(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の物質層及び前記第2の物質層は、熱的ALD(atomic layer deposition)方式、PEALD(plasma enhanced ALD)方式及びこれらの組合せの何れか一つにより形成されることを特徴とする、請求項1に記載の複合膜の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の利点や特徴、並びにそれらを達成する方法は、添付図面と共に詳細に後述する実施例を参照すれば明確になる。しかしながら、本発明は、以下で開示している実施例に限定されず、互い異なる多様な形態で具現可能であり、但し本実施例らは本発明の開示が完全になるようにし、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有した者に発明の範囲を完全に認知させるために提供され、本発明は請求の範囲により定義されるだけである。図面において層及び領域のサイズ及び相対的なサイズは、説明の明瞭性のために誇張されることもできる。明細書の全般にわたって同一の参照符号は、同一の構成要素を示す。
【0010】
図1a乃至
図1dは、本発明の一実施例による多様な複合膜の構造を示す断面図である。
【0011】
図1aを参照すれば、複合膜10は、第1の物質層20及び第2の物質層30を含むことができる。
【0012】
第1の物質層20は、第1の成分及び酸素成分を含むことができる。ここで、第1の成分は、例えば、ジルコニウム(Zr)、シリコン(Si)及びチタン(Ti)から選択される一つを含むことができる。これにより、前記第1の物質層20は、ジルコニウム酸化膜(ZrO
2)、シリコン酸化膜(SiO
2)又はチタン酸化膜(TiO
2)であり得る。第1の物質層20は、少なくとも一つの薄膜層(以下、原子層)を含むことができる。第1の物質層20を構成する少なくとも一つの原子層は、例えば、熱的ALD(atomic layer deposition)方法、PEALD(plasma enhanced deposition)方法及びこれらの組合せの何れか一つにより形成できる。
【0013】
第1の物質層20上に第2の物質層30が形成できる。前記第2の物質層30は第2の成分及び酸素成分を含むことができる。前記第2の成分は前記第1の成分と異なる物質であり得る。例えば、第1の成分がジルコニウム(Zr)の場合、第2の成分はチタン(Ti)であり得る。また、第1の成分がシリコン(Si)の場合、第2の成分はチタン(Ti)であり得る。また、第1の成分がチタン(Ti)の場合、第2の成分はジルコニウム(Zr)又はシリコン(Si)であり得る。このような第2の物質層30も、少なくとも一つの原子層を含むことができる。
【0014】
例えば、複合膜10は、
図1aに示すように、第1及び第2の物質層20、30が複数の原子層からなることができる。
【0015】
また、複合膜10は、
図1bに示すように、第1の物質層20は一つの原子層からなり、第2の物質層30は複数の原子層からなることができる。
【0016】
また、複合膜10は、
図1cに示すように、第1の物質層20は複数の原子層からなり、第2の物質層30は一つの原子層からなることができる。
【0017】
図1a乃至
図1cのように少なくとも一つの原子層を含む第1及び第2の物質層20、30は、
図1dに示すように、少なくとも1回以上交互に蒸着されて複合膜10が形成できる。
【0018】
図2は、本発明の一実施例による第1の物質層の製造方法を説明するための断面図である。
【0019】
ベース層105上に第1の物質層110が形成できる。ここで、ベース層105はベア(bare)状態の半導体基板、素子層、絶縁層、導電層又はエッチングがなされる被エッチング層であり得る。第1の物質層110は、前述したように、第1の成分及び酸素成分を含む少なくとも一層の原子層110a〜110nを含むことができる。また、前記第1の成分としては、前述したように、ジルコニウム(Zr)、シリコン(Si)又はチタン(Ti)が用いられる。前記少なくとも一層の原子層110a〜110nは、例えば、原子層蒸着方式(atomic layer deposition、以下、ALD)又はプラズマ原子層蒸着方式(plasma enhanced atomic layer deposition、以下、PEALD)で形成できる。このとき、前記PEALD方式は、CW(continuous wave)プラズマ印加方式又はパルス(pulsed)PEALD方式が用いられる。
【0020】
図3a乃至
図3cは、本発明の一実施例による第1の物質層を構成する原子層を形成するための工程サイクルを示すタイミング図である。
【0021】
図3aを参照すれば、第1の成分を含む第1のソースを一定時間供給して、前記第1の成分の原子を下部レイヤー上に吸着させる。ここで、下部レイヤーは、例えば、ベース層105、或いは、既に形成された第1の原子層であり得る。
【0022】
前記第1の成分がジルコニウム(Zr)の場合、第1のソースとしては、Cp-Zr(Cyclopentadienyl Tris(dimethylamino)Zirconium:CpZr[N(CH
3)
2]
3又はEthylcyclopentadienyl Tris(ethylmethylamino)Zirconium :((C
2H
5)C
5H
4)Zr[N(CH
3)C
2H
5]
3)、TEMA-Zr (Tetrakis(ethylmethylamino)Zirconium:Zr[N(CH
3)(C
2H
5)]
4)、 又はZrCl
4(Zirconium Tetrachloride)ソースが用いられる。
【0023】
前記第1の成分がシリコン(Si)の場合、第1のソースとしては、BDEAS(Bis(diethylamino)Silane:H
2Si[N(C
2H
5)
2]
2)、3DMAS(Tris(dimethylamino)Silane:HSi[N(CH
3)
2]
3)、4DMAS(Tetrakis(DiMethylAmido)Silane:Si[N(CH
3)
2]
4)、又はDIPASDi(isoprophylamino)Silane/H
3Si[N(C
3H
7)])ソースが用いられる。
【0024】
また、第1の成分がチタン(Ti)の場合、第1のソースとしては、CP-Ti(Tetrakis(dimethylamino)Titanium:Ti[N(CH
3)
2]
4)、TEMA-Ti(Tetrakis(ethylmethylamino)Titanium:Ti[N(CH
3)(C
2H
5)]
4、TTIP(Titanium Tetraisopropoxide:Ti[O(CH(CH
3)
2)]
4)、TiCl
4(Titanium Tetrachloride)、又はTDMAT(Tetrakis(dimethylamino)Titanium:Ti[N(CH
3)
2]
4)ソースが用いられる。
【0025】
次に、前記下部レイヤー上に吸着されない第1の成分の原子がパージ(purge)工程により除去される。
【0026】
その後、第1の成分の原子と反応するための反応ガスソースを一定時間供給する。反応ガスソースとしてはO
2ソース、H
2Oソース又はO
3ソースが用いられる。より具体的に、PEALDの場合はO
2ソースが反応ガスソースとして用いられ、熱的ALDの場合はH
2Oソース又はO
3ソースが反応ガスソースとして用いられる。前記反応ガスソースを構成する原子は、前述したように、前記下部レイヤーに吸着された第1の成分の原子と反応できる。
【0027】
その後、パージ工程によって未反応の酸素原子を除去することで、第1の成分及び酸素成分を含む第1の原子層110a〜110nが形成される。すなわち、第1の原子層110a〜110nの各々は、第1のソースを提供するステップ、パージするステップ、反応ガスソースを提供するステップ及びパージするステップを一つの第1の原子層を形成するための工程サイクルとして設定できる。また、前記工程サイクルを少なくとも1回繰り返すことで、複数の原子層を含む前記第1の物質層110が形成できる。
【0028】
場合に応じて、反応ガスソースは、
図3bに示すように、蒸着サイクルの間に持続的に提供され得る。
【0029】
また、
図3a及び
図3bに示すように、前記工程サイクルにおいてプラズマが印加され得る。前記第1のソースを構成する原子及び反応ガスソースが実質的に反応する区間の間に持続的に供給され得る。
【0030】
一方、
図3cに示すように、前記プラズマは、前記第1のソースを構成する原子及び反応ガスソースが実質的に反応する区間の間に複数のパルス形態で提供され得る。このような方式をパルスPEALD方式という。
【0031】
このような第1の物質層110は、前記のような第1の原子層110a〜110nの形成工程を少なくとも1回以上繰り返して、ラミネート(laminate)構造を有するように形成され得る。
【0032】
図4は、本発明の一実施例による第1の物質層上に第2の物質層を製造する方法を説明するための半導体素子の断面図である。
【0033】
図4に示すように、第1の物質層110上に第2の物質層120を形成して複合膜100を形成する。第2の物質層120は、第1の物質層110を構成する第1の成分と異なる第2の成分及び酸素成分を含むことができる。例えば、第2の物質層120は、第1の成分がジルコニウム(Zr)の場合に第2の成分としてチタン(Ti)を含むことができ、第1の成分がシリコン(Si)の場合に第2の成分としてチタン(Ti)を含むことができ、第1の成分がチタン(Ti)の場合に第2の成分としてジルコニウム(Zr)又はシリコン(Si)を含むことができる。
【0034】
第2の物質層120も、前記第1の物質層110と同様に、少なくとも一つの原子層(以下、第2の原子層:120a〜120n)を含むことができる。第2の原子層120a〜120nも、ALD方式、熱的ALD方式、PEALD方式又はパルスPEALD方式により形成できる。
【0035】
図5a乃至
図5cは、本発明の一実施例による第2の物質層を構成する原子層を形成するための工程サイクルを示すタイミング図である。
【0036】
図5aを参照すれば、まず、第2のソースを一定時間供給して、前記第2の成分の原子を下部のレイヤーに吸着させる。前記下部のレイヤーは、前記第1の物質層110、或いは、既に蒸着された第2の原子層120a〜120nであり得る。
【0037】
ここで、第2の成分がチタン(Ti)の場合、第2のソースとしては、CP-Ti(Tetrakis(dimethylamino)Titanium:Ti[N(CH
3)
2]
4)、TEMA-Ti(Tetrakis(ethylmethylamino)Titanium:Ti[N(CH
3)(C
2H
5)]
4、TTIP(Titanium Tetraisopropoxide : Ti[O(CH(CH
3)
2)]
4)、TiCl
4(Titanium Tetrachloride)、又はTDMAT (Tetrakis(dimethylamino)Titanium:Ti[N(CH
3)
2]
4)ソースが用いられる。
【0038】
前記第2の成分がジルコニウムの場合、第2のソースとしては、Cp-Zr(Cyclopentadienyl Tris(dimethylamino)Zirconium:CpZr[N(CH
3)
2]
3又はEthylcyclopentadienyl Tris(ethylmethylamino)Zirconium:((C
2H
5)C
5H
4)Zr[N(CH
3)C
2H
5]
3)、TEMA-Zr(Tetrakis(ethylmethylamino)Zirconium:Zr[N(CH
3)(C
2H
5)]
4)、又はZrCl
4(Zirconium Tetrachloride)ソースが用いられる。
【0039】
第2の成分がシリコンの場合、第2のソースとしては、BDEAS(Bis(diethylamino)Silane:H
2Si[N(C
2H
5)
2]
2)、3DMAS(Tris(dimethylamino)Silane:HSi[N(CH
3)
2]
3)、4DMAS(Tetrakis(DiMethylAmido)Silane:Si[N(CH
3)
2]
4)又はDIPASDi(isoprophylamino)Silane/H
3Si[N(C
3H
7)])ソースが用いられる。
【0040】
次に、未反応の前記第2の成分の原子は、パージステップにより除去される。
【0041】
その後、反応ガスソースを一定時間供給する。反応ガスソースとしてはO
2ソース、H
2Oソース又はO
3ソースが用いられる。第1の物質層110の蒸着方法と同様にO
2ソースが反応ガスソースとして用いられ、熱的ALDの場合はH
2Oソース又はO
3ソースが反応ガスソースとして用いられる。
【0042】
前記反応ガスソースを構成する原子は、前記下部レイヤーに吸着された第2の成分の原子と反応される。
【0043】
その後、未反応の酸素原子がパージ工程により除去されることで、第2の成分及び酸素成分を含む第2の原子層120a〜120nが形成される。すなわち、第2の原子層120a〜120nの各々は、第2のソースを提供するステップ、パージするステップ、反応ガスソースを提供するステップ及びパージするステップを一つの第2の原子層を形成するための工程サイクルとして設定できる。また、前記工程サイクルを少なくとも1回繰り返すことで、複数の原子層を含む前記第1の物質層110が形成できる。
【0044】
場合に応じて、反応ガスソースは、
図5bに示すように、蒸着サイクルの間に持続的に提供され得る。
【0045】
また、
図5a及び
図5bに示すように、、前記工程サイクルにおいてプラズマが印加され得る。前記第1のソースを構成する原子及び反応ガスソースが実質的に反応する区間の間に持続的に供給され得る。
【0046】
一方、
図5cに示すように、前記プラズマは、前記第2のソースを構成する原子及び反応ガスソースが実質的に反応する区間の間に複数のパルス形態で提供され得る。
【0047】
前記第2の物質層120も、第2の原子層120a〜120nの形成工程を少なくとも1回以上繰り返して、ラミネート形態で構成され得る。
【0048】
また、本実施例の複合膜100は、少なくとも一つの第1の原子層110a〜110nからなる第1の物質層110を形成するステップと、少なくとも一つの第2の原子層120a〜120nからなる第2の物質層120を形成するステップとを一つの蒸着サイクルとして設定し、前記蒸着サイクルを少なくとも1回繰り返して、複合膜100が形成できる。
【0049】
また、本発明の実施例による第1の物質層110及び第2の物質層120は、ALDに基づいた蒸着方式により形成されるため、低温、例えば、50℃〜300℃の温度で蒸着できる。場合に応じて、チタンソースとして熱分解特性が高いTDMAT(Tetrakis(dimethylamino)Titanium:Ti[N(CH
3)
2]
4)を用いる場合には、250℃以下の温度で蒸着することが好ましい。
【0050】
図6a乃至
図6cは、本発明の実施例による複合膜の適用例を示す断面図である。
【0051】
図6aに示すように、被エッチング層108上に少なくとも一つの原子層を含む第1の物質層110及び第2の物質層120を交互に積層して複合膜100が形成できる。前記複合膜100は、被エッチング層108上に形成された後、適切な形態でパターニングされ得る。その後、被エッチング層108は、前記複合膜100をハードマスクとして用いて、所定の形態でエッチングされることができる。
【0052】
図6bに示すように、第1の物質層110及び第2の物質層120が交互に積層されて構成された複合膜100上に被エッチング層130が形成され得る。次いで、被エッチング層130を一括エッチング工程又は所定の形態でパターニングする際、前記複合膜100は、前記被エッチング層130のエッチング選択比の差によってエッチストッパーとして用いられる。
【0053】
また、
図6cに示すように、第1の物質層110及び第2の物質層120が交互に積層されて構成された複合膜100は、パターン140の側壁に形成されてスペーサーとして用いられる。
【0054】
第1の物質層110を構成する第1の原子層110a〜110nの積層数及び第2の物質層120を構成する第2の原子層120a〜120nの積層数を変更して、複合膜100の第1の成分及び第2の成分間の成分比が調節できる。
【0055】
図7は、本発明の一実施例による第1及び第2の原子層の層数に従う第1の成分及び第2の成分の成分比の変化を示すグラフである。
【0056】
例えば、
図7は、第1の物質層をジルコニウム酸化膜(ZrO
2)として設定し、第2の物質層をチタン酸化膜(TiO
2)として設定した状態の結果グラフである。
【0057】
図7に示すように、第1の物質層110に該当するジルコニウム酸化膜(ZrO
2)を七つの原子層として構成し、第2の物質層120に該当するチタン酸化膜(TiO
2)を一つの原子層として構成する場合、複合膜100の第1の成分(Zr):第2の成分(Ti)の成分比は90%:10%を示す(a)。ここで、第1の成分(Zr):第2の成分(Ti)の成分比は、複合膜から酸素成分の比率を除去し、第1の成分及び第2の成分の総合を100%とした時の比率である。以下、第1及び第2の成分の成分比とは、酸素成分を排除し、第1及び第2の成分の総合を100%としたものと理解すれば良い。
【0058】
一方、第1の物質層110に該当するジルコニウム酸化膜(ZrO
2)を1つの原子層として構成し、第2の物質層120に該当するチタン酸化膜(TiO
2)を五つの原子層として構成する場合、複合膜100の第1の成分(Zr):第2の成分(Ti)の成分比は22%:78%を示す(b)。
【0059】
すなわち、
図7の実験結果によれば、原子層の積層回数が増大するほど、該当物質層の成分比が増加することが分かる。
【0060】
表1及び表2は、本発明の実施例による複合膜の粗さ特性を示す表である。ここで、表1は、第1の物質層としてジルコニウム酸化膜(ZrO
2)が用いられ、第2の物質層としてチタン酸化膜(TiO
2)が用いられる例を示す。表2は、第1の物質層としてシリコン酸化膜(SiO
2)が用いられ、第2の物質層としてチタン酸化膜(TiO
2)が用いられる例を示す。
【0062】
前記表1によれば、ジルコニウム(Zr)―酸素(O
2)成分だけで構成されたジルコニウム酸化膜(ZrO
2:100%)の場合、粗さ特性(Rq、roughness)は0.603Åで測定され、チタン(Ti)―酸素(O
2)成分だけで構成されたチタン酸化膜(TiO
2:100%)の場合、粗さ特性(Rq)は0.269Åで測定された。
【0063】
反面、ラミネート構造を有するジルコニウム酸化膜(ZrO
2)及びチタン酸化膜(TiO
2)が交互に積層された複合膜の場合(Zr:Ti=90%〜7%:10%〜93%)、複合膜の表面粗さ特性(Rq)は0.151〜0.143Åの範囲を持つのが測定された。
【0064】
前記の結果によれば、ジルコニウム酸化膜(ZrO
2)又はチタン酸化膜(TiO
2)を別個に使用する場合よりも、これらを積層して複合膜100を構成する場合の方が、表面粗さ特性が優れることが分かる。
【0066】
同様に、前記表2に示すように、チタン酸化膜(TiO
2:100)単独で用いられる場合よりも、シリコン酸化膜及びチタン酸化膜の複合膜で構成する場合の方が、表面粗さ特性が0.122〜0.191水準で優れた表面粗さ特性を持つことが観察された。
【0067】
特に、表2によれば、シリコン酸化膜(SiO
2)及びチタン酸化膜(TiO
2)を積層して複合膜を構成する場合、シリコン酸化膜(SiO
2)及びチタン酸化膜(TiO
2)の成分比が70%:30%〜20%:80%の範囲である時、安定的な表面粗さ特性を持つことが分かる。
【0068】
このように、複合膜100の粗さ特性は、一般の絶縁膜の適用時にも重要であるが、スペーサーとして適用時により重要なファクターとなる。現在のマスクパターンとして、露光限界値より小さな線幅が要求されているため、マスク膜の表面が不規則な場合、所望の形態のパターンを限定するのは難しいと同時に、粗さ部分までパターンの線幅として寄与され得る。したがって、微細パターンを製造するためのマスク膜として複合膜が用いられる場合、低い粗さ(0〜2Å)を持つように第1及び第2の成分を調節することが重要である。
【0069】
図8は、本発明の一実施例による複合膜の結晶性の変化を示すグラフである。
図8は、多様な成分比を有する複合膜の熱処理の後、インテンシティ(intensity)の変化を示す。
図8の実験は、第1の物質層としてジルコニウム酸化膜(ZrO
2)を用い、第2の物質層としてチタン酸化膜(TiO
2)を用いる。また、前記熱処理工程は、例えば、2torr圧力及びArガスを約2000sccm程度供給した状態で、400℃温度で30分間進行した。本実験において、熱処理工程は、複合膜形成の後、後続の工程時に進行される付加的な熱処理過程により複合膜の性質が可変するかを確認するために、後続の工程と同一の条件を付与するための付加的な工程に該当し得る。
【0070】
図8を参照すれば、チタン酸化膜(TiO
2)だけで構成された複合膜の場合、20〜30シータ(theta)範囲でチタン酸化膜(TiO
2)が結晶質に急変することが観察される。同様に、ジルコニウム酸化膜(ZrO
2)だけで構成された複合膜の場合も、30〜40シータ範囲でジルコニウム酸化膜(ZrO
2)が結晶質に急変することが観察される。
【0071】
一方、複合膜がジルコニウム酸化膜及びチタン酸化膜の積層膜で構成され、複合膜を構成するジルコニウム(Zr)及びチタン(Ti)の成分が88%〜13%:12%〜87%の範囲である場合、結晶化が発生しない(インテンシティが急に増大する現象は発生しない)ことが観察された。
【0072】
これにより、ジルコニウム酸化膜(ZrO
2)又はチタン酸化膜(TiO
2)単独で複合膜を構成する場合よりも、ジルコニウム酸化膜(ZrO
2)及びチタン酸化膜(TiO
2)を全部含むように複合膜を構成する場合の方が、結晶化特性面において優れることが分かる。
【0073】
前記実験によれば、複合膜に含まれた第1の成分及び第2の成分の比率によって結晶性が変化することが観察された。これにより、複合膜の成分比によって表面粗さが制御できる。
【0074】
図9は、本発明の一実施例による複合膜の成分比に従うWER(wet etch rate)及びDER(dry etch rate)の相関関係を示すグラフである。本実験でも、第1の物質層としてジルコニウム酸化膜(ZrO
2)を適用し、第2の物質層としてチタン酸化膜(TiO
2)を適用した。
【0075】
図9を参照すれば、複合膜は、第1の物質層であるジルコニウム酸化膜(ZrO
2)の比率が増大するほど、複合膜の乾式エッチング比が増大することが観察された。一方、第2の物質層であるチタン酸化膜(TiO
2)の比率が増大するほど、湿式エッチング速度が速くなることが観察された。
【0076】
ここで、湿式エッチング速度が速いとは、マスクの役割を遂行した後、容易に除去が可能であるという意味である。
【0077】
したがって、本グラフによれば、第1の成分及び第2の成分の調節により、複合膜の乾式エッチング比特性が調節できると同時に、湿式エッチング速度も容易に調節できる。
【0078】
図10は、本発明の一実施例による複合膜の蒸着時、RFパワーに従う蒸着均一度も示すグラフである。
【0079】
本実験は、本実施例の複合膜をPEALD方式により蒸着する際、プラズマを生成するためのRFパワーを各々200W、150W、100W及び50Wに変更しながら複合膜の蒸着厚さの変化を測定したものである。
【0080】
実験の結果、RFパワーが低いほど、複合膜の厚さの変化が小さいことが観察された。これにより、複合膜の厚さ均一度を確保するために、複合膜の蒸着時、50W〜300W範囲のRFパワーを印加することが好ましい。
【0081】
図11は、本発明の一実施例による複合膜の蒸着時、周波数及びプラズマ印加方式(パルス内プラズマ印加比率)の変化に従う複合膜の厚さ均一度を示すグラフである。
【0082】
本実験は、複合膜の蒸着時、プラズマ発生のためのパルス周波数及びデューティタイム(例えば、プラズマ印加比率)の変更に従う複合膜の厚さ変化量を測定したものである。
【0083】
図11を参照すれば、同一のプラズマデューティタイム(duty time)に基づいて、パルス周波数を100Hz、1KHz及び10KHz帯域に変更させる場合、各周波数帯域別複合膜の厚さの差はあまり大きくないことが観察された。
【0084】
反面、同一の周波数帯域においてプラズマデューティタイムを10%、50%及び90%に各々変更させた場合、プラズマデューティタイムによって複合膜の厚さ均一度が著しく変化することが観察された。
【0085】
このような実験の結果により、パルス周波数を100Hz〜10KHzで印加した状態で、プラズマデューティタイムを10〜50%の範囲に調節した時、優れた蒸着均一度が確保できることが分かる。
【0086】
図12は、本発明の一実施例による複合膜及び個別膜の乾式エッチング選択比を示すグラフである。
【0087】
図12において、L1はジルコニウム(Zr)及びチタン(Ti)の成分比が88%:21%であるジルコニウム酸化膜及びチタン酸化膜(ZrO
2−TiO
2)で構成された第1の複合膜を示し、L2はジルコニウム(Zr)及びチタン(Ti)の成分比が13%:87%であるジルコニウム酸化膜及びチタン酸化膜(ZrO
2−TiO
2)で構成された第2の複合膜を示す。また、本実験は、プラズマエッチング工程下でエッチング選択比を測定したものである。
【0088】
図12によれば、第1の複合膜(L1)及びシリコン酸化膜(SiO
2)は、シリコン酸化膜(SiO
2)用エッチングガスに対して1:226のエッチング選択比を持つのが測定された。また、第1の複合膜(L1)及びシリコン酸窒化膜(SiON)は、シリコン酸窒化膜(SiON)用エッチングガスに対して1:22のエッチング選択比を持つのが測定された。第1の複合膜(L1)及びシリコン窒化膜(SiN)は、シリコン窒化膜(SiN)用エッチングガスに対して1:8のエッチング選択比を持つのが測定された。
【0089】
一方、第2の複合膜(L2)及びシリコン酸化膜(SiO
2)は、シリコン酸化膜(SiO
2)用エッチングガスに対して1:8のエッチング選択比を持つのが測定された。第2の複合膜(L2)及びシリコン酸窒化膜(SiON)も、シリコン酸窒化膜(SiON)用エッチングガスに対して1:8のエッチング選択比を持つのが測定された。第2の複合膜(L2)及びシリコン窒化膜(SiN)は、シリコン窒化膜(SiN)用エッチングガスに対して1:4のエッチング選択比を持つのが測定された。
【0090】
前記実験の結果により、第1及び第2の複合膜(L1、L2)は、代表的な絶縁膜成分であるシリコン酸化膜(SiO
2)、シリコン酸窒化膜(SiON)及びシリコン窒化膜(SiN)に対して、最小4倍以上のエッチング選択比が確保できることが分かる。
【0091】
また、強いエネルギーが照射されるプラズマエッチング工程下において、上記のように優れたエッチング選択比が確保できるというのは、前記第1及び第2の複合膜(L1、L2)が一般の絶縁膜に比べて優れた硬度特性を持つのを示唆する。これにより、スペーサー、ハードマスク膜及びにエッチストッパーとして用いることが可能である。
【0092】
図13及び
図14は、本発明の一実施例による複合膜の成分比対複合膜の硬度特性を示すグラフである。
【0093】
図13は、ジルコニウム(Zr)及びチタン(Ti)の成分比に従うジルコニウム酸化膜(ZrO
2)及びチタン酸化膜(TiO
2)の複合膜の硬度特性を示す。
図13によれば、ジルコニウム(Zr)の含有量が高いほど複合膜の硬度が増大することが確認できる。
【0094】
図14は、シリコン(Si)及びチタン(Ti)の成分比に従うシリコン酸化膜(SiO
2)及びチタン酸化膜(TiO
2)の複合膜の硬度特性を示す。
図14によれば、チタン(Ti)の含有量が高いほど複合膜の硬度が増大することがを確認できる。
【0095】
図15a乃至
図15dは、本発明の一実施例による微細パターン形成方法を説明するための各工程別断面図である。
【0096】
現在、半導体集積回路装置は、露光限界以下の線幅を有する微細マスクパターンが用いられ、微細マスクパターンはダブルパターニングマスク技法又はスペーサーマスク技法により限定されている。微細マスクパターンは、露光限界以下の線幅を維持しなければならないため、粗さ特性及び高いエッチング選択比特性が同時に要求される。より具体的には、現在の微細マスクパターンの線幅が10nm以下の線幅を要求するため、高い表面粗さ(例えば、2Å以上)の発生時、微細パターンの機能を達成し難い。一方、前記微細マスクパターンは、狭い線幅を有するため、被エッチング層に対してエッチング選択比が非常に重要である。すなわち、エッチング選択比特性が確保されない場合、被エッチング層とエッチングと同時に除去されてしまうため、エッチング選択比及び蒸着均一度が粗さ特性と共に確保されなければならない。
【0097】
本実施例では、前記
図7乃至
図14で記述された実験条件に基づいて、複合膜の最適の成分比及び最適の工程条件により、複合膜を用いた微細マスクパターンを製造しようとする。
【0098】
図15aを参照すれば、半導体基板200上に被エッチング層205を蒸着する。被エッチング層205はシリコン酸化膜、シリコン窒化膜、シリコン酸窒化膜又はこれらの組合せ膜であり得る。被エッチング層205上に犠牲パターン210が形成できる。犠牲パターン210は被エッチング層205に比べて容易に除去可能な物質で形成され得る。ここで、犠牲パターン210の線幅は以後に形成される微細パターン間の間隔になり得る。
【0099】
犠牲パターン210が形成された被エッチング層205上に複合膜220を形成する。複合膜220は、前記
図1a乃至
図5cの構造及び製造方法により形成され得る。例えば、複合膜220は、それを構成する第1の成分がジルコニウム(Zr)であり、第2の成分がチタン(Ti)である場合、90%:10%〜7%:93%程度又は90%:10%〜88%:12%の比率を持つことができる。また、第1の成分がシリコン(Si)であり、第2の成分がチタン(Ti)である場合、70%:30%〜20%:80%程度の比率を持つことができる。このような成分比は前記第1及び第2の原子層の蒸着回数によって調節できる。また、複合膜220は50℃〜300℃の温度範囲でPEALD方式により蒸着できる。また、前記プラズマ印加時、パルス周波数を100Hz〜10kHzの範囲で設定し、プラズマパルスデューティータイムを10〜50%で設定し、RFパワーを50W〜300Wで設定できる。
【0100】
複合膜220の厚さは、以後に形成される微細パターンの線幅を考慮して決定され得る。また、複合膜220は、前述したALD方式により原子層単位に蒸着が可能なので、10nm以下の薄膜で蒸着が可能である。
【0101】
図15bを参照すれば、前記複合膜220を犠牲パターン210の表面が露出するように非等方性エッチングして、前記犠牲パターン210の両側にスペーサー220aを形成する。
【0102】
図15cを参照すれば、前記犠牲パターン210を選択的に除去する。これにより、前記スペーサー220aのみが残る。
【0103】
図15dを参照すれば、前記スペーサー220aを用いて、露出された被エッチング層205をエッチングして、微細線幅を持つパターン205aを形成する。
【0104】
その後、図面に示していないが、前記スペーサー220aを公知の方法により選択的に除去する。