(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
自然エネルギーを利用して発電可能であると共に当該発電された電力を負荷へと供給可能な発電部を有する供給部が、系統電源と前記負荷とを接続する電路に複数接続された電力供給システムであって、
前記供給部は、
第一供給部と、
前記第一供給部よりも前記系統電源側に接続され、前記発電部で発電された電力を充電可能であると共に、当該充電された電力を放電して前記負荷へと供給可能な蓄電池をさらに有する第二供給部と、
を具備し、
前記電力供給システムは、
前記第一供給部及び前記第二供給部から前記系統電源へと逆潮流される電力を検出可能な検出部と、
前記検出部の検出結果を取得可能であると共に前記蓄電池を制御可能に構成され、前記検出部が前記系統電源へと逆潮流される電力を検出した場合に、当該逆潮流される電力を前記蓄電池に充電する制御部と、
を具備し、
前記第二供給部は、
前記電路に並んで複数接続され、
前記検出部は、
前記電路において複数の前記第二供給部の前記系統電源側に隣接するようにそれぞれ配置され、
前記制御部は、
前記検出部が前記系統電源へと逆潮流される電力を検出した場合に、当該検出部と隣接する前記第二供給部の蓄電池に、当該逆潮流される電力を充電する、
電力供給システム。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下では、本発明の一実施形態に係る電力供給システム1について説明する。
【0019】
図1に示す電力供給システム1は、系統電源Kからの電力や、太陽光を利用して発電された電力を負荷Hへと供給するものである。本実施形態に係る電力供給システム1は、集合住宅に設けられ、当該集合住宅の負荷H(例えば、複数の住宅の機器等)へと電力を供給する。電力供給システム1は、主として第一蓄電システム10、第二蓄電システム20、第三蓄電システム30及びセンサ41・42・43を具備する。
【0020】
第一蓄電システム10は、太陽光を利用して発電された電力を蓄電したり、負荷Hへと供給するものである。第一蓄電システム10は、太陽光発電部11、蓄電池12及びハイブリッドパワコン13を具備する。
【0021】
太陽光発電部11は、太陽光を利用して発電する装置である。太陽光発電部11は、太陽電池パネル等により構成される。太陽光発電部11は、例えば、住宅の屋根の上等の日当たりの良い場所に設置される。
【0022】
蓄電池12は、電力を充電可能に構成されるものである。蓄電池12は、例えば、リチウムイオン電池により構成される。蓄電池12は、後述するハイブリッドパワコン13を介して太陽光発電部11と接続される。なお、蓄電池12は、本実施形態において、その最大充電量Aが2000Wであるものとする。最大充電量Aとは、蓄電池12が単位時間当たりに充電可能な最大の電力量を指す。
【0023】
ハイブリッドパワコン13は、電力を適宜変換するもの(ハイブリッドパワーコンディショナ)である。ハイブリッドパワコン13は、太陽光発電部11で発電された電力及び蓄電池12から放電された電力を負荷Hに出力可能であると共に、太陽光発電部11で発電された電力及び系統電源Kからの電力を蓄電池12に出力可能に構成される。また、ハイブリッドパワコン13は、太陽光発電部11及び蓄電池12の運転状態に関する情報を取得可能に構成される。ハイブリッドパワコン13は、所定の記憶装置に蓄電池12の最大充電量Aを記憶している。このようなハイブリッドパワコン13は、系統電源Kから負荷Hへと電力を供給する電力経路Lの第一接続点P1と接続される。
【0024】
このように構成される第一蓄電システム10のハイブリッドパワコン13は、後述するセンサ41の検出結果等に基づいて、蓄電池12の充放電を切り替えることができる。
【0025】
第二蓄電システム20は、第一蓄電システム10よりも電力経路Lの上流側の第二接続点P2にハイブリッドパワコン23が接続される点を除いて、第一蓄電システム10と同様に構成される。具体的には、第二蓄電システム20の太陽光発電部21、蓄電池22及びハイブリッドパワコン23は、それぞれ第一蓄電システム10の太陽光発電部11、蓄電池12及びハイブリッドパワコン13に相当する。
【0026】
第三蓄電システム30は、第二蓄電システム20よりも電力経路Lの上流側の第三接続点P3にハイブリッドパワコン33が接続される点を除いて、第一蓄電システム10と同様に構成される。具体的には、第三蓄電システム30の太陽光発電部31、蓄電池32及びハイブリッドパワコン33は、それぞれ第一蓄電システム10の太陽光発電部11、蓄電池12及びハイブリッドパワコン13に相当する。
【0027】
センサ41は、電力経路Lにおいて、第一接続点P1と第二接続点P2との間に設けられる。また、センサ41は、第一接続点P1の上流側(系統電源K側)に隣接するように(他の接続点等が介在しないように)設けられる。センサ41は、設けられた箇所を流通する電力(例えば、負荷H及び蓄電池12へと供給される電力)の電圧(供給電圧)及び電流(供給電流)を検出する。センサ41は、第一蓄電システム10のハイブリッドパワコン13と接続され、検出結果に関する信号をハイブリッドパワコン13へ出力可能に構成される。
【0028】
センサ42は、第二接続点P2と第三接続点P3との間に設けられる点及び第二蓄電システム20のハイブリッドパワコン23と接続される点を除いてセンサ41と同様に構成される。センサ42は、第二接続点P2の上流側に隣接するように設けられる。
【0029】
センサ43は、第三接続点P3と系統電源Kの間に設けられる点及び第三蓄電システム30のハイブリッドパワコン33を除いてセンサ41と同様に構成される。センサ43は、第三接続点P3の上流側に隣接するように設けられる。
【0030】
以下では、上述の如く構成された電力供給システム1において、蓄電池12・22・32及び負荷Hへ電力を供給する流れについて、簡単に説明する。
【0031】
系統電源Kや太陽光発電部11・21・31からの電力は、電力経路Lを介して負荷Hへ供給される。こうして、住宅の居住者は、系統電源Kや、太陽光発電部11・21・31からの電力を用いて照明を点灯させたり、調理器具やエアコンを使用したりすることができる。
【0032】
この場合において、負荷Hの消費電力が太陽光発電部11・21・31からの電力で賄える場合には、系統電源Kからの電力を用いないことも可能である。このようにして系統電源Kからの買電量を減少させ、電力料金を節約することができる。
【0033】
また、系統電源Kや太陽光発電部11・21・31からの電力は、適宜の時間帯に蓄電池12・22・32に供給することができる。蓄電池12・22・32に供給された電力は、当該蓄電池12・22・32に充電することができる。蓄電池12・22・32が充電される時間帯は、居住者の任意に設定することができる。例えば、前記時間帯を深夜に設定すれば、料金の安い深夜電力を蓄電池12・22・32に充電することができる。また、前記時間帯を昼間の時間帯に設定すれば、太陽光発電部11・21・31からの電力を蓄電池12・22・32に充電することができる。
【0034】
また、蓄電池12・22・32に充電された電力は、電力経路Lを介して負荷Hへ供給することができる。具体的には、蓄電池12・22・32を放電すると、当該放電された電力が電力経路Lを介して負荷Hに供給される。蓄電池12・22・32が放電される時間帯は、居住者の任意に設定することができる。例えば、前記時間帯を昼間の時間帯に設定すれば、蓄電池12・22・32に充電した料金の安い深夜電力を当該昼間の時間帯に用いることができる。こうして、昼間の時間帯に系統電源Kからの電力量(買電量)を減少させ、電力料金を節約することができる。
【0035】
このような負荷Hへの電力の供給において、ハイブリッドパワコン13・23・33は、センサ41・42・43の検出結果に基づいて蓄電池12・22・32の放電量を決定する負荷追従運転を行う。
【0036】
次に、電力供給システム1における電力の供給態様(モード)について説明する。
【0037】
電力供給システム1は、電力の供給態様としてエコモード等を有する。
【0038】
エコモードは、太陽光発電部11・21・31で発電した電力の負荷Hでの消費(負荷Hで消費することで省エネ効果を得ること)を目的としたモードである。
図2に示すように、エコモードが設定されたハイブリッドパワコン13・23・33は、太陽光発電部11・21・31で発電が行われている場合に、当該太陽光発電部11・21・31からの電力を負荷Hに供給する。また、ハイブリッドパワコン13・23・33は、太陽光発電部11・21・31からの電力(それぞれ4000W)が負荷Hの消費電力(1000W)に対して余剰すると、当該余剰電力を蓄電池12・22・32に充電する。ハイブリッドパワコン13・23・33は、蓄電池12・22・32を最大充電量A(それぞれ2000W)で充電しても太陽光発電部11・21・31からの電力が依然として余剰する場合に、当該余剰電力を系統電源Kへと逆潮流させる。これにより、
図2に示す第一蓄電システム10では1000W、第二蓄電システム20及び第三蓄電システム30では2000Wの電力が逆潮流される。
【0039】
なお、エコモードが設定されたハイブリッドパワコン13・23・33は、蓄電池12・22・32が満充電となると、蓄電池12・22・32の充電を停止し、負荷Hの消費電力に対して余剰した全ての電力を系統電源Kへと逆潮流させる。また、ハイブリッドパワコン13・23・33は、太陽光発電部11・21・31からの電力が負荷Hの消費電力に対して不足すると、蓄電池12・22・32を放電させて当該蓄電池12・22・32からの電力を負荷Hに供給する。
【0040】
ここで、第一蓄電システム10から第三蓄電システム30までは、その設置場所の違い等により、太陽光発電部11・21・31の発電量及び蓄電池12・22・32の残量がばらつく場合がある。このような発電量及び残量のばらつきにより、ある蓄電システムでは負荷H及び蓄電池に対して余剰した太陽光発電部の電力を逆潮流させているのに対して、他の蓄電システムでは、負荷H及び蓄電池に対して太陽光発電部の電力が不足する場合がある。
【0041】
図3は、このような負荷H及び蓄電池に対して電力が余った蓄電システムと、電力が不足する蓄電システムと、を例示した図である。
図3に示す第一蓄電システム10は、電力が余った蓄電システムに相当し、負荷H及び蓄電池12に対して余剰した1000Wの電力を逆潮流させている。また、第三蓄電システム30も電力が余った蓄電システムに相当し、蓄電池32に対して余剰した2000Wの電力を逆潮流させている。一方、第二蓄電システム20は、電力が不足する蓄電システムに相当し、太陽光発電部21の発電量が他の太陽光発電部11・31よりも少なくなって最大充電量Aで蓄電池22を充電するのに500Wの電力が不足している。
【0042】
本実施形態に係る電力供給システム1は、
図4に示す余剰電力充電処理を行うことで、電力が余った蓄電システムから逆潮流される電力(余剰電力)を電力が不足する蓄電システムの蓄電池に充電し、余剰電力を極力電力供給システム1内で消費するようにしている。
【0043】
以下では、
図3から
図12までを参照して、余剰電力充電処理について説明する。
【0044】
余剰電力充電処理は、ハイブリッドパワコン13・23・33毎に互いに独立して繰り返し実行される。なお、以下においては、ハイブリッドパワコン23が余剰電力充電処理を行う場合を例に挙げて説明する。また、以下においては、ハイブリッドパワコン23に対してエコモードが設定されているものとする。
【0045】
ハイブリッドパワコン23は、
図4に示す余剰電力充電処理により、所定の条件を満たした場合に、負荷H側(下流側)に配置される第一蓄電システム10からの余剰電力を蓄電池22に充電する。
【0046】
図4に示すように、まず、ステップS10において、ハイブリッドパワコン23は、買電状態であるか否かを確認する。本実施形態に係る買電状態とは、系統電源K側から処理を行うハイブリッドパワコンと電力経路Lとの接続部分(第二接続点P2)へ向けて電力が流通している状態を指す。ハイブリッドパワコン23は、センサ42の検出結果に基づいて、買電状態であるか否かを判断する。ハイブリッドパワコン23は、買電状態であると判断した場合にステップS20へ移行する。一方、ハイブリッドパワコン23は、買電状態でないと判断した場合にステップS40へ移行する。
【0047】
ステップS20において、ハイブリッドパワコン23は、電力経路L(第二接続点P2)を流通する電力を蓄電池22に充電しているか否かを確認する。ハイブリッドパワコン23は、電力経路Lを流通する電力を蓄電池22に充電している場合に、ステップS30へ移行する。一方、ハイブリッドパワコン23は、電力経路Lを流通する電力を蓄電池22に充電していない場合に、余剰電力充電処理を終了する。
【0048】
ステップS30において、ハイブリッドパワコン23は、電力経路Lを流通する電力を蓄電池22に充電するのを停止する。ここで、ハイブリッドパワコン23は、系統電源Kから電力を購入していることにより、系統電源K側から第二接続点P2へ電力が流通して(買電状態となって)ステップS30へ移行する場合がある。このような場合に電力経路Lを流通する電力を蓄電池22に充電してしまうと、系統電源Kから購入する電力量が増えてしまう。そこで、ハイブリッドパワコン23は、ステップS30の処理を行う(電力経路Lからの充電を停止する)ことで、エコモードにおいて系統電源Kから購入する電力量が極力増えないようにしている。ハイブリッドパワコン23は、ステップS30の処理が終了すると、余剰電力充電処理を終了する。
【0049】
ステップS40において、ハイブリッドパワコン23は、売電状態であるか否かを確認する。本実施形態に係る売電状態とは、処理を行うハイブリッドパワコンと電力経路Lとの接続部分(第二接続点P2)から系統電源K側へ向けて電力が流通している状態を指す。ハイブリッドパワコン23は、センサ42の検出結果に基づいて、売電状態であるか否かを判断する。ハイブリッドパワコン23は、売電状態であると判断した場合に、ステップS50へ移行する。一方、ハイブリッドパワコン23は、売電状態でないと判断した場合に、蓄電池22に充電可能な余剰電力がないと判断し、余剰電力充電処理を終了する。
【0050】
ステップS50において、ハイブリッドパワコン23は、太陽光発電部21から蓄電池22への充電量(以下、「システム内充電量C」と称する)が最大充電量Aと同一の値であるか否かを確認する。ハイブリッドパワコン23は、システム内充電量Cが最大充電量Aと同一の値である場合(最大充電量Aで充電している場合)に、第一蓄電システム10からの余剰電力を蓄電池22に充電する必要はないと判断し、余剰電力充電処理を終了する。一方、ハイブリッドパワコン23は、システム内充電量Cが最大充電量Aと同一の値でないと判断した場合に、第一蓄電システム10からの余剰電力をセンサ42が検出することで売電状態となっていると判断する。この場合、ハイブリッドパワコン23は、蓄電池22に充電可能な第一蓄電システム10からの余剰電力があると判断し、ステップS60へ移行する。
【0051】
ステップS60において、ハイブリッドパワコン23は、エコモード内に予め設定された余剰電力充電モードを開始する。余剰電力充電モードは、エコモード中に第一蓄電システム10からの余剰電力を充電する処理を行うモード(エコモードの一部)である。ハイブリッドパワコン23は、余剰電力充電モードを開始すると、ステップS60から後述するS130までの処理を行う。
【0052】
余剰電力充電モードに切り替えられたハイブリッドパワコン23は、まず、ステップS60において、システム内充電量Cが0よりも大きく、かつ最大充電量A未満であるか否かを確認する。ハイブリッドパワコン23は、システム内充電量Cが0よりも大きく、かつ最大充電量A未満である場合、第一蓄電システム10からの余剰電力を蓄電池22に充電することができると判断し、ステップS70へ移行する。一方、ハイブリッドパワコン23は、システム内充電量Cが0以下、又は最大充電量A以上である場合に、ステップS100へ移行する。
【0053】
なお、システム内充電量Cは、0以上、かつ最大充電量A以下の間の範囲の値となるものであり、当該範囲のうち、システム内充電量Cが最大充電量Aと同一の値となった場合にステップS60には移行しないため、実質的にはシステム内充電量Cが0の場合にステップS100へ移行することとなる。
【0054】
ステップS70において、ハイブリッドパワコン23は、第一蓄電システム10(下流側)から逆潮流される電力量(以下、「売電量B」と称する)が、最大充電量Aからシステム内充電量Cを減算した値(最大充電量Aで充電するのに必要な電力量)よりも大きいか否かを確認する。なお、ステップS70においては、太陽光発電部21からの電力が不足して蓄電池22を最大充電量Aで充電できていない(第二蓄電システム20では電力を逆潮流させていない)ため、第二接続点P2には、第一蓄電システム10からの余剰電力のみが流通している。ハイブリッドパワコン23は、センサ42の検出結果に基づいて売電量Bを判断する。ハイブリッドパワコン23は、売電量Bが最大充電量Aからシステム内充電量Cを減算した値よりも大きい場合に、ステップS80へ移行する。一方、ハイブリッドパワコン23は、売電量Bが前記減算した値以下である場合に、ステップS90へ移行する。
【0055】
ステップS80において、ハイブリッドパワコン23は、太陽光発電部21から蓄電池22への充電を継続しつつ、電力経路Lを流通する電力を蓄電池22に充電する。これにより、ハイブリッドパワコン23は、第一蓄電システム10からの余剰電力を用いて蓄電池22の充電量を増やすことができる。また、ハイブリッドパワコン23は、最大充電量Aからシステム内充電量Cを減算した電力量を、電力経路Lから蓄電池22への充電量(以下、「システム外充電量D」と称する)に決定する。これによれば、システム内充電量Cとシステム外充電量Dとの和が最大充電量Aとなるため、蓄電池22を最大充電量Aで充電することができる。ハイブリッドパワコン23は、ステップS80の処理が終了すると、余剰電力充電処理を終了する。
【0056】
ハイブリッドパワコン23は、例えば、
図3に示す第一状態でその処理が行われる場合に、ステップS80の処理を行う。第一状態においては、第一蓄電システム10から1000Wの電力が逆潮流される。また、第二蓄電システム20では、太陽光発電部21で発電された1500Wの電力を蓄電池22に充電している。すなわち、第一状態においては、売電量Bが1000W、システム内充電量Cが1500Wとなっている。また、蓄電池22を最大充電量Aで充電するのに500Wの電力が不足している。
【0057】
このような状態において、ハイブリッドパワコン23は、センサ42の検出結果(1000W)に基づいて売電状態であると判断し、ステップS50へ移行する(ステップS10:NO、ステップS40:YES)。そして、ハイブリッドパワコン23は、システム内充電量C(1500W)及び最大充電量A(2000W)に基づいてステップS70へ移行する(ステップS50:NO、ステップS60:YES)。その後、ハイブリッドパワコン23は、売電量B(1000W)が最大充電量Aからシステム内充電量Cを減算した値(500W)よりも大きいと判断し、ステップS80へ移行する(ステップS70:YES)。当該ハイブリッドパワコン23は、最大充電量Aからシステム内充電量Cを減算した500Wをシステム外充電量Dに決定する。これによれば、
図5に示すように、ハイブリッドパワコン23は、余剰電力の一部(500W)及び太陽光発電部21からの電力(1500W)を用いて、蓄電池22を最大充電量A(2000W)で充電することができる。
【0058】
図4に示すように、ステップS90において、ハイブリッドパワコン23は、太陽光発電部21から蓄電池22への充電を継続しつつ、売電量Bを電力経路Lから蓄電池22に充電する。これにより、ハイブリッドパワコン23は、第一蓄電システム10からの余剰電力を全て蓄電池22に充電する。これによれば、ハイブリッドパワコン23は、第一蓄電システム10からの余剰電力を用いて、蓄電池22の充電量を可能な限り増やすことができる。ハイブリッドパワコン23は、ステップS90の処理が終了すると、余剰電力充電処理を終了する。
【0059】
ハイブリッドパワコン23は、例えば、
図6に示す第二状態でその処理が行われる場合に、ステップS90の処理を行う。第二状態においては、第一蓄電システム10から1000Wの電力が逆潮流される。また、第二蓄電システム20では、太陽光発電部21で発電された500Wの電力を蓄電池22に充電している。すなわち、第二状態においては、売電量Bが1000W、システム内充電量Cが500Wとなっている。また、蓄電池22を最大充電量Aで充電するのに1500Wの電力が不足している。
【0060】
このような第二状態において、ハイブリッドパワコン23は、センサ42の検出結果等に基づいてステップS70へ移行する(ステップS10:NO、ステップS40:YES、ステップS50:NO、ステップS60:YES)。そして、ハイブリッドパワコン23は、売電量B(1000W)が最大充電量Aからシステム内充電量Cを減算した電力量(1500W)以下であると判断し、ステップS90へ移行する(ステップS70:NO)。当該ハイブリッドパワコン23は、売電量B(1000W)をシステム外充電量Dに決定する。これによれば、
図7に示すように、ハイブリッドパワコン23は、第一蓄電システム10の全ての余剰電力を用いて、蓄電池22の充電量を500Wから1500Wに増やすことができる。
【0061】
図4に示すように、システム内充電量Cが0の場合に移行するステップS100において、ハイブリッドパワコン23は、蓄電池22の残量が100%であるか否かを確認する。ハイブリッドパワコン23は、蓄電池22の残量が100%である場合に、蓄電池22を充電する必要がないと判断し、余剰電力充電処理を終了する。一方、ハイブリッドパワコン23は、蓄電池22の残量が100%でない場合に、第一蓄電システム10からの余剰電力を蓄電池22に充電する必要があると判断し、ステップS110へ移行する。
【0062】
ステップS110において、ハイブリッドパワコン23は、売電量Bが最大充電量A以上であるか否かを確認する。なお、ステップS110においては、システム内充電量Cが0である(太陽光発電部21が発電していない)ため、第二接続点P2には、第一蓄電システム10からの余剰電力のみが流通している。ハイブリッドパワコン23は、センサ42の検出結果に基づいて売電量Bを判断する。ハイブリッドパワコン23は、売電量Bが最大充電量A以上である場合に、ステップS120へ移行する。一方、ハイブリッドパワコン23は、売電量Bが最大充電量A未満である場合に、ステップS130へ移行する。
【0063】
ステップS120において、ハイブリッドパワコン23は、最大充電量Aを電力経路Lから蓄電池22に充電する。これにより、ハイブリッドパワコン23は、太陽光発電部21が発電していなくても、第一蓄電システム10からの余剰電力を用いて最大充電量Aで蓄電池22を充電することができる。ハイブリッドパワコン23は、ステップS120の処理が終了すると、余剰電力充電処理を終了する。
【0064】
ハイブリッドパワコン23は、例えば、
図8に示す第三状態でその処理が行われる場合に、ステップS120の処理を行う。第三状態においては、第一蓄電システム10から2000Wの電力が逆潮流される。また、第二蓄電システム20では、太陽光発電部21が発電していないものの、蓄電池22の残量は100%になっていない。すなわち、第三状態においては、売電量Bが2000W、システム内充電量Cが0Wとなっている。また、蓄電池22を最大充電量Aで充電するのに2000Wの電力が不足している。
【0065】
このような第三状態において、ハイブリッドパワコン23は、センサ42の検出結果、システム内充電量C(0W)、最大充電量A(2000W)及び蓄電池22の残量に基づいてステップS110へ移行する(ステップS10:NO、ステップS40:YES、ステップS50:NO、ステップS60:NO、ステップS100:NO)。そして、ハイブリッドパワコン23は、売電量B(2000W)が最大充電量A(2000W)以上であると判断し、ステップS120へ移行する(ステップS110:YES)。当該ハイブリッドパワコン23は、最大充電量A(2000W)をシステム外充電量Dに決定する。これによれば、
図9に示すように、ハイブリッドパワコン23は、余剰電力(2000W)を用いて蓄電池22を最大充電量A(2000W)で充電することができる。
【0066】
図4に示すように、ステップS130において、ハイブリッドパワコン23は、売電量Bを電力経路Lから蓄電池22に充電する。これにより、ハイブリッドパワコン23は、第一蓄電システム10からの余剰電力を全て蓄電池22に充電する。これによれば、ハイブリッドパワコン23は、第一蓄電システム10からの余剰電力を用いて、蓄電池22の充電量を可能な限り増やすことができる。ハイブリッドパワコン23は、ステップS130の処理が終了すると、余剰電力充電処理を終了する。
【0067】
ハイブリッドパワコン23は、例えば、
図10に示す第四状態でその処理が行われる場合に、ステップS130の処理を行う。第四状態においては、第一蓄電システム10から1000Wの電力が逆潮流される。また、第二蓄電システム20では、太陽光発電部21が発電していないものの、蓄電池22の残量は100%になっていない。すなわち、第四状態においては、売電量Bが1000W、システム内充電量Cが0Wとなっている。また、蓄電池22を最大充電量Aで充電するのに2000Wの電力が不足している。
【0068】
このような第四状態において、ハイブリッドパワコン23は、センサ42の検出結果等に基づいてステップS110へ移行する(ステップS10:NO、ステップS40:YES、ステップS50:NO、ステップS60:NO、ステップS100:NO)。そして、ハイブリッドパワコン23は、売電量B(1000W)が最大充電量A(2000W)未満であると判断し、ステップS130へ移行する(ステップS110:NO)。当該ハイブリッドパワコン23は、売電量B(1000W)をシステム外充電量Dに決定する。これによれば、
図11に示すように、ハイブリッドパワコン23は、第一蓄電システム10の全ての余剰電力を用いて、蓄電池22の充電量を0Wから1000Wへと増やすことができる。
【0069】
以上の如く、電力供給システム1は、電力が余った蓄電システムがある場合に(ステップS10:NO、ステップS40:YES)、電力が不足する蓄電システムの蓄電池に電力が余った蓄電システムから逆潮流させた電力を充電するようにしている(ステップS80・S90・S120・S130)。これによれば、電力が余った蓄電システムの電力を、電力が不足する蓄電システムに融通することができるため、太陽光発電部11・21・31で発電した電力を有効に活用することができる。
【0070】
また、電力供給システム1は、最大充電量Aと、売電量Bと、システム内充電量Cと、に基づいて、蓄電池12・22・32に充電する余剰電力量を決定している(ステップS80・S90・S120・S130)。これによれば、電力供給システム1は、余剰電力をどの程度まで充電可能かを把握することができるため、システム外充電量Dを好適に決定することができる。これによって、例えば、システム外充電量D(例えば、1500W)が売電量B(例えば、500W)を超えてしまい、系統電源Kから電力を購入してしまうといった事態の発生を抑制できる。
【0071】
また、電力供給システム1は、余剰電力を用いて、可能であれば最大充電量Aで蓄電池12・22・32を充電するようにしている(ステップS80・S90・S120)。また、電力供給システム1は、余剰電力を用いて最大充電量Aで蓄電池12・22・32を充電できない場合に、余剰電力の全てを蓄電池12・22・32に充電するようにしている(ステップS90・S130)。以上により、電力供給システム1は、余剰電力を蓄電池12・22・32に極力充電するようにしている。これによれば、電力供給システム1は、太陽光発電部11・21・31で発電した電力をより有効に活用することができる。
【0072】
また、電力供給システム1は、接続点P1〜P3の上流側に設けられたセンサ41・42・43を用いて、余剰電力を蓄電池12・22・32に充電するようにしている。これによれば、電力供給システム1は、負荷追従運転用のセンサ41・42・43を用いて余剰電力充電処理を行うことができる。これによって、電力供給システム1は、部品点数を削減してコストを低減することができる。
【0073】
なお、本実施形態においては、第二蓄電システム20のハイブリッドパワコン23を例に挙げて処理を説明したが、第一蓄電システム10及び第三蓄電システム30のハイブリッドパワコン13・33もハイブリッドパワコン23と同様にステップS10〜S130の処理を行う。
【0074】
これにより、
図12に示すように、最も上流側に配置される第三蓄電システム30のハイブリッドパワコン33は、第一蓄電システム10からの余剰電力(2000W)を第二蓄電システム20の蓄電池22に充電しても依然として電力が余る場合に、当該余剰電力を蓄電池32を充電することができる。
【0075】
なお、最も下流側に配置される第一蓄電システム10では、第一接続点P1よりも下流側から余剰電力が流通しない。このような第一蓄電システム10は、太陽光発電部11からの電力で蓄電池12を最大充電量Aで充電しても電力が余る場合(ステップS50:YES)、又は蓄電池12の残量が100%である場合(ステップS100:NO)に、売電状態となる。このため、第一蓄電システム10は、余剰電力を蓄電池12に充電する処理(ステップS80・S90・S120・S130)に移行せずに余剰電力充電処理を終了する。
【0076】
以上の如く、本実施形態に係る電力供給システム1は、自然エネルギーを利用して発電可能であると共に当該発電された電力を負荷Hへと供給可能な太陽光発電部11・21・31(発電部)を有する供給部が、系統電源Kと前記負荷Hとを接続する電力経路L(電路)に複数接続された電力供給システム1であって、前記供給部は、第一蓄電システム10(第一供給部)と、前記第一蓄電システム10よりも前記系統電源K側に接続され、前記太陽光発電部11・21・31で発電された電力を充電可能であると共に、当該充電された電力を放電して前記負荷Hへと供給可能な蓄電池22・32をさらに有する第二蓄電システム20及び第三蓄電システム30(第二供給部)と、を具備し、前記電力供給システム1は、前記第一蓄電システム10から前記系統電源Kへと逆潮流される電力を検出可能なセンサ42・43(検出部)と、前記センサ42・43の検出結果を取得可能であると共に前記蓄電池22・32を制御可能に構成され、前記センサ42・43が前記系統電源Kへと逆潮流される電力を検出した場合に、当該逆潮流される電力を前記蓄電池22・32に充電するハイブリッドパワコン23・33(制御部)と、を具備するものである。
【0077】
このように構成することにより、第一蓄電システム10の太陽光発電部11から逆潮流させた電力を第二蓄電システム20及び第三蓄電システム30の蓄電池22・32に充電できるため、太陽光発電部11で発電された電力を有効に活用することができる。
【0078】
また、前記ハイブリッドパワコン23・33は、前記蓄電池22・32の最大充電量Aと、売電量B(逆潮流される電力量)と、前記第二蓄電システム20及び第三蓄電システム30の太陽光発電部21・31で発電した電力を前記蓄電池22・32へ充電する量であるシステム内充電量C(内部充電量)と、に基づいて、逆潮流される電力を前記蓄電池22・32に充電する量であるシステム外充電量D(外部充電量)を決定するものである。
【0079】
このように構成することにより、システム外充電量Dを好適に決定することができる。
【0080】
また、前記ハイブリッドパワコン23・33は、前記最大充電量Aを上限として、前記システム内充電量Cとの和が最大となるように前記システム外充電量Dを決定するものである。
【0081】
このように構成することにより、第一蓄電システム10の太陽光発電部11から逆潮流される電力を第二蓄電システム20及び第三蓄電システム30の蓄電池22・32に極力充電することができるため、太陽光発電部11で発電された電力をより有効に活用することができる。
【0082】
また、前記第二蓄電システム20及び第三蓄電システム30は、前記電力経路Lに並んで接続され、前記センサ42・43は、前記電力経路Lにおいて前記第二蓄電システム20及び第三蓄電システム30の前記系統電源K側に隣接するようにそれぞれ配置され、前記ハイブリッドパワコン23・33は、前記センサ42・43が前記系統電源Kへと逆潮流される電力を検出した場合に、当該センサ42・43と隣接する前記第二蓄電システム20及び第三蓄電システム30の蓄電池22・32に、当該逆潮流される電力を充電するものである。
【0083】
このように構成することにより、下流側の第二蓄電システム20の蓄電池22に充電しても依然として余った第一蓄電システム10からの余剰電力を、上流側の第三蓄電システム30の蓄電池32に充電することができる。これによって、第一蓄電システム10の太陽光発電部11で発電された電力をより有効に活用することができる。
【0084】
なお、本実施形態に係る太陽光発電部11・21・31は、本発明に係る発電部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る第一蓄電システム10は、本発明に係る第一供給部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る第二蓄電システム20及び第三蓄電システム30は、本発明に係る第二供給部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係るセンサ42・43は、本発明に係る検出部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係るハイブリッドパワコン23・33は、本発明に係る制御部の実施の一形態である。
【0085】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0086】
例えば、電力供給システム1は、集合住宅に設けられるものとしたが、これに限定されるものではなく、例えば、オフィス等に設けられるものであってもよい。
【0087】
また、本実施形態において蓄電システムの台数は、3台であるものとしたが、これに限定されるものではなく、2台以上の任意の台数とすることができる。
【0088】
また、第一蓄電システム10は、必ずしも蓄電池12を具備する必要はない。
【0089】
また、第一蓄電システム10のハイブリッドパワコン13は、必ずしも余剰電力充電処理を行う必要はない。
【0090】
また、本実施形態においては、第二蓄電システム20は、第一蓄電システム10(すなわち、1つの蓄電システム)から逆潮流された電力を充電可能な構成としたが、複数の蓄電システムからの電力を充電することができる。すなわち、本発明に係る第二供給部だけでなく、第一供給部も電力経路Lに複数接続されるものであってもよい。
【0091】
また、第一蓄電システム10から第三蓄電システム30までは、所定の燃料を用いて発電する発電装置(例えば、燃料電池)等を具備する構成であってもよい。
【0092】
また、発電部は、太陽光を利用して発電する太陽光発電部11・21・31であるものとしたが、自然エネルギー(例えば、水力や風力)を利用して発電するものであれば、これに限定されるものではない。
【0093】
また、ハイブリッドパワコン23・33は、ステップS90及びステップS130において、全ての余剰電力を蓄電池22・32に充電するものとしたが、これに限定されるものではない。ハイブリッドパワコン23・33は、ステップS90及びステップS130において、例えば、余剰電力の一部を蓄電池22・32に充電してもよい。
【0094】
また、本実施形態においては、ハイブリッドパワコン23・33によって蓄電池22・32の充電を制御するものとしたが、これに限定されるものではなく、例えば、EMS(Energy Management System)を用いて蓄電池22・32の充電を制御してもよい。