(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ハウジングの一部に、前記回動軸心を中心とした径方向外側に膨出し、前記清掃機構の一部を入り込ませて前記清掃機構を前記退避状態にさせることが可能な膨出部が備えられている請求項1または2に記載のモーアユニット。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、モーアユニットでは、草刈作業に伴って、ブレードを覆うハウジングの内部空間に、泥土や水分を含んだ刈草等の異物が溜まり易い。
【0005】
ハウジングの内部空間の清掃を行うために、上記のような従来の技術では、例えば、モーアユニットを車体から取り外した上で、モーアデッキをひっくり返し、ハウジングの内部空間に存在する異物を手作業でスクレーパ等を用いて除去する手法を採ることがあった。しかし、この手法は、手間が多くかかるものであった。
【0006】
一方、上記とは別の手法として、例えば、モーアデッキに設けられた開口を通じてハウジングの内部空間に水を流し入れてブレードを回転駆動させることで、水しぶきを発生させ、その水しぶきでハウジングの内部空間の異物を除去する手法を採ることがあった。しかし、この手法は、例えば、異物がハウジングの内面にこびり付いている場合等には、異物を適切に除去できないことがあった。
【0007】
上記実情に鑑み、ハウジングの内部空間の清掃を好適に行うことができるモーアユニットが要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のモーアユニットは、
回動軸心周りに回転駆動されることで地面の草を刈ることが可能なブレードと、
前記ブレードを覆うと共に下面が開放されたハウジングと、
前記回動軸心を中心に回転駆動されることで前記ハウジングの内部空間に存在する異物を除去可能な清掃機構と、が備えら
れ、
前記清掃機構は、前記ブレードの回転軌跡と重複しない退避状態と、前記ブレードの回転軌跡と重複して前記ブレードと連れ回りする使用状態と、に変更可能に構成されている。
【0009】
本発明によると、回動軸心を中心として清掃機構を回転駆動させることで、ハウジングの内部空間に存在する泥土や水分を含んだ刈草等の異物を掻き落として適切に除去できる。このため、例えば手作業でハウジングの内部空間を清掃する場合に比べてメンテナンスの手間が少なくなり、また例えば、水しぶきでハウジングの内部空間を清掃する場合とは違って、ハウジングの内面にこびり付いているような異物でも問題なく除去できる。よって、本発明であれば、ハウジングの内部空間の清掃を好適に行うことができるものとなる。
【0010】
【0011】
本発明によれば、ブレードの回転力を利用して清掃機構によるハウジングの内部空間の清掃を行うことができる。通常の草刈作業時には、清掃機構を退避状態にしておくことで、清掃機構が、ブレードによる草刈を阻害することがない。そして、清掃時には、清掃機構を使用状態にすることで、ブレードの駆動により清掃機構がブレードと連れ回り、ハウジングの内部空間の異物を掻き落とすものとなる。これにより、清掃機構を駆動するための専用の動力源が不要となり、構造の簡素化を実現できる。
【0012】
本発明において、
前記清掃機構に、前記回動軸心を中心とした径方向に沿ってスライド可能なスライド部が備えられ、
前記スライド部をスライドさせることで前記清掃機構を前記退避状態と前記使用状態とに変更可能となっていると好適である。
【0013】
上記構成によれば、清掃機構に複雑な構造を設けることなく、スライド部により退避状態と使用状態との切り換えを実現可能となり、構造の簡素化を実現できる。
【0014】
本発明において、
前記ハウジングの一部に、前記回動軸心を中心とした径方向外側に膨出し、前記清掃機構の一部を入り込ませて前記清掃機構を前記退避状態にさせることが可能な膨出部が備えられていると好適である。
【0015】
上記構成によれば、清掃機構の一部をハウジングの一部である膨出部に入り込ませることで、清掃機構を退避状態にできる。これにより、構造の複雑化を招くことなく、省スペースで清掃機構の退避状態と使用状態を切り換え可能となる。
【0016】
本発明において、
前記清掃機構に、前記使用状態において前記ハウジングの外部に露出する露出部が備えられていると好適である。
【0017】
上記構成によれば、ハウジングの外側から露出部を視認可能なので、使用状態の清掃機構の位置を容易に確認できる。これにより、例えば、使用状態の清掃機構による清掃が完了した後、清掃機構の位置を探る手間が省け、清掃機構を使用状態から退避状態に戻し易くなる。
【0018】
本発明において、
前記清掃機構を前記退避状態にロック可能なロック部が備えられていると好適である。
【0019】
上記構成によれば、ロック部により清掃機構を退避状態にロックしておくことで、清掃機構が誤って使用状態に切り換わることを防止できる。
【0020】
本発明において、
前記清掃機構が前記退避状態と前記使用状態とのいずれの状態であるかを検出可能な検出センサが備えられていると好適である。
【0021】
上記構成によれば、検出センサで検出される清掃機構の状態に基づいて、ブレードの駆動条件、操縦者への各種報知を行うことができる。
【0022】
本発明において、
前記ブレードを駆動可能な電動モータが備えられ、
前記電動モータは、前記検出センサにより前記使用状態が検出されている場合に、前記検出センサにより前記退避状態が検出されている場合に比べて、駆動速度が遅くなるように制御されると好適である。
【0023】
上記構成によれば、ブレードの動力源が電動モータであるから、ブレードの回転速度を柔軟に変更できる。通常の草刈作業時は、清掃機構が退避状態になっているため、ブレードを通常の回転速度となるように電動モータが制御される。一方、清掃時は、清掃機構が使用状態になっているため、ブレードを通常の回転速度よりも遅くすることで、ブレードや清掃機構に破損が生じることを防止できる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の一例である実施形態を図面に基づいて説明する。
【0026】
〔第1実施形態〕
まず、第1実施形態について説明する。
図1〜
図3等に示すモーアユニットUは、乗用型草刈機の車体Mに装備されるものとなっている。乗用型草刈機は、車体Mの走行に伴い、モーアユニットUにより地面の草刈を行うことが可能になっている。なお、
図2に示す符号Fの矢印の方向が「前」であり、
図2に示す符号Bの矢印の方向が「後」であり、
図2に示す符号Lの方向が「左」であり、
図2に示す符号Rの方向が「右」である。
【0027】
図1、
図2に示すように、車体Mには、走行装置1、走行装置1に支持される枠状に組まれた本機フレーム2が備えられている。走行装置1には、左右一対のキャスタ輪で構成される前輪1A、左右一対の駆動輪で構成される後輪1Bが備えられている。左右の後輪1Bは、夫々、対応する電動式の走行用モータ3によって独立駆動可能となっている。
【0028】
また、
図1、
図2に示すように、車体Mには、操縦者が着座可能な運転座席4、操縦者の足元が位置するフロアパネル5、操縦者が操作する操作ユニット6、運転座席4の後側に立設される門型の転倒保護フレーム7が備えられている。
【0029】
図1、
図2に示すように、操作ユニット6には、左右の走行用モータ3の回転速度を変化させることで対応する後輪1Bの回転速度を夫々変更操作可能な左右の操縦レバー8、走行装置1の制動操作可能でフロアパネル5から突き出したリフトペダル9等が備えられている。
【0030】
図1、
図2に示すように、モーアユニットUは、車体Mの下部において、前輪1Aと後輪1Bの間に配置され、前後一対の昇降リンク機構12によって車体Mの下部に高さ変更可能に吊り下げ支持されるようになっている。
【0031】
リフトペダル9は、昇降リンク機構12に連繋されている。操縦者は、リフトペダル9の踏み込み操作を行うことで、モーアユニットUを非作業位置に上昇させることができる。また、操縦者は、リフトペダル9の踏み込み操作を解除することで、モーアユニットUを作業位置に下降させることができる。
【0032】
図3〜
図5に示すように、モーアユニットUには、縦向きの回動軸心X周りに回転駆動されることで地面の草を刈ることが可能な複数(2つ)のブレード15、ブレード15を回転可能に支持するモーアデッキ16が備えられている。モーアデッキ16には、ブレード15を覆うと共に下面が開放されたハウジング17が備えられている。ブレード15の動力源は、作業用モータ18(「電動モータ」に相当)である。
【0033】
図2〜
図5に示すように、ハウジング17には、ブレード15の旋回軌跡の外形に沿った円弧形状を有する縦壁部19、縦壁部19の上側を覆う天板部20等が備えられている。各ブレード15は、ハウジング17の天板部20に固定される軸受部材21に、回動軸心X周りに回動自在に支持されている。ハウジング17の縦壁部19と天板部20とで囲われた空間は、各ブレード15を収容する内部空間Pとなっている。ハウジング17における左右方向一方側には、ブレード15で刈られた刈草を排出する刈草排出口22が開口されている。刈草排出口22には、筒状の排出カバー23が取り付けられている。モーアデッキ16には、キャスタ輪である複数の接地輪24が備えられている。
【0034】
図3に示すように、ブレード15を駆動可能な作業用モータ18は、モーアデッキ16の左右中央部に配置されている。説明を加えると、作業用モータ18は、モーアデッキ16の後部に配置されている。また、作業用モータ18は、モーアデッキ16の縦壁部19の後部に設けられる支持デッキ25に支持されている。
【0035】
図3等に示すように、モーアデッキ16には、作業用モータ18から各ブレード15に動力を伝達可能な動力伝達機構26が備えられている。動力伝達機構26には、作業用モータ18の出力軸27と一体回転する出力プーリ28、各ブレード15の回転軸29と一体回転する駆動プーリ30、出力プーリ28及び各駆動プーリ30に亘って巻き回される駆動ベルト31、駆動ベルト31に張力を付与するテンションプーリ32(
図3参照)が備えられている。作業用モータ18が駆動されると、出力プーリ28、駆動プーリ30を介して各ブレード15の回転軸29に回転動力が伝達されるようになっている。動力伝達機構26は、駆動部カバー33によって覆われている。
【0036】
図3〜
図5に示すように、各ブレード15には、回転軸29を正回転させる際に回転方向下手側に位置する刃部15Aと、回転軸29を正回転させる際に回転方向上手側に位置して立設される起風羽根15Bと、が備えられている。刃部15Aと起風羽根15Bは、回転軸29を挟んでブレード15の両側に備えられている。なお、本実施形態では、ブレード15の正回転の方向は、
図3に示すように、上面視で時計回りの方向である。
【0037】
図1、
図2に示すように、車体Mには、動力源としてのバッテリ34が備えられている。バッテリ34の電力により、各走行用モータ3、及び、作業用モータ18が駆動される。
【0038】
図1、
図2に示す各走行用モータ3には、対応する後輪1Bが互いに異なる回転速度となるように出力を調整可能となっている。これにより、車体Mを旋回させることが可能となっている。
【0039】
図2、
図3、
図7に示す作業用モータ18は、ブレード15の回転速度を自在に変更することができる。また、作業用モータ18は、ブレード15を正回転させる方向とブレード15を逆回転させる方向とに回転方向を切り換えることができる。
【0040】
〔清掃機構について〕
図3〜
図6に示すように、モーアユニットUには、回動軸心Xを中心に回転駆動されることでハウジング17の内部空間Pに存在する異物を除去可能な清掃機構35が備えられている。清掃機構35は、ハウジング17における天板部20の下方、かつ、縦壁部19の内側に位置している。清掃機構35は、例えば鉄等の金属製であると好適である。
【0041】
図3、
図4に示すように、清掃機構35は、ブレード15の回転軌跡と重複しない退避状態S1(
図3、
図4参照)と、ブレード15の回転軌跡と重複してブレード15と連れ回りする使用状態S2(
図3、
図5参照)と、に変更可能に構成されている。
【0042】
図4〜
図6等に示すように、清掃機構35には、軸受部材21の周溝36に、回動軸心Xを中心として回動自在に支持される環状の支持部37、支持部37から回動軸心Xを中心として径方向外側に延びる板状の延出部38、延出部38に取り付けられるL字状に折り曲げられた折り曲げ板部39が備えられている。支持部37と延出部38との間は曲げられており、支持部37よりも延出部38における折り曲げ板部39の取付箇所の方が、天板部20に近付くようになっている。
【0043】
折り曲げ板部39には、回動軸心Xを中心とした径方向に沿って延びる横板部40と、横板部40の径方向外端部から下方に向けて延出される縦板部41と、が備えられている。
【0044】
また、
図3〜
図6等に示すように、清掃機構35には、回動軸心Xを中心とした径方向に沿ってスライド可能なスライド部42が備えられている。スライド部42をスライドさせることで清掃機構35を退避状態S1と使用状態S2とに変更可能となっている。
【0045】
スライド部42は、延出部38に対して折り曲げ板部39の横板部40を相対的にスライドさせることで、清掃機構35を退避状態S1と使用状態S2とを切り換えることが可能になっている。
【0046】
具体的には、
図3〜
図6等に示すように、スライド部42には、折り曲げ板部39の横板部40側に、2つの頭付きピン43と、1つの係合ピン44と、が備えられている。また、スライド部42には、延出部38側に、回動軸心Xを中心とする径方向に並んだ2つの大径の挿通孔45が設けられた径方向に沿って延びる溝部46と、係合ピン44に係合可能な回動軸心Xを中心とする径方向に並んだ第1係合孔47及び第2係合孔48と、が備えられている。
【0047】
図3〜
図6等に示す折り曲げ板部39は、可撓性を有しており、板バネのように曲げて変形させることが可能となっている。まず、折り曲げ板部39の横板部40を少し撓ませて、係合ピン44が延出部38に引っ掛からないようにしながら、2つの頭付きピン43を2つの挿通孔45に通し、溝部46に2つの頭付きピン43の軸部を通す。そして、2つの頭付きピン43を溝部46においてスライド移動させて、係合ピン44を径方向外側の第1係合孔47に係合させると、清掃機構35が退避状態S1となる。一方、2つの頭付きピン43を溝部46においてスライド移動させて、係合ピン44を径方向内側の第2係合孔48に係合させると、清掃機構35が使用状態S2となる。つまり、スライド部42は、退避状態S1に対応する位置と使用状態S2に対応する位置との2位置で位置決めされるデテント機構になっている。
【0048】
図3〜
図5に示すように、ハウジング17の一部である縦壁部19には、ブレード15毎に、回動軸心Xを中心とした径方向外側に向けて膨出し、退避状態S1の清掃機構35の一部である折り曲げ板部39の縦板部41を入り込ませて清掃機構35を退避状態S1にさせることが可能な膨出部50が備えられている。
【0049】
図3〜
図5に示すように、各膨出部50は、縦方向に延びる溝形状となっている。膨出部50は、退避状態S1となった清掃機構35の折り曲げ板部39のうち縦板部41を収容するようになっている。折り曲げ板部39の縦板部41が膨出部50の壁部に当接することで、縦板部41が膨出部50から脱出しないようになっている。
【0050】
図5等に示すように、モーアユニットUを非作業位置にすると共に清掃機構35を使用状態S2にしてブレード15を正回転方向に回転駆動すると、ブレード15により折り曲げ板部39の回転方向上手側の面がブレード15の刃部15Aで押圧され、ブレード15を駆動源として清掃機構35全体が回動軸心X周りに回転駆動し、延出部38及び折り曲げ板部39の回転方向下手側の面がスクレーパとして機能する。これにより、清掃機構35で、ハウジング17の天板部20の内面に付着した異物やハウジング17の縦壁部19の内面に付着した異物を掻き落として好適に除去できる。
【0051】
〔第2実施形態〕
次に、第2実施形態について説明する。なお、第2実施形態の構成のうち上記第1実施形態と同一の構成には同一の符号を付し、その構成の説明を省略する。
【0052】
図7、
図8に示すように、モーアユニットUには、清掃機構35の折り曲げ板部39に揺動可能に取り付けられる露出部100が備えられている。また、モーアユニットUには、縦壁部19に、清掃機構35を退避状態S1にロック可能なロック部101が備えられている。また、モーアユニットUには、膨出部50の外側に、清掃機構35が退避状態S1と使用状態S2とのいずれの状態であるかを検出可能な検出センサ102が備えられている。
【0053】
図8等に示すように、露出部100は、清掃機構35の使用状態S2においてハウジング17の下方に露出するようになっている。ロック部101は、露出部100に係合することで、清掃機構35を退避状態S1でロック可能となっている。
【0054】
図7等に示すように、清掃機構35を退避状態S1にし、露出部100を、ハウジング17の外側に揺動自在に取り付けられる揺動片であるロック部101に係合させることで、清掃機構35が退避状態S1でロックされる。また、清掃機構35が退避状態S1でロックされることにより、露出部100が検出センサ102に接触して、検出センサ102が清掃機構35の退避状態S1を検出することになる。
【0055】
図8等に示すように、清掃機構35を使用状態S2にするには、ロック部101による露出部100の係合を解除する。これにより、露出部100がハウジング17よりも下方に露出した状態になる。この状態では、露出部100が検出センサ102に接触しなくなり、検出センサ102が清掃機構35の使用状態S2(清掃機構35が退避状態S1ではない状態)を検出することになる。
【0056】
また、清掃機構35のスライド部142は、回動軸心Xを中心として径方向外側に向かうほど天板部20に近付くように傾斜した方向にスライド可能となっている。具体的には、延出部138と横板部140とが、回動軸心Xを中心として径方向外側に向かうほど天板部20に近付くように傾斜している。これにより、清掃機構35を退避状態S1にした際に、折り曲げ板部39が天板部20の内面すれすれの箇所に位置するものとなり、ブレード15から極力離して退避させることができる。
【0057】
〔草刈作業モードと清掃モード〕
モーアユニットUは、草刈作業を行う草刈作業モードと清掃モードとを切り換えることができる。草刈作業モードでは、検出センサ102が清掃機構35の退避状態S1を検出していると、通常の回転速度でブレード15を正回転させるように作業用モータ18が駆動される。一方、草刈作業モードでは、検出センサ102が清掃機構35の使用状態S2を検出していると、作業用モータ18の駆動が禁止され、ブレード15が回転駆動されないようになっている。
【0058】
清掃モードでは、検出センサ102が清掃機構35の退避状態S1を検出していると、ブレード15を回転させず、清掃機構35を回転駆動させない。一方、清掃モードでは、検出センサ102が清掃機構35の使用状態S2を検出していると、草刈作業モードよりもブレード15を低速で正回転させるように作業用モータ18が制御される。すなわち、作業用モータ18は、検出センサ102により使用状態S2が検出されている場合(清掃モードの場合)に、検出センサ102により退避状態S1が検出されている場合(草刈作業モードの場合)に比べて、駆動速度が遅くなるように制御される。これにより、比較的ゆっくりとした回転速度で清掃機構35が回転駆動され、ハウジング17の内部空間Pに存在する異物が掻き落とされて適切に除去される。
【0059】
草刈作業モードと清掃モードのいずれにおいても、作業用モータ18が過負荷とならないように、作業用モータ18の電流値は監視されている。作業用モータ18が過負荷となる電流値が検出されると、作業用モータ18が停止される。
【0060】
〔その他の実施形態〕
以下、上記実施形態に変更を施したその他の実施形態について説明する。その他の実施形態は、矛盾が生じない限り複数組み合わせて上記実施形態に適用できる。なお、本発明の範囲は、各実施形態に示した内容に限られるものではない。
【0061】
(1)上記第2実施形態において、例えば、運転座席4の近傍に、各種情報を操縦者に表示する表示ユニットを備えてもよい。この場合、表示ユニットにより、草刈作業モードや清掃モード等のモード情報を表示できる。また、草刈作業モードの場合に、検出センサ102が清掃機構35の退避状態S1を検出していない場合には、ブレード15を回転駆動させない旨の情報を表示ユニットにより操縦者に通知するようにしてもよい。
【0062】
(2)上記実施形態では、スライド部42が、退避状態S1に対応する位置と使用状態S2に対応する位置との2位置で位置決めされるものを例示しているが、これに限られない。例えば、スライド部42が、退避状態S1に対応する位置と使用状態S2に対応する位置との間の位置等の上記2位置以外の箇所で位置決め可能になっていてもよい。
【0063】
(3)上記実施形態では、清掃機構35が退避状態S1と使用状態S2とを切り換えるためにスライド部を備えるものを例示しているが、別の構造を採用してもよい。例えば、スライド部に代えて、折り畳み部を設け、折り畳み部により折り畳み状態と展開状態とを切り換えることで、退避状態S1と使用状態S2とが切り換わる清掃機構35であってもよい。
【0064】
(4)上記実施形態では、ハウジング17に退避状態S1の清掃機構35を退避させる膨出部50を備えるものを例示しているが、これに限られない。膨出部50に代えて、例えば、ハウジング17に退避状態S1の清掃機構35を退避させる切り欠き部等の別の構造を備えてもよい。
【0065】
(5)上記実施形態では、清掃機構35が退避状態S1であることを検出可能な検出センサ102を備えるものを例示しているが、これに限られず、検出センサ102が備えられていなくてもよい。
【0066】
(6)上記実施形態では、清掃機構35に折り曲げ板部39を備えてスクレーパとして機能するものを例示しているが、これに限られない。例えば、折り曲げ板部39に代えて、異物を擦り落とすことが可能な多数の毛状ブラシを備えるブラシ部を備えるようにしてもよい。
【0067】
(7)上記実施形態では、ハウジング17の内面の清掃時において、草刈作業時と同様にブレード15を正回転させるものを例示しているが、これに限られない。例えば、ハウジング17の内面の清掃時には、ブレード15を逆回転させるようにしてもよい。これにより、清掃機構35がブレード15の刃部15A側ではなく起風羽根15B側で押圧されて回転駆動されるようになるので、清掃機構35の耐久性が良好なものとなる。
【0068】
(8)上記実施形態では、ブレード15の動力源が作業用モータ18であるものを例示しているが、これに限られない。例えば、ブレード15の動力源がエンジンであってもよい。この場合、上記第2実施形態においては、検出センサ102の検出結果を、エンジンの回転速度の制限に用いてもよい。つまり、検出センサ102により清掃機構35の退避状態S1が検出されている場合には、エンジンの回転速度の制限を解除し、一方で、検出センサ102により清掃機構35の使用状態S2が検出されている場合には、エンジンの回転速度が速くなり過ぎないように規制回転速度未満に制限する等してもよい。