(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記RGB画像制御部は、表示される画像の明るさが前記閾値よりも小さい場合に、前記LV画像制御部が前記LVパネルに前記黒画像を書き込まないときよりも、前記RGBパネルの透過率を上げる
請求項3に記載の液晶表示装置。
表示される前記画像の前記明るさが前記閾値より小さい場合に、前記RGB画像制御部は、前記RGBパネルの輝度が表示される画像の明るさの閾値で100%になるように前記表示データにガンマ補正を行う、
請求項3に記載の液晶表示装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明に係る液晶表示装置の好適な実施の形態につき図面を用いて説明するが、各図において同一、または相当する部分については、同一符号を付して説明する。
【0012】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係る液晶表示装置の液晶パネルを示す断面図である。
図1において、液晶パネル100は、バックライト10、表示面側のRGB(Red−Green−Blue)パネル20およびバックライト側のLV(Light valve)パネル30から構成されている。なお、RGBパネル20およびLVパネル30は、ともに液晶パネルである。
【0013】
バックライト10は、例えばプラスチック等の遮光性を有する筐体(図示せず)の底部に取り付けられ、LVパネル30に向けて光を照射する。なお、バックライト10は、LEDや導光板、光学シート等で構成されるが、図示を省略している。
【0014】
RGBパネル20は、表示面側の上部ガラス基板21、バックライト側の下部ガラス基板22、上部ガラス基板21と下部ガラス基板22との間に液晶が封入された液晶層(図示せず)、上部ガラス基板21の表示面側に貼り合わせられた第1偏光板23、および下部ガラス基板22のバックライト側に貼り合わせられた第2偏光板24から構成されている。
【0015】
ここで、第1偏光板23および第2偏光板24は、それぞれ特定の振動方向の光のみを透過させるものであり、第1偏光板23と第2偏光板24とは、偏光方向同士が直交するクロスニコルに配置されている。なお、上部ガラス基板21と下部ガラス基板22との間には、液晶駆動用の共通電極や通過する光にRGBの色を付加するカラーフィルタ、配向膜等が設けられているが、図示を省略している。
【0016】
LVパネル30は、表示面側の上部ガラス基板31、バックライト側の下部ガラス基板32、上部ガラス基板31と下部ガラス基板32との間に液晶が封入された液晶層(図示せず)、および下部ガラス基板32のバックライト側に貼り合わせられた第3偏光板33から構成されている。
【0017】
ここで、第3偏光板33は、特定の振動方向の光のみを透過させるものであり、第3偏光板33とRGBパネル20の第2偏光板24とは、偏光方向同士が直交するクロスニコルに配置されている。なお、上部ガラス基板31と下部ガラス基板32との間には、液晶駆動用の共通電極や配向膜等が設けられているが、図示を省略している。また、LVパネル30は、通過する光の量を制御するだけなので、カラーフィルタは不要である。
【0018】
以下、
図2を参照しながら、この発明の実施の形態1に係る液晶表示装置の概念について説明する。
図2では、ある画素におけるRGBパネル20およびLVパネル30の輝度変化、並びにRGBパネル20とLVパネル30とを組み合わせた液晶パネル100の輝度変化を示している。
【0019】
図2において、RGBパネル20の輝度が変化するタイミングから、あらかじめ設定された遅延時間だけ遅延したタイミングで、LVパネル30をオンし、RGBパネル20の輝度が変化する次のタイミングよりも前にLVパネル30をオフすることにより、LVパネル30に黒画像を挿入する。
【0020】
ここで、LVパネル30をオンするとは、RGBパネル20に表示される画像と同一の画像をLVパネル30に表示することであり、LVパネル30をオフするとは、LVパネル30に黒画像を表示することである。
【0021】
すなわち、RGBパネル20が1回表示データを書き込む1フレーム期間において、LVパネル30をオンするタイミングおよびオフするタイミングがあり、LVパネル30では、1フレーム期間において、2回の書き込みが実行される。
【0022】
これにより、RGBパネル20の輝度とLVパネル30の輝度とを組み合わせた液晶パネル100の合成輝度が、インパルス駆動のような輝度変化になり、動画を表示しても、尾引きのあるぼやけた表示とならず、動画特性を改善することができる。
【0023】
なお、遅延時間は、RGBパネル20の液晶の応答時間等を考慮して設定される。また、LVパネル30をオンしてからオフするまでのオン時間は、液晶パネル100の応答特性および輝度特性に応じて、あらかじめ自由に設定することができる。
【0024】
以下、上述したこの発明の実施の形態1に係る液晶表示装置の概念を実現するための構成について説明する。
図3は、この発明の実施の形態1に係る液晶表示装置を示すブロック構成図である。
図3において、この液晶表示装置は、RGBパネル20、LVパネル30、RGB画像制御部40およびLV画像制御部50を備えている。
【0025】
RGB画像制御部40は、図示しないホストコントローラから入力される水平同期信号(Hsync)および垂直同期信号(Vsync)、クロック信号並びに画像データ信号に基づいて、RGBパネル20にRGB制御信号を出力し、RGBパネル20に表示データを書き込む。
【0026】
LV画像制御部50は、ホストコントローラから入力される水平同期信号および垂直同期信号、クロック信号並びに画像データ信号に基づいて、LVパネル30にLV制御信号を出力し、LVパネル30に表示データを書き込む。
【0027】
具体的には、LV画像制御部50は、RGBパネル20への表示データの書き込みが開始された後、あらかじめ設定された遅延時間だけ遅延したタイミングで、LVパネル30に表示データを書き込むとともに、RGBパネル20への次の表示データの書き込みが開始されるよりも前のタイミングで、LVパネル30に黒画像を書き込む。
【0028】
図4は、この発明の実施の形態1に係る液晶表示装置のLV画像制御部を示すブロック構成図である。
図4において、LV画像制御部50は、PLL(Phase Locked Loop)回路51、LV画像処理部52、遅延回路53、データ選択部54およびゲートタイミング生成回路55を有している。
【0029】
PLL回路51は、LV画像制御部50に入力されるクロック信号の周波数を2倍して、2倍クロック信号を生成する。具体的には、PLL回路51は、周波数が60Hzであるクロック信号の周波数を2倍して、周波数が120Hzである2倍クロック信号を生成する。
【0030】
LV画像処理部52は、PLL回路51で生成された2倍クロック信号により、LV画像制御部50に入力される画像データ信号を2回繰り返し読み込んで、一方の画像データを、あらかじめ設定されたオン時間だけ後に来るように並べ替えて、ライン単位の表示データとして出力する。
【0031】
具体的には、LV画像処理部52は、1回目に読み込んだ1ライン目の画像データをa期間(第1期間)の表示データとし、2回目に読み込んだ1ライン目の画像データをb期間(第2期間)の表示データとして、a期間の表示データからオン時間だけ後に来るように並べる。なお、1ライン目のa期間の表示データとb期間の表示データとの間には、別のラインの表示データが並べられる。
【0032】
遅延回路53は、シフトレジスタ等により構成され、LV画像処理部52から出力された表示データを、あらかじめ設定された遅延時間だけ遅延させて出力する。
【0033】
データ選択部54は、PLL回路51で生成された2倍クロック信号により、a期間で遅延回路53を通った表示データを選択して出力し、b期間で黒画像の表示データを選択して出力する。
【0034】
ゲートタイミング生成回路55は、LV画像制御部50に入力される水平同期信号および垂直同期信号、並びにPLL回路51で生成された2倍クロック信号に基づいて、書き込みタイミングに合うように、ゲート制御信号を生成して出力する。
【0035】
なお、LV画像制御部50からLVパネル30に出力されるLV制御信号は、データ選択部54から出力される表示データと、ゲートタイミング生成回路55から出力されるゲート制御信号とを含む。
【0036】
図5は、この発明の実施の形態1に係る液晶表示装置の動作を示すタイミングチャートである。
図5では、ある画素におけるRGBパネル20およびLVパネル30の輝度変化、並びにRGBパネル20およびLVパネル30に出力される表示データを示している。
【0037】
図5において、RGBパネル20に出力される表示データの1st、2nd、・・・は、RGBパネル20の第1ラインの1フレーム期間、第2ラインの1フレーム期間、・・・にそれぞれ対応している。
【0038】
また、LVパネル30に出力される表示データは、RGBパネル20に出力される表示データの1ラインの期間を半分にしたものであり、a期間とb期間とに分けられている。ここで、a期間は、
図2におけるLVパネル30をオンするタイミングで表示データを書き込む期間であり、b期間は、LVパネル30をオフするタイミングで黒画像を書き込む期間である。
【0039】
図5より、まず、RGBパネル20の第1ラインへの表示データの書き込みが開始されると、RGBパネル20の輝度が変化するタイミングから、遅延時間だけ遅延したLVパネル30をオンするタイミングにおいて、a期間で表示データが書き込まれる。
【0040】
続いて、LVパネル30をオンするタイミングから、オン時間が経過したLVパネル30をオフするタイミングにおいて、b期間で黒画像の表示データが書き込まれる。これにより、
図2に示したこの発明の実施の形態1に係る液晶表示装置の概念を実現することができ、動画特性を改善することができる。
【0041】
以上のように、実施の形態1によれば、外部から入力されるタイミング信号および画像データ信号に基づいて、表示面側のRGBパネルに表示データを書き込むRGB画像制御部と、タイミング信号および画像データ信号に基づいて、バックライト側のLVパネルに表示データを書き込むLV画像制御部とを備え、LV画像制御部は、RGBパネルへの表示データの書き込みが開始された後、あらかじめ設定された遅延時間だけ遅延したタイミングで、LVパネルに表示データを書き込むとともに、RGBパネルへの次の表示データの書き込みが開始されるよりも前のタイミングで、LVパネルに黒画像を書き込む。
そのため、コストの上昇およびデザインの制約を抑制しつつ動画特性を改善し、動画を表示しても、尾引きのあるぼやけた表示とならない液晶表示装置を得ることができる。
すなわち、特別なバックライトを使用する必要がないので、液晶表示装置のコストアップが発生せず、かつデザインの制約なく応答性能を向上させることができる。
【0042】
実施の形態2.
上記実施の形態1では、RGBパネル20への表示データの書き込みが開始された後、遅延時間だけ遅延したタイミングで、LVパネル30に表示データを書き込むとともに、RGBパネル20への次の表示データの書き込みが開始されるよりも前のタイミングで、LVパネル30に黒画像を書き込むと説明した。しかしながら、LVパネル30に黒画像を書き込む場合には、液晶パネル100全体の輝度が低下する。
【0043】
ここで、特許文献1のバックライトを間欠発光させる構成では、どのような画像でも必ず輝度が低下することから、輝度を保つためにバックライト自体の輝度を高くしなければならず、コストが高くなるという問題がある。
【0044】
これに対して、この発明に係る液晶表示装置では、画素ごとに黒画像を挿入するか否かを選択することができるので、表示する画像が明るい場合には、黒画像を挿入しないことにより、バックライト10の輝度を上げないままで液晶パネル100の最高輝度を維持し、表示する画像が暗い場合には、黒画像を挿入することにより、動画特性を改善することができる。
【0045】
そこで、この発明の実施の形態2では、表示する画像の明るさを判定し、明るさがあらかじめ設定された閾値以上である場合には、LVパネル30に黒画像を挿入せず、明るさが閾値よりも小さい場合に、LVパネル30に黒画像を挿入する方法について説明する。
【0046】
なお、表示する画像の明るさに応じてLVパネル30に黒画像を挿入するか否かを選択する場合には、LVパネル30に黒画像を挿入したときの液晶パネル100の輝度と、黒画像を挿入しないときの液晶パネル100の輝度との間に、閾値を境としたずれが生じる。そのため、LVパネル30に黒画像を挿入する場合には、RGBパネル20のガンマ補正を行い、透過率を上げる必要がある。
【0047】
以下、
図6を参照しながら、この発明の実施の形態2に係る液晶表示装置におけるガンマ補正の概念について説明する。
図6の横軸は、表示する画像の明るさを示し、縦軸は、液晶パネル100の輝度を示している。
【0048】
図6において、実線は、求められる液晶パネル100の輝度を示している。また、閾値よりも左側の四角部分は、LVパネル30に黒画像を挿入した場合のバックライト10およびLVパネル30による最大輝度を示し、閾値よりも右側の四角部分は、LVパネル30に黒画像を挿入しない場合のバックライト10およびLVパネル30による最大輝度を示している。
【0049】
ここで、液晶パネル100の輝度は、RGBパネル20の輝度と、バックライト10およびLVパネル30による輝度とを掛け合わせたものとして表される。そのため、実線で表される液晶パネル100の輝度を実現するために、RGBパネル20のガンマ補正を行い、透過率を上げることにより、RGBパネル20の輝度を、破線で示す折れ線のように変化させる必要がある。
【0050】
以下、上述したこの発明の実施の形態2に係る液晶表示装置の概念を実現するための構成について説明する。
図7は、この発明の実施の形態2に係る液晶表示装置のRGB画像制御部を示すブロック構成図である。
図7において、RGB画像制御部40は、RGB画像処理部41、ガンマ補正回路42およびゲートタイミング生成回路43を有している。
【0051】
RGB画像処理部41は、RGB画像制御部40に入力されるクロック信号により、RGB画像制御部40に入力される画像データ信号を読み込んで、ライン単位の表示データとして出力する。このとき、RGB画像処理部41は、表示する画像の明るさも併せて出力する。
【0052】
ガンマ補正回路42は、RGB画像処理部41から出力された表示する画像の明るさに基づいて、RGBパネル20の輝度が、
図6に示した折れ線のようになるように、RGB画像処理部41から出力された表示データを補正して出力する。
【0053】
ゲートタイミング生成回路43は、RGB画像制御部40に入力される水平同期信号、垂直同期信号およびクロック信号に基づいて、書き込みタイミングに合うように、ゲート制御信号を生成して出力する。
【0054】
図8は、この発明の実施の形態2に係る液晶表示装置のLV画像制御部を示すブロック構成図である。
図8において、LV画像制御部50の構成は、
図4に示したものと同様であるが、LV画像処理部52は、表示する画像の明るさをデータ選択部54に出力する。
【0055】
データ選択部54は、表示する画像の明るさが閾値以上である場合には、黒画像を挿入しないとして、PLL回路51で生成された2倍クロック信号により、a期間で遅延回路53を通った表示データを選択して出力し、b期間でも、遅延回路53を通った表示データを選択して出力する。
【0056】
一方、データ選択部54は、表示する画像の明るさが閾値よりも小さい場合には、黒画像を挿入するために、PLL回路51で生成された2倍クロック信号により、a期間で遅延回路53を通った表示データを選択して出力し、b期間で黒画像の表示データを選択して出力する。
【0057】
図9は、この発明の実施の形態2に係る液晶表示装置の効果を示す説明図である。
図9において、上述したこの発明の実施の形態2に係る液晶表示装置の構成を適用することにより、表示する画像が明るい場合であっても、液晶パネル100の輝度を低下させることなく、動画特性を改善することができる。
【0058】
以上のように、実施の形態2によれば、画素ごとに黒画像を挿入するか否かを選択することにより、表示する画像が明るい場合には、黒画像を挿入しないことで、バックライトの輝度を上げないまま液晶パネルの最高輝度を維持し、表示する画像が暗い場合には、黒画像を挿入することで、中間階調の動画特性を改善することができる。
【0059】
実施の形態3.
上記実施の形態1、2では、RGBパネル20が1回表示データを書き込む1フレーム期間において、LVパネル30では、2回の書き込みが実行されると説明した。しかしながら、1フレーム期間において、LVパネル30に2回の書き込みを実行するためには、LVパネル30は、2回書き込みのために最適化された構成を有する必要がある。また、PLL回路51を追加して設ける必要もある。
【0060】
そこで、LVパネル30において、通常は1ラインのみ駆動しているゲートを、2ライン分同時に駆動できる構成とすることにより、1フレーム期間において、LVパネル30に2回の書き込みを実行する必要がなくなり、LVパネル30およびRGBパネル20に同一の設計ルールを適用することができるとともに、PLL回路51を不要にすることができる。
【0061】
図10は、この発明の実施の形態3に係る液晶表示装置のLVパネルを抜粋して示す構成図である。
図10において、2本のゲートラインは、1本にまとめられ、ゲート駆動回路は、2ライン分のゲートを同時に駆動できるようになっている。
【0062】
また、ソースについては、通常1ゲートラインごとに、TFTを介して液晶に電圧を印加できるようになっているが、
図10では、少なくとも2つのサブピクセルが1つにまとめられ、奇数ゲートライン駆動用のソースライン、および偶数ゲートライン駆動用のソースラインが交互に設けられている。
【0063】
上記のような構成を有することにより、ゲートは、2ライン同時に駆動され、2ライン同時に書き込むことができる。これにより、RGBパネル20とLVパネル30との書き込み速度を、等しくすることができる。
【0064】
図11は、この発明の実施の形態3に係る液晶表示装置の動作を示すタイミングチャートである。
図11では、ある画素におけるRGBパネル20およびLVパネル30の輝度変化、並びにRGBパネル20およびLVパネル30に出力される表示データを示している。
【0065】
図11において、LVパネル30に出力される表示データは、
図5の場合と比較して2倍になり、a期間とb期間とがパラレルで処理される代わりに、書き込み速度が1/2になっていることが分かる。また、LVパネル30の書き込み時間も、
図5の場合と比較して2倍になり、RGBパネル20と等しくなっていることが分かる。
【0066】
このとき、LV画像制御部50において、
図3に示したPLL回路51およびデータ選択部54は不要になり、LV画像処理部52は、画像データ信号を読み込んで、一方の画像データを、あらかじめ設定されたオン時間だけ後に来るように並べ替えて、2ライン分の表示データとして出力し、遅延回路53は、表示データを、あらかじめ設定された遅延時間だけ遅延させて出力する。
【0067】
以上のように、実施の形態3によれば、LVパネルのゲートを、2ライン分同時に駆動できる構成とすることにより、1フレーム期間において、LVパネルに2回の書き込みを実行する必要がなくなり、LVパネルおよびRGBパネルに同一の設計ルールを適用することができる。