特許第6920768号(P6920768)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6920768
(24)【登録日】2021年7月29日
(45)【発行日】2021年8月18日
(54)【発明の名称】マスク
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/11 20060101AFI20210805BHJP
   A62B 18/02 20060101ALI20210805BHJP
【FI】
   A41D13/11 D
   A62B18/02 C
【請求項の数】5
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2020-136568(P2020-136568)
(22)【出願日】2020年8月13日
【審査請求日】2020年9月10日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和2年1月6日に有限会社大隈縫製(佐賀県杵島郡白石町東郷1989番地2)にて販売 令和2年3月23日に大隈縫製のウェブサイト(http://okumahousei.com/info/マスクの生産いたします。/)にて公開 令和2年4月9日に佐賀新聞発行の佐賀新聞(朝刊)第21面に掲載 令和2年4月9日に佐賀新聞社ウェブサイト(https://www.saga−s.co.jp/articles/−/510173)に掲載 令和2年5月18日にRKB毎日放送の今日感ニュース(令和2年5月18日18:15から放送)にて放送 令和2年8月3日に大隈縫製のウェブサイト(http://okumahousei.com/冷感生地マスク/、http://okumahousei.com/coolガーゼマスク/)にて公開
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520306738
【氏名又は名称】有限会社大隈縫製
(74)【代理人】
【識別番号】100195970
【弁理士】
【氏名又は名称】本夛 伸介
(74)【代理人】
【識別番号】100204847
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 佳代子
(72)【発明者】
【氏名】大隈 正巳
【審査官】 ▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−093428(JP,A)
【文献】 特開2019−011533(JP,A)
【文献】 特開2006−043227(JP,A)
【文献】 特開2011−125596(JP,A)
【文献】 特開2019−183345(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 13/11
A62B 18/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の少なくとも鼻孔と口とを覆う本体部と、
前記着用者の耳に掛けられて、該本体部を該着用者の顔面に配するための一対の耳掛け部と、を備えるマスクであって、
前記マスクにおいて、該マスク着用時における前記着用者の鼻と口とを直線で結ぶ方向を上下方向、左右耳を直線で結ぶ方向を幅方向と定義し、口から鼻へ向かう方向を上側、鼻から口へ向かう方向を下側と定義した場合において、
前記本体部は、前記幅方向の中央に位置する中央曲線と、前記幅方向における端である両端部、前記上下方向における上端である上端部を有し、該中央曲線より折り畳むことで平面状となり、拡開して立体形状となるものであって、着用時に前記着用者の顔面に接触する側に設けられる内層と、外気に接触する側に設けられる外層とにより構成され、前記内層と前記外層との間に中間層を備え、
前記中間層は、不織布1枚、もしくは不織布を2から3枚積層して形成され、前記幅方向において前記本体部より短く構成され、前記両端部を除いた部分に設けられ、
前記本体部は、前記中央曲線の上下端を結んで形成される直線である仮想直線と、
前記仮想直線の上端から前記仮想直線の長さの0.40倍から0.45倍の位置において前記仮想直線と直交する第1直線と、
前記第1直線から前記仮想直線の長さの0.06倍から0.16倍の位置において前記仮想直線と直交する第2直線とを有し、
前記中央曲線は、前記平面状の側面視において、3つの円弧を滑らかに連結してなる凸の略円弧状であり、
前記3つの円弧は、前記中央曲線の上端から下端に向かって順に配され、
第1の円弧は、前記仮想直線の上端と第1直線とを結んだ直線を弦とする円弧であって、該弦と前記仮想直線との間にできる角は25°≦35°に構成され、当該円弧は、該弦より前記仮想直線側に引かれる該弦を垂直に2等分する直線上に中心点を有し、該弦の両端をそれぞれ始点、及び終点として形成され、
第2の円弧は、前記第1の円弧の弦と前記第1直線との接点と、第2直線との間を結んだ直線を弦とする円弧であって、当該円弧は、該弦より前記仮想直線側に引かれる該弦を垂直に2等分する直線上に中心点を有し、該弦の両端をそれぞれ始点、及び終点として形成され、当該円弧が前記中央曲線上で最も突出するよう構成され、
第3の円弧は、前記第2の円弧の弦と前記第2直線との接点と、前記仮想直線の下端とを結んだ直線を弦とする円弧からなり、当該円弧は、該弦より前記仮想直線側に引かれる該弦を垂直に2等分する直線上に中心点を有し、該弦の両端をそれぞれ始点、及び終点として形成され、
前記平面状の側面視における前記両端部において、
該両端部の上端は、前記仮想直線を2等分した位置より上方へ配され、
該両端部の下端は、前記仮想直線を2等分した位置より下方へ配され、
前記仮想直線と、前記仮想直線下端と前記両端部における下端とを結ぶ直線との間にできる角は鋭角であって、
前記仮想直線と直交し、前記仮想直線と前記両端部の上端とを結んだ直線の長さは、
前記仮想直線と直交し、前記仮想直線と前記両端部の下端とを結んだ直線の長さより短く構成されること、を特徴とするマスク。
【請求項2】
前記耳掛け部は、ひも状部材を有し、該ひも状部材は、裁断箇所を処理しない切りっぱなしの布であって、該布は編物からなること、を特徴とする請求項1に記載のマスク。
【請求項3】
前記中間層は、前記内層に接着されること、を特徴とする請求項1又は請求項2に記載のマスク。
【請求項4】
前記上端部は、前記着用者の鼻根から眼下の形状に添って変形可能な可塑性を有する線状または細帯状の形状保持部材が配されること、を特徴とする請求項1から請求項3に記載のマスク。
【請求項5】
前記中間層は、抗ウイルス機能を有する不織布を含むこと、を特徴とする請求項1から請求項4に記載のマスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顔面に着用して口や鼻を覆い、飛沫や塵、埃、花粉、ウイルス、微生物等の体内への侵入の防止、喉の保護等のために使用されるマスクに係り、例えば、特に、顔とマスクとの密着性の向上、及び着用時の不快感や違和感を緩和するマスクに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、新型コロナウイルスの流行の被害は世界的に広がっている。現状、新型コロナウイルスに対して人は充分な抗体を持っておらず、また、有効な治療薬もないため、新型コロナウイルスの急速な流行は、世界をパンデミック状態に陥れた。そして、自己防衛と他者への感染を防ぐべく、外出時等にはマスクの着用が勧められ、これまでのマスクの需要者(主にインフルエンザ等のウイルス感染時や、風邪罹患時、ウイルスや花粉等の体内侵入防止、このほか、治療や消毒等の衛生作業時や料理や給食の際等に使用の必要がある者)のほか、特段体調に問題のない者、衛生作業時等以外の場面でも、年齢性別を問わず、マスクを着用することとなった。
【0003】
これにより、一時は市場からマスクが消えるほどの需要過多となり、これを受け、これまでマスクの製造を行っていなかった業態からのマスク市場への参入が起こり、市場には種々様々なマスクが提供されている。
これらのマスクは様々な機能を有するものも多いが、今後も、新型コロナウイルスの第2波、そして第2、第3の新型ウイルスの流行が懸念されるところ、自己防衛と他者への感染を防ぐべく、より顔面に密着するマスク、また、着用時間が長くなること及び着用する必要のある場面が増えたことから、着用時の不快感や違和感をより低減するマスクの開発が望まれる。
【0004】
従来より、顔面への装着性を改善するために、マスクには種々の加工がなされている。
顔面によりフィットし装着性に優れるとして、立体形状のマスクが市販されている。多くの立体形状マスクは、その保管性等の観点から、不使用時には平面形状であって、着用時にはこれを広げて立体形状とするマスクが多い。
このような立体形状のマスクは、その立体形状を構成する手段として、マスク本体にプリーツを有し、着用時に当該プリーツを開くことにより立体形状となるもの(以下、プリーツ型マスク)、平面状態において前方方向に膨出しており、着用時に拡開して立体形状となるもの(以下、立体型マスク)とがある。
【0005】
しかしながら、プリーツ型マスクでは、着用時に、マスク本体の両側部と着用者の頬部分との間に隙間が生じ、顔面との完全な密着性を得ることができなかった。そのため、マスクを着用しても、呼吸に際して、この隙間から外気が直接取り込まれ、マスクとしての機能が損なわれていた。
立体型マスクでは、マスク本体と着用者の頬部分との隙間はプリーツ型マスクに比して少ないが、立体型マスクにおいても、その密着性には様々な問題がある。
例えば、着用者が口の開閉動作や咀嚼等により顎を動かしたりした際に、マスクの着用位置がずれる(ずり上がる、ずり下がる)ことがある。
また、着用者がマスク着用時にメガネを併用する場合には、着用者の自己の吸気による湿気によりメガネのレンズが曇ることがある。
【0006】
密着性の他にも、マスク着用時に着用者の鼻孔や口付近とマスク間に充分な空間がない場合には息苦しく、口付近に充分な空間がない場合には会話しづらいこと、マスク本体の形状と耳かけ部の形状や構成する材質によっては、マスクを引っ掛ける着用者の耳に負担がかかり、不快感や違和感、ひいては痛みを伴うことがあるなど、マスクの装着性に関する課題は多い。
【0007】
顔面に着用するマスクに関し、特に顔面へのフィット感に優れたマスクが公開されている(例えば、特許文献1)。
特許文献1に記載の技術によれば、顔面の少なくとも口部を被う横長形状のマスク本体部と、耳に掛けるために該マスク本体部の横長形状の長尺方向の両側に装着されるゴムひも等のひも状部材とからなるマスクであって、前記マスク本体部の上縁部の両端部間の長さが下縁部の両端部間の長さよりも短く、該マスク本体部の長尺方向の両側縁がこの上下端を結ぶ線と同じか乃至は結ぶ線より少なくとも内側に形成されていることを特徴とするため、マスク本体部の両端が顔面に沿いやすくなることによって、マスク着用時にマスク本体部の両側の中央近傍と頬との間に隙間を生じにくくして、顔面へのフィット感を向上させることができる。顔面へのフィット感を更に向上させるとして、マスク本体部の上縁部と下縁部の中央が上下に突出した形状となるように形成されていることを特徴とするマスク、顔面へのフィット感が良好になるとともにマスク着用時において鼻や口付近に空間ができるため呼吸や会話をスムーズに行うことができるとして、マスク本体部の略中央において前方へ膨らみをもたせて形成されていることを特徴とするマスクが公開されている。
【0008】
しかし、特許文献1記載の技術では、マスク本体部の長尺方向の両側縁がこの上下端を結ぶ線と同じか乃至は結ぶ線より少なくとも内側に形成することで、顔面へのフィット感を向上させることができ、フィット感を更に向上させるとして、マスク本体部の上縁部と下縁部の中央が上下に突出した形状となるように形成すること、顔面へのフィット感が良好になるとともにマスク着用時において鼻や口付近に空間ができるため呼吸や会話をスムーズに行うことができるとして、マスク本体部の略中央において前方へ膨らみをもたせて形成すること、について記載があるが、その構成はいずれも具体的ではなく、構成がもたらすマスクの顔面へのフィット感の向上等の効果は、あくまで予想に過ぎない。
そこで本願発明者は、上記マスクの装着性(密着性や、着用時の不快感や違和感の低減)に関する問題に鑑み、平均的な日本人の頭部の寸法データを参照して、鋭意研究した結果、本発明を完成するに至った。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005−261849号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、着用者の顔面によりフィットし、かつ着用時の不快感や違和感を緩和するマスクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載の発明では、着用者の少なくとも鼻孔と口とを覆う本体部と、前記着用者の耳に掛けられて、該本体部を該着用者の顔面に配するための一対の耳掛け部と、を備えるマスクであって、前記マスクにおいて、該マスク着用時における前記着用者の鼻と口とを直線で結ぶ方向を上下方向、左右耳を直線で結ぶ方向を幅方向と定義し、口から鼻へ向かう方向を上側、鼻から口へ向かう方向を下側と定義した場合において、前記本体部は、前記幅方向の中央に位置する中央曲線と、前記幅方向における端である両端部、前記上下方向における上端である上端部を有し、該中央曲線より折り畳むことで平面状となり、拡開して立体形状となるものであって、着用時に前記着用者の顔面に接触する側に設けられる内層と、外気に接触する側に設けられる外層とにより構成され、前記内層と前記外層との間に中間層を備え、前記中間層は、不織布1枚、もしくは不織布を2から3枚積層して形成され、前記幅方向において前記本体部より短く構成され、前記両端部を除いた部分に設けられ、前記本体部は、前記中央曲線の上下端を結んで形成される直線である仮想直線と、前記仮想直線の上端から前記仮想直線の長さの0.40倍から0.45倍の位置において前記仮想直線と直交する第1直線と、前記第1直線から前記仮想直線の長さの0.06倍から0.16倍の位置において前記仮想直線と直交する第2直線とを有し、前記中央曲線は、前記平面状の側面視において、3つの円弧を滑らかに連結してなる凸の略円弧状であり、前記3つの円弧は、前記中央曲線の上端から下端に向かって順に配され、第1の円弧は、前記仮想直線の上端と第1直線とを結んだ直線を弦とする円弧であって、該弦と前記仮想直線との間にできる角は25°≦35°に構成され、当該円弧は、該弦より前記仮想直線側に引かれる該弦を垂直に2等分する直線上に中心点を有し、該弦の両端をそれぞれ始点、及び終点として形成され、第2の円弧は、前記第1の円弧の弦と前記第1直線との接点と、第2直線との間を結んだ直線を弦とする円弧であって、当該円弧は、該弦より前記仮想直線側に引かれる該弦を垂直に2等分する直線上に中心点を有し、該弦の両端をそれぞれ始点、及び終点として形成され、当該円弧が前記中央曲線上で最も突出するよう構成され、第3の円弧は、前記第2の円弧の弦と前記第2直線との接点と、前記仮想直線の下端とを結んだ直線を弦とする円弧からなり、当該円弧は、該弦より前記仮想直線側に引かれる該弦を垂直に2等分する直線上に中心点を有し、該弦の両端をそれぞれ始点、及び終点として形成され、前記平面状の側面視における前記両端部において、該両端部の上端は、前記仮想直線を2等分した位置より上方へ配され、該両端部の下端は、前記仮想直線を2等分した位置より下方へ配され、前記仮想直線と、前記仮想直線下端と前記両端部における下端とを結ぶ直線との間にできる角は鋭角であって、前記仮想直線と直交し、前記仮想直線と前記両端部の上端とを結んだ直線の長さは、前記仮想直線と直交し、前記仮想直線と前記両端部の下端とを結んだ直線の長さより短く構成されること、を特徴とするマスクを提供する。
請求項2に記載の発明では、前記耳掛け部は、ひも状部材を有し、該ひも状部材は、裁断箇所を処理しない切りっぱなしの布であって、該布は編物からなること、を特徴とする請求項1に記載のマスクを提供する。
請求項3に記載の発明では、前記中間層は、前記内層に接着されること、を特徴とする請求項1又は請求項2に記載のマスクを提供する。
請求項4に記載の発明では、前記上端部は、前記着用者の鼻根から眼下の形状に添って変形可能な可塑性を有する線状または細帯状の形状保持部材が配されること、を特徴とする請求項1から請求項3に記載のマスクを提供する。
請求項5に記載の発明では、前記中間層は、抗ウイルス機能を有する不織布を含むこと、を特徴とする請求項1から請求項4に記載のマスクを提供する。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の発明によれば、着用者の少なくとも鼻孔と口とを覆う本体部と、前記着用者の耳に掛けられて、該本体部を該着用者の顔面に配するための一対の耳掛け部と、を備えるマスクであって、前記本体部は、前記幅方向の中央に位置する中央曲線と、前記幅方向における端である両端部、前記上下方向における上端である上端部を有し、該中央曲線より折り畳むことで平面状となり、拡開して立体形状となるものであって、着用時に前記着用者の顔面に接触する側に設けられる内層と、外気に接触する側に設けられる外層とにより構成され、前記内層と前記外層との間に中間層を備え、前記中間層は、不織布1枚、もしくは不織布を2から3枚積層して形成され、前記幅方向において前記本体部より短く構成され、前記両端部を除いた部分に設けられ、前記本体部は、前記中央曲線の上下端を結んで形成される直線である仮想直線と、前記仮想直線の上端から前記仮想直線の長さの0.40倍から0.45倍の位置において前記仮想直線と直交する第1直線と、前記第1直線から前記仮想直線の長さの0.06倍から0.16倍の位置において前記仮想直線と直交する第2直線とを有し、前記中央曲線は、前記平面状の側面視において、3つの円弧を滑らかに連結してなる凸の略円弧状であり、前記3つの円弧は、前記中央曲線の上端から下端に向かって順に配され、第1の円弧は、前記仮想直線の上端と第1直線とを結んだ直線を弦とする円弧であって、該弦と前記仮想直線との間にできる角は25°≦35°に構成され、当該円弧は、該弦より前記仮想直線側に引かれる該弦を垂直に2等分する直線上に中心点を有し、該弦の両端をそれぞれ始点、及び終点として形成され、第2の円弧は、前記第1の円弧の弦と前記第1直線との接点と、第2直線との間を結んだ直線を弦とする円弧であって、当該円弧は、該弦より前記仮想直線側に引かれる該弦を垂直に2等分する直線上に中心点を有し、該弦の両端をそれぞれ始点、及び終点として形成され、当該円弧が前記中央曲線上で最も突出するよう構成され、第3の円弧は、前記第2の円弧の弦と前記第2直線との接点と、前記仮想直線の下端とを結んだ直線を弦とする円弧からなり、当該円弧は、該弦より前記仮想直線側に引かれる該弦を垂直に2等分する直線上に中心点を有し、該弦の両端をそれぞれ始点、及び終点として形成されるので、マスク着用時において、着用者は息苦しさを感じることなく、楽に鼻呼吸をすることができ、会話時の口の開閉がしやすく、また会話時の息苦しさを感じることがないようにすることができ、中間層を持たない部分においてマスクを着用者の顔面に隙間なくよりフィットさせることができ、マスク着用時の不快感を低減することができる。
また、前記平面状の側面視における前記両端部において、該両端部の上端は、前記仮想直線を2等分した位置より上方へ配され、該両端部の下端は、前記仮想直線を2等分した位置より下方へ配され、前記仮想直線と、前記仮想直線下端と前記両端部における下端とを結ぶ直線との間にできる角は鋭角であって、前記仮想直線と直交し、前記仮想直線と前記両端部の上端とを結んだ直線の長さは、前記仮想直線と直交し、前記仮想直線と前記両端部の下端とを結んだ直線の長さより短く構成されることとしたので、マスク着用時において、マスクと着用者の頬とをよりフィットさせることができる。
請求項2記載の発明によれば、耳掛け部のひも状部材は、裁断箇所を処理しない切りっぱなしの布であって、該布は編物からなるので、ひも状部材が耳に掛けられた際に耳に生じる痛みや違和感を軽減することができ、また、結び目を容易に解くことができるため、耳掛け部の長さの調整を容易に行うことができる。
請求項3記載の発明によれば、中間層は内層に接着されるので、マスクが立体形状を取る際に、中間層から内層が離れることがなく、マスク着用時の息苦しさや会話のしづらさ等の不快感を軽減することができる。
請求項4記載の発明によれば、上端部は着用者の鼻根から眼下の形状に添って変形可能な可塑性を有する線状または細帯状の形状保持部材が配されるので、マスクは鼻根から眼下に亘って着用者の顔面によりフィットし、マスクと着用者の顔面の間にできる空間の密閉性をより高め、着用者の自己の呼気が当該部位から逃げることをより防ぐことができる。できる。
請求項5記載の発明によれば、中間層は抗ウイルス機能を有する不織布を含むので、より効果的にウイルスの拡散や体内への侵入を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施例における折り畳まれて平面状となったマスク1の構成を示す図、及び耳掛け部3の拡大図である。
図2】本実施例におけるマスク本体2の形状を形成する仮想線を示す図である。
図3】本実施例における着用時のマスク1の正面図である。
図4】本実施例における着用時のマスク1の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明のマスクにおける好適な実施の形態について、図1から図4を参照して詳細に説明する。
(1)実施形態の概要
本実施例におけるマスク1は、幅方向中央に中央曲線CLを有し、中央曲線CLは、着用時に着用者の鼻背部分をカバーする第1の円弧A1、マスク本体2と鼻孔との間に離隔空間Sを構成する第2の円弧A2、マスク本体2と口との間に離隔空間Sを構成する第3の円弧A3、とを滑らかに連結して凸の略円弧状に構成される。マスク本体2の両端部23は、中央曲線CLの上端P1と下端P2を結ぶ仮想直線VLからの距離が、下端に対し上端が短くなるよう構成される。マスク本体2は外層、中間層、内層から構成され、中間層は不織布により構成される。中間層は、ウイルスや飛沫の拡散を防ぎ、ウイルスや花粉の侵入を防ぐためのフィルターとしての機能を有するほか、着用時におけるマスク本体2の立体形状を保つための芯としても機能する。
【0015】
(2)実施形態の詳細
本実施形態の説明において、マスク1の着用時における着用者の鼻と口とを直線で結ぶ方向を上下方向、左右耳を直線で結ぶ方向を幅方向と定義し、口から鼻へ向かう方向を上側、鼻から口へ向かう方向を下側、右耳から左耳へ向かう方向を左側、左耳から右耳へ向かう方向を右側と定義する。
また、本開示において用いられる日本人の青年男性の「鼻高」「人中」「形態学顔高」「瞳孔間幅」「外眼角幅」「口裂幅」「全赤唇高」の値は、(日本語)河内まき子・持丸正明,2005 AIST人体寸法データベース,産業技術総合研究所H16PRO 287.に記載された値、「鼻顔面角」の値は、深見淳一,外鼻形態に対する態度の研究. 耳展5: 44-76, 1962. に記載された値である。
【0016】
図1(a)は、本実施例が適用される、折り畳まれて平面状となったマスク1の左側面の構成を示す図を表したものである。
マスク1は、マスクの本体部であるマスク本体2、着用者の耳に掛けてマスク1を着用者の顔に配するための耳掛け部3からなる。
マスク本体2は、不使用時においては、幅方向において後述する中央曲線CLより平面状に折り畳み可能であり、使用時においては、マスク本体2は拡開され立体形状となる立体型マスクである。マスク本体2は、立体形状となることで、マスク本体2と着用者の顔面との間に形成される空間である離隔空間Sを確保する。マスク本体2は、中央曲線CLを介して、左右対称に構成される。本説明においては、マスク本体2の中央曲線CLより左側の構成につき説明するが、中央曲線CLより右側の構成についても同様の構成を取る。
マスク本体2は、中央曲線CL、上縁部21、下縁部22、両端部23、当接部24、を有し、内層、中間層、外層から構成される。
【0017】
内層は、着用時において着用者の顔面に接触する側に設けられる層であり、外層は、外気に接触する側に設けられる層であり、中間層は、内層と外層との間に設けられる層である。
内層、外層はともに通気性のある素材であって、内層に用いる素材は、内層が着用者の肌に触れることから、肌触りのよい素材が好適である。内層に適する素材としては、具体的には、編み物が好適であるが、肌触りの良い不織布等を用いて形成してもよい。また、マスク1は、洗濯可能であって、洗濯によって繰り返し使用することができるものであることが好ましい。本実施例においては、内層、及び外層は、天竺木綿により形成される。
内層と外層は同一素材で構成されても良いし、異なる素材で構成されても良い。また、季節や用途によって、内層、及び外層に使用する素材は適宜選択可能である。例えば、夏などの気温が高い時期には、内層には冷感を有するものやメッシュ素材のものを選択でき、着用時の不快感を軽減することができる。また、外層においては紫外線をカットする素材を用いることで、日焼けを防止することができる。
【0018】
中間層は、着用者からのウイルスや飛沫等の拡散を防ぎ、着用者の体内へのウイルスや花粉等の侵入を防ぐためのフィルターとしての機能を有する。また、着用時におけるマスク本体2の立体形状をより良く保つための芯としても機能する。マスク本体2の立体形状をより良く保つことで、マスク本体2と鼻孔や口との間にできる離隔空間Sをより適切に保つことができる。
中間層は、通気性を有する不織布であって、単層、又は2から3枚を積層して形成される。
不織布は、メルトブロー法、スパンボンド法、スパンレース法、エアスルー法、サーマルボンド法、ポイントボンド法、ステッチボンド法、ケミカルボンド法、ニードルパンチ法等により製造された公知の不織布が適宜選択される。不織布の目付は、例えば質量20から50g/m2を用いることができる。
中間層は、フィルターとしての役目を果たす不織布を用いることはもちろんであり、このほか、抗菌作用を有する不織布を用いることができる。
また、中間層は、マスク1の着用時において、マスク本体2の立体形状を保持するための芯としても機能するため、比較的に強度の強い不織布を用いることが好ましい。不織布を積層して形成する場合には、積層する不織布の枚数によって、各不織布の有する好ましい強度は変動するため、積層する不織布の枚数等により、各不織布の強度は適宜選択されるものである。
中間層を積層して構成する場合には、これら積層する各不織布は接着等により、一体とされる。例えば、熱可塑性を有する不織布を用いることで各不職布を接着することができる。
【0019】
中間層は、内層に接着される。中間層を内層に接着することで、マスク本体2が立体形状を取る際に、芯となる中間層から内層が離れることがなく、着用時の吸気により内層が着用者の鼻孔や口の吸い寄せられることを抑制することができる。これにより、マスク1着用時の息苦しさや会話のしづらさ等の不快感を軽減することができる。
また、中間層を外層には接着せず内層にのみ接着することで、マスク本体2を編み物等で形成した場合の、マスク1の洗濯時に外層に生じるシワを軽減することができる。
中間層は、中間層が不織布を積層して形成される場合と同様に、熱可塑性を有する不織布を用いて内層に接着することが好ましい。熱可塑性を有する不織布を用いることで、中間層を内層に均一に接着することができる。マスク1の着用時に不快感がなければ、接着の他、縫製等によって中間層を内層に接合してもよい。
【0020】
内層と外層はほぼ同一の形状に形成される。マスク1着用時におけるマスク本体2の見栄えを良くするために、内層が外層に隠れるようにする場合には、内層を外層に対し縮小した形状としても良い。中間層は、幅方向において、内層、及び外層よりその寸法が短く形成される。
【0021】
本実施例においては、マスク本体2は縫製により形成される。内層、外層が不織布である場合には、マスク本体2は接着や接合等により形成することができる。
外層と内層はそれぞれ、マスク本体2の左右を構成する2枚を縫製により結合して形成される。
外層と内層は、まず、外層の左右の結合部分、内層の左右の結合部分とがそれぞれ縫製される。続いて、外層と内層との形状をあわせ、その周囲を縫い合わせることにより外層と内層とを結合して、マスク本体2が形成される。
この他、外層と内層の左右4枚を重ねて、左右の結合部分を一度に縫製し、これを展開して内層と外層とに分け、その周囲を縫製してマスク本体2を形成しても良い。
中間層は、内層の左右を結合する以前に、内層へ接着される。
【0022】
外層と内層をそれぞれ個別に縫製した後、外層と内層との周囲を縫い合わせる場合は、外層と内層とはその周囲以外においては分離しているため、マスク本体2の左右の結合部分の縫い目上、又はこの縫い目に添う位置において、外層から内層までを貫通して設けられる縫い目を施すことが好ましい。
施す縫い目は短くてよい。例えば、ミシンでの縫製の場合には、0.3cmから1cm程度、手縫いであれば更に短くすることができる。当該縫い目を施すことで、マスク本体2が立体形状を取る際に、マスク本体2が、着用時の着用者の吸気により鼻孔や口に吸い寄せられることを更に抑制することができる。
当該縫い目は、マスク本体2が、着用時の着用者の吸気に吸い寄せられることを抑制することができる位置であれば、マスク本体2の左右の結合部分の縫い目の上下方向においていずれの位置に設けられてもよい。
【0023】
図2(a)は、本実施例におけるマスク本体2の形状を形成する仮想線を示す図である。
マスク1の形状設計に際しては、着用者に対するマスクのフィット感の向上と、着用時の違和感や不快感の軽減が重要であって、これらの課題を解決するにあたり、着用者の顔の大きさや形状の特徴を考慮する必要がある。顔の大きさや特徴とかけ離れたマスクの形状設計では、当然ながら着用時のフィット感は悪く、マスク自体が顔面上の適正な配置位置からズレたり、その長時間の着用が苦痛であったり、会話時にはマスクをずらさなければ会話しづらい、などの弊害が起こり、ひいてはマスク本来の機能であるウイルスや花粉の体内への侵入防止等の役を果たさないこととなる。
そこで、本発明者は、平均的な日本人の頭部の寸法データを参照して、着用者に対するマスクのフィット感の向上と、着用時の違和感や不快感の軽減するマスクの形状を設計したものである。
【0024】
中央曲線CLは、マスク本体2の幅方向中央であって、マスク本体2を2等分する曲線である。
中央曲線CLは、凸の略円弧状に形成される。中央曲線CLを略円弧状に形成することで、マスク本体2は、着用者の鼻、及び顎に係止された際に、着用者の鼻尖から口、顎にかけて、着用者の顔面との間に一定の距離を保つことができる。
中央曲線CLの略円弧形状は、3つの円弧、Ark1、Ark2、Ark3を滑らかに連結して形成される。「滑らかに連結して」とは、連結された部分に尖形部や角部が形成されないことはもちろん、全体として一つの曲線を描くよう連結されることを言う。
【0025】
P1は、中央曲線CLの上端、P2は、中央曲線CLの下端である。
仮想直線VLは、中央曲線CLの上端P1と下端P2を結ぶ直線である。
L1は、仮想直線VLと直交する仮想の直線である。
L2は、仮想直線VLと直交し、L1より下方に配される仮想の直線である。
VLaは、仮想直線VLとL1との接点と、P1との間の長さであり、マスク本体2の側面視において、上下方向における鼻の高さ(以下、鼻高、という)に当たる部分を構成する。
VLbは、仮想直線VLとL1との接点と、仮想直線VLとL2との接点との間の長さである。VLbは、マスク本体2の側面視における上下方向において、おおよそ着用者の鼻下点から上唇点までの直線距離、いわゆる人中にあたる部分を構成する。
VLcは、仮想直線VLとL2との接点と、P2との間の長さである。VLcは、マスク本体2の側面視における上下方向において、おおよそ着用者の上唇点から下顎にあたる部分を構成する。
【0026】
続いて、VLa、VLb、VLcの長さにつき、説明する。
仮想直線VLは、L1、L2により、VLb<VLa<VLc、となるように分けられる。
日本人の青年男性の鼻高の平均値は、52.2mmである。青年男性における人中の平均値は13.7mmである。人体における鼻根が最もくぼんだ点から、下顎の最下点までの距離(以下、形態学顔高という)の青年男性における平均値は123.9mmである。
マスク1の着用時において、耳掛け部3が着用者の耳に掛けられることにより、マスク本体2は幅方向に引っ張られるため、仮想直線VLの上下方向の長さは、着用時においては平面状における場合より短くなる。したがって、上記の青年男性における鼻高や人中の長さを、そのまま平面時のマスク本体2のVLaやVLbに当てはめた場合には、マスク1着用時においては、VLa、VLbの長さは、それぞれ上記の鼻高や人中の長さより短くなることがある。
【0027】
このことから、本実施例においては、VLa、VLbの長さは、鼻高や人中の長さが仮想直線VLの長さに占める割合により決定する。
形態学顔高は、マスク1着用時における仮想直線VLの長さに相当する。
上記の平均的な青年男性の鼻高と人中、形態学顔高において、鼻高は形態学顔高の約0.42倍、人中は形態学顔高の約0.11倍である。
これにより、仮想直線VLに対するVLaとVLbの比率は、それぞれ約0.42倍、約0.11倍とすることができ、L1は、P1から仮想直線VLの長さの約0.42倍の位置で仮想直線VLと直交するよう配され、L2は、仮想直線VLとL1との接点から仮想直線VLの長さの約0.11倍の位置で仮想直線VLと直交するように配される。
【0028】
そして、マスク1着用時のマスク本体2が幅方向に引っ張られることによる仮想直線VLの長さの変化を測定した結果より、本実施例の素材の構成においては、マスク本体2の平面状における仮想直線VLの長さは、青年男性の形態学顔高の1.1倍が好適であった。
これにより、青年男性における平均的な形態学顔高123.9mmの場合には、マスク本体2の平面時の仮想直線VLの長さは約137mmとなり、VLaの長さは約58mm、VLbの長さは約15mm、VLaとVLbの長さの合計は約73mmとなる。
ここで「本実施例の素材の構成」とは、外層、内層、耳掛け部3を天竺木綿により構成したことをいう。したがって、形態学顔高に対する仮想直線VLの長さは、マスク本体2を構成する素材や、後述する耳掛け部3などの構成により、適宜変更可能である。
【0029】
また、上記仮想直線VLに対するVLaとVLbの比率は、青年男性の鼻高や人中の平均値を指標としているが、当該比率は、鼻高や人中の最小値や最大値を考慮してもよく、また青年女性や子供、老人等の平均値を使用するなど、適宜変更可能である。
例えば、青年男性の形態学顔高の最小値は103.mm、最大値は140.0mm、鼻高の最小値は41.5mm、最大値は62.0mm、人中長の最小値は7.0mm、最大値は21.5mmである。形態学顔高における鼻高と人中がそれぞれ占める割合は、最小値においては、鼻高は形態学顔高の約0.40倍、人中は形態学顔高の約0.06倍となり、最大値においては、鼻高は形態学顔高の約0.44倍、人中は形態学顔高の約0.15倍となる。
【0030】
Crd1は、L1とP1とを結んで形成される仮想の直線である。Crd1は、マスク1着用時において、着用者の鼻背を覆う部位である。
角度θ1は、Crd1と仮想直線VLとの間に形成される角である。θ1は25°≦35°になるよう構成されることが好ましい。
Ark1は、Crd1を弦とする第1の円弧である。図2(a)より、Ark1は、Crd1を二等分する垂線であって、Crd1より仮想直線VL側にひかれる垂線上にその中心点を有する。より具体的には、図2(a)におけるArk1の中心点は、Crd1より仮想直線VL側にひかれるCrd1を二等分する垂線上であって、該垂線とCrd1との接点からCrd1の長さと同一の距離離れた位置にある。つまり、Crd1の長さと、Crd1との接点から中心点までの垂線の長さは同一である。Ark1は、Crd1の両端をそれぞれ始点、及び終点とする。
【0031】
Crd2は、L1とCrd1との接点と、L2と後述するCrd3との接点を結んで形成される仮想の直線である。
Ark2は、Crd2を弦とする第2の円弧である。図2(a)より、Ark2は、Crd2を二等分する垂線であって、Crd2より仮想直線VL側にひかれる垂線上にその中心点を有する。より具体的には、図2(a)におけるArk2の中心点は、Crd2より仮想直線VL側にひかれるCrd2を二等分する垂線上であって、該垂線とCrd2との接点からCrd2の長さと同一の距離離れた位置にある。つまり、Crd2の長さと、Crd2との接点から中心点までの垂線の長さは同一である。Ark2は、Crd2の両端をそれぞれ始点、及び終点とする。
Ark2は、中央曲線CL上において最も突出するよう構成され、おおよそ着用者の人中の位置において、マスク本体2と着用者の顔面との間の距離、及び空間が最も大きくなるように配される。これにより、マスク1着用時において、着用者は息苦しさを感じることなく、呼吸筋の筋力のない着用者であっても、より楽に鼻呼吸をすることができる。
図2(b)は、中央曲線CLとArk2近傍を拡大した図である。
Crd2は、図2(b)に示すように、L2の長さがL1の長さより長くなるように構成されることが好ましい。これにより、Crd2はその上端が仮想直線VL側に傾くよう配される。Crd2の上端が仮想直線VL側に傾くよう配されることで、Crd2が仮想直線VLに対して並行となる場合や、Crd2が左に傾く場合と比して、マスク本体2と鼻孔との間により大きい空間を形成することができ、鼻孔からより吸気しやすくすることができる。Crd2の傾きは、マスク本体2がその平面状において、3つの円弧Ark1、Ark2、Ark3を連結して中央曲線CLを形成する際に、中央曲線CLが滑らかな曲線となる範囲であることが好ましい。
【0032】
Crd3は、L2とCrd2との接点とP2とを結んで形成される仮想の直線であり、Ark3は、Crd3を弦とする第3の円弧である。図2(a)より、Ark3は、Crd3を二等分する垂線であって、Crd3より仮想直線VL側にひかれる垂線上にその中心点を有する。より具体的には、図2(a)におけるArk3の中心点は、Crd3より仮想直線VL側にひかれるCrd3を二等分する垂線上であって、該垂線とCrd3との接点からCrd3の長さの2倍と同一の距離離れた位置にある。つまり、Crd3の2倍の長さと、Crd3との接点から中心点までの垂線の長さは同一である。Ark3は、Crd3の両端をそれぞれ始点、及び終点とする。
Ark3は、マスク1着用時において、マスク本体2が着用者の鼻及び顎に係止された際に、その上下方向において、着用者のおおよそ口から下顎に配されるよう構成される。
Ark3は、中央曲線CL上において最も突出するよう構成されるArk2に滑らかに連結され、マスク本体2と着用者の口との間に空間を形成する。当該空間により、マスク1着用時において、着用者は会話時の口の開閉がしやすく、また会話時の息苦しさを感じることがない。
【0033】
Ark1とArk2とを滑らかに連結する際、中央曲線CLは、Ark1とArk2との双方の円弧に添うような曲線となるよう構成される。Ark2とArk3とを連結する際も同様に、中央曲線CLは、Ark2とArk3の双方の円弧に添うような曲線となるよう構成される。そして、中央曲線CLは、全体として滑らかな凸の略円弧状に構成される。
図2(b)に示すように、中央曲線CLとL1と接点は、Ark1とL1との接点より延出することになる。これにより、中央曲線CLとL1と接点とP1とを結ぶ直線と、仮想直線VLとを結んでできる角度θ4の角度は、θ1よりも大きくなる。
角度θ4は、鼻顔面角に近似するよう構成されることが好ましい。鼻顔面角とは、前頭の接線と鼻背のなす角度である。
ここで、日本人の青年男性の鼻顔面角の平均値は34.3°、最高値は46.0°、最低値は30.0°である。
マスク本体2の上下方向において、鼻顔面角をなすのは前頭の接線であるが、θ4をなすのは仮想直線VLであり、仮想直線VLは鼻根から下顎の最下点までを結ぶ直線であって、前頭との接線に対して必ずしも平行とはならない。
したがって、θ4は30°≦46°を含むよう構成されることが好ましい。より具体的には、θ4は26°≦46°になるよう構成されることが好ましい。
角度θ4の角度が上記範囲に収まるよう、角度θ1の角度とCrd2の傾きは調整される。
【0034】
マスク本体2の上縁部21は、P1とP4の間を曲線状に結んで構成される。マスク本体2の拡開時の正面視においては、図3に示すように、マスク本体2の左右の上縁部21は、P1を頂点、及び中央とする凸曲線であり、該凸曲線の終端からP4方向においては凹曲線状となる。
上縁部21a、21bは、マスク1着用時において、着用者の鼻根から眼下部分を覆う部位であり、鼻根から内眼角の下方近傍までの稜線に添うよう構成される。内眼角とは、両まぶたが相会するところである。
上縁部21aは、マスク本体2の拡開時の正面視における、P1を頂点、及び中央とする凸曲線部分であり、鼻根から鼻の傾斜に添うよう構成される。
上縁部21bは、鼻の傾斜の終了位置であって凸曲線の終点である上縁部21aの端に引き続いて眼下へと続く凹曲線である。上縁部21bを凹曲線とすることで、内眼角の下方近傍の稜線に添うことがき、マスク1着用時において、マスク本体2の上縁部が着用者の視界に入りづらく、マスク本体2は着用者の視界を妨げない。
上縁部21cは、上縁部21bに引き続いて、両端部23のP4へと続く緩やかな凹曲線である。上縁部21cは、緩やかな凹曲線によって、眼下から頬骨の稜線に添うように構成される。
【0035】
上縁部21により、マスク本体2の上縁は、鼻根から頬骨に亘って着用者の顔面によりフィットし、マスク1と着用者の顔面との間に形成される離隔空間Sの密閉性をより高めることができる。また、マスク本体2を着用者の鼻根から眼下の形状に添わせることで、着用者の自己の呼気が当該部位から逃げることがなく、着用者がマスク1と眼鏡を併用する場合においても、自己の呼気によって眼鏡のレンズが曇ることを防ぐことができる。
【0036】
マスク本体部2の上端部21は、形状保持部材211を有する。
形状保持部材211は、可塑性を有する線状または細帯状の公知の金属や樹脂により構成される。
形状保持部材211の長さは、マスク本体1着用時において、着用者の鼻根から眼の下まで届く長さが好適である。より具体的には、図3に示すように、形状保持部材211は、マスク本体2を開拡して立体形状とした正面視において、形状保持部材211の端が、瞳孔間幅から外眼角幅内に収まるよう構成される。瞳孔間幅は左右の瞳孔中心間の直線距離であり、外眼角幅は、左右の外眼各点間の直線距離である。平均的な青年男性の瞳孔間幅は、61.9mmであり、外眼角幅は93.6mmである。本実施例において形状保持部材211の端は、マスク1着用時にマスク本体2が幅方向に引っ張られた状態の正面視において、中央曲線CLを中心として左右にそれぞれ45.0mmの位置となるよう構成される。
形状保持部材211により、マスク本体2の上縁部21を着用者の鼻根から内眼角の下方までの稜線、及び眼下に確実に添わせる事ができる。これにより、マスク1は鼻根から眼下に亘って着用者の顔面によりフィットし、離隔空間Sの密閉性をより高め、着用者の自己の呼気が当該部位から逃げることをより防ぐことができる。
【0037】
L5は、仮想直線VLの下端P2と両端部23の下端P3とを結んでできる仮想の直線である。
角度θ2は、仮想直線VLとL5とを結んでできる角度であり、鋭角となるよう構成される。本実施例において、角度θ2は、マスク1着用時において、おおよそ耳の下端の付け根の方へ向かう角度に形成されことが好ましい。
下縁部22は、マスク本体2の幅方向の下縁であり、両端部23の下端P3と、中央曲線CLの下端P2との間である。本実施例においては、下縁部22は、L5に添うように構成される。これにより、マスク本体2を拡開した状態の正面視において、マスク本体2の下端は、略V字状となる。この他、下縁部22は、下顎のラインに添うように構成されても良い。
【0038】
図1(b)は、両端部23と耳掛け部3の一部を拡大した図である。
両端部23は、マスク本体2の幅方向の端であり、上端P4、下端P3を有する。
両端部23は、上下方向に開口する筒状に形成される。当該筒部には、後述する耳掛け部3の耳掛け部材が貫通する。本実施例において、両端部23は上下方向の筒状としているが、耳掛け部材が両端部23において自在に移動する必要がない場合には、両端部23を筒状とせず、耳かけ部3を、縫製等により直接両端部23へ接続してもよい。
【0039】
L3は、仮想直線VLと直交し、P3と交わる仮想の直線である。L3は、仮想直線VLを2等分した位置より下方へ配される。
L4は、仮想直線VLと直交し、P4と交わる仮想の直線である。L4は、仮想直線VLを2等分した位置より上方へ配され、その長さは、L3より短くなるよう構成される。これにより、マスク本体2の側面視において、両端部23の上端P4は仮想直線VLの方向に傾いて構成されることになる。
P4からP3までの長さは、耳介付部の長さに近いほうが好ましい。耳介付部とは、耳介が顔面に付着している部分である。耳介付部の長さは、平均的な青年男性や青年女性等の耳介付部の長さを指標とすることができる。また、この場合において、両端部23の傾きは、マスク1着用時において、耳かけ部3が着用者の耳に掛けられた際、両端部23と耳掛け部3の耳掛け部材との間にできる角度θ3がおおよそ90度になるように構成されることが好ましい。
【0040】
P4からP3までの長さが耳介付部の長さより大きい場合には、マスク1着用時に両端部23が耳掛け部3に引っ張られ、両端部23の中央が浮き上がったり、両端部23がシワとなったりすることがある。両端部23の中央が浮き上がったり、両端部23がシワとなったりするとマスク本体2と着用者の頬との間に隙間ができ、着用時のマスク本体2の見た目も悪くなる。P4からP3までの長さを、耳介付部の長さに近い長さにすることで、両端部23が浮き上がったり、シワとなったりすることがなく、マスク本体2と着用者の頬とをよりフィットさせることができる。
また、マスク1着用時において、両端部23の傾きが、角度θ3の角度がおおよそ90度になるように構成されることで、両端部23の上端や下端の一方に偏って負荷がかかることがない。これにより、両端部23の上端や下端の一方が浮き上がったりせず、マスク本体2と着用者の頬とをよりフィットさせることができる。
【0041】
図3は、マスク1着用時の正面図である。斜線を施す部分は当接部24である。
当接部24は、マスク本体2の幅方向において、中間層のない、外層と内層のみからなる部分である。
当接部24は、中間層を持たずに外層と内層からなることから、中間層を有する場合に比して、マスク本体2が着用者の頬の曲面に柔らかくフィットする。これにより、マスク本体2を着用者の顔面に隙間なくよりフィットさせることができ、また、マスク1着用時の不快感を低減することができる。
また、当接部24は、着用者の頬へ面により当接することから、マスク本体2が着用者の頬へ線で接する場合に比してマスク本体2の荷重をより分散することができ、着用時における口の開閉等の顎の動きにマスク本体2追従して、マスク本体2がずり落ちたり、ずり上がったりすることを防ぐことができる。
【0042】
図4は、マスク1着用時の側面図である。
離隔空間Sは、マスク1着用時において、マスク本体2と着用者の顔面との間に形成される空間である。離隔空間Sは、中央曲線CL、上縁部21と下縁部22、及び当接部24近傍とにより形成される。マスク本体2の上下方向において、Ark2が中央曲線CL上において最も突出するよう構成され、マスク本体2と人中との間に空間を形成し、Ark3がマスク本体2と着用者の口との間に空間を形成する。
また、マスク本体2の正面視において、離隔空間Sは、着用者の唇の位置における幅方向の長さが、口裂幅の長さより長くなるよう構成される。平均的な青年男性の口裂幅は47.6mmであり、全赤唇高は20.6mmである。したがって、本実施例においては、離隔空間Sは、マスク本体2の上下方向におけるおおよそArk3上端から全赤唇高20.6mmの位置においては、マスク本体2の正面視における幅方向の長さが、口裂幅47.6mmより長くなるよう構成される。
【0043】
上記構成により、離隔空間Sは、着用者の鼻孔や口の位置において最大となるため、図3に示すように、マスク1着用時において、上方より下方のほうが広くなる。これにより、中間層は、その上下方向において、その上端が仮想直線VL側へ傾斜して構成されることが好ましい。また、中間層は、離隔空間Sの全域を覆うよう構成される。
離間空間Sにより、マスク本体2と着用者の鼻孔や口とが当接しないため、マスク本体2が着用者の呼吸や会話時の口の開閉を妨げにくい。これにより、マスク1着用時における、息苦しさや会話のしづらさを解消することができる。また、離間空間Sにより、内層と唇との接触を抑制することができ、内層と唇との摩擦による唇の荒れや、リップカラー等が内層へ付着することを低減することができる。
【0044】
図1に戻り、説明する。
マスク1は耳掛け部3を備える。耳掛け部3は、着用者の耳に掛かり、マスク本体2を着用者の顔面に配するものであり、マスク本体2の両端部23の上下の端P3、P4に接続等して構成される。
耳掛け部3は、切りっぱなしの布により形成される。ここで、「切りっぱなし」とは、布の裁断箇所を縫製等により処理せず、裁断したままとすることをいう。
耳掛け部3を構成する耳掛け部材である布は、内層に用いる素材と同様に、肌触りのよい素材が好適である。具体的には、編み物が好適であるが、不織布等を用いて形成してもよい。耳掛け部材は、内層や外層と同一素材で構成されても良いし、異なる素材で構成されても良い。本実施例においては、耳掛け部3は、外層、内層と同一素材である、天竺木綿を用いて形成される。
【0045】
耳掛け部材である布は、ひも状に裁断される。
編み物は、編みはじめと編み終わりにおいては生地表側に丸まり、編み端は生地裏側に向かって丸まる性質を有する。当該性質を利用し、耳掛け部材をひも状に裁断する際には、その長手方向の布端が短手方向の中央に向かって丸まるよう裁断を行う。
例えば、耳掛け部材は、マスク1の見た目やデザインとして、耳掛け部材の表地が表れたほうがよい場合には、耳掛け部材の長手方向が編み物の編み端と平行となるひも状に裁断する。耳掛け部3に伸縮性を持たせたい場合には、編み物は編み端と編み端の方向において伸縮性に富むことから、耳掛け部材は、その長手方向が編み端と垂直となるひも状に裁断することができる。
耳掛け部材をその長手方向の布端が短手方向の中央に向かって丸まるよう裁断することで、耳掛け部材は、耳掛け部材の裁断箇所が切りっぱなしであっても、自ずから略円筒形の筒状の形態となる。耳掛け部材は、耳掛け部材が筒状となる際、図1(b)に示すように、耳掛け部材の長手方向の両端がそれぞれ丸まり、2つの管を持つ筒状として形成してもよく、耳掛け部材の長手方向の一端が他端側へ丸まることで、1つの管による筒状として形成してもよい。
【0046】
耳掛け部材は、両端部23の筒状部分に通され、耳掛け部材を結ぶことにより環状となる。耳掛け部材は、筒状の両端部23内で自在に移動可能であるため、耳掛け部材の結び目を隠したい場合には、両端部23の筒状の内部へ耳掛け部材の結び目を移動させ、これを見えなくすることができる。
耳掛け部3の部材の長さは、適宜変更可能である。マスク本体2の両端部23の筒状部分に耳掛け部材の結び目を隠したい場合には、結び目が当該筒状部分に隠れる長さに切断する。耳掛け部材の結び目をフリンジとして、マスク1の装飾とする場合には、フリンジとしてのデザインを考慮した長さに切断することもできる。また、耳掛け部材の結び目をフリンジとする場合には、結び目部分にさらなる装飾を加えてもよい。
【0047】
耳掛け部3は、耳掛け部材を複数として構成してもよい。この場合には、マスク1着用時の着用者の耳への負担を軽減すべく、耳掛け部材の短手方向の幅は、耳掛け部3を単体の耳掛け部材で構成する場合に比して、狭くする方がよい。これにより、耳掛け部材が筒状となった際、より細いひも状とすることができる。耳掛け部3は、耳掛け部材単体で構成する場合と、耳掛け部材を複数で構成する場合とで、耳掛け部材全体を併せた太さが、おおよそ同じになるよう構成されことが好ましい。
【0048】
耳かけ部3は、耳掛け部3を構成する部材である布を切りっぱなしとすることで、耳掛け部材が縫製等により縫い目を有する場合に比して、肌当たりが柔らかく、その形状は略円筒形であるため、耳掛け部材が耳に掛けられた際に耳に生じる痛みや違和感を軽減することができる。また、耳掛け部3の部材を切りっぱなしとすることで、耳掛け部3の長さを調整する際、耳掛け部3の結び目を容易に解くことができる。耳負け部3の結び目は、洗濯後等においては部材の収縮等により結び目がきつくなり、解くことが難しいことがあるが、部材を切りっぱなしとすることで、縫製等した場合に比して、結び目に多くの空間ができるため、より容易に結び目を解くことができる。
【0049】
次に、以上のように構成された実施形態のマスク1の着用動作について説明する。
着用者は、開拡して立体形状としたマスク本体2をその中央曲線CLの上端P1を自身の鼻根に、中央曲線CLの下端P2を自身の下顎にあてがい、鼻と口とをマスク本体2により被覆する。
次に、着用者は、耳かけ部3を耳にかけ、耳掛け部材の長さをマスク本体2が着用者の顔面の適正な位置に配されるよう調節してこれを結ぶ。ここで、「適正な位置」とは、マスク本体2により着用者の鼻と口が被覆され、上縁部21が鼻根から眼下まで、当接部24が頬を、下縁部22が下顎付近に隙間なくフィットするようマスク本体2が着用者の顔面に配される位置をいう。
【0050】
着用者は、左右いずれか一方の耳掛け部材を予め結んで環にしておき、これを耳掛け部材が対応する耳に掛け、結んでいない耳側の耳掛け部材の長さを調節、結んだ後に、予め結んだ耳掛け部材の長さを再度調整するようにしてもよい。本実施例においては、耳掛け部材を結ぶことにより耳掛け部3を環状とし、その長さの調節も行っているが、結ぶ代わりとして耳掛け部材の長さの調節を行う部材を用いてもよい。
続いて着用者は、形状保持部材211を、自身の鼻根から眼下に添うように変形させる。
以上により、マスク1は着用者の顔面の適正な位置に配され、これによりマスク1と着用者の顔面との間に隙間が生じず、マスク1の密着性を向上することができる。
【0051】
以上説明したように本実施形態のマスクによれば、仮想直線VLを、形態学顔高と鼻高、人中の平均値を参考に3つに分け、それぞれに対応した円弧を形成し、当該円弧を滑らかに連結して中央曲線CLを構成することとしたので、マスク1着用時において、着用者は息苦しさを感じることなく、楽に鼻呼吸をすることができ、会話時の口の開閉がしやすく、また会話時の息苦しさを感じることがないようにすることができる。
また、マスク1着用時において、両端部23の傾きを有するよう構成することで、両端部23の上端や下端の一方が浮き上がったりせず、マスク本体2と着用者の頬とをよりフィットさせることができ、当接部24は、中間層を持たずに外層と内層からなることとしたので、マスク1を着用者の顔面に隙間なくよりフィットさせることができ、また、マスク1着用時の不快感を低減することができる。
【0052】
耳掛け部3を構成する部材である布を切りっぱなしとすることとしたので、耳掛け部材が耳に掛けられた際に耳に生じる痛みや違和感を軽減することができ、また、結び目を容易に解くことができるため、耳掛け部3の長さの調整を容易に行うことができる。
中間層を内層に接着することとしたので、マスク本体2が立体形状を取る際に、芯となる中間層から内層が離れることがなく、マスク1着用時の息苦しさや会話のしづらさ等の不快感を軽減することができる。
形状保持部材211により、マスク本体2の上縁部21を着用者の鼻根から内眼角の下方までの稜線、及び眼下に確実に添わせることとしたので、マスク1は鼻根から眼下に亘って着用者の顔面によりフィットし、離隔空間Sの密閉性をより高め、着用者の自己の呼気が当該部位から逃げることをより防ぐことができる。
【0053】
以上、本発明のマスクにおける実施形態について説明したが、本発明は説明した実施形態に限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲において各種の変形を行うことが可能である。
マスク1は、仮想直線VLを基準として、相似形に拡大、縮小したマスクが作成可能であって、着用者の顔の大きさに合わせて様々なサイズのマスクを作成することができる。
【符号の説明】
【0054】
1 マスク
2 マスク本体
21 上縁部
211 形状保持部材
22 下縁部
23 両端部
24 当接部
3 耳掛け部
S 離隔空間
CL 中央曲線
VL 仮想直線


【要約】      (修正有)
【課題】着用者の顔面によりフィットし、かつ着用時の不快感や違和感を緩和するマスクを提供する。
【解決手段】マスク1は、幅方向中央に中央曲線CLを有し、中央曲線CLは、着用時に着用者の鼻背部分をカバーする第1の円弧、マスク本体2と鼻孔との間に離隔空間を構成する第2の円弧、マスク本体2と口との間に離隔空間を構成する第3の円弧、とを滑らかに連結して凸の略円弧状に構成される。マスク本体2の両端部23は、中央曲線CLの上端と下端を結ぶ仮想直線からの距離が、下端に対し上端が短くなるよう構成される。マスク本体2は外層、中間層、内層から構成され、中間層は不織布により構成される。中間層は、ウイルスや飛沫の拡散を防ぎ、ウイルスや花粉の侵入を防ぐためのフィルターとしての機能を有するほか、着用時におけるマスク本体2の立体形状を保つための芯としても機能する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4