(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記後方壁は、前記遠位壁から前記近位壁までの前記縦軸に沿った最大長を有しており、前記最大長は、前記遠位壁から前記近位壁までの前記縦軸に沿った前記前方壁の最大長より長い、請求項1に記載の脊椎インプラント。
前記斜方面は、凸状に湾曲しており、前記前方壁は、前記板が前記インプラント本体に対して多軸方向に関節運動され得るように前記斜方面に係合する凹状面を含んでいる、請求項1に記載の脊椎インプラント。
前記斜方面に沿った前記ねじの並進運動により前記板が前記斜方面に沿って並進運動するように、前記板に対して前記頭部をロックするため、前記穴内の前記柱部に係合するナットを更に備えている、請求項1に記載の脊椎インプラント。
前記前方壁及び前記後方壁はそれぞれ、向かい合っている第1椎骨係合面と第2椎骨係合面との間を延びており、前記インプラント本体は、前記椎骨係合面のうちの一方を通って延びる穴を含んでおり、前記穴が前記細長開口部と連通している、請求項1に記載の脊椎インプラント。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[0039]開示されている外科用システム及び関連する使用方法の例示としての実施形態は、筋骨格障害の治療のための医療装置の観点から、より厳密には手術部位へのインプラント送達のための外科用システム及び脊椎を治療するための方法において斜め側方手術経路を含む斜方向の手術経路を採用するシステム及び方法の観点から論じられている。1つの実施形態では、本開示のシステム及び方法は、例えば脊椎の頸部、胸部、腰部、及び仙骨の領域に係る脊椎の接合及び融合に関して採用される。
【0010】
[0040]1つの実施形態では、外科用システムは、斜め側方椎体間固定術(OLIF:oblique lateral interbody fusion)手技及び直接側方椎体間固定術(DLIF:direct lateral interbody fusion)手技と共に用いられる一体型浮動板を有する椎体間インプラ
ントを含んでいる。1つの実施形態では、外科システムは、互いと接続されるように構成されている独立型の椎体間インプラントと独立型の板を含んでいる。幾つかの実施形態では、椎体間インプラントは挿入されると斜方位置を脱して側方位置へ入れられ、板はねじと椎骨の係合をやり易くする斜方手術経路に維持される。1つの実施形態では、外科用システムは、椎体間インプラントであって当該椎体間インプラントの斜方面に沿って配置されている軌道を有する椎体間インプラントを含んでいる。1つの実施形態では、外科用システムは、挿入中は面一の又は低いプロファイル構成が維持されるように椎体間インプラントに対して回転させるように構成されている板を含んでいる。幾つかの実施形態では、板が椎体間インプラントの縦軸周りに回転するように板は2つ又はそれ以上の平面内で回転するように構成されている。1つの実施形態では、挿入に際し外科用システムのプロファイルを小さくするために板をインプラントへ回し込めるように板は椎体間インプラントの近位端によって画定されている軸周りに回転するように構成されている。
【0011】
[0041]1つの実施形態では、外科用システムは、椎体間インプラントであって当該椎体間インプラントに対して例えば軌道の様な細長開口部に沿って自由に並進運動できる板を有する椎体間インプラントを含んでいる。1つの実施形態では、外科用システムは、椎体間インプラントであって当該椎体間インプラントと一体にロックされるように構成されている板を有する椎体間インプラントを含んでいる。1つの実施形態では、板は締結具を受け入れるように構成されている複数の開口部を含んでいる。1つの実施形態では、外科用システムは、椎体間インプラントに対する板の並進運動をやり易くするボルト及び/又はナットを含んでいる。1つの実施形態では、外科用システムは、板を直線構成及び/又は角度付き構成に係合するように構成されている締結具を含んでいる。
【0012】
[0042]1つの実施形態では、外科用システムは、椎体間インプラントであって当該椎体間インプラントの斜方面に沿って取り付けられている板を有する椎体間インプラントを含んでいる。1つの実施形態では、外科用システムは、椎体間インプラントであって当該椎体間インプラントの前方面に沿って取り付けられている板を有する椎体間インプラントを含んでいる。1つの実施形態では、外科用システムは、単一レベルの板同士が追加の板を介して一体に連接され一体にロックされるような多レベル板構成を有する椎体間インプラントを含んでいる。1つの実施形態では、外科用システムは、2つの別々の板を積重構成で挿入し回転させ椎骨と一体にX字構成に固定できるようなX字形状板構成を有する椎体間インプラントを含んでいる。1つの実施形態では、各板は板の取り付けをやり易くするように構成されているねじの切られた柱部を含んでいる。幾つかの実施形態では、板プロファイルを小さくするために板は互いに入れ子になるように構成されている。1つの実施形態では、板は手術部位の中へ個々に挿入することができる。
【0013】
[0043]1つの実施形態では、外科用システムは、板を受け入れるように構成されている定半径を有する軌道を含む椎体間インプラントを含んでいる。1つの実施形態では、外科
用システムは、板を受け入れるように構成されている可変半径を有する軌道を含む椎体間インプラントを含んでいる。
【0014】
[0044]本開示は、次に続く実施形態の詳細な説明をこの開示の一部を成す添付図面各図と関連付けて考察することによってより容易に理解されよう。本願は、ここに説明及び/又は図示されている特定の装置、方法、条件、又はパラメータに限定されるものではなく、またここに使用されている用語は、特定の実施形態を単に一例として説明するのが目的であって、限定を課すことを意図するものではないことを理解されたい。更に、付随の特許請求の範囲を含め明細書での使用に際し、原文の単数形「a」、「an」、及び「the」の対訳である「一」、「或る」、及び「当該」は複数形を含み、特定の数値への言及は、文脈により別途明白に指示されていない限り、少なくとも当該の特定の値を含む。範囲は、ここでは、「約」又は「大凡」に1つの特定値から、及び/又は「約」又は「大凡」に別の特定値まで、として表されていることがある。その様な範囲が表されているとき、別の実施形態は、当該一方の特定値から、及び/又は当該他方の特定値まで、を含んでいる。同様に、値が、先行詞「約」の使用によって近似として表されているとき、当該特定の値は別の実施形態を成すものと理解しておきたい。更に、例えば、水平、垂直、上、上側、下側、下、左、及び右の様な全ての空間参照は、例示のみが目的であり、本開示の範囲内で変わり得るものと理解している。例えば、「上側」及び「下側」という参照は、相対であり、他方に対してという文脈でしか使用されず、必ずしも「上位」及び「下位」であるとは限らない。
【0015】
[0045]更に、付随の特許請求の範囲を含め明細書での使用に際し、疾患又は病態を「治療する」又は疾患又は病態の「治療」とは、疾患又は病態の徴候又は症状を緩和しようとして、1つ又はそれ以上の薬物を患者(普通はヒト、或いはそれ以外に他の哺乳類)へ投与すること、植え込み式装置を採用すること、及び/又は、疾患を治療する器械、例えば膨れている部分即ちヘルニアを生じている円板及び/又は骨棘を除去するのに使用される顕微鏡下椎間板切除術(microdiscectomy)器械の様な器械を採用すること、を含み得る
処置を施行することをいう。緩和は、疾患又は病態の徴候又は症状が現われる前に起こることもあれば、それらの出現後に起こることもある。而して、治療する又は治療は、疾患又は望ましからざる病態を予防すること又は疾患又は望ましからざる病態の予防(例えば、疾患が当該疾患に罹りやすいかもしれないがまだそれに罹っていると診断されていない患者に起こるのを予防すること)を含む。加えて、治療する又は治療は、徴候又は症状の完全緩和を要件とするのでもなければ、治癒を要件とするのでもなく、具体的には、患者への限界効果しかない処置を含む。治療には、疾患を抑制することであって例えばその発症を停止させること、又は疾患を軽減することであって例えば疾患の退行を引き起こすこと、を含めることができる。例えば、治療は、急性又は慢性の炎症を低減すること、疼痛の緩和と沈静化及び新しい靭帯、骨、又は他の組織の再成長を誘導すること、手術時の補助として、及び/又は何らかの修復処置、を含み得る。更に、付随の特許請求の範囲を含め明細書での使用に際し、「組織」という用語は、別途特に言及されていない限り、軟組織、靭帯、腱、軟骨、及び/又は骨、を含む。
【0016】
[0046]次に続く論考は、本開示の原理による外科用システム及び当該外科用システムを採用する関連の方法の説明を含んでいる。代わりの実施形態も開示されている。添付図に示されている本開示の例示としての実施形態をこれより詳細に参照してゆく。
図1−
図22を見ると、例えば脊椎インプラントシステム10の様な外科用システムの構成要素が描かれている。
【0017】
[0047]脊椎インプラントシステム10の構成要素は、特定の用途及び/又は医学的施術者の選好に依存して、金属、合成ポリマー、セラミックス及び骨材料、及び/又はそれらの複合物を含め、医療用途に適した生物学的に受容され得る材料から製作することができ
る。例えば、脊椎インプラントシステム10の構成要素は、個別的に又は集合的に、ステンレス鋼合金、商業用純チタン、チタン合金、5等級チタン、超弾性チタン合金、コバルトクロム合金、ステンレス鋼合金、超弾性金属系合金(例えば、ニチノール、日本のトヨタマテリアルインコーポレイテッドによって製造されているGUM METAL(登録商標)の様な超弾塑性金属)、リン酸カルシウムの様なセラミックス及びその複合材(例えば、Biologix Inc.によって製造されているSKELITE(商標))、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、及びポリエーテルケトン(PEK)、を含むポリアリールエーテルケトン(PAEK)の様な熱可塑性プラスチック、炭素PEEK複合材、PEEK−BaSO
4ポリマーゴム、ポリエチレンテレフタレート(PET)、織物、シリコン、ポリウレタン、シリコンポリウレタンコポリマー、ポリマーゴム、ポリオレフィンゴム、ヒドロゲル、半剛性及び剛性材料、エラストマー、ゴム、熱可塑性エラストマー、熱硬化性エラストマー、エラストマー複合材、ポリフェニレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエチレン、エポキシ、を含む剛性ポリマー、自家移植片、同種移植片、異種移植片、又は遺伝子組み換え皮質骨及び/又は皮質海綿骨、を含む骨材料、及び組織成長又は分化因子、即ち、一部分解吸収性材料として、例えば、金属とカルシウムを基材とするセラミックスとの複合材、PEEKとカルシウムを基材とするセラミックスとの複合材、PEEKと分解吸収性ポリマーとの複合材、など、全分解吸収性材料として、例えば、ヒドロキシアパタイト(HA)、サンゴHA、二相系リン酸カルシウム、リン酸トリカルシウム、又はフルオロアパタイト、の様なリン酸カルシウム、リン酸三カルシウム(TCP)、HA−TCP、硫酸カルシウム、の様なカルシウムを基材とするセラミックス、など、又は他の分解吸収性ポリマーとして、ポリラクチド(polyaetide)、ポリグリコリド、ポリチロシンカーボネート、ポリカプロラクトン(polycaroplaetohe)、及びそれらの組合せ、など、生体適合性セラミックス、石灰化コラーゲン、生物活性ガラス、多孔質金属、骨粒子、骨繊維、小分割骨チップ(morselized bone chips)、骨形成タンパク質(BMP)として、例えば、BMP−2、BMP−4、BMP−7、rhBMP−2、又はrhMBP−7、など、脱灰骨基質(DBM)、形質転換成長因子(TGF、例えばTGF−β)、骨芽細胞、成長及び分化因子(GDF)、インスリン様成長因子1、血小板由来成長因子、繊維芽細胞増殖因子、又はそれらの何れかの組合せ、から製作することができる。
【0018】
[0048]脊椎インプラントシステム10の様々な構成要素は、強度、剛性、弾性、伸展性、生体力学的性能、耐久性、及びX線透過性、又は画像化選好、の様な様々な所望の特性を実現するように、上記材料を含む材料複合物を有していてもよい。脊椎インプラントシステム10の構成要素は、個別的に又は集合的に、更に、上述の材料の2つ又はそれ以上から成る組合せの様な混成材料から製作されていてもよい。脊椎インプラントシステム10の構成要素は、モノリシックに形成されていてもよいし、一体に接続されていてもよいし、又は、例えばここに説明されている様に締結用の要素及び/又は器械を含んでいてもよい。
【0019】
[0049]脊椎インプラントシステム10は、
図11−
図22に示されている様に、例えば椎骨Vを有する脊椎を含んでいる患者の手術部位に、器械類及び/又は例えば椎体間インプラントの様なインプラントを送達及び導入するために、例えば完全開放性手術手技、経皮的技法を含む低侵襲性手技、及び最小開放性手術技法と共に採用される。幾つかの実施形態では、手術部位への手術経路PがOLIF手技又はDLIF手技を介して形成される。幾つかの実施形態では、インプラントは、例えば、骨締結具、脊椎ロッド、コネクタ、及び/又は板、の様な脊椎構築物を含むことができる。
【0020】
[0050]脊椎インプラントシステム10は、
図1に示されている様に、例えば椎体間ケージ12の様なインプラント本体を含んでいる。ケージ12は後方面14と前方面16の間を延びていて縦軸L1を画定している。後方面14は、患者身体の後側に面するように構
成され、
図11に示されている様に例えば椎骨Vの1つ又はそれ以上の椎間空間の後方部分P1の様な椎骨の前方部分に隣接して配置されるように構成されている。前方面16は、患者身体の前側に面するように構成され、
図11に示されている様に例えば椎骨Vの1つ又はそれ以上の椎間空間の前方部分A1の様な椎骨の前方部分に隣接して配置されるように構成されている。
【0021】
[0051]ここに説明されている様々な実施形態では、ケージ12(及び諸図に関して説明されている類似のケージ)は、外科医による挿入の容易化を図って凸状遠位端11(「弾頭」を示す
図1参照)を提供されていてもよい。また
図2の平面図に視られる様に、椎体の中又は付近の様々な構造(例えば椎孔など)へのぶつかりを回避してケージ12を椎間空間に設置することができるように、ケージ12は更に遠位端に面取り部又は切り取り部13a、13bを提供されていてもよい。ケージ12は更に後方面14の湾曲端15(ここに更に説明されている斜方延長部17とは正反対の側)を提供されていてもよい。湾曲端15は、切り取り部の働きもしていて、ケージ12が手術経路Pに沿って又は手術経路Pの外に設置される際及び/又は外科医がケージ12を手術経路Pに沿って又は手術経路Pの外に操作する際の椎孔又は他の構造へのぶつかりを回避させる(例えば
図12及び
図13参照)。
【0022】
[0052]ここに説明されているケージ12実施形態は、更に、挿入中、操作中、及び植え込み中に蛍光透視法を使用してケージ12の位置を視覚化するための任意の個数及び構成の放射線不透過性マーカー(図示されていないが例えばタンタル製のピンなど)を備えていてもよい。その様なマーカーは、遠位端11に、前方面及び後方面(16、14それぞれに)隣接してケージの側壁に、インプラントの近位端に、斜めに設置されていてもよい。その様なマーカーは、ここに更に説明されている様に板60の好適な設置を実現し易くするために手術経路Pに対する及び/又は好適な斜方軸Oに対するケージ12の位置を適正に視覚化するうえで必要に応じ、前方面及び後方面に平行に、斜めに、及び/又は直角に設置することができる。
【0023】
[0053]ケージ12は第1椎骨係合面18及び第2椎骨係合面20を含んでいる。面18は、実質的に平面状をしていて、
図13に示されている様に例えばV1椎骨レベルの終板E1の様な椎体の終板組織に係合するように構成されていてもよい。面20は、実質的に平面状をしていて、
図14に示されている様に例えばV2椎骨レベルの終板E2の様な椎体の終板組織に係合するように構成されていてもよい。幾つかの実施形態では、面18、20は、組織との係合をやり易くするように、粗い、肌理のある、有孔、半有孔、凹み付き、刻み付き、歯付き、溝付き、及び/又は磨き、であってもよい。面18、20は、更に、縦軸L1に沿って少なくとも部分的に凸状であってもよいし、及び/又は縦軸L2に実質的に直角の方向に(即ち前方面16から後方面14に向けて)少なくとも部分的に凸状であってもよい。幾つかの実施形態では、面18、20は、縦軸L1に沿って角度を付けられ又は縦軸L1に直角方向に角度を付けられ前方面16が後方面14より高くなるようにされていて、ケージ12が植え込まれたときにヒト脊椎の脊柱側弯又は脊柱前弯を作成及び/又は増強することができるようになっていてもよい。幾つかの実施形態では、椎骨組織は、椎間組織、終板面、及び/又は皮質骨を含み得る。幾つかの実施形態では、面18、20は、限定するわけではないがチタン被覆及びヒドロキシアパタイト(HA)被覆を含め、骨をその上に成長させること(bony ongrowth)又は骨の融合を促す又は働き
かけるのに適する材料で被覆されていてもよい。チタン被覆が面18、20へ塗工されている実施形態では、チタンはプラズマスプレイ技術を使用して有孔層に塗工されてもよい。
【0024】
[0054]
図2に示されている様に、ケージ12は、上から視て実質的に四角形構成を有していてもよく、内面22と外面25を含んでいる。面22は、骨移植片(図示せず)又は
固定又は融合の治療で採用されるここに記載の他の材料を含む薬剤を受け入れるように構成されている開口部23を画定している。幾つかの実施形態では、ケージ12の平面図幾何学形状は、例えば、楕円形、丸形、円柱形、長円形、三角形、四角形、平面状又は弧状の辺部分を有する多角形、不定、均一、不均一、一定、可変、馬蹄形状、U字形状、又はインゲン豆形状(例えば
図25参照)の様な、様々な構成を有することができる。
【0025】
[0055]
図1及び
図2に示されている様に、ケージ12は上から視たときのケージの全体構成が縦軸L1周りに実質的に対称になるように角延長部17を備えている。従って、外面25は角延長部17(即ち
図2に示されている延長部側壁44a)のところが斜方面44の少なくとも一部を画定している。斜方面44は、例えば軌道経路48の様な細長開口部を画定している。斜方面44は、斜方面の少なくとも一部分を
図1及び
図2に示されている様に手術経路Pと実質的に整列させることができるように、角延長部17及びケージ12の近位端に沿って延びていてもよい。軌道経路48は斜方面44に画定されていて、ここで更に論じられている様に壁及び/又は板の並進運動及び/又は回転をやり易くするように接続メカニズム90の頭部92が実質的に軌道46の中に置かれ接続メカニズム90の柱部94が軌道経路48を通って外向きに延びるような具合に軌道46と連通している。軌道経路48の
図1に示されている1つの実施形態では、経路48は軌道46及び斜方面44に実質的に平行である弧に沿って延びている。幾つかの実施形態では、軌道46、面44、及び/又は軌道経路48は、弧を画定している単一半径を有する弧状である。他の実施形態では、軌道46、面44、及び/又は軌道経路44は、1つ又はそれ以上の個々の弧を画定している複数半径を有する弧状である。1つの実施形態では、斜方面44、軌道46(及び軌道46と連通している付帯の軌道経路48)は、変化する曲率半径に沿って延びている。軌道経路48は、
図1に示されている例えば横軸限界50の様な第1の限界と、
図1に示されている例えば斜方軸限界52の様な第2の限界を含んでいる。限界50、52は、ここに論じられている様にケージ12に対する経路48に沿った並進運動範囲を提供している。
【0026】
[0056]ここでの使用に際し、ケージ12本体の「斜方軸」O(例えば
図1、
図11、
図12中の要素O参照)という用語は、限定するわけではないが縦軸L1と同軸である軸及び/又は手術経路Pによって画定される軸を含め、ケージ12であるインプラントの斜方面の横軸限界50と斜方軸限界52の間の何処かから外向きに延びる何れの軸をも含み得る。
図14及び
図15に示されている様に、システム10によって画定される様々な斜方軸Oの少なくとも1つは、ケージ12の縦軸L1と実質的に同軸であってもよい。
【0027】
[0057]幾つかの実施形態では、斜方面44、軌道46、及び軌道経路48は、例えば、丸形、円柱形、長円形、三角形、四角形、平面状又は弧状の辺部分を有する多角形、不定、均一、不均一、一定、可変、馬蹄形状、U字形状、又はインゲン豆形状の様な、ケージ12の全体形状に対応する様々な構成を有する経路に沿って延びていてもよい。幾つかの実施形態では、面44は、並進運動をやり易くするように、粗い、肌理のある、有孔、半有孔、凹み付き、刻み付き、歯付き、溝付き、及び/又は磨き、であってもよい。幾つかの実施形態では、斜方面44は、ここに説明されている様にケージ12を手術経路P経由で手術部位に隣接して送達する例えば挿入器の様な外科用器械と嵌め合い係合されるように構成されている。
【0028】
[0058]システム10は、例えば実質的に四角形構成を有する板60の様な壁を含んでいる。幾つかの実施形態では、板60は、例えば、管状、楕円形、長円形、三角形、方形、多角形、不定、均一、不均一、可変、中空、及び/又はテーパの様な、様々な構成とすることができる。板60は、
図17に示されている様に、椎骨レベルV1に係合するように構成されている部分62と、椎骨レベルV2に係合するように構成されている部分64と、を含んでいる。1つの実施形態では、板60は植え込みに先立ってケージ12と一体に取り付けられてもよいし現場で取り付けられてもよい。板60は軌道係合面66及び器械係合面68を含んでいる。面66は、経路48に沿った並進運動をやり易くする接続メカニズムに係合するように構成されている開口部67を画定している。面68は、システム10の挿入をやり易くする例えば挿入器Iの様な器械に係合するように構成されている。
【0029】
[0059]板60は、ここに説明されている締結具42を受け入れるように構成されている開口部72を画定する内面70を含んでいる。開口部72は面66と面68の間を延びている。
図25に全体として示されている様に、締結具42aは椎骨レベルV1と一体に固定されるように構成されており、締結具42bは椎骨レベルV2と一体に固定されるように構成されている。幾つかの実施形態では、板60は
図21に示されている様にバックアウト防止要素74を含んでいる。
【0030】
[0060]板60は第1面76及び第2面78を含んでいる。面76、78は端80と端82の間を延びている。面76、78は、当初は、
図14に示されている様に面76、78が面18、20相手に軸L1に沿ってケージ12とのゼロプロファイル整列に実質的に整列するような第1配置方向に向きを定められる実質的に平面状の部分を含んでいてもよい。面76、78は、面76、78が面18、20及び軸L1を横断するような
図17に示されている第2配置方向へ操作することができる。
図14−
図17は板60の第1配置方向から第2配置方向への例示としての移行を示している。板60は、更に、軌道46及び軌道経路48に沿って患者身体の軸L2(概して、例えば脊柱の縦軸によって画定されている)周りに並進運動可能であり且つ
図15に示されている様にケージ12の斜方軸O周りに回転可能である(斜方軸Oは一部の構成では縦軸L1と実質的に同軸のこともあるものと理解しておきたい)。面44はケージ12に対する板60の回転をやり易くする。この構成は、椎骨の組織面の構成への適合を図って板60を患者の身体に関して選択的に位置決めすることを提供するとともに板60のための可動域限界50、52も提供する。
【0031】
[0061]外科用システム10は、板60を軌道46と一体に接続するように構成されている接続メカニズム90を含んでいる。1つの実施形態では、
図2及び
図3に示されている様に、メカニズム90は、例えば細長柱部94を有する頭部92の様な接続部材を含んでいる。頭部92は軌道46と係合し軌道46に沿って並進運動するように構成されている。柱部94は板60の開口部に配置されるように構成されている。ナット96が頭部92(ボルトの遠位端を備えていてもよい)を板60と一体にロックして軌道46に沿った頭部92の並進運動が板60をケージ12の面44に沿って並進運動させるように構成されている。幾つかの実施形態ではダブテール又はT字スロット滑動取り付けメカニズムを利用することができる。幾つかの実施形態では、板60は現場の患者身体内で自由に並進運動できるようになっていて、板60は動的並進運動に適する構成である。幾つかの実施形態では、板60を患者身体内に位置決めし固定位置へロックすることができる。
【0032】
[0062]脊椎インプラントシステム19は、ここに説明されている様に板60を骨へ取り付けるための例えば
図21に示されている様な1つ又はそれ以上の締結具42を含んでいる。幾つかの実施形態では、締結具42a及び42bは、例えば椎体の骨質構造の様な組織相手に、例えば直列、並列、オフセット、喰い違い、及び/又は交互の椎骨レベルの様な、様々な配置方向に係合させることができる。幾つかの実施形態では、1つ又はそれ以上の締結具42は、多軸ねじ、矢状方向角度形成ねじ、椎弓根ねじ、単軸ねじ、単平面ねじ、関節面ねじ、固定型のねじ、組織穿通ねじ、従来ねじ、展開ねじ、楔、アンカー、ボタン、クリップ、スナップ、摩擦嵌め、押圧嵌め、展開リベット、ステープル、釘、接着剤、支柱、固定用の板及び/又は支柱、を備えていてもよい。
【0033】
[0063]締結具42は、例えば頭部43の様な第1部分と、例えば組織を穿通するように構成されている細長軸部45の様な第2部分と、を備えている。頭部43は、外科用器械
を係合させるように構成されている係合部分を含んでいる。軸部45は、円筒形断面構成を有していて、外ねじ形態を有する外面を含んでいる。幾つかの実施形態では、外ねじ形態はねじ部の巻きが単一の場合もあれば個別のねじ部を複数含んでいる場合もある。幾つかの実施形態では、軸部45には、例えば椎骨の様な組織相手の軸部45の係合をやり易くする例えば釘構成、逆棘、展開式要素、隆起型要素、及び/又はスパイクの様な他の係合構造が設けられていてもよい。
【0034】
[0064]幾つかの実施形態では、軸部45の全部又は一部分のみが、例えば、楕円形、長円形、三角形、方形、多角形、不定、均一、不均一、オフセット、喰い違い、波状、弧状、可変、及び/又はテーパ一の様な、代わりの断面構成を有していてもよい。幾つかの実施形態では、軸部45の外面は1つ又は複数の開口部を含んでいてもよい。幾つかの実施形態では、軸部45の外面の全部又は一部分のみが、例えば滑らか及び/又は組織との固定を強化する面構成であって例えば粗い、弧状、波状、有孔、半有孔、凹み付き、磨かれている、及び/又は肌理のある、などの面構成、の様な代わりの面構成を有していてもよい。幾つかの実施形態では、軸部45の全部又は一部分のみがカニューレ型であってもよい。
【0035】
[0065]幾つかの実施形態では、システム10は、例えば、ドライバー、エクステンダー、整復器、拡張器、伸延器、ブレード、クランプ、鉗子、起子、及び穿孔器の様な、各種外科用器械を備えていてもよく、それらは代わりの寸法及び大きさに設定されキットとして装備されていてもよい。幾つかの実施形態では、システム10は、外科用器械を含むシステム10の構成要素の手術部位への導入及び/又は送達を追跡するのに採用することのできる、例えばエミッタ及びセンサを採用している手術ナビゲーション構成要素の様な、顕微手術及び画像誘導型の技術の使用を備えていてもよい。例えば、米国特許第6021343号、同第6725080号、及び同第6796988号に記載されている手術ナビゲーション構成要素及びそれらの使用を参照されたし。
【0036】
[0066]
図4−
図6に示されている様に1つの実施形態では、ここに説明されているシステム及び方法と同様のシステム10が、以上に説明されているケージ12及び
図1−
図3に関し説明されている板60と同様の板160を含む脊椎構築物を備えている。ケージ12の外面125(又は側壁)は、例えば軌道経路148の様な細長開口部を画定している斜方面144を含んでいる。斜方面144は、ケージ12に関して向きを定められていて手術経路Pと実質的に整列している。軌道146は面144と開放連通にあって、板160との係合及び板160の並進運動をやり易くする軌道経路148を画定している。経路148は、
図4に点L2として示されている患者身体の縦軸L2(ここにL2は概して患者の脊椎の長さによって画定される)の周りに延びている。経路148は、
図5に示されている横軸限界150及び
図5に示されている斜方軸限界152を含んでいる。限界150、152は、ここに論じられている様にケージ12に対する経路148に沿った並進運動範囲を提供する。
【0037】
[0067]板160は、或る椎骨レベルに係合するように構成されている部分162と、第2の椎骨レベルに係合するように構成されている部分164と、を含んでいる。板160は軌道係合面166及び器械係合面168を含んでいる。面166は経路148に沿った並進運動をやり易くする接続メカニズムに係合するように構成されている開口部167を画定している。面168は、システム10の挿入をやり易くする器械に係合するように構成されている。面144は、椎骨への適合を図って板160を選択的に位置決めする場合の板160の可動域限界150、152を提供する。
【0038】
[0068]板160は、ここに説明されている様に締結具42を受け入れるように構成されている開口部172を画定する内面170を含んでいる。開口部172は面166と面1
68の間を延びている。接続メカニズム190が板160を軌道146と接続するように構成されている。メカニズム190は、例えば細長柱部194を有するボールねじ192の様な球状継手を含んでいる。ねじ192はケージ112に対する板160の運動自由度及び/又はトグルを提供するように構成されている。ねじ192は、軌道146との係合及び軌道146に沿った並進運動に適する構成である。柱部194は板160の開口部167と一体に配置されるように構成されている。ナット196がねじ192を板160と一体にロックして軌道146に沿ったねじ192の並進運動が板160をケージ12の面144に沿って並進運動させるように構成されている。ねじ192は、板160のケージ112に対する複数の軸方向の及び複数平面内の並進運動及び回転を提供する。
図4及び
図6に示されている様に、相補的な面144と面166は、面160をケージ122に対して多軸方向に関節運動させることができるように複数平面内に弧状をなしていてもよい。
【0039】
[0069]組み立て、作動、及び使用においては、
図7−
図22に示されている様に、ここに説明されているシステムと同様の脊椎インプラントシステム10は、患者の脊椎の一部分を冒しているここに説明されている様な脊椎障害の治療のための外科的処置と共に採用される。システム10は更に他の外科的処置と共に採用されてもよい。患者の椎骨Vの病変部分を治療するため、OLIF手技及びDLIF手技が用いられる。幾つかの実施形態では、システム10は更なるプローブが必要とならないように開創器を含んでいてもよい。幾つかの実施形態では、システム10は、フレームを介して拘束されている開創器又は弾性フレーム又は部分的フレームを使用して半拘束されている開創器を含んでいてもよい。
【0040】
[0070]幾つかの実施形態では、
図10−
図13に示されている様に、例えば開創器T2の様な外科用器械が
図10に示されている様に組織を離間させるために手術経路Pと連通に配置される。開創器ブレードb1、b2が単体開創器器械の一部として脈管を保護するために1つ又はそれ以上の椎間空間の周りに同時に挿入される。ここに開示されているケージ12及び板60の様々な実施形態は、外科医が開創器T2に対する板60及びケージ12の構築をより効果的に操作できるようにする。例えば、
図10−
図13に示されている様に、挿入器Iとケージ12及び板60は、手術経路Pに沿って実質的に開創器T2のブレードb1とb2の間を板60を低又はゼロプロファイル構成(例えば
図14参照)の向きにした状態で挿入される。外科医は挿入器Iを(及び結果的にケージ12を)椎骨V1及びV2に対してブレードb1、b2の範囲の外の位置(
図13参照)へ板60を低プロファイル構成にした状態で自在に回し入れることができる。ケージ12を位置決めした後、椎骨V1、V2に対する板60の好適な位置を獲得するために外科医は次に挿入器を用いてケージ12に対する板60の位置によって画定される斜方軸O周りの位置へ板60を回転させる。
【0041】
[0071]幾つかの実施形態では、外科用器械を用い、1つ又はそれ以上の椎間空間に対しての中心となる開始点をX線で確認しながら、環状切除術(annulotomy)及び/又は椎間板切除術が施行される。幾つかの実施形態では、システム10は半拘束の開創器を含んでいて、周囲腹部構造への最小限の組織押圧が実現し易くなるようにし、またそのブレードが固定ピン周りに回転して施術者にとってより大きな運動自由度及びより大きな作業角度を可能にさせるような可撓性が提供されるようにしている。
【0042】
[0072]プローブがその配置位置を確実にするように円板空間の中へ送り込まれる。1つの実施形態では、プローブが円板空間に進入する際のその斜め角度及び前弯角度は、術前に評価されていて、手術中に画像誘導を使用して又は機械式若しくはデジタル式分度器を使用して計測される。ここに説明されている様に、蛍光透視法、画像誘導、及び/又は手術ナビゲーションが、円板空間内への適正なプローブ整列を確認するために使用される。
幾つかの実施形態では、ガイドワイヤがカニューレを通して円板空間の中へ設置され、位置決めが蛍光透視法を用いて確認される。円板空間の椎間板切除術を施行するのに、例えば、コブ(Cobb)、マレット、シェーバー、鋸歯型キューレット、ラスプ、リングキューレット、子宮キューレット、及び/又は組合せ型道具、の様な器械が用いられる。器械は患者身体に斜方向から開創器を通して進入すると、直交方向に向きを換えられ、外科医が円板空間を直交方向に横切って作業できるようにする。円板空間は適切な円板空間高さが獲得されるまで伸延される。
【0043】
[0073]幾つかの実施形態では、円板切除術は手術経路Pを経由して施行される。幾つかの実施形態では、試行用インプラントが手術経路Pに沿って送達され、1つ又はそれ以上の椎間空間を伸延し椎間空間に適切な張力を掛けて間接的な除圧を可能にさせるように使用される。1つの実施形態では、ヘルニアの円板の一部分を除去することによって円板空間の直接的な除圧が施行される。幾つかの実施形態では、ケージ12の寸法は試行の後に選択され、ケージ12は蛍光透視法によって視覚化され椎間空間の中へ打ち込まれる前に向きを定められる。試行はケージ12挿入のための開始点を確立するために利用されている。幾つかの実施形態では、前縦靭帯(ALL)剥離処置が、円板切除術後にOLIF又はDLIF進入法を使用して施行されてもよい。例えば、OLIF手術経路がALLのすぐ近くに接するようにALLに穴又は部分的な切れ目を入れることによってALLの弛緩が行われてもよい。
【0044】
[0074]椎骨Vの選択された椎骨V1、V2には、骨締結具42a、42bを受け入れるためのパイロット穴又は同種のものを、手術経路Pを経由して椎間空間に隣接して作る。
図7及び
図8に示されている様に挿入器Iにケージ12及び/又は板60を取り付ける。挿入器Iはケージ12及び板60を手術経路Pに沿ってV1とV2の間の椎間空間に隣接する植え込みのための手術部位に隣接に送達する。1つの実施形態では、挿入器Iはケージ12及び板60の椎骨V1とV2の間への設置をやり易くするナビゲーション構成要素を含んでいる。幾つかの実施形態では、システム10は、例えば、ドライバー、エクステンダー、整復器、拡張器、伸延器、ブレード、クランプ、鉗子、起子、及び穿孔器の様な、各種外科用器械を備えていてもよく、それらは代わりの寸法及び大きさに設定されキットとして装備されていてもよい。幾つかの実施形態では、システム10は、例えば、ドライバー、エクステンダー、整復器、拡張器、伸延器、ブレード、クランプ、鉗子、起子、及び穿孔器の様な、各種外科用器械を備えていてもよく、それらは代わりの寸法及び大きさに設定されキットとして装備されていてもよい。幾つかの実施形態では、システム10は、外科用器械を含むシステム10の構成要素の手術部位への導入及び/又は送達を追跡するのに採用することのできる、例えばエミッタ及びセンサを採用している手術ナビゲーション構成要素の様な、顕微手術及び画像誘導型の技術の使用を備えていてもよい。例えば、米国特許第6021343号、同第6725080号、及び同第6796988号に記載されている手術ナビゲーション構成要素及びそれらの使用を参照されたし。
【0045】
[0075]挿入時、板60は、面76、78が面44に実質的に直角になるように(
図7)、又は面76、78が面18、20と実質的に整列してゼロプロファイルインプラントを形成するように(
図8)、配置させることができる。板60及びケージ12を挿入器Iと一体に仮固定しておくために枢軸ボルト98が利用されている。ボルト98を締めることで、ケージ12及び板60と挿入器Iが一体に引かれ挿入中の固定された向きに保持される。ケージ12及び板60は開創器T2を通して施術部位に隣接に挿入される。
図11及び
図12に関してここに説明されている様に、前方面16は前方部分A1に隣接して患者身体の前側に面し、後方面14は後方部分P1に隣接して患者身体の後側に面している。面18は終板E1の終板組織に係合し、面20は終板E2の終板組織に係合する。幾つかの実施形態では、ケージ12及び板60の植え込み後、施術者は挿入器Iとケージ12及び板60の接続を緩めることができる。この構成は、板60がケージ12に対して回転及び/又は並進運動することを可能にさせ、ケージ12及び板60に相対的な運動自由度を提供するので、施術者はケージ12及び/又は板60の最終設置に向けて脊椎構築物を操縦することができる。
【0046】
[0076]挿入器Iは、外科処置中の多様な用途を遂行するように構成されている適合式器械である。幾つかの実施形態では、挿入器Iは例えば骨の様な組織を前処置する及び/又は組織に空洞を作成することができる。挿入器Iは、例えば、穿孔器、タップ、及び/又は錐の様な外科用器械を案内することはもとより組織を穿通する締結具も案内する。幾つかの実施形態では、挿入器Iは板60及びケージ12を一体に保持する案内である。錐、タップ、及びねじを含む外科用器械は挿入器Iを通して送られる。
【0047】
[0077]1つの実施形態では、挿入器Iを利用して、板60が
図2及び
図3に矢印Cで示されている様に軌道64に沿って並進運動できるような力を板60へ加えさせる。1つの実施形態では、
図11に示されている様に、板60の回転前、板60はケージ12に対して斜め角度に位置決めされる。1つの実施形態では、
図12に示されている様に、板60の回転及び位置決め前に、板60は軌道46に沿ってケージ12に対して横方向に配置される位置へ並進運動させられる。板60は、板60のケージ12に対する適正な位置決めを実現し易くするように横軸限界50と斜方軸限界52の間で並進運動させられる。
【0048】
[0078]
図14−
図18に示されている様に、板60は、部分62がV1に係合するように向きを定められ部分64が椎骨V2に係合するように向きを定められるような位置へ回される。板60の現場での回転は、挿入時のケージ12及び板60の低プロファイル構成のおかげで挿入をやり易くする。板60の並進運動及び回転は板60の選択的操作を可能にさせ、板60の椎骨との適合化をやり易くする。締結具42a、42bは、挿入器Iに沿ってドライバーDにより開口部72を通して、締結具42aが椎骨V1に係合し締結具42bが椎骨V2に係合するような具合に挿入される。ドライバーDは椎間空間に隣接して配置され、骨締結具42a42bを駆動するように、トルクを掛けるように、挿し込むように、又はそれ以外に椎間空間に隣接に接続するように操作される。幾つかの実施形態では、ドライバーは手術進入角度に実質的に一致する及び/又は平行であるねじ経路を確立するために、ここに説明されている手術ナビゲーション構成要素を含んでいてもよい。1つの実施形態では、
図19及び
図21に示されている様に、板60はケージ12に対して斜めの角度に締結具42a、42bで固定される。1つの実施形態では、
図20に示されている様に、板60はケージ12に横方向に締結具42a、42bで固定される。1つの実施形態では、
図22に示されている様に、板60は、締結具42、42bが椎骨V1、V2から係合解除されるのを防ぐように回転させるバックアウト防止要素74を含んでいる。
【0049】
[0079]ここに説明されている様に処置が完了したら、脊椎インプラントシステム10の外科用器械、組立体、及び植え込まれない構成要素は抜去され、(単数又は複数の)切開は閉じられる。脊椎インプラントシステム10の構成要素のうちの1つ又はそれ以上はポリマーの様な放射線透過性材料で作られていてもよい。X線、蛍光透視法、CT、又は他の画像化技法下での識別のために放射線不透過性マーカーが含まれていてもよい。幾つかの実施形態では、脊椎の劣化又は損傷にアクセス、視認、及び修復するのに、手術ナビゲーション、顕微手術技法、及び画像誘導型技法の使用が脊椎インプラントシステム10と共に採用されてもよい。幾つかの実施形態では、脊椎インプラントシステム10は、単一の椎骨レベル又は複数の椎骨レベルと共に使用するために1つ又は複数の板、コネクタ、及び/又は骨締結具を含んでいてもよい。
【0050】
[0080]1つの実施形態では、脊椎インプラントシステム10は、脊椎インプラントシステム10の構成要素及び/又は面の内、上、又は周りに配置、充填、被覆、又は積層させ
ることのできる薬剤を含んでいる。幾つかの実施形態では、薬剤は、脊椎インプラントシステム10の構成要素及び/又は面と椎骨Vとの固定を強化する例えば骨移植片の様な骨成長促進材料を含んでいてもよい。幾つかの実施形態では、薬剤は、例えば疼痛、炎症、及び変質を治療するように徐放を含めたやり方で放出させる1つ又は複数の療法作用物質及び/又は薬理学的作用物質を含んでいてもよい。
【0051】
[0081]
図23−
図25に示されている1つの実施形態では、ここに説明されているシステム及び方法と同様のシステム10は、以上に説明されているケージ12と同様のケージ212及び以上に説明されている板60と同様の板260を含む脊椎構築物を備えている。ケージ212は後方面214と前方面216の間を延びている。ケージ212は第1椎骨係合面218及び第2椎骨係合面220を含んでいる。面218は実質的に平面状であり、例えば椎骨レベル(図示されていないが、
図25に示されている椎体V2の尾側に接する)の終板の様な椎体の終板組織に係合するように構成されている。面220は例えば
図25に示されているV2椎骨レベルの終板E2の様な椎体の終板組織に係合するように構成されている。面218、220は、更に、特定の椎骨終板の解剖学的構造へ前弯矯正を提供するため及び/又は当該解剖学的構造により正確に整合させるために凸状部分及び/又は傾斜部分を提供されていてもよい。
【0052】
[0082]
図23−
図25の実施形態では、ケージ212は(前方及び/又は前斜方脊椎進入法で使用することができる様な)実質的にインゲン豆形状の断面構成を有していて、内面222と外面225を含んでいる。面222は、骨移植片(図示せず)及び/又は固定又は融合の治療で採用されるここに記載の他の材料を含む薬剤を受け入れるように構成されている開口部223を画定している。外面225は軌道246を画定している楕円形斜方面244を含んでいる。軌道246は面244と開放連通にあって、板260との接続及び板260の並進運動をやり易くする軌道経路248を画定している。1つの実施形態では、
図23に示されている様に、経路248は形状が弧状である。経路248は横軸限界250及び斜方軸限界252を含んでいる。限界250、252は、ここに論じられている様にケージ212に対する並進運動範囲を提供する。
【0053】
[0083]システム10は実質的に四角形構成を有する板260を含んでいる。板260は、椎骨レベルV1に係合するように構成されている部分262と、椎骨レベルV2に係合するように構成されている部分264と、を含んでいる。板260は軌道係合面266及び器械係合面268を含んでいる。面266は経路248に沿った並進運動をやり易くする接続メカニズム290に係合するように構成されている開口部267を画定している。面268は、システム10の挿入をやり易くする挿入器(図示せず)に係合するように構成されている。
図23の平面図に示されている様に、面266、268は、板260がケージ212の縁244に整合するように形状が弧状をしていてもよい。
【0054】
[0084]板260はここに説明されている締結具42を受け入れるように構成されている開口部272を画定する内面270を含んでいる。開口部272は面266と面268の間を延びている。締結具42a(図示せず)は椎骨レベルV1と一体に固定されるように構成されており、締結具42bは椎骨レベルV2と一体に固定されるように構成されている。1つの実施形態では、締結具42は直線的な配置方向で椎骨に係合するように整列される。幾つかの実施形態では、締結具42は角度の付けられた配置方向で椎骨に係合するように構成されている。
【0055】
[0085]板260は第1面276及び第2面278を含んでいる。面276、278は端280と端282の間を延びている。板260は、患者身体の軸L2周りに経路248の周りを
図23に矢印Dで示されている様に並進運動可能であり、ケージ212の斜方軸O2周りに面244の周りを回転可能である。ここでの使用に際し、「斜方軸」O2(例え
ば
図23中の要素O2参照)という用語は、斜方面の横軸限界250と斜方軸限界252の間の何処かから外向きに延びる何れの軸をも含み得る。
【0056】
[0086]
図23に示されている様に、接続メカニズム290は、細長柱部294を有するボルト292を含んでいる。ボルト292は軌道246に沿って並進運動するように構成されている。柱部294は板260の開口部267に係合するように構成されている。ナット296がボルト292を板260と一体にロックして軌道246に沿ったボルト292の並進運動が板260をケージ212の面244に沿って並進運動させるように構成されている。ナット296及びボルト292の配置は様々な実施形態では必要に応じ入れ換えられてもよいものと理解されたい。
【0057】
[0087]1つの実施形態では、
図23に示されている様に、板260の回転及び位置決め前に、板260は軌道246に沿ってケージ212に対して或る位置へ並進運動させられる。板260は、板260のケージ212に対する適正な位置決めを実現し易くするように横軸限界250と斜方軸限界252の間で並進運動させられる。板260は、
図24に矢印Eで示されている様に、部分262がV1に係合するように向きを定められ部分264が椎骨V2に係合するように向きを定められるような位置へ回される。板260の現場での回転は、挿入時のケージ212及び板260の低プロファイル構成のおかげで挿入をやり易くする。板260の並進運動及び回転は板260の選択的操作を可能にさせ、椎骨との適正な嵌まり合いをやり易くする。
【0058】
[0088]
図26−
図27に示されている1つの実施形態では、ここに説明されているシステム及び方法と同様のシステム10は、以上に説明されているケージ12と同様のケージ312及び以上に説明されている板60と同様の板360を含む脊椎構築物を備えている。ケージ312は第1椎骨係合面318及び第2椎骨係合面320を含んでいる。面318は、実質的に平面状であり、
図27に示されている様にV1椎骨レベルの終板組織E1に係合するように構成されている。面320は、
図27に示されている様にV2椎骨レベルの終板組織E2に係合するように構成されている。
図26−
図27の実施形態は、L5−S1レベルの腰椎−仙骨固定術(ここに
図27のV2は仙骨を指す)に特に有用であることに注目されたい。
【0059】
[0089]ケージ312は実質的に四角形の断面構成及び外面325を有していてもよい。外面325は軌道346を画定している弧状斜方面344を含んでいる。軌道346は面344と開放連通にあって、板360との係合及び板360の並進運動をやり易くする軌道経路348を画定している。
【0060】
[0090]
図26に示されている様に、板360は実質的に三角形の構成を含んでいる。板360は、椎骨レベルV1に係合するように構成されている部分362と、椎骨レベルV2に係合するように構成されている部分364と、を含んでいる。板360は軌道係合面366と器械係合面368を含んでいる。ケージ312及び板360はここに論じられている様に接続メカニズム390と接続するように構成されている。板360は、示されていない締結具42を受け入れるように構成されている開口部372を画定する内面370を含んでいる。1つの実施形態では、開口部372は、椎骨との係合をやり易くするように板360に対して大凡30度の角度に配置されている。
【0061】
[0091]1つの実施形態では、
図27に示されている様に、板360の回転及び位置決め前に、板360は軌道346に沿ってケージ312に対して或る位置へ並進運動させられる。板360は、板360のケージ312に対する選択的位置決めを実現し易くするように横軸限界350と斜方軸限界352の間で並進運動させられる。板360は、
図24に矢印Fで示されている様に、部分362がV1に係合するように向きを定められ部分36
4が椎骨V2に係合するように向きを定められるような位置へ回される。板360の現場での回転は、挿入時のケージ312及び板360の低プロファイル構成のおかげで挿入をやり易くする。板360の並進運動及び回転は板360の選択的操作を可能にさせ、板360の椎骨との適合化をやり易くする。
【0062】
[0092]
図28A−
図28Dに示されている1つの実施形態では、ここに説明されているシステム及び方法と同様のシステム10は、以上に説明されているケージ12と同様のケージ412及び以上に説明されている板60と同様の板460を含む脊椎構築物を備えている。
図28A−
図28Dに示されている様に、システム10は、ケージ412、412’及び板460、460’を有する多レベルシステムを含んでいる。ケージ412、412’は後方面414、414’と前方面416、416’の間を延びている。ケージ412、412’は第1椎骨係合面418、418’及び第2椎骨係合面420、420’を含んでいる。面418、418’8は、実質的に平面状であり、終板E1、E3に係合するように構成されている。面420、420’は終板E2、E4に係合するように構成されている。
【0063】
[0093]ケージ412、412’は、軌道446、446’を画定している斜方面444、444’を有する外面425、425’を含んでいる。軌道446、446’は面444、444’と開放連通にあって、板460、460’との係合及び板460、460’の並進運動をやり易くする軌道経路448、448’を画定している。
図28A−
図28Dに示されている様に、板460、460’は、椎骨レベルV1、V2に係合するように構成されている部分462、462’と、第2の椎骨レベルV2、V3に係合するように構成されている部分464、464’と、を含んでいる。板460、460’は軌道係合面466、466’及び器械係合面468、468’を含んでいる。面466、466’は、板460、460’の経路448、448’に沿った並進運動及び回転をやり易くする接続メカニズム490、490’に係合するように構成されている開口部467、467’を画定している。
【0064】
[0094]板460、460’はここに説明されている締結具42を受け入れるように構成されている開口部472、472’を画定する内面470、470’を含んでいる。締結具42a(図示せず)は椎骨レベルV1、V2と一体に固定されるように構成されており、締結具42bは椎骨レベルV2、V3と一体に固定されるように構成されている。
【0065】
[0095]1つの実施形態では、
図28A−
図28Dに示されている様に、板460、460’の回転及び位置決め前に、板460、460’は軌道446に沿ってケージ412に対して或る位置へ並進運動させられる。板460、460’は、板460、460’のケージ412、412’に対する選択的位置決めを実現し易くするように横軸限界450、450’と斜方軸限界452、452’の間で並進運動させられる。板460、460’は椎骨に係合する位置へ回される。板460、460’の現場での回転は、挿入時のケージ412、412’及び板460、460’の低プロファイル構成のおかげで挿入をやり易くする。板460、460’の並進運動及び回転は板460、460’の選択的操作を可能にさせ、板460、460’の椎骨との適合化をやり易くする。
【0066】
[0096]
図28A−
図28Dに示されている様に、板460、460’は、板504を受け入れるように構成されているねじの切られた柱部502、502’を含んでいる。1つの実施形態では、柱部502、502’は、板504との係合をやり易くする多軸枢動を有している。板504は係合面506及び内面508を含んでいる。面506は、板460、460’に係合するように構成されている。幾つかの実施形態では、面506の全部又は一部分のみが、例えば滑らか及び/又は組織との固定を強化する面構成であって例えば粗い、弧状、波状、有孔、半有孔、凹み付き、磨かれている、及び/又は肌理のある、などの面構成、の様な代わりの面構成を有していてもよい。面508は柱部502、502’を受け入れるように構成されている開口部510を画定している。1つの実施形態では、開口部510は板504を柱部502、502’の上から位置決めするのをやり易くするように細長である。板504を板460、460’との固定された位置にロックするためにロック用ナット512、512’が提供されている。板504は、椎骨Vと係合したときのシステム10へ安定性を提供するように構成されている。
【0067】
[0097]
図29−
図32に示されている1つの実施形態では、ここに説明されているシステム及び方法と同様のシステム10は、以上に説明されているケージ12と同様のケージ612及び以上に説明されている板60と同様の板660を含む脊椎構築物を備えている。
図29に示されている様に、システム10は2つの板660、660’を含んでいる。ケージ612は後方面614と前方面616の間を延びている。ケージ612は第1椎骨係合面618及び第2椎骨係合面620を含んでいる。面618は、実質的に平面状であり、例えば
図30に示されている様にV1椎骨レベルの終板E1の様な椎体の終板組織に係合するように構成されている。面620は、例えば
図30に示されている様にV2椎骨レベルの終板E2の様な椎体の終板組織に係合するように構成されている。
【0068】
[0098]ケージ612は、実質的に四角形の断面構成を有していて、外面625を含んでいる。外面625は軌道646を画定している弧状斜方面644を含んでいる。軌道646は面644と開放連通にあって、板660、660’の並進運動及び回転をやり易くする軌道経路648を画定している。経路648は横軸限界650と斜方軸限界652を含んでいる。限界650、652は並進運動範囲を提供する。
【0069】
[0099]
図29に示されている様に、システム10は実質的に四角形の構成をそれぞれ有する第1板660と第2板660’を含んでいる。板660、660’は、椎骨レベルV1に係合するように構成されている部分662、662’と、椎骨レベルV2に係合するように構成されている部分664、664’と、を含んでいる。板660、660’は軌道係合面666、666’及び器械係合面668、668’を含んでいる。面666、666’は、経路648に沿った並進運動をやり易くする接続メカニズム690(隠れている)に係合するように構成されている開口部667、667’を画定している。面666、666’は、板660、660’が椎骨と一体に十字に位置決めされる際に入れ子構成になって互いに係合するように構成されている窪み700、700’を画定している。
【0070】
[0100]板660、660’は、ここに説明されている締結具42を受け入れるように構成されている開口部672、672’を画定する内面670、670’を含んでいる。締結具42aは椎骨レベルV1と一体に固定されるように構成されており、締結具42bは椎骨レベルV2と一体に固定されるように構成されている。
【0071】
[0101]板660、660’は第1面676、676’及び第2面678、678’を含んでいる。挿入に際し、板660、660’は、
図31A、
図31B及び
図32A、
図32Bに示されている様に、面676、676’と面678、678’が平行な向きになって低又はゼロプロファイル板構成を形成するような具合に折り畳まれる。挿入されると、板660、660’は、面676、676’及び面678、678’が椎骨V1、V2に係合するべく横断方向の向きに位置決めされるように回される。面676、676’は、面676、676’及び面678、678’が(例えば
図32A−
図32Bに示されている様に)椎骨V1、V2に係合するよう横断方向の向きに位置決めされたときにその場にロックされるように相互作用する及び/又は入れ子になるロック用溝700、700’を画定していてもよい。
【0072】
[0102]1つの実施形態では、
図29に示されている様に、板660、660’の回転及
び位置決め前に、板660、660’は軌道646に沿ってケージ612に対して或る位置へ並進運動させられる。板660、660’は、板660、660’のケージ612に対する選択的位置決めを実現し易くするように横軸限界650、650’と斜方軸限界652、652’の間で並進運動させられる。板660、660’は椎骨に係合する位置へ回される。板660、660’の現場での回転は、挿入時のケージ612’及び板660,660’の低プロファイル構成のおかげで挿入をやり易くする。板660、660’の並進運動及び回転は板660、660’の選択的操作を可能にさせ、板660、660’の椎骨との適合化をやり易くする。
【0073】
[0103]ここに開示されている実施形態に対し様々な修正がなされ得るものと理解しておきたい。従って、以上の説明は、限定としてではなく、単に様々な実施形態の例示と解釈されるべきである。当業者には、ここに付随の特許請求の範囲による範囲と精神の内にある他の修正が想起されるであろう。