まり、かつ前記生産経路に沿って進む方向に、前記濾過ユニット(103)の後に配置された第2の溶融機(111)および前記第2の溶融機(111)に接続された添加剤投入ユニット(105)を含むこと、ならびに水中ペレット化ユニット(108)および乾燥ユニット(109)が、前記濾過ユニット(103)および前記第2の溶融機(111)の間に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記エントリポイントから始まり、かつ前記生産経路に沿って進む方向に、前記濾過ユニットの後に配置された冷却器(104)、前記冷却器の後に配置されたミキサー(106)および前記第1の溶融機と、前記冷却器と、前記ミキサーと、および/または前記冷却器および前記ミキサーを互いに接続する接続手段と接続された添加剤投入ユニット(105)を含むこと、ならびに前記第1の溶融機(101)の前および/または後に配置された少なくとも1つのペレット選別ユニット(107)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記第1の溶融機(101)の前に配置された開袋ユニットを含むことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記エントリポイントから始まり、かつ前記生産経路に沿って進む方向に、前記濾過ユニットの後に配置された冷却器(104)、前記冷却器(104)の後に配置されたミキサー(106)および前記第1の溶融機(101)と、前記冷却器(104)と、前記ミキサー(106)と、および/または前記冷却器(104)および前記ミキサー(106)を互いに接続する接続手段と接続された添加剤投入ユニット(105)を含むこと、ならびに前記ミキサー(106)の直後に配置された水中ペレット化ユニット(108)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
・その出力が溶融物ポンプ(102)の入力に接続される第1の溶融機(101)を使用するステップ;
・その入力が前記溶融物ポンプ(102)の出力に接続される濾過ユニット(103)を使用するステップ;
を含み、
・その入力が前記濾過ユニット(103)の出力に接続される冷却器(104)、その入力が前記冷却器(104)の出力に接続されるミキサー(106)、およびその出力が、前記溶融機(101)と、前記冷却器(104)と、前記ミキサー(106)と、かつ/または前記冷却器および前記ミキサーを互いに接続する接続手段と接続される添加剤投入ユニット(105)のいずれかを使用するステップ;あるいは
・前記濾過ユニット(103)、またはその入力が前記濾過ユニット(103)の出力に接続される水中ペレット化ユニットの出力にその入力が接続される乾燥ユニット(109)のいずれかにその入力が接続される第2の溶融機(111)を使用するステップ
をさらに含むことを特徴とする、架橋性ポリエチレン化合物を製造するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマー化合物を製造するための装置の技術分野に関する。本発明は特に、架橋性ポリエチレン化合物を製造するための装置および架橋性ポリエチレン化合物を製造するための方法を対象とする。
【背景技術】
【0002】
架橋性ポリエチレン(XLPE)は、電力ケーブル、特に中電圧、高電圧および超高電圧電力ケーブルの絶縁部品を製造するために使用される。電力ケーブルは通常、地中に数十年間埋設されるため、絶縁部品は、長期間にわたって一定の化学的および機械的特性を示さなければならない。それらの要求特性のうちの1つである熱老化安定性は、最適な絶縁特性および電気的特性の経時的な持続性と関係があり、最も重要である。
【0003】
文書米国特許第2009110833号明細書には、架橋性ポリマー化合物の製造のための装置の一例が記載されている。欧州特許第2918388号明細書には、プラスチック材料をリサイクルするための装置の別の例が記載されている。
【0004】
そのような要求特性の実現を可能にし得る架橋性ポリエチレンを生産するためには、特に中電圧、高電圧または超高電圧電力ケーブルの絶縁部品の製造に使用されることを可能にする技術的および法的基準に従う高品質な架橋性ポリエチレンを生産するためには、原料(例えば低密度ポリエチレン(LDPE))、添加剤および過酸化物を混合するプロセスを実施することが必要である。
【0005】
通常、このプロセスは、60年代に始まった成熟した技術である、いわゆる従来の中−高−超高電圧−架橋性ポリエチレン化合物生産ラインを利用することによって実施される。そのような生産ラインは常に、実現されるプロセスが要求する製造環境を確保するために、高レベルの清浄度が維持されなければならないかなり大規模なプラントを必要とする。この高レベルの清浄度は、汚染物質の存在を回避する技術が提供されるいわゆる「クリーンルーム」の使用、ならびに必要とされる高い清浄度レベルを絶えず監視および維持するいくつかの技術の提供を意味する。
【0006】
実施されるプロセスに関して、最先端の生産ラインまたは装置は、中電圧、高電圧または超高電圧電力ケーブルの絶縁部品の製造に使用されることを可能にする技術的および法的基準に従う架橋性ポリエチレンを生産するために設計されるとき、プロセスのある段階で取り込まれなければならない過酸化物は必要なコンパウンド温度に耐えられないため、その後、いわゆるソーキングプロセスの間に取り込まれなければならないという原則を具体化する。
【0007】
この原則は、従来の生産プラント、特に中電圧、高電圧または超高電圧電力ケーブルの絶縁部品の製造に使用されることを可能にする技術的および法的基準に従う架橋性ポリエチレンを生産するために設計された生産プラントが常に、加熱、冷却および滞留時間のシーケンスが制御されたバッチ式過酸化物ソーキングプロセスに基づくことを意味する。このソーキングプロセスは常に、高さが通常約50mの密閉されたソーキングタワー内で実施され、タワー内で実施される一連の操作が重力に依存するため、そのような高い高さが必要である。
【0008】
したがって、高品質な架橋性ポリエチレンを製造するための最先端の装置は、特定のプロセスに依存して、少なくとも1つの非常に高いソーキングタワーを常に備えていなければならないため、第1の不利な点がある。しかし、世界の地域によっては、そのような高いタワーを建てる建設許可を得ることが必ずしも容易であるとは限らない。さらに、明らかに、比較的高い高さのタワーの建設が固く禁じられている世界の地域もいくつか存在する。
【0009】
コストに関して、高品質な架橋性化合物を製造するための最先端の装置は、土地、コンパウンドユニット一式、ソーキングユニットおよび関連する建物を含め、1500万〜2000万USドルの間の範囲の価格で非常に高価なため、第2の不利な点がある。これらの数字もまた、完全なユニットを建てる国に固有である。明らかに、そのような大きな設備投資は、ソーキングタワーを建てるコストに大きく影響される。
【0010】
ソーキングタワーおよび関連コストの必要に加えて、従来の生産ラインにはまた、過酸化物の不均一な分散、高い外部汚染のリスク、多くのクリーンルームおよび関連する担当者を有する必要、高レベルの清浄度を維持する困難などの他の不利な点、ならびに明らかに比較的大きなカーボンフットプリントにつながるエネルギー消費に関する別の不利な点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第2009110833号明細書
【特許文献2】欧州特許第2918388号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、当技術分野において既知の欠点がない架橋性ポリエチレン化合物を製造するための新規の装置を提供する。
【0013】
特に、本発明は、架橋性ポリエチレン、特に、中電圧、高電圧または超高電圧電力ケーブルの絶縁部品の製造に使用されることを可能にする法的および技術的要件をその品質が満たす架橋性ポリエチレンを製造するための装置を提供することを意図しており、この装置は、いかなるソーキングタワーも必要としない。
【0014】
本発明は、建設が安価である、高品質な架橋性ポリエチレンを製造するための装置も提供する。
【0015】
これらの目標は、請求項1に記載の装置および請求項7に記載の方法によって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0016】
特定の順番で配置された特定の構成要素を利用することによって、本発明による装置は、特に、中電圧、高電圧または超高電圧電力ケーブルの絶縁部品の製造に使用されることを可能にする法的および技術的要件をその品質が満たす架橋性ポリエチレンを製造するために使用されなければならないとき、いかなるソーキングタワーも必要としない。実際、特定の順番で配置された特定の構成要素の存在は、分解反応を開始することなく化合物への過酸化物の取り込みを可能にするさらに低いレベルまで、中電圧、高電圧および超高電圧電力ケーブルの絶縁部品の製造に使用され得る架橋性ポリエチレンの生産に必要な非常に精密な濾過レベルを可能にするように、溶融機において設定されなければならない高レベルの温度からのポリマー化合物温度の低下を可能にする。
【0017】
別の利点は、従属項に記載の特定の実施形態によってもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本発明の目的および利点は、以下の図面と併せて理解されるべきであるいくつかの実施形態の以下の詳細な説明を読むことによって当業者により実現される。
【
図1】本発明の第1の実施形態による装置を示す図である。
【
図2】本発明の第2の実施形態による装置を示す図である。
【
図3】本発明の第3の実施形態による装置を示す図である。
【
図4】本発明の第4の実施形態による装置を示す図である。
【
図5】本発明の第5の実施形態による装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図から分かるように、本発明による架橋性ポリエチレン化合物を製造するための装置100は、原料が受け入れられる装置のエントリポイントから始まる生産経路を画定する。装置によって出力される最終生成物に応じて、原料は、低密度ポリエチレン(LDPE)、極低密度ポリエチレン(VLDPE)、エチレンプロピレンゴム(EPR)、エチレン酢酸ビニル(EVA)、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM M−クラス)ゴムまたは他のコポリマー(EVA、EEA、EMA、EBA)あるいは1つもしくは複数の酸化防止剤またはその組成物で事前に安定化された前述のポリマーおよびコポリマーのいずれかであり得る。前述のポリマーおよびコポリマーのそれぞれはニートであり得る。それらは単独で、あるいは他のポリマーまたはコポリマーと組み合わせて使用され得る。原料は、装置の同じ位置で製造され得、1つもしくは複数の中間バッファまたはサイロを経由して、反応器領域に接続されたパイプを通じて装置に送られ得、あるいは原料は、通常、25kg袋のパレットにより送られ得る。通常、原料は好ましくは、ペレットの形態で、またはさらに粉末状で装置に送られる。
【0020】
生産経路に沿って、本発明による装置100は、特定の順番で配置された、いくつかの構成要素を含む。生産経路に沿ったすべての構成要素は、パイプ、チューブなどの接続手段またはポリマー化合物生産プラントの技術分野において周知のその他の任意の同等の接続手段によって互いに接続される。
【0021】
図1に示す本発明の第1の実施形態によれば、装置は、原料を受け入れ、溶融し、かつ混合する溶融機101を含む。溶融機101は、溶融状態のポリマーおよび添加剤を加熱、混合および/またはブレンドすることによってポリマー配合物の調製を可能にする。これらのポリマーおよび添加剤は、通常はロスインウェイトフィーダまたは容量フィーダまたはさらにサイドフィーダとも呼ばれるフィーダによって、固定の設定点で自動的に投入される。溶融機101は、存在する場合、添加剤の分布および分散、ならびに溶融化合物の剪断速度および温度が最適である均一な溶融化合物を出力することが意図される。
【0022】
溶融機101は、事前に設定された温度でポリマー化合物を加熱するよう製作され、特別な配合物が必要な場合はいつでも異なるポリマーの混合または添加剤(例えば酸化防止剤もしくは導電性カーボンブラック)のポリマー化合物への添加を可能にするいくつかの入口を備えている。例えば、耐水トリー性化合物またはDC(直流)化合物または半導体化合物は、いくつかのポリマーおよび/または固体成分もしくは液体成分の添加を必要とし得る。0〜50%の間の濃度の添加剤が配合物に添加されるべきであり、窒素雰囲気は必要ない。
【0023】
溶融機101は、密閉式混合機、二軸スクリュー共回転押出機、二軸スクリュー逆回転押出機、連続ミキサー、コニーダーまたはポリマー化合物生産の技術分野において既知のその他の任意のタイプの溶融機であり得る。
【0024】
任意選択で、開袋ユニット(図示せず。その役割は、溶融機101に供給する原料の袋を開けて排出することである。)が溶融機101の前に配置される。
【0025】
化合物は、溶融機101を通過すると、溶融物ポンプ102によって圧送され、濾過ユニット103内に圧入される。装置によって与えられる所望の生成物が、中電圧、高電圧または超高電圧電力ケーブルの絶縁部品の製造に使用されることを可能にする法的および技術的要件をその品質が満たす架橋性ポリエチレンであるとき、溶融機101において設定される溶融温度は濾過レベルに依存するが、一般に約200℃である。これは、過酸化物の分解温度をはるかに上回る。当業者は知っているように、そのような高温ではプロセスのこの段階で過酸化物を取り込むことができないため、過酸化物は以下で説明する通り、プロセスの間のさらに後で取り込まれなければならない。
【0026】
溶融物ポンプ102の入力は、溶融機101の出力に直接接続される。溶融物ポンプは圧力を上昇させ、濾過ユニット103へ一定体積で出力する。溶融物ポンプ102のギヤは、溶融機101によって吸込側から充填され、溶融物ポンプ102は、一定体積の溶融物を濾過ユニット103へ排出する。このプロセスは連続的である。
【0027】
濾過ユニット103は、溶融物ポンプ102から出てくる化合物を濾過する。好ましくは、濾過ユニットの入力は、溶融物ポンプの出力に直接接続される。
【0028】
好ましくは、濾過ユニット103は35メッシュ〜500メッシュで確実に濾過し、これは、25μm〜500μmの間のサイズで確実に濾過する。濾過ユニット103は、中電圧または超高電圧のいずれかに関係する絶縁製品の要求品質に応じて、さらに広い範囲で濾過し得る。したがって、濾過範囲は約10ミクロン〜最大約500ミクロンの範囲であり得る。
【0029】
好ましくは、濾過ユニット103は、連続プレート、回転スクリーンチェンジャー、スライド・プレート・スクリーン・チェンジャーなどのスクリーンチェンジャー技術、あるいはサイズが10μm〜500μm、好ましくは25μm〜500μmの範囲の粒子ならびにゲルとして既知の高ポリエチレン分子量を止められる織布または不織布濾材を有する任意のキャンドルフィルターを含む。
【0030】
先行技術の装置とは対照的に、化合物は、濾過ユニット103を通過すると、冷却器104に入る。冷却器104の役割は、過酸化物の切断反応を開始することなく化合物への過酸化物の取り込みを可能にするレベルまで化合物の温度を低下させることである。冷却器104は単なる、当技術分野において周知のいくつかの溶融物冷却器のうちの1つである。冷却器の原理は、溶融物が、ピンまたは歯の密な配列内を単一流で流れる一方、冷却媒体が、ピンまたは歯ならびにマントルジャケットの内部を流れるようなものである。これは、熱交換面積を大きくし、比較的短い長さで効果的な冷却を可能にする。
【0031】
さらに、冷却器104はミキサー106に接続される。好ましくは、冷却器104の出力は、ミキサー106の入力に直接接続される。あるいは、冷却器の出力は、パイプまたはチューブなどの別の接続手段を介してミキサーの入力に接続される。ミキサー106(スタティックミキサーまたは溶融物ブレンダーあるいは上述の任意の機械のいずれか)は、ポリマー溶融物を半径方向に均一にすることがその役割である4つから6つの混合要素を含む。これが、溶融物の混合度を確実に高め、高品質な最終生成物につながる。
【0032】
ミキサー106にはいかなる可動部品もなく、すなわち、モーションレスまたはスタティックミキサーである。これは、低エネルギー消費を可能にし、メンテナンスフリーであり、漏れに関するリスクを伴わない。さらに、ポリマー化合物の予測可能な均一化を可能にし、比較的安価であるため、投資回収がより速くなる。
【0033】
装置100はさらに、冷却器104に、ミキサー106に、かつ/あるいは冷却器104およびミキサー106を互いに接続するパイプまたはチューブなどの接続手段に接続される添加剤投入ユニット105を含む。あるいは、中電圧ケーブル用のXLPEが生産されなければならないとき、添加剤投入ユニット105は、溶融機101に直接接続され得るか、または段落0021に記載のフィーダの使用であり得る(図示せず)。
【0034】
添加剤投入ユニット105の役割は、過酸化物および/または酸化防止剤ならびに水トリー抑制配合物またはDC配合物または半導電配合物において使用される任意の液体/溶融固体を液状のポリマー化合物に取り込むことを可能にすることである。過酸化物は、過酸化物のプリミックスとして添加され得る。酸化防止剤は、あらかじめ調製され得る酸化防止剤パッケージとして添加され得る。濾過ユニット103から出てくる溶融物が、過酸化物に適合する温度(約120℃)まで冷却器104によって冷却されると、好ましくは液状の酸化防止剤および過酸化物の両方が、例えば定量ポンプによって溶融物に下方注入され得る。約105℃〜約140℃の間に含まれる温度が過酸化物分解に関して許容され、したがって本プロセスと適合する。事前に安定化されたポリマーが使用される場合、または遊離酸化防止剤が、固形状か液状かを問わず、溶融機101内に直接添加された場合、その段階で別の酸化防止剤を添加する必要はない。そのような場合、窒素雰囲気も必要ない。
【0035】
本発明の第2の実施形態による装置を
図2に示す。
【0036】
装置は、第1の実施形態による装置と同様の構成要素を共有するが、溶融機101の前に配置されたペレット選別ユニット107をさらに含む。代替的または累積的に、生産ラインの下流にも、ミキサー106の後のある段階で、好ましくは、最終生成物を包装する包装ユニットに最終生成物(例えばXLPEペレット)が運ばれる直前に別のペレット選別ユニット(図示せず)が配置され得る。
【0037】
本実施形態において、原料は、したがって、装置によって使用される原料を清浄にすることがその役割であるペレット選別ユニット107によってまず受け入れられる。ペレット選別ユニット107は、60μmより大きい汚染物質を含むペレットが溶融機101に導入される前にすべて廃棄されるように設定され得る。この目標を達成するため、ペレット選別ユニット107は、汚染物質を含むペレットを検出するために、1台または複数台のCCDカメラ、1台または複数台のビデオカメラ、X線、紫外線または赤外線検出手段を含み、望ましくないペレットを除去するために、一連の空気ノズルを含む。
【0038】
図3に示す本発明の第3の実施形態によれば、装置は、第2の実施形態による装置と同様の構成要素を共有するが、水中ペレット化ユニット108、乾燥ユニット109および包装ユニット110をさらに含む。
【0039】
水中ペレット化ユニット108には、ミキサー106から来てダイプレートに押し通された溶融化合物が送られる。化合物がダイプレートから出てくるとき、ペレットは切断チャンバ内で回転刃によって切断され、切断チャンバ内のダイ面を流れる水中で固化される。
【0040】
次いで、ペレットは乾燥ユニット109(例えば遠心乾燥機)に運ばれ、ここで乾燥したペレットを出力するように残留水が除去される。
【0041】
さらに、包装ユニット110は、生成物、すなわち、乾燥ユニット109から出てくるペレットを、例えばバンボックスまたはオクタビンの中に包装するよう適合される。包装ユニット内にダストが入るのを防ぐために、オクタビンは、包装ユニット110の外で組み立てられ得る。オクタビンはエアロックを通じて包装ユニット110に入り、ペレットはオクタビン内に排出される。箱はさらにバーコードが付けられ、識別され、ブレンドナンバーが与えられ、自動ラッピングステーションへと運ばれた後、倉庫に入れられる。
【0042】
本発明の第4の実施形態による装置を
図4に示す。
【0043】
第4の実施形態による装置は、第1の実施形態による装置と同様の構成要素を共有するが、冷却器104およびミキサー106が第2の溶融機111に置き換わっている。第2の溶融機111は、第1の溶融機101と同等であるが、約190℃の温度レベルで動作する代わりに、その入力に近い190℃から、その出力に近い130℃までの温度勾配で動作する。濾過ユニット103から出てくる化合物は、第2の溶融機111に直接送られる。
【0044】
さらに、装置は、第2の溶融機111に、好ましくはその端部近くで接続される添加剤投入ユニット105を含む。溶融機はかなり長いため、化合物の温度は第2の溶融機111の長さを通じて低下し、これは、過酸化物の取り込みを可能にする。
【0045】
好ましくは、ペレット選別ユニット107がさらに第1の溶融機101の前に配置される。あるいは、本発明の第4の実施形態による装置は、いかなるペレット選別ユニットも含まない。
【0046】
図5に示す第5の実施形態によれば、装置は、第4の実施形態による装置と同様の構成要素を共有するが、水中ペレット化ユニット108が濾過ユニット103の直後に配置される。水中ペレット化ユニットの出力はさらに乾燥ユニット109に接続され、第2の溶融機111が乾燥ユニット109の直後に配置される。
【0047】
図6に示す第6の実施形態によれば、
図1、
図2または
図3の配置と同様の配置が構成され、ここで、冷却器104およびミキサー106はいずれも押出後添加剤
投入ユニット(PEAD)112などの単一のユニットに置き換わっている。そのようなユニットは、添加剤投入ユニット105またはその他の任意の手段によって添加剤を導入し、得られた生成物を混合しながら、温度の管理を可能にする。
【0048】
本発明のすべての実施形態において、第1の溶融機101、溶融物ポンプ102、濾過ユニット103、およびペレット選別ユニット107は、異なる順番で配置され得る。代わりに、または加えて、ペレット選別ユニット107、第1の溶融機101、溶融物ポンプ102および濾過ユニット103のいずれかを省略し得る。これは特に溶融物ポンプ102の場合であり得る。代わりに、または加えて、ペレット選別ユニット107、第1の溶融機101、溶融物ポンプ102および濾過ユニット103のうちの2つが組み合わせられ得る。すべての実施形態において、第1の溶融機101は押出機に置き換えられ得る。
【0049】
本発明の装置および方法は、半導体添加剤を含む、または含まない絶縁材料の製造に適用可能である。
【0050】
本発明のすべての実施形態は、いかなるソーキングタワーも使用することなく、高品質な架橋性ポリエチレン、特に、中電圧、高電圧または超高電圧電力ケーブルの絶縁部品の製造に使用されることを可能にする法的および技術的要件をその品質が満たす架橋性ポリエチレンの生産を可能にする。
【実施例1】
【0051】
以下の通り、本発明の方法に従って製造された架橋性ポリエチレンについて過酸化物/酸化防止剤の分散を評価し、市販の架橋性ポリエチレンサンプルの過酸化物の分散と比べた。
低密度ポリエチレン(LDPE)を
図1の配置に従って生産した。酸化防止剤および過酸化物を注入前に予備混合し、添加剤投入ユニット105を通じて液状で添加した。溶融したLDPE化合物の温度は115℃から120℃の間に含まれていた。得られたペレットを50〜100個回収し、500μm厚の専用フレーム内で115℃でフィルムにプレス成形し、速やかに冷却した。分析するペレットの集団をフーリエ変換赤外分光光度計(FTIR)でスキャンした。添加剤の正味の吸光度を、2つの波長550cm
−1および580cm
−1において決定した。2019cm
−1におけるポリエチレンのバンドの正味の吸光度を測定することにより、各スキャンにおいてフィルム厚さを決定した。添加剤の吸光度は以下の式を使用して決定した:
Y=正味の吸光度((550cm
−1+580cm
−1)/2)/正味の吸光度(2019cm
−1)
以下のパラメータが考慮される:
n:サンプルサイズまたは集団
X:点推定値、例えば、サンプル平均
信頼水準(最も一般には95%)
選ばれた信頼度は、スチューデントの表に従って得られる信頼水準係数を与える。
「Stdv」:サンプリングのばらつきまたは点推定値の標準誤差。
以下の式は母平均の95%信頼区間を与え、次のように表される:
X±(Stdv
)*)スチューデント(95%,n−1)(/sqr(n)
本発明に従って生産されたサンプルNo.1、従来のソーキングシステムを使用して生産された第1の市販化合物に対応するサンプルNo.2、および従来のソーキングシステムを使用して生産された第2の市販化合物に対応するサンプルNo.3に関連する結果を以下の表1にまとめた。
【表1】
したがって、本発明に従って生産された化合物における添加剤の分布は、従来のソーキングプロセスと比べてはるかに狭い。