特許第6921246号(P6921246)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ サプライ,インコーポレイテッドの特許一覧

<>
  • 特許6921246-ワイヤレス電力供給方法およびシステム 図000005
  • 特許6921246-ワイヤレス電力供給方法およびシステム 図000006
  • 特許6921246-ワイヤレス電力供給方法およびシステム 図000007
  • 特許6921246-ワイヤレス電力供給方法およびシステム 図000008
  • 特許6921246-ワイヤレス電力供給方法およびシステム 図000009
  • 特許6921246-ワイヤレス電力供給方法およびシステム 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6921246
(24)【登録日】2021年7月29日
(45)【発行日】2021年8月18日
(54)【発明の名称】ワイヤレス電力供給方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/23 20160101AFI20210805BHJP
   H02J 50/40 20160101ALI20210805BHJP
   H02J 50/90 20160101ALI20210805BHJP
   H01Q 3/26 20060101ALI20210805BHJP
【FI】
   H02J50/23
   H02J50/40
   H02J50/90
   H01Q3/26 Z
【請求項の数】22
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2019-567562(P2019-567562)
(86)(22)【出願日】2018年6月6日
(65)【公表番号】特表2020-522972(P2020-522972A)
(43)【公表日】2020年7月30日
(86)【国際出願番号】US2018036321
(87)【国際公開番号】WO2018226871
(87)【国際公開日】20181213
【審査請求日】2020年1月31日
(31)【優先権主張番号】62/516,572
(32)【優先日】2017年6月7日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/515,962
(32)【優先日】2017年6月6日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519430963
【氏名又は名称】サプライ,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Supply,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】グスタボ,ナヴァッロ
(72)【発明者】
【氏名】ラマスワミー,ヴァルン
(72)【発明者】
【氏名】デイブランツ,クリストファー,ジョゼフ
【審査官】 高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−111791(JP,A)
【文献】 特開2009−048353(JP,A)
【文献】 特開2003−108972(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/080304(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0099611(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0057078(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/00 − 50/90
H02J 7/00
H01Q 3/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤレス電力伝送のための方法であって、
・アダプティブアンテナアレイを含む送信機において、受信機が前記送信機の伝送範囲内にあることを判定するステップと、
前記受信機が伝送範囲内にあると判定したことに応答して、電力供給の最適化のための確率的グローバル探索を実行するステップであって、前記確率的グローバル探索が前記アダプティブアンテナアレイに関連した伝送パラメータ空間において実行され、前記伝送パラメータ空間が:1または複数のアンテナの伝送位相および/または伝送振幅;ビーム方向に関するビームフォーミングパラメータ;スーパーゲイン受信機の種類、位置および/または向きに関するスーパーゲイン励起パラメータ;パッシブアンテナ電気コンポーネント結合パラメータ;のうちの1つ以上を含むものであるステップと、
前記確率的グローバル探索に基づいて、前記伝送パラメータ空間における最適化されたパラメータ値セットを決定するステップと、
前記送信機において、前記最適化されたパラメータ値セットに基づく伝送によって、前記受信機に電力をワイヤレスで伝送するステップと、を含み、
前記確率的グローバル探索を実行するステップが、前記伝送パラメータ空間内の複数の点を反復して評価するステップを含み、前記伝送パラメータ空間内のそれぞれの点はそれぞれのパラメータ値セットに関連しており、前記伝送パラメータ空間内の1つの点におけるパラメータ値セットが前記最適化パラメータ値セットであり、
前記伝送パラメータ空間内の1つの点を評価するステップが、
前記送信機において、それぞれの時間間隔を通して、それぞれの前記パラメータ値セットに基づいて電力を伝送するステップと、
前記受信機において、前記それぞれの時間間隔の間に、前記送信機によって伝送された電力を受信するステップと、
前記それぞれの時間間隔の間に前記受信機において受信されたそれぞれの電力量を測定するステップと、含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
前記確率的グローバル探索を実行するステップの前に、さらに、
・受信機が伝送範囲内にあると判定したことに応答して、前記電力供給の最適化のために、前記伝送パラメータ空間にわたって局所探索を実行するステップと、
前記局所探索に基づいて、前記伝送パラメータ空間における局所的に最適化されたパラメータ値セットを決定するステップと、
・前記局所的に最適化されたパラメータ値セットが不十分な電力供給の実行に関連するものであることを判定するステップであって、当該局所的に最適化されたパラメータ値セットが不十分な電力供給の実行に関連するものであると判定されたことに応じて、前記確率的グローバル探索が実行されるステップと、を含むことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法において、
・前記確率的グローバル探索がafに等しい目的関数に基づいて実行され、aが比例定数であり、fが前記電力量であり、
前記確率的グローバル探索を実行するステップが、一連のパラメータ値セットのうちの第1のパラメータ値セットを含む伝送パラメータ空間の領域において、前記目的関数の局所近似を求めるステップをさらに含み、
前記複数の点を反復して評価するステップが、前記第1のパラメータ値セットに関連する第1の点を評価した後で、前記局所近似に基づいて次の点を選択するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法において、
前記局所近似を求めることは、
前記目的関数に基づいて、前記領域にわたって局所探索を実行するステップと、
前記局所探索に基づいて、前記目的関数に関連する局所最適値を求めるステップとを含み、
前記領域内の目的関数値の前記局所近似が、前記領域にわたって実質的に一定であり、前記局所最適値に実質的に等しいことを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法において、
前記受信機前記送信機の伝送範囲内にある間に、前記送信機において、第2の受信機が前記送信機の伝送範囲内にあることを判定するステップと、
前記受信機に電力をワイヤレスで伝送しながら、前記最適化されたパラメータ値セットに基づく伝送によって、前記第2の受信機に電力をワイヤレスで伝送するステップとをさらに含み、
前記伝送パラメータ空間内の1つの点を評価するステップが、さらに、
前記第2の受信機において、前記それぞれの時間間隔の間に、前記送信機によって伝送された電力を受信するステップと、
前記それぞれの時間間隔の間に前記第2の受信機において受信されたそれぞれの第2の電力量を測定するステップと、を含むことを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法において、
前記伝送パラメータ空間内の1つの点を評価するステップが、さらに、
前記受信機において、前記それぞれの電力量を示す第1のデータセットを前記送信機に伝送するステップと、
前記第2の受信機において、前記それぞれの第2の電力量を示す第2のデータセットを前記送信機に伝送するステップと、
−前記送信器において、前記第1および第2のデータセットに基づいて前記1つの点を評価するステップと、を含むことを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法において、
前記送信機において、前記第1のデータセットの受信に応答して、前記第1のデータセットに関連付けられた情報を記憶するステップと、
前記受信機に電力をワイヤレスで伝送している間に、前記第2の受信機前記送信機の伝送範囲内にないことを判定するステップと、
前記第2の受信機前記送信機の伝送範囲内にないと判定したことに応答して、前記送信機において、前記情報に基づいて、修正されたパラメータ値セットを決定するステップと、
前記送信機において、修正されたパラメータ値セットを決定したことに応答して、前記修正されたパラメータ値セットに基づく伝送によって前記受信機に電力をワイヤレスで伝送するステップとをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項5に記載の方法において、
前記確率的グローバル探索が目的関数に基づいて実行され、当該目的関数がw+P(|f−f|)+w+P(|f−f|)に等しく、ここで、w前記受信機に関連付けられた受信機の重み付け、f前記電力量、f前記受信機に供給可能であると予測される最大電力量、P前記受信機に関連付けられたペナルティ関数、w前記第2の受信機に関連付けられた第2の受信機の重み付け、f前記第2の電力量、fは前記第2の受信機に供給可能であると予測される第2の最大電力量、P前記第2の受信機に関連付けられた第2のペナルティ関数であることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法において、
前記最適化されたパラメータ値セットに基づいて伝送している間に、前記受信機で受信された電力が低下したことを判定するステップと、
前記受信機で受信された電力が低下したと判定したことに応答して、電力供給の最適化のために、前記伝送パラメータ空間における1つの領域で局所探索を実行するステップと、
前記局所探索に基づいて、局所的に最適化されたパラメータ値セットを決定するステップとをさらに含み、
前記局所的に最適化されたパラメータ値セットが、前記伝送パラメータ空間における前記1つの領域での局所的に最適化された点に関連していることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法において、
・前記局所的に最適化されたパラメータ値セットが、不十分な電力供給の実行に関連するものであることを判定するステップと、
前記局所的に最適化されたパラメータ値セットが、不十分な電力供給の実行に関連すると判定されたことに応じて、前記伝送パラメータ空間において、最新の電力供給の最適化のために、第2の確率的グローバル探索を実行するステップとをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法において、
前記確率的グローバル探索が、粒子群最適化アルゴリズムを使用して実行されることを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法において、
前記伝送パラメータ空間が、前記アダプティブアンテナアレイの複数のアクティブアンテナのうちの各アクティブアンテナについて、それぞれの伝送位相を含むことを特徴とする方法。
【請求項13】
ワイヤレス電力伝送のための方法であって、
・アダプティブアンテナアレイを有する送信機において、受信機が前記送信機の伝送範囲内にあることを判定するステップと、
前記受信機が伝送範囲内にあると判定したことに応答して、電力供給の最適化のために局所探索を実行するステップであって、前記局所探索が前記アダプティブアンテナアレイに関連した伝送パラメータ空間において実行され、前記伝送パラメータ空間が:1または複数のアンテナの伝送位相および/または伝送振幅;ビーム方向に関するビームフォーミングパラメータ;スーパーゲイン受信機の種類、位置および/または向きに関するスーパーゲイン励起パラメータ;パッシブアンテナ電気コンポーネント結合パラメータ;のうちの1つ以上を含むものであるステップと、
前記局所探索に基づいて、前記伝送パラメータ空間における最適化されたパラメータ値セットを決定するステップと、
前記最適化されたパラメータ値セット十分な電力供給の実行に関連するものであることを判定するステップとを含み、
前記最適化されたパラメータ値セットが十分な電力供給の実行に関連するものであると判定されたことに応じて、前記送信機において、前記最適化されたパラメータ値セットに基づく伝送によって、前記受信機に電力をワイヤレスで伝送するステップと、を含み、
前記局所探索を実行するステップが、前記伝送パラメータ空間内の複数の点を反復して評価するステップを含み、前記伝送パラメータ空間内のそれぞれの点はそれぞれのパラメータ値セットに関連しており、前記伝送パラメータ空間内の1つの点におけるパラメータ値セットが前記最適化パラメータ値セットであり、
前記伝送パラメータ空間内の1つの点を評価するステップが、
前記送信機において、それぞれの時間間隔を通して、それぞれの前記パラメータ値セットに基づいて電力を伝送するステップと、
前記受信機において、前記それぞれの時間間隔の間に、前記送信機によって伝送された電力を受信するステップと、
前記それぞれの時間間隔の間に前記受信機において受信されたそれぞれの電力量を測定するステップと、を含むことを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法において、
前記局所探索が勾配のない探索アルゴリズムを使用して実行されることを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法において、
前記勾配のない探索アルゴリズムが、Nelder−Meadアルゴリズムおよびアダプティブメッシングアルゴリズムのうちの1つ以上を含むことを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項13に記載の方法において、
前記受信機前記送信機の伝送範囲内にある間に、前記送信機において、第2の受信機が前記送信機の伝送範囲内にあることを判定するステップと、
前記受信機に電力をワイヤレスで伝送しながら、前記最適化されたパラメータ値セットに基づく伝送によって、前記第2の受信機に電力をワイヤレスで伝送するステップとをさらに含み、
前記伝送パラメータ空間内の1つの点を評価するステップが、さらに、
前記第2の受信機において、前記それぞれの時間間隔の間に、前記送信機によって伝送された電力を受信するステップと、
前記それぞれの時間間隔の間に前記第2の受信機において受信されたそれぞれの第2の電力量を測定するステップと、を含むことを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法において、
前記伝送パラメータ空間内の1つの点を評価するステップが、さらに、
前記受信機において、前記それぞれの電力量を示す第1のデータセットを前記送信機に伝送するステップと、
前記第2の受信機において、前記それぞれの第2の電力量を示す第2のデータセットを前記送信機に伝送するステップと、
・前記送信器において、前記第1および第2のデータセットに基づいて前記1つの点を評価するステップと、を含むことを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項16に記載の方法において、
前記局所探索が目的関数に基づいて実行され、当該目的関数がw+P(|f−f|)+w+P(|f−f|)に等しく、ここで、w前記受信機に関連付けられた受信機の重み付け、f前記電力量、f前記受信機に供給可能であると予測される最大電力量、P前記受信機に関連付けられたペナルティ関数、w前記第2の受信機に関連付けられた第2の受信機の重み付け、f前記第2の電力量、f前記第2の受信機に供給可能であると予測される第2の最大電力量、P前記第2の受信機に関連付けられた第2のペナルティ関数であることを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項13に記載の方法において、
前記伝送パラメータ空間が、前記アダプティブアンテナアレイの複数のアクティブアンテナのうちの各アクティブアンテナについて、それぞれの伝送位相を含むことを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法において、
前記伝送パラメータ空間が、前記複数のアクティブアンテナの各々について、それぞれの伝送振幅をさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項19に記載の方法において、
前記伝送パラメータ空間が、前記アダプティブアンテナアレイの複数のパッシブアンテナの各々について、それぞれのパッシブアンテナ電気コンポーネント結合パラメータをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項22】
請求項13に記載の方法において、
前記受信機がスーパーゲイン構造を備えることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、ワイヤレス電力供給分野に関し、より具体的には、ワイヤレス電力供給分野における新規かつ有用な方法およびシステムに関する。
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年6月6日に出願された米国仮出願第62/515,962号、並びに、2017年6月7日に出願された米国仮出願第62/516,572号の利益を主張するものであり、それぞれの全体が、引用により本明細書に援用されるものとする。
【背景技術】
【0003】
一般的なワイヤレス電力供給システムは、ビームフォーミング構成に限定されており、高性能の結果が得られない場合がある。したがって、ワイヤレス電力供給分野では、ワイヤレス電力供給のための新規かつ有用な方法およびシステムを生み出す必要がある。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1図1Aは、本システムの第1の実施形態の概略図である。図1Bおよび図1Cは、本システムの送信機および受信機の一例の概略図である。図1Dは、本システムの第2の実施形態の概略図である。
図2図2Aおよび図2Bは、本方法およびその要素の一例の概略図である。
図3図3は、目的関数およびその修正バージョンの一例の図である。
図4図4Aは、アンテナの一例の斜視図である。図4Bは、アンテナの一例のクロス共振器の平面図である。図4Cは、スプリットリング共振器の一例の斜視図である。
図5図5A図5Dは、電気誘導容量共振器の具体例の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本発明の好ましい実施形態の以下の説明は、本発明をそれらの好ましい実施形態に限定することを意図するものではなく、当業者が本発明を製造および使用することを可能にすることを意図している。
【0006】
1.概要
ワイヤレス電力供給のためのシステムは、(例えば、図1A図1Dに示すように)1または複数の送信機および受信機を含むことができる。ワイヤレス電力供給のための方法は、送信機−受信機の近接度を判定するステップS100と、伝送パラメータ値を決定するステップS200と、(例えば、図2Aに示すように)伝送パラメータ値に基づいて電力を伝送するステップS300とを含むことができる。しかしながら、本システムおよび本方法は、追加的または代替的には、他の任意の適切な要素を含むことができる。本方法は、好ましくは、上述したシステムを使用して実行されるが、追加的または代替的には、他の任意の適切なシステムを使用して実行することもできる。
【0007】
典型的な方法およびシステムを使用して効率的なワイヤレス電力供給のための電力伝送設定を決定することは、困難であり、かつ/または非常に時間がかかることがある。候補の送電設定の評価には、時間がかかる(例えば、1〜100ミリ秒以上を必要とする)場合がある。加えて、送電設定には、通常、多数のパラメータが含まれるため、探索空間が非常に大きく、その完全な探索を効果的に行うことができなくなる可能性がある。さらに、システムの要素および周囲の要素はより頻繁に移動する可能性があり、それにより、以前の解が無効となり、新しい探索を必要とする可能性がある。これらの問題に照らして、本発明者等は、迅速に求められた解(例えば、限界または最適な結果の閾値範囲内の送電をもたらす解)が、長い探索時間の後にしか見い出されないグローバルに最適な解よりも優れている可能性があることを発見した。
【0008】
2.利点
本方法は、許容可能なかつ/または望ましい送電設定を決定するのに必要な時間を大幅に短縮することができる。第一に、本方法は、局所探索または確率的グローバル探索の実行を含むことができ、通常、決定論的グローバル探索よりも遥かに短い時間で十分な解を見つけることができる。この探索時間の短縮により、多くの場合(例えば、要素の向きが変化するシステムにおいて)、非常に優れたエネルギー伝送結果が得られる。
【0009】
第二に、(例えば、局所探索および/またはグローバル探索中の)送電設定の評価は、設定に従って送信機を構成し、設定を使用して送電の結果を(例えば、受信機において)測定し、かつ/または様々なエンティティ間で結果を伝達する(例えば、受信機から送信機に結果を送信する)必要性に起因して、時間がかかる可能性がある。そのような時間消費を低減するために、本方法は、任意選択的に、評価および/または関連する情報を推定および/またはキャッシュすることを含むことができ、それにより完全な評価の代わりに推定および/またはキャッシュされた値の高速探索が可能となる。
【0010】
第三に、送電最適化手法(例えば、パラメータに関連付けられた測定結果に基づく伝送パラメータの最適化などのリアルタイム最適化手法)を採用することにより、環境および/またはシステム構成における潜在的な変化にもかかわらず、受信機および/または送信機アンテナにおけるスーパーゲイン動作の励起および/または維持が可能になる。さらに、送電に純音(および/または実質的に純音)信号を使用すると、そのようなアンテナに典型的に関連する(例えば、このようなアンテナ内および/またはその周囲に通常生成される高エネルギーのエバネセント場から生じる)狭い帯域幅(例えば、分数インピーダンス帯域幅)にもかかわらず、そのようなスーパーゲインアンテナの使用を可能にすることができる。スーパーゲインアンテナは、一般的なアンテナよりも遥かに高い利得を示すことができ、それにより、例えば、電力伝送速度の増加および/または受信機および/または送信機のサイズの縮小が可能になる。しかしながら、本方法およびシステムは、追加的または代替的には、他の任意の適切な利点を与えることができる。
【0011】
3.システム
本システムの送信機は、1または複数のアンテナ(例えば、RFおよび/またはマイクロ波電力のような電磁放射を伝送するように構成されるアンテナ)を含むことができ、好ましくは、制御可能な(例えば、アダプティブ)アンテナアレイ(例えば、線形アレイ、平面アレイ、3Dアレイなど;フェーズドアレイ、電子的に制御可能なアレイなど)を規定する。
【0012】
アンテナアレイは、好ましくは、複数のアクティブアンテナ(例えば、給電によって能動的に駆動されるように構成されるアンテナ)を含み、より好ましくは、独立して制御可能なアクティブアンテナを含む(例えば、各アクティブアンテナを、システムの他のすべてのアクティブアンテナから独立して個別に制御することができ;アクティブアンテナのグループを、一緒に制御することができ、各グループを、他のすべてのグループから独立して制御可能である等)。第1の変形例では、各アクティブアンテナが駆動される振幅および/または位相を、(例えば、各アクティブアンテナの別個のIQ変調器または位相シフタを介して)独立して制御することができる。第2の変形例では、アクティブアンテナが1または複数のアンテナグループに分けられ、グループのアンテナが(例えば、各グループの単一のIQ変調器または位相シフタを介して)一緒に制御される。例えば、グループのアンテナは、互いに対して固定された位相オフセット(例えば、グループのすべてのアンテナが互いに同じ位相を有するようなゼロオフセット;非ゼロオフセット等)を有することができる(例えば、固定された位相オフセットは、IQ変調器または位相シフタと各アンテナとの間のトレース長の差によって定義される)。しかしながら、アクティブアンテナは、追加的または代替的には、他の任意の適切な方法で構成することができる。
【0013】
アンテナアレイは、追加的または代替的には、1または複数のパッシブアンテナ(例えば、アクティブアンテナのうちの1または複数の電気的および/または共振的に結合され、それによりアンテナアレイ伝送特性を変更するように構成されたもの)を含むことができる。一例では、システムが、1または複数のパッシブアンテナの1または複数の電気的コンポーネント(例えば、抵抗器、コンデンサおよび/またはインダクタなどのパッシブコンポーネント;1または複数のアクティブアンテナおよび/または他のパッシブアンテナなどのアンテナ等)への電気的結合(例えば、接続、共振結合など)および/または分離を(例えば、ソフトウェア制御スイッチのようなスイッチを介して;可変コンデンサのような可変電気特性を有する要素等を介して)制御するように構成される。第1の例では、複数のパッシブアンテナを(例えば、2以上のそのようなアンテナを電気的に接続するように動作可能なスイッチを介して)互いに電気的に接続および/または切断することができる。第2の例では、可変キャパシタ(例えば、バラクタ)および/または他の可変(例えば、連続可変)要素が、1または複数のパッシブアンテナに電気的に結合(例えば、電気的に接続)され、それにより、パッシブアンテナの負荷の制御および/またはアレイ内の他のアンテナ(例えば、他のパッシブアンテナ、アクティブアンテナなど)へのそれらの結合および/またはそれらの給電を可能にする(例えば、アンテナに結合された可変要素のうちの1または複数の特性を変化させることが、アレイのネットパターンを制御するように機能し得る)。この第2の例の特定の例では、アダプティブアンテナアレイが、単一のアクティブアンテナおよび複数のパッシブアンテナを含み、パッシブアンテナのうちの1または複数が、1または複数の可変コンポーネントに電気的に結合される。しかしながら、送信機は、追加的または代替的には、他の任意の適切な要素を含むことができる。
【0014】
本システムの受信機は、(例えば、送信機によって送信される電磁放射を受信するように構成された)1または複数のアンテナを含むことができる。受信機は、任意選択的に、1または複数のクライアントデバイス(例えば、バッテリおよび/またはバッテリ内蔵デバイス、例えばスマートフォンおよび/または他の電気および/または電子ユーザデバイス)を含むか、かつ/またはそれらクライアントデバイスと電気的に接続する(例えば、電力を伝送するように構成する)ことができる。必要に応じて、受信機は、例えば、アンテナとクライアントデバイスとの間(例えば、アンテナと、クライアントデバイスに接続するように構成された電気出力との間)に電気的に接続されたバッテリのような1または複数のバッファエネルギー貯蔵部(例えば、バッテリ)を含むことができ、それが、アンテナ(これは、不均一なレートおよび/または不均一な特性で電力を提供する可能性がある)とクライアントデバイス(これは、受信機などから一時的に切り離すことができ、実質的に一定のレートおよび/または実質的に一定の特性での電力供給を必要とし、かつ/またはそれからの利益をもたらし得る)との間のバッファとして機能することができる。
【0015】
いくつかの実施形態では、受信機および/または送信機のアンテナの一部またはすべて(例えば、アクティブアンテナ、パッシブアンテナなど)は、(例えば、図4Aに示すように)共振器の1または複数の密結合アレイを含むが、追加的または代替的には、疎結合アレイ、疎アレイ、単一の共振器および/または他の任意の適切なアンテナ素子を含むことができる。共振器は、共振ループ、(例えば、図4Bに示すように)交差共振器、(例えば、図4Cに示すように)スプリットリング共振器、(例えば、図5A図5Dに示すように)電気誘導容量共振器、他の物理的に小さい共振器(例えば、それらの共振波長に比べて小さい共振器)、および/または他の任意の適切な共振器を含むことができる。しかしながら、共振器は、他の方法で構成することもできる。
【0016】
アンテナは、任意選択的には、異なる向きで配置された複数のアレイ(および/または他の共振器構成)を含むことができ、これは、様々な偏波(例えば、直交偏波)の放射に効率的に結合するように機能することができる。第1の実施形態では、アンテナが、平行共振器層(例えば、平行共振器アレイ)を含み、各層が、異なる面内共振器配向(例えば、直交配向、斜めの角度に向けられる等)を有する。第2の実施形態では、アンテナが、非平行平面(例えば、直交平面、斜めの角度に向けられた平面など)の上に共振器を含む。しかしながら、アンテナは、追加的または代替的には、他の任意の適切な共振器および/または他のアンテナ要素を含むことができ、他の任意の適切な配置を有することができる。アンテナはメタマテリアルであるか、または他の任意の適切な構成を有することができる。
【0017】
受信機および/または送信機のアンテナ(例えば、アクティブアンテナ、パッシブアンテナなど)は、任意選択的には、1または複数のスーパーゲインアンテナ、スーパーゲインアレイ、スーパーゲインアンテナのアレイ、および/またはスーパーゲイン動作を示すことができかつ/またはスーパーゲイン動作を示すように構成された他の任意の適切な構造(例えば、引用によって本明細書中に全体が援用される、Harrington,R.F.(1960),「Effect of antenna size on gain,bandwidth,and efficiency」,J.Res.Nat.Bur.Stand 64D(1),1−12に記載のスーパーゲインアンテナ)を含むことができる。スーパーゲイン構造は、それらの物理的サイズに比べて非常に高いゲインを示すことができる。例えば、そのような構造は、
として定義される電気的面積Aを示すことができ、ここで、λは放射波長であり、Gはその波長におけるアンテナ利得であり、それらの物理的面積(例えば、フットプリント)よりも遥かに大きい。アンテナがサブ波長構造を規定する(例えば、放射波長より短い長さスケールを定義する)第1の例では、当該構造が、A/Aとして定義される、2〜100の開口効率(例えば、6.5〜10、10〜15、15〜22、22〜35、6.5未満、25超など)と、100〜5,000,000の品質係数(例えば、500〜5000、5000〜50,000、50,000〜750,000、500未満、750,000超など)とを示すことができる。アンテナが超波長構造を規定する(例えば、放射波長よりも長い長さスケールを定義する)第2の例では、当該構造が、1〜10の開口効率(例えば、1.5〜1.6、1.6〜1.7、1.7〜1.8、1.8〜1.9、1.9〜2、2〜2.15、1.5未満、2.15超など)と、10〜5,000,000の品質係数(例えば、50〜500、500〜5000、5000〜50,000、50,000〜750,000、500未満、750,000超など)とを示すことができる。しかしながら、それら構造は、追加的または代替的には、他の任意の適切な開口効率および/または品質係数を規定することができる。
【0018】
第1の変形例では、そのような構造が、交差共振器(例えば、図4Bに示す)、スプリットリング共振器(例えば、図4Cに示す)および/または電気誘導容量共振器(例えば、図5A図5Dに示す)など、サブ波長特徴(例えば、共振器が効率的に共振するように構成された放射の波長より小さい特性寸法を規定する特徴)を含む幾何学的形状を規定する1または複数の共振器を含むことができる。第2の変形例では、そのような構造が、離散化された開口(例えば、交差共振器、スプリットリング共振器および/または電気誘導容量共振器などのメタマテリアル単位セルのアレイ;図4Aに示す例)を含むことができ、開口の離散要素が、例えば、開口を横切る連続分布に近似するように(例えば、独立して、別々に等)制御される。第3の変形例では、そのような構造が、スーパーゲイン動作を可能にしかつ/または強化するように配置された古典的なアンテナ要素(例えば、パッチアンテナ、ダイポールアンテナなど)のアレイを含むことができる(例えば、M.T.Ivrlac and J.A.Nossek,「High−efficiency super−gain antenna arrays」,2010 International ITG Workshop on Smart Antennas(WSA),Bremen,2010,pp.369−374に記載されており、その全体が引用により本明細書に援用されるものとする)。
【0019】
送信機および受信機は、追加的または代替的には、他の任意の適切な形態(例えば、音、光学など)でエネルギーを送信および/または受信するように、かつ/または他の任意の適切な役割を実行するように構成されるものであってもよい。一実施形態では、送信機のすべてまたは一部がさらに受信機として機能することができ、かつ/または受信機のすべてまたは一部がさらに送信機として機能することができる。例えば、システムは、複数の同等のデバイスを含むことができ、それらのデバイスの各々が、他のデバイスの各々に電力をワイヤレスで伝送し、他のデバイスの各々から電力を受け取ることができる。
【0020】
送信機および受信機はそれぞれ、好ましくは無線通信モジュールを含むが、追加的または代替的には、有線通信モジュールまたは他の任意の適切な通信モジュールを含むことができるか、あるいは通信モジュールを省略することができる。無線通信モジュールは、好ましくは、1または複数の無線通信プロトコル(例えば、WiFi、Bluetooth、BLE、NFC、RF、IR、Zigbee、Z波など)をサポートする(例えば、無線通信プロトコルを使用して通信を可能にする)。しかしながら、送信機および受信機は、追加的または代替的には、他の任意の適切な要素を含むことができる。
【0021】
送信機および受信機は、好ましくは、互いに対して任意のおよび/または動的な配置を有する。一例では、システムが、固定位置の送信機と、複数の受信機とを含み、受信機の各々が、時間とともに位置および向き(例えば、送信機に対して、互いに等)において多くの変化を受ける。システムは、任意選択的に、他の近くの物体(例えば、ワイヤレス電力伝送に対する障害物)もシステムの要素に対して任意のおよび/または動的な配置を有することができる設定で配置されるようにしてもよい。しかしながら、システムは、他の任意の適切な配置を規定することができる。
【0022】
4.方法
4.1 送信機−受信機の近接度の判定
送信機−受信機の近接度を判定するステップS100は、(例えば、送信機から受信機への)ワイヤレス電力供給の機会を示すように機能することができる。例えば、S100は、1または複数の受信機が送信機の送信範囲(例えば、効率的な電力伝送、実質的な電力伝送、任意の測定可能な電力伝送などを可能にする範囲)内にあることの判定を含むことができる。送信機−受信機の近接度は、好ましくは、無線通信を使用して(例えば、送信機および受信機の無線通信モジュールを使用して)判定される。例えば、一方のデバイスは、他方のデバイスが近くにあることを、それらの間の無線通信の確立、無線通信信号強度(例えば、RSSI)、無線接続を介して通信される情報、および/または他の任意の適切な示度に基づいて判定することができる。
【0023】
送信機−受信機の近接度の判定S100は、追加的または代替的には、光学認識(例えば、送信機のカメラによってキャプチャされた画像内で近くの受信機を検出すること)、ユーザ入力(例えば、ボタン押下)の受信、ワイヤレス電力供給の変化の検出、および/または他の任意の適切な要素を含むことができる。例えば、電力を第1の受信機にワイヤレスで伝送する送信機は、第1の受信機に供給される電力の減少に基づいて、第2の受信機の到来を検出することができる。
【0024】
S100は、追加的または代替的には、受信機および/または送信機に関する情報を決定するステップを含むことができる。情報は、デバイスの種類(例えば、モデル、シリアル番号など)、電力需要(例えば、バッテリ充電状態、現在の消費電力など)、推定(例えば、標準、計画、予測など)近接滞留時間、近接中の推定位置安定性(例えば、テーブル上での静止、ユーザの衣服ポケットでの移動など)、デバイス位置(例えば、三辺測量/三角測量、光学認識、視線近接センサ、デバイスIMU読み取り値、デバイスGPS読み取り値などに基づくもの)、および/または他の任意の適切な情報を含むことができる。しかしながら、S100は、追加的または代替的には、他の任意の適切な要素を含むことができる。
【0025】
4.2 伝送パラメータ値の決定
伝送パラメータ値の決定S200は、(例えば、送信機から受信機への)効率的な電力伝送を可能にすることができる伝送パラメータ値を探索するように機能することができる。伝送パラメータ値は、好ましくは、送信機−受信機の近接度の判定S100に応答して決定される(S200)が、追加的または代替的には、他の任意の適切な時間に実行され得る。伝送パラメータは、1または複数のアンテナの伝送位相(例えば、基準アンテナの伝送位相のような基準位相に対する)および/または伝送振幅、ビーム方向などのビームフォーミングパラメータ(例えば、方位角および極角のようなビーム方向を説明する角度)、スーパーゲイン受信機の種類、位置および/または向きなどのスーパーゲイン励起パラメータ、1または複数のアンテナに結合された抵抗、キャパシタンスおよび/またはインダクタンスなどのパッシブアンテナパラメータ(例えば、電気コンポーネント結合パラメータ)および/または他の任意の適切なパラメータを含むことができる。第1の例では、伝送パラメータが、1または複数のアクティブアンテナおよび/またはアンテナグループ(例えば、ハードウェア定義のグループ、ソフトウェア定義のグループなど)の伝送位相および/または振幅、好ましくは(例えば、位相アンテナアレイまたは他のアダプティブアンテナアレイのようなアンテナアレイの)送信機の各アクティブアンテナの伝送位相および/または振幅を含む。第2の例では、伝送パラメータが、アンテナによって規定される1または複数のビームフォーミングネットワーク(例えば、Rotmanレンズ、Butlerマトリックスなど)に関連するビームフォーミングパラメータを含む(例えば、ソフトウェア定義のアンテナグループのような1または複数のアンテナグループは、各々が別個のビームフォーミングネットワークを規定する)。第3の例では、伝送パラメータが、送信機(例えば、ハードウェアおよび/またはソフトウェア定義のアンテナグループなどの1または複数のアンテナグループが、それぞれ別個のスーパーゲイン構造を定義する)および/または受信機のアンテナによって規定される1または複数のスーパーゲイン構造(例えば、アンテナ、アレイなど)に関連するスーパーゲイン励起パラメータを含む。しかしながら、伝送パラメータは、追加的または代替的には、他の任意の適切なパラメータを含むことができる。
【0026】
伝送パラメータ値の決定S200は、任意選択的には、1または複数のアンテナグループ(例えば、ソフトウェア定義アンテナグループ)を決定するステップを含むことができ、それは、伝送パラメータ空間の次元を低減するために使用され得る(例えば、伝送パラメータによって定義される空間は、部屋などの空間領域内の物体の位置および/または向きによって規定される物理的空間とは異なる)。例えば、各アクティブアンテナに関連するパラメータ(例えば、伝送位相および/または振幅)を独立して制御するのではなく、伝送パラメータ空間の次元を、各アンテナグループに関連するパラメータ(例えば、伝送位相および/または振幅、ビームフォーミングパラメータ、スーパーゲイン励起パラメータなど)に減らすことができる。第1の実施形態では、(例えば、送信機の特性に基づいて;固定位置に設置された送信機など、送信機の近くの固定要素の特性に基づいて)グループが予め定義される。第2の実施形態では、グループが、統計的分析および/または機械学習技術などに基づいて(例えば、システムの1または複数の受信機において受信された無線電力に関連するデータなど、以下に説明するように求められるデータを使用して)動的に決定される。例えば、主成分分析および/またはクラスタリング手法(例えば、k−meansクラスタリング、X−meansクラスタリング、スペクトルクラスタリングなど)は、アンテナグループを決定するために使用することができる(例えば、高度に相関するアンテナおよび/またはアンテナパラメータが一緒にグループ化され、クラスタのアンテナが一緒にグループ化される等である)。しかしながら、アンテナグループは、追加的または代替的には、他の任意の適切な方法で決定することができ、あるいはアンテナグループが決定されない場合もある。
【0027】
伝送パラメータ値の決定S200は、好ましくは、(例えば、局所およびグローバル最適探索に関して以下で説明するように)1または複数の最適探索を実行することを含む。最適探索のための目的関数は、好ましくは、受信機に伝送される電力および/またはエネルギーに基づくが、追加的または代替的には、他の任意の適切な変数に基づくことができる。例えば、目的関数は、受信電力に等しくすることができ、任意選択的には、送信機電力などによって正規化することができる(それにより、電力伝送効率に等しくなる)。受信電力は、受信機アンテナで、クライアントデバイス(および/または、クライアントデバイスに電力を供給するように構成された電力出力)で、バッファエネルギー貯蔵部で、かつ/または受信機の他の任意の適切な部分(例えば、アンテナとバッファエネルギー貯蔵部との間;バッファエネルギー貯蔵部とクライアントデバイスまたは電力出力との間;バッファエネルギー貯蔵部を有さない実施形態などにおけるアンテナとクライアントデバイスまたは電力出力との間など)で求める(例えば、測定する)ことができる。受信機が1または複数の動的インピーダンス整合を含む(例えば、受信アンテナからの電力結合を最適化するように構成される)一例では、受信機は、動的インピーダンス整合を継続的に最適化し、動的インピーダンス整合の近くで(例えば、その出力で)測定された最適化された電力強度を示すデータを送信する。これは、例えば、「System for Wireless Power Reception」という発明の名称の米国出願第62/515,962号および/または「System and Method for Wireless Power Reception」という発明の名称の米国出願第16/001,628号に記載のように(例えば、チューニングネットワーク、電力測定モジュールおよび/または制御ネットワークなど、動的インピーダンス整合に関して説明されるように)行われる。それら出願の各々は引用により全体が本明細書に援用されるものとする。追加的または代替的には、受信電力を、受信機の外部で(例えば、受信機以外のシステム要素において)測定することができる。
【0028】
送信機が複数の受信機(例えば、第1の受信機、第2の受信機、第3の受信機、第4の受信機など)に伝送する実施形態では、目的関数は、好ましくは、各受信機において受信される電力の多変数関数である(さらに、任意選択的には、多目的最適化で使用するためのベクトル値関数とすることができる)。一実施形態では、n個の受信機のセットについての目的関数は、次のようになる。
ここで、fは受信機iに関連する目的関数値であり、fはfの最適(例えば、観察、推定等)値(例えば、fが最適化される伝送パラメータの下でのfの値)であり、wは受信機iに関連付けられた重み付けであり、Pは受信機iに関連付けられたペナルティ関数である。重み付けおよび/またはペナルティ関数は、異なる受信機に対して同等および/または異なるものであってもよい。第1の例では、1または複数の受信機に関連付けられた性能は、関連付けられた重み付けおよび/またはペナルティ関数をゼロに設定することによって無視される(または部分的に無視される)。第2の例では、1または複数の受信機に関連する性能は、それらの関連する目的関数が理想値の閾値距離T内(例えば、fの部分量、例えば、1%、2%、5%、10%、15%、20%、25%、50%、75%、90%、95%、0〜5%、5〜15%、15〜45%、45〜75%、75〜95%、95〜100%など)にとどまる場合にのみ無視され、関連する重み付けはゼロに等しく設定され、関連するペナルティ関数はT未満の引数ではゼロであり、T以上の引数では無限大である。第3の例では、目的関数が、各受信機における受信電力の合計または平均とすることができる(例えば、すべてのiについて、w=1またはw=1/nであり、P=0である)。
【0029】
追加の例では、目的関数は、各受信機への電力供給の所望の分布(例えば、各受信機の最小閾値を超える均等分布、パレートフロント分布など)によって最適化することができ、受信機情報(例えば、バッテリ充電状態、予想される電力需要など)に基づいて決定することができ、かつ/または他の任意の適切な基準に基づいて決定することができる。探索により、目的関数を最大化または最小化することができる。各探索(および/または探索の反復)は、同じ目的関数または異なる目的関数を使用することができる。
【0030】
目的関数(例えば、マルチ受信機システムの場合)は、任意選択的には、受信機の優先順位付けに基づいて決定することができる。受信機の優先順位付けには、受信機の優先順位スコア、ランキング、分類(例えば、高、中、低、無視など)、および/または他の任意の適切な優先順位を含むことができる。受信機の優先順位付けは、例えば、目的関数の重み付けおよび/またはペナルティ関数を決定するために使用することができる(例えば、より高い優先順位の受信機は、より低い優先順位の受信機よりも高い重み付けに対応する)。優先順位付けには、予想受信機滞留時間(例えば、非常に短い時間が「低」または「無視」の優先度に対応し、短い時間が「中程度」の優先度に対応し、中間の時間が「高」の優先度に対応し、長い時間、例えば受信機のバッテリを実質的に完全に充電するのに必要な時間を遥かに超える時間が、「低」または「中間」の優先度などに対応する)、受信機のバッテリの充電に必要な予想時間(例えば、予測される充電時間が長いほど、より高い優先順位に対応する)、受信機のバッテリ状態(例えば、非常に低いバッテリ状態、例えば、バッテリによって電力を供給される電子デバイスがすぐに電源を切る、機能を停止する、かつ/またはスタンバイモードに入る状態が、より高い優先順位に対応する)、ユーザ選好、および/または他の任意の適切な情報に基づいて決定される。
【0031】
伝送パラメータ値の決定S200は、(例えば、図2Bに示すように)初期パラメータ値の決定S210と、候補の伝送パラメータ値の評価S220と、局所最適探索の実行S230と、および/またはグローバル最適探索の実行S240とを含むことができる。しかしながら、S200は、付加的または代替的には、他の任意の適切な要素を含むことができる。
【0032】
4.2.1 初期パラメータ値の決定
初期パラメータ値の決定S210は、最適探索のための初期推測および/または開始点を提供するように機能することができる。
【0033】
第1の実施形態では、初期パラメータ値を、予め設定し、かつ/または固定する(例えば、ハードコード化する)ことができる。例えば、初期パラメータ値は、ビーム様パターン(例えば、アンテナアレイに垂直に方向付けられたビーム、アンテナアレイのエッジに平行に方向付けられたビームなどのビームの周囲に、5°開口を有する円錐のような細い円錐内に方向付けられた殆どの無線電力)、マルチビームパターン(例えば、様々な方向に伝播するいくつかのビーム様パターン)、ワイドパターン(例えば、広い角度分布にわたって、例えば90°開口を有する円錐にわたって広がる大きな無線電力)、全方向パターン(例えば、アレイの法線軸などの軸に対して垂直なすべての方位角方向に実質的に等しい電力を放射するなど、実質的に円筒対称性を有するパターンで電力を放射する)、スーパーゲイン励起パターン(例えば、既知および/または想定されるスーパーゲイン構造タイプ、位置、および/または向きに基づいて予め計算されたパターンなど、受信機および/または送信機の1または複数のスーパーゲイン構造におけるスーパーゲイン動作を励起するように構成される;そのようなものは、M.T.Ivrlac and J.A.Nossek,「High−efficiency super−gain antenna arrays」,2010 International ITG Workshop on Smart Antennas(WSA),Bremen,2010,PP.369−374に記載されており、この文献は引用によりその全体が援用されるものとする。)、および/または他の任意の適切な放射パターンに対応することができる。初期パラメータ値は、追加的または代替的には、ランダムに選択された値(例えば、所定値および/または固定値の修正)を含むことができる。
【0034】
第2の実施形態では、初期パラメータ値を、履歴データに基づいて決定することができる(例えば、本方法の以前の実施において決定された伝送パラメータ値に等しくすることができる)。履歴データは、送信機、受信機、および/または他の任意の送信機、受信機、または他のデバイスに関連付けられたデータを含むことができる。初期パラメータ値は、追加的または代替的には、ランダムに選択された値(例えば、履歴データに基づいて決定された値の修正)を含むことができる。本実施形態の第1の例では、初期パラメータ値が、本システムによって決定された最新の最適化された伝送パラメータ値に等しく設定される。第2の例では、初期パラメータ値が、高速探索によって決定された最新の最適化された伝送パラメータ値に等しく設定される(例えば、局所最適探索によって決定され、グローバル探索は不要と決定される)。第3の例では、初期パラメータ値が、ビーム様放射パターンに対応する最新の最適化された伝送パラメータ値に等しく設定される。第4の例では、初期パラメータ値が、同様の配置に関連する最適化された伝送パラメータ値に等しく設定される(例えば、IMUなどによって、受信機の位置および/または向きに基づいて決定される)。第5の例では、初期パラメータ値が、例えば使用パターンを予測するために、機械学習手法(例えば、クラスタアルゴリズム、関数推定、多層ニューラルネットワークなど)を使用して、履歴データに基づいて決定される。しかしながら、初期パラメータ値は、他の任意の適切な履歴データに基づいて決定することができ、かつ/または他の任意の適切な方法で決定することができる(例えば、ランダムに決定することができる)。
【0035】
4.2.2 候補の伝送パラメータ値の評価
候補の伝送パラメータ値の評価S220は、候補の伝送パラメータ値に関連する目的関数値を決定するように機能することができる。候補値の評価S220は、候補値に基づく伝送S221、伝送結果の測定S222、および/または測定値に基づく目的関数の評価S223を含むことができる。S220は、追加的または代替的には、(例えば、履歴データに基づいて、プロキシ関数を評価するなどして)目的関数値を推定することを含むことができる。候補の伝送パラメータ値の評価S220は、定期的に、評価トリガイベント発生時(例えば、電力伝送領域内の物体の動きを検出したとき)に、かつ/または他の任意の適切な時間に実行することができる。
【0036】
伝送S221は、好ましくは、送信アンテナアレイ(例えば、フェイズドアンテナアレイのようなアダプティブアンテナアレイ)の1または複数のアンテナを制御することを含む。好ましくは、アレイの各アンテナは独立して制御されるが、アンテナの一部またはすべては、代替的には、一緒に制御され、グループ(例えば、前述したようなハードウェア定義グループおよび/またはソフトウェア定義グループなど)で制御され、他の任意の適切な方法で制御され、かつ/または制御されないようにしてもよい。試験されるアンテナパラメータ値(例えば、パラメータ値セット)は、初期パラメータ値であり、予め設定され(例えば、変数の組合せの予め設定されたセット)、履歴値であり、反復的に決定され(例えば、S230および/またはS240に関して後述するように)、かつ/または他の方法で決定されるようにしてもよい。例えば、制御された各アンテナは、指定された位相および/または振幅で(例えば、パラメータ値に基づいて、例えば、対応する位相パラメータ値に等しい位相および/または対応する振幅パラメータ値に等しい振幅で)伝送するように制御することができる。しかしながら、他の任意の適切なアンテナ制御パラメータを変更および/または試験することができる。
【0037】
伝送結果の測定S222は、好ましくは、1または複数の受信機によって受信された電力および/またはエネルギーを測定することを含む。S222は、追加的または代替的には、(例えば、送信機、追加のセンサなどにおいて)反射および/または後方散乱電力を測定すること、および/または他の任意の適切な伝送結果を測定することを含むことができる。S222は、任意選択的には、(例えば、送信機のような調整デバイスに対して)測定結果と、および/または測定結果に基づいて導出されかつ/または測定結果に関連する任意の適切な情報(例えば、受信機によって受信された電力量を示すデータセットなど、測定結果を示す1または複数のデータセット)とを伝達することを含むことができる。一実施形態では、各受信機が、受信した電力を測定し、測定結果(および/または、目的関数値などのような、測定に基づいて求められた情報)を送信機に伝達する。受信機は、継続的に、送信機からの要求(例えば、S221の実行前、実行中、および/または実行に応答して送信機によって送信される)に応答して、規則的な間隔で、かつ/または他の任意の適切なタイミングで、測定を実行し、かつ/または測定結果を送信することができる。
【0038】
目的関数は、調整デバイス、測定デバイスおよび/または他の任意の適切なデバイスにおいて評価することができる(S223)。第1の例(例えば、1台の受信機のみが送信機の範囲内にある例)では、目的関数が一変数関数である(例えば、受信電力または電力伝送効率に等しい)。第2の例(例えば、複数の受信機への電力伝送を含む例)では、(例えば、上記またはその他で説明されているように)目的関数が多変数関数である。しかしながら、S223は、任意の適切な目的関数を評価することを含むことができる。
【0039】
候補値の評価S220は、好ましくは、評価されたパラメータ値および対応する目的関数値(例えば、パラメータ値によってインデックス付けされる)をキャッシュすることを含み、追加的または代替的には、中間値(例えば、電力伝送および/または受信値などの測定値;マルチ受信機システムでは、受信機によって受信された電力などの1または複数の個々の受信機の目的関数値など)をキャッシュすること(例えば、パラメータ値によってインデックス付けされる)を含むことができる。値は、好ましくは、(例えば、1または複数の受信機からの情報の受信に応答して、値の計算等に応答して)送信機によってキャッシュされるが、追加的または代替的には、1または複数の受信機および/または他の任意の適切なエンティティによってキャッシュされるものであってもよい。同じパラメータ値を使用するS220の将来の反復は、好ましくは、キャッシュ(例えば、1〜100msまたはそれ以上を必要とする、上述したS221、S222および/またはS223を実行するのではなく)から対応する目的関数値を取り出すことを含む。このため、キャッシュは、候補値の評価S220に要する時間を大幅に短縮することができる。
【0040】
一例では、複数の受信機への電力伝送を含めて、個々の受信機の目的関数値(例えば、個々の各受信機によって受信された電力)は、S220の間に、(例えば、全体目的関数値、および/またはパラメータ値と関連付けられた他の任意の適切な情報とともに、またはその代わりに)キャッシュされる。この例では、本方法が、(例えば、受信機がもはや伝送範囲内にないこと、受信機および/または障害物の移動などに起因して受信機への電力供給が減少したこと、受信機の充電状態が閾値より大きいこと、別の受信機がこの受信機よりも優先されるべきであること等の判定に応答して)受信機のうちの1または複数(すべてではない)の第1のセットへの電力伝送の停止および/または変更、および/または優先順位付けを含む。これに応答して、本方法は、好ましくは、第1のセットにない1または複数の受信機(例えば、状態が大きく変化していない受信機)に関連するキャッシュされた値に依存して、修正された伝送パラメータ値セットを決定すること(例えば、第1のセットの受信機への供給を最適化しないこと、第1のセットの受信機の変化した受信状態を最適化することなど)を含むことができる。この例では、第1のセットの受信機に関連するキャッシュされた値は、(例えば、値がシステムの現在の物理的状態に対応しておらず、効率的な伝送パラメータを決定するのに有用ではない可能性があるため)任意選択的には、無視され、破棄され、かつ/または他の方法で処理されるが、代替的には、他の任意の適切な方法で保存および/または使用されるようにしてもよい。具体的な例では、3台の受信機に電力を供給するための最適化された伝送パラメータが決定され、最適化された伝送パラメータの探索中に決定された個々の受信機の目的関数値がキャッシュされる。第1の受信機が送信機の有効な充電範囲から外れると、第2および第3の受信機に電力を供給するための新しい伝送パラメータが、好ましくは、第2および第3の受信機の目的関数に関連するキャッシュされた値に(部分的にまたは完全に)基づいて決定される。
【0041】
しかしながら、S220は、追加的または代替的には、任意の適切なタイミングで実行される他の任意の適切な要素を含むことができる。
【0042】
候補値は、好ましくは、(例えば、S230および/またはS240に関して、以下で述べるように)最適探索の間に評価される(S220)。しかしながら、それらは、追加的または代替的には、他の任意の適切な時間に評価することができる(S220)。
【0043】
4.2.3 局所最適探索の実行
局所最適探索の実行S230は、潜在的パラメータ値(例えば、初期パラメータ値セットの近くの最適パラメータ値セットなど、局所的に最適化されたパラメータ値セット)を迅速に決定するように機能することができる。例えば、初期伝送パラメータ値周辺の探索空間が凸/準凸であり、その凸領域/準凸領域が満足のいく目的関数値(例えば、グローバル最適値、最小閾値を超える値または最大閾値未満の値、グローバル最適値または理論的限界などの限界の閾値内の値など)を含む場合、局所最適探索で十分であり得る。局所最適探索が十分である場合(例えば、満足のいく目的関数値を見つけた場合)、本方法は、グローバル最適探索を用いる場合よりも遥かに迅速に実行することができる。
【0044】
局所最適探索(例えば、最大探索、最小探索)は、任意の適切な局所探索アルゴリズム(例えば、勾配降下、共役勾配降下などの勾配ベースのアルゴリズム、Nelder−Mead、アダプティブメッシングなどの勾配のないアルゴリズム)および/または他の任意の適切なアルゴリズムを使用することができる。局所最適探索の実行S230は、好ましくは、候補伝送パラメータ値の繰り返し評価S220(例えば、サーチによって探索された候補伝送パラメータ値の各セットについての評価S220)を含む。しかしながら、S230は、追加的または代替的には、他の任意の適切な要素を含むことができ、他の任意の適切な方法で実行することができる。
【0045】
局所探索は、初期パラメータ値の決定S210に応答して実行されることが好ましく(例えば、初期パラメータ値で探索を開始し)、追加的または代替的には、(例えば、S240に関して後述するように)グローバル最適探索中に、および/または他の任意の適切な時間に実行される。
【0046】
4.2.4 グローバル最適探索の実行
グローバル最適探索の実行S240は、優れた伝送パラメータ値(例えば、最適化パラメータ値セット)を決定するように潜在的に機能することができる。グローバル探索は、好ましくは、初期局所探索の完了に応答して実行(S240)される(例えば、局所探索によって発見された最適パラメータ値で探索を開始する)が、追加的または代替的には、初期パラメータ値の決定S210に応答して(例えば、初期パラメータ値で探索を開始する)、かつ/または他の任意の適切な時間に実行されるようにしてもよい。
【0047】
グローバル探索が有益である可能性が高い場合にのみ、グローバル探索が実行されることが好ましい(S240)。例えば、グローバル探索は、局所探索の結果が悪い場合(例えば、見つかった最大目的関数値が、閾値目的関数値よりも小さい場合)、グローバル探索が局所探索よりも顕著な改善をもたらすことが期待される場合(例えば、局所探索中に求められた目的関数値のパターンに基づいて)、受信機が長期間にわたって範囲内に留まることが予想される場合(例えば、グローバル探索中の充電効率の低下を正当化するのに十分な長さである場合)、および/または他の任意の適切な基準に基づいて実行され得る。しかしながら、グローバル探索は、追加的または代替的には、他の任意の適切な状況下で実行することができる(例えば、すべての場合に実行することができる)。
【0048】
グローバル最適探索(例えば、最大探索、最小探索)は、確率的探索アプローチ(例えば、粒子群最適化、焼きなまし法、進化的アルゴリズム、例えば、遺伝的アルゴリズム、メメティックアルゴリズム、動的緩和法、アントコロニー最適化、ランダムリスタートと組み合わせた山登り法、確率的トンネリング、タブーサーチ、リアクティブサーチ最適化など)を採用することが好ましい。特に、この方法で頻繁に遭遇する大きな探索空間の場合、確率的探索アプローチは通常、決定論的アプローチよりも遥かに迅速に収束することができる。複数の受信機への同時電力伝送を含む実施形態において、グローバル最適探索は、多目的探索アプローチ(例えば、Pareto焼きなまし法(PSA)、多目的焼きなまし法(MOSA)、多目的遺伝的局所探索(MOGLS)、修正多目的遺伝的局所探索(MMOGLS)、非優越ソート遺伝的アルゴリズム(NSGA)、Strength Pareto進化的アルゴリズム(SPEA)など)を使用することができる。しかしながら、グローバル探索は、追加的または代替的には、決定論的探索アプローチおよび/または他の任意の適切なアルゴリズムを使用することができる。
【0049】
グローバル探索のための初期条件(例えば、粒子群最適化の初期粒子位置)は、予め決定され(例えば、ハードコード化され)、以前に決定された伝送パラメータ値(以前の最適値、最新の局所最適探索の結果など)に基づいて(例えば、等しく、近くにランダムに分布するように)、ランダムに決定され、(例えば、S210に関して)上述したように決定され、かつ/または他の任意の適切な方法で決定され得る。グローバル探索は、所定の反復量または経過探索時間(例えば、固定量、予想される受信機滞留時間などの因子に基づいて決定される量など)の後に、(例えば、局所探索に関して上述したように)満足のいく目的関数値を発見した後に、かつ/または他の任意の適切な時間に終了することができる。
【0050】
一実施形態では、粒子群最適化(PSO)を使用してグローバル最適探索が実行される(S240)。PSOは、探索空間内の位置(候補伝送パラメータ値のセット)と、その位置が変更される速度(例えば、探索空間境界に基づいて、ゼロまたは最大値など、すべての粒子について最初に等しい;各粒子についてランダムに決定される等)とに各々が関連付けられた粒子群を決定し、その後、群の各粒子について繰り返し(例えば、各時間ステップで):粒子に関連する値を評価し(S220)、速度更新関数に基づいて各粒子の速度を更新し、更新された速度に基づいて粒子位置を更新することができる。vt+1を決定するために時間ステップtで使用される粒子iの速度更新関数は、好ましくは、現在の粒子速度vt,iと位置xt,i、粒子が行った最良の位置p(例えば、目的関数fの最高値または最低値に対応する位置)、および群の任意の粒子が行った最良の位置gに依存し、より好ましくは、粒子をpおよびgに向けて駆動する傾向がある。例えば、速度更新関数は、vt+1,i=wvt,i+φ(p−xt,i)+φ(g−xt,i)であり、ここで、wは慣性重量、φおよびφはパラメータ(例えば、一定の予め設定されたパラメータ)であり、rおよびrは乱数(例えば、0と1の間)である。粒子位置は、好ましくは、更新された速度を現在の粒子位置に加えて更新された粒子位置を決定することによって更新されるが、追加的または代替的には、他の任意の適切な方法で更新されるようにしてもよい。
【0051】
PSOアルゴリズムは、好ましくは、(例えば、更新関数において)1または複数の慣性重量を含み、探索分解能を改善するように機能することができる。慣性重量は、好ましくは、カオス的に決定される(例えば、0とlの間の反復依存慣性重量wについて、後続の慣性重量wt+1は、例えば式wt+1=w(1−w)に基づいて、カオス的関係によって現在の慣性重量wに基づいて決定される)が、追加的または代替的には、一定、ランダム、シグモイド増加、シグモイド減少、線形減少、振動、グローバルローカルベスト(例えば、粒子に依存する慣性重量wの場合、粒子iの慣性重量wは、式w=a+gbest/pi,bestに基づいて決定され、ここで、pi,bestは、粒子iが遭遇する最良の値であり、gbestは、群の任意の粒子が遭遇する最良の値であり、aは1.1などの定数である)、焼きなまし法ベース(wminとwmax間の粒子に依存する慣性重量wについて、w=wmin+(wmax−wmin)×λt−1であり、ここで、λ、wmin、wmaxはすべて0と1の間である)、自然指数、対数減少、指数減少、適応的に決定され、慣性重量最適化アルゴリズムの結果に基づいて決定され、またはそれらの任意の適切な組み合わせである。しかしながら、PSOアルゴリズムは、他の任意の適切な慣性重量を含むことができる。PSOアルゴリズムは、好ましくは、(例えば、更新機能に)1または複数の適合距離比項(例えば、j、群の粒子について、
のような因子を項が含む)を含み、探索中に早期収束を低減するように機能することができる。PSOアルゴリズムは、追加的または代替的には、他の任意の適切な特徴を含むことができる。
【0052】
グローバル最適探索の実行S240は、好ましくは、候補伝送パラメータ値の繰り返し評価S220(例えば、サーチにより探索された候補伝送パラメータ値の各セットについての評価S220)を含む。グローバル探索の実行S240は、任意選択的には、目的関数を修正すること、および/または目的関数値を近似すること(例えば、評価を単純化し、かつ/またはグローバル探索の収束を加速すること)を含むことができる。
【0053】
一実施形態では、元の目的関数fが、修正目的関数gを生成するためにベイスンされ、目的関数値は、図3に示すように、それらが在るベイスンの最小値(または同様に、目的関数を最大化するためには、それらが在るヒルの最大値)によって置き換えられる。この実施形態では、点xで(例えば、候補伝送パラメータ値のセットにおいて)修正目的関数を評価することは、(例えば、S230に関して上述したように)元の目的関数を使用して、その点から始まる局所最適探索を実行することを含むことができ、ここで、その点における修正目的関数の値は、局所的最小値x’:g(x)=f(x’)における元の目的関数の値に等しくなる。
【0054】
第2の実施形態は、目的関数の局所近似を決定することを含む(例えば、元の目的関数fが、修正目的関数gを生成するために近似され、目的関数値が、近似値によって置き換えられる)。例えば、特定の点(例えば、候補伝送パラメータ値のセット)付近の目的関数値は、線形回帰、2次近似、放射基底関数補間、薄板スプライン補間、および/または他の任意の適切な近似方法などの1または複数の局所近似方法を使用して近似することができる。特定の例では、目的関数値(および/または1または複数のパラメータに関するその導関数)が、特定の点に近い(伝送パラメータ空間内の)追加の位置において決定され、これらの値が、目的関数の局所近似を求める(例えば、試験された追加の位置の領域内で補間され、その領域を越えて外挿等される)ために使用される(例えば、局所近似が、既知の目的関数値として処理され、局所近似が、最適探索の後続の反復などを知らせる)。
【0055】
これらの実施形態は、好ましくは、修正目的関数値(および/または元の目的関数値)およびそれらに関連する点(例えば、局所最適探索および/または局所近似決定の間に評価された点、それらの点の周りの領域、ベイスンまたはヒルの境界または既知の範囲など)のキャッシュを含む。後続の反復では、キャッシュされた値を取り出すことができ、これにより、電力伝送および測定を介して点を評価する必要性を低減することができる。目的関数は、追加的または代替的には、他の任意の適切な方法で修正および/または近似することができる(または修正しないままとすることができる)。しかしながら、S240は、追加的または代替的には、他の任意の適切な要素を含むことができ、他の任意の適切な方法で実行することができる。
【0056】
4.3 伝送パラメータ値に基づく電力の伝送
伝送パラメータ値に基づく電力の伝送S300は、受信機に無線で電力を供給するように機能することができる。電力は、好ましくは、伝送パラメータ値の決定S200に応答して伝送されるが(S300)、追加的または代替的には、他の任意の適切な時間に実行することができる。電力は、好ましくは、送信機の範囲内の受信機の滞留時間全体にわたって伝送される(S300)が、追加的または代替的には、断続的に、スケジュールに従って、受信機動作パラメータ(例えば、充電状態)に基づいて、かつ/または他の任意の適切なタイミングで伝送されるものであってもよい。電力は、好ましくは、1または複数の純音(または、閾値帯域幅未満の帯域幅を規定するような実質的に純音)信号として伝送される(例えば、1または複数のスーパーゲイン構造および/または他の狭帯域幅アンテナを使用する実施形態において有益となり得る)が、追加的または代替的には、他の任意の適切な形式で伝送されるようにしてもよい(例えば、より広い帯域幅のアンテナを使用する実施形態、通信信号が電力と共に送信される実施形態など)。第1の具体例では、放射がGHzスケールの周波数である(例えば、5〜10GHz、例えば、5.8GHzおよび/または5.8GHzを超える)。第2の具体例では、放射が数百MHzスケールの周波数である(例えば、100〜500MHz、例えば、433MHzおよび/または433MHz未満である)。しかしながら、電力は、追加的または代替的には、他の任意の適切な形態で受け取ることができる。
【0057】
伝送パラメータ値の決定S200(例えば、局所探索S230、グローバル探索S240など)は、任意選択的には、電力伝送S300中に繰り返すことができる(例えば、電力伝送は、パラメータ値の決定中に一時的に停止される)。S200の繰り返し実行は、好ましくは、最近決定された伝送パラメータ値を初期値として使用するが、追加的または代替的には、他の任意の適切な値を使用することができる(例えば、S200の初期実行中に行われるように、他の以前に決定された値などを使用する)。S200は、伝送される電力の変化(例えば、絶対的または相対的な閾値よりも大きい)の検出、移動の検出(例えば、IMU測定値のような受信機および/または送信機の測定値に基づく)、システムに近接する追加の受信機および/または送信機の検出S100、あるいはユーザ入力の受信に応答して繰り返すことができ、周期的に(例えば、予め設定されたレートで、あるいは動的に決定されたレート、例えば、システムおよび/またはその性能の観察および/または予想される時間的および/または空間的な安定性に基づいて決定されるレートであって、好ましくはより低い安定性がより迅速なレートに対応する、レート等で)、散発的に、ランダムに繰り返すことができ、かつ/または他の任意の適切な時間に繰り返すことができる。しかしながら、電力は、他の任意の適切な方法で伝送することができ(S300)、本方法は、追加的または代替的には、他の任意の適切な方法で実行される他の任意の適切な要素を含むことができる。
【0058】
代替的な実施形態は、好ましくは、コンピュータ可読命令を記憶するコンピュータ可読媒体において上記方法の一部またはすべてを実装する。命令は、好ましくは通信ルーティングシステムに統合されたコンピュータ実行可能コンポーネントによって実行されることが好ましい。通信ルーティングシステムは、通信システム、ルーティングシステムおよび価格設定システムを含むことができる。コンピュータ可読媒体は、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EEPROM、光学デバイス(CDまたはDVD)、ハードドライブ、フロッピードライブまたは任意の適切なデバイスなど、任意の適切なコンピュータ可読媒体に記憶することができる。コンピュータ実行可能コンポーネントは、好ましくはプロセッサであるが、命令は、代替的または追加的には、任意の適切な専用ハードウェアデバイスによって実行されるようにしてもよい。
【0059】
簡潔にするために省略するが、本システムおよび/または本方法の実施形態は、様々なシステムコンポーネントおよび様々な方法プロセスのあらゆる組合せおよび並べ替えを含むことができ、本明細書に記載の方法および/またはプロセスの1または複数のインスタンスは、非同期的に(例えば、順次)、同時に(例えば、並列に)、または他の任意の適切な順序で、本明細書に記載のシステム、要素および/またはエンティティの1または複数のインスタンスにより、かつ/またはそれらを使用して実行することができる。
【0060】
図面は、好ましい実施形態、例示的な構成およびそれらの変形例に係るシステム、方法およびコンピュータプログラム製品の可能性のある実装のアーキテクチャ、機能および動作を示している。この点に関して、フローチャートまたはブロック図の各ブロックは、モジュール、セグメント、ステップまたはコードの一部を示し、指定された論理機能を実装するための1または複数の実行可能命令を含む。また、いくつかの代替的な実装形態では、ブロックに記載の機能が、図面に記載される順序とは異なる順序で行われ得ることにも留意されたい。例えば、連続して示される2つのブロックは、事実上、実質的に同時に実行され得るか、あるいはそれらブロックは、関連する機能に応じて時に逆の順序で実行され得る。また、ブロック図および/またはフローチャートの各ブロック、並びに、ブロック図および/またはフローチャートのブロックの組合せは、指定された機能または動作を実行する専用ハードウェアベースのシステム、または専用ハードウェアおよびコンピュータ命令の組合せによって実装され得ることにも留意されたい。
【0061】
当業者であれば、前述した詳細な説明、並びに、図面および特許請求の範囲から認識されるように、特許請求の範囲で規定される本発明の範囲から逸脱することなく、本発明の好ましい実施形態に対して修正および変更を加えることができる。
図1-1】
図1-2】
図2
図3
図4
図5