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特許6920426半導体業界において応用される直接描画式プラズマ溶射方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6920426
(24)【登録日】2021年7月28日
(45)【発行日】2021年8月18日
(54)【発明の名称】半導体業界において応用される直接描画式プラズマ溶射方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 4/134 20160101AFI20210805BHJP
   C23C 4/08 20160101ALI20210805BHJP
   C23C 4/11 20160101ALI20210805BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20210805BHJP
【FI】
   C23C4/134
   C23C4/08
   C23C4/11
   H01L21/302 101Z
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2019-517890(P2019-517890)
(86)(22)【出願日】2018年10月16日
(65)【公表番号】特表2020-528104(P2020-528104A)
(43)【公表日】2020年9月17日
(86)【国際出願番号】CN2018110325
(87)【国際公開番号】WO2019237613
(87)【国際公開日】20191219
【審査請求日】2019年3月28日
(31)【優先権主張番号】201810604257.6
(32)【優先日】2018年6月13日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519112357
【氏名又は名称】瀋陽富創精密設備有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】徐 俊陽
(72)【発明者】
【氏名】李 加
(72)【発明者】
【氏名】邵 穎
【審査官】 酒井 英夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−132456(JP,A)
【文献】 特開2018−032857(JP,A)
【文献】 特開2016−216825(JP,A)
【文献】 特表2007−502519(JP,A)
【文献】 特開平07−335626(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 4/00−6/00,
H01L 21/02,21/3065
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接描画式プラズマ溶射方法であって、前記直接描画式プラズマ溶射方法はエッチング装置内のシリコンリング、ノズル上にセンサを製造することに使用でき
シリコンリング上に抵抗センサを製造するには、大気プラズマ溶射を用いてシリコンリング上にAlコーティング層の吹き付けを行い、次に前記コーティング層上にNiAl半導体コーティング層の吹き付けを行い、次に前記半導体コーティング層上に前記半導体コーティング層よりも面積が大きなAlコーティング層の吹き付けを行い、コーティング層の厚さは第1層に吹き付けたAlコーティング層よりも薄くし、第3層のAlコーティング層の外側にレーザーで無線機の吹き付けを行って外部観測装置と接続させ、前記Alコーティング層と前記NiAlコーティング層の抵抗の違いを利用して抵抗センサを形成する
ことを特徴とする直接描画式プラズマ溶射方法。
【請求項2】
接描画式プラズマ溶射方法であって、前記直接描画式プラズマ溶射方法はエッチング装置内のシリコンリング、ノズル上にセンサを製造することに使用でき
ノズル上に湿度センサを製造するには、先ずノズル上にYコーティング層の吹き付けを行い、次にその上にNiCr半導体コーティング層の吹き付けを行い、次に前記NiCr半導体コーティング層上に前記コーティング層よりも大きなYコーティング層の吹き付けを行い、その厚さは第1層のYコーティング層よりも薄くし、第3層のYコーティング層の外側にはマイクロレーザーで無線機の吹き付けを行って外部観測装置と接続させ、前記NiCrコーティング層は接着層とし、NiCrとYのコーティング層の耐食性の違いによって湿度センサを形成する
ことを特徴とする直接描画式プラズマ溶射方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体業界において応用される直接描画式プラズマ溶射技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プラズマエッチング技術は、半導体業界の急激な発展や半導体機材サイズの小型化、シリコンウェハサイズの大型化に伴い、半導体部材の製造工程で増々広範に応用されるようになっている。プラズマエッチングでは、CF、SF、NF、Clなどのガスがエッチングガスとしてよく使用されるが、プラズマを用いたドライエッチング工程では、これらのエッチングガスが半導体部材をエッチングすると同時に、エッチングチャンバー内のアルミニウムやアルミニウム合金などのキーコンポーネントに対する腐食作用を生じさせてしまう。現在、半導体業界では部材の腐食を防止するため、通常は部材の外側にAl、Yなどのコーティングを行っているが、コーティングには一定の寿命が存在するため、コーティングの寿命が限界に達した際には部材の交換が必要となる。頻繁な交換やキーコンポーネントの保守が必要となるだけでなく、直ちに部材の交換を行わなければ、最悪の場合シリコンウェハにまで影響を及ぼし、エッチングプロセスチャンバーの故障及び機材の破損を招くこともある。
【0003】
プラズマ溶射技術の発展に伴い、エッチングチャンバー内のキーコンポーネントの防食性や耐摩耗性を向上させることだけを求め、防食性及び耐摩耗性に一層優れたコーティングが研究開発されてきた。しかし、どれほど腐食に強いコーティングであっても一定の寿命は存在するため、寿命が尽きた際に速やかに発見されなければ、他の部材に影響を及ぼし、予想外の損傷を招きかねない。
【0004】
従来のプラズマ溶射は、異なる機能性を有する材料を大面積塗装し、コーティング層に一定の作用を持たせるだけであった。しかし多くの装置中、特に金属内部及び抵抗器の構造モデルには装置レベルの性能が要求される。それらの構造モデルは、統合的に積層及び除去を行う方法か、又は統合的な積層製造によって形成される。前者は電子業界において容易な構築方法であり、後者はいわゆる「直接描画」である。直接描画とは、材料モデルを製造する際に積層するコンピュータ支援機能であり、直接描画法には多くの斬新な電子及びセンサへの応用も含まれる。直接描画式プラズマ溶射は新規製造技術であり、基体に堆積させた異なるエレクトロコーティング材を用い、多層導電膜により直接描画して製造するというものである。直接描画式プラズマ溶射技術は、異なる基体材料に異なるエレクトロ/センサコーティング層の吹き付けを行うことができ、且つ幾何学形状を保証することができる。直接描画式プラズマ溶射技術は、基体の要求温度が200℃未満であり、その他の後処理がない装置部材に適用される。直接描画式プラズマ溶射はまた、異なる材料を用いたコーティングで多層装置を構築すること、特に電子及びセンサへの応用にも自ずと適用される。
【0005】
本明細書は、直接描画式プラズマ溶射技術を採用しており、「センサ」を部材のコーティング層に吹き付けることで、エッチングチャンバー内の部材が腐食を受けるか又は摩損する状況をセンサによりモニタリングし、部材が破損する前に予め「警報」を発して作動を停止させることができる。これにより、部材の使用状況が観測できるだけでなく、ウェハなど他の中核部材が影響を受けるのを防ぐこともできる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする技術的課題は、直接描画式プラズマ溶射を用いて「センサ」を製造することで半導体部材のコーティングの寿命をモニタリングして、コーティングの寿命が限界に達する前に「警報」を発して知らせるようにし、関係者が事前に部材を交換できるようにすることで、コーティング層が損傷して他の部材の寿命に影響が及ぶことを防ぐ、というものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の技術的目的を達成するために採用する技術案は以下の通りである。
【0008】
半導体装置において応用される直接描画式プラズマ溶射方法であり、
(1)プラズマ溶射方法を用いて、異なる基体上に異なる材料/異なる厚さでコーティング層の吹き付けを行う。
(2)直接描画式プラズマ溶射方法は通常、同一の基体上に2種類以上の異なるコーティング層の吹き付けを行う。
(3)各コーティング層の性能特性に基づき、同一の基体上にセンサ、熱電対となる機能性マイクロ「装置」を構築する。
(4)コーティング層の中間又は頂部のコーティング層の上方に組込み式の無線機の吹き付けを行い、関連する外部装置を接続して、マイクロ装置の変化を観察する。
【0009】
上記ステップ(1)のプラズマ溶射方法は、大気プラズマ溶射、高速フレームプラズマ溶射、サスペンションプラズマ溶射方法などでよい。
【0010】
上記ステップ(1)中のコーティング層は、耐摩耗、耐食、耐高温酸化、電気絶縁及び密封などの性能を有するものでよく、吹き付け材はコーティング層の性能に基づくセラミック材料、合金、金属材料でよい。
【0011】
上記ステップ(2)、(3)中のセンサ機能を有するマイクロ「装置」は、異なるコーティング層の抵抗の違いを利用して製造したサーミスタ機能を有するセンサでよい。また、異なるコーティング層の磁気の違いを利用して製造した磁気センサでもよい。また、異なるコーティング層の熱伝導率の違いを利用して製造した、マイクロ熱電対やその他の機能を有するセンサ及び電子装置でもよい。
【0012】
上記ステップ(4)中の半導体業界において応用される無線機は、レーザー溶射を用いてコーティング層内に無線機を組み込んだものである。
【0013】
直接描画式プラズマ溶射方法は、半導体業界において応用可能であり、エッチング装置内のシリコンリング、ノズル上にセンサを製造することに使用できる。
【0014】
直接描画式プラズマ溶射を用いてシリコンリング上に抵抗センサを製造するが、その製造方法は、大気プラズマ溶射を用いてシリコンリング上にAlコーティング層の吹き付けを行い、コーティング層の厚さは75μmとし、次にコーティング層上に小面積(約1〜2cm)のNiAl半導体コーティング層の吹き付けを行い、コーティング層の厚さは10μmとし、次に半導体コーティング層上に半導体コーティング層よりも面積が若干大きなAlコーティング層の吹き付けを行い、コーティング層の厚さは第1層に吹き付けたAlコーティング層よりもコーティングを若干薄くして約70μmとし、第3層のAlコーティング層の外側にはレーザーで無線機の吹き付けを行って外部観測装置と接続させ、Alコーティング層とNiAlコーティング層の抵抗の違いを利用して抵抗センサを形成するというものである。
【0015】
8.前記方法を用いてノズル上に湿度センサを製造するが、その製造方法は、先ずノズル上にYコーティング層の吹き付けを行い約25μmとし、次にその上に小面積のNiCr半導体コーティング層の吹き付けを行い約5μmとし、次にNiCr半導体コーティング層上に前記コーティング層よりも若干大きなYコーティング層の吹き付けを行い、その厚さは第1層のYコーティング層よりも若干薄く約20μmとし、第3層のYコーティング層の外側にマイクロレーザーで無線機の吹き付けを行って外部観測装置と接続させ、NiCrコーティング層は接着層とし、NiCrとYのコーティング層の耐食性の違いによって湿度センサを形成するというものであることを特徴とする、請求項6に記載の半導体業界において応用される直接描画式プラズマ溶射方法。
【発明の効果】
【0016】
本発明は次の有利な効果を有する。
(1)部材のコーティング層の変化をモニタリングし、コーティング層が寿命に達する前に部材のコーティング層を替えることができる。
【0017】
(2)異なる材料の性能特性を利用して、異なるタイプのセンサを製造する。
【0018】
(3)生産・製造効率が高く、生産コストが低く、生産環境が限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】直接描画式プラズマ溶射方法を用いて製造したセンサの概略図
図2】シリコンリング上に構築した抵抗センサの概略図
図3】シリコンリング上のコーティング層で観測した抵抗の変化状況の説明図
図4】ノズル上に構築した湿度センサの概略図
図5】ノズル上のコーティング層で観測した湿度の変化状況の説明図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図及び実施例に基づいて本発明の技術案を詳細に説明する。
【0021】
直接描画式プラズマ溶射方法を応用して半導体業界で応用されるセンサを構築するが、その特徴は以下の通りである。
【0022】
半導体内のアルミニウム合金部材を例にとると、図中のA1が示す通り、部材がエッチングガスによって腐食しないよう保護するため、通常は表面に耐食性能を有するコーティング層をめっきして、第1層とする。
【0023】
図中のA2が示す通り、その部材のうち、組み立てに影響しない何れかの位置に導電性コーティング層の吹き付けを行うが、金属コーティング層であってはならず、吹き付け面積は1cmでよい。
【0024】
図中のA3が示す通り、第2層の基礎上に第1層と同じコーティング層の吹き付けを行うが、厚さは第1層のコーティング層の厚さよりも若干薄くして、第3層とする。
【0025】
外部観測システムと接続するため、第3層上に無線機の吹き付けを行う。
【0026】
センサの動作原理は次の通りである。センサは3つのコーティング層で組成され、第1層及び第3層はAl、Yコーティング層又はその他のコーティング層から成る同じコーティング層で、絶縁層であり、第2層には半導体層(又はある面で第1層と異なる性能を有する)を採用し、一定の導電性能(又はその他の顕著に異なる性能を有する)を持たせることができ、第2層と第3層の抵抗(又はその他の異なる性能)の違いを利用し、外部モニタリング装置が抵抗の変化をモニタリングすることにより、コーティング層の変化をモニタリングする。第1層と第3層のコーティング層は同一種類であるため、コーティング層の腐食速度は一致しており、半導体装置内に部材が組み込まれたばかりのとき、第1層及び第3層の耐食コーティング層が保護作用を果たし、外部モニタリング装置が測定するコーティング層の抵抗値は低いが、部材の腐食時間が増加するにつれて抵抗値も大きくなり、第3層がエッチングガスに透過された場合には抵抗がピーク値に達するが、第3層のコーティング層の厚みが第1層のコーティング層の厚みよりも若干薄いため、第1層のコーティング層はまだ部材を保護しており、この時点で部材を交換するものとする。こうすることで、第1層のコーティング層がエッチングガスに透過されないうちはコーティング層の本体部材が保護されるだけでなく、その他の重要な部材(ウェハなど)に影響が及ぶことも防げる。一つにはコーティング層の変化状況を随時測定できること、二つには部材を事前に交換し、部材を保護できることを特徴とする。
【実施例1】
【0027】
半導体エッチング装置内のシリコンリングを例にとると、本発明では、エッチングガスによるシリコンリングの腐食を防ぐため、通常はシリコンリングの外側にAlコーティング層の吹き付けを行う。図2が示す通り、本発明は、直接描画式プラズマ溶射技術を用いて半導体のシリコンリング上にセンサを作製し、シリコンリングのコーティング層の変化をモニタリングする方法を提供し、具体的には以下のステップを含む。
【0028】
(1)大気プラズマ溶射を用いてシリコンリング上にAlコーティング層の吹き付けを行い、区別するためにAl−1と標記する。溶射工程のパラメータは、溶射出力を35KWに設定し、粉末注入角度は90°とし、メインガスはアルゴンガスとし、ガス流量は0.8L/sとし、アシストガスは水素ガスとし、ガス流量は0.083L/sとし、溶射距離は130mmとし、溶射速度は500/sとし、コーティング層の厚さは約75μmとする。
【0029】
(2)Yコーティング層の外側に面積約1〜2cmのNiAl半導体コーティング層の吹き付けを行い、溶射工程のパラメータは、溶射出力を20KWに設定し、粉末注入角度は90°とし、メインガスはアルゴンガスとし、ガス流量は50L/minとし、溶射距離は120mmとし、コーティング層の厚さは10μmとする。
【0030】
(3)大気プラズマ溶射方法を用いてNiAlコーティング層上へさらにAlコーティング層の吹き付けを行い、区別するためにAl−2と標記し、溶射工程は第1層のAlコーティング層の溶射工程と同じであり、コーティング層の厚さは70μmとする。
【0031】
(4)外部のモニタリング装置を接続するため、溶射法にレーザーマイクロノズルを加えた方法を用いて最外層のAlコーティング層に組込み式の無線機の吹き付けを行う。
【0032】
図2は、直接描画式プラズマ溶射方式で作製した抵抗センサの概略図である。Alコーティング層は絶縁体であり、その抵抗値は大きいが、NiAlコーティング層は半導体であり、抵抗値はAlコーティング層と比べて小さいので、センサはコーティング層の抵抗の違いを利用してコーティング層の変化を観測する。エッチング装置内でシリコンリングが正常に動作しているとき、シリコンリングの外側は全てAlコーティング層で、防食作用を果たしており、この時点で測定される抵抗値はAl−2コーティング層の抵抗値であり、その抵抗値は大きい。シリコンリングの動作時間が増加し、動作が一定時間に達すると、Al−2コーティング層の耐食性能が徐々に弱まるが、このとき、Al−2コーティング層とAl−1コーティング層の寿命は一致している。エッチングガスがコーティング層を腐食させて透過すると、無線機がNiAlコーティング層に接触して抵抗値が急速に低下し、この時点で測定される抵抗値は最小値にあり、Al−2コーティング層の寿命が限界に達したことを証明しているが、Al−1コーティング層は厚さがAl−2コーティング層よりも若干厚いため、Al−1コーティング層の寿命がこの時点で限界に近づいていることは明らかであるものの、まだ一定の耐食作用を果たしており、シリコンリングがエッチングチャンバー内に露出しないよう担保することができる。このときに測定される抵抗の変化は図3が示す通りである。抵抗がA点に達したときは、Al−2コーティング層の寿命がもう限界に近いものの、まだ保護作用を果たしていることを示す。抵抗が最小ピークに達した場合(B点)、即ち「警報」予告の出現は、Al−2コーティング層が既にエッチングガスに透過されていることを示しており、シリコンリングを取り出して再度Alコーティング層の吹き付けを行う必要があることを証明している。シリコンリングを取り出してコーティング層を替えるのをA点にするか、それともB点にするかは、作業員自身の装置の状態に対する理解に基づいて決めることができる。
【0033】
抵抗センサによって測定される抵抗の変化はAl−1コーティング層の変化状況を表しているが、それはAl−1コーティング層とAl−2コーティング層に同じ材料、同じ溶射工程を用いているため、Al−2コーティング層の寿命を用いてAl−1コーティング層の寿命を反映させることができるからである。これにより、抵抗センサはシリコンリング表面のAl−1コーティング層の寿命の変化状況をモニタリングすることができる。
【実施例2】
【0034】
半導体エッチング装置内のノズルを例にとると、ノズルがエッチングガスの腐食を受ける確率はシリコンリングよりも深刻であり、通常はYコーティング層の吹き付けを行うことで腐食を防止する。図3が示す通り、本発明は、直接描画式プラズマ溶射技術を用いて半導体のノズル上に湿度センサを作製し、ノズルのコーティング層の変化をモニタリングする方法を提供し、具体的には以下のステップを含む。
【0035】
(1)大気プラズマ溶射を用いてシリコンリング上にYコーティング層の吹き付けを行い、溶射工程のパラメータは、溶射出力を30KWに設定し、粉末注入角度は90°とし、メインガスはアルゴンガスとし、ガス流量は40L/minとし、アシストガスは水素ガスとし、ガス流量は15L/minとし、溶射距離は220mmとし、コーティング層の厚さは約25μmとする。
【0036】
(2)Yコーティング層の外側に面積約1〜2cmのNiCr半導体コーティング層の吹き付けを行い、コーティング層の厚さは5μmとする。
【0037】
(3)大気プラズマ溶射方法を用いてNiCrコーティング層上へさらにYコーティング層の吹き付けを行い、コーティング層の厚さは20μmとする。
【0038】
(4)外部のモニタリング装置を接続するため、溶射法にレーザーマイクロノズルを加えた方法を用いて最外層のYコーティング層に組込み式の無線機の吹き付けを行う。
【0039】
図4は、直接描画式プラズマ溶射方式で製造した湿度センサである。Yコーティング層は良好な耐食性能を有しているが、NiCrの耐食性能は低いため、防食性能の差異を利用して湿度センサを構築する。エッチング装置内でノズルが正常に動作しているとき、Yコーティング層は防食作用を果たしており、この時点で無線機が感知する湿度は低い。動作時間が増加し、動作が一定時間に達すると、Y−2コーティング層の耐食性能が徐々に弱まるが、このとき、Y−2コーティング層とY−1コーティング層の寿命は一致している。エッチングガスがY−2コーティング層を透過した場合、NiCrコーティング層の耐食性能は弱いため、無線機がH及びH3Oイオンを感知することができ、この時点で湿度は増加してピーク値に達する。これはY−2コーティング層の寿命が既に限界に達したことを意味するが、Y−2コーティング層は厚さがY−1コーティング層よりも若干薄いため、Y−1コーティング層の寿命がこの時点で限界に近づいていることは明らかであるものの、まだ一定の耐食作用を果たしており、ノズルがエッチングチャンバー内に露出しないよう担保することができる。この過程で測定される湿度の変化は図5が示す通りである。湿度がA点に達したときは、Y−2コーティング層の寿命がもう限界に近いものの、まだ耐食作用を果たしていることを示し、湿度がB点に達したときは、Y−2コーティング層の寿命が既に限界に達したことを示す。ノズルを取り出して再度Yコーティング層の吹き付けを行う必要がある。ノズルを取り出してコーティング層を替えるのをA点にするか、それともB点にするかは、作業員自身の装置の状態に対する理解に基づいて決めることができる。
【0040】
湿度センサによって測定される湿度の変化はY−1コーティング層の変化を表すことができるが、それは最初に湿度センサが測定した湿度変化はY−2コーティング層の変化を表しているものの、Y−2コーティング層とY−1コーティング層に同じ材料、同じ工程で製造したコーティング層を採用し、コーティング層の性能が同じであるため、Y−1コーティング層の変化を表すことができるからである。これにより、湿度センサによってY−1コーティング層のコーティング寿命の変化をモニタリングすることができる。
【0041】
上述は本発明の好適な実施例に過ぎず、本発明を限定するものではなく、当業者であれば本発明の様々な変更及び改変が可能である。本発明は、半導体業界のコーティング層を有する各種部材に使用することができ、本発明が構築するセンサは抵抗又は湿度センサだけではない。また、本発明は3つのコーティング層でセンサを構築するにとどまらず、実際の応用状況に基づいて決めることもできる。また、本発明が用いる溶射技術は、大気プラズマ溶射に限らず、超音速プラズマ溶射など、その他の溶射技術も応用することができる。また、本発明において吹き付けるコーティング層は実施例に限らない。本発明の精神及び原則内において行われる何らかの修正、均等物による置換、改良などはすべて本発明の保護範囲を逸脱しない。

図1
図2
図3
図4
図5