特許第6921504号(P6921504)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6921504メイクアップに使用するための固体化粧用組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6921504
(24)【登録日】2021年7月30日
(45)【発行日】2021年8月18日
(54)【発明の名称】メイクアップに使用するための固体化粧用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/02 20060101AFI20210805BHJP
   A61Q 1/02 20060101ALI20210805BHJP
   A61K 8/85 20060101ALI20210805BHJP
   A61K 8/25 20060101ALI20210805BHJP
   A61K 8/365 20060101ALI20210805BHJP
   A61K 8/41 20060101ALI20210805BHJP
   A61K 8/67 20060101ALI20210805BHJP
   A61K 8/55 20060101ALI20210805BHJP
   A61K 8/49 20060101ALI20210805BHJP
【FI】
   A61K8/02
   A61Q1/02
   A61K8/85
   A61K8/25
   A61K8/365
   A61K8/41
   A61K8/67
   A61K8/55
   A61K8/49
【請求項の数】14
【外国語出願】
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-225901(P2016-225901)
(22)【出願日】2016年11月21日
(65)【公開番号】特開2018-87147(P2018-87147A)
(43)【公開日】2018年6月7日
【審査請求日】2019年11月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】津幡 和昌
(72)【発明者】
【氏名】徳永 絵美子
【審査官】 星 浩臣
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2004/0213747(US,A1)
【文献】 特開2006−188523(JP,A)
【文献】 特開2004−285012(JP,A)
【文献】 特開平07−206635(JP,A)
【文献】 特開2008−050271(JP,A)
【文献】 Strobing Stick Illuminating Highlighter (ID: 4219383),Mintel GNPD [online],2016年 8月,URL,https://www.gnpd.com
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00−8/99
A61Q 1/00−90/00
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)少なくとも1種の、ポリビニルアルコールと脂肪酸とのポリエステル、
(b)少なくとも1種の酸性キレート剤、
(c)少なくとも1種の有機変性クレイ、
(d)多孔性シリカ粉末、非晶質シリカ粉末、沈降シリカ粉末、及びそれらの組合せから選択される、少なくとも1種のシリカ粉末、及び
(e)フルオラン染料から選択される、少なくとも1種の染料
を含み、
前記ポリビニルアルコールが、500から2000の重合度を有する、固体化粧用組成物。
【請求項2】
ポリビニルアルコールと脂肪酸とのポリエステルの脂肪酸が、直鎖状及び飽和のC6〜C30、好ましくはC8〜C24、一層好ましくはC10〜C18の脂肪酸である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
酸性キレート剤が、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、アスコルビン酸、エチドロン酸、グリコール酸、フィチン酸、及びそれらの塩から選択される、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
有機変性クレイが、クオタニウム-18、C10〜C22脂肪酸のアンモニウムクロリド、及び/又はアリールジメチルベンゾイルアンモニウムクロリドで変性された、ヘクトライト、ベントナイト、ステアラルコニウム、及びそれらの混合物から選択され、好ましくは、ジステアルジモニウムヘクトライト、ステアラルコニウムヘクトライト、クオタニウム-18ヘクトライト、及びそれらの組合せから選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
染料が、D&C Orange No.5、D&C Orange No.10、D&C Orange No.11、D&C Red No.19、D&C Red No.21、D&C Red No.22、D&C Red No.27、D&C Red No.28、D&C Red No.37、D&C Yellow No.7、D&C Yellow No.8、Acid Red 51、Acid Red 98、及びそれらの組合せから選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
ポリビニルアルコールと脂肪酸とのポリエステルが、組成物の総質量に対して、0.05質量%から15質量%、好ましくは0.1質量%から10質量%、一層好ましくは0.3質量%から5質量%の範囲の含有量で存在する、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
酸性キレート剤が、組成物の総質量に対して、0.001質量%から5質量%、好ましくは0.005質量%から3質量%、一層好ましくは0.01質量%から1質量%の範囲の含有量で存在する、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
有機変性クレイが、組成物の総質量に対して、0.01質量%から10質量%、好ましくは0.05質量%から5質量%、一層好ましくは0.1質量%から3質量%の範囲の含有量で存在する、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
シリカ粉末が、組成物の総質量に対して、0.05質量%から15質量%、好ましくは0.2質量%から10質量%、一層好ましくは1質量%から5質量%の範囲の含有量で存在する、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
少なくとも1種のグリコールを更に含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
グリコールが、カプリリルグリコール、ペンチレングリコール、エチルヘキシルグリセリン、及びそれらの混合物から選択される、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
少なくとも1種の有機充填剤を更に含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
メイクアップ組成物であり、好ましくは、コンパクトパウダー、プレスドパウダー若しくは成型パウダー、特にパウダーファンデーション、又はルースパウダーの形態である、請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
皮膚等のケラチン物質用の化粧方法であって、前記ケラチン物質に、請求項1から13のいずれか一項に記載の組成物を塗布する工程を含む、化粧方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚等のケラチン物質用の固体化粧用組成物、特に、染料を含む固体化粧用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
口紅、アイシャドー、頬紅及びファンデーション等のメイクアップ化粧品として使用されるケラチン物質用の固体化粧用組成物は、一般に染料を含む。これらの組成物は、染料の発色によりケラチン物質に魅力的な外観を付与するために使用される。したがって、メイクアップ化粧品としての固体化粧用組成物には、塗布したときの良好な発色性が必要である。更に、外観、香り、及び硬度等の、固体化粧料として良好な品質もまた望ましい。
【0003】
現在までに、メイクアップに使用するための固体化粧料に関する従来技術文献がいくつか公開されている。
【0004】
WO 95/017884は、(a)酸性染料0.01〜1質量%、及び(b)1つ又は複数の官能基を有する水溶性有機酸0.01〜0.5質量%を含む親油性の固体化粧用組成物を開示している。
【0005】
JP-A-2004-285012は、油溶性染料、有機酸、及び化粧品用白色粉末を配合することによって得られる油性化粧品を開示している。
【0006】
しかしながら、改善された発色性能及び固体化粧品としての良好な品質を有する固体化粧料に対する需要が依然として存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】WO 95/017884
【特許文献2】JP-A-2004-285012
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、発色性及び固体化粧料としての品質が改善された、皮膚等のケラチン物質用の固体化粧用組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の本発明の目的は、
(a)少なくとも1種の、ポリビニルアルコールと脂肪酸とのポリエステル、
(b)少なくとも1種の酸性キレート剤、
(c)少なくとも1種の有機変性クレイ、
(d)少なくとも1種のシリカ粉末、及び
(e)少なくとも1種の染料
を含む固体化粧用組成物によって実現することができる。
【0010】
ポリビニルアルコールと脂肪酸とのポリエステルの脂肪酸は、直鎖状及び飽和のC6〜C30、好ましくはC8〜C24、一層好ましくはC10〜C18の脂肪酸とすることができる。
【0011】
酸性キレート剤は、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、アスコルビン酸、エチドロン酸、グリコール酸、フィチン酸、及びそれらの塩から選択することができる。
【0012】
変性クレイは、クオタニウム-18、C10〜C22脂肪酸のアンモニウムクロリド、及び/又はアリールジメチルベンゾイルアンモニウムクロリドで変性された、ヘクトライト、ベントナイト、ステアラルコニウム、及びそれらの混合物から選択することができ、好ましくは、ジステアルジモニウムヘクトライト、ステアラルコニウムヘクトライト、クオタニウム-18ヘクトライト、及びそれらの組合せから選択することができる。
【0013】
シリカ粉末は、多孔性シリカ粉末、非晶質シリカ粉末、沈降シリカ粉末、及びそれらの組合せから選択することができる。
【0014】
染料は、D&C Orange No.5、D&C Orange No.10、D&C Orange No.11、D&C Red No.19、D&C Red No.21、D&C Red No.22、D&C Red No.27、D&C Red No.28、D&C Red No.37、D&C Yellow No.7、D&C Yellow No.8、Acid Red 51、Acid Red 98、及びそれらの組合せから選択することができる。
【0015】
ポリビニルアルコールと脂肪酸とのポリエステルは、組成物の総質量に対して、0.05質量%から15質量%、好ましくは0.1質量%から10質量%、一層好ましくは0.3質量%から5質量%の範囲の含有量で存在することができる。
【0016】
酸性キレート剤は、組成物の総質量に対して、0.001質量%から5質量%、好ましくは0.005質量%から3質量%、一層好ましくは0.01質量%から1質量%の範囲の含有量で存在する。
【0017】
有機変性クレイは、組成物の総質量に対して、0.01質量%から10質量%、好ましくは0.05質量%から5質量%、一層好ましくは0.1質量%から3質量%の範囲の含有量で存在することができる。
【0018】
シリカ粉末は、組成物の総質量に対して、0.05質量%から15質量%、好ましくは0.2質量%から10質量%、一層好ましくは1質量%から5質量%の範囲の含有量で存在することができる。
【0019】
本発明の好ましい実施形態では、組成物は、少なくとも1種のグリコールを更に含む。
【0020】
グリコールは、カプリリルグリコール、ペンチレングリコール、エチルヘキシルグリセリン、及びそれらの混合物から選択することができる。
【0021】
本発明の好ましい実施形態では、組成物は、少なくとも1種の有機充填剤を更に含んでもよい。
【0022】
本発明の好ましい実施形態では、組成物はメイクアップ組成物とすることができ、好ましくは、コンパクトパウダー、プレスドパウダー若しくは成型パウダー、特にパウダー ファンデーション、又はルースパウダーの形態とすることができる。
【0023】
本発明はまた、前記成分(a)から(e)を混合することによって、本発明による組成物を調製する方法にも関する。
【0024】
本発明はまた、皮膚等のケラチン物質用の化粧方法であって、ケラチン物質に本発明による組成物を塗布する工程を含む化粧方法にも関する。
【発明を実施するための形態】
【0025】
鋭意検討の結果、本発明者らは驚くべきことに、本発明の成分(a)から(e)の組合せによって、発色性能及び固体化粧料としての品質が改善された固体化粧用組成物を提供できることを発見し、このようにして本発明を完成させた。
【0026】
したがって、本発明による、ケラチン物質、好ましくは皮膚用のパウダー状化粧用組成物は、
(a)少なくとも1種の、ポリビニルアルコールと脂肪酸とのポリエステル、
(b)少なくとも1種の酸性キレート剤、
(c)少なくとも1種の有機変性クレイ、
(d)少なくとも1種のシリカ粉末、及び
(e)少なくとも1種の染料
を含む。
【0027】
本発明による組成物は、固体化粧料のバルクとしての良好な品質に加えて、優れた発色性を有し、これらは化粧品分野において消費者に好都合である。
【0028】
以下に、本発明による組成物を詳細に説明していく。
【0029】
[組成物]
本発明による固体化粧用組成物は、(a)少なくとも1種の、ポリビニルアルコールと脂肪酸とのポリエステル、(b)少なくとも1種の酸性キレート剤、(c)少なくとも1種の有機変性クレイ、(d)少なくとも1種のシリカ粉末、及び(e)少なくとも1種の染料を含む。
【0030】
本発明による固体組成物は、固体状態である。本発明では、「固体」という用語は、温度25℃での組成物の状態の特徴を述べている。特に、本発明による組成物は、以下の条件下でTexture Analyzerで測定したとき、温度25℃及び大気圧(760mmHg)で、硬度が10を超え、好ましくは40を超え、一層好ましくは50を超える。
・製品:TA. XT plus、Stable Microsystems社
・可動プローブ(Mobile):P/3
・試験速度:1.0mm/秒
・距離:2mm
・トリガー力(Trigger force):2.0g
【0031】
(ポリビニルアルコールと脂肪酸とのポリエステル)
本発明による組成物は、(a)少なくとも1種の、ポリビニルアルコールと脂肪酸とのポリエステルを含む。(a)ポリビニルアルコールと脂肪酸とのポリエステルを2種以上組み合わせて使用してもよい。したがって、ポリビニルアルコールと脂肪酸との単一の種類のポリエステル、又はポリビニルアルコールと脂肪酸との異なる種類のポリエステルの組合せを使用することができる。
【0032】
(a)ポリビニルアルコールと脂肪酸とのポリエステル中に使用するポリビニルアルコールは、特に限定されず、従来のポリビニルアルコールを使用することができる。ポリビニルアルコールは一定の重合度を有する。例えば、500から2000の重合度を有するポリビニルアルコールを使用することができる。
【0033】
(a)ポリビニルアルコールと脂肪酸とのポリエステル中に使用する脂肪酸は、特に限定されず、任意選択により1つ又は複数のヒドロキシル基で置換されている、直鎖状又は分枝状の、飽和又は不飽和のC6〜C30脂肪酸を含むことができる。優先的には、直鎖状及び飽和のC6〜C30、好ましくはC8〜C24、一層好ましくはC10〜C18の脂肪酸が使用される。
【0034】
(a)ポリビニルアルコールと脂肪酸とのポリエステル中、ポリビニルアルコールのヒドロキシル基は脂肪酸でエステル化されている。ポリビニルアルコールのヒドロキシル基は脂肪酸で完全にエステル化されていてもよいし、又はポリビニルアルコールのヒドロキシル基は脂肪酸で部分的にエステル化されていてもよい。
【0035】
最も好ましくは、(a)ポリビニルアルコールと脂肪酸とのポリエステルは、ポリラウリン酸ビニル、例えばChimex社によりMexomere PPの名称で販売されているものである。
【0036】
(a)脂肪酸ビニルエステルポリマーは、本発明による組成物中に、組成物の総質量に対して、0.05質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、一層好ましくは0.3質量%以上の含有量で存在することができる。(a)脂肪酸ビニルエステルポリマーは、本発明による組成物中に、組成物の総質量に対して、15質量%以下、好ましくは10質量%以下、一層好ましくは5質量%以下の含有量で存在することができる。
【0037】
(a)脂肪酸ビニルエステルポリマーは、本発明による組成物中に、組成物の総質量に対して、0.05質量%から15質量%、好ましくは0.1質量%から10質量%、一層好ましくは0.3質量%から5質量%の範囲の含有量で存在することができる。
【0038】
(酸性キレート剤)
本発明による組成物は、(b)少なくとも1種の酸性キレート剤を含む。2種以上の(b)酸性キレート剤を組み合わせて使用してもよい。したがって、単一の種類の酸性キレート剤又は異なる種類の酸性キレート剤の組合せを使用することができる。
【0039】
「酸性キレート剤」という用語は、本明細書で使用する場合、キレート化する特性及び少なくとも1つの酸性官能基を有する化合物を指す。酸性官能基には、例えば、カルボン酸基及びリン酸基を含めることができる。
【0040】
好ましくは、本発明による組成物中に使用する酸性キレート剤は、部分的に油溶性である。酸性キレート剤は、本発明による組成物中に含まれてもよい油及び/又は有機溶媒に溶解して存在することが好ましい。
【0041】
本発明による組成物中に好ましく使用される酸性キレート剤には、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、アスコルビン酸、エチドロン酸、グリコール酸、フィチン酸、及びそれらの塩を含めることができる。
【0042】
(b)酸性キレート剤は、本発明による組成物中に、組成物の総質量に対して、0.001質量%以上、好ましくは0.005質量%以上、一層好ましくは0.01質量%以上の含有量で存在することができる。(b)酸性キレート剤は、本発明による組成物中に、組成物の総質量に対して、5質量%以下、好ましくは3質量%以下、一層好ましくは1質量%以下の含有量で存在することができる。
【0043】
(b)酸性キレート剤は、本発明による組成物中に、組成物の総質量に対して、0.001質量%から5質量%、好ましくは0.005質量%から3質量%、一層好ましくは0.01質量%から1質量%の範囲の含有量で存在することができる。
【0044】
(有機変性クレイ)
本発明による組成物は、(c)少なくとも1種の有機変性クレイを含む。2種以上の(c)有機変性クレイを組み合わせて使用してもよい。したがって、単一の種類の有機変性クレイ又は異なる種類の有機変性クレイの組合せを使用することができる。
【0045】
(c)有機変性クレイ中に使用するクレイには、例えば、モンモリロナイト、ヘクトライト、ベントナイト、バイデライト及びサポナイト等のスメクタイト族、スチーブンサイト族及びクロライト族を含めることができる。これらのクレイは、天然由来でも、又は合成由来でもよい。
【0046】
クレイは、好ましくは、ベントナイト及びヘクトライトから選択することができる。
【0047】
クレイは、第四級アンモニウム塩、第四級アミン、第三級アミン、酢酸アミン、イミダゾリン、アミン石けん、脂肪スルフェート、アルキルアリールスルホネート及びアミンオキシド、並びにそれらの混合物から選ばれる化合物で変性されていてもよい。好ましくは、クレイは、クオタニウム-18、又はC10〜C22脂肪酸のアンモニウムクロリド、及び/又はアリールジメチルベンゾイルアンモニウムクロリドで変性されていてもよい。
【0048】
挙げることができる好適な有機変性クレイには、C10〜C22脂肪酸のアンモニウムクロリドで変性されたヘクトライト、例えばジステアリルジメチルアンモニウムクロリドで変性されたヘクトライト、別称はクオタニウム-18ベントナイト、例えば、Elementis社によりBentone 3、Bentone 38及びBentone 38Vの名称で販売されているもの、United Catalyst社によりTixogel VPの名称で販売されているもの、Southern Clay社によりClaytone 34、Claytone 40及びClaytone XLの名称で販売されているもの;ステアリルジメチルベンゾイルアンモニウムクロリドで変性されたヘクトライト、別称はステアラルコニウムヘクトライト、例えば、Elementis社によりBentone 27Vの名称で販売されているもの、United Catalyst社によりTixogel LGの名称で販売されているもの、並びにSouthern Clay社によりClaytone AF及びClaytone APAの名称で販売されているもの;クオタニウム-18/ベンザルコニウムベントナイト、例えばSouthern Clay社によりClaytone HT及びClaytone PSの名称で販売されているもの;クオタニウム-18ヘクトライト、例えば、Elementis社によりBentone Gel DOA、Bentone Gel ECO5、Bentone Gel EUG、Bentone Gel IPP、Bentone Gel ISD、Bentone Gel SS71、Bentone Gel VS8及びBentone Gel VS38の名称で販売されているもの、並びにBiophil社によりSimagel M及びSimagel SI 345の名称で販売されているもの、並びにジステアリルジモニウムクロリドで変性されたヘクトライト、別称はジステアルジモニウムヘクトライト、例えば、Elementis社によりBentone 38V及びBentone 38 VCGの名称で販売されているものが含まれる。
【0049】
特に、有機変性クレイは、ジステアルジモニウムヘクトライト、ステアラルコニウムヘクトライト、クオタニウム-18ヘクトライト、及びそれらの組合せから選択することができる。
【0050】
(c)有機変性クレイは、本発明による組成物中に、組成物の総質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上、一層好ましくは0.1質量%以上の含有量で存在することができる。(c)有機変性クレイは、本発明による組成物中に、組成物の総質量に対して、10質量%以下、好ましくは5質量%以下、一層好ましくは3質量%以下の含有量で存在することができる。
【0051】
(c)有機変性クレイは、本発明による組成物中に、組成物の総質量に対して、0.01質量%から10質量%、好ましくは0.05質量%から5質量%、一層好ましくは0.1質量%から3質量%の範囲の含有量で存在することができる。
【0052】
(シリカ粉末)
本発明による組成物は、(d)少なくとも1種のシリカ粉末を含む。2種以上の(d)シリカ粉末を組み合わせて使用してもよい。したがって、単一の種類のシリカ粉末又は異なる種類のシリカ粉末の組合せを使用することができる。
【0053】
シリカ粉末は、シリケート粉末、非晶質シリカ粉末、沈降シリカ粉末、多孔性シリカ粉末、焼成シリカ粉末、ヒュームドシリカ粉末、中空シリカ粉末、シリカゲル、シリカエアロゲル、及びそれらの組合せから選択することができる。好ましくは、シリカ粉末は、多孔性シリカ粉末、非晶質シリカ粉末、及び沈降シリカ粉末から選択される。
【0054】
本発明による組成物中に使用するシリカ粉末は、表面処理剤で表面処理されていてもよく、又は表面処理されていなくてもよい。好ましくは、本発明による組成物中に使用するシリカ粉末は、表面処理剤で表面処理されていない。
【0055】
シリカ粉末は、平均一次粒径が30μm以下、好ましくは25μm以下、一層好ましくは20μm以下、更に一層好ましくは15μm以下とすることができる。「平均一次粒径」という用語は、本明細書で使用する場合、集団の半数に対して統計的粒径分布によって与えられる数平均粒子径を表し、D50と称される。例えば、数平均粒子径は、レーザー回折粒径分布アナライザー、例えばMalvern Corp社によるMastersizer 2000で測定することができる。
【0056】
シリカ粉末は、特に、油吸収能が高いシリカ粉末、例えば、多孔性シリカ、非晶質中空シリカ粉末、シリル化シリカ粉末、又は沈降シリカ粉末から選択することができる。シリカ粉末は、好ましくは、少なくとも1.0ml/g、好ましくは少なくとも1.5ml/g、一層好ましくは少なくとも2.0ml/gの油吸収能を有する。シリカの油吸収能は、当業者にとって従来の方法で測定することができる。
【0057】
挙げることができるシリカ粉末には、
- 多孔性シリカマイクロスフェア、特に、旭硝子株式会社によりSunsphere(登録商標)H53及びSunsphere(登録商標)H33(油吸収量は3.70ml/gに等しい)の名称で販売されているもの、Kobo社によりMSS-500-3Hの名称で販売されているもの、
- 非晶質中空シリカ粒子、特に、Kobo社によりSilica Shellsの名称で販売されているもの(油吸収量は5.50ml/gに等しい)、並びに
- ミネラルワックスで表面処理された沈降シリカ粉末、例えばポリエチレンワックスで処理された沈降シリカ、特に、Evonik-Degussa社によりAcematt OR 412の名称で販売されているもの(油吸収量は3.98ml/gに等しい)
が含まれる。
【0058】
(d)シリカ粉末は、本発明による組成物中に、組成物の総質量に対して、0.05質量%以上、好ましくは0.2質量%以上、一層好ましくは1質量%以上の含有量で存在することができる。(d)シリカ粉末は、本発明による組成物中に、組成物の総質量に対して、15質量%以下、好ましくは10質量%以下、一層好ましくは5質量%以下の含有量で存在することができる。
【0059】
(d)シリカ粉末は、本発明による組成物中に、組成物の総質量に対して、0.05質量%から15質量%、好ましくは0.2質量%から10質量%、一層好ましくは1質量%から5質量%の範囲の含有量で存在することができる。
【0060】
(染料)
本発明による組成物は、(e)少なくとも1種の染料を含む。2種以上の(e)染料を組み合わせて使用してもよい。したがって、単一の種類の染料又は異なる種類の染料の組合せを使用することができる。
【0061】
本発明による組成物中に使用する染料は、合成又は天然の有機染料から選択することができる。染料は、酸性染料でもよいし、又は塩基性染料でもよい。これらの染料は、例えば、アゾ染料、アントラキノン染料、インジゴイド染料、キサンテン染料、ピレン染料、キノリン染料、トリフェニルメタン染料及びフルオラン染料から、好ましくは酸性又は塩基性のキサンテン染料から選択することができる。
【0062】
染料の中でも、次の名称で知られているD&C認定の染料:D&C Orange No.5、D&C Orange No.10、D&C Orange No.11、D&C Red No.19、D&C Red No.21、D&C Red No.22、D&C Red No.27、D&C Red No.28、D&C Red No.37、D&C Yellow No.7、D&C Yellow No.8、Acid Red 51、Acid Red 98、及びそれらの組合せを特に挙げることができる。
【0063】
(e)染料は、本発明による組成物中に、組成物の総質量に対して、0.001質量%以上、好ましくは0.005質量%以上、一層好ましくは0.01質量%以上の含有量で存在することができる。(e)染料は、本発明による組成物中に、組成物の総質量に対して、5質量%以下、好ましくは1質量%以下、一層好ましくは0.5質量%以下の含有量で存在することができる。
【0064】
(e)染料は、本発明による組成物中に、組成物の総質量に対して、0.001質量%から5質量%、好ましくは0.005質量%から1質量%、一層好ましくは0.01質量%から0.5質量%の範囲の含有量で存在することができる。
【0065】
(他の成分)
・グリコール
本発明による組成物は、好ましくは少なくとも1種のグリコールを含んでもよい。好ましくは、グリコールは、カプリリルグリコール、ペンチレングリコール、エチルヘキシルグリセリン、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、ヘキシレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、及びそれらの混合物から選択することができ、一層好ましくは、カプリリルグリコール、ペンチレングリコール、エチルヘキシルグリセリン、及びそれらの混合物から選択することができ、更に一層好ましくは、カプリリルグリコール、ペンチレングリコール、及びエチルヘキシルグリセリンから選択することができる。
【0066】
グリコールは、組成物の総質量に対して、0.01質量%から10質量%、好ましくは0.05質量%から5質量%、一層好ましくは0.1質量%から1質量%の範囲の含有量で存在することができる。
【0067】
・ワックス
本発明による組成物は、好ましくは少なくとも1種のワックスを含んでもよい。好ましくは、ワックスは、カルナウバワックス、マイクロクリスタリンワックス、オゾケライト、水添ホホバ油、ポリエチレンワックス、シリコーンワックス、パーム脂、ステアリン酸C20〜C40アルキル、安息香酸ステアリル、セラックワックス、及びそれらの混合物から選択することができる。
【0068】
ワックスは、組成物の総質量に対して、0.1質量%から30質量%、好ましくは1質量%から20質量%、一層好ましくは5質量%から15質量%の範囲の含有量で存在することができる。
【0069】
・油
本発明による組成物は、好ましくは少なくとも1種の油を含んでもよい。好ましくは、油は、不揮発性の、炭化水素系油、フルオロ油及び/又はシリコーン油から好ましくは選択される不揮発性油とすることができる。
【0070】
不揮発性炭化水素系油は、
- 動物由来の炭化水素系油、例えばペルヒドロスクワレン、
- 植物由来の炭化水素系油、例えば、フィトステアリルエステル、例えば、オレイン酸フィトステアリル、イソステアリン酸フィトステアリル及びラウロイル/オクチルドデシル/フィトステアリルグルタメート、グリセロールの脂肪酸エステルから形成されるトリグリセリド、特にその脂肪酸がC4〜C36、特にC18〜C36の範囲の鎖長を有し得るものであり、これらの油は場合によって、直鎖状又は分枝状、飽和又は不飽和であり;これらの油は、特に、ヘプタン酸トリグリセリド又はオクタン酸トリグリセリド、シア油、アルファルファ油、ケシ油、冬カボチャ油、キビ油、オオムギ油、キノア油、ライムギ油、ククイ油、トケイソウ油、シア脂、アロエベラ油、スイートアーモンド油、モモ核油、落花生油、アルガン油、アボカド油、バオバブ油、ルリジサ油、ブロッコリー油、キンセンカ油、カメリナ油、キャノーラ油、ニンジン油、サフラワー油、アマニ油、アブラナ種子油、綿実油、ヤシ油、ペポカボチャ種子油、コムギ胚芽油、ホホバ油、ユリ油、マカデミア油、コーン油、メドウフォーム油、モノイ油、ヘーゼルナッツ油、杏仁油、クルミ油、オリーブ油、月見草油、パーム油、クロフサスグリ種子油、キウイ種子油、ブドウ種子油、ピスタチオ油、冬カボチャ油、カボチャ油、キノア油、ムスクローズ油、ゴマ油、ダイズ油、ヒマワリ油、ヒマシ油及びスイカ油、並びにそれらの混合物、或いはカプリル酸/カプリン酸トリグリセリドとすることができ、
- 無機又は合成由来の直鎖状又は分枝状炭化水素、例えば流動パラフィン及びその誘導体、ワセリン、ポリデセン、ポリブテン、水添ポリイソブテン、例えばParleam、及びスクワラン、
- 10から40個の炭素原子を含有する合成エーテル、
- 合成エステル、例えば、式R1COOR2の油であり、式中、R1は、1から40個の炭素原子を含有する直鎖状又は分枝状の脂肪酸残基を表し、R2は、1から40個の炭素原子を含有する(但しR1+R2≧10である)特に分枝状の炭化水素系鎖を表す。エステルは、特に、アルコールの脂肪酸エステル、例えばオクタン酸セトステアリル、イソプロピルアルコールエステル、例えば、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸エチル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、ステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソステアリル、ステアリン酸オクチル、ヒドロキシル化エステル、例えば、乳酸イソステアリル、ヒドロキシステアリン酸オクチル、アジピン酸ジイソプロピル、ヘプタン酸エステル、及び特にヘプタン酸イソステアリル、オクタン酸アルコール若しくはオクタン酸多価アルコール、デカン酸アルコール若しくはデカン酸多価アルコール、又はリシノール酸アルコール若しくはリシノール酸多価アルコール、例えば、ジオクタン酸プロピレングリコール、オクタン酸セチル、オクタン酸トリデシル、4-ジヘプタン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、安息香酸アルキル、ジヘプタン酸ポリエチレングリコール、2-ジエチルヘキサン酸プロピレングリコール、及びそれらの混合物、C12〜C15アルコールベンゾエート、ラウリン酸ヘキシル、ネオペンタン酸エステル、例えば、ネオペンタン酸イソデシル、ネオペンタン酸イソトリデシル、ネオペンタン酸イソステアリル、ネオペンタン酸オクチルドデシル、イソノナン酸エステル、例えば、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、イソノナン酸オクチル、ヒドロキシル化エステル、例えば乳酸イソステアリル及びリンゴ酸ジイソステアリルから選ぶことができ、
- 任意選択により部分的に炭化水素系及び/又はシリコーン系であるフルオロ油、例えばフルオロシリコーン油、フルオロポリエーテル及びフルオロシリコーン、
- シリコーン油、例えば、直鎖状又は環状の不揮発性ポリジメチルシロキサン(PDMS);ペンダントであるか、又はシリコーン鎖の末端にあり、2から24個の炭素原子を含有する、アルキル基、アルコキシ基又はフェニル基を含む、ポリジメチルシロキサン;フェニルシリコーン、例えば、フェニルトリメチコン、フェニルジメチコン、フェニルトリメチル-シロキシジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコン、ジフェニルメチルジフェニルトリシロキサン及び2-フェニルエチルトリメチルシロキシシリケート、並びに
- それらの混合物
から選択することができる。
【0071】
油は、組成物の総質量に対して、10質量%から90質量%、好ましくは30質量%から80質量%、一層好ましくは50質量%から70質量%の範囲の含有量で存在することができる。
【0072】
・有機溶媒
本発明による組成物は、好ましくは、化粧料として許容される、前記グリコールとは異なる少なくとも1種の有機溶媒を含んでもよい。挙げることができる有機溶媒の例には、2から10個の炭素原子を含有する、直鎖状又は分枝状の、好ましくは飽和のモノアルコール、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール;芳香族アルコール、例えばベンジルアルコール及びフェニルエチルアルコール;グリセロール;ポリオール又はポリオールエーテル、例えば、エチレングリコールモノメチル、モノメチルエーテル及びモノブチルエーテル、2-ブトキシエタノール、プロピレングリコールエーテル、例えばプロピレングリコール、ブチレングリコール又はジプロピレングリコールモノメチルエーテル;更には特にC1〜C4のジエチレングリコールアルキルエーテル、例えばジエチレングリコールモノエチルエーテル又はジエチレングリコールモノブチルエーテル、炭酸プロピレンも、単独で又は混合物として、含まれる。
【0073】
有機溶媒は、組成物の総質量に対して、0.001質量%から10質量%、好ましくは0.005質量%から5質量%、一層好ましくは0.01質量%から1質量%の範囲の含有量で存在することができる。
【0074】
・無機充填剤
本発明による組成物は、好ましくは、(d)シリカ粉末以外の少なくとも1種の追加の無機充填剤を含んでもよい。追加の無機充填剤は、タルク、マイカ、カオリン、セリサイト、焼成タルク、焼成マイカ、焼成セリサイト、オキシ塩化ビスマス、硫酸バリウム、合成マイカ、合成フルオロフロゴパイト、窒化ホウ素、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、水酸化アルミニウム、及びそれらの組合せから選択することができる。
【0075】
追加の無機充填剤は、組成物の総質量に対して、1質量%から60質量%、好ましくは5質量%から40質量%、一層好ましくは10質量%から30質量%の範囲の含有量で存在することができる。
【0076】
・有機充填剤
本発明による組成物は、好ましくは、少なくとも1種の有機充填剤を含んでもよい。有機充填剤として、(メタ)アクリル粉末又は(メタ)アクリレート粉末、例えば、ポリメタクリル酸メチルクロスポリマー;ポリアクリロニトリル粉末;オルガノポリシロキサン粉末、ポリアミド粉末、例えば、ナイロン-6粉末及びナイロン-12、ポリ-β-アラニン粉末及びポリエチレン粉末、ポリテトラフルオロエチレン粉末、ラウロイルリシン、デンプン、テトラフルオロエチレンポリマー粉末、例えばアクリル酸(アルキル)を含む中空ポリマーマイクロスフェア、8から22個の炭素原子を含有する有機カルボン酸から誘導された金属石けん、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸リチウム、ラウリン酸亜鉛、ミリスチン酸マグネシウム、シリコーン樹脂マイクロビーズ、ポリウレタン粉末、カルナウバマイクロワックス、合成マイクロワックス、カルナウバワックスとポリエチレンワックスとの混合物から形成されるマイクロワックス、カルナウバワックスと合成ワックスとの混合物から形成されるマイクロワックス、及びポリエチレンマイクロワックスを挙げることができる。
【0077】
有機充填剤は、組成物の総質量に対して、0.1質量%から20質量%、好ましくは0.5質量%から15質量%、一層好ましくは2質量%から10質量%の範囲の含有量で存在することができる。
【0078】
・添加剤
本発明による組成物には、添加剤が本発明の効果を損なわず、化粧料用途に許容される限り、それらの添加剤を含めることができる。添加剤は、陰イオン性、陽イオン性、非イオン性又は両性のポリマー;陰イオン性、陽イオン性、非イオン性又は両性の界面活性剤;天然又は合成の増粘剤;滑沢剤又は分散剤;ゲル化剤;動物又は植物由来の天然抽出物;無機及び/又は有機のUV遮蔽剤;化粧料活性剤;前記染料とは異なる着色剤;ペプチド及びその誘導体;タンパク加水分解物;防腐剤;補助防腐剤;殺菌剤;ビタミン又はプロビタミン;香料;安定化剤、並びにそれらの混合物から選択することができる。
【0079】
添加剤の量は、限定されるものではないが、本発明による組成物の総質量に対して0.1から30質量%とすることができる。
【0080】
本発明の組成物は、化粧用組成物とすることができ、好ましくは、例えば、顔、唇、首及び身体の皮膚等のケラチン物質用の固体化粧用組成物とすることができ、一層好ましくは皮膚の化粧用メイクアップ組成物とすることができる。本発明による組成物は、コンパクトパウダー、プレスドパウダー若しくは成型パウダー、特にパウダーファンデーション、又はルースパウダーの形態で提供することができる。
【0081】
本発明による組成物は、好ましくは無水であるか、又は組成物の総質量に対して、3質量%未満の水、好ましくは1質量%未満の水を含有する。「無水」という用語は、好ましくは組成物に水が意図的に添加されていないが、組成物に使用される種々の化合物中には水が微量に存在していてもよいことを特に意味する。
【0082】
本発明による組成物は、(a)ポリビニルアルコールと脂肪酸とのポリエステル、(c)有機変性クレイ、(d)シリカ粉末、(e)染料、及びパウダー状混合物を得るために必要に応じて他の成分を混合することによって製造することができる。これらの成分を混合する間、必要に応じてこれらを加熱することができる。次いで、(b)酸性キレート剤をパウダー状混合物に添加し、混合して均質にすることができる。(b)酸性キレート剤は、必要に応じて、グリコール等の好適な溶媒と一緒に添加してもよい。本発明による組成物がコンパクトパウダーの形態である場合、得られた混合物を、更にプレス機で皿の中にプレスすることができる。本発明による組成物が成型パウダーの形態である場合、得られた混合物を、更に鋳型に入れて成型し、次いで、固まった成型物が得られるまで冷却することができる。
【0083】
[化粧方法]
本発明による組成物は、好ましくは皮膚等のケラチン物質用の化粧用組成物として使用することができる。特に、本発明による組成物は、染料の発色を理由として魅力的な外観を作るために、例えば、顔、唇、首及び身体の皮膚等のケラチン物質に塗布するように意図され得る。組成物は一般に、皮膚等のケラチン物質に、スポンジ塗布具を用いて又は用いずに塗布される。
【0084】
したがって、本発明はまた、皮膚、好ましくは顔面皮膚に、本発明による組成物を塗布する工程を含む化粧方法にも関する。化粧方法は、好ましくは、皮膚、好ましくは顔面皮膚又は唇をメイクアップ及び/又はケアする工程を含む。組成物は、スポンジ、パフ又はブラシ等の塗布具で、粉末をこすり取ることによって取り上げることができる。次いで組成物は、塗布具を皮膚に接触させることにより、塗布具から皮膚に移される。
【0085】
本発明に従って使用される組成物は、好ましくはリーブオンタイプの化粧用組成物として使用するように意図されている。「リーブオン」という用語は、塗布直後に洗い落としたり除去したりすることを意図していない組成物を意味する。
【0086】
本発明による組成物の発色性が改善されていることを理由として、本発明による化粧方法は、魅力的な外観を提供することができる。
【実施例】
【0087】
本発明を、実施例を通してより詳細に説明していく。しかしながら、これらの実施例が本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0088】
[組成物]
実施例1及び2並びに比較例1から5の組成物は、Table 1(表1)に示されており、これらを以下の調製プロトコールに従って調製した。Table 1(表1)中、全ての成分は原材料の活性物質としての「質量部」に基づいている。ジステアルジモニウムヘクトライトはElementis社から入手し(商品名:Bentone 38 VCG)、シリカ粉末はKobo社から入手し(商品名:Silica Shells)、ポリラウリン酸ビニルはChimex社から入手した(商品名:Mexomere)。
【0089】
[調製プロトコール]
1)クエン酸及びカプリリルグリコール以外の全ての成分をガラスビーカーに入れ、95℃に加熱してポリエチレン及びオゾケライトを融解させ、このようにして融解したパウダー状混合物を得た。
2)クエン酸とカプリリルグリコールとのプレミックス又はカプリリルグリコール単独を、融解したパウダー状混合物に入れ、混合した。
3)得られた混合物を鋳型に入れて成型し、混合物を鋳型の中で冷却して、固体化粧用組成物の試験試料を得た。
【0090】
[評価]
(バルクの品質)
固体化粧料としてのバルクの品質を、実施例1及び2並びに比較例1から5の試験組成物の各々について、その外観、香り、及び硬度を評価することによって査定した。品質が製品として良好であった場合、「良好」と格付けした。品質が良好でなかった場合、「不良」と格付けした。
【0091】
(発色)
皮膚上の発色性を、実施例1及び2並びに比較例1から5の試験組成物の各々について、組成物を前腕に塗布し、その発色を観察することによって査定した。塗布直後の色が透明で、色が1分後に現れた場合、「良好」と格付けした。塗布直後に色が既に現れていた、又は色が1分経っても変化しなかった場合、「不良」と格付けした。
【0092】
これらの評価の結果をTable 1(表1)に示す。
【0093】
【表1】
【0094】
ポリビニルアルコールと脂肪酸とのポリエステル、酸性キレート剤、有機変性クレイ、シリカ粉末、及び染料を含む、実施例1及び2の固体組成物は、改善されたバルクの品質及び発色性を示した。
【0095】
それに対して、酸性キレート剤を含まない比較例1及び2の組成物は、良好なバルクの品質を示したが、良好な発色性を示さなかった。シリカ粉末を含まない比較例3の組成物、ポリビニルアルコールと脂肪酸とのポリエステルを含まない比較例4の組成物、及び有機変性クレイを含まない比較例5の組成物は、良好な発色性を示したが、良好なバルクの品質は示さなかった。
【0096】
これらの実施例により、本発明は、固体化粧用組成物に、固体化粧料としての優れたバルクの品質及び優れた発色性を付与することができるため、大きな有益性を有し、したがって本発明による組成物は、メイクアップ化粧用組成物として極めて有用であることが明白に示されている。