(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記システムマイクロプロセッサーコントローラーは、閉ループ制御を提供し、前記システムマイクロプロセッサーコントローラーに入力したユーザー選択出力周波数に高周波電源システム共振点を移動させ、
代替として、前記システムマイクロプロセッサーコントローラーは、ユーザー選択出力周波数に応答して、マイクロプロセッサー閉ループ出力の調整で、前記ワークピース負荷への電力伝送の最大出力、又は、前記高周波電源システムが共振点外に移動するため電力伝送の最大出力未満に維持する、請求項1に記載の高周波電源システム。
統合された単一のユーザー入力制御装置を有し、電力と周波数の表示と熱影響ゾーンサイズと一緒に、前記高周波電源システムからの電力振幅出力と周波数出力を制御するヒト・機械・インターフェース制御パネルを更に備える、請求項1乃至14のいずれか一項に記載の高周波電源システム。
ワークピース負荷のワークピースインピーダンスとは独立して複数のスイッチング装置を有するフルブリッジインバーター又はハーフブリッジインバーターからインバーター出力インピーダンス調整及び周波数制御網を介して溶接工程又はアニール工程において高周波電源システムから前記ワークピース負荷へ高度に調整された電力及び周波数を制御する方法であって、当該方法は、
前記複数のスイッチング装置をスイッチング制御すること;及び
前記インバーター出力インピーダンス調整及び周波数制御網から前記ワークピース負荷への可変インピーダンスを制御することを含み、
前記インバーター出力インピーダンス調整及び周波数制御網は、
単相インバーター出力配線に直列に配置及び接続された、直列可変リアクトルの第1ペア、直列可変リアクトルの第2ペア、直列可変コンデンサの第1ペア、及び直列可変コンデンサの第2ペアの組み合わせ;
前記単相インバーター出力配線の間に並列に配置及び接続された、並列可変リアクトルのペア、及び並列可変コンデンサのペアの組み合わせ;及び
前記単相インバーター出力配線の間に並列に配置及び接続された並列可変コンデンサを備える、方法。
【背景技術】
【0003】
誘導溶接は、電磁誘導を利用して単一のワークピース又は多数のワークピースの2以上の表面を加熱する溶接の一形態であり、少なくとも1つのワークピースは、少なくとも部分的に導電性を有する。周囲雰囲気、或いは不活性ガス又は真空といった制御された環境において誘導加熱された面の間に力を付与することにより、加熱面が一緒に溶接される。
【0004】
工業的な誘導溶接工程の一例は、
図1に模式的に示すように、少なくとも部分的に導電性を有するシート104(ワークピース)といった加工材から筒状部材を製造する鍛接(forge welding)である。この工程では、シート104の対向縁部104a,104bが、不図示の高周波電源システムにより提供されて誘導コイル106に流れる高周波交流電流により確立される電磁場により誘導加熱される。シート104が矢印に示されるように図面右から左に動くに応じて、誘導加熱された対向縁部が加工ロール108a,108bで一緒に圧延(鍛造)されて筒状部材110と溶接熱影響ゾーン(weld heat affected zone)(HAZ)113を形成する。誘導コイルと磁気的に結合したワークピースの溶接領域は、丸められた溶接領域内に挿入されたインピーダー(impeder)112といったインピーダンス調整装置と共に、溶接工程の間に動的に変化する負荷特性を有する溶接電気負荷(weld electric load)(ワークピース)回路を形成する。
【0005】
電気抵抗溶接(ERW (Electric resistance welding))は、抵抗加熱を利用して単一のワークピース又は多数のワークピースの2以上の表面を加熱する溶接の一形態であり、少なくとも1つのワークピースは、少なくとも部分的に導電性を有する。周囲雰囲気、或いは不活性ガス又は真空といった制御された環境において抵抗加熱された面の間に力を付与することにより、加熱面が一緒に溶接される。
【0006】
工業的な電気抵抗溶接工程の一例は、
図2に模式的に示すように、少なくとも部分的に導電性を有するシート204(ワークピース)といった加工材から筒状部材を製造する鍛接(forge welding)である。この工程では、シートの対向縁部204a,204bは、不図示の直流又は交流電源システムから電気的接点206a,206bに提供された交流電流又は直流電流により抵抗加熱される。シート204が矢印で示されるように図面右から左に動くに応じて、抵抗加熱された対向縁部204a,204bが、加工ロール208a,208bにより一緒に圧延されて筒状部材210と溶接HAZ213を形成する。電気的接点とワークピース溶接ゾーンは、溶接工程の間に動的に変化する負荷特性を有する溶接電気負荷(ワークピース)回路を形成する。
【0007】
誘導溶接工程で用いられる高周波固体電源は、また、先に形成された溶接シーム(weld seam)(HAZ)といった金属ワークピース又はワークピースゾーンが熱処理を要求するアニール(熱処理)工程といった誘導加熱用途でも使用可能である。誘導コイルと磁気的に結合したワークピースの熱処理ゾーンが、アニール工程の間に動的に変化する負荷特性を有する溶接電気負荷(ワークピース回路)を形成する。
【0008】
工業的なアニール工程の一例は、
図3に示すように、先の溶接形成された筒状部材の溶接シーム304における金属製の筒状部材302のアニールである。溶接シーム(HAZ306)の加熱は、例えば、
図3における矢印の方向に筒状部材が前進するに際して、(図で図式的に示される)リニア誘導コイル308に高周波電流を供給することにより達成可能である。
【0009】
上述の誘導溶接工程、抵抗溶接工程、又は誘導アニール工程について、電気負荷は、溶接又は加熱ゾーンにおける負荷回路Q(品質(Quality))因子、インダクタンス、抵抗、及び透磁率に影響する工程変数により生じる溶接又は加熱工程の間で動的に変化する負荷インピーダンスを有する。工程変数が多く、例えば、ワークピースの化学的性質、(ワークピースの筒状部材の周囲長又は厚みといった)ワークピースの寸法、プロセス温度、加工ロールの寸法及び化学的特性、溶接又は加熱電源の出力周波数、製造の溶接又は加熱品のプロセスライン速度又は製造速度、予備の機械装置、誘導コイル又は電気的接点の寸法、物理的構成、組成、及びフェライト素子(例えば、インピーダー)を含み得る。
【0010】
溶接又はアニール工程の間の電気負荷回路における動的に変化する負荷特性が原因で、溶接又はアニール電源の出力と電気負荷回路の間には、電源出力から電気負荷回路への最大電力伝送のための動的負荷整合サブシステムが要求される。
【0011】
図4は、溶接及びアニール工程のある既知の負荷整合コンセプトを模式的に示し、電源出力インピーダンスと負荷回路インピーダンスの共振により決定されるQ因子がQ曲線上で最大値の時、最大(100パーセント)電力伝送が電源出力周波数f
resで生じる。システムが共振外で作動するため、回路のQ因子に基づいて電力伝送が減少する。
【0012】
固有共振回路は、電圧電流比のシフトに帰結し、又は周波数のシフト又は変化に一致する容量とインダクタンスの変化を通じて決定される。
図4は、固有共振曲線の模式図である。固有共振は、次式により表され得る。
【0013】
【数1】
ここで、Lがインダクタンスであり、Cが回路のリアクタンスである。
【0014】
システムに整合装置がないことは、インダクタンスと容量の値が内的に固定されることを意味する。なぜなら、負荷変化が生じ、電力と周波数が、負荷特性により定義されるように様々な電力及び周波数レベルに帰結する定義されたQ曲線の異なる点に自然にシフトするためである。最大の電力出力を達成するためには、所望の調整周波数での電圧電流整合比、負荷Q、及びインダクタンスが、容量とインダクタンスの電源調整又は設定された固定値、選択された共振ピークに整合しなければならない。更には、電圧(電圧供給源)又は電流(電流供給源)を提供するスイッチング回路のタイミングは、最大電力伝送のため、又は共振点に一致するように電圧及び電流を効率的に制御するために設計されるべきである。この最大電力伝送は、周波数のこの1つの共振点でのみ生じる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
以下の簡潔に要約される添付図面は、本発明に関する理解の例のために提供され、本明細書と添付請求項で更に述べられるように本発明を限定しない。
【0019】
【
図1】
図1は、誘導コイルを備える鍛接電源出力負荷回路と、鍛接工程において製造物の筒状部材を形成するように重ねられた金属シートの対向縁部の説明図である。
【0020】
【
図2】
図2は、一組の抵抗接点を有する鍛接電源出力負荷回路と、電気抵抗溶接工程において製造物の筒状部材を形成するように重ねられた金属シートの対向縁部の説明図である。
【0021】
【
図3】
図3は、誘導コイルを備えるアニール電源出力負荷回路と、アニールされる金属ゾーン、例えば、製造物の筒状部材の先の溶接シームの説明図である。
【0022】
【
図4】
図4は、誘導溶接及びアニールと電気抵抗溶接のための負荷整合の1つの既知の方法を図式的に示す。
【0023】
【
図5】
図5は、誘導溶接及びアニール、並びに電気抵抗溶接のための共振点外での作動を補償するために追加のKVAの使用を介して負荷への最大電力を得る方法を図式的に示す。
【0024】
【
図6】
図6は、電流源インバーターを利用した本発明の高周波加熱電源システムの簡略図の一例である。
【0025】
【
図7】
図7は、電圧源インバーターを利用した本発明の高周波加熱電源システムの簡略図の別例である。
【0026】
【
図8(a)】
図8(a)は、本発明の高周波加熱電源システムのための制御システムの簡略制御図の一例である。
【
図8(b)】
図8(b)は、
図8(a)の高周波加熱電源システムのための制御システムと用いられることができる制御された出力電力(リアクタンス)のための調整された応答フィードバックループの簡略化制御図の一例である。
【
図8(c)】
図8(c)は、入力電力変動を補償するために出力電力調整を制御するべく
図8(a)における高周波加熱電源システムのための制御システムと用いられることができる出力電力振幅制御システムの簡略化制御図の一例である。
【0027】
【
図9】
図9は、本発明の高周波制御加熱電源システムのための連続的に可変及び制御可能な固有共振点を有する特性図の一例を図式にて示す。
【0028】
【
図10】
図10は、本発明の高周波制御加熱電源システムのための低周波及び高周波パルス幅変調のための特性図の別例を図式にて示す。
【0029】
【
図11】
図11(a)と
図11(b)は、本発明の高周波可変リアクトルの一例を示し、幾何学的な形状の可変リアクトルのペアが、本発明の高周波電源システムで用いられることができる単一の中実又は中空の導電性インサートコアを有する円錐形状を有する。
図11(c)は、
図11(a)と
図11(b)の可変リアクトルのペアが
図6又は
図7のリアクトルペア24a−24a’に用いられることができることを示す
図6又は
図7のインピーダンス調整及び周波数制御網の詳細である。
【0030】
【
図12】
図12(a)は、
図11(a)と
図11(b)に示した可変リアクトルのペアで用いられることができる中実又は中空のフェライトから形成される単一の幾何学的な形状のインサートコアの一例を示す。
図12(b)は、
図11(a)と
図11(b)に示したリアクトルのペアで用いられることができるフェライトロッドのアレイから形成される単一の幾何学的な形状のインサートコアの一例を示す。
【0031】
【
図13】
図13は、幾何学的な形状の可変リアクトルのペアが、本発明の周波数電源システムで用いられることができるくさび形形状を有する本発明の高周波可変リアクトルの一例を示す。
【0032】
【
図14】
図14は、幾何学的な形状の可変リアクトルのペアが、本発明の高周波電源システムで用いられることができる楕円放物面形状を有する本発明の高周波可変リアクトルの一例を示す。
【0033】
【
図15】
図15(a)乃至
図15(d)は、本発明の高周波電源システムの負荷整合装置で用いられることができる円錐形状の2巻き可変リアクトルのペアを備える本発明の高周波可変リアクトルの一例を示す。
【0034】
【
図16】
図16(a)及び
図16(b)は、本発明の負荷整合及び周波数制御装置で用いられることができる本発明の単一の中実又は中空の導電性インサートコアを有する円錐形状の幾何学的な形状の可変リアクトルのペアを備える本発明の高周波可変リアクトルの一例を示し、リアクトルペアの各可変リアクトルのための定置の分割バス部が単一の可変リアクトルを形成するように一緒に結合される。
図16(c)は、
図16(a)及び
図16(b)における高周波リアクトルが本発明の高周波電源システムで用いられることができることを示す
図6又は
図7に示した負荷整合及び周波数制御装置の変更版の詳細である。
【0035】
【
図17】
図17(a)及び
図17(b)は、各々、本発明の高周波電源システムの幾つかの例で用いられる高周波可変コンデンサのペアの一例の図式の上面及び前面図である。
図17(c)は、
図17(a)と
図17(b)の可変コンデンサのペアが
図6又は
図7のコンデンサペア26−26’に用いられることを示す
図6又は
図7のインピーダンス調整及び周波数制御網の詳細である。
【0036】
【
図18(a)】
図18(a)は、本発明の高周波加熱電源システムのある負荷特性、内部容量、及びインダクタンス設定とする本発明の高周波加熱電源システムの実際の作動点(running point)を示す手段としてターゲットのユーザー視覚化を許容するグラフィックユーザーインターフェースの一例を示す。
【
図18(b)】
図18(b)は、本発明の高周波加熱電源システムにより生成される、溶接の熱影響ゾーン(HAZ)特性の溶接及び量指標についての溶接工程要因の状態、溶接工程要因、レシピの生成と記憶のための制御部の表示の一例である。
【0037】
【
図19】
図19(a)乃至
図19(d)は、本発明の幾つかの実施形態で用いられるインバーター出力インピーダンス調整及び周波数制御網の選択的な非限定の代替の実施形態を示す。
図19(a)乃至
図19(d)は、図示された単独又は2以上の構成の選択的な組み合わせのいずれかで、本発明の幾つかの実施形態で用いられるインバーター出力インピーダンス調整及び周波数制御網の選択的な非限定の代替の実施形態を示す。
図19(a)は、出力インピーダンス調整及び制御網が、固定、又は可変、又は、固定及び可変の両方のコンデンサの組み合わせであり得る並列コンデンサを有する例である。
図19(b)は、出力インピーダンス調整及び周波数制御網が、固定、又は可変、又は、固定及び可変の両方のコンデンサの組み合わせであり得る直列コンデンサを備える例である。
図19(c)は、出力インピーダンス調整及び周波数制御網が、固定、又は可変、又は、固定及び可変の両方のインダクターの組み合わせであり得る並列インダクターを有する例である。
図19(d)は、出力インピーダンス調整及び周波数制御網が、固定、又は可変、又は、固定及び可変の両方のインダクターの組み合わせであり得る直列インダクターを有する例である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図6は、溶接又はアニール工程においてワークピース負荷30を加熱するための微調整された出力を有する本発明の高周波電源システム10の1つの実施形態を示し、フルブリッジ電流源インバーターが用いられる。
図6において、整流器11が、3相交流電流を直流に変換し、また、配線16及び17と固定インダクター18を介してトランジスター12、13、14及び15を備えるインバーター回路に接続される。トランジスターは、金属酸化物半導体電界効果型トランジスター又は他の適切な固体スイッチング装置であり得る。電流センサー19がインバーター、従って、負荷30に供給される電流に比例した出力を提供する。例えば、誘導溶接、又はアニール用途、又は電気抵抗溶接用途において本発明の高周波電源加熱システムが用いられる時、負荷30は、電気配線と誘導コイル、又は、溶接、アニール、さもなければ加熱される電気的接点(接触する部分又は部分(群))を含む。
【0039】
図7は、本発明の高周波電源システムの別の実施形態20を示し、フルブリッジ電圧源インバーターが用いられる。
図7の対応の要素が、
図6で用いられた参照番号により指定される。フィルタリングコンデンサ28は、
図7の電圧源インバーターでも用いられる。本発明の代替の実施形態では、インバーターがハーフブリッジインバーターである。
【0040】
図6又は
図7の固体フルブリッジインバーターは、第1単相インバーター出力端子又は配線21と第2単相インバーター出力端子又は配線22を有し、インバーター出力インピーダンス調整及び周波数制御網23におけるインピーダンス素子に給電する。
【0041】
図6及び
図7に示した本発明の実施形態においては、インバーター出力インピーダンス調整及び周波数制御網23は、
図にて配置及び相互接続されるように、直列可変リアクトル24及び24’の第1ペアと、直列可変リアクトル24a及び24a’の第2ペアと、直列可変コンデンサ26及び26’の第1ペアと、直列可変コンデンサ26a及び26a’の第2ペアの組み合わせと、
図にて配置及び相互接続されるように、単相インバーター出力配線の間に並列に配置及び接続される並列可変リアクトル25及び25
’のペアと、並列可変コンデンサ27a−27a’のペアの組み合わせと、
図に示すように、単相インバーター出力配線の間に並列に配置及び接続される並列可変コンデンサ27を備える。
【0042】
図6又は
図7に示される本発明の実施形態では、出力インピーダンス調整及び周波数制御網が、L−Cラダー網(LC ladder network)を備え、調整可能な容量性及び誘導性素子が、システムマイクロプロセッサーコントローラー又は溶接又はアニール工程を実施する同等の制御部からの出力により変動可能に制御可能である。
【0043】
本発明の他の例では、多数のL−Cラダー網が、インバーターから負荷への第1及び第2単相出力配線の間に直列又は並列に、さもなければ
図6又は
図7に示したものとは異なり、特定用途の要求に適するように相互接続される。本発明の他の実施形態においては、制御網23における幾つかの誘導性及び容量性素子が、調整可能な誘導性及び容量性素子と組み合わされて固定値のものである。
【0044】
本発明の幾つかの例においては、負荷特性独立オペレーションの代替として、
図6又は
図7において負荷インピーダンスが変化し、反射のリアクタンスと抵抗の変化に帰結し、インバーター
出力インピーダンス調整及び周波数制御網
23は、負荷インピーダンスの変化を補償して所望の共振点を維持する。
【0045】
本発明の幾つかの実施形態では、調整可能な容量性素子は、システムマイクロプロセッサーコントローラーからの出力により可変に制御され、共振電力振幅、電圧電流比又は周波数といった負荷特性とは独立して、高周波電源システムから負荷への出力電力振幅;電源システムから負荷への出力電圧と出力電流の比;又は電源システムから負荷への電圧と電流の出力周波数を制御する。
【0046】
本発明の幾つかの実施形態では、インバーター出力インピーダンス調整及び周波数制御網23における調整可能なリアクトル及び/又はコンデンサに対するシステムマイクロプロセッサー制御が、負荷30の特性の変化を補償するために用いられ、負荷特性の変化にもかかわらず共振点が維持可能である。例えば、負荷のインダクタンスが増加するならば、インバーター出力インピーダンス調整及び周波数制御網のインダクタンスが減じられ、全体として同等のシステムインダクタンスが維持され、負荷特性の変化にもかかわらず共振点が同一であることに帰結する。更には、負荷のQ因子が減じられるならば、可変容量及びインダクタンスに関するシステムマイクロプロセッサーコントローラーを通じてインバーター出力インピーダンス調整及び周波数制御網のQ因子も減じられ、電力伝送の共振点が同等であることに帰結し、高周波電源システムの特性が負荷特性に整合する。
【0047】
本発明の幾つかの実施形態では、インバーター出力インピーダンス調整及び周波数制御網23における調整可能なリアクトル及び/又はコンデンサに対するシステムマイクロプロセッサー制御は、高周波電源システムと負荷回路の組み合わせの固有共振点を固有共振のユーザー選択点に変化するために用いられる。例えば、負荷特性が変化しないままならば、典型的には安定した溶接と加熱工程状態の下、調整可能なインダクタンス及び/又は容量の固有共振のユーザー選択点への変動を通じて共振周波数の異なる値が選択可能である。
【0048】
共振周波数での最大電力伝送を得るため、電源スイッチングを制御するスイッチング回路のタイミングが、パルス幅変調(PWM)により調整可能であり、変化する出力共振点を介して最大電力が負荷30に伝送可能である。PWM技術は、また、
図6又は
図7におけるトランジスタスイッチング装置12、13、14、及び15の効率を維持するためにも使用可能である。
【0049】
図8(a)乃至
図8(c)に示したシステム制御要素は、システムマイクロプロセッサーコントローラー又は同等の1つ又は複数の制御部に設けることができる。システム制御要素は、
図8(a)における高周波コントローラー、電圧、電流及び周波数比較器及び電流比較器、
図8(b)における整合制御回路、及び
図8(c)における電圧/電流フィードバック回路を含むことができる。
【0050】
システムマイクロプロセッサーコントローラーへのセンサーフィードバックが、任意の調整可能なリアクトルのために提供され、(可変インダクタンス値の関数として)リアクトル可動部の位置;
図8(a)及び
図8(b)に示すようなリアクトルに亘る電圧とリアクトルに流れる電流を検出する。同様、システムマイクロプロセッサーコントローラーへのセンサーフィードバックが、また、任意の調整可能なコンデンサに追加され、(可変容量値の関数として)コンデンサ可動部の位置、コンデンサに亘る電圧やコンデンサに流れる電流を検出する。これらの調整可能なリアクトル及びコンデンサの測定値が、設定出力を維持及び調整するための閉ループ制御のために用いられる。インバーター出力インピーダンス調整及び周波数制御網から負荷への出力電力、制御網から負荷への出力電流、及び制御網からの出力周波数が、本発明の幾つかの実施形態において測定され、正確な共振点、負荷への電力、負荷でのインピーダンス変化を検出する。
【0051】
本発明の幾つかの実施形態では、測定された電圧、電流、及び周波数のセンサーフィードバックから、測定信号が、次に、
図8(a)に示す測定比較器に提供され、各リアクトル又はコンデンサに関する個別のアクチュエーター(M)に出力調整制御信号を生成する。これらの出力調整制御信号は、各可変リアクトル及び/又はコンデンサに関連の可動部の動きを正確に制御するために用いられ、システムマイクロプロセッサーコントローラーにより決定される共振点又は共振点外のいずれかを維持する。
【0052】
本発明の幾つかの実施形態では、システムマイクロプロセッサーコントローラーは、開ループシステムコントローラーとして動作し、高周波電源システムの共振点が負荷インピーダンスと変化することを許容し、インバーターのスイッチング装置に対する既存のマイクロプロセッサー出力制御を調整して電力伝送の最大出力を維持し、又は、共振外にシステムが移動するため、インバーターのスイッチング装置に対する既存のマイクロプロセッサー出力制御を電力伝送の最大出力未満に維持する。
【0053】
代替として、本発明の他の実施形態においては、システムマイクロプロセッサーコントローラーが、閉ループ制御コントローラーとして動作し、マイクロプロセッサーコントローラーに入力されるユーザー選択出力周波数にシステム共振点を動かし、インバーターのスイッチング装置に対する既存のマイクロプロセッサー出力制御を調整して電力伝送の最大出力を維持し、又は、共振外にシステムが移動するため、インバーターのスイッチング装置に対する既存のマイクロプロセッサー出力制御を電力伝送の最大出力未満に維持する。
【0054】
図8(b)は、高周波コントローラー38及び電圧、電流、周波数比較器35として
図8(a)に示した高周波加熱電源制御システムと利用可能である高周波電源システムの幾つかの実施形態のための制御ブロック図の一例である。
【0055】
図8(c)は、
図8(a)に示した高周波加熱電源制御システムと利用可能である電力振幅制御ブロック図の一例であり、制御システムが、出力電力の調整を維持して入力電力変動及び変化を補償する能力を有する。
【0056】
図9は、本発明の高周波加熱電源システムの動作を図式的に示す。
図9に図式で示される電子負荷整合プロセスは、本発明の調整可能なリアクトル及び/又はコンデンサ部と組み合わせてハードスイッチング工程を用いる。本発明のハードスイッチング工程では、ハード・ターン・オンは、ある電流転流時間(current commutation time)で通電スイッチング装置上の全転流電圧降下(total commutation voltage drop)により特徴付けられ、ハード・ターン・オフは、その低下前、電流が流れ続ける間、転流電圧値まで上昇した電圧により特徴付けられる。ハード・ターン・オン又はハード・ターン・オフは、インバーターのスイッチング装置における高電力損失ピークを生じさせる。代替の動作モードにおいては、
図5の曲線が、規定の最大出力電力を得る方法を表す。この方法は、共振点外の時に最大電力を達成するために入力に加えられたKVAを要求する。反対に、
図9の曲線は、ハードスイッチングと、負荷インピーダンスが変化するために共振点をシフトさせる網23の可変誘導性及び容量性リアクタンス制御により最大出力電力を得るための本発明の1つの方法を表す。
【0057】
図10は、本発明の出力インピーダンス調整及び周波数制御網又はインダクターとコンデンサの固定配列と使用可能である代替のPWM変調可変スイッチング周波数電源を図式的に示す。電界効果型トランジスターがインバーターで用いられるならば、インバーターの電界効果型トランジスタのスイッチングの最大効率及び電力伝送のため、トランジスタスイッチングのタイミングを制御するためにPWM技術が使用可能である。
【0058】
本発明の幾つかの実施形態では、1つ又は複数の調整可能なリアクトルペアが、2つの通電バスの間の空いた容積空間と、その空いた容積挿入空間内に可変位置で挿入される1つのコアから形成可能であり、容積と面積の減少で低インダクタンスになる。空いた容積空間の構成は、例えば、リアクトルコアが挿入可能である、箱、台形、三角形、円錐形、楕円形、卵形、又は任意の他の空いた容積幾何形状といった幾何形状の形態であり得る。空いた容積空間は、リアクトルのペアのそれぞれのために要求される最大インダクタンスに基づいて選択される。コアは、それが挿入される空いた容積形状の反対形状を備え、誘導性面積の全境界の周囲にコアと配線の間の正確な同等の隙間を形成し、コアが空いた容積空間に完全に挿入される時、可変リアクトルのペアそれぞれについてインダクタンスの最小値が維持される。コアは、手動で、又は、モーター又は他のアクチュエーターの使用を介して自動的に可動であり、コアが空いた容積空間内から引き出されるに応じてインダクタンスが最小から最大へアナログ変化する。空いた容積空間とコアの幾何形状のテーパーは、特定の用途のために構成され、例えば、インダクタンスのリニア変化、インダクタンスの対数変化、又は特定の用途のためのインピーダンス負荷整合条件に依存した他の曲線形状に帰結する。モーター又は他のアクチュエーターのいずれかが、
図8(b)に示すエンコーダーEといった位置検出手段を介して、システムマイクロプロセッサーコントローラーにおける整合制御回路に正確なフィードバックを提供し、又は、代替的に、空いた容積空間内外へのコアの作動又は動きが、インダクタンスの変化に相関する距離の正確な測定値を提供するように適合される。代替として、次の方程式により電流のある変化率について生成された電圧量からシステムマイクロプロセッサーコントローラーによりインダクタンスの変化が導出されることもできる。
【数2】
ここで、V(t)は、時間を関数とする調整可能なリアクトルペアそれぞれに亘る電圧に等しく、Lは、インダクタンス(ヘンリー)に等しく、及び、
は、アンペア毎秒での瞬時の電流変化率に等しい。
【0059】
本発明では、
図6又は
図7のインピーダンス調整及び周波数制御網23における可変リアクトルペア24−24’、24a−24a’及び25−25’のいずれかが、本発明の一実施形態において、例えば、
図11(a)及び
図11(b)、
図13又は
図14に個々に表されるように、相補的な円錐部分、くさび形(2つの三角形と3つの台形面から規定される多面体)部分又は放物線円錐部分として、図示のように、銅といった導電性シート材料から構成される単一の可動な幾何学的な形状のインサートコアと、定置の分割バスを有するリアクトルの幾何学的な形状のペアから形成可能である。短絡されたインサートコア部が相補的なバス部との関係において内側又は外側に動かされ、短絡インサートコア部の誘導電流の振幅が、相補的なバス部に流れる電流により生じる磁束場に結合する可変磁束場を確立し、幾何インサートコア部が相補的な幾何バス部に完全に挿入される時の最小値から幾何インサートコア部が短絡インサートコア部と幾何バス部の間に結合した磁界が最も広くなる位置に引き出された時の最大値までの可変インダクタンス範囲を有し得るインダクターのペアのそれぞれについて交流電流(AC)バスの端子で可変インダクタンスを確立する。第1に、特定用途のために選択されたインサートコア部とバス素子の磁気的相互作用の幾何学形態は、この幾何学的な形状のインダクターで達成可能であるインダクタンスの変化の精度の程度を決定し、この精度の程度は、電源制御システムが加熱工程を実行している時、電源の出力周波数の調整精度の程度に関する。
【0060】
例えば、本発明の1つの実施形態では、
図11(a)と
図11(b)に可変リアクトルペア60が示され、
図11(a)と
図11(b)の両側矢印に示されるように、単一の短絡幾何学的な形状インサートコア部62が、定置の分割バス部64の相補的な幾何学的な形状の分割バス円錐部64a及び64bの内外に動かされる。インサートコア部62の誘導電流の振幅が、定置の分割バス部64の相補的な幾何学的な形状の分割バス円錐部64a及び64bに流れる交流電流から可変磁束場(可変エネルギー場とも呼ばれる)を確立し、幾何学的な形状のインサートコア部62が相補的な幾何学的な形状の分割円錐バス部64a及び64bに完全に挿入された時の最小インダクタンス値から、インサートコア部62と定置の分割バス部64の間で形状付けられた挿入空間における可変エネルギー場が最大値である、例えば、
図11(a)に示す位置に幾何学的な形状のインサートコア部62が引き出される時の最大インダクタンス値までの可変インダクタンス範囲を有し得るリアクトルのペアそれぞれについて交流電流バスの分割電気バス端子部A1−B1及びA2−B2で可変インダクタンスを確立する。
図11(c)は、可変リアクトルペア24a−24a’として、
図6又は
図7の高周波電源システムで接続された可変リアクトルペア60を示す。定置の分割バス部64は、電気的に絶縁された分割円錐バス部64a及び64bと、(円錐バス部64aに関連の)分割電気バス端子部A2及びB2と、(円錐バス部64bに関連の)分割電気
バス端子部A1及びB1を備える。つまり、電気的に相互接続された円錐バス部64aと分割電気バス端子部A2及びB2が、電気的に相互接続されたバス部64bと端子部A1及びB1から空間的に分離される。
【0061】
磁気的に相互作用する可動なインサートコア部と定置のバス素子の幾何学的な形状が、幾何学的な形状のリアクトルペアで達成可能であるインダクタンスの変化の精度の程度に基づいて、特定用途のために選択され、この精度の程度は、本発明の高周波電源の出力周波数の調整精度の程度に関する。
【0062】
各幾何学的な形状のリアクトルペアが、リアクトルのペア、例えば、
図6又は
図7のリアクトルペア24−24’、24a−24a’及び25−25’を備え、例えば、
図6又は
図7の相互接続鎖線Xにより示されるようにペアで調整可能であり、例えば、リアクトルペア24a及び24a’について、
図11(a)及び
図11(b)に示すように、
図11(a)及び
図11(b)のアクチュエーターM’が
図8(a)に示すように可動なインサートコア又はモーターM3に取り付けられた状態で定置の分割バス部64の幾何学的な形状の分割バス部の内外にインサートコア部62を動かすことにより調整可能である。
【0063】
図12(a)及び
図12(b)は、
図11(a)及び
図11(b)の円錐形状リアクトルペア60を有する円錐形インサートコア部62のための磁性材料(例えば、フェライト62a)の使用を示す。
図12(a)では、円錐型のインサートコア部62aは、中実又は中空磁性材料インサートコア部を備える。
図12(b)では、円錐型のインサートコア部62bは、インサートコア部の外周部を形成するフェライトロッドのアレイを備える。
【0064】
図13は、本発明の高周波電源システムで用いられることができる本発明の高周波可変リアクトル90の別例を示す。高周波可変リアクトル90は、2つの三角形と3つの台形面から規定される多面体の幾何形状の単一の短絡インサートコア部92を備え、本明細書ではくさび形部の一般名により特定され、
図13の両側矢印により示されるように、定置の分割バス部94の定置の相補的な幾何学的な形状の分割くさび形バス部94a及び94bの内外に動かされる。インサートコア部92における誘導電流の振幅は、定置の分割バス部94の相補的な幾何学的な形状の分割くさび形バス部94a及び94bに流れる交流電流から可変磁束場(可変エネルギー場とも呼ばれる)を確立し、幾何学的な形状のインサートコア部92が相補的な幾何学的な形状の分割円錐バス部94a及び94bに完全に挿入された時の最小インダクタンス値から、インサートコア部92と定置の分割バス部94の間で形状付けられた挿入空間における可変エネルギー場が最大値である位置に幾何学的な形状のインサートコア部92が引き出される時の最大インダクタンス値までの可変インダクタンス範囲を有し得るリアクトルのペアそれぞれについて交流電流バスの分割電気バス端子部A1−B1及びA2−B2で可変インダクタンスを確立する。可変リアクトルペア90は、可変リアクトルペア24−24’、24a−24a’及び/又は25−25
’として、
図6又は
図7の高周波電源システムにおいて接続される。定置の分割バス部94は、電気的に絶縁された分割くさび形バス部94a及び94bと、(くさび形バス部94aに関連の)分割電気
バス端子部A2及びB2と、(くさび形バス部94bに関連の)分割電気端子部A1及びB1を備える。つまり、電気的に接続されたバス部94aと端子部A2及びB2は、電気的に接続されたバス部94bと端子部A1及びB1から空間的に分離される。
【0065】
図14は、本発明の高周波電源システムで用いられることができる高周波可変リアクトル110の別例を示す。高周波可変リアクトル110は、
図14の両側矢印により示されるように定置の分割バス部114の定置の相補的な幾何学的な形状の分割楕円放物面バス部114a及び114bの内外に可動である楕円放物面の幾何形状の単一の短絡インサートコア部112を備え、インサートコア部112における誘導電流の振幅は、定置の分割バス部114の相補的な幾何学的な形状の分割円錐型バス部114a及び114bに流れる交流電流から可変磁束場(可変エネルギー場とも呼ばれる)を確立し、幾何学的な形状のインサートコア部112が相補的な幾何学的な形状の分割円錐型バス部114a及び114bに完全に挿入された時の最小インダクタンス値から、インサートコア部112と定置の分割バス部114の間で形状付けられた挿入空間における可変エネルギー場が最大値である位置に幾何学的な形状のインサートコア部112が引き出される時の最大インダクタンス値までの可変インダクタンス範囲を有し得るリアクトルのペアそれぞれについて交流電流バスの分割電気バス部端子部A1−B1及びA2−B2で可変インダクタンスを確立する。可変リアクトルペア110は、可変リアクトルペア24−24’、24a−24a’及び/又は25−25
’として、
図6又は
図7の高周波電源システムにおいて接続される。定置の分割バス部114は、電気的に絶縁された分割円錐型バス部114a及び114bと、(楕円放物面バス部114aに関連の)分割電気
バス端子部A2及びB2と、(楕円放物面バス部114bに関連の)分割電気
バス端子部A1及びB1を備える。つまり、電気的に接続されたバス部114aと端子部A2及びB2は、電気的に接続されたバス部114bと端子部A1及びB1から空間的に分離される。
【0066】
本発明の別例では、本発明の幾何学的な形状の高周波リアクトルは、幾何形状のインサートコア部と定置の分割バス部の間で形状づけられた挿入空間に応じた特定用途で要求される可変インダクタンス・プロファイルに依存して、他の幾何形体であり得、例えば、ピラミッド形である。例えば、本発明の高周波電気加熱システムでの加熱を達成するためにインダクタンスのリニア又は対数変化が特定の高周波可変リアクトルにより要求される用途では、特定の幾何形状が、別の幾何形状よりも微調整されたインダクタンス・プロファイルを提供し得る。
【0067】
図15(a)乃至
図15(d)は、本発明の高周波電源システムと使用可能である本発明の高周波可変リアクトル70の一実施形態を示す。高周波可変リアクトル70は、2巻き可変インダクターペア70を備え、幾何形状が、円錐部であり、ペアの各可変リアクトル、例えば、
図6又は
図7におけるリアクトル24a及び24a’が、それぞれ、その独自の円錐形状のインサートコア部72a及び72bと、その独自の円錐形状の2巻き分割バス部74a及び74bを有する。第1の定置の分割バス部は、電気的に絶縁された2巻き分割バス部74aと(2巻き分割バス部74aに接続された)分割電気端子部A1及びB1を備え、第2の定置の分割バス部は、電気的に絶縁された2巻き分割バス部74bと(2巻き分割バス部74bに接続された)分割電気
バス端子部A2及びB2を備える。つまり、電気的に接続された2巻きバス部74aと端子部A1及びB1は、電気的に接続された2巻きバス部74bと端子部A2及びB2から空間的に分離される。
【0068】
図16(a)及び
図16(b)は、本発明の高周波電源システムと使用可能である本発明の高周波可変リアクトル120の別例を示す。分割
電気バス端
子部A1及びA2が一緒に電気的にバス端子A1’に接続され、B1及びB2がバス端子B1’に一緒に電気的に接続され、可変リアクトルのペアが単一のリアクトル120を形成することを除いて、
図12(a)及び
図12(b)に示された実施形態は、
図11(a)及び
図11(b)に示されたものと同様である。この実施形態では、インダクターペアは、
図16(c)に示されるように、バス端子A1’及びB1’の間の単一のインダクター120として構成され、これは、本発明の幾つかの実施形態では、可変直列リアクトルペア24a及び24a’を単一の可変リアクトル120で置換する。同様、
図16(a)及び
図16(b)に示されたようにリアクトルペアを修正することにより、
図6又は
図7における他のリアクトルペアが、単一のリアクトルで置換され得る。
【0069】
本発明の高周波電源システムの幾つかの例では、インダクタンスの固定値を有するインダクターが、本発明のリアクトルペアの任意の1つ又は複数の可変リアクトルに直列に接続され得る。
【0070】
本発明の高周波可変リアクトルの幾何学的な形状のペアそれぞれについて可動インサートコア部は、適切なアクチュエーター、例えば、リアクトルペア24a−24a’及び25−25’について個別に
図8(a)に示されたモーターM2及びM3で定置の幾何学的な形状の分割バス部の内外に移動可能であり、モーターは、例えば、図において可動なインサートコア部とアクチュエーターM’を接続する
、例えば、図11(a)及び図11(b)に図示の鎖線で模式的に示されるように、インサートコア部へのリニア、反転可能な出力接続を有する。
【0071】
本発明の高周波可変リアクトルの幾何形状のペアの加熱は、定置の分割バス部及び/又は可動インサートコア部に熱的に接触した、例えば、冷却管における冷却媒体の循環により消散可能である。
【0072】
本発明の他の例においては、幾何学的な形状のリアクトルペアは、特定用途に要求される可変インダクタンス・プロファイルに依存して、他の幾何形体であり得、例えば、ピラミッド形である。例えば、特定のリアクトルが、本発明の高周波電源システムでの加熱を達成するためにインダクタンスのリニア又は対数変化を要求する用途では、特定の幾何形状は、別の幾何形状よりも微調整されたインダクタンス・プロファイルを提供し得る。
【0073】
特定用途における最小インダクタンスを達成するための可動なインサートコアの完全な挿入は、インサートコアが、幾何学的な形状の分割バス部内の場所に位置付けられる時にインダクタンスを測定し、
次に、インサートコアの最大インダクタンス位置を設定するために、用途における最大要求インダクタンスが達成される位置にインサートコアを引き出すことにより決定可能である。
【0074】
本発明の幾つかの実施形態では、
図6又は
図7におけるインピーダンス調整及び周波数制御網23の1つ又は両方の可変コンデンサペア27a−27a’及び26a−26a’は、
図17(a)及び
図17(b)に示すように形成可能であり、
図6又は
図7における可変コンデンサペア26−26’は、
図6又は
図7のインピーダンス調整及び周波数制御網から、
図17(c)に詳細に示されるように、挿入され、また空間的に離間した、導電性プレート26及び26’に個別に接続された可動バス部A1,A2,D1,及びD2から形成される。
【0075】
本発明の幾つかの実施形態では、1つ又は複数の調整可能な幾何学的な形状のリアクトルペアとコンデンサペアの組み合わせが、本発明の出力インピーダンス調整及び周波数制御網において用いられる。
【0076】
図18(a)は、負荷への電力振幅と周波数を制御しているインバーター出力インピーダンス調整及び周波数制御網23における負荷特性と容量とインダクタンス設定で与えられる実際の稼働点を示す手段として、ターゲットのユーザー視覚化を許容するグラフィック・ユーザーインターフェースの一例を示す。溶接又は加熱処理工程の間の任意の時間に負荷インピーダンスとは独立してシステム動作周波数とQ基準を正確に設定するための発明の高周波電源システムのユーザーへの表示として座標系の中心が用いられることができる。
【0077】
図18(b)は、本発明の高周波電源システムが使用可能である鍛接又は加熱装置の溶接周波数と溶接電力を個別に制御するための図示されたグラフィック・ユーザーインターフェース上のビジュアル制御バー42及び44を表示するシステムマイクロコントローラーの一例を示す。装置のユーザーが、装置の溶接周波数又は溶接電力が変更されるように制御バー42(HAZ幅)又は44(電力)のいずれかの位置を変更する時、マイクロコントローラーは、現に又は実質的にリアルタイムで、HAZ幅の予測値に関連した量(quantity)を表示する。本発明の幾つかの実施形態では、マイクロコントローラーは、また、グラフィック・ユーザーインターフェース上に最適な溶接周波数も表示し、また、
図18(b)に示されるような2次元グラフ46上の予測されたHAZ幅と最適なHAZ幅の間の差のパーセントも示す。
図18(b)のディスプレイが、
図18(a)のグラフィック・ユーザーインターフェースを組み込み、溶接又は加熱処理工程の任意の時間で、負荷インピーダンスとは独立してシステム動作周波数及びQ因子基準を正確に設定するため、溶接又は加熱工程の追加の制御を鍛接又は加熱装置のユーザーに与える。
【0078】
代替として、本発明の幾つかの実施形態では、ヒト・機械・インターフェース制御パネルは、単一の相乗的なノブといった一体化された単一のユーザー入力制御装置を有し、電力及び周波数ディスプレイと熱影響ゾーンサイズの組み合わせで高周波電源システムからの電力振幅出力及び周波数出力を制御する。
【0079】
上述の記述では、説明の目的のため、例や実施形態の完全な理解を提供するため、多数の特定の要求や幾つかの特定の詳細を提示した。しかしながら、これらの幾つかの特定の詳細抜きで1つ又は複数の他の例や実施形態が実施され得ることは、当業者には明らかである。記述した特定の実施形態は、本発明を限定するのではなくそれを説明するために提供される。
【0080】
本明細書に亘る「一例又は実施形態」、「例又は実施形態」「1つ又は複数の例又は実施形態」又は「異なる例又は実施形態」への参照は、例えば、特定の特徴が、本発明の実施に含まれ得ることを意味する。明細書において、開示の円滑化や様々な発明の側面の理解を助ける目的で、幾つかの時、様々な特徴が、単一の例、実施形態、図、又は、その記述において一緒にグループ化される。
【0081】
好適な例及び実施形態に関して本発明を記述した。明確に述べてきたものとは別に、均等、代替及び変更が可能であり、本発明の範囲内にある。本明細書の教示の利益を有する当業者は、本発明の範囲から逸脱することなくそこに変更を為し得る。