特許第6920883号(P6920883)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6920883カーボンヒーターを含む温風・温水ボイラー、該温風・温水ボイラーを含む温風・温水ボイラーシステム、及び該温風・温水ボイラーを含む農業ハウス用温風・温水ボイラーシステム
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  • 特許6920883-カーボンヒーターを含む温風・温水ボイラー、該温風・温水ボイラーを含む温風・温水ボイラーシステム、及び該温風・温水ボイラーを含む農業ハウス用温風・温水ボイラーシステム 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6920883
(24)【登録日】2021年7月29日
(45)【発行日】2021年8月18日
(54)【発明の名称】カーボンヒーターを含む温風・温水ボイラー、該温風・温水ボイラーを含む温風・温水ボイラーシステム、及び該温風・温水ボイラーを含む農業ハウス用温風・温水ボイラーシステム
(51)【国際特許分類】
   H05B 3/44 20060101AFI20210805BHJP
   A01G 9/24 20060101ALI20210805BHJP
   A01G 9/26 20060101ALI20210805BHJP
   F24H 1/12 20060101ALI20210805BHJP
   F24H 3/04 20060101ALI20210805BHJP
   H05B 3/14 20060101ALI20210805BHJP
【FI】
   H05B3/44
   A01G9/24 N
   A01G9/24 P
   A01G9/26 A
   F24H1/12 A
   F24H3/04 302
   H05B3/14 F
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-103602(P2017-103602)
(22)【出願日】2017年5月25日
(65)【公開番号】特開2018-198542(P2018-198542A)
(43)【公開日】2018年12月20日
【審査請求日】2020年5月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】517184473
【氏名又は名称】高橋 忠義
(73)【特許権者】
【識別番号】517184727
【氏名又は名称】高橋 由香里
(73)【特許権者】
【識別番号】519180219
【氏名又は名称】藤川 真弘
(74)【代理人】
【識別番号】100080528
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 冨士男
(74)【代理人】
【識別番号】100073601
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 和男
(72)【発明者】
【氏名】高橋 忠義
【審査官】 礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−323965(JP,A)
【文献】 特開2012−141610(JP,A)
【文献】 特開2010−112586(JP,A)
【文献】 実開昭52−104270(JP,U)
【文献】 実開平05−059837(JP,U)
【文献】 特開2010−262912(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2009−0129147(KR,A)
【文献】 韓国登録特許第10−0997957(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 3/00 − 3/86
A01G 9/14 − 9/26
F24H 1/00 − 9/20
F24D 1/00 − 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端側を閉塞した石英ガラス管と、
複数の分離配置のコンポジットカーボンにカンタル線を連続的に巻き付け電気的に直列接続構造とされるとともに前記石英ガラス管内に配置した発熱体と、
前記石英ガラス管の開口端側を閉塞する状態に配置した+入力端子、−入力端子として機能させる一対の真空端子部品を備える端子板と、
前記石英ガラス管の内壁に対して、前記発熱体の端部と前記端子板との間の位置で密着嵌装した石英管、石英棉を用いた温度止めユニットと、
前記発熱体の端部の一対のコンポジットカーボンに巻き付けた一対のカンタル線と、前記一対の真空端子部品とを前記温度止めユニットを貫通する状態で接続する一対の接続用カンタル線と、
によりカーボンヒーターを構成し、
このカーボンヒーターをハウジング内に配置して前記+入力端子、−入力端子への給電により前記発熱体を発熱させ温風、温水生成用の熱源として動作させることを特徴とするカーボンヒーターを含む温風・温水ボイラー。
【請求項2】
一端側を閉塞した石英ガラス管と、
複数の分離配置のコンポジットカーボンにカンタル線を連続的に巻き付け電気的に直列接続構造とされるとともに前記石英ガラス管内に配置した発熱体と、
前記石英ガラス管の開口端側を閉塞する状態に配置した+入力端子、−入力端子として機能させる一対の真空端子部品を備える端子板と、
前記石英ガラス管の内壁に対して、前記発熱体の端部と前記端子板との間の位置で密着嵌装した石英管、石英棉を用いた温度止めユニットと、
前記発熱体の端部の一対のコンポジットカーボンに巻き付けた一対のカンタル線と、前記一対の真空端子部品とを前記温度止めユニットを貫通する状態で接続する一対の接続用カンタル線と、
によりカーボンヒーターを構成し、
このカーボンヒーターを、熱交換器を内装し温風放出用の熱誘導管を備えるハウジング内に配置して前記+入力端子、−入力端子への給電により前記発熱体を発熱させ温風、温水生成用の熱源として動作させる温風・温水ボイラーと、
前記+入力端子、−入力端子へAC電源からのAC電力を変換した直流電力、又は、太陽光パネル若しくは蓄電池からの直流電力を供給する給電系と、
前記熱交換器に対して給水を行い前記発熱体の発熱を利用した熱交換により温水を外部に送出する給水・温水系と、
を有することを特徴とする温水・温風ボイラーを含む温風・温水ボイラーシステム。
【請求項3】
一端側を閉塞した石英ガラス管と、
複数の分離配置のコンポジットカーボンにカンタル線を連続的に巻き付け電気的に直列接続構造とされるとともに前記石英ガラス管内に配置した発熱体と、
前記石英ガラス管の開口端側を閉塞する状態に配置した+入力端子、−入力端子として機能させる一対の真空端子部品を備える端子板と、
前記石英ガラス管の内壁に対して、前記発熱体の端部と前記端子板との間の位置で密着嵌装した石英管、石英棉を用いた温度止めユニットと、
前記発熱体の端部の一対のコンポジットカーボンに巻き付けた一対のカンタル線と、前記一対の真空端子部品とを前記温度止めユニットを貫通する状態で接続する一対の接続用カンタル線と、
によりカーボンヒーターを構成し、
このカーボンヒーターを、熱交換器を内装し、温風放出用の熱誘導管を備えるハウジング内に配置して、前記+入力端子、−入力端子への給電により前記発熱体を発熱させ温風、温水生成用の熱源として動作させる温風・温水ボイラーと、
前記温風・温水ボイラーを内部に配置した農業ハウスと、
前記+入力端子、−入力端子へ前記+入力端子、−入力端子へAC電源からのAC電力を変換した直流電力、又は、太陽光パネル若しくは蓄電池からの直流電力を供給する給電系と、
前記熱交換器に対して給水を行い前記発熱体の発熱を利用した熱交換により温水を得る給水・温水系と、
前記給水・温水系に接続されるとともに、前記農業ハウスの地面内に配置され温水による土中の保温を行う土中配管系と、
前記給水・温水系に接続されるとともに、前記農業ハウスの天井部に配置され天井側から農業用ハウス室内への温水の散水を行う空中温水散水系と、
前記熱誘導管からの温風を吸引し農業ハウスの天井側から農業用ハウス室内に送風する所要数の送風ファンと、
を有することを特徴とする温水・温風ボイラーを含む農業ハウス用温風・温水ボイラーシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーボンヒーターを含む温風・温水ボイラー、該温風・温水ボイラーを含む温風・温水ボイラーシステム、及び該温風・温水ボイラーを含む農業ハウス用温風・温水ボイラーシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、地球温暖化や様々な要因から生じる気候変動により農業を取り巻く環境は常に変化にさらされている。例えば、予想もしなかった長雨、集中豪雨による冷害や長期間降雨が無い干ばつ等、生産者が潜在的にかかえるリスクは非常に厳しいものである。
【0003】
また、気候変動から発生するリスクが回避できたり、市場での付加価値を高められる促成栽培、農業ハウス栽培を選択する生産者も、電気料金や重油等の燃料費の高騰等、気候変動以外の経営を圧迫する要因をかかえながらの耕作とならざるを得ない。
【0004】
従来における農業ハウス用の暖房手段としては、例えば重油を燃料とするボイラーを商用電源からの電力供給により運転する方式が主流であり、このため設備費用が高額になるとともにランニングコストも多大となり、生産者に大きな負担を強いるものであった。
【0005】
特許文献1には、ハウス暖房用温風生成と発電を行う装置であって、従来のハウス用暖房温風機とスターリングエンジンと発電機を併設して、スターリングエンジンの駆動用熱エネルギーとして、ハウス用暖房温風機の燃焼室へヒーター(熱交換器)を挿入して、燃焼室の高温の燃焼ガスの一部を受熱して、これを利用してスターリングエンジンを運転し、この動力で付設の発電機を回転させて電力を得、発電ロスはハウスの暖房として利用するように構成した農業で使用する植物栽培用温室の暖房に使用するハウス用暖房機が開示されている。
【0006】
しかし、特許文献1のハウス用暖房機の場合においても、ボイラー、更にはスターリングエンジンを運転する構成であり、上述した場合と同様、設備費用が高額になるとともにランニングコストも多大となり、生産者に大きな負担を強いるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2014−223052号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みて、促成栽培、ハウス栽培の現場で圧倒的なシェアを持つ農業ハウス用のボイラーの運用をナノカーボン技術を用いたカーボンヒーターの採用により抜本的に変革し、設備費用の低減、ランニングコストの削減を実現し、生産者における経営圧迫要因を確実に除去し、日本の農業の発展に大きく寄与する温風・温水ボイラー、温風・温水ボイラーシステム、農業ハウス用温風・温水ボイラーシステムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るカーボンヒーターを含む温風・温水ボイラーは、一端側を閉塞した石英ガラス管と、複数の分離配置のコンポジットカーボンにカンタル線を連続的に巻き付け電気的に直列接続構造とされるとともに前記石英ガラス管内に配置した発熱体と、前記石英ガラス管の開口端側を閉塞する状態に配置した+入力端子、−入力端子として機能させる一対の真空端子部品を備える端子板と、前記石英ガラス管の内壁に対して、前記発熱体の端部と前記端子板との間の位置で密着嵌装した石英管、石英棉を用いた温度止めユニットと、前記発熱体の端部の一対のコンポジットカーボンに巻き付けた一対のカンタル線と、前記一対の真空端子部品とを前記温度止めユニットを貫通する状態で接続する一対の接続用カンタル線と、によりカーボンヒーターを構成し、このカーボンヒーターをハウジング内に配置して前記+入力端子、−入力端子への給電により前記発熱体を発熱させ温風、温水生成用の熱源として動作させることを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明によれば、従来例のようなボイラーを採用することなく、カーボンヒーターへの給電に伴う発熱体の発熱を利用して前記カーボンヒーターを温風、温水生成用の熱源として動作させることができ、設備費用の低減、ランニングコストの削減を実現し、生産者における経営圧迫要因を確実に除去し、日本の農業の発展に大きく寄与するという斬新な効果を奏するカーボンヒーターを含む温風・温水ボイラーを実現し提供することができる。
【0011】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明と同様な効果を発揮させることができ、特に前記給電系における前記太陽光パネル又は蓄電池からの直流電力を利用することにより、電力料金に関するランニングコストを大幅に削減することができる温風・温水ボイラーを含む温風・温水ボイラーシステムを実現し提供することができる。
【0012】
請求項3記載の発明によれば、従来例のようなボイラーを採用することなく、カーボンヒーターへの給電に伴う発熱体の発熱を利用して土中配管系よる土中の保温、空中温水散水系による農業用ハウスの室内への温水の散水、送風ファンによる農業用ハウスの室内への温風の送風を実行することができ、野菜や果物の良好な育成環境を実現でき、かつ、設備費用の低減、ランニングコストの大幅な削減を実現し、生産者における経営圧迫要因を確実に除去し、日本の農業の発展に大きく寄与するという斬新な効果を奏する温風・温水ボイラーを含む農業ハウス用温風・温水ボイラーシステムを実現し提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は本発明の実施例1に係るカーボンヒーターを含む温風・温水ボイラーの概略構成図である。
図2図2は本実施例1に係る温風・温水ボイラーを構成するカーボンヒーターの概略断面図である。
図3図3は本実施例1に係る温風・温水ボイラーを構成するカーボンヒーターの変形例を示す概略断面図である。
図4図4は本発明の実施例2に係る温風・温水ボイラーシステムの概略構成図である。
図5図5は本発明の実施例3に係る農業ハウス用温風・温水ボイラーシステムの概略構成図である。
図6図6は本実施例3に係る農業ハウス用温風・温水ボイラーシステムにおける農業ハウスの概略縦断面図である。
図7図7は本実施例3に係る農業ハウス用温風・温水ボイラーシステムにおける農業ハウスの概略横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、設備費用の低減、ランニングコストの削減を実現し、生産者における経営圧迫要因を確実に除去し、日本の農業の発展に大きく寄与する温風・温水ボイラーを含む農業ハウス用温風・温水ボイラーシステムを実現し提供するという目的を、一端側を閉塞した石英ガラス管と、複数の分離配置のコンポジットカーボンにカンタル線を連続的に巻き付け電気的に直列接続構造とされるとともに前記石英ガラス管内に配置した発熱体と、前記石英ガラス管の開口端側を閉塞する状態に配置した+入力端子、−入力端子として機能させる一対の真空端子部品を備える端子板と、前記石英ガラス管の内壁に対して、前記発熱体の端部と前記端子板との間の位置で密着嵌装した石英管、石英棉を用いた温度止めユニットと、前記発熱体の端部の一対のコンポジットカーボンに巻き付けた一対のカンタル線と、前記一対の真空端子部品とを前記温度止めユニットを貫通する状態で接続する一対の接続用カンタル線と、によりカーボンヒーターを構成して、このカーボンヒーターを熱交換器を内装し、温風放出用の熱誘導管を備えるハウジング内に配置して、前記+入力端子、−入力端子への給電により前記発熱体を発熱させ温風、温水生成用の熱源として動作させる温風・温水ボイラーと、前記温風・温水ボイラーを内部に配置した農業ハウスと、前記+入力端子、−入力端子へ前記+入力端子、−入力端子へAC電源からのAC電力を変換した直流電力、又は、太陽光パネル若しくは蓄電池からの直流電力を供給する給電系と、前記熱交換器に対して給水を行い前記発熱体の発熱を利用した熱交換により温水を得る給水・温水系と、前記給水・温水系に接続されるとともに、前記農業ハウスの地面内に配置され温水による土中の保温を行う土中配管系と、前記給水・温水系に接続されるとともに、前記農業ハウスの天井部に配置され天井側から農業用ハウス室内への温水の散水を行う空中温水散水系と、前記熱誘導管からの温風を吸引し農業ハウスの天井側から農業用ハウス室内に送風する所要数の送風ファンと、を有する構成により実現した。
【実施例】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の実施例に係るカーボンヒーターを含む温風・温水ボイラー、該温風・温水ボイラーを含む温風・温水ボイラーシステム、及び該温風・温水ボイラーを含む農業ハウス用温風・温水ボイラーシステムについて詳細に説明する。
【0016】
(実施例1)
本発明の実施例1に係るカーボンヒーターを含む温風・温水ボイラーについて図1乃至図3を参照して説明する。
【0017】
本実施例1に係るカーボンヒーター11を含む温風・温水ボイラー1は、図1に示すように、箱型状のハウジング2内に詳細は後述するカーボンヒーター11を配置するとともに、このカーボンヒーター11の近傍に温水を得るための熱交換器12を配置することにより構成している。
【0018】
また、前記ハウジング2の上部から上方に熱誘導管13を配置している。
【0019】
前記カーボンヒーター11は、図2に拡大して示すように、一端側を閉塞した石英ガラス管21と、複数(本実施例1では10本)の分離配置(5本ずつ並列配置)のナノカーボン技術を基に作製したコンポジットカーボン(長さ25mm×直径14mm)22にカンタル線((直径0.9mm×150mm)23を連続的に巻き付け、電気的に直列接続構造とするとともに前記石英ガラス管21内に垂直配置した発熱体25と、前記石英ガラス管21を形成する開口端側のフランジ部21aには、前記開口端側を閉塞する状態に配置した+入力端子27a、−入力端子27bとして機能させる一対の真空端子部品27、27を備える例えばステンレス製の端子板26と、前記石英ガラス管21の内壁に対して、前記発熱体25の端部と前記端子板26との間の位置で密着嵌装した石英管28、石英棉29を用いた温度止めユニット30と、前記発熱体25の端部に位置する一対のコンポジットカーボン22、22と、前記一対の真空端子部品27、27とを前記温度止めユニット30を貫通する状態で接続する一対の接続用カンタル線(直径2.6mm×50mm)31、31と、により構成している。
【0020】
そして、給電系41から前記+入力端子27a、−入力端子27bへ直流電力を給電し、前記カーボンヒーター11を発熱させ、前記カーボンヒーター11の発熱に伴う温風を前記熱誘導管13により誘導し上方に放出するように構成している。
【0021】
更に、熱交換器12に対しては、給水・温水系42を配管接続し、前記カーボンヒーター11の発熱を利用して給水を温水に熱交換し、給水・温水系42から温水を取り出すように構成している。
【0022】
前記端子板26は、前記フランジ部21aに対してボルト43、ナット44により固着され、開口端側を密閉施封状態とするようにしている。
【0023】
上述したカーボンヒーター11によれば、+入力端子27a、−入力端子27bに前記給電系41から例えば50V×10Aの電力を供給することにより、前記石英ガラス管21の内部は3〜5秒で950℃の高温となりその熱を周囲に放射させることができる(カーボンヒーター11:500W仕様)。
【0024】
また、前記石英ガラス管21の内部に前記温度止めユニット30を配置したことにより、前記端子板26の内面側付近の温度を、石英ガラス管21の内部の高温領域より低温の100℃程度にとどめることができる(真空端子部品27、27は450℃以下)。
【0025】
本実施例1に係るカーボンヒーター11を含む温風・温水ボイラー1によれば、従来例のようなボイラーを採用することなく、カーボンヒーター11への給電に伴う発熱体25の発熱を利用して前記カーボンヒーター11を温風、温水生成用の熱源として動作させることができ、設備費用の低減、ランニングコストの削減を実現し、生産者における経営圧迫要因を確実に除去し、日本の農業の発展に大きく寄与するという斬新な効果を発揮させることができる。
【0026】
図3はカーボンヒーター11の変形例であるカーボンヒーター11Aを示すものであり、図2に示すカーボンヒーター11の場合と同一の要素には同一の符号を付して示す。
【0027】
このカーボンヒーター11Aは、前記カーボンヒーター11よりも小電力仕様(300W仕様)としたものであり、前記コンポジットカーボン22を6本用いて図2に示すカーボンヒーター11の場合と同様に構成したものである。
【0028】
このようなカーボンヒーター11Aを採用して温風・温水ボイラー1を構成した場合においても、実施例1の場合よりも小規模な装置構成に基に、設備費用の低減、ランニングコストの削減を実現し、生産者における経営圧迫要因を確実に除去し、日本の農業の発展に大きく寄与するという斬新な効果を発揮させることができる。
【0029】
なお、熱源としては、上述したカーボンヒーター11、カーボンヒーター11Aの他にも種々の変形実施が可能であることは言うまでもない、
【0030】
(実施例2)
次に、本発明の実施例2に係る温風・温水ボイラー1を含む温風・温水ボイラーシステム51について図4を参照して説明する。
【0031】
本実施例2に係る温風・温水ボイラー1を含む温風・温水ボイラーシステム51は、基本的には図1に示す温風・温水ボイラー1と同様な構成であるが、前記給電系41を、図4に示すように、前記+入力端子27a、−入力端子27bに対して、AC(交流)電源52からのAC電力を変換した直流電力、又は、太陽光パネル61若しくは蓄電池71からの所要の直流電力を供給するように構成したことが特徴である。
【0032】
すなわち、前記給電系41は、AC電源52からのAC電力をDC(直流)電力に変換するAC/DC変換器53と、太陽光パネル61と、蓄電池71と、前記太陽光パネル61、蓄電池71からの直流電力を切り換え、いずれか一方の直流電力を出力する直流電力充電切換制御部54と、前記AC/DC変換器53からの直流電力、前記直流電力充電切換制御部54からの直流電力の切り換え制御を行いいずれか一方の直流電力を前記+入力端子27a、−入力端子27bに供給する切換制御部55と、を具備している。
【0033】
本実施例2に係る前記温風・温水ボイラー1を含む温風・温水ボイラーシステム51によっても、実施例1の温風・温水ボイラー1の場合と同様な効果を発揮させることができ、特に前記給電系41における前記太陽光パネル61又は蓄電池71からの直流電力を利用することにより、電力料金に関するランニングコストを大幅に低減できるという効果を奏する。
【0034】
(実施例3)
本発明の実施例3に係る温風・温水ボイラー1を含む農業ハウス用温風・温水ボイラーシステム81について図5乃至図7を参照して説明する。
【0035】
本実施例3に係る農業ハウス用温風・温水ボイラーシステム81は、基本的には図4に示す温風・温水ボイラーシステム51と同様な構成であるが、前記温風・温水ボイラー1を図6図7に示すような例えばトマト苗92の育成を行う農業ハウス91の内部に配置するとともに、給水・温水系42に配管接続されるとともに、前記農業ハウス91の地面91aの下の土中内に配置され温水による土中の保温を行う土中配管系82と、前記給水・温水系42に配管接続されるとともに、前記農業ハウス91の天井部に配置され天井側から農業ハウス91の室内への温水の散水を行う空中温水散水系83と、前記熱誘導管13からの温風を吸引し農業ハウス91の天井側から農業ハウス91の室内に送風する例えば2台の送風ファン84と、を備えることが特徴である。
【0036】
本実施例3に係る温風・温水ボイラー1を含む農業ハウス用温風・温水ボイラーシステム81において、前記温風・温水ボイラー1を運転した実験によれば、外気温度1℃の環境で、前記農業ハウス91の室内温度は14℃〜15℃、土中温度3℃に維持できることが判明した。なお、図6図7において、93は温度計である。
【0037】
本実施例3に係る温風・温水ボイラー1を含む農業ハウス用温風・温水ボイラーシステム81によれば、従来例のようなボイラーを採用することなく、カーボンヒーター11への給電に伴う発熱体25の発熱を利用して土中配管系82による土中の保温、空中温水散水系83による農業ハウス91の室内への温水の散水、送風ファン84による農業ハウス91の室内への温風の送風を実行することができ、野菜や果物の良好な育成環境を実現でき、かつ、従来例のようなボイラーを採用することなく、設備費用の低減、ランニングコストの削減を実現し、生産者における経営圧迫要因を確実に除去し、日本の農業の発展に大きく寄与するという斬新な効果を発揮させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明の温風・温水ボイラーを含む農業ハウス用温風・温水ボイラーシステムは、例えばトマト、キュウリ等の野菜類や、イチゴ、メロン等の果物類の育成、栽培を行うための農業ハウスに関して好適に適用可能である。
【符号の説明】
【0039】
1 温風・温水ボイラー
2 ハウジング
11 カーボンヒーター
11A カーボンヒーター
12 熱交換器
13 熱誘導管
21 石英ガラス管
21a フランジ部
22 コンポジットカーボン
23 カンタル線
25 発熱体
26 端子板
27 真空端子部品
27a +入力端子
27b −入力端子
28 石英管
29 石英棉
30 温度止めユニット
31 接続用カンタル線
41 給電系
42 給水・温水系
43 ボルト
44 ナット
51 温風・温水ボイラーシステム
52 AC電源
53 AC/DC変換器
54 直流電力充電切換制御部
55 切換制御部
61 太陽光パネル
71 蓄電池
81 農業ハウス用温風・温水ボイラーシステム
82 土中配管系
83 空中温水散水系
84 送風ファン
91 農業ハウス
91a 地面
92 トマト苗
93 温度計
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7