特許第6921236号(P6921236)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6921236
(24)【登録日】2021年7月29日
(45)【発行日】2021年8月18日
(54)【発明の名称】分散型音響センシング
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/353 20060101AFI20210805BHJP
   G01B 11/16 20060101ALI20210805BHJP
【FI】
   G01D5/353 B
   G01B11/16 G
【請求項の数】13
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2019-560464(P2019-560464)
(86)(22)【出願日】2018年1月12日
(65)【公表番号】特表2020-508467(P2020-508467A)
(43)【公表日】2020年3月19日
(86)【国際出願番号】EP2018050793
(87)【国際公開番号】WO2018134137
(87)【国際公開日】20180726
【審査請求日】2020年11月9日
(31)【優先権主張番号】1700994.5
(32)【優先日】2017年1月20日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519263660
【氏名又は名称】フォーカス センサーズ リミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】アルフレッド デンジル オースティン,エドワード
(72)【発明者】
【氏名】チョウ,ウェイゾン
【審査官】 吉田 久
(56)【参考文献】
【文献】 特表2007−535674(JP,A)
【文献】 特開平2−242237(JP,A)
【文献】 特開2011−27649(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/021689(WO,A1)
【文献】 特開平4−177190(JP,A)
【文献】 特開平10−82858(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/26−5/38
G01B 11/16
G02B 6/00
G01S 13/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
nが2以上のパルスの個数であるとして、n個のタイムアライメントされた光学プローブパルスの組を生成し、各パルスがf、f、・・・、fから選択された相異なる光学周波数にあり、各光学周波数がその隣からΔfだけ間隔をあけられている、よう構成されるソースジェネレータであり、前記光学プローブパルスを光感知ファイバ内に伝えるよう構成され、前記光学プローブパルスが前記光感知ファイバによって後方散乱され、該後方散乱された光の少なくとも一部が前記光学プローブパルスの伝播方向とは逆方向で前記光感知ファイバによって捕捉される、前記ソースジェネレータと、
前記光感知ファイバから前記後方散乱された光を受けるよう構成される受光システムであり、fがΔfよりも小さい所定の周波数であるとして、前記後方散乱された光を遅延させたものを、前記後方散乱された光の周波数を−(Δf+f)だけシフトさせた少なくとも1つの周波数シフトされたものと混合するよう構成される前記受光システムと
を有する光感知システム。
【請求項2】
前記光感知ファイバは、少なくとも1つの感知領域で起こる変化に対する当該システムの感度を高めるよう適応される前記少なくとも1つの感知領域を有する、
請求項1に記載の光感知システム。
【請求項3】
検出される振幅が、前記光感知ファイバ沿いのひずみ変化の指標となるよう復号される、
請求項1に記載の光感知システム。
【請求項4】
Δf=v/Tであり、Tは光学観測時間であり、vは任意の非ゼロの整数である、
請求項1に記載の光感知システム。
【請求項5】
Δf=(1+2w)/(2・T)及び/又は(1+2v)/(2・T)であり、w及びvは任意の整数であり、Tは光信号観測時間であり、Tは後方散乱遅延時間である、
請求項1に記載の光感知システム。
【請求項6】
Δfはおよそ100MHz〜600MHzである、
請求項1乃至5のうちいずれか一項に記載の光感知システム。
【請求項7】
nは50以上である、
請求項1乃至6のうちいずれか一項に記載の光感知システム。
【請求項8】
光感知ファイバにおけるひずみを検出する方法であって、
nが2以上のパルスの個数であるとして、n個のタイムアライメントされた光学プローブパルスの組を生成するステップであり、各パルスがf、f、・・・、fから選択された相異なる光学周波数にあり、各光学周波数がその隣からΔfだけ間隔をあけられている、前記生成するステップと、
前記光学プローブパルスを光感知ファイバ内に伝えるステップであり、前記光学プローブパルスが前記光感知ファイバによって後方散乱され、該後方散乱された光の少なくとも一部が前記光学プローブパルスの伝播方向とは逆方向で前記光感知ファイバによって捕捉される、前記伝えるステップと、
前記光感知ファイバから前記後方散乱された光を受けるステップであり、受光システムが前記光感知ファイバから前記後方散乱された光を受けるよう構成され、fがΔfよりも小さい所定の周波数であるとして、前記受光システムが、前記後方散乱された光を遅延させたものを、前記後方散乱された光の周波数を−(Δf+f)だけシフトさせた少なくとも1つの周波数シフトされたものと混合するよう構成される、前記受けるステップと、
検出される振幅の変化と、該振幅の変化を示すサンプルの時間とに基づき、前記光感知ファイバ沿いの位置での位相変化を決定するステップと
を有する方法。
【請求項9】
Δf=(1+2v)/T及び/又はΔf=(1+2w)/Tであり、Tは光学観測時間であり、Tは後方散乱遅延時間であり、v及びwは整数である、
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記光学プローブパルスの組は、ソース光信号の組の変調によって生成され、各ソース光信号は、f、f、・・・、fから選択された相異なる光学周波数にある、
請求項8に記載の方法。
【請求項11】
各光学プローブパルスの偏光は、隣接する光学周波数にある光学プローブパルスの偏光とは異なる、
請求項8乃至10のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
隣接する光学プローブパルスの偏光は直交しない、
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
Δfは100MHzから600MHzの間である、
請求項8乃至10のうちいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、光センサ、特に、光ファイバに基づくセンサを利用した分散型音響センシングに関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバに基づくセンサは、ファイバにおけるひずみの変化により音響信号を含む様々なパラメータを検出するために知られている。システムは、離散的な又は分散されたセンサを利用するものと広く特徴付けられ得る。離散的なセンサは、通常は、必要とされるセンサ位置で光ファイバ内に光共振器(optical cavity)を位置付ける。ファイバひずみの変化は、光共振器の物理長さの変化を引き起こし、よって、共振器の光学位相長さが、共振器を伝播する光信号に対して変化する。光共振器からの出力信号の検出は、位相長さの変化が推測されることを可能にし、従って、関心のあるパラメータが検出される。多数の感知位置が、夫々のファイバによって、複数の位置からの同時の測定を可能にするよう設けられ得る。離散的なセンサの欠点は、センサのポジション及びゲージ長さが固定されており、よって、柔軟性が低いことである。そのようなセンサの一般的な適用は、地震の発生を検出するために海底にあり、従って、特定の感知位置を変更するようセンサを再配置することは実際的ではない。
【0003】
分散型光センサは、定義されたゲージ長さ又はセンサポジションを有さないが、ファイバの長さに沿った位相変化を推測するために戻り信号の解析を使用し、従って、(通常は音響)信号を検出する。例えば、レイリー後方散乱が戻り信号として使用され得る。
【0004】
図1は、分散型音響センサ(Distributed Acoustic Sensor)(DAS)として一般的に知られている従来の分散型光センサの概略図を示す。インタロゲータ10は、プローブ光パルス11を測定ファイバ12の第1端に投ずる。測定ファイバ12は、感知が必要とされるエリアに置かれている。光センサの利点は、光ファイバの低損失により、感知位置とは異なる位置にインタロゲータを位置付ける能力である。従って、インタロゲータ10から測定が行われない測定領域への引き込みを提供するよう測定ファイバ12の長さは十分にある。
【0005】
パルス11が光ファイバを通って伝播するにつれて、光の一部は、光ファイバ内の散乱部で散乱される。その散乱された光の部分は、光ファイバの開口数(numerical aperture)によって捕捉され、インタロゲータ10の方へ戻る。関心のある主な散乱メカニズムは、散乱部(“散乱体”)との弾性衝突により伝播光と同じ周波数での後方散乱をもたらすレイリー散乱である。
【0006】
インタロゲータで、後方散乱パルス14が受け取られる。インタロゲータに到着する時間は、インタロゲータからファイバ沿いの点までの往復距離に比例する。パルスは、距離が長くなるにつれて、損失の増大により、時間とともに減衰する。特定の時点でパルス14をサンプリングすることによって、ファイバ沿いの特定の位置からの後方散乱は決定され得る。光ファイバの乱れは、(微小レベルで)その物理構造及び伝播光の速度に影響を及ぼし、よって、後方散乱パルス14に影響を及ぼす。そのような変化は、ファイバに支障を来す信号を推測するために使用され得る。典型的なDASは、1〜40kmのファイバに沿って1〜20mの分解能を有し得る。
【0007】
典型的なシステムでは、プローブパルスは10nsコヒーレントパルスであることができ、典型的な光ファイバは、およそ2mの物理長さを有する。
【0008】
図2は、典型的なインタロゲータ10の概略図を示す。送信器20は、プローブパルスを放出し、受信器21は、後方散乱パルスを検出する光センサ及びサンプリングシステムを有する。光サーキュレータ22は、送信器20からのプローブパルスを測定ファイバ12内に結合し且つ戻り後方散乱パルスを受信器21へ結合する。
【0009】
構成可能なゲージ長さ及びセンサ位置の利点にも関わらず、分散型光センサは有意な欠点を抱えている。それらの感度は、戻り信号が、強く定義された反射体ではなく、弱散乱イベントに依存するということで、離散的なセンサよりもずっと低い。このような感度の不足は、ひずみを決定し、ひいては、音響又は他のパラメータを検出するための感度が不十分であるほどであり得る。システムは、戻り後方散乱振幅に対する交差感受性(cross-sensitivity)を有し、位相測定、ひいては、測定されたひずみの非線形性及びゆがみをもたらす可能性がある。
【0010】
後方散乱は、多数の散乱体から起こり、各散乱体からの散乱光は、後方散乱パルスを形成するようコヒーレント加算される。散乱体の位置はランダムであるから、この加算は破壊的であって、戻り信号をもたらさない可能性がある。更には、散乱体の位置は、時間とともに変化して加算の変化をもたらし、よって、時間とともに信号のフェーディングを引き起こす可能性がある。フェーディングは、複屈折効果からも起こり得る。
【0011】
従って、改善された分散型光センサシステムが必要とされる。以下で記載される実施形態は、既知のシステムの欠点のいずれか又は全てを解決する実施に限られない。
【発明の概要】
【0012】
この概要は、詳細な説明において以下で更に記載される概念の選ばれた部分を簡単に紹介するために与えられている。この概要は、請求対象の重要な特徴又は必須の特徴を特定するよう意図されず、更には、請求対象の適用範囲を決定する助けとして使用される意図もない。
【0013】
光感知システムのための光学ソースジェネレータが提供される。当該光学ソースジェネレータは、nがパルスの個数であるとして、各パルスがf、f、・・・、fから選択された相異なる光学周波数にあり、各光学周波数がその隣からΔfだけ間隔をあけられている、n個のタイムアライメントされた光学プローブパルスの組と、fが所定の周波数であり、nが2以上であるとして、各光参照信号がf−(Δf+f)、f−(Δf+f)、・・・f−(Δf+f)から選択された相異なる光学周波数にあるn個の光参照信号の組とを生成するよう構成される。
【0014】
前記光学プローブパルスの組は、ソース光信号の組の変調によって生成され得る。各ソース光信号は、f−(Δf+f)、f−(Δf+f)、・・・f−(Δf+f)から選択された相異なる光学周波数にある。
【0015】
前記ソース光信号は、(Δf+f)の周波数で前記パルスの周期中に駆動される音響光学変調器によって変調され得る。
【0016】
各光学プローブパルス及び各光参照信号の偏光は、隣接する光学周波数にある光学プローブパルス及び光参照信号の偏光とは夫々異なることができる。
【0017】
隣接する光学プローブパルス及び光参照信号の偏光は非直交であることができる。
【0018】
例として、Δf=(2v+1)/(2・T)であり、vは何らかの正の整数であり、Tは光学観測時間である。
【0019】
例として、Δf=1/(2・T)である。
【0020】
Δfはおよそ100MHz〜600MHzであることができる。
【0021】
前記光参照信号はCW信号であることができる。
【0022】
nは50以上であることができる。
【0023】
更には、1本の光感知ファイバと、上記の光学ソースジェネレータと、受光システムとを有し、前記光学プローブパルスが、前記光感知ファイバ内に結合され、前記光学プローブパルスが伝えられる方向とは逆方向で前記光感知ファイバから戻るパルスが、前記受光システム内に結合され、前記光参照信号が、前記光感知ファイバを通らずに前記受光システム内に結合される、光感知システムも提供される。
【0024】
前記受光システムは、前記光感知ファイバから戻るパルスを前記光参照信号と混合し、結果として得られる混合信号を検出するよう構成され得る。
【0025】
前記光感知ファイバは、少なくとも1つの感知領域で起こる変化に対する当該システムの感度を高めるよう適応される前記少なくとも1つの感知領域を有することができる。
【0026】
nが2以上のパルスの個数であるとして、n個のタイムアライメントされた光学プローブパルスの組を生成し、各パルスがf、f、・・・、fから選択された相異なる光学周波数にあり、各光学周波数がその隣からΔfだけ間隔をあけられている、よう構成されるソースジェネレータであり、前記光学プローブパルスを光感知ファイバ内に伝えるよう構成され、前記光学プローブパルスが前記光感知ファイバによって後方散乱され、該後方散乱された光の少なくとも一部が前記光学プローブパルスの伝播方向とは逆方向で前記光感知ファイバによって捕捉される、前記ソースジェネレータと、前記光感知ファイバから前記後方散乱された光を受けるよう構成される受光システムであり、fがΔfよりも小さい所定の周波数であるとして、前記後方散乱された光を遅延させたものを、前記後方散乱された光の周波数を−(Δf+f)だけシフトさせた少なくとも1つの周波数シフトされたものと混合するよう構成される前記受光システムとを有する光感知システムが提供される。
【0027】
更には、nが2以上のパルスの個数であるとして、n個のタイムアライメントされた光学プローブパルスの組を生成し、各パルスがf、f、・・・、fから選択された相異なる光学周波数にあり、各光学周波数がその隣からΔfだけ間隔をあけられている、よう構成されるソースジェネレータであり、前記光学プローブパルスを光感知ファイバ内に伝えるよう構成され、前記光学プローブパルスが前記光感知ファイバによって後方散乱され、該後方散乱された光の少なくとも一部が前記光学プローブパルスの伝播方向とは逆方向で前記光感知ファイバによって捕捉される、前記ソースジェネレータと、前記光感知ファイバから前記後方散乱された光を受けるよう構成される受光システムであり、前記後方散乱された光の振幅を検出するよう構成される前記受光システムとを有する光感知システムも提供される。
【0028】
前記光感知ファイバは、少なくとも1つの感知領域で起こる変化に対する当該システムの感度を高めるよう適応される前記少なくとも1つの感知領域を有することができる。
【0029】
前記検出された振幅は、前記光感知ファイバ沿いのひずみ変化の指標となるよう復号され得る。
【0030】
例として、Δf=v/Tであり、Tは光学観測時間であり、vは何らかの非ゼロの整数である。
【0031】
例として、Δf=(1+2w)/(2・T)及び/又は(1+2v)/(2・T)であり、w及びvは何らかの整数であり、Tは光信号観測時間であり、Tは後方散乱遅延時間である。
【0032】
Δfはおよそ100MHz〜600MHzであることができる。
【0033】
nは50以上であることができる。
【0034】
光感知ファイバにおけるひずみを検出する方法が提供される。当該方法は、nが2以上のパルスの個数であるとして、n個のタイムアライメントされた光学プローブパルスの組を生成するステップであり、各パルスがf、f、・・・、fから選択された相異なる光学周波数にあり、各光学周波数がその隣からΔfだけ間隔をあけられている、前記生成するステップと、前記光学プローブパルスを光感知ファイバ内に伝えるステップであり、前記光学プローブパルスが前記光感知ファイバによって後方散乱され、該後方散乱された光の少なくとも一部が前記光学プローブパルスの伝播方向とは逆方向で前記光感知ファイバによって捕捉される、前記伝えるステップと、前記光感知ファイバから前記後方散乱された光を受けるステップと、前記後方散乱された光の振幅を検出するステップと、前記検出された振幅の変化と、該振幅の変化を示すサンプルの時間とに基づき、前記光感知ファイバ沿いの位置での位相変化を決定するステップとを有する。
【0035】
例として、Δf=v/Tであり、Tは光学観測時間であり、vwは非ゼロの整数である。
【0036】
各光学プローブパルスの偏光は、隣接する光学周波数にある光学プローブパルスの偏光とは異なることができる。
【0037】
隣接する光学プローブパルスの偏光は非直交であることができる。
【0038】
更には、光感知ファイバにおけるひずみを検出する方法であって、nが2以上のパルスの個数であるとして、n個のタイムアライメントされた光学プローブパルスの組を生成するステップであり、各パルスがf、f、・・・、fから選択された相異なる光学周波数にあり、各光学周波数がその隣からΔfだけ間隔をあけられている、前記生成するステップと、前記光学プローブパルスを光感知ファイバ内に伝えるステップであり、前記光学プローブパルスが前記光感知ファイバによって後方散乱され、該後方散乱された光の少なくとも一部が前記光学プローブパルスの伝播方向とは逆方向で前記光感知ファイバによって捕捉される、前記伝えるステップと、前記光感知ファイバから前記後方散乱された光を受けるステップであり、受光システムが前記光感知ファイバから前記後方散乱された光を受けるよう構成され、fがΔfよりも小さい所定の周波数であるとして、前記受光システムが、前記後方散乱された光を遅延させたものを、前記後方散乱された光の周波数を−(Δf+f)だけシフトさせた少なくとも1つの周波数シフトされたものと混合するよう構成される、前記受けるステップと、検出される振幅の変化と、該振幅の変化を示すサンプルの時間とに基づき、前記光感知ファイバ沿いの位置での位相変化を決定するステップとを有する方法も提供される。
【0039】
例として、Δf=(1+2v)/T及び/又はΔf=(1+2w)/Tであり、Tは光学観測時間であり、Tは後方散乱遅延時間であり、v及びwは整数である。
【0040】
前記光学プローブパルスの組は、ソース光信号の組の変調によって生成され得る。各ソース光信号は、f、f、・・・、fから選択された相異なる光学周波数にある。
【0041】
各光学プローブパルスの偏光は、隣接する光学周波数にある光学プローブパルスの偏光とは異なることができる。
【0042】
隣接する光学プローブパルスの偏光は非直交であることができる。
【0043】
例として、Δfは100MHzから600MHzの間である。
【0044】
光感知方法も提供される。当該方法は、nがパルスの個数であるとして、各パルスがf、f、・・・、fから選択された相異なる光学周波数にあり、各光学周波数がその隣からΔfだけ間隔をあけられている、n個のタイムアライメントされた光学プローブパルスの組と、fが所定の周波数であり、nが2以上であるとして、各光参照信号がf−(Δf+f)、f−(Δf+f)、・・・f−(Δf+f)から選択された相異なる光学周波数にあるn個の光参照信号の組とを生成するステップと、前記光学プローブパルスを光感知ファイバ内に伝えるステップと、前記光参照信号を、前記光感知ファイバから戻る後方散乱された光と光学的に混合するステップと、前記混合された光信号を検出するステップと、前記光感知ファイバにおけるひずみ変化を決定するよう前記検出された信号を復号するステップとを有する。
【0045】
前記光学プローブパルスの組は、ソース光信号の組の変調によって生成され得る。各ソース光信号は、f−(Δf+f)、f−(Δf+f)、・・・f−(Δf+f)から選択された相異なる光学周波数にある。
【0046】
各光学プローブパルス及び各光参照信号の偏光は、隣接する光学周波数にある光学プローブパルス及び光参照信号の偏光とは夫々異なることができる。
【0047】
隣接する光学プローブパルス及び光参照信号の偏光は非直交であることができる。
【0048】
例として、Δf=(1+2v)/(2・T)であり、Tは光学観測期間であり、vは整数である。
【0049】
例として、Δfは100MHzから600MHzの間である。
【0050】
nが周波数の個数であるとして、相異なる光学周波数f、f、・・・、fで複数の光信号を生成する光学ソースジェネレータも提供される。各光学周波数は、その隣からΔfだけ間隔をあけられている。当該光学ソースジェネレータは、第1の相異なる光学周波数で光シード信号を生成する光源と、光学ループとを有し、前記光学ループは、周波数ΔfでRF信号によってCWモードにおいて駆動される音響光学変調器と、前記光学ループ内の光損失を補償するよう構成される光増幅器と、光学周波数f、f、・・・、fを通すよう定義された光学通過帯域を有する光学バンドパスフィルタと、前記光シード信号を受け、該光シード信号を前記光学ループ内に結合するよう構成される光入力カプラと、前記光学ループから光出力部へ前記光学ループを回って伝播する光の部分を結合するよう構成される光出力カプラとを有する。
【0051】
例として、Δf=(1+2v)/(2・T)であり、vは整数であり、Tは光学観測期間である。
【0052】
例として、Δf=1/(2/T)であり、Tは光学観測期間である。
【0053】
例として、Δf=(2v+1)/(2・T)及び/又はΔf=(2w+1)/(2・T)であり、v及びwは整数であり、Tは光学観測期間であり、Tは光センサユニットの後方散乱遅延である。
【0054】
例として、Δf=v/Tであり、bは非ゼロの整数であり、Tは光学観測期間である。
【0055】
Δfは100MHzから600MHzの間であることができる。
【0056】
一例として、nは50以上であることができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
本発明の実施形態は、例として、次の図面を参照して記載される。
図1】光感知システムの概略図を示す。
図2】光感知システムの概略図を示す。
図3】光感知ファイバに投入されるパルス及び光感知ファイバから後方散乱されるパルスの概略図を示す。
図4】プローブパルス及び参照パルスを使用した光感知を示す。
図5】光学周波数の組を例示する。
図6】後方散乱信号を示す。
図7】光学散乱部の概略図を示す。
図8】ある範囲の散乱部に対する光学位相のチャートを示す。
図9】光感知システム及び受信器アーキテクチャの概略図を示す。
図10】後方散乱信号と周波数シフトされた後方散乱信号との混合を使用する光感知システムの概略図を示す。
図11図10のシステムのための受信器を示す。
図12図10のシステムのための受信器を示す。
図13】例となる処理プロセスを示す。
図14】例となる処理プロセスを示す。
図15】例となる処理プロセスを示す。
図16】インターパルスコヒーレントフェーディングに関して散乱成分を示す。
図17】偏光成分を示す。
図18図10のシステムのための受信器の例を示す。
図19図10のシステムのための受信器の例を示す。
図20図10のシステムのための受信器の例を示す。
図21図10のシステムのための受信器の例を示す。
図22】例となる光源を示す。
図23】例となる光源を示す。
図24】例となる光源を示す。
図25】例となる光源を示す。
図26】例となる光源を示す。
図27】例となる光源を示す。
図28】例となる光源を示す。
図29】例となる光源を示す。
図30】オフセットパルスを使用するシステムを示す。
図31】複数の受信器を使用する感知システムを示す。
図32】複数の受信器を使用する感知システムを示す。
図33】直接検出を使用するシステムを示す。
図34】復調アルゴリズムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0058】
本発明の更なる詳細、態様及び実施形態が、これより、単に例として、図面を参照して記載される。図中の要素は、簡単さ及び明りょうさのために表されており、必ずしも実寸通りではない。同じ参照番号が、理解を容易にするよう各々の図に含まれている。
【0059】
図3は、図1及び2と同様であるが、以下で記載されるようにプローブパルスを伝えるよう構成されるシステムにおいて、インタロゲータ10によって投入されるプローブパルス及びインタロゲータ10へ戻される後方散乱パルスの概略図を示す。
【0060】
送信器は、異なる光学周波数でプローブパルス1010、1020、10n0の組を送信する。各周波数は、その隣からΔfだけ間隔をあけられている。パルス幅はTと示されており、繰り返し周波数はTと示されている。受信器では、一連の後方散乱パルス1011、1021、10n0が、やはりΔfだけ間隔をあけて受信される。典型的なシステムでは、数百の周波数が利用され得る。T及びTは、必要とされる感知周波数及び性能を提供するよう選択される。Tはまた、ファイバの端部からの後方散乱信号と、測定ファイバの先頭でのその後のプローブパルスからの後方散乱信号との間のオーバラップを回避するよう、感知されるべき最大距離に応じて選択される。それらの戻り後方散乱信号は、以下で記載されるように、先行技術のDASシステムを改善するよう多数のシステムで使用され得る。
【0061】
図4は、図3に関連して記載されたプローブ信号を使用するシステムの概略図を示す。システムは、周波数領域反射率計(frequency domain reflectrometer)と呼ばれることがある。ソース300の出力は光カプラ301へ接続される。光カプラ301からは、1つの出力が測定ファイバへ接続され、もう1つの出力が受信器42へ接続されて参照信号を供給する。カプラ301が50:50カプラであってよく、あるいは、信号対雑音比を最適化するために、より多くの光の部分を測定ファイバ又は受信器に向けるよう選択されてよい。
【0062】
ソース300は、複数の周波数でCW光信号を生成する。CW光信号は、夫々その隣接周波数からΔfだけ間隔をあけられたf、f、・・・、fでプローブパルス1010、1020、10n0を生成するよう、音響光学変調器(Acousto-Optic Modulator)(AOM)302によって変調される。nは数百になると期待される。例えば、システムの特定の要件に応じて、nは50又は100よりも大きくなり得る。
【0063】
AOMは、媒質を通って伝播する光を回折するようRF信号を用いて光を変調し、結果として、出力光の周波数は、RF周波数によってシフトされる。AOMのためのRF周波数(fRF)は、通常は、200MHzの範囲にあり、Δfは、fRF=(Δf+f)であるように選択され得る。ここで、fは、所望のヘテロダイン周波数である。ソース300によって出力される光学周波数は、このようにして、f−(Δf+f)、f−(Δf+f)・・・f−(Δf+f)によって与えられる。fは、通常は、Δfと比べて小さく、例えば、数kHzである。fは、ホモダインシステムを前提として、ゼロであるよう選択され得る。
【0064】
は、<1/(T)であるよう選択され、よって、測定ファイバ沿いの点に対して別個のヘテロダイン搬送波を可能にすることができる。
【0065】
プローブパルス1010、1020、10n0は、光サーキュレータ2を介して測定ファイバ1に投入される前に、増幅303され、フィルタ処理304され得る。戻り後方散乱は、サーキュレータ2によって、任意に増幅器305及びフィルタ306を通って、光カプラ307へ結合される。カプラ307で、後方散乱光は、ソース300からの変調されていない光と混合され、受信器42へ向けられる。
【0066】
図5で図表として示されるように、受信器42で、f、f・・・fの後方散乱パルスは、ソースからの(カプラ301、307を介して伝えられる)、f−(Δf+f)、f−(Δf+f)・・・f−(Δf+f)のCW光信号と混合する。夫々の戻り周波数は、fのヘテロダイン周波数を生成するソースからのその隣接したより高い周波数と混合し、位相は、位相が、後方散乱を引き起こす散乱体における変化によって引き起こされた後方散乱光の位相変化によって変調される。
【0067】
発射パルスに対して遅延tを有してインタロゲータへ戻る後方散乱に対応する試験ファイバにおけるゲージ長さを考える。図6に示されるように、このゲージからの後方散乱のスナップショットは、夫々の発射パルスによってサンプリングされる。局所ソースと戻される後方散乱との間の位相差は周波数fで2πだけ増大し、よって、fの周波数で建設的及び破壊的干渉を周期的に繰り返すので、図示されるように、その後のサンプルはヘテロダイン周波数fで搬送波を確立する。時間tまでの試験ファイバ内の全体的な光学位相の変化は、この全体的な位相差を増大又は低減し、建設的又は破壊的干渉が起こる時点を変化させ、従って、搬送波で位相変調を引き起こす。このようにして、シフトf(φ(t))に対するヘテロダイン搬送波の位相は、tに対応するファイバ沿いの距離までの試験ファイバにおける積分されたひずみ変化の指標である。ゲージ長さ(すなわち、時間Δtの間に移動されるファイバの長さ)内の位相変化を計算するよう、我々はφ(t)−φ(t−Δt)を計算する。
【0068】
上述されたように、後方散乱された光は、複数の散乱体からコヒーレント加算され、よって、測定され得る戻り信号が存在しないように破壊的に足し合わされる可能性がある。以下で詳細に説明されるように、相異なる周波数にある多数のプローブパルスの使用は、破壊的加算が起こる可能性を下げ得る。
【0069】
コヒーレントフェーディングは、複数の散乱体からの散乱が光検出器で全く又はほとんど後方散乱信号を生成しないよう重ね合う場合に起こる。後方散乱がファイバのある区間から受け取られない場合に、測定は行われ得ず、あるいは、SNRは低減される。この効果は、明らかに好ましくない。
【0070】
図7は、左から右へ伝わるプローブ光70、及び右から左へ戻る後方散乱71とともに、測定ファイバのある区間を示す。プローブパルスは、通常は10〜100ns程度の存続期間Tを有する。後方散乱は、周期Tにわたってサンプリングされ得る。散乱体72は、Tよりも相当に短い散乱体間の平均遅延を有して、ファイバを通ってランダムに分布する。各部は反射を提供し、夫々がコヒーレント加算される。各サンプルは、ウィンドウ時間Tの間に長さTのパルスによって照射される全ての反射の重ね合わせを表す。このようにして、T+Tに対応するファイバの長さ内の散乱体は、Tの間にサンプリングされる全体的な光出力に寄与する。しかし、パルスの始まり及び終わりでの存続期間T/2に対応する散乱体は、観測時間中ずっと照射されないので無視可能である。
【0071】
図8は、散乱部pからの光学周波数qについて基準に対する光学位相φを概略的に示す。本議論のために、全ての散乱体が同じ電力で戻ると仮定される。図8は、2つの周波数1、2及び6つの散乱体1〜6を表す。図8を見て明らかなように、特定の散乱体からの夫々の周波数の位相は、予想通りに異なっており、その差は、時間(ファイバ沿いの距離)とともに増大する。基準に対する夫々の反射の時間遅延はdであり、それにより:
【数1】
【0072】
レーザはTにわたってコヒーレントであるから、夫々の散乱位相遅延内の2πの数は無視可能であり、それにより、−π<φ≦πである。従って、1つのプローブ周波数が完全にフェードされる(すなわり、戻り信号なし)ために、散乱体pごとに、−φ=φ又は
【数2】
であるように、反対の位相を有するもう1つの散乱体jが存在すべきである。
【0073】
Δfは、f及びfの光の間の位相差がT内で2π未満で変化するように選択される(すなわち、Δf<(1/T))。その場合に、f及びfの両方からの後方散乱が同時に完全に相殺することになる可能性は、更に低くなる。φが十分に小さく、φ>φである散乱体の場合に、φ=−φとなるようなjは存在し得ない。すなわち、
【数3】
【0074】
φが発振を包み込むほど十分に大きく、φ2p<φである散乱体の場合に、状況はより複雑である。両方の周波数でコヒーレントフェーディングを達成する散乱体の組は小さいことが示され得る。
【0075】
散乱体が、平均して、T内で、照射される区間Tを通して等しく分配されると仮定される場合に、平均して後方散乱は、fとfとの間の位相が時間Tにわたってπであるならば(すなわち、Δf=1/(2・T))、fでの後方散乱がほとんどフェーディングされるときに、fで強くなる。このようにして、fでは光を生成しないよう重ね合わされる、Tの早い時期と遅い時期との散乱体の対は、fでは強い光を生成するよう重ね合わされる。このようにして、適切な差分周波数を有する2つのコヒーレント周波数を使用するシステムは、コヒーレントフェーディングに広く影響され得ない。
【0076】
典型的なシステムにおいて、約4nsのTによれば、最適なΔf=1/(2・T)は125MHzである(100〜600MHzの範囲が特定の例について適切であることができる。)。いくつかの場合に、Tは、受信器でのSNRを改善するよう、相当により大きくなり得る。これは、所望の検出帯域内に入る、より低い最適なΔf値をもたらし、光ファイバ上の隣接する乱れを区別することを不可能にし得る。この場合に、Δf=(2v+1)/(2・T)の設定が使用され得る。ここで、vは、測定を可能にするように、fがフェーディングされる場合にfからの強い後方散乱を提供する可能性が高い何らかの整数である。
【0077】
実際に、Tにわたるサンプリングウィンドウは矩形でなくてもよいので、Δf及びTのいくらかの調整が、フェーディングを最小限にするために必要とされ得る。
【0078】
同じ原理は、Δf=v/Tをセットすることによって、単周波数パルスよりも、イントラパルスコヒーレントフェーディングに苦しむ可能性が高いコンポジットパルスを生成するよう反転され得る。ここで、vは、(例えば)何らかの非ゼロの整数である。これは、図33に示されるように、直接に復号されるファイバ上の各点からの後方散乱の大きさの変化をファイバひずみの変化が引き起こすところの分散型センサを構成するために、有用であり得る。本明細書で開示される他のシステムと対照的に、戻り後方散乱パルスは、(305、306での任意のフィルタリング及び増幅の後に)309で直接検出される。
【0079】
戻りパルスの振幅の変化は、このようにして決定され得るが、位相情報は取り出され得ない。位相情報がない場合に、ひずみと振幅との間の非線形な関係は復号され得ず、従って、ひずみ変化の定量的な測定は行われ得ない。しかし、システムは、ひずみが特定の位置(往復時間から決定される位置)で変化したとの指標を提供する。何らかの形の変化が起こったとの情報は、特定の用途で、特に、変化の頻度を示す時間にわたる測定と組み合わせて、有用であり得る。
【0080】
最小限のフェーディングの実施形態に戻ると、完全な相殺のために、夫々の反射からの同じ出力がファイバによって捕捉されるべきである。完全コヒーレントフェーディングの可能性は小さいが、起こる可能性がある。しかし、任意量のフェーディングが信号レベルを下げ、従って信号対雑音比を低減するので、完全なフェーディングは性能を劣化させるために求められない。
【0081】
上記の例では、2つの周波数が考えられてきたが、完全なフェーディングの可能性は、光学周波数の数を増やすことで更に下げられ得る。
【0082】
受信器では、同じ偏光での光のみが、コヒーレント加算して必要な信号を与えるために干渉する。従って、後方散乱信号とソースからの参照信号との間には、偏光アライメントが必要とされる。ファイバ及びコンポーネントにおける複屈折は、伝播する光の偏光の変化をもたらし得る。たとえ偏光が、後方散乱全体に影響を及ぼすゆっくりとした変化に適応するよう調整され得るとしても、偏光も、(例えば、夫々の後方散乱軌跡内で)適応され得るようにより急速に変化して、受信される信号の偏光フェーディングをもたらし得る。温度及びひずみは、複屈折の変動を引き起こして、温度変化、更には、測定される容易とされるひずみ変化に対する測定SNRの望ましくない交差感受性をもたらし得る。
【0083】
図9は、上記の同じ原理を使用するが、偏光フェーディングを緩和する手段を含むシステムの概略図を示す。ソース300は、上述されたように、Δfで間隔をあけられている周波数のアレイを生成するが、本例では、隣接する周波数は異なる(が直交しない)偏光を有する。図4で見られるのと同じ参照番号により図9で示されるコンポーネントは、同等の機能を提供する。複屈折が円偏光を発生させない場合に、隣接する周波数は直交し得る。
【0084】
受信器91で、ソース300からの光は、カプラ310によってカプラ311、314へ分割される。夫々のカプラ311、314の出力は検出器313、316へ接続される。測定ファイバからの後方散乱信号は、カプラ318によってカプラ311、314へ分割される。経路の1つは、方向散乱光の偏光を90°回転させる偏光コントローラ317を含む。例となる偏光コントローラ317は、残り3つの経路のいずれかにも位置付けられてよい。
【0085】
隣接する周波数成分(上述されたように受信器で干渉する。)は直交偏光されないので、複屈折がない場合に、313及び316の両方で干渉が現れることになる。ソースジェネレータがあらゆる偏光(円偏光成分を含む。)の成分を有する光を生成する限り、その場合に、たとえコンポーネント及び試験ファイバの複屈折があっても、313若しくは316又はその両方で常に干渉が現れ、測定は常に行われ得る。直線偏光及び円偏光は両方とも、ソースジェネレータによって伝えられる。複屈折は、ファイバ長さに沿ってある点で直線偏光を円偏光に変換するよう4分の1波長板(quarter wave plate)を形成することが可能である。直線偏光しか発射されない場合に、これは(円偏光に対して直線偏光をぶつけることにより)干渉を妨げ得る。直線偏光及び円偏光の両方の伝送は、この制限を回避する。
【0086】
上述されたように、図4を参照して記載されたシステムは、周波数領域反射率計として動作して、後方散乱光を直接ソースからの基準と比較する。そのようなシステムは簡単であり、高い空間分解能を有するが、欠点もある。システムは、安定したソース周波数に依存し、後方散乱期間にわたるその周波数の変化は、測定されているひずみ変化と区別できない。また、夫々のゲージ長さの測定は、特定のゲージ長さの始めまでのファイバの全長に沿った積分されたひずみと、特定のゲージ長さの終わりまでの積分されたひずみとの間の差から、決定される。例えば、ファイバに沿ったいずれかの点での、復調可能な最大瞬時周波数を超える位相変化によるいずれかの測定の誤差は、誤った測定につながる。すなわち、ファイバに沿ったいずれかの点での過度の変化は、それより長い距離での誤差をもたらす。
【0087】
図10は、図4のシステムと同様の原理を利用するが、周波数領域システムの上記のいくつかの課題を解決し得る時間領域システムの図を示す。特に、ゲージ長さを境界する2つの点の間のひずみ変化は、測定ファイバに沿った他の位置でのひずみ変化と無関係に計算される。
【0088】
ソース201はソース300に相当し、Δfで間隔をあけられているCW光学周波数(少なくとも2つであるが、通常は数百ある。)のアレイを出力する。CW出力は、変調器202によって変調される。変調器202はAOMであってよい。なお、この例では、先に利用された周波数シフトは不要であり、故に、如何なるタイプの変調も利用され得る。変調器202からのプローブパルス1010、1020、10n0は、Tの存続期間及び繰り返し周期Tを有する。プローブパルスは、サーキュレータ2によって測定ファイバ内に結合される。サーキュレータ2はまた、戻り後方散乱光を受信器208へ結合する。任意の増幅器203、205及びバンドパスフィルタ204、207は、信号対雑音比を改善するよう利用されてよい。
【0089】
ファイバ209の基準コイルは、ゼロ信号基準を供給するよう温度及び振動制御され得る。
【0090】
図11は、図10のシステム内の受信器208として使用される受信器モジュールを例示する。入力部110での入来する後方散乱は、光カプラ111によって3方向に分けられる。第1光学経路は、遅延素子213において時間Tで遅延される。第2光学経路は、光学周波数を(Δf+f)だけダウンシフトするダウンシフタ211を有し、第3光学経路内のアップシフタ212は、周波数を(Δf+f)だけシフトする。アップシフタ212及びダウンシフタ211は、周波数変調を提供するようCWモードで実行されるAOMであることができるが、振幅変調は提供しない。
【0091】
ダウンシフトされた信号及び遅延された信号は、光カプラ115で結合され、検出器214によって受信される。同様に、アップシフトされた信号及び遅延された信号は、光カプラ117で結合され、検出器215によって受信される。
【0092】
検出器214では、fk+1の遅延された後方散乱光が、fの遅延されていない(しかし、光学周波数がダウンシフトされている)後方散乱光と干渉し、fのヘテロダイン搬送波が生成される。周波数の各対は、このようにして、搬送波を形成するよう結合する。同様に、検出器215では、fk−1の遅延された後方散乱光が、fの遅延されていない(しかし、光学周波数がアップシフトされている)後方散乱光と干渉し、同じくfのヘテロダイン搬送波が生成される。生成された組み合わせは、図11の下半分で示されている。
【0093】
任意の偏光コントローラ209、210は、受信器の光学部品内の複屈折を考慮するよう含まれ得る。ダウンシフタ211又はアップシフタ212は、検出器214、215からの信号間に任意の位相差が存在するように信号の位相差を与えるよう構成され得る。これは、復号プロセスに利点をもたらし得る。
【0094】
図11の受信器システムは、測定誤差をもたらすことになる相対的な経路長の変化を回避するよう安定化される振動及び温度から分離されてよい。
【0095】
図12は、シフトされていない経路にではなく、アップシフトされた経路及びダウンシフトされた経路の両方に遅延が適用される、図11の受信器構造に代わる受信器構造を示す。図12の受信器の動作は、図11に関連して記載された通りである。
【0096】
先に説明されたように、イントラパルスフェーディングは、隣接する周波数がいずれもフェーディングされる可能性が低いようにΔf及び観測時間Tをセットすることによって、最小限にされ得る。このようにして、検出器214で現れる1011+1022がフェーディングされる場合に、1011又は1022はゼロに重なっているので、検出器215に集まる1021及び1012はフェーディングされる可能性が非常に低い。従って、信号は、検出器214又は215のいずれか一方に常にあるはずである。
【0097】
しかし、時間領域の実施形態では、遅延された後方散乱と遅延されていない後方散乱とを結合しているので、インターパルスコヒーレントフェーディングも考慮しなければならない(図16)。時間領域反射率計は、後方散乱を、更に試験ファイバに沿って遅延された後方散乱と重ね合わせるので、遅延された後方散乱及び遅延されていない後方散乱からの成分が破壊的に干渉して、光を生成しない可能性がある。この可能性は、差分周波数Δf及び遅延時間Tを最適化することによって最低限にされ得る。検出器214での組み合わせ1011+1022を考えるとする。この組み合わせが破壊的な干渉を生成する場合に、1011からの後方散乱は、Tを通して周波数fの光が受ける遅延によって可能にされる1022からの遅延された後方散乱と破壊的に加算され得る。検出器215での同等の組み合わせ1012+1021の場合に、遅延Tは周波数fの光に適用される。周波数差Δfが、Δf=1/(2・T)のようにセットされる場合に、検出器215での組み合わせ1012+1021は建設的に加算すべきである。このように、インターパルスコヒーレントフェーディングは最小限にされ得る。これまでのように、wが整数であるとして、Δf=(1+2w)/(2・T)であるやや次善の設定が必要となり得る。
【0098】
数百の周波数トーンが生成される場合に、f1、f3、f5などの組み合わせが一度に全てフェーディングすることがないように、この設定からわずかに離調することが望ましい。
【0099】
図13は、図11及び12の受信器に示されている検出器からの信号を用いて測定を行うための復調アルゴリズムを示す。この例となるアルゴリズムは、検出器214及び215で観測される搬送波間に180°位相差を配置することに基づく。それにより、2つの検出器214及び215からの信号が減算される場合に、最大搬送波信号が達成される。これは、コモンモードノイズ、例えば、アップシフタ/ダウンシフタ駆動エレクトロニクスでの周波数ノイズの影響を小さくするという利点を与える。502からの減算された信号は、分割され、1つ以上のサンプル捕捉モジュール(508、510、513、516)に入る。それらのモジュールは、試験ファイバ上の関心のある領域と一致する時点からの後方散乱(プローブパルスに対して遅延tで検出器に到着する。)を取り出し、残りを捨てる。サンプル捕捉モジュールはまた、必要に応じて、平均化又はフィルタ処理も実行してよい。fの搬送波基準に対する、サンプル捕捉モジュールに存在する信号の位相は、モジュール509、511、514及び517によって計算される。
【0100】
逆正接関数(arctan)を使用する標準的な直交位相復調モジュールの例が、図14に示されている。復調された位相は、試験ファイバ上の点での時間T内の位相の変化を表す。遅延tを有して戻る後方散乱は、感度の悪い基準ファイバに対応するので、レーザノイズは、この信号をファイバ上の他の点から復調された信号から離すことによって低減され得、最終的な位相信号512、515及び518が得られる。明らかに、最大Tr/TIまでの任意数の関心のある点qが、このようにして、更なるサンプル捕捉及び位相復調モジュールを加えることによって復調され得る。
【0101】
時間とともに、インタロゲータ内の光ファイバ、コンポーネント及びソースの位相遅延及び複屈折はゆっくりとドリフトするので、継続的な最良動作のためにシステム動作パラメータの微調整を行うことが必要である。φAOM、すなわち、受信器内のアップシフタ及びダウンシフタモジュールによって課される位相差は、検出器214及び215で逆位相f搬送波を保つよう調整される。これは、基準コイルから受け取られるコモンモード搬送波を最小限にすることによって達成される。加算ユニット503は、検出器214及び215からの光を加算する。サンプル捕捉器504は、基準コイルに関連した後方散乱を取り出す。搬送波周波数fの出力の大きさがモジュール505によって取り出される。
【0102】
上述されたように、同様の偏光の光成分のみが干渉を生成するよう重なり合う。従って、光学試験ファイバ1及び相互接続部品における複屈折は、干渉光が検出器214及び215で生成されないように図る可能性がある。これは、受信器干渉計において如何なる残留複屈折も補償するように偏光コントローラ209及び210を設定することによって解決可能である。ソースジェネレータは、隣接する光成分の周波数が45度の相対偏光を有するように設定可能であり、初期偏光は、あらゆる偏光状態の光成分がコンポジットパルスにおいて発射されるように設定される。図17に示されるように、1つの周波数成分の対について、試験ファイバの複屈折に関係なく、少なくとも1つの検出器で干渉が観測される。
【0103】
図15は、例となる搬送波振幅測定モジュールを示す。受信される搬送波の強さは、506によってローパスフィルタをかけられる。フィードバックモジュール507は、最小信号がモジュール506から出力されるようにアップシフタ及びダウンシフタによって化される位相差φAOMを調整して、搬送波が逆位相で2つの検出器において現れることを確かにする。
【0104】
図34は、検出器からの信号を別々に結合する代替の復調アルゴリズムを示す。ここで、試験ファイバ上の各点に対応する後方散乱は、検出器の夫々から別々に決定され、試験ファイバ上の関心のある各点について2つの捕捉されたサンプルストリームもたらす。捕捉されたサンプルストリームの夫々の中の搬送波の強さがその場合に決定される。組み合わせステップは、単一の位相符号化された搬送波を供給するよう、2つ(以上)の結果として現れる搬送波サンプルストリームから後方散乱を選択又は結合する。例えば、組み合わせステップは、最大搬送波振幅と一致する捕捉されたサンプルストリームを選択してよい。単一の結合された位相符号化搬送波は、次いで、試験ファイバ上の特定の点でのひずみの変化を表すよう復調される。
【0105】
要約すると、これらの配置は、多数の利点を有している:
1.成分周波数の多くの組み合わせは搬送波fに夫々寄与する。これは、次の理由により感度を改善する:
i.単周波数で発射され得る電力は、一般的に、誘導ブリルアン散乱及び他の非線形効果によって制限される。コンポジットパルスは多くの異なる周波数から成るので、本明細書で記載されるシステムによって発射され得る総出力は、単周波数システムによって発射され得た出力をはるかに上回る。これは、より高い後方散乱出力及びより良いSNRをもたらす。
ii.光検出帯域の大部分が希望信号によって占有されるので、検出SNRは、単周波数システムと比較して改善される。
iii.差動検出は、検出器に対するコモンモード信号の影響、例えば、周波数シフタノイズ、電気的干渉、及び光学ノイズの一部を除去する。
2.先に説明されたように、Δfを適切な値に設定することによって、隣接する周波数からの後方散乱がいずれもフェーディングされる可能性は小さくされ得る。異なる後方散乱の対は夫々の検出器214及び215で搬送波を形成するので、実際面では、両方の検出器からの光がいずれもフェーディングされ得ることは起こり得ない。
3.隣接する周波数を45°又はほぼ相対的な偏光状態で発射することによって、214及び215からの光は、遅延時間Tの間のソースファイバにおける複屈折に関わらず、干渉を含むべきである。複屈折が(例えば)1011からの光を1022と直交させる場合に、検出器214でその組み合わせから干渉光は生じず、その場合に、その同じ回転は、1021+1012に215で干渉光を生成させるべきである。(約Δfの周波数差の光が受ける複屈折は極めて相似である。)
4.214及び215で受信される搬送波fが任意の位相差を有することができるように、周波数シフタ211及び212によって位相差が課され得る。フィードバックシステムは、受信器オプティクスの変化を補償し、検出器214及び215で必要とされる位相差を保つために必要とされる。この位相差は、2つの方法で使用され得る。
i.フェーディングに対する最小の感受性及び最小の雑音が必要とされる場合に、180°の位相差は、214が215から取られるときに強い搬送波が形成されることを可能にし、従って、上記で詳細に説明されるように雑音を低減する。
ii.最高のダイナミックレンジが必要とされる場合に、90°の位相差は、直交検波による前のサンプルへの参照を必要とせずにファイバの各部分内のひずみ変化が復号されることを可能にする。
【0106】
代替的に、遅延されない光が、図12に示されるように、遅延及びダウンシフトされた又は遅延及びアップシフトされた光と重ね合わされ得る。
【0107】
図18は、図11及び12に関連して先に機能的に記載された時間領域受信器の物理的実装を例示する。
【0108】
受け取られた後方散乱光はカプラ210によって分割され、夫々の出力部は、光を夫々反対の方向にシステムに通す。カプラ211、221は各々の光を分割し、第1部分はバイパス経路180をたどる。バイパス経路180は、電力レベルを調整するよう任意の減衰器212を含むことができる。カプラ211、221の他方の出力部は、光をカプラ214、219の更なる対に結合する。カプラ214、219は、2つの指向性経路の間で光を分ける。光アイソレータ217、218は、各経路において必要とされる方向で伝播するように光を制限する。アイソレータは、夫々の経路において他の構成要素とともに如何なる適切な順序でも位置付けられ得る。例えば、周波数シフタ215、216又は変更コントローラ226、227からの反射を回避するよう各経路の入力端に夫々のアイソレータを位置付けることが好まれ得る。周波数シフタ215、例えば、AOMは、Δf+fだけ信号の光学周波数をアップシフトし、周波数シフタ216、例えば、AOMは、Δf+fだけ光学周波数をダウンシフトする。
【0109】
アップシフトされた光及びダウンシフトされた光は、逆方向でカプラ211、214、219、221を通って伝播し、受信器223、225で受光される。受信器223、225で、光は、バイパス経路180を通過した光とコヒーレントに混合する。
【0110】
図19は、時間領域受信器の更なる物理的実装を示す。受け取られた後方散乱光は、3×3カプラ231によって3つの成分に分けられる。1つの成分は、遅延(T/2)を有する遅延コイル232を通ってファラデーミラー233上に向けられる。カプラ231に戻る光は、このようにしてTだけ遅延されている。ファラデーミラーは、遅延コイル232における如何なる複屈折効果も緩和する。
【0111】
カプラ231からの残り2つの出力は夫々、アップシフタ238及びダウンシフタ234へ向けられる。アップシフタ238及びダウンシフタ234の夫々は、上記のAOMであってよい。アップシフトされた光及びダウンシフトされた光は、遅延された光とカプラ235、240で結合され、検出のために受信器237、242へ向けられる。任意の偏光コントローラ239、241は、遅延及びシフトされた信号の偏光のアライメントを検出器237、242で確かにするために含まれてもよい。図19の受信器は、このようにして、検出器で信号の必要とされる組み合わせを生成する。
【0112】
図20は、時間領域受信器の更なる物理的実装を示す。受け取られた後方散乱光は、カプラ250によって分割される。カプラ250の1つの出力は、カプラ251へ結合される。カプラ251は、光を遅延経路254及びダウンシフト経路に分ける。カプラ250の残りの出力は、カプラ257へ結合される。カプラ257は、光を遅延経路254及びアップシフト経路に分ける。
【0113】
ダウンシフト経路は、AOM252及びファラデーミラー253を有する。光は、ダウンシフト経路に入り、ダウンシフタ252を2回通って光学周波数がダウンシフトされ、カプラ251に戻る。AOM252は、(Δf+f)/2のRF周波数で作動し、(Δf+f)の総周波数シフトを提供する。ダウンシフトされた光は、遅延された光とカプラ251で混合され、検出器261へ送られる。検出器261で、それはコヒーレントに混合し、検出される。同様に、光は、AOM256でアップシフトされ、遅延された光と受信器259で混合し、それによって、必要とされる成分が生成される。任意の偏光コントローラ262が、受信器システムにおいて複屈折を除くために含まれてもよい。
【0114】
図21は、ただ1つの周波数シフトを利用する受信器の更なる例を示す。受け取られた後方散乱光はカプラ270へ結合され、その1つの出力は第1バイパス経路281へ接続される。カプラ270の残りの出力はAOM271へ接続され、AOM271は周波数をΔf+fだけシフトする(アップシフト又はダウンシフトのいずれか一方)。更なるカプラ272は、シフトされた光をファラデーミラー273に方向付け、ファラデーミラー273は、光をAOM271に通し、カプラ270を介して第2バイパス経路283へ反射する。カプラ272の残りの出力は、光を遅延素子274に通して、次いでカプラ275、276、277を介して検出器279、281へ結合する。検出器279で、遅延され、シフトされた光は、バイパス経路282を通るシフトも遅延もされなかった光と混合される。検出器281で、遅延され、2回シフトされた光は、一度シフトされた光と混合される。両方の検出器で、従って、1つのΔfが間に存在する成分の混合がある。任意の偏光コントローラ283及び282は、光学システムにおいて複屈折を補償するために設定される。図22は、例となる2成分周波数ソースジェネレータを示す。低周波ノイズレーザ101からの光は、カプラ111によって2つの成分に分割される。一方の経路は、AOM112によってΔfだけ周波数シフトされる。111からの残りの光は、成分振幅のバランスをとるための任意の減衰器115と、2つの周波数ソース成分の偏光間の差をセットするために使用され得る任意の偏光コントローラ116とを通る。2つの経路は、カプラ117によって再結合され、任意のアイソレータ118を通って、次いで出力部へ向かう。
【0115】
図23は、3つの周波数成分を生成する代替のソースジェネレータを示す。レーザソース131からの光は、3×3カプラ132によって分割される。出力光の部分は、FRM133によりシフトされずに反射される。残りの部分は、アップシフトAOM137を通され、偏光シフタ138を経由して、FRM139によって反射されてカプラ132へ戻る。このようにして、3つの光成分が出力部で現れる。Δfで成分を検出することによって、検出器133での光は、3つの成分からの電力のバランスをとるために使用され得る。偏光回転子138及び135は、3つの成分の相対的な偏光をセットするために使用され得る。
【0116】
図24は、3つの成分周波数を生成するための第2の例となる構成を示す。ここで、低周波ノイズレーザ源141からの光はカプラ142によって分割される。光の部分は更に、カプラ143によって分割される。光のシフトされていない部分は、カプラ146及び149を通り、そして任意のアイソレータ152を通り、出力部へ続く。光の更なる部分は、AOM144によってシフトされ、コントローラ145によって偏光調整され、次いで再結合されて出力部に届く。更なる経路は、カプラ142及びAOM147(AOM144とは反対方向に光をシフトするよう選択される。)、そして偏光制御148を通って、出力部で現れる。偏光コントローラは、成分間の如何なる所望の相対的な偏光も生成するために使用され得る。150及び151でのΔf成分は、3つの周波数で出力の大きさのバランスをとるよう監視され得る。
【0117】
図25は、3つの周波数成分を生成するための更なるオプションを示す。レーザ161からの光はカプラ162によって分割される。新生のシフトされていない光の部分は、170によって反射され、カプラ162に戻り、光アイソレータ171を経由して出力部に現れる。170は、光成分における複屈折の影響を取り除くよう、ファラデー回転子ミラーであってよい。162からの残りの光はカプラ163へ向けられ、カプラ163でそれは更に分割される。光の部分は164によってアップシフトされ、残りの部分は167によってダウンシフトされ、それらは、そして、166及び169によって出力部へ反射される。166及び169はFRMであってよい。ファラデー回転子であることができる任意の偏光シフタ165及び168は、成分が望まれるように相対的な偏光を有することを可能にする。
【0118】
図26は、再循環ループに基づき複数の周波数を生成するための構成の例を示す。低周波ノイズレーザ101からの光は、カプラ102によってループに結合される。光の部分は、続けてAOM103を通り、AOM103でΔfだけシフトされる。増幅器104は、ループの損失を補償し、フィルタ105は、生成される周波数の数を制限し、且つ、SNRを改善する。カプラ106は、ループからの光の一部を任意のアイソレータ110を介して出力部に向けて分割する。残りの光は、任意のアイソレータ107によって、任意の偏光回転子108(45度ファラデー回転子であってよい。)を通り、任意の減衰器109を通り、そしてカプラ102により再度ループに結合される。減衰器109は、ループをチューニングし、複数の全ての成分の電力のバランスをとるために使用され得る。フィルタ105は、生成される周波数の数を制限するとともに、プリエンファシスを与えて周波数の夫々のSNRのバランスを保つよう配置され得る。
【0119】
図27は、ソース181からの光がカプラ182によって分割され、次いでAOM183を通り、偏光コントローラ184、偏光回転段185、バンドパスフィルタ186を通り、カプラ187を通り、そして任意のアイソレータ190を通って出力部へ進む代替バージョンを示す。増幅器188は、複数の光成分が出力部で生成されるように、光を再循環する。フィルタ186は、成分のSNRのバランスをとり且つ生成される成分の数を制限するために使用され得る。
【0120】
図28は、複数の周波数を生成するための代替の配置を示す。2又は3の周波数ソース142が143によって増幅される。高非線形(highly non-linear)ファイバ(例えば、フォトニック結晶ファイバ)144とともに増幅器ファイバは、4波混合によって更なる周波数成分を生成する。BPF145は、成分を、必要とされる数及び波長範囲に制限する。
【0121】
図29は、代替の構成を示す。ここで、コム・ジェネレータ(comb generator)の出力は、関心のある範囲へと帯域通過フィルタをかけられる。いくつかのコム・ジェネレータのタイプについて、生成される周波数の数はT・Δfによって与えられ、故に、より長いTは、十分な成分が発射されることを確かにするために必要とされ得ることに留意されたい。
【0122】
前述の記載では、定義された周波数の複数のプローブ信号が送信された。各周波数のアライメントされたパルスの連続が測定ファイバ内に伝えられる。システムの感度及びダイナミックレンジを改善するために、第2組のプローブ信号が、図30に示されるように伝送され得る。第2組の信号は、上記の同じ特性を有するが、第1信号が位置する波長とは分離した第2波長に位置する。すなわち、λ0の複数の光信号とλ1の複数の光信号とが存在し、それらの信号の間には、周波数/波長領域においてオーバラップがない。λ0の信号及びλ1の信号はいずれも、上述されたような、時間領域における一連のパルスであるが、図30から分かるように、それら一連のパルスの間には時間オフセットが存在する。
【0123】
受信器では、2つの波長が分離され、独立して検出される。上記の受信器アーキテクチャは、両方の波長に対して利用可能であり、夫々の波長は、測定の波長のための検出器へ方向付けられる。例えば、複数の検出器の直前に、波長選択デマルチプレクサが利用される。
【0124】
このシステムは、サンプリングレートが2倍にされ、それによって位相のより高い最大瞬時変化率を可能にするということで、システムのダイナミックレンジを増大させる。感度も、サンプリングレートの倍増により高められる。
【0125】
2組よりも多い信号も、性能を更に改善するために用いられてよい。
【0126】
信号は、1つの広帯域幅ソースジェネレータからの光を分割することによって、又は2つのレーザから得られる2つの別個のソースジェネレータを有することによって、取得され得る。
【0127】
時間領域受信器での遅延長さは、試験ファイバ内の位相の変化が計算されるゲージ長さをセットする。様々な応用に対して、異なるゲージ長さが望まれ得る。これは、図31に示されるよう、後方散乱光を夫々異なる時間により2以上の受信器へ分割することによって達成され得る。図31の配置は、異なるゲージ長さが同時に測定されること可能にする。更には、可変な遅延素子が、可変なゲージ長さを提供するために如何なる受信器でも使用され得る。
【0128】
受信器システムにおける周波数シフトは、搬送波を生成するよう、検出器に衝突する後方散乱の組み合わせを設定する。図32に示されるように、異なるアップシフト及びダウンシフトを有する第2組の受信器を導入することによって、周波数の異なる組み合わせが検出器へ方向付けられ得る。夫々の受信器は、n・Δf+fに等しい周波数シフトを使用し、それにより、異なる組み合わせの搬送波がfで同じヘテロダイン搬送波を生成するよう混合する。
【0129】
これは、著しい複屈折又はフェーディングが観測される場合に利点がある。というのも、全ての検出器610〜613での信号がフェードされる可能性が、611及び612の両方がフェードされる可能性と比べて減少するからである。
【0130】
上記は、主として、純粋に分散型のセンサを参照して、与えられてきた。しかし、技術及び装置は、ファイバに沿って定義された位置で特定の戻り信号を生成するよう反射体を備えたシステムにも適用され得る。これは、測定ファイバに沿って定義された位置で測定ファイバの感度を高めるために望ましい。更に、システムは、適切なトランスデューサを用いて事象を検出する十分な感度を提供し得る。例えば、ある長さのファイバが、加速度をファイバひずみに変換するトランスデューサに巻き付けられる。本明細書で記載されるシステムは、加速度を検出するようトランスデューサに関連する比較的に短い長さのファイバ内の変化を感知することができる。この場合に、記載されるシステムは、変調されたファイバ長内から得られる後方散乱光が、トランスデューサの近くで感度の低いファイバを特に必要とせずに、測定を行うために使用され得るという利点を有する。これは、システムがトランスデューサファイバ内のひずみ変化によって引き起こされるフェーディングの影響を受けないからである。
【0131】
本明細書で記載される光カプラのいずれも、同等のカプラであってよく、あるいは、夫々の出力に対して不均等な結合比を有して構成されもよい。必要とされる比率は、システムの性能を最適化するよう選択される。
【0132】
本発明は、いくつかの実施形態に関連して記載されてきたが、それは、本明細書で示されている具体的な形態に制限されるよう意図されない。むしろ、本発明の適用範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ制限される。その上、特徴は、特定の実施形態に関連して記載されているように思われ得るが、当業者は、記載されている実施形態の様々な特徴が本発明に従って組み合わされてよいと認識するであろう。特許請求の範囲において、語「有する」は、他の要素又はステップの存在を排除しない。
【0133】
更に、特許請求の範囲における特徴の順序は、特徴が実行されるべき如何なる特定の順序も示さず、特に、方法の請求項における個々のステップの順序は、ステップがこの順序で実行されるべきことを示すものではない。むしろ、ステップは、如何なる適切な順序でも実行されてよい。その上、単数参照は複数を排除しない。よって、「1つ」、「第1」、「第2」などは複数を排除しない。特許請求の範囲において、語「有する」又は「含む」は、他の要素の存在を排除しない。
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