特許第6921388号(P6921388)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6921388
(24)【登録日】2021年7月30日
(45)【発行日】2021年8月18日
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 13/04 20060101AFI20210805BHJP
   F21V 3/00 20150101ALI20210805BHJP
   F21Y 101/00 20160101ALN20210805BHJP
   F21Y 103/00 20160101ALN20210805BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20210805BHJP
   F21Y 115/15 20160101ALN20210805BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20210805BHJP
【FI】
   G09F13/04 L
   F21V3/00 350
   F21Y101:00 100
   F21Y103:00
   F21Y115:10
   F21Y115:15
   F21Y115:30
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-176305(P2016-176305)
(22)【出願日】2016年9月9日
(65)【公開番号】特開2018-41012(P2018-41012A)
(43)【公開日】2018年3月15日
【審査請求日】2019年9月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】516272814
【氏名又は名称】株式会社光
(74)【代理人】
【識別番号】100110814
【弁理士】
【氏名又は名称】高島 敏郎
(72)【発明者】
【氏名】塚谷 晃正
【審査官】 藤井 達也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−004942(JP,A)
【文献】 特開2014−173203(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 13/00−13/46
F21V 1/00− 8/00
F21V 9/00−15/04
A63F 1/00− 5/04
A63F 7/02
A63H 1/00−37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源を備えた発光部及び文字、図形、記号、画像、映像などの情報を表示する表示部備えた本体部と、この本体部に設けられ、前記表示部に表示された情報を視認できるように透光性の部材によって形成された化粧板部とを備えた表示装置において、
前記化粧板部は、透明基板とこの透明基板の一面に形成された透光性の立体造形とから構成され、
前記表示部は、前記情報が前記透明基板の他面に密着した位置から表示されるように配置され、
前記立体造形は、ポリウレタンエラストマー、ポリウレアエラストマー又はポリウレタンウレアエラストマーを主材とする透光性の樹脂材料による凹凸によって形成され、
前記凹凸は、前記発光部の照射光が拡散しても前記情報を視認できるように形成されていること、
を特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記透光性の樹脂材料に、見る人への迅速かつ正確な情報の伝達を妨げない範囲内で、一色又は複数色の着色剤を混合したことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記立体造形の表面に、見る人への迅速かつ正確な情報の伝達を妨げない範囲内で、一色又は複数色の着色を施したことを特徴とする請求項1又は2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記立体造形が天然物又は人工物を模して形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文字、図形、記号、画像、映像などの情報を表示させる表示装置に関し、特に自然物や人工の構造物などを模した立体的な造形の化粧板部を備え、この化粧板部を通して情報を表示させることが可能な表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
LEDやレーザー、EL(エレクトロルミネッセンス)などの発光部を発光させることで、文字、図形、記号、画像又は映像などの情報を表示させて、これを見る人に何らかの情報を伝達する表示装置が知られている。そして、このような表示装置の中には、様々な模様やデザインが施された化粧板部を備え、この化粧板部に前記情報を表示させるようにすることで、前記情報の表示時と非表示時とで表示装置の見え方を変えたり、非表示時に前記化粧板部を周囲の環境と同調させて目立たなくしたりするものがある(例えば特許文献1〜4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−305496号公報
【特許文献2】特開2009−80981号公報
【特許文献3】特許第4469463号公報
【特許文献4】特開2011−68123号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、文字等の情報を表示させる化粧板部を備えたこの種の表示装置においては、前記情報を視認しやすい状態で前記化粧板部に表示させて、表示を見る人に情報を正確かつ迅速に伝達する必要がある。そのため上記した従来の表示装置においては、前記化粧板部に凹凸があると前記発光部から照射された照射光が前記化粧板部で拡散され、表示が見えにくくなることから、前記化粧板部を平らに仕上げているのが一般的である。
しかし、表示装置を設置する周囲環境には種々のものがあり、可能な限り周囲環境に溶け込ませて目立たなくするために、前記表示装置を周囲環境に合わせた形態としても、情報を表示させる前記化粧板部が平らであると、表示装置の存在がすぐにわかってしまう上に見る人に違和感を覚えさせるという問題がある。
【0005】
本発明は上記の問題点にかんがみてなされたもので、表示装置だけでなく化粧板部も周囲の環境に合わせて立体的に造形しても、情報の表示時に文字等の情報をはっきりと視認しやすい状態で前記化粧板部に表示させることができ、文字等の情報を見る人に正確かつ迅速に伝えることが可能な表示装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記したように化粧板部に立体的な造形(凹凸)があると、発光部から照射された照射光が化粧板部の前記凹凸によって拡散して、文字等の情報がはっきりと表示されなくなり、視認性を悪化させる。表面に凹凸があっても、照射光が拡散することなく化粧板部から放出されるようにすれば、視認性の問題は解決することができる。
【0007】
そこで本発明は、光源を備えた発光部及び文字、図形、記号、画像、映像などの情報を表示する表示部備えた本体部と、この本体部に設けられ、前記表示部に表示された情報を視認できるように透光性の部材によって形成された化粧板部とを備えた表示装置において、前記化粧板部は、透明基板とこの透明基板の一面に形成された透光性の立体造形とから構成され、前記表示部は、前記情報が前記透明基板の他面に密着した位置から表示されるように配置され、前記立体造形は、ポリウレタンエラストマー、ポリウレアエラストマー又はポリウレタンウレアエラストマーを主材とする透光性の樹脂材料による凹凸によって形成され、前記凹凸は、前記発光部の照射光が拡散しても前記情報を視認できるように形成されている構成としてある。
前記化粧板部は、アクリル板や塩ビ板、ガラス板などの透明基板と、この透明基板の一面に透明接着剤で貼着された立体造形とから構成されていてもよい。
【0008】
ポリウレタンエラストマー、ポリウレアエラストマー又はポリウレタンウレアエラストマーを主成分とする樹脂材料は、(1)周囲の環境を模した複雑な凹凸のある立体造形を容易に成形できる易成形性があること、(2)屋外に設置されることが多いため長期に亘って劣化しない耐候性があること、(3)表示装置の本体部の形状も周囲環境やデザインに合わせて多種多様になることから、前記表示装置の本体部の形状に合わせて変形できるだけの柔軟性を有すること、(4)従来の表示装置と変わらないコストで製造が可能であること、の要件を満たすものとして、本発明の発明者が見いだした材料である。
【0009】
なお、前記ポリウレタンエラストマー、ポリウレアエラストマー、ポリウレタンウレアエラストマーを含む前記透光性の材料には、前記情報を表示できる透光性を維持する範囲内で一色又は複数色の着色剤を混合してもよいし、前記立体造形の表面に、前記情報を表示できる透過性を維持できる範囲内で一色又は複数色の着色を施してもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の表示装置によれば、化粧板部に立体造形が施されていても、文字等の情報を視認可能な状態で表示させて、化粧板部に表示される情報を見る人に正確かつ迅速に伝えることが可能になる。また、周囲環境に溶け込んだ違和感の無いデザインの表示装置を得ることが可能である。
特に透光性の材料としてポリウレタンエラストマー、ポリウレアエラストマー、ポリウレタンウレアエラストマーを用いれば、比較的低廉で成形性及び耐光性に優れ、かつ、加工しやすい柔軟性を有するため、上記(1)〜(4)の要件の全てを満たした表示装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。
図1は本発明の表示装置の一実施形態にかかり、化粧板部と本体部とを分解した斜視図、図2は表示装置の図1におけるI−I方向断面図、図3はこの実施形態の表示装置の作用を説明する図で、(a)は情報の非表示時の状態を、(b)は情報の表示時の状態を示している。図4は、本発明の表示装置の一適用例を示す斜視図である。
図1に示すように、この実施形態の表示装置1は、文字、図形、記号、画像、映像(動画を含む)などの情報10dを表示する表示部10aと、光源を備えた発光部10cと、表示部10aと発光部10cとを収容する筐体10bとを有する本体部10と、本体部体10の一面に設けられ、表示部10aに表示された文字等の情報を視認できるように透光性の部材によって形成された化粧板部11とを備えている。
そして、化粧板部11は透明なガラス板、塩ビ板、アクリル板等で形成された透明基板11bと、この透明基板11bgの表面に、ポリウレタンエラストマー、ポリウレアエラストマー、ポリウレタンウレアエラストマーなどを主材とする樹脂材料によって形成された立体造形11aとを備えている。立体造形11aの種類は特に問わないが、岩石や木材その他の植物、動物、皮革などの天然物を模したものに限らず、壁面や畳などを含む土木建築物や芸術作品などの人工物を模したものであってもよい。なお、図1の例に示す化粧板部11には樹皮を模した立体造形が施されている。
【0012】
表示部10aは、従来の表示装置に使用されている一般的なものを使用することができる。表示部10aには、例えばLEDや蛍光灯、白熱灯などを内蔵する発光部10cによって文字等の情報を投影表示するもの、有機ELなどの自発光の発光体によって文字等の情報10dを表示するもの(この場合は、表示部10aと発光部10cとが一体である)、発光部10cに内蔵されたレーザー光源からのレーザー光の照射によって、表示面に文字等の情報10dを描写するものなどが含まれる。発光部10cの照射光の拡散を可能な限り防止するために、情報10dが表示される表示部10aの表面は、透明基板11bの裏面に可能な限り接近又は密着させるとよい。
【0013】
立体造形11aは、イソシアネートとポリオールとを配合することで合成されるポリウレタンエラストマーの他、ポリウレアエラストマー又はポリウレタンウレアエラストマーから形成するとよい。株式会社キグラから販売されているポリウレタンエラストマー(商品名「キグラタンESM800D」又は同「キグラタン60D FR ROHS」)を好適に用いることができる。
ポリウレタンエラストマー、ポリウレアエラストマー又はポリウレタンウレアエラストマーは、表面に凹凸がある成形品であっても、前記成形品を透過する光の直進性に優れるという特徴がある。そのため、立体造形11aを有する化粧板部11を透過して、表示部10aに表示される文字等の情報10dを視認することが可能である。また、ポリウレタンエラストマー、ポリウレアエラストマー又はポリウレタンウレアエラストマーは複雑な凹凸のある立体造形11aを容易に成形できる易成形性、長期に亘って劣化しない耐候性、本体部10の形状に合わせて変形できるだけ柔軟性、比較的低廉な価格という利点を備える。
【0014】
このポリウレタンエラストマー、ポリウレアエラストマー又はポリウレタンウレアエラストマーには、必要に応じて一色又は複数色の着色剤を混合してもよい。また、立体造形11aの表面に一色又は複数色の着色を施してもよい。これらの着色剤の混合や着色は、見る人への迅速かつ正確な情報10dの伝達を妨げない範囲で行わなければならないことは言うまでもない。このような着色剤の混合や着色によって、立体造形11aを周囲の環境に合わせた色や模様とすることが可能である。
【0015】
上記構成の表示装置1は、以下のように作用する。
発光部10cのスイッチをOFFにした状態では、図3(a)に示すように、立体造形11aには文字等の情報10dは表示されないが、発光部10cのスイッチをONにして発光部10cを発光させると、表示部10bに文字等の情報10dが表示され、この情報10dが照射光とともに化粧板部11の立体造形11aに入射される。化粧板部11は凹凸のある立体造形11aによって透過光があまり拡散しないポリウレタンエラストマー、ポリウレアエラストマー又はポリウレタンウレアエラストマーで形成されているから、化粧板部11の表面には、図3(b)に示すように文字等の情報10dが浮かび上がり、視認できる状態となる。
【0016】
なお、図示の例では筐体10bの周囲には立体造形や模様を付していないが、このような形態は建物の壁面など、天然物や人工物を模した構造体の一部に嵌め込んで使用する場合に適している。
また、筐体10bの一部又は全部に立体造形を施せば、表示装置1そのものを天然物や人工物を模した構造体として利用することができる。
【0017】
例えば図4(a)は、表示装置1そのものが丸太を模して形成されたもので、(b)はその横断面図であるが、丸太を模して円柱状に形成された本体部10の筐体10bの周囲には樹皮を模した立体造形10eが施され、本体部10の一部に嵌め込まれた化粧板部11には筐体10bの周囲に形成された立体造形10eと同じ立体造形11aが施されている。なお、筐体10bの周囲に形成する立体造形11eは、必ずしもポリウレタンエラストマー、ポリウレアエラストマー又はポリウレタンウレアエラストマーのような透光性の材料で形成する必要は無い。
筐体10bの断面が円形状であることから、化粧板部11を構成する透明基板11bの表面も部分円弧状に形成され、その平坦な裏面に表示部10aを密着させている。
このようにすることで、一見丸太にしか見えない表示装置1の一部に、発光部10cを点灯することで文字等の情報を浮かび上がらせることが可能になり、見る人に一定の情報を伝達するだけでなく、インパクトを与えて宣伝広告効果を高めることができる。
【0018】
また、図5は壁面や床面、天井面などの一部又は全部に複数の表示装置1を嵌め込んで表示パネルとした一例を示すものである。このように、本発明の表示装置1を複数組み合わせることで、壁面や床面など比較的広い範囲に情報10dを表示させることが可能である。図示の例のように、魚を模した情報10dを動画として表示することで、あたかも壁面や床面などに水中を泳いでいる魚を表示することが可能である。
【0019】
本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。
例えば、上記の説明で透光性の材料としてポリウレタンエラストマー、ポリウレアエラストマー又はポリウレタンウレアエラストマーを挙げたが、同様の性質を有するものであれば、透光性の材料は他のものであってもよい。樹脂材料のほか、ガラス系の材料であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の表示装置の一実施形態にかかり、化粧板部と本体部とを分解した斜視図である。
図2】表示装置の図1におけるI−I方向断面図である。
図3図3はこの実施形態の表示装置の作用を説明する図で、(a)は情報の非表示時の状態を、(b)は情報の表示時の状態を示している。
図4】(a)は本発明の表示装置の一適用例を示す斜視図で、(b)はその横断面図である。
図5】本発明の表示装置の他の適用例を示す斜視図で、壁面、床面、天井面などの一部に又は全部に本発明の表示装置を適用した斜視図である。
【符号の説明】
【0021】
1 表示装置
10 本体部
10a 表示部
10b 筐体
10c 発光部
10d 情報
10e 立体造形
11 化粧板部
11a 立体造形
11b 透明基板
図1
図2
図3
図4
図5