(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6921110
(24)【登録日】2021年7月29日
(45)【発行日】2021年8月18日
(54)【発明の名称】複合包装体の製作のための包装スリーブの片側閉鎖用装置
(51)【国際特許分類】
B65B 59/00 20060101AFI20210805BHJP
B31B 50/32 20170101ALI20210805BHJP
【FI】
B65B59/00
B31B50/32
【請求項の数】17
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-551964(P2018-551964)
(86)(22)【出願日】2017年3月16日
(65)【公表番号】特表2019-510699(P2019-510699A)
(43)【公表日】2019年4月18日
(86)【国際出願番号】EP2017056215
(87)【国際公開番号】WO2017174321
(87)【国際公開日】20171012
【審査請求日】2020年1月23日
(31)【優先権主張番号】102016106139.5
(32)【優先日】2016年4月4日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】102016110008.0
(32)【優先日】2016年5月31日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】507132710
【氏名又は名称】エスアイジー テクノロジー アーゲー
【氏名又は名称原語表記】SIG Technology AG
(74)【代理人】
【識別番号】100095614
【弁理士】
【氏名又は名称】越川 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】トーマス フェッテン
(72)【発明者】
【氏名】ユルゲン リヒター
【審査官】
豊島 唯
(56)【参考文献】
【文献】
実公昭46−012938(JP,Y1)
【文献】
特開昭63−077733(JP,A)
【文献】
特公昭50−032667(JP,B1)
【文献】
特開平04−031033(JP,A)
【文献】
実開平06−086926(JP,U)
【文献】
実開昭59−043115(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 59/00
B31B 50/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マンドレルホイール(6)によって形成することによって複合包装体、特にカートン/プラスチック複合包装体、を製作するための包装スリーブ(S)の片側閉鎖用装置であって、前記マンドレルホイール(6)は、その円周にわたって均一に分散配置された、半径方向外方に向いた複数のマンドレル(7)を有し、前記マンドレル(7)は前記マンドレルホイール(6)の周方向にいくつかの加工ステーションを次々と通過し、各マンドレル(7)はその自由端にヘッド(25)を有し、前記マンドレル(7)に嵌められた前記包装スリーブ(S)の閉鎖されるべき折り畳み部分が折り畳まれて閉鎖位置で封着され、
前記マンドレル(7)の前記ヘッド(25)は、その外形寸法が可変であるように設計される、
装置において、
前記ヘッド(25)の少なくとも2つのコーナーセグメント(27)はそれぞれの位置が可変であり、前記マンドレル(7)はその内部に前記ヘッドの形状寸法を調整するための軸線方向に移動可能なタペット(29A、29B)を少なくとも1つ有し、前記ヘッド(25)の前記コーナーセグメント(27)は封着位置から引き込み位置に移動させることができる枢動要素として設計されることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記タペット(29B)は前記ヘッド(25)のセグメントに接続され、前記セグメントは昇降セグメント(39)として設計され、前記タペット(29B)の移動によって前記マンドレル(7)の前記内部に移動可能であることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記枢動要素は、それぞれの引き込み位置への強制的な枢動の後に再び枢動してそれぞれの封着位置に戻るように、ばね仕掛け式であることを特徴とする、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記マンドレル(7)は2つの隣接するコーナーセグメント(27)と、その間に位置する昇降セグメント(39)とを有することを特徴とする、請求項2または3に記載の装置。
【請求項5】
前記マンドレル(7)は4つのコーナーセグメント(27’)と、何れの場合も2つの隣接するコーナーセグメント(27’)の間に位置する2つの昇降セグメント(39’)とを有することを特徴とする、請求項2または3に記載の装置。
【請求項6】
前記タペット(29B)から前記コーナーセグメント(27)への力の伝達がカムギヤ(41、42)によって行われることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記タペット(29’)から前記コーナーセグメント(27’)への力の伝達がトグルレバー(47A、47B)によって行われることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記マンドレルホイール側の前記タペット(29A)は、前記マンドレルホイール(6)の外周上に不動に配置されたスロット付きガイド(34、35)によって移動可能であることを特徴とする、請求項2〜7の何れか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記スロット付きガイド(34、35)はガイドスリーブ(36)内または上に配置され、前記ガイドスリーブ(36)は前記マンドレルホイール(6)上に、または前記マンドレルホイール(6)の前記駆動軸(37)上に、回転固定式に配置されることを特徴とする、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記マンドレルホイールシャフト(26)に平行な前記ガイド要素(33)の制御移動を前記マンドレルホイールシャフト(26)に対して半径方向に移動可能な前記タペット(29A)に伝達するためのカムギヤがガイド要素(33)に設けられることを特徴とする、請求項8または9に記載の装置。
【請求項11】
前記ガイド要素(33)は前記タペット(29A)に面する側にガイドウェイ(32)を有し、前記タペット(29A)は前記マンドレルホイール側のその端部に前記ガイド要素(33)の前記ガイドウェイ(32)上で転動する転動体(31)を有することを特徴とする、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記タペット(29A、29B)はその長さの調整が可能であるように設計されることを特徴とする、請求項1〜11の何れか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記マンドレル(7)は少なくとも部分的に中空に設計されることを特徴とする、請求項1〜12の何れか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記マンドレル(7)の開放領域に少なくとも1つのカバー(50)が設けられることを特徴とする、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記マンドレル(7)は、前記嵌められた包装スリーブをその位置に固定するために、その長手方向側面に作用する少なくとも1つのばね要素(49)を有することを特徴とする、請求項1〜14の何れか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記マンドレル(7)は冷却水用の管路(51、52)をその中実の内部に有することを特徴とする、請求項1〜15の何れか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記マンドレルは前記包装スリーブのための摺動経路を機械的に限定するためのエンドストップを1つ、またはいくつか、有することを特徴とする、請求項1〜16の何れか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マンドレルホイールによって底部を形成することによって複合包装体、特にカートン/プラスチック複合包装体、を製作するための包装スリーブの片側閉鎖用装置であって、マンドレルホイールは、その円周にわたって均一に分散配置された、半径方向外方に向いた複数のマンドレルを有し、マンドレルはマンドレルホイールの周方向にいくつかの加工ステーションを次々と通過し、各マンドレルはその自由端にヘッドを有し、マンドレルに嵌められた包装スリーブの閉鎖されるべき折り畳み部分がヘッド上で折り畳まれて閉鎖位置で封着され
、マンドレルのヘッドはその外形寸法が可変であるように設計される、装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記種類の装置は、最も多様なデザインで古くから公知であり、大部分は、製作される飲料包装体の底部を閉鎖するために使用されている。これにより、将来の包装体の良好な安定性のための平らな底部を製作可能にするために、封着処理において閉鎖されるべき包装スリーブの折り畳み部分は下にあるマンドレルにしっかり押し付けられる。ただし、初めに頭部の折り畳みをマンドレル上で行うことも可能である。これは、多くの場合、将来の飲料包装体が再閉鎖可能な注ぎ口要素を更に含むことが想定される場合である。この注ぎ口要素は、外側から挿入されず、複合材料の対応する開口部を通して内側から挿入され、そこに封着される。マンドレルへの適切な注ぎ口要素の貼付は、この目的に適している。
【0003】
図9には、包装体Pを形成するために、上部が開いた包装体Cに、特に注入可能な食品を、充填するための従来技術から公知の装置、したがって所謂充填機、が示されている。この装置は、複数の包装スリーブSを用意するためのマガジン1と、包装スリーブSから上部が開いた包装体Cを形成するための装置とを備える。包装体Cは、片側が閉鎖されるので、例えば注入可能な食品を残りの開口部を通して受け入れることができる。公知の充填装置および封着装置は、一連の平行加工ラインを有し、そのうちの単一の加工ライン2のみが
図9に示されている。2本の折り目線に沿って扁平に折り畳まれた複数の包装スリーブSのスタック3または束を有するマガジン1が各加工ライン2に割り当てられる。包装スリーブSは、包装材の切片から形成されており、その長手方向端縁が互いに封着されている。包装スリーブSは、給送装置4によって展開される。これにより、包装スリーブSの展開は、スタック3から対応する包装スリーブSの将来の一側面を引き離すことによって行われる。このとき、包装スリーブSならびに将来の包装体Pの折り山を形成する折り癖が付けられた折り目線に関する更なる操作は行われない。必要に応じて、図示されていない注ぎ口を包装スリーブSに貼付するための貼付装置を設けることもできる。
【0004】
包装スリーブSの形成および片側閉鎖のための公知の装置5は、マンドレルホイール6を有する。マンドレルホイール6は、6つのマンドレル7を備え、反時計回りに周期的に、したがって段階的に、回転される。第1のマンドレルホイール位置Iにおいて、包装スリーブSがマンドレル7に嵌められる。その後、マンドレルホイール6は更に回転されて次のマンドレルホイール位置IIに達し、そこでマンドレル7から突き出た包装スリーブSの長手方向端部が加熱ユニット8によって高温空気で加熱される。包装スリーブSの加熱された長手方向端部は、次のマンドレルホイール位置IIIでプレス9によって折り癖が付けられ、次のマンドレルホイール位置IVで封着装置10によって折り畳まれた位置でしっかり閉鎖され、特に底部Bに封着される。このようにして、片側が閉鎖された包装体C、したがって上部が開いた包装体、が得られる。次のマンドレルホイール位置Vで包装体Cはマンドレル7から取り外され、コンベアとして可能な無限に循環されるセルチェーン12のセル11に移送される。次のマンドレルホイール位置VIでは、マンドレル7に作業工程が何も割り当てられていない。
【0005】
マンドレルホイールの位置またはマンドレル7の数およびそこで提供される処理工程は、必要に応じて、
図9および対応付けられた説明から逸脱可能である。加えて、必要に応じて、少なくとも1つの更なるマンドレルホイール位置において、注ぎ口が包装材に接続され得る。この場合、マンドレルホイール上で閉鎖される包装スリーブの長手方向端部は、将来の包装体の頭部であることが好ましい。包装体への充填を将来の頭部から行うか、または将来の底部から行うかは、本ケースにおいては副次的な問題でしかない。
【0006】
マンドレルホイール6から取り外された包装体Cは、開いている長手方向端部を上に向けて充填機13によってセル11で、特にセルチェーンで、移送される。これにより、包装体Cは無菌室14に到着する。無菌室14は、滅菌ゾーン15と充填および封着ゾーン16とを備える。包装体Cは、矢印で示されている移送方向に左から右へ移送される。包装体Cの移送は、直線状に行われる必要はなく、水平面に位置する少なくとも円弧状に、または円状にでも、行われ得る。
【0007】
無菌室14には、対応する複数の無菌空気接続部17を介して無菌空気が供給される。包装体Cは、予熱装置18によって高温無菌空気が次々と吹き付けられることによって、高温無菌空気で予熱される。その後、包装体Cは、滅菌装置19によって、好ましくはH
2O
2(過酸化水素)で、滅菌される。その後、包装体Cは、乾燥装置20によって無菌空気が当てられて乾燥され、滅菌ゾーン15から充填および封着ゾーン16への進行後、充填出口22の下の充填位置21に移動される。そこで、これら包装体Cに製品23、特に注入可能な食品、が次々と充填される。充填された包装体Cは、次に、閉口装置24によって包装体Cの上方領域が折り畳まれて封着されることによって閉鎖される。充填されて閉鎖された包装体Pは、その後、移送装置12のセル11から取り出される。今や空になったセル11は、更なる包装体Cを再び受け入れるために、移送装置12によってマンドレルホイール6の方向に移動され続ける。
【0008】
製作される包装体の断面が正方形または矩形の場合、したがって直方体の包装体である場合は、充填機内でのマンドレルホイールの適用は問題ない。その理由は、マンドレルの正方形または矩形の断面は、そこに嵌められる包装スリーブの明確な内側断面に適合するからである。問題となるのは、包装体の形状が従来の立方形の形状から逸脱しており、例えば、角が落された、または丸みのある、折り山または表面域を有し、その丸みが底部(またはゲーブル)に向かって漸減し、正方形または矩形の底部(またはゲーブル)に終端する場合である。これに関連して、対応する展開された包装スリーブをマンドレルに嵌めると、将来の包装体の折り山がもはやマンドレルのヘッドの角部に一致しないので、問題となる。すなわち、包装体がマンドレルに完全には嵌められなくなるので、コーナー領域の封着時に所謂「ポケット」が形成される。これは、包装体の将来の漏れを引き起こし得る。
別の調整可能なマンドレルが国際公開第96/16789(A1)号から公知である。この文献は、本発明の請求項1の前提部分の全ての特徴を示している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明が取り組む目的は、マンドレル上の包装スリーブの端部領域の確実な、特にポケットの無い、封着が確実に保証されるように、冒頭で言及し上で詳細に説明した包装スリーブを閉鎖するための装置を設計し、更に発展させることである。
【0010】
この目的は、
ヘッドの少なくとも2つのコーナーセグメントはそれぞれの位置が可変であり、マンドレルはその内部にヘッドの形状寸法を調整するための軸線方向に移動可能なタペットを少なくとも1つ有し、ヘッドのコーナーセグメントは封着位置から引き込み位置に移動させることができる枢動要素として設計されることで、請求項1の前提部分の特徴を有する装置によって達成される。
【0011】
これにより、マンドレルに嵌められる包装体が何の問題もなくマンドレルに嵌められ得ることが確実に保証される。その理由は、包装体が嵌められるときにマンドレルのヘッドが「折り畳まれ」、嵌められた後にのみ、封着のために必要な形状にされるからである。
これは、ヘッドの少なくとも2つのコーナーセグメントはそれぞれの位置が可変である
、本発明によって達成される。この目的のために、これらコーナーセグメントは、コーナーからマンドレルの内部に枢動可能である。
【0012】
更に、ヘッドの形状寸法を調節するために
、マンドレルはその内部に軸線方向に移動可能なタペットを少なくとも1つ有する
。
【0013】
最後に、移動されるヘッドのコーナーセグメントは、封着位置から引き込み位置に移動させることができる枢動
要素として設計される。
本発明の別の実施形態によると、この目的のために、タペットはヘッドのセグメントに接続される。このセグメントは昇降セグメントとして設計され、タペットの移動によって、マンドレルの内部に移動可能である。
【0014】
枢動セグメントは、それぞれの引き込み位置への強制的な枢動後に再び枢動してそれぞれの封着位置に戻るように、ばね仕掛け式に設計されることが好ましい。したがって、コーナーセグメントを枢動セグメントとして設計すると、安定性がある枢動軸を備え得るので、封着処理中に加圧された場合の圧力を吸収するために特に好都合である。
【0015】
本発明の第1の好適な実施形態において、マンドレルは、2つの隣接するコーナーセグメントと、その間に位置する昇降セグメントとを有する。一代替実施形態は、マンドレルが4つのコーナーセグメントと、何れの場合も2つの隣接するコーナーセグメントの間に位置する2つの昇降セグメントとを有するようにする。本発明による「拡張式マンドレル」の何れの場合も最適な実施形態は、原則として、製作される包装体の実際の形状寸法に合致する。マンドレルのヘッドの2つのコーナーセグメントのみを枢動可能に形成すれば十分である場合は、この解決策がより低い構築費用の故に選択される。ただし、本発明によると、マンドレルのヘッドの4つの角部の全てに調整可能なコーナーセグメントを設けて設計することも可能である。
【0016】
本発明の別の実施形態においては、タペットからコーナーセグメントへの力の伝達がカムギヤによって行われるようにする。ただし、代わりに、タペットからコーナーセグメントへの力の伝達がトグルレバーによって行われることも可能である。この場合、枢動される各コーナーセグメントが専用のトグルレバーを有する。
【0017】
マンドレルの内部でのタペットの軸線方向移動を実現するために、本発明は、別の実施形態において、マンドレルホイール側のタペットがマンドレルホイールの外周上に不動に配置されたスロット付きガイドによって移動可能であるようにする。この目的のために、スロット付きガイドは、マンドレルホイール上に、またはマンドレルホイールの駆動軸上に、回転固定式に配置されたガイドスリーブ内または上に配置されることが好ましい。これにより、マンドレルホイールの回転運動は、タペットの調整のために利用され得る。この場合、特定のタペット位置が各マンドレルホイール位置に割り当てられるように、タペットの駆動装置は不動のスロット付きガイドによって作動され得る。
【0018】
この目的のために、本発明の別の実施形態においては、マンドレルホイールシャフトに平行な制御移動をマンドレルホイールシャフトに対して半径方向に移動可能なタペットに伝達するためのカムギヤがガイド要素に設けられるようにする。この目的のために、ガイド要素はタペットに面する側にガイドウェイを有し、タペットはマンドレルホイール側のその端部にガイド要素のガイドウェイ上で転動する転動体を有することが好ましい。これにより、マンドレルホイール位置とタペット位置との機械的結合により、マンドレルのヘッドは嵌められる位置では常に完全に「折り畳まれ」、その後、マンドレルホイールの更なる回転により、その「展開される」封着位置に一様に移行する。封着位置では、枢動要素および昇降セグメントの全てがそれぞれの封着位置にある。
【0019】
本発明の別の好適な実施形態によると、タペットはその長さの調整が可能であるように設計される。これは、微調整のために特に有利であり、設置されているマンドレルの場合でも、例えば保守および修理のために、マンドレルを分解せずに行うことができる。
【0020】
本発明の別の教示は、マンドレルが少なくとも部分的に中空に設計されるようにする。これにより、マンドレルがマンドレルホイールシャフトに既に取り付けられている場合でも、各ヘッドセグメントの調整および取り付けのために必要な全ての駆動部品が十分に実現され得る。
【0021】
本発明の別の実施形態においては、マンドレルの開放領域に少なくとも1つのカバーが設けられるようにする。これにより、タペット駆動装置の機械構造を異物の侵入および汚損に対して十分に保護できる。
【0022】
マンドレルに嵌められた包装スリーブが、マンドレルの回転中でも、その嵌められた位置に確実に留まるように、本発明の別の実施形態によると、マンドレルは、嵌められた包装スリーブをその位置に固定するために、その長手方向側面に作用するばね要素を少なくとも1つ有する。
【0023】
この目的のために、本発明の別の教示によると、マンドレルは、冷却水用の管路をその中実の内部に有することも有利であり得る。これが特に有利であるのは、サイクル時間の最適な短縮を可能にするために、マンドレルのヘッド領域の積極的な冷却を行えるからである。水冷式設計において、マンドレルホイールシャフトは中空に設計され、冷却水は、マンドレルホイールシャフトの内部の対応する管路を通ってマンドレル毎に公知の方法で導かれる。
【0024】
最後に、本発明の別の実施形態は、マンドレルが、包装スリーブのための摺動経路を機械的に制限するためのエンドストップを1つ、またはいくつか、有するようにする。
【0025】
以下においては、好適な実施形態のみを示す図面によって、本発明を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】引き込み位置にある本発明による装置のマンドレルを側面図で示す。
【
図2】
図1の主題をII−II線に沿った鉛直断面で示す。
【
図3】
図1の主題をIII−III線に沿った鉛直断面で示す。
【
図4】封着位置にある本発明による装置のマンドレルを側面図で示す。
【
図5】
図4の主題をV−V線に沿った鉛直断面で示す。
【
図6】2つの枢動可能なコーナーセグメントを有する本発明によるマンドレルのヘッドの第1の実施形態を斜視図で示す。
【
図7】4つの枢動可能なコーナーセグメントを有する本発明によるマンドレルのヘッドの一代替実施形態を斜視図で示す。
【
図9】上部が開いた包装体に充填するための従来技術から公知の装置を略側面図で示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、ヘッド25が上に向いた本発明によるマンドレル7を示す。マンドレル7はマンドレルホイールシャフト26に固締される。ヘッド25の領域に、枢動可能なコーナーセグメント27がはっきりと見える。上方から(図示されていない)包装スリーブがマンドレル7に容易に嵌められるように、コーナーセグメント27は、拡張された封着位置ではなく、引き込まれた枢動位置にある。これにより、コーナーセグメント27を有する2つの枢動要素が堅固に設計された対応する枢動軸28によって移動可能にマンドレル7のハウジング上に取り付けられる。枢動要素を作動させるために、タペット29が使用される。このタペットは、この点に関して好適な図示の実施形態においては、2部構成で設計され、この目的のために下側タペット29Aと上側タペット29Bとを備える。タペット29Aおよびタペット29Bは、ベアリングブロック30によって軸線方向に変位可能に取り付けられる。下側タペット29Aの下端にボールベアリング31が配置され、その転動体をガイド要素33のガイドウェイ32上で転動させることができる。ガイド要素33は、マンドレルホイールシャフト26に平行な対応するガイドにより図示の両矢印の方向に長手方向に変位可能に設計され、スロット付きガイドを介して制御される。この目的のために、ガイド要素33は、
図1に示されているその左端に、摺動ブロックとして機能するボールベアリング34を有する。このボールベアリングは、不動のガイドスリーブ36のガイド溝35内を案内される。図示の実施形態において、ガイド溝35は、マンドレルホイールシャフト26の180°の枢動によって、枢動要素27が「折り畳まれている」その図示の位置から枢動要素27が展開された封着位置に、ガイド要素33を移動させるように設計される。この目的のために、ガイドスリーブ36は不動に設計される。したがって、ガイドスリーブ36は、マンドレルホイールシャフト26の回転に伴って回転しない。マンドレルホイールシャフト26は駆動軸37によって駆動されるので、充填機内の加工ライン数に応じて、更なるマンドレル7の収容が可能である。
【0028】
下側タペット29Aと上側タペット29Bとは接続要素38によって接続され、タペット29A、29Bの上方への作動によって、ヘッド表面上の2つの枢動可能なコーナーセグメント27間の間隙を塞ぐために、昇降セグメント39が軸線方向上方に移動されることを保証する。この目的のために、上側タペット29Bは、ガイドスリーブとして設計されたベアリング40によって、コーナーセグメント27を有する枢動要素間の領域に取り付けられる。2つの枢動要素に向かって延びるカム経路42を有するガイド要素41によって、コーナーセグメント27を有する枢動要素の枢動が引き起こされる。枢動要素自体は、この領域内に、ガイド要素41のカム経路42上を転動する回転可能なボールベアリング43を有する。識別不能ではあるが、このカム制御を実現するために、2つのコーナーセグメント27がばねの圧力に抗してそれぞれの封着位置から折り畳まれた位置にのみ移動可能であるように、2つのコーナーセグメント27は、これらの間に配置された圧縮ばねによって、互いに作動的に接続される。この目的のために、圧縮ばねは、これ以上は明記されていない溝内に位置する。この溝は、
図3においてマンドレル7のヘッド25内に昇降セグメント39の左隣に識別可能である。
【0029】
タペット29A、29Bがそのボールベアリング31によってガイド要素33のガイドウェイ32に絶えず接触していることが、更なる圧縮ばね44によって保証される。上側タペット29Bは、全長の調整のための調整ナット45によって、下側タペット29Aとの接続要素38の領域内で長手方向に調整可能であるように設計される。これにより、マンドレル7が完全にセットアップされると、昇降セグメント39の上死点の微調整も確実且つ容易に実現され得る。
【0030】
ナット45による上側タペット29Bの調整も、特に、
図2の回転された側面図から分かる。この図には、下側タペット29Bは見えない。この精密な設計は
図3からのみ分かる。この図には、マンドレル7の上部も
図1のIII−III線に沿った断面で示されている。
図2および
図3からは、マンドレル7がマンドレルホイールシャフト26上にねじ46によってねじ留めされることも分かる。これらの図では、ガイドレール33’によるガイド要素33の長手方向への変位可能性も明らかに識別可能である。
【0031】
図4および
図5は、
図1および
図3の表現に対応している。ただし、マンドレル7はその封着位置で示されている。比較し易いように、
図4および
図5のマンドレルも上を向いている。ただし、既に明らかなように、この点に関して好適な図示の実施形態において、封着位置は、枢動要素の引き込み位置に対して直径方向の反対側にあり、したがって、マンドレル7は下向きである。したがって、
図4の実際には不動のガイドスリーブ36は、
図4には180°回転させて示されている。初めに認識されるのは、ガイド要素33がスロット付きガイド34、35によってその終端位置に位置付けられており、したがって、下側タペット29Aはその最上位置に示されていることである。したがって、勿論、上側タペット29Bも、ひいてはガイド要素41も、その最上位置に位置付けられている。そのため、両ボールベアリング43はガイド要素41のガイドウェイ42に沿って互いに向かって移動されており、これにより、枢動要素のコーナーセグメント27をそれぞれ外側の封着位置に枢動させている。最後に、昇降セグメント39も、封着位置においては、その最上位置に位置付けられる。
【0032】
マンドレル7のヘッド25のこの封着位置および形状構成は、より良好な表現のために、
図7に斜視図で示されている。ここで、ヘッド25の端面全体が閉じられ、2つのコーナーセグメント27が今やそれぞれの展開された封着位置にあり、その間の空隙が昇降要素39によって塞がれていることが明らかに識別できる。明記されていない端面上の各空隙は、嵌められた包装スリーブの自由側面が、特に、折り畳まれる横方向シームの領域において、折り畳まれたときに互いに上下に重ねて形成された材料の積み重ねを公知の方法で収容するために役立つ。したがって、包装体の底部が、例えば封着されたときに、平らな表面が形成される。この表面は、将来の包装体を立たせるための表面として機能する。
【0033】
図6からは、コーナーセグメントを有する枢動要素は、押圧時の圧力に耐えられるように、相対的に強固に設計された枢動軸28を具備することも明らかになる。
【0034】
前述のように、上記の実施形態は、枢動可能なコーナーセグメント27を2つだけ有するマンドレル7である。ただし、別の実施形態においては、コーナーセグメント27を枢動させるために、既に説明した設計をマンドレルのもう一方の側にも設けることも容易に可能である。対応する設計が
図7に示されている。この代替マンドレル7’では、4つのコーナーセグメント27’が対応する枢動要素上に枢動可能なセグメントとして配置され、昇降セグメント39’が何れの場合も2つのコーナーセグメント27’の間に配置される。
【0035】
コーナーセグメント27’を枢動させるための駆動装置は、
図6のように設計され得る。ただし、
図7には、コーナーセグメント27’へのタペット29’の力の伝達が代わりに何れの場合もトグルレバー47Aまたはトグルレバー47Bによっても行われ得ることが示されている。この場合、各トグルレバーは、一方では枢動要素に、他方では昇降セグメント39’に、2つの軸線48によって取り付けられる。各枢動要素は、マンドレル7’上の対応する枢動軸38’上に枢動可能に取り付けられる。
【0036】
図8には、複数のばね要素49がマンドレルの側面に沿って配置され得ることが示されている。これらばね要素は、マンドレル7に一旦嵌められた包装スリーブ(図示せず)の摺動を確実に防止する。
図8からは、マンドレル7の「開放」部分がカバー50によって閉じられることも分かる。この表面は、実際の包装体デザインに対応し、図示の実施形態においては、丸みのある側壁を有し、ひいてはマンドレル7の内部機構を保護する。
【0037】
最後に、マンドレル7は、冷却水を導くための管路51、52を有し得る。このような場合、
図1および
図2から明らかなように、マンドレルホイールシャフト26は中空に設計される。前記空洞の内部に、それ自体が公知の分配要素が冷却水用に配置される。分配要素は不動に設計され、適切な周方向溝によって、加圧された冷却水が管路51を通ってマンドレルの内部に圧入され、排出管路52から再び分配要素に導かれることを保証する。この目的のために、2つの管路51および管路52は、マンドレル7の上方領域において、および/またはヘッド25において、接続溝53によって互いに接続される。この目的のために、分配要素は、回転するマンドレルホイールシャフトの内部に不動に配置される。分配要素は、回転中、マンドレル7が対応する供給管路および排出管路を介して所望のステーションにおいて、または特定の距離にわたって、調質され得ることを保証する。したがって、マンドレルホイールシャフト26の回転の故に、封着プロセス後、冷却水の供給による冷却が、いわば「自動的に」行われ得る。