(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記少なくとも1つの絶縁導体は、前記電気ケーブルの同じ第1端部のところにある前記少なくとも1つの絶縁導体の第1端部と、前記電気ケーブルの反対側にある同じ第2端部のところにある前記少なくとも1つの絶縁導体の反対側にある第2端部との間において、前記電気ケーブルの長さ方向に沿って延在している、請求項1に記載の電気ケーブル。
前記電気ケーブルの上方に配置された上方部分、及びこの上方部分から前記回路基板に向けて延出されかつ前記回路基板に取り付けられた少なくとも1つの側方部分を有するフレームと、
前記フレームの前記上方部分と前記電気ケーブルとの間に配置された少なくとも1つの特徴部材と、を更に含み、
前記少なくとも1つの特徴部材は、前記対応するコンタクトパッドと向かい合う前記電気ケーブルに対して圧力を印加することによって、各絶縁導体の前記内部導体の前記露出部分を、前記回路基板の前記対応するコンタクトパッドに取り付けるよう構成されている、請求項9に記載の電気ケーブルアセンブリ。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下の説明では、本明細書の一部を構成し、様々な実施形態が実例として示される、添付図面が参照される。図面は、必ずしも一定の比率の縮尺ではない。本開示の範囲又は趣旨から逸脱することなく、他の実施形態が想定され、実施され得ることを理解されたい。したがって、以下の発明を実施するための形態は、限定的な意味で解釈されないものとする。
【0008】
回路基板は、多くの場合、複数の平行な絶縁導体を含む電気ケーブルを使用して、他の電気的構成部材に対して電気的に接続される。従来的には、電気ケーブルは、この電気ケーブルの端部の箇所で被覆が剥離され、この電気ケーブル内の導体が、回路基板上の半田パッドに取り付けられている。電気ケーブルがシールドされている場合には、この被覆剥離によって、導体の端部全体からシールド及び絶縁体が除去される。本明細書においては、導体の端部全体の被覆を剥離すると、終端領域付近でのクロストークの増大を引き起こすと共にインピーダンス不整合を引き起こし、これにより、信号伝送性能を劣化させ、反射減衰量がより大きくなってしまったり、バンド幅又はデータ転送速度がより小さくなってしまったりすることが分かっている。また、そのようなクロストーク及びインピーダンス不整合は、電気ケーブル内に絶縁体及びシールドが含まれている場合には、その絶縁体及びシールドを、電気ケーブルの片側において少なくとも部分的に無傷のままで残すことによって、実質的に低減できることも分かっている。これは、例えば、電気ケーブルの端部の片側からシールド及び絶縁体を除去するためにカミソリ刃を使用することによって達成することができる。カミソリ刃を使用することにより、電気ケーブルを浅い角度で切り込むことができ、これにより、導体を切り込むことなくシールド及び絶縁体を切り開くことができる。絶縁体の下部を無傷のままにすることにより、回路基板への接続形成を支援することができる。なぜなら絶縁体は、接続を形成するために、所望のピッチでの複数の導体の配列を維持するからである。
【0009】
図1は、電気ケーブル1000を示す概略的な側断面図である。この電気ケーブル1000は、電気ケーブル1000の長さ方向(
図1のx−y−z座標系を参照すれば、x方向)に沿って延在している実質的に平行な複数の絶縁導体100を含んでいる。各絶縁導体100は、絶縁層300によって被覆された導電性の内部導体200を含んでいる。電気ケーブル1000の互いに反対側を向いた主たる上面1200及び主たる底面1300は、電気ケーブル1000を平らに置くことにより規定される。複数の絶縁導体100のうちの少なくとも1つの絶縁導体201に関し、この少なくとも1つの絶縁導体201の内部導体200のより長い第1部分210が、電気ケーブルの上面1200上において露出されており、この少なくとも1つの絶縁導体201の内部導体200のより短い第2部分220が、電気ケーブルの底面1300上において露出されている。より長い第1部分210は、より短い第2部分220と、少なくとも部分的に重なっている。内部導体200は、内部導体200の露出されたより長い第1部分210の箇所において、導電性の整合導体500と整合するよう構成されている。
【0010】
図示の実施形態においては、電気ケーブル1000は、導電性シールド400を更に含んでいる。いくつかの実施形態においては、導電性シールド400は、各絶縁導体100と実質的に同一の広がりを有していると共に、各絶縁導体100を取り囲んでいる。いくつかの実施形態においては、各絶縁導体100の周縁の少なくとも70%が、導電性シールド400によって被覆されている。
【0011】
より長い第1部分210は長さL1を有しており、この長さL1は、例えば、少なくとも0.5mm、あるいは少なくとも1mm、あるいは、0.5mm〜30mmの範囲の長さとすることができる。より短い第2部分220は長さL2を有しており、この長さL2は、例えば、0.5mmよりも短いものとすることができる。いくつかの実施形態においては、より長い第1部分210は、より短い第2部分220と完全に重なっている。いくつかの実施形態においては、より短い第2部分220が設けられず、長さL2はゼロである。第1部分210及び第2部分220は、カミソリ刃を使用して露出させることができ、これにより、内部導体200から、絶縁層300と、例えば導電性シールド400のような他の層とを剥離することができる。
【0012】
少なくとも1つの絶縁導体201は、この少なくとも1つの絶縁導体201の両端部(第1端部230と第2端部240)の間に、電気ケーブルの長さ方向(x方向)に沿って延在している。
図1に示す実施形態においては、露出されたより長い第1部分210は、両端をなす第1端部230と第2端部240との間に位置している。他の実施形態においては、少なくとも1つの絶縁導体201の露出されたより長い第1部分210は、第1端部230又は第2端部240のうちの一方を含んでいる(例えば、
図4Aを参照されたい)。いくつかの実施形態においては、少なくとも1つの絶縁導体201は、電気ケーブル1000の第1端部1100の箇所に位置した少なくとも1つの絶縁導体201の同じ第1端部230と、電気ケーブル1000の反対側の第2端部1400の箇所に位置した少なくとも1つの絶縁導体201の反対側の同じ第2端部240との間で、電気ケーブルの長さ方向(x方向)に延在している。いくつかの実施形態においては、少なくとも1つの絶縁導体201の露出されたより長い第1部分210は、この少なくとも1つの絶縁導体201の第1端部230を含んでいる(例えば、
図4Aを参照されたい)。
【0013】
電気ケーブル1000は、導電性シールド400と絶縁層300との間に層114を含んでおり、更に、導電性シールド400に隣接して、絶縁導体100とは反対側に、電気絶縁性ジャケット112を含んでいる。層114は、1つ又は複数のサブ層を含んでもよく、絶縁性基材及び接着剤層の一方又は双方とすることができ、あるいは絶縁性基材及び接着剤層の一方又は双方を含むことができる。電気絶縁性ジャケット112も、また、1つ又は複数のサブ層を含むことができ、絶縁性基材及び接着剤層の一方又は双方とすることができる、あるいは絶縁性基材及び接着剤層の一方又は双方を含むことができる。いくつかの実施形態においては、電気絶縁性ジャケット112は、導電性シールド400の周囲において長さ方向に巻回されている。いくつかの実施形態においては、電気絶縁性ジャケット112は、導電性シールド400のすべてを、あるいは導電性シールド400の実質的にすべてを被覆している。いくつかの実施形態においては、導電性シールド400は、2つのシールドフィルムを含み、これら2つのシールドフィルムの一方は、第1側面1200に隣接して配置されており、2つのシールドフィルムの他方は、第2側面1300に隣接して配置されている。2つのシールドフィルムは、シールドフィルムのエッジに沿って取り付けることができる。いくつかの実施形態においては、導電性シールド400は、1つ又は複数の絶縁導体100を部分的に取り囲んでいるか、あるいは完全に取り囲んでいる複数の個別部分を含んでいる。
【0014】
図2は、電気ケーブル101を示す概略的な断面図であって、この電気ケーブル101は、複数の互いに実質的に平行な絶縁導体181を含んでいると共に、導電性シールド490を含んでいる。複数の絶縁導体181の各絶縁導体は、内部導体202と、周縁333を有する絶縁層303とを含んでいる。いくつかの実施形態においては、導電性シールド490は、複数の絶縁導体181の周縁333の少なくとも大部分を取り囲んでいる。例えば、いくつかの実施形態においては、各絶縁導体の周縁333の少なくとも70%、又は少なくとも80%、又は少なくとも90%が、導電性シールド490によって被覆されている。図示の実施形態においては、間隔497のために、周縁333のすべてが導電性シールド490によって被覆されているわけではない。この間隔が低減するにつれて、周縁333のより多くの部分が、導電性シールド490によって被覆されることとなる。いくつかの実施形態においては、電気ケーブル101は、導電性シールド490を実質的に被覆する絶縁性ジャケットを更に含んでおり、この絶縁性ジャケットは、導電性シールド490の形状に適合しても、又は適合しなくてもよい。いくつかの実施形態においては、絶縁性ジャケットは、導電性シールド490上へと押し出される。いくつかの実施形態においては、導電性シールド490は、2つの絶縁性基材の間に積層され、外側の絶縁性基材が、電気ケーブル101のための絶縁性ジャケットとなる。
【0015】
図3は、電気ケーブル171を示す概略的な断面図であり、この電気ケーブル171は、複数の互いに実質的に平行な絶縁導体881を含んでいると共に、3つの個別部分を含む導電性シールド493を含んでいる。複数の絶縁導体881の各絶縁導体は、内部導体282と、周縁377を有する絶縁層331とを含んでいる。図示の実施形態においては、導電性シールド493は、各絶縁導体を取り囲んでおり、各絶縁導体の周縁377の全体が、導電性シールド493によって被覆されている。電気ケーブル171は、導電性シールド493を取り囲んでいる絶縁性ジャケット653を含んでいる。
【0016】
図4Aは、電気ケーブル2000を示す概略的な側断面図である。この電気ケーブル2000は、電気ケーブル2000の長さ方向(
図4Aのx−y−z座標系を参照すれば、x方向)に沿って延在している複数の実質的に平行な絶縁導体600を含んでいる。
図4Bは、電気ケーブル2000の絶縁導体600を示す平面図である。各絶縁導体600は、導電性の内部導体700を含んでおり、この内部導体は絶縁層800と同一の広がりを有すると共に絶縁層800によって被覆されている。いくつかの実施形態においては、電気ケーブル2000は、導電性シールド900を含んでおり、この導電性シールドは各絶縁導体600と実質的に同一の広がりを有すると共に各絶縁導体600を取り囲んでいる。いくつかの実施形態においては、各絶縁導体600の周縁の少なくとも70%が、実質的に同一の広がりを有する導電性シールド900によって被覆されている。電気ケーブル2000の互いに反対側を向いた主たる上面2100及び主たる面2200が、電気ケーブル2000を平らに置くことにより規定される。各絶縁導体600に関し、絶縁層800の一部と電気伝導性シールド900の一部とが、電気ケーブルの上面2100から除去され、絶縁導体600の内部導体700の一部610が露出されている。これは、平面視において(
図4Bを参照されたい)、内部導体700の露出部分610の横方向の平均幅W1が内部導体700の横方向の平均幅Wよりも小さくなるように行われる。導電性シールド900及び絶縁層800の部分を除去するに際して例えばカミソリ刃のような刃を使用することにより、横方向の平均幅W1を、横方向の平均幅Wよりも小さなものとすることができる。
【0017】
露出部分610は、電気ケーブル2000の上面2100上において長さ630を有している。絶縁導体600の、長さ633を有するより短い部分を、電気ケーブル2000の底面2200上において、任意に露出させることができる。長さ633は、例えば、0.5mmよりも短いものとすることができ、又は、ゼロとすることができる。内部導体700の露出部分610は、電気ケーブル2000の第1端部2300上において、内部導体700の同じ第1端部620を含んでいる。絶縁導体600は、内部導体700の露出部分610の箇所において、導電性の整合導体500に対して整合するよう構成されている。
【0018】
図示の実施形態においては、電気ケーブル2000は、導電性シールド900と絶縁層800との間に、接着剤層及び/又は絶縁性基材とし得る層940又は接着剤層及び/又は絶縁性基材を含み得る層940を含んでおり、更に、導電性シールド900に隣接して、絶縁導体600とは反対側に、電気絶縁性ジャケット960を含んでいる。
【0019】
図5は、電気ケーブルアセンブリ5000を示す概略的な側断面図である。この電気ケーブルアセンブリ5000は、
図4Aの電気ケーブル2000と、主面3200上に複数のコンタクトパッド3100を有する回路基板3000とを含んでいる。各絶縁導体600の内部導体700の露出部分610は、取付領域3400の箇所において、回路基板3000の対応するコンタクトパッド3100に取り付けられている。導電性シールド900が除去されていない部分3500は、取付領域3400を少なくとも部分的に保護している。コンタクトパッド3100は、内部導体700の露出部分610と整合するよう構成された導電性の整合導体である。内部導体700の露出部分610は、取付領域3400に、半田付け、導電性の接着剤層、PARICONテクノロジーズコーポレーション(米国マサチューセッツ州Taunton所在)から入手可能なPARIPOSER相互接続織物、及び、例えばゼロインサーションフォース(ZIF)技術又はロウインサーションフォース(LIF)技術のような機械的クランプのうちの1つ又は複数のものを使用して、取り付けることができる。適切な導電性接着剤層には、例えば3M社(米国ミネソタ州Paul所在)から入手可能なものといったような異方性の導電性フィルム接着剤があり、また、熱硬化性の導電性接着シートがある。熱硬化性の導電性接着シートは、接着剤層と、加圧及び/又は加熱による接着時に被着材に対して物理的にかつ電気的に接触し得るように接着剤層を貫通し得るよう構成された少なくとも1つの導電性部分と、を有している。このような熱硬化性の導電性接着シートは、及び、関連する接着方法は、PCT特許国際公開第02/20686号(Kawate氏他)及びPCT特許国際公開第2006/017037号(Kawate氏他)に記載されている。これら文献の記載内容は、本明細書と矛盾しない限りにおいて、参考のためここに組み込まれる。
【0020】
図6は、回路基板3000に相当し得る回路基板5300を示す概略的な平面図である。この回路基板5300は、この回路基板5300の主面6200上に配置された複数のコンタクトパッド5100を含んでいる。各コンタクトパッド5100は、取付領域7300を含んでいる。
【0021】
図7は、電気ケーブルアセンブリ9000を概略的に示す断面図である。この電気ケーブルアセンブリ9000は、本明細書で説明するいずれかの電気ケーブルにも相当し得る電気ケーブル9800と、複数のコンタクトパッド9500を有する回路基板9100とを含んでいる。電気ケーブルアセンブリ9000は、フレーム9200を含んでおり、このフレーム9200は、電気ケーブル9800の上方に配置されかつ複数のコンタクトパッド9500の上方に配置された上方部分9250と、この上方部分9250から延出されていると共に回路基板9100に対して取り付けられた少なくとも1つの側方部分9260と、を有している。電気ケーブルアセンブリ9000は、電気ケーブルアセンブリ5000に相当し得るものであって、更に、電気ケーブル9800を回路基板9100に対して取り付けるために使用されるフレーム9200が追加されている。電気ケーブル9800は、複数の絶縁導体9310を含んでおり、これら複数の絶縁導体9310の各々は、内部導体9320と、絶縁層9330と、内部導体9320の露出部分9333と、を有している。電気ケーブル9800は、導電性シールド9600と、この導電性シールド9600に対して電気的に接触していると共に絶縁層を含んでいない複数の接地導体9420と、を更に含んでいる。電気ケーブルアセンブリ9000は、少なくとも1つの特徴部材9700を更に含んでおり、少なくとも1つの特徴部材9700は、対応するコンタクトパッドとは反対側において電気ケーブル9800に対して圧力を印加することによって、各絶縁導体9310の内部導体9320の露出部分9333を、回路基板9100の複数のコンタクトパッド9500のうちの対応するコンタクトパッドに対して取り付け得るように構成されている。いくつかの実施形態においては、少なくとも1つの特徴部材9700は、少なくとも1つのソフトな特徴部材を含んでいる。図示の実施形態においては、単一の連続した特徴部材9700が図示されている。他の実施形態においては、特徴部材9700は、複数の特徴部材である。例えば、各特徴部材が電気ケーブル9800内の内部導体にそれぞれ対応するようにして、複数の個別の特徴部材を使用することができる。少なくとも1つの特徴部材9700は、例えば弾性体や発泡体又はフレーム9200よりも硬度の小さな材料等のソフトな材料とすることができる。あるいは、そのようなソフトな材料を含むことができる。いくつかの実施形態においては、少なくとも1つの特徴部材はソフトではなく、電気ケーブル9800が、ソフトな層(例えば、絶縁層9330、あるいは、絶縁性ジャケット)を含んでいる。
【0022】
いくつかの実施形態においては、本明細書における電気ケーブルの複数の絶縁導体(例えば、絶縁導体100、181、881、あるいは600)内の内部導体(例えば、内部導体200、202、282あるいは700)は、1つ又は複数の接地導体を含むことができ、導電性シールドを、1つ又は複数の接地導体に対して接続することができる。シールドは、例えば、超音波溶接(例えば、40kHzの超音波溶接)によって接地導体に対して接続することができる。このような接続は、例えば2015年5月1日付けで出願された”CONNECTOR ASSEMBLY”と題する米国特許出願第62/155599号に記載されているように、電気ケーブルのうちの、係合導体の近傍に位置した一端又は両端の近傍において、利用することができる。これは、導電性シールドが低周波数での改良された電磁干渉(EMI)遮蔽を提供するために行うことができ、これにより、シングルエンド信号伝送用途において電気ケーブルの性能を改良することができる。
【0023】
複数の絶縁導体の内部導体を被覆している絶縁層(例えば、絶縁層300、301、331、800)は、例えば、押出によって内部導体の周囲に形成することができる。いくつかの場合においては、絶縁性ジャケットを、絶縁層上へと押し出すことができる。絶縁層及び/又は絶縁性ジャケットのための適切な材料には、例えば、熱可塑性エラストマー(TPE)といったような押出可能な熱可塑性プラスチック、ポリエチレン(PE)及びポリプロピレンといったようなポリオレフィン(PO)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)及びフッ素化エチレンポロピレン(FEP)がある。絶縁層のために選択された材料は、約3.0よりも小さな又は約2.5よりも小さな誘電率を有することができ、50パーセントという最小の延びを有することができる。
【0024】
本明細書における電気ケーブルの導電性シールド(例えば、導電性シールド400、490、493、900)は、絶縁層に対して頑丈に結合させることができ、これにより、電気ケーブルは、所望の電気的特性(例えば、所定のインピーダンス(例えば、差動信号伝送に関して85〜100オーム、あるいは、シングルエンド信号伝送に関して50オーム)、及び、小さな減衰(例えば、3GHzにおいて−3dB/m未満、あるいは、3GHzにおいて−6dB/m未満))を提供することができ、曲げや折曲げや様々な温度や湿度も含めた典型的な使用条件の広範な範囲において頑丈である。電気ケーブルは、差動信号伝送、シングルエンド信号伝送、差動駆動型シングルエンド信号伝送、及び電力伝送の中の1つ又は複数のものに関して使用することができる。
【0025】
導電性シールドは、電気ケーブルの導体に対して電磁遮蔽を提供し得る任意のタイプのフィルムとすることができる。適切なシールドフィルムは、当該技術分野において公知である(例えば、米国特許第9,064,612号明細書(Gundel氏)を参照されたい。この文献の記載内容は、本明細書と矛盾しない限りにおいて、参考のためここに組み込まれる)。シールドは、例えば、金属化されたフィルム、金属箔、編み込みされた銅(あるいは他の金属)又は展伸された銅(あるいは他の金属)を含むことができる。シールドは、基材に対して積層された又は2つの基材の間に積層された金属箔(例えば、アルミニウム箔)を含むことができる。適切な基材には、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)のようなポリマー基材がある。いくつかの実施形態においては、金属製シールド層と絶縁導体の絶縁層との間における基材の厚さ及び材質の選択(これは、誘電定数を決定する)、及び/又は、金属製シールド層と絶縁層との間における接着剤の厚さ及び材質の選択は、所望のインピーダンスを提供するように選択することができる。電気ケーブルは、任意の有用なインピーダンスを有することができる。例えば、インピーダンスは、40〜110オーム、あるいは50〜105オーム、あるいは80〜105オーム、あるいは85〜100オームとすることができる。いくつかの実施形態においては、インピーダンスは、シングルエンド用途に関して、40〜60オームという範囲(例えば、約50オーム)とすることができる。いくつかの実施形態においては、インピーダンスは、単一の差動用途に関して、70〜110オームという範囲あるいは85〜100オームという範囲とすることができる。
【0026】
内部導体(例えば、内部導体200、202、282、700)は、例えば、少なくとも100Mb/s又は少なくとも1Gb/s又は少なくとも3Gb/sという最大データ転送速度のために適合されたワイヤとすることができる。コネクタ又は回路基板において終端した電気ケーブルを含む電気ケーブルアセンブリは、例えば、少なくとも100Mb/s又は少なくとも1Gb/s又は少なくとも3Gb/sという最大データ転送速度のために適合することができる。ワイヤゲートは、例えば、20AWG〜34AWG又は26AWG〜31AWGという範囲とすることができる。導体は、中実あるいは撚り線とすることができ、例えば、銅、スズ、銀、メッキ無しの銅合金、スズメッキ付きの銅合金、金メッキ付きの銅合金、あるいは、銀メッキ付きの銅合金から形成することができる。
【0027】
以下は、本明細書の例示的な実施形態の列挙である。
【0028】
実施形態1は、電気ケーブルの長さ方向に沿って延在する複数の実質的に平行な絶縁導体を含む電気ケーブルであって、各絶縁導体は、絶縁層によって被覆された導電性の内部導体を含み、絶縁層による被覆は、電気ケーブルが平らに置かれて電気ケーブルの互いに反対側を向いた主たる上面及び主たる底面を規定する時、複数の絶縁導体のうちの少なくとも1つの絶縁導体に関して、この少なくとも1つの絶縁導体の内部導体のより長い第1部分が電気ケーブルの上面上において露出されるように、かつ、少なくとも1つの絶縁導体の内部導体のより短い第2部分が電気ケーブルの底面上において露出されるように行われ、より長い第1部分は、より短い第2部分と少なくとも部分的に重なっており、内部導体は、この内部導体の露出されたより長い第1部分の箇所において、導電性の整合導体と整合するよう構成されている。
【0029】
実施形態2は、実施形態1の電気ケーブルであって、より短い第2部分の長さは、ゼロである。
【0030】
実施形態3は、実施形態1の電気ケーブルであって、少なくとも1つの絶縁導体は、この少なくとも1つの絶縁導体の両端部の間において電気ケーブルの長さ方向に沿って延在し、この少なくとも1つの絶縁導体の内部導体の露出されたより長い第1部分は、両端部のうちの一方を含んでいる。
【0031】
実施形態4は、実施形態1の電気ケーブルであって、少なくとも1つの絶縁導体の内部導体の露出されたより長い第1部分の長さは、少なくとも0.5mmである。
【0032】
実施形態5は、実施形態1の電気ケーブルであって、少なくとも1つの絶縁導体の内部導体の露出されたより長い第1部分の長さは、少なくとも1mmである。
【0033】
実施形態6は、実施形態1の電気ケーブルであって、露出されたより長い第1部分は、露出されたより短い第2部分と完全に重なっている。
【0034】
実施形態7は、実施形態1の電気ケーブルであって、少なくとも1つの絶縁導体は、電気ケーブルの同じ第1端部のところにある少なくとも1つの絶縁導体の第1端部と、電気ケーブルの反対側にある同じ第2端部のところにおける少なくとも1つの絶縁導体の反対側にある第2端部との間において、電気ケーブルの長さ方向に沿って延在している。
【0035】
実施形態8は、実施形態7の電気ケーブルであって、少なくとも1つの絶縁導体の内部導体の露出されたより長い第1部分は、少なくとも1つの絶縁導体の第1端部を含んでいる。
【0036】
実施形態9は、実施形態1の電気ケーブルであって、実質的に平行な複数の絶縁導体と実質的に同一の広がりを有する導電性シールドを更に含んでいる。
【0037】
実施形態10は、実施形態9の電気ケーブルであって、各絶縁導体の周縁の少なくとも70%は、導電性シールドによって包囲されている。
【0038】
実施形態11は、実施形態10の電気ケーブルであって、各絶縁導体は、導電性シールドによって取り巻かれている。
【0039】
実施形態12は、電気ケーブルの長さ方向に沿って延在する複数の実質的に平行な絶縁導体を含む電気ケーブルであって、各絶縁導体は、絶縁層によって被覆された導電性の内部導体を含み、各絶縁導体の周縁の少なくとも70%は、実質的に同一の広がりを有する導電性シールドによって被覆されており、絶縁層による被覆は、電気ケーブルが平らに置かれて電気ケーブルの互いに反対側を向いた主たる上面及び主たる底面を規定する時、各絶縁導体に関して、絶縁層の一部及び導電性シールドの一部が電気ケーブルの上面から除去されて絶縁導体の内部導体の一部が露出されるように、かつ、平面視において内部導体のその露出部分の横方向の平均幅が内部導体の横方向の平均幅よりも狭いように行われ、
内部導体の露出部分は、電気ケーブルの同じ第1端部上において内部導体の第1端部を含み、
絶縁導体は、内部導体の露出部分の箇所において、導電性の整合導体と整合するよう構成されている。
【0040】
実施形態13は、実施形態12の電気ケーブルであって、内部導体の露出部分の長さは、少なくとも0.5mmである。
【0041】
実施形態14は、実施形態12の電気ケーブルであって、内部導体の露出部分の長さは、少なくとも1mmである。
【0042】
実施形態15は、電気ケーブルの長さ方向に沿って延在する実質的に平行な複数の絶縁導体を含む電気ケーブルであって、各絶縁導体は、同一の広がりを有する絶縁層によって被覆された導電性の内部導体と、各絶縁導体と実質的に同一の広がりを有して各絶縁導体を取り囲む導電性シールドと、を含んでおり、絶縁層による被覆は、電気ケーブルが平らに置かれて電気ケーブルの互いに反対側を向いた主たる上面及び主たる底面を規定する時、各絶縁導体に関して、絶縁層の一部及び導電性シールドの一部が電気ケーブルの上面から除去されて絶縁導体の内部導体の一部が露出されるように、かつ、平面視において内部導体のその露出部分の横方向の平均幅が内部導体の横方向の平均幅よりも狭いように行われ、内部導体の露出部分は、電気ケーブルの同じ第1端部上に内部導体の第1端部を含み、絶縁導体は、内部導体の露出部分の箇所において、導電性の整合導体と整合するよう構成されている。
【0043】
実施形態16は、実施形態15の電気ケーブルであって、内部導体の露出部分の長さは、少なくとも0.5mmである。
【0044】
実施形態17は、実施形態15の電気ケーブルであって、内部導体の露出部分の長さは、少なくとも1mmである。
【0045】
実施形態18は、
回路基板であって、この回路基板の主面上に配置された複数のコンタクトパッドを含む回路基板と、
実施形態1〜11のいずれか一つに記載の電気ケーブルであって、各絶縁導体の内部導体の露出されたより長い第1部分が、取付領域において、回路基板の対応するコンタクトパッドに取り付けられており、導電性シールドが除去されていない部分が取付領域を少なくとも部分的に遮蔽している、電気ケーブルと、
を含んでいる、電気ケーブルアセンブリである。
【0046】
実施形態19は、実施形態18の電気ケーブルアセンブリであって、
電気ケーブルの上方に配置された上方部分、及びこの上方部分から回路基板に向けて延出されかつ回路基板に対して取り付けられた少なくとも1つの側方部分を有するフレームと、
フレームの上方部分と電気ケーブルとの間に配置された少なくとも1つの特徴部材と、を更に含み、前記少なくとも1つの特徴部材は、対応するコンタクトパッドと向かい合う電気ケーブルに対して圧力を印加することによって、各絶縁導体の内部導体の露出されたより長い第1部分を、回路基板の対応するコンタクトパッドに取り付けるよう構成されている。
【0047】
実施形態20は、実施形態19の電気ケーブルアセンブリであって、少なくとも1つの特徴部材は、少なくとも1つの柔軟性ある特徴部材を含んでいる。
【0048】
実施形態21は、
回路基板であって、この回路基板の主面上に配置された複数のコンタクトパッドを含む回路基板と、
実施形態12〜17のいずれか一つに記載の電気ケーブルであって、各絶縁導体の内部導体の露出部分が、取付領域において、回路基板の対応するコンタクトパッドに取り付けられており、導電性シールドが除去されていない部分が取付領域を少なくとも部分的に遮蔽している、電気ケーブルと、
を含んでいる電気ケーブルアセンブリである。
【0049】
実施形態22は、実施形態21の電気ケーブルアセンブリであって、
電気ケーブルの上方に配置された上方部分、及びこの上方部分から回路基板に向けて延出されかつ回路基板に対して取り付けられた少なくとも1つの側方部分と、を有したフレームと、
フレームの上方部分と電気ケーブルとの間に配置された少なくとも1つの特徴部材と、を更に含み、前記少なくとも1つの特徴部材は、対応するコンタクトパッドと向かい合う電気ケーブルに対して圧力を印加することによって、各絶縁導体の内部導体の露出部分を、回路基板の対応するコンタクトパッドに取り付けるよう構成されている。
【0050】
実施形態23は、実施形態22の電気ケーブルアセンブリであって、少なくとも1つの特徴部材は、少なくとも1つの柔軟性ある特徴部材を含んでいる。
【0051】
図中の要素の説明は、別途指示がない限り、他の図中の対応する要素に等しく適用されるものと理解されたい。具体的な実施形態を本明細書において例示し記述したが、様々な代替及び/又は等価な実施により、図示及び記載した具体的な実施形態を、本開示の範囲を逸脱することなく置き換え可能であることが、当業者により理解されるであろう。本出願は、本明細書において論じた具体的な実施形態のあらゆる適合例又は変形例をも包含することを意図する。したがって、本開示は、特許請求の範囲及びその等価物によってのみ限定されるものとする。