(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明について図面を参照しながら説明する。なお、以下で説明する実施形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。本発明は、以下の実施形態に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0013】
<水栓の構造>
図1は本発明の水栓10の斜視図であり、
図2は水栓10の分解斜視図である。本発明の水栓10は、水栓本体20と、バルブ30と、ハンドル40と、ロック機構50と、電源60とを備える。
【0014】
水栓本体20は、水が流入する流入口21と、水が吐出される吐出口22と、電源60を収容する電源収容部23と、電源収容部23を覆う電源カバー24とを備えている。
【0015】
水栓本体20の上部には開口部25が形成されており、開口部25の内周面には雌ネジ26が形成されている。開口部25の周囲には、後述するモータ55を収容するためのモータ収容部27が形成されている。
【0016】
水栓本体20内には通水路(不図示)が設けられており、通水路は、流入口21側の第一通水路と、吐出口22側の第二通水路とから成る。第一通水路と第二通水路との間には、第一通水路と第二通水路とを連通させる開口を備えた弁座(不図示)が形成されている。流入口21から流入した水は、第一通水路、弁座の開口、第二通水路の順に流れ、吐出口22から吐出される。
【0017】
バルブ30は、軸部材31と、軸部材31の一方側に設けられ、通水路の弁座に離着座される弁体32と、軸部材31の他方側に設けられた連結部材33と、を備えている。軸部材31の軸方向略中央には、水栓本体20の雌ネジ26と螺合する雄ネジ311が形成されている。連結部材33は筒状部材から構成されており、軸部材31に相対回転不能に取り付けられている。連結部材33の内周面には雌ネジ331が形成されている。連結部材33の外周面には軸方向に延びる複数の凹凸(セレーション)332が周方向に形成されている。連結部材33は、後述するラチェット歯部材51の筒部内に挿入される。
【0018】
バルブ30は、軸部材31の雄ネジ311を水栓本体20の雌ネジ26に螺合させることにより水栓本体20に取り付けられる。これにより、バルブ30は水栓本体20に対して回転しながら軸方向に移動可能となる。そして、バルブ30を軸方向に移動させることにより、弁体32を弁座に離着座させることができる。弁体32を弁座に着座させると弁座の開口が塞がれ、流入口21から流入した水は弁体32によって止められる。その結果、吐出口22から水が吐出しないようになる。一方、弁体32を弁座から離座させることにより弁座の開口が開かれる。その結果、第一通水路と第二通水路とが連通し、流入口21から流入した水は吐出口22から吐出されるようになる。
【0019】
ハンドル40は、有頂筒状部材から構成されており、頂部41の略中央には開口部42が形成されている。開口部42にはボルト70が挿入され、ボルト70は連結部材33の雌ネジ331と螺合される。これにより、ハンドル40とバルブ30とが連結され、ハンドル40の回転操作に伴い、バルブ30も回転する。
【0020】
ロック機構50は、ラチェット機構を有している。ロック機構50は、ラチェット歯部材51と、ラチェット歯止め52と、線バネ53と、カム54と、モータ55とを備えている。
【0021】
モータ55は、モータ収容部27に収容されている。モータ55にはパッキン56を介してモータボックス57が被せられる。モータボックス57は、水栓本体20にボルト等によって固定される。モータボックス57には、ラチェット歯止め52を取り付けるための開口部571、線バネ53を取り付けるための開口部572、モータ55の軸部を挿通させるための開口部573およびカム止め574が形成されている。カム止め574はモータボックス57の上面から突出した段差部である。
【0022】
モータ55は、水栓本体20の電源収容部23に収容された電源60と電気的に接続されている。本実施形態では、電源60は、例えば充電式または非充電式乾電池などの携帯型電源である。なお、電源60は携帯型電源に限定されない。
【0023】
モータ55の軸部は開口部573を通って、モータボックス57の上面から突出している。モータボックス57の上面にはカム54が配置されており、カム54はモータ55の軸部に取り付けられている。これにより、カム54はモータ55の回転駆動に伴い回転する。カム54はカム止め574に当接することでそれ以上回転しないようになっている。
【0024】
ラチェット歯部材51は、外周面全周にラチェット歯511が形成された筒状部材から構成されている。ラチェット歯部材51の筒部内には、連結部材33が挿入される。こうして、ハンドル40とラチェット歯部材51とは、ボルト70および連結部材33を介して間接的に連結される。連結部材33の外周面には複数の凹凸332が形成されているため、連結部材33の外周面とラチェット歯部材51の内周面との間の摩擦力によって、連結部材33とラチェット歯部材51とは相対回転不能となっている。よって、ハンドル40によりバルブ30を回転させたとき、バルブ30(ハンドル40)とラチェット歯部材51とは共に回転する。なお、連結部材33とラチェット歯部材51とは、別々の部材から構成するのではなく、一つの部材から構成されていてもよい。
【0025】
ラチェット歯止め52は、軸部材521と、ラチェット歯511に係合可能なラチェット爪522と、腕部523と、を有する。軸部材521は、モータボックス57に形成された開口部571に挿入されている。そして、ラチェット歯止め52は、モータボックス57に対して回転可能に保持される。ラチェット爪522および腕部523は軸部材521の上部に形成されており、ラチェット爪522と腕部523とは略直角を成している。
【0026】
線バネ53は、略中央が屈曲された線状のバネから成る。線バネ53は、一端がモータボックス57の開口部572に挿入され、他端は腕部523の外面に形成された窪み部524に当接している。線バネ53は、ラチェット爪522をラチェット歯511に向けて付勢している。
【0027】
図3(a)および
図3(b)はロック状態を表す透視平面図である。
図4は、アンロック状態を表す透視平面図である。
【0028】
ロック機構50は、モータ55を回転駆動することにより、カム54を回転させる。そして、回転するカム54がラチェット歯止め52の腕部523に当接することにより、ラチェット歯止め52はカム54と共に回転する。
【0029】
図3(a)および(b)に示す状態では、カム54はラチェット歯止め52に力を及ぼしておらず、ラチェット歯止め52のラチェット爪522は線バネ53によってラチェット歯511に向けて付勢され、ラチェット歯511とラチェット爪522とは係合している。
【0030】
図3(a)に示すように、ラチェット歯511とラチェット爪522とが係合した状態で、吐水方向(
図3(a)において矢印Aで示す)にハンドル40を回転させようとしたとき、ラチェット爪522がラチェット歯511に食い込む。そのため、ラチェット歯511はラチェット爪522を乗り越えることができず、ラチェット歯511は回転することができない。したがって、ラチェット歯511とラチェット爪522とが係合した状態では、ハンドル40およびバルブ30を吐水方向Aに回転させることはできず、吐水を行うことはできない。
【0031】
一方、
図3(b)に示すように、止水方向(
図3(b)において矢印Bで示す)にハンドル40を回転させたとき、ラチェット歯511は、ラチェット爪522に作用する線バネ53の弾性力に抗してラチェット爪522を乗り越え回転する。そのため、ハンドル40およびバルブ30を止水方向Bに回転させることができ、止水を行うことができる。
【0032】
このように、ロック状態においては、バルブ30(ハンドル40)の吐水操作は規制されているが、止水操作は許容されている。
【0033】
モータ55を駆動し、カム54を
図3(b)に示す矢印C方向に回転させる。カム54はラチェット歯止め52の腕部523に当接した後、線バネ53の弾性力に抗してラチェット歯止め52を
図4に示す位置まで回転させる。
図4に示す状態は、ラチェット歯511とラチェット爪522とが係合解除された状態であり、アンロック状態を表す。なお、カム54は、例えば線バネ53の弾性力、センサによるカム54の位置の検出またはモータ55の回転角度制御(ステッピングモータの使用)などにより、
図4の位置で停止するよう制御されている。アンロック状態では、ラチェット歯511とラチェット爪522とは係合していないため、バルブ30(ハンドル40)を吐水方向Aおよび止水方向Bのどちらへも回転させることができる。
【0034】
なお、アンロック状態からロック状態に切り替えるためには、カム54を
図4に示す矢印Dの方向へ回転させる。カム54が矢印D方向に回転すると、線バネ53の弾性力(復元力)により、ラチェット歯止め52は自動的に矢印D方向に回転し、ラチェット爪522はラチェット歯511と係合する。
【0035】
このように、本実施形態の水栓10は、ロック機構50によって、バルブ30およびハンドル40を止水方向Bにのみ回転させることができる状態と、バルブ30およびハンドル40を吐水方向Aおよび止水方向Bの両方に回転させることができる状態とに切り替えることができる。すなわち、水栓10は、ロック状態では、吐水操作は規制されているが止水操作は許容されており、アンロック状態では、吐水操作および止水操作のいずれも許容されている。そのため、ロック状態において吐出口22から水が吐出している場合でも、ハンドル40を止水方向Bに回転させるだけで止水を行うことができる。水栓10は、建物の屋外に設置される屋外用水栓として特に有用である。
【0036】
<水栓の構造の変形例>
ハンドル40は螺合による回転式ではなくレバー式であってもよい。レバー式ハンドルの場合、バルブ30はレバーの上下動に伴って軸方向に移動する構造が採用される。
【0037】
ロック状態において、止水方向にハンドル40を回転させたときにはバルブ30も共に回転するが、吐水方向にハンドル40を回転させたときには、ハンドル40とバルブ30との連結が解除され、ハンドル40のみが吐水方向に回転する(すなわち、ハンドル40が空回りする)ようにしてもよい。この場合も、ハンドル40を吐水方向に回転させてもバルブ30は吐水方向には回転しないため、吐水操作は規制され、盗水を防止することができる。
【0038】
ロック機構50は、ロック状態において、吐水方向および止水方向のいずれにもハンドル40およびバルブ30が回転しないような構造であってもよい。すなわち、ロック機構50は、ロック状態において、吐水操作と止水操作のいずれもが規制された構造であってもよい。
【0039】
<水栓の制御システム>
[第一実施形態]
以下では、水栓10の制御するための制御システムについて説明する。水栓10は、制御手段80をさらに備えている。制御手段80は水栓本体20内に格納されている。ユーザが情報端末90を操作して水栓10に信号を送信することにより、制御手段80によってロック機構50のロック動作およびアンロック動作などが実行される。情報端末90は、例えばスマートフォンやタブレットなどの携帯型情報端末が想定される。
【0040】
図5に示すように、制御手段80は、通信部81と、制御部82と、記憶部83とを備える。
【0041】
通信部81は、情報端末90との間で無線通信を行う。通信部81は、情報端末90からの信号を受信し制御部82に送信する。通信部81は、水栓10の情報を情報端末90に送信するよう双方向無線通信可能に構成されていることが好ましい。無線通信の方式としては、例えばBluetooth(登録商標)などの近距離無線通信が挙げられる。近距離無線通信とは数十m以内の無線通信である。無線通信は移動体通信(例えば、4G)やWi−Fi(登録商標)などであってもよい。
【0042】
制御部82は、水栓10内の処理を制御する。制御部82は、例えば、通信部81からの信号によってモータ55の駆動制御を行う。
【0043】
記憶部83は、水栓10に関する情報を記憶する。記憶部83には、例えば、パスキー(PINコード)などの水栓10の識別IDが記憶される。
【0044】
図5に示すように、情報端末90は、通信部91と、制御部92と、記憶部93と、入力部94と、表示部95とを備える。
【0045】
通信部91は、水栓10の通信部81との間で無線通信を行う。通信部91は、例えば、水栓10にロック要求またはアンロック要求を送信する。
【0046】
制御部92は、水栓10からの情報に基づき、情報端末90内の処理を行う。
【0047】
記憶部93は、水栓10からの情報を記憶する。
【0048】
入力部94は、ユーザからの入力を受け付け、入力された情報を制御部92に送信する。入力部94は、例えばタッチパネルなどの触覚センサや、ボタンスイッチなどが挙げられる。
【0049】
表示部95は、ユーザに対して情報を出力表示するためのものである。表示部95は、例えば液晶ディスプレイなどである。
【0050】
以下では、Bluetooth(登録商標)を使用して、水栓10と情報端末90との無線通信を行う場合を例に挙げ説明する。ユーザは、水栓10と情報端末90との双方向無線通信を可能にするため、水栓10と情報端末90とのペアリングを行う必要がある。
図6に水栓10と情報端末90とのペアリングのシーケンス図を示す。情報端末90からペアリング要求を送信する(S200)。水栓10は情報端末90からのペアリング要求を受信すると、情報端末90にパスキー要求を送信する(S201)。ユーザには水栓10の販売者などから水栓10のパスキーがあらかじめ与えられている。ユーザは水栓10のパスキーを入力する(S202)。情報端末90は入力されたパスキーを水栓10に送信する(S203)。水栓10の制御部82は情報端末90から送信されたパスキーを記憶部83に記憶されたパスキーと照合する(S204)。照合の結果、一致すると判定した場合、リンクキーを生成する(S205)。水栓10は、リンクキーを情報端末90に送信する(S206)。情報端末90はリンクキーを保存する(S207)。これにより、水栓10と情報端末90とのペアリングが完了する(S208)。一旦ペアリングが完了すると、生成されたリンクキーによって水栓10と情報端末90とは互いを認識する。そのため、情報端末90が水栓10の通信範囲に入るだけで、再度パスキーを入力しなくても情報端末90と水栓10とは無線通信可能になる。
【0051】
水栓10の操作は、情報端末90にインストールされた専用アプリケーションソフト(以下、「アプリ」と表記)を使用して行われる。ユーザは情報端末90のアプリから、水栓10に処理要求を行うことができる。
図7に示すように、処理要求はロック機構50をロック状態にするロック要求またはアンロック状態にするアンロック要求などである。
【0052】
アンロックを行う場合、ユーザは、情報端末90の入力部94のアンロックボタンを押す。アンロックボタンが押されると、情報端末90はアンロック要求を水栓に送信する(S210)。水栓10の通信部81がアンロック要求を受信すると、制御部82は、ラチェット歯511とラチェット爪522とが係合解除状態となるよう、モータ55を駆動し(S211)、カム54を
図4に示す位置まで移動させる。
【0053】
ロックを行う場合、ユーザは、情報端末90の入力部94のロックボタンを押す。ロックボタンが押されると、情報端末90はロック要求を水栓10に送信する(S210)。水栓10の通信部81がロック要求を受信すると、制御部82は、ラチェット歯511とラチェット爪522とが係合状態となるよう、モータ55を駆動し(S211)、カム54を
図3に示す位置まで移動させる。なお、水栓10のロックは、ユーザがロックボタンを押すこと以外の方法によって実行されてもよい。例えば、制御手段80はタイマをさらに備えており、アンロック後、あらかじめタイマに設定された時間が経過してもロックボタンが押されなかった場合に、制御部82がモータ55およびカム54を駆動させてロックするようにしてもよい。あるいは、情報端末90が水栓10と無線通信可能な範囲から外れた場合、制御部82がモータ55およびカム54を駆動させてロックするようにしてもよい。
【0054】
本発明の水栓10では、情報端末90からの遠隔操作によって、ロック機構50を作動させ、吐水操作が規制されたロック状態と、吐水操作が許容されたアンロック状態とに切り替えることができる。そのため、ユーザは、ロック状態とアンロック状態とを切り替えるために、水栓10の設置場所まで行く必要がない。
【0055】
また、水栓10のパスキーが与えられていないユーザは水栓10とペアリングを行うことができないため、ロック機構50のロック操作およびアンロック操作を行うことができない。こうして、水道を使用可能なユーザを限定することができると共に、盗水を防止することができる。したがって、例えばマンションなどの集合住宅であれば、その集合住宅の居住者のみに水栓10のパスキーを付与すれば、その集合住宅に設置された水道はその集合住宅の居住者のみが使用することができる。
【0056】
なお、水栓10と情報端末90との接続はBluetooth(登録商標)に限定されない。また、水栓10の識別IDは、ユーザ自身があらかじめ設定し、記憶部83に記憶させておくようにしてもよい。この場合、水栓10の制御部82は、情報端末90から送信されたIDと、ユーザ自身によって設定され且つ記憶部83に記憶された識別IDとの照合を行い、照合の結果、一致すると判定した場合、情報端末90を認証し、情報端末90からの要求を実行する。
【0057】
[第二実施形態]
水栓10の制御システムの第二実施形態について説明する。
【0058】
制御手段80は、情報端末90からの処理要求に対し、処理結果に基づく情報を情報端末90に送信するよう構成されていてもよい。処理結果に基づく情報とは、処理要求がロック要求である場合には、ロック機構50のロック状況情報(ロック状態であるかアンロック状態であるか)である。
図8(a)に示すように、情報端末90は水栓10に処理要求を行う(S220)。制御手段80は、情報端末90からの処理要求を実行する(S221)。制御手段80は、処理結果に基づく情報を情報端末90に送信(S222)する。情報端末90は処理結果に基づく情報を記憶部93に記憶すると共に、表示部95に出力表示する(S223)。
【0059】
図8(b)に示すように、制御手段80は、情報端末90からの情報要求(S230)に基づいて、情報端末90に水栓10の状態を示す情報を送信(S231)するよう構成されていてもよい。情報端末90は水栓10の状態を示す情報を記憶部93に記憶すると共に、表示部95に出力表示する(S232)。水栓10の状態を示す情報とは、例えばロック機構50のロック状況情報、電源(携帯型電源)60の電源残量情報または使用水量情報などである。
【0060】
水栓10の処理結果または水栓10の状態を検出するため、制御手段80は検出手段を備えていている。この検出手段としては、例えば、
図9に示すように、電源残量計測部84、ロック状況検出部85、流量計測部86などである。
【0061】
電源残量計測部84は、電源(携帯型電源)60と接続され、電源60の残量を計測する。電源残量計測部84は、電圧測定方式やクーロンカウンタ方式など公知の電源残量計測方法を使用することができる。情報端末90から水栓10に電源残量要求を行うと、水栓10から情報端末90に電源60の電源残量情報が送信される。情報端末90は電源残量情報を記憶部93に記憶すると共に、表示部95に出力表示する。こうして、ユーザは、電源60の充電時期または取り替え時期を知ることができる。
【0062】
ロック状況検出部85は、ロック機構50がロック状態であるかアンロック状態であるかを検出する。ロック状況検出部85には、例えば、カム54またはラチェット歯止め52の位置を検出するセンサを使用することができる。センサは特に限定されず、接触式センサ、または、光学センサなどの非接触式センサを使用することができる。
【0063】
以下では、カム54がロック位置(
図3参照)に存在することを検出するロック検出部851と、カム54がアンロック位置(
図4参照)に存在することを検出するアンロック検出部852とを備えた水栓10を例に挙げ説明する。
【0064】
カム54がロック位置にあることをロック検出部851が検出しているとき、制御部82はモータ55と電源60との電気的接続を遮断する。また、水栓10はロック状態であることを情報端末90に送信する。情報端末90はロック状態であることを記憶部93に記憶する。水栓10の通信部81が情報端末90からのアンロック要求を受信すると、制御部82はモータ55と電源60とを電気的に接続すると共に、モータ55を駆動し、アンロック位置までカム54を回転させる。アンロック検出部852がカム54を検出すると、制御部82はモータ55と電源60との電気的接続を遮断する。そして水栓10はアンロック状態であることを情報端末90に送信する。情報端末90はアンロック状態であることを記憶部93に記憶する。アンロックの状態で、水栓10の通信部81が情報端末90からのロック要求を受信した場合には、制御部82はモータ55と電源60とを電気的に接続すると共に、モータ55を駆動し、ロック位置までカム54を回転させる。ロック検出部851がカム54を検出した後の流れは上記の通りである。
【0065】
このように、情報端末90から水栓10にロック要求またはアンロック要求を送信した後、その処理結果として水栓10から情報端末90にロック状況情報が通知される。また、情報端末90から水栓10にロック状況要求を送信すると、水栓10は情報端末90にロック状況情報を通知する。これにより、ユーザは、ロック機構50がロック状態であるのかアンロック状態であるのかを知ることができる。
【0066】
ロック検出部851およびアンロック検出部852の両方を使用するのではなく、いずれか一方のみを使用するようにしてもよい。この場合、制御手段80はタイマをさらに備えている。例えば、ロック検出部851のみを使用する場合、水栓10が情報端末90からアンロック要求を受信すると、水栓10の制御部82は、モータ55と電源60とを電気的に接続すると共に、モータ55を駆動し、カム54を回転させる。カム54が回転することにより、ロック検出部851がカム54を検出しなくなる。そして、タイマにあらかじめ設定された所定時間が経過した後、制御部82は自動的にモータ55と電源60との電気的接続を遮断する。そして水栓10は情報端末90にアンロック状態であることを送信する。タイマに設定する所定時間は、カム54がロック位置からアンロック位置まで移動する時間をあらかじめ計測しておき、その時間以上の時間を設定する。アンロックの状態で、水栓10がロック要求を受信すると、制御部82はモータ55を駆動させカム54をロック位置まで移動させる。ロック検出部851によってカム54を検出すると、制御部82はモータ55と電源60との電気的接続を遮断する。そして水栓10は情報端末90にロック状態であることを送信する。アンロック検出部852のみを使用した場合も、同様である。
【0067】
流量計測部86は、通水路に設置され、吐出される水量(使用水量)を計測する。流量計測部86には、公知の流量計を使用することができる。情報端末90から水栓10に使用水量要求を送信すると、水栓10は情報端末90に使用水量情報を通知する。情報端末90は記憶部93に使用水量情報を記憶する。これにより、ユーザは使用水量を知ることができる。
【0068】
[第三実施形態]
水栓10の制御システムの第三実施形態について説明する。
【0069】
図10に示すように、制御システムはサーバ100を備えていてもよい。水栓10の情報は情報端末90からサーバ100へと送られ、サーバ100に保存される。
【0070】
第三実施形態の制御手段80は、第二実施形態と同様に、水栓10の処理結果または水栓10の状態を検出するための検出手段として、電源残量計測部84、ロック状況検出部85、流量計測部86などを備えていてもよい。
【0071】
情報端末90は、サーバ100との無線通信を行う第二通信部96をさらに備える(第三実施形態では、通信部91を第一通信部91と表記する)。情報端末90の第二通信部96とサーバ100とは移動体通信(例えば、4G)やWi−Fi(登録商標)など公知の手段によって無線通信する。
【0072】
図11に示すように、ユーザはユーザ識別情報(例えばユーザID)を情報端末90の入力部94に入力し、サーバ100に送信する(S240)。サーバ100は、情報端末90から送信されたユーザ識別情報が、サーバ100に未登録であるか否か照合する(S241)。照合の結果、未登録であると判定したとき、情報端末90から送信されたユーザ識別情報を登録する(S242)。サーバ100は、ユーザ識別情報ごとに各種の情報を記憶する。ユーザは情報端末90の入力部94に、メールアドレス、住所、水栓10の識別IDなどのユーザ個別情報を入力してサーバ100に送信する(S243)。サーバ100は、それらのユーザ個別情報をユーザ識別情報と対応付けて保存する(S244)。なお、ユーザ識別情報の代わりに、水栓10の識別IDをサーバ100に登録し、水栓10の識別IDごとに各種の情報を保存するようにしてもよい。
【0073】
水栓10は情報端末90からの処理要求(S245)を実行した後、処理結果に基づく情報を情報端末90に送信する(S246)。情報端末90はその情報をサーバ100に送信する(S247)。サーバ100は処理結果に基づく情報をユーザ識別情報と対応付けて保存する(S248)。
【0074】
情報端末90から水栓10の状態を示す情報要求を水栓10に送信(S245)すると、水栓10は情報端末90に水栓10の状態を示す情報を送信する(S246)。情報端末90はその情報をサーバ100に送信する(S247)。サーバ100は水栓10の状態を示す情報をユーザ識別情報と対応付けて保存する(S248)。
【0075】
情報端末90からサーバ100に水栓10の情報要求を行うと(S249)、サーバ100は保存された水栓10の情報を情報端末90に送信する(S250)。情報端末90は、サーバ100からの情報を表示部95に出力表示する(S251)。
【0076】
<水栓の制御システムの変形例>
水栓10の記憶部83にあらかじめユーザが設定したパスワードを記憶させておき、水栓10が情報端末90からの要求を受信したとき、水栓10は情報端末90にパスワード要求を行うようにしてもよい。そして、制御部82は、ユーザによって入力され且つ情報端末90から送信されたパスワードと記憶部83に記憶されたパスワードとを照合し、一致すると判定した場合、要求を実行するようにしてもよい。
【0077】
情報端末90は全地球測位システム(GPS)をさらに備え、ユーザの位置情報をサーバ100に送信するようにしてもよい。サーバ100は、情報端末90から送信されたユーザの位置情報をユーザ識別情報と対応付けて保存する。