特許第6921605号(P6921605)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6921605
(24)【登録日】2021年7月30日
(45)【発行日】2021年8月18日
(54)【発明の名称】塗布方法
(51)【国際特許分類】
   B05D 1/40 20060101AFI20210805BHJP
   B05D 1/36 20060101ALI20210805BHJP
   H01L 21/027 20060101ALI20210805BHJP
【FI】
   B05D1/40 A
   B05D1/36 Z
   H01L21/30 564D
   H01L21/30 569C
【請求項の数】9
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2017-85142(P2017-85142)
(22)【出願日】2017年4月24日
(65)【公開番号】特開2018-183714(P2018-183714A)
(43)【公開日】2018年11月22日
【審査請求日】2019年12月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100093056
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100142930
【弁理士】
【氏名又は名称】戸高 弘幸
(74)【代理人】
【識別番号】100175020
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 知彦
(74)【代理人】
【識別番号】100180596
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 要
(74)【代理人】
【識別番号】100195349
【弁理士】
【氏名又は名称】青野 信喜
(72)【発明者】
【氏名】吉田 省吾
(72)【発明者】
【氏名】小椋 浩之
(72)【発明者】
【氏名】吉田 隆一
【審査官】 河内 浩志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−093371(JP,A)
【文献】 特開2013−235957(JP,A)
【文献】 特開2012−104602(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0227120(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05D 1/00− 7/26
B05C 7/00−21/00
H01L21/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に薬液を塗布する塗布方法であって、
基板に溶剤を供給する溶剤供給工程と、
前記溶剤供給工程の後、基板に薬液を供給する薬液供給工程と、
を備え、
基板は、基板の上面に形成された凹部を有し、
前記溶剤供給工程は、
基板を第1回転速度で回転させ、基板の中心部の上方の中心位置と基板の周縁部の上方の周縁位置とにわたって溶剤ノズルを移動させ、且つ、前記溶剤ノズルから溶剤を吐出させる第1工程と、
を備え
前記第1回転速度は、0rpmより大きく、且つ、500rpm未満であり、
前記溶剤ノズルは溶剤を吐出する吐出口を有し、
前記第1工程において前記溶剤ノズルが前記中心位置と前記周縁位置の間を移動する期間に基板が回転する回数は、基板の半径を前記吐出口の寸法で除した基準値以上である塗布方法。
【請求項2】
請求項に記載の塗布方法において、
前記第1工程において前記溶剤ノズルが前記中心位置と前記周縁位置の間を移動する期間は、前記基準値を前記第1回転速度で除した第1基準時間以上である塗布方法。
【請求項3】
請求項またはに記載の塗布方法において、
前記溶剤供給工程は、
基板上に溶剤が盛られた状態を保つ液盛工程と、
を備える塗布方法。
【請求項4】
請求項からのいずれかに記載の塗布方法において、
前記溶剤供給工程は、
基板を第2回転速度で回転させ、前記中心位置と前記周縁位置とにわたって前記溶剤ノズルを移動させ、且つ、前記溶剤ノズルから溶剤を吐出させる第2工程と、
を備える塗布方法。
【請求項5】
請求項に記載の塗布方法において、
前記第2回転速度は、0rpmより大きく、且つ、500rpm未満である塗布方法。
【請求項6】
請求項からのいずれかに記載の塗布方法において、
前記溶剤供給工程は、
基板を回転させ、基板上に形成される溶剤の膜の厚みを薄くする薄膜化工程と、
を備える塗布方法。
【請求項7】
請求項1からのいずれかに記載の塗布方法において、
前記第1工程では、前記溶剤ノズルは前記中心位置から前記周縁位置に移動する塗布方法。
【請求項8】
請求項1からのいずれかに記載の塗布方法において、
前記溶剤ノズルから吐出された溶剤は、棒状に流下する塗布方法。
【請求項9】
請求項1からのいずれかに記載の塗布方法において、
基板は平面視で円形状を有する塗布方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に薬液を塗布する塗布方法に関する。基板は、半導体ウェハ、フォトマスク用のガラス基板、液晶表示用基板、プラズマディスプレイ用基板、有機EL用基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスプレイ用基板、磁気ディスク用基板、光ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、太陽電池用基板などである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、基板上にレジスト膜を形成する塗布方法を開示する。塗布方法は溶剤供給工程と薬液供給工程を備える。溶剤供給工程は基板に溶剤を滴下する。より詳しくは、溶剤供給工程は、静止した基板の中心部に溶剤を滴下する。溶剤を滴下した後、溶剤供給工程は、基板を回転させて溶剤を振り切る。薬液供給工程は、基板を回転させ、且つ、基板に薬液(具体的にはレジスト膜材料)を滴下する。薬液を滴下した後、薬液供給工程は、基板を回転させて薬液を振り切る。
【0003】
上述した通り、塗布方法は溶剤供給工程を備える。このため、薬液供給工程では、薬液を同心円状に広げることができる。換言すれば、薬液供給工程において、薬液が基板の周縁部の一部に向かって細長く延びることを防止できる。よって、基板と薬液の間に気泡が生じることを抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−175966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような構成を有する従来例の場合には、次のような問題がある。
従来の塗布方法であっても、薬液を基板に適切に塗布することが困難な場合がある。例えば、薬液が基板の一部に塗布されない場合がある。このような現象は、「膜切れ」または「塗り残し」などと呼ばれる。さらに、例えば、基板上に形成された薬液の塗膜が、均一な膜厚を有しない場合がある。
【0006】
特に、基板がその上面に形成された凹部を含むとき、薬液を基板に適切に塗布することがさらに困難になる。例えば、薬液が一部の凹部のみに入り、他の凹部に入らない場合がある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、薬液を基板に適切に塗布できる塗布方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、本発明は、基板に薬液を塗布する塗布方法であって、基板に溶剤を供給する溶剤供給工程と、前記溶剤供給工程の後、基板に薬液を供給する薬液供給工程と、を備え、前記溶剤供給工程は、基板を第1回転速度で回転させ、基板の中心部の上方の中心位置と基板の周縁部の上方の周縁位置とにわたって溶剤ノズルを移動させ、且つ、前記溶剤ノズルから溶剤を吐出させる第1工程と、を備える塗布方法である。
【0009】
第1工程は、基板を回転させ、中心位置と周縁位置とにわたって溶剤ノズルを移動させ、且つ、溶剤ノズルから溶剤を吐出させる。溶剤ノズルが中心位置に位置するとき、溶剤ノズルは基板の中心部に溶剤を落下させる。溶剤ノズルが周縁位置に位置するとき、溶剤ノズルは基板の周縁部に溶剤を落下させる。このように、第1工程は、基板の中心部にも基板の周縁部にも、溶剤を同じ様に供給する。よって、第1工程は、基板の全体にわたって均一に、溶剤を供給できる。
【0010】
薬液供給工程は、溶剤供給工程の後に行われる。溶剤が基板の全体にわたって均一に供給されているので、薬液供給工程は薬液を基板に適切に供給できる。このように、本塗布方法によれば、薬液を基板に適切に塗布できる。
【0011】
上述の塗布方法において、前記第1回転速度は、0rpmより大きく、且つ、500rpm未満であり、前記溶剤ノズルは溶剤を吐出する吐出口を有し、前記第1工程において前記溶剤ノズルが前記中心位置と前記周縁位置の間を移動する期間に基板が回転する回数は、基板の半径を前記吐出口の寸法で除した基準値以上であることが好ましい。
【0012】
第1回転速度は比較的に低い。よって、仮に基板が凹部を有する場合、溶剤は凹部に容易に入ることができる。溶剤が凹部に入ることによって、薬液供給工程では薬液が凹部に円滑に入ることができる。
【0013】
さらに、第1工程において溶剤ノズルが中心位置と周縁位置の間を移動する期間に基板が回転する回数は、基準値以上である。換言すれば、第1工程では、溶剤ノズルが中心位置と周縁位置の間を移動する期間に、基板は、基準値以上の回数、回転する。このため、溶剤は、基板のほとんどの部分に落下する。よって、第1工程は、基板の全体にわたって一層均一に、溶剤を供給できる。
【0014】
上述の塗布方法において、前記第1工程において前記溶剤ノズルが前記中心位置と前記周縁位置の間を移動する期間は、前記基準値を前記第1回転速度で除した第1基準時間以上であることが好ましい。換言すれば、上述の塗布方法において、第1工程では、溶剤ノズルは、第1基準時間以上の時間をかけて、中心位置と周縁位置の間を移動することが好ましい。これによれば、溶剤は、基板のほとんどの部分に同じ様に落下する。よって、第1工程は、基板の全体にわたって一層均一に、溶剤を供給できる。
【0015】
上述の塗布方法において、前記溶剤供給工程は、基板上に溶剤が盛られた状態を保つ液盛工程と、を備えることが好ましい。液盛工程では、基板に溶剤を好適に馴染ませることができる。仮に基板が凹部を有する場合、溶剤は凹部に一層容易に入ることができる。
【0016】
上述の塗布方法において、前記溶剤供給工程は、基板を第2回転速度で回転させ、前記中心位置と前記周縁位置とにわたって前記溶剤ノズルを移動させ、且つ、前記溶剤ノズルから溶剤を吐出させる第2工程と、を備えることが好ましい。第2工程は、第1工程と類似する工程である。すなわち、第2工程は、基板を回転させ、中心位置と周縁位置とにわたって溶剤ノズルを移動させ、且つ、溶剤ノズルから溶剤を吐出させる。よって、第2工程は、基板の全体にわたって均一に、溶剤を供給できる。溶剤供給工程は第1工程に加えて第2工程を備えるので、基板の全体にわたって一層均一に、溶剤を供給できる。
【0017】
上述の塗布方法において、前記第2回転速度は、0rpmより大きく、且つ、500rpm未満であることが好ましい。第2回転速度は比較的に低い。よって、仮に基板が凹部を有する場合、溶剤は凹部に容易に入ることができる。溶剤が凹部に入ることによって、薬液供給工程では薬液が凹部に円滑に入ることができる。
【0018】
上述の塗布方法において、前記溶剤供給工程は、基板を回転させ、基板上に形成される溶剤の膜の厚みを薄くする薄膜化工程と、を備えることが好ましい。溶剤供給工程は薄膜化工程を備える。このため、薬液供給工程は、比較的に薄い溶剤の膜上に、薬液を供給する。その結果、薬液の塗膜の厚みがばらつくことを好適に防止できる。
【0019】
上述の塗布方法において、前記第1回転速度は500rpm以上であることが好ましい。第1回転速度は比較的に高い。よって、仮に基板が凹部を有する場合、溶剤は凹部に入りにくい。このため、仮に基板が凹部を有する場合、凹部を溶剤で満たさずに凹部の上方を溶剤で覆うことができる。以下では、凹部を溶剤で満たさずに凹部の上方を溶剤で覆うことを、「凹部を溶剤でテンティングする」と言う。凹部が溶剤でテンティングされているので、薬液供給工程では、凹部を薬液で満たさずに凹部の上方を薬液で覆うことができる。以下では、凹部を薬液で満たさずに凹部の上方を薬液で覆うことを、「凹部を薬液でテンティングする」と言う。
【0020】
上述の塗布方法において、前記溶剤ノズルは溶剤を吐出する吐出口を有し、前記第1工程において前記溶剤ノズルが前記中心位置と前記周縁位置の間を移動する期間に基板が回転する回数は、基板の半径を前記吐出口の寸法で除した基準値の±20%の範囲内であることが好ましい。換言すれば、上述の塗布方法において、第1工程では、溶剤ノズルが中心位置と周縁位置の間を移動する期間に、基板は、基準値の±20%の範囲内の回数、回転することが好ましい。これによれば、溶剤が基板のほとんどの部分に落下する。よって、第1工程は、基板の全体にわたって一層均一に、溶剤を供給できる。
【0021】
上述の塗布方法において、前記第1工程において前記溶剤ノズルが前記中心位置と前記周縁位置の間を移動する期間は、前記基準値を前記第1回転速度で除した第1基準時間の±20%の範囲内であることが好ましい。換言すれば、上述の塗布方法において、第1工程では、溶剤ノズルは、第1基準時間の±20%の範囲内の時間をかけて、中心位置と周縁位置の間を移動することが好ましい。これによれば、溶剤は、基板のほとんどの部分に同じ様に落下する。よって、第1工程は、基板の全体にわたって一層均一に、溶剤を供給できる。
【0022】
上述の塗布方法において、前記溶剤供給工程は、基板を回転させ、基板上に形成される溶剤の膜の厚みを薄くする薄膜化工程と、を備えることが好ましい。溶剤供給工程は薄膜化工程を備える。このため、薬液供給工程は、比較的に薄い溶剤の膜上に、薬液を供給する。その結果、薬液の塗膜の厚みがばらつくことを好適に防止できる。
【0023】
上述の塗布方法において、前記溶剤供給工程は、前記第1工程と前記薄膜化工程のみを行うことが好ましい。溶剤供給工程に要する時間を短縮できる。さらに、溶剤供給工程で使用する溶剤の量を低減できる。仮に基板が凹部を有する場合、凹部を溶剤で一層好適にテンティングできる。その結果、薬液供給工程では凹部を薬液で一層好適にテンティングできる。
【0024】
上述の塗布方法において、前記薬液供給工程において基板に供給する薬液は、200cP以上の粘度を有することが好ましい。薬液は比較的に高い粘度を有する。このため、仮に基板が凹部を有する場合、薬液は凹部に一層入りにくい。よって、仮に基板が凹部を有する場合、凹部を薬液で一層好適にテンティングできる。
【0025】
上述の塗布方法において、前記第1工程では、前記溶剤ノズルが前記中心位置から前記周縁位置に移動することが好ましい。溶剤ノズルは、周縁位置よりも先に中心位置で溶剤を吐出する。中心位置では、溶剤ノズルは基板に溶剤を円滑に供給できる。さらに、溶剤ノズルを中心位置から周縁位置に移動する。このため、溶剤を基板の中心部から周縁部にわたって円滑に供給できる。
【0026】
上述の塗布方法において、溶剤ノズルから吐出された溶剤は、棒状に流下することが好ましい。溶剤ノズルは基板上に溶剤を好適に落下させることができる。
【0027】
上述の塗布方法において、基板は平面視で円形状を有することが好ましい。換言すれば、上述の塗布方法において、基板は円形基板であることが好ましい。溶剤供給工程は、基板の全体にわたって一層均一に、溶剤を供給できる。同様に、薬液供給工程は、基板の全体にわたって一層均一に、薬液を供給できる。
【0028】
上述の塗布方法において、基板は、基板の上面に形成された凹部を有することが好ましい。基板が凹部を有する場合であっても、本塗布方法の溶剤供給工程は、基板の全体にわたって均一に、溶剤を供給できる。その結果、薬液供給工程は、薬液を基板に適切に供給
できる。このように、基板が凹部を有する場合には、本塗布方法は特に高い有用性を有する。
【0029】
ここで、「凹部」は、例えば、基板の上面に形成されたパターンの一部である。
【発明の効果】
【0030】
本発明に係る塗布方法によれば、薬液を基板に適切に塗布できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】実施例1に係る基板処理装置の概略構成を示す図である。
図2】溶剤ノズルの側面図である。
図3】溶剤ノズルの底面図である。
図4】実施例1に係る基板処理装置の平面図である。
図5】溶剤ノズルの位置を説明する側面図である。
図6図6(a)−6(f)は、実施例1に係る溶剤供給工程を模式的に示す図である。
図7】実施例1に係る塗布方法の手順を示すフローチャートである。
図8】第1工程の動作を説明する平面図である。
図9】落下領域を模式的に示した平面図である。
図10図10(a)、10(b)は、実施例1に係る薬液供給工程を模式的に示す図である。
図11図11(a)−11(d)は、比較例に係る塗布方法を模式的に示す図である。
図12図12(a)、12(b)は、実施例1に係る第1工程の概念図である。
図13図13(a)、13(b)は、比較例の溶剤供給工程の概念図である。
図14】薬液ノズルの底面図である。
図15】実施例2に係る基板処理装置の平面図である。
図16】実施例2に係る塗布方法の手順を示すフローチャートである。
図17図17(a)−17(c)は、実施例2に係る溶剤供給工程を模式的に示す図である。
図18図18(a)−18(c)は、実施例2に係る薬液供給工程を模式的に示す図である。
図19】実施例2に係る回転工程を示す図である。
図20図20(a)、20(b)は、実施例2に係る第1工程の概念図である。
【実施例1】
【0032】
以下、図面を参照して、本発明の実施例1を説明する。
【0033】
1.基板処理装置1の概要
図1は、実施例1に係る基板処理装置の概略構成を示す図である。基板処理装置1は、基板(例えば、半導体ウエハ)Wに薬液を塗布する。
【0034】
基板処理装置1は、基板Wを回転可能に保持する回転保持部11を備える。回転保持部11は、スピンチャック13と駆動部15を含む。スピンチャック13は基板Wを略水平姿勢で保持する。スピンチャック13は、基板Wの下面の中央部を吸着することによって、基板Wを保持する。駆動部15はスピンチャック13の下部に連結される。駆動部15は、スピンチャック13及び基板Wを一体に回転させる。基板Wは回転中心A回りに回転する。回転中心Aは鉛直方向と略平行である。基板Wは中心部Cと周縁部Eを含む。回転中心Aは基板Wの中心部Cを通る。駆動部15は例えばモータである。
【0035】
基板処理装置1は、溶剤を基板Wに供給する溶剤供給部21を備える。溶剤供給部21は、溶剤供給源23と配管24と開閉弁25と溶剤ノズル26と移動機構27を備える。溶剤供給源23は溶剤を貯留する。配管24は、溶剤供給源23と連通接続される第1端を有する。配管24は、溶剤ノズル26と連通接続される第2端を有する。開閉弁25は配管24上に設けられる。開閉弁25は、配管24内の溶剤の流路を開閉する。溶剤ノズル26は溶剤を吐出する。移動機構27は溶剤ノズル26を移動する。
【0036】
溶剤は、例えば有機溶剤である。溶剤は、例えば、シンナー、PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)、乳化エチル、IPA(イソプロピルアルコール)などである。
【0037】
基板処理装置1は、薬液を基板Wに供給する薬液供給部31を備える。薬液供給部31は、薬液供給源33と配管34と開閉弁35と薬液ノズル36と移動機構37を備える。薬液供給源33は薬液を貯留する。配管34は、薬液供給源33に連通接続される第1端を有する。配管34は、薬液ノズル36に連通接続される第2端を有する。開閉弁35は配管34上に設けられる。開閉弁35は、配管34内の薬液の流路を開閉する。薬液ノズル36は薬液を吐出する。移動機構37は薬液ノズル36を移動する。
【0038】
薬液は、例えば基板W上に塗膜を形成する塗布液である。塗膜は、例えば、レジスト膜、保護膜、絶縁膜、SOG(Spin On Glass)膜またはSOD(Spin On Dielectric)膜である。絶縁膜は、層間絶縁膜を含む意味である。塗布液は、例えばポリイミド等の樹脂を含む。塗布液は、例えばレジスト膜材料、保護膜材料、絶縁膜材料、SOG膜材料またはSOD膜材料である。
【0039】
基板処理装置1は飛散防止カップ38を備える。飛散防止カップ38はスピンチャック13の周囲に配置される。飛散防止カップ38は、基板Wから飛散する処理液(すなわち、薬液や溶剤など)を受け止めて回収する。
【0040】
基板処理装置1は、制御部39を備える。制御部39は、上述した各構成を統括的に制御する。具体的には、制御部39は、駆動部15を制御して基板Wの回転速度(回転数)を調整する。制御部39は、移動機構27、37を制御して溶剤ノズル26および薬液ノズル36を移動させる。制御部39は、開閉弁25、35を制御して溶剤および薬液の供給・停止を切り替える。
【0041】
制御部39は、基板Wを処理するための処理条件が予め設定される処理レシピ等を有する。処理条件は、例えば、基板Wの回転速度、溶剤ノズル26の位置、溶剤の供給量、薬液ノズル36の位置および薬液の供給量に関する情報などである。制御部39は、各種処理を実行する中央演算処理装置(CPU)や、演算処理の作業領域となるRAM(Random-Access Memory)や、各種情報を記憶する固定ディスク等の記憶媒体等によって実現される。
【0042】
2.溶剤ノズル26およびこれに関連する構成
図2は、溶剤ノズル26の側面図である。溶剤ノズル26はストレート型ノズルである。溶剤ノズル26は、溶剤ノズル26の下面から溶剤Fを吐出する。溶剤ノズル26は溶剤Fを下方に吐出する。
【0043】
図3は、溶剤ノズル26の底面図である。溶剤ノズル26は、溶剤Fを吐出する吐出口26aを有する。吐出口26aは溶剤ノズル26の下面に形成される。吐出口26aは略円形を有する。吐出口26aは寸法Dを有する。寸法Dは、例えば、吐出口26aの直径である。
【0044】
図4は、基板処理装置1の平面図である。図4は、移動機構37の図示を省略する。
【0045】
基板Wは平面視で円形状を有する。基板Wは円形基板である。基板Wは半径rを有する。
【0046】
移動機構27は、アーム部27aと軸部27bと駆動部27cを有する。アーム部27aは略水平方向に延びる。アーム部27aは、溶剤ノズル26を保持する先端部を有する。溶剤ノズル26は、回転保持部11に保持される基板Wよりも高い位置に配置される。アーム部27aは、軸部27bに接続される基端部を有する。軸部27bはアーム部27aを支持する。軸部27bは略鉛直方向に延びる。軸部27bは飛散防止カップ38の外方に配置される。駆動部27cは軸部27bに連結される。駆動部27cは軸部27bを回転する。軸部27bの回転により、溶剤ノズル26は軸部27b回りに旋回する。
【0047】
移動機構27は、中心位置Paと周縁位置Pbと退避位置Pcに、溶剤ノズル26を移動する。平面視で、中心位置Paは、基板Wの中心部Cと重なる位置である。平面視で、周縁位置Pbは、基板Wの周縁部Eと重なる位置である。平面視で、退避位置Pcは、基板Wと重ならない位置である。
【0048】
図5は、溶剤ノズル26の位置を説明する側面図である。中心位置Paは、基板Wの中心部Cの上方の位置である。溶剤ノズル26が中心位置Paにあるとき、溶剤ノズル26は回転中心A上に位置する。周縁位置Pbは、基板Wの周縁部Eの上方の位置である。
【0049】
図示を省略するが、移動機構37は、薬液ノズル36を中心位置Paと退避位置Pcとに移動する。薬液ノズル36の中心位置Paは、溶剤ノズル26の中心位置Paと同じ位置でもよいし、溶剤ノズル26の中心位置Paと異なる位置でもよい。薬液ノズル36の退避位置Pcも、同様である。
【0050】
3.実施例1の塗布方法
図6(a)は、塗布方法が施される基板Wを模式的に示す図である。まず、塗布方法が施される基板Wを例示する。
【0051】
塗布方法は、回転保持部11に略水平に保持される基板Wに施される。基板Wの上面は略水平である。但し、基板Wの上面は平坦でない。基板Wの上面は段差を有する。
【0052】
具体的には、基板Wは、凹部41と凸部43を有する。凹部41と凸部43はそれぞれ、基板Wの上面に形成されている。凹部41は下方に凹む。凸部43は上方に突出する。
【0053】
凹部41は凹部41aと凹部41bを含む。凹部41aは基板Wの中心部Cに配置される。凹部41bは基板Wの周縁部Eに配置される。
【0054】
凹部41と凸部43は、例えば、基板Wの上面に形成されたパターンの一部である。すなわち、基板Wは、基板Wの上面に形成されるパターンを有する。凹部41は、例えば、スペース、ホールまたはトレンチである。ホールは、ビアホール、スルーホールおよびコンタクトホールなどを含む意味である。凸部43は、例えば、ライン、ドットまたはサイドウォールである。
【0055】
図7は、実施例1に係る塗布方法の手順を示すフローチャートである。基板処理装置1によって実行される塗布方法を例示する。
【0056】
塗布方法は、溶剤供給工程(ステップS10)と薬液供給工程(ステップS20)を含む。溶剤供給工程は基板Wに溶剤Fを供給する。溶剤供給工程は「プリウェット」とも呼ばれる。薬液供給工程は溶剤供給工程の後に行われる。薬液供給工程は基板Wに薬液を供給する。
【0057】
溶剤供給工程は、第1工程(ステップS11)と液盛工程(ステップS12)と第2工程(ステップS13)と薄膜化工程(ステップS14)を含む。薬液供給工程は、中心吐出工程(ステップS21)と回転工程(ステップS22)を含む。
【0058】
各工程について説明する。以下の説明においては、各構成は、制御部39による制御に従って、動作するものとする。
【0059】
<ステップS11> 第1工程
図8は、第1工程の動作を説明する平面図である。第1工程は、基板Wを第1回転速度R1で回転させ、中心位置Paと周縁位置Pbとにわたって溶剤ノズル26を移動させ、且つ、溶剤ノズル26から溶剤Fを吐出させる。より詳しくは、第1工程は、溶剤ノズル26を中心位置Paから周縁位置Pbに移動させる。図8は、溶剤ノズル26が移動する径路L1を示す。径路L1は、平面視で、基板Wの径方向に近似する曲線である。第1工程は、中心位置Paから周縁位置Pbへの溶剤ノズル26の移動を、1度行う。第1工程は、溶剤ノズル26が中心位置Paから周縁位置Pbに移動する期間にわたって、溶剤ノズル26から溶剤Fを吐出させる。
【0060】
図6(b)、6(c)は、第1工程を模式的に示す図である。溶剤Fは、溶剤ノズル26から鉛直下方に落下する。落下する溶剤Fは、棒形状または柱形状を呈する。すなわち、溶剤ノズル26から吐出された溶剤Fは、棒形状または柱形状で流下する。溶剤ノズル26と基板Wとの間には、溶剤Fの液柱が形成される。溶剤Fの液柱は略鉛直方向に延びる。
【0061】
溶剤Fは基板Wの上面に落下する。すなわち、溶剤Fは基板Wの上面に接触する。溶剤Fは、基板Wの上面に対して略垂直に落下する。溶剤Fが基板Wに落下した後、溶剤Fは基板Wの上面において略水平方向に広がる。
【0062】
第1回転速度R1は比較的に小さい。具体的には、第1回転速度R1は、0rpmより大きく、且つ、500rpm未満であることが好ましい。より好ましくは、第1回転速度R1は、0rpmより大きく、且つ、300rpm以下であることが好ましい。さらに好ましくは、第1回転速度R1は、100rpm以上で、且つ、200rpm以下であることが好ましい。
【0063】
第1回転速度R1は一定であることが好ましい。第1工程における溶剤ノズル26の移動速度は一定であることが好ましい。
【0064】
図6(b)を参照する。溶剤ノズル26が中心位置Paに位置するとき、溶剤ノズル26が吐出した溶剤Fは凹部41aに落下する。溶剤Fは、凹部41aの真上から凹部41aに落下する。第1回転速度R1が比較的に低いので、溶剤Fは凹部41aに入る。凹部41aは溶剤Fによって満たされる。
【0065】
図6(c)を参照する。溶剤ノズル26が周縁位置Pbに位置するとき、溶剤ノズル26が吐出した溶剤Fが凹部41bに落下する。溶剤Fは、凹部41bの真上から凹部41bに落下する。第1回転速度R1が比較的に低いので、溶剤Fは凹部41bに入る。凹部41bは溶剤Fによって満たされる。
【0066】
さらに、基板Wの上面上には溶剤Fの膜が形成される。溶剤Fの膜は基板Wの上面の全体に及ぶ。溶剤Fの膜は基板Wの上面の全体を覆う。
【0067】
ここで、基板Wの半径rを吐出口26aの寸法Dで除した値を基準値Nと呼ぶ(式(1)参照)。
N=r/D ・・・(1)
基準値Nを第1回転速度R1で除した値を、第1基準時間T1と呼ぶ(式(2)参照)。
T1=N/R1 ・・・(2)
【0068】
溶剤ノズル26が中心位置Paから周縁位置Pbに移動する期間に基板Wが回転する回数は、基準値N以上である。換言すれば、溶剤ノズル26が中心位置Paから周縁位置Pbに移動する期間に、基板Wは、基準値N以上の回数、回転する。溶剤ノズル26が中心位置Paから周縁位置Pbに移動する期間は、第1基準時間T1以上である。換言すれば、溶剤ノズル26は、第1基準時間T1以上の時間をかけて、中心位置Paから周縁位置Pbに移動する。
【0069】
例えば、基板Wの半径rが150[mm]であり、吐出口26aの寸法Dが3[mm]であり、第1回転速度R1が150[rpm]であるとする。この場合、基準値Nは50であり、第1基準時間T1は20[sec](1/3[min])である。すなわち、溶剤ノズル26が中心位置Paから周縁位置Pbに移動する期間に、基板Wは、50周以上、回転する。溶剤ノズル26は、20[sec]以上の時間をかけて、中心位置Paから周縁位置Pbに移動する。
【0070】
図9は、落下領域Bを模式的に示した平面図である。落下領域Bは、溶剤Fが基板Wに落下する領域である。ある時点における落下領域Bは、吐出口26aと略同じ大きさを有する。ある時点における落下領域Bの位置は、平面視で、その時点における吐出口26aの位置と略同じである。
【0071】
溶剤ノズル26が中心位置Paと周縁位置Pbの間を移動することによって、落下領域Bは中心部Cから周縁部Eに移動する。溶剤ノズル26が移動し、且つ、基板Wが回転することによって、落下領域Bは平面視で渦巻き状(螺旋状)に移動する。図9は落下領域Bの軌跡L2を示す。
【0072】
溶剤ノズル26が中心位置Paから周縁位置Pbに移動する期間に、基板Wは、基準値N以上の回数、回転する。溶剤ノズル26は、第1基準時間T1以上の時間をかけて、中心位置Paから周縁位置Pbに移動する。これらの結果、落下領域Bは、基板Wの上面のほとんどの部分に及ぶ。すなわち、溶剤Fは、基板Wのほとんどの部分に落下する。
【0073】
以上のとおり、第1工程では、溶剤Fは、中心部Cにも周縁部Eにも、落下する。溶剤Fは、基板Wのほとんどの部分に落下する。このように、溶剤Fは、基板Wの全体にわたって均一に、供給される。溶剤Fは各凹部41に入る。
【0074】
<ステップS12> 液盛工程
図6(d)は、液盛工程を模式的に示す図である。液盛工程は、第1工程の後に行われる。液盛工程は、基板W上に溶剤Fが盛られた状態を保つ。液盛工程は、基板Wの回転速度を第1回転速度R1から低下させ、且つ、溶剤ノズル26からの溶剤Fの吐出を停止する。液盛工程における基板Wの回転速度は、0rpm以上で、且つ、10rpm以下であることが好ましい。液盛工程は、例えば基板Wを静止させてもよい。液盛工程は、例えば溶剤ノズル26を周縁位置Pbに静止させてもよい。これによれば、液盛工程の終了後、第2工程を速やかに始めることができる。液盛工程の期間は、例えば5[sec]以上であることが好ましい。液盛工程の期間は、例えば30[sec]以下であることが好ましい。
【0075】
液盛工程では、溶剤Fの膜が基板W上に形成されている。溶剤Fの膜は基板Wの上面の全体を覆う。溶剤Fの膜は比較的に厚い。凹部41および凸部43のいずれも、溶剤Fに浸されている。
【0076】
<ステップS13> 第2工程
図6(e)は、第2工程を模式的に示す図である。第2工程は、液盛工程の後に行われる。第2工程は第1工程と類似する。第2工程は、基板Wを第2回転速度R2で回転させ、中心位置Paと周縁位置Pbとにわたって溶剤ノズル26を移動させ、且つ、溶剤ノズル26から溶剤Fを吐出させる。具体的には、第2工程は、溶剤ノズル26を、周縁位置Pbから中心位置Paに移動させる。第2工程における溶剤ノズル26の移動方向は、第1工程における溶剤ノズル26の移動方向と反対である。第2工程は、周縁位置Pbから中心位置Paへの溶剤ノズル26の移動を、1度行う。第2工程は、溶剤ノズル26が周縁位置Pbから中心位置Paに移動する期間にわたって、溶剤ノズル26から溶剤Fを吐出させる。
【0077】
第2回転速度R2は比較的に小さい。具体的には、第2回転速度R2は、0rpmより大きく、且つ、500rpm未満であることが好ましい。より好ましくは、第2回転速度R2は、0rpmより大きく、且つ、300rpm以下であることが好ましい。さらに好ましくは、第2回転速度R2は、100rpm以上で、且つ、200rpm以下であることが好ましい。
【0078】
第2回転速度R2は、第1回転速度R1と同じであってもよい。第2回転速度R2は、第1回転速度R1と異なっていてもよい。
【0079】
第2回転速度R2は、一定であることが好ましい。第2工程における溶剤ノズル26の移動速度は、一定であることが好ましい。
【0080】
ここで、基準値Nを第2回転速度R2で除した値を、第2基準時間T2と呼ぶ(式(3)参照)。
T2=N/R2 ・・・(3)
【0081】
溶剤ノズル26が周縁位置Pbから中心位置Paに移動する期間に基板Wが回転する回数は、基準値N以上である。換言すれば、溶剤ノズル26が周縁位置Pbから中心位置Paに移動する期間に、基板Wは、基準値N以上の回数、回転する。溶剤ノズル26が周縁位置Pbから中心位置Paに移動する期間は、第2基準時間T2以上である。換言すれば、溶剤ノズル26は、第2基準時間T2以上の時間をかけて、周縁位置Pbから中心位置Paに移動する。
【0082】
例えば、基板Wの半径rが150[mm]であり、吐出口26aの寸法Dが3[mm]であり、第2回転速度R2が300[rpm]であるとする。この場合、基準値Nは50であり、第2基準時間T2は10[sec](1/6[min])である。すなわち、溶剤ノズル26が周縁位置Pbから中心位置Paに移動する期間に、基板Wは、50周以上、回転する。溶剤ノズル26は、10[sec]以上の時間をかけて、周縁位置Pbから中心位置Paに移動する。
【0083】
上述のように、第2回転速度R2が第1回転速度R1より高い場合、第2基準時間T2は第1基準時間T1より短い。例えば第2回転速度R2が第1回転速度R1の2倍である場合、第2基準時間T2は第1基準時間T1の半分である。これらの場合、第2工程に要する時間を短縮できる。
【0084】
第2工程では、溶剤Fは、中心部Cにも周縁部Eにも、落下する。溶剤Fは、基板Wのほとんどの部分に落下する。このように、溶剤Fは、基板Wの全体にわたって均一に、供給される。溶剤Fは各凹部41に入る。
【0085】
<ステップS14> 薄膜化工程
図6(f)は、薄膜化工程を模式的に示す図である。薄膜化工程は、第2工程の後に行われる。薄膜化工程は、基板Wを回転させ、溶剤ノズル26からの溶剤Fの吐出を停止する。
【0086】
薄膜化工程における基板Wの回転速度は、第1回転速度R1よりも大きい。薄膜化工程における基板Wの回転速度は、第2回転速度R2よりも大きい。薄膜化工程における基板Wの回転速度は、数百[rpm]から数千[rpm]であることが好ましい。薄膜化工程の期間は、例えば、1[sec]であることが好ましい。
【0087】
薄膜化工程は、基板W上の溶剤Fを振り切る。薄膜化工程は、基板W上の溶剤Fを基板Wの外に飛散させる。薄膜化工程は、基板W上に形成される溶剤Fの膜の厚みを薄くする。薄膜化工程により、溶剤Fの膜の厚みは、基板Wの全体にわたって一層均一になる。ただし、薄膜化工程は、基板W上の溶剤Fを乾燥させない。薄膜化工程の終了時においても、溶剤Fの薄膜が、基板Wの上面の全体を覆ったままである。
【0088】
薄膜化工程の終了によって、溶剤供給工程を終了する。溶剤供給工程が終了した後、薬液供給工程が始まる。
【0089】
<ステップS21> 中心吐出工程
図10(a)は、中心吐出工程を模式的に示す図である。中心吐出工程は、薬液ノズル36を中心位置Paに静止させ、薬液ノズル36から薬液Gを吐出させる。中心吐出工程は、基板Wを回転させてもよいし、基板Wを静止させてもよい。
【0090】
薬液Gは基板Wの中心部Cに供給される。薬液Gは溶剤Fの膜上に供給される。薬液Gは凹部41aに入る。
【0091】
<ステップS22> 回転工程
図10(b)は、回転工程を模式的に示す図である。回転工程は、中心吐出工程の後に行われる。回転工程は、基板Wを回転させ、薬液ノズル36からの薬液Gの吐出を停止する。
【0092】
薬液Gは、基板Wの上面において水平方向に円滑に広がる。薬液Gは、基板Wの上面の全体に円滑に広がる。基板W上に薬液Gの塗膜が形成される。
【0093】
薬液Gは各凹部41に円滑に入る。換言すれば、凹部41内の溶剤Fは、薬液Gに円滑に置換される。各凹部41は薬液Gで満たされる。
【0094】
回転工程の終了によって、薬液供給工程を終了する。実施例1の塗布方法は、以上の通りである。
【0095】
4.実施例1と比較例の対比と考察
次に、比較例に係る塗布方法の手順を例示する。そして、実施例1の塗布方法と比較例の塗布方法を対比する。
【0096】
図11(a)−11(d)は、比較例に係る塗布方法を模式的に示す図である。図11(a)−11(d)は、便宜上、実施例1と同じ符号を用いて、比較例に係る塗布方法を示す。
【0097】
比較例に係る塗布方法は、溶剤供給工程と薬液供給工程を備える。
【0098】
溶剤供給工程は、静止した基板Wの中心部Cに溶剤Fを供給する(図11(a))。続いて、溶剤供給工程は、基板Wを回転する(図11(b))。これにより、溶剤Fは、基板Wの上面の全体に広がる。溶剤Fは凹部41aのみに入る。溶剤Fは凹部41a以外の凹部41に入らない。
【0099】
塗布工程は、基板Wの中心部Cに薬液Gを供給する(図11(c))。続いて、薬液供給工程は基板Wを回転する(図11(d))。これにより、薬液Gが基板Wの上面において広がる。基板W上に薬液Gの塗膜が形成される。薬液Gは、凹部41aのみに入る。薬液Gは、凹部41a以外の凹部41に入らない。
【0100】
このように、比較例の塗布方法では、薬液Gが各凹部41に適切に入らない。薬液Gは複数の凹部41に同じ様に入らない。複数の凹部41の間で、凹部41に入る薬液Gの量がばらつく。凹部41の位置に応じて、薬液Gの凹部41への入り方が異なる。
【0101】
比較例の塗布方法では薬液Gが各凹部41に適切に入らない理由について、本発明者らは以下のように推察する。
【0102】
図12(a)、12(b)は、比較例の溶剤供給工程の概念図である。比較例の溶剤供給工程では、基板Wは静止しており、溶剤Fが基板Wの中心部Cに落下する。このため、溶剤Fは、凹部41aの底部まで容易に入り込むことができる(図12(a)参照)。
【0103】
比較例の溶剤供給工程では、溶剤Fが中心部C以外に落下しない。基板Wの中心部C以外の部分においては、溶剤Fは略水平方向に移動するのみである。このため、溶剤Fは、凹部41a以外の凹部41に入りにくい(図12(b)参照)。
【0104】
その結果、比較例の薬液供給工程では、薬液Gは凹部41aに円滑に入ることができるが、薬液Gは凹部41a以外の凹部41に円滑に入り難い。
【0105】
このように、比較例の塗布方法では、溶剤Fが各凹部41に同じ様に入らないので、薬液Gを基板Wに適切に塗布できない。
【0106】
これに対して、実施例1の塗布方法では、上述したとり、凹部41の位置に関わらず、薬液Gは各凹部41に適切に入る。実施例1の塗布方法では、薬液Gは、いずれの凹部41にも同じ様に入る。実施例1の塗布方法では薬液Gが各凹部41に適切に入る理由について、本発明者らは、以下のように推察する。
【0107】
図13(a)、13(b)は、実施例1の第1工程の概念図である。第1工程では、基板Wの第1回転速度R1は比較的に小さく、且つ、溶剤Fが中心部Cに落下する。このため、溶剤Fが中心部Cに落下したとき、溶剤Fは基板Wの回転方向にあまり動かされない。換言すれば、溶剤Fが基板W上に落下しても、溶剤Fが下向きに移動するエネルギーが分散されにくい。よって、溶剤Fは凹部41aの底部まで容易に入り込むことができる(図13(a)参照)。
【0108】
さらに、第1工程では、溶剤ノズル26が中心位置Paから周縁位置Pbに移動する期間に、基板Wは、基準値N以上の回数、回転する。第1工程では、第1基準時間T1以上の時間をかけて、溶剤ノズル26は中心位置Paから周縁位置Pbに移動する。これにより、溶剤Fは、基板Wのほとんどの部分に落下する。よって、溶剤Fは、凹部41a以外の凹部41の底部にも、容易に入り込むことができる(図13(b)参照)。
【0109】
その結果、実施例1の薬液供給工程では、薬液Gは各凹部41に円滑に入ることができる。
【0110】
このように、実施例1の塗布方法では、溶剤Fが各凹部41に同じ様に入るので、薬液Gを基板Wに適切に塗布できる。
【0111】
5.実施例1の効果
実施例1に係る塗布方法によれば、以下の効果を奏する。
【0112】
第1工程は、基板Wを第1回転速度R1で回転させ、中心位置Paと周縁位置Pbとにわたって溶剤ノズル26を移動させ、且つ、溶剤ノズル26から溶剤Fを吐出させる。溶剤ノズル26が中心位置Paに位置するとき、溶剤ノズル26は中心部Cに溶剤Fを落下させる。溶剤ノズル26が周縁位置Pbに位置するとき、溶剤ノズル26は周縁部Eに溶剤Fを落下させる。このように、中心部Cにも周縁部Eにも、第1工程は溶剤Fを同じ様に供給する。よって、第1工程は、基板Wの全体にわたって均一に、溶剤Fを供給できる。このため、薬液供給工程では薬液Gは基板Wの全体にわたって円滑に広がる。よって、薬液供給工程は基板Wに薬液Gを均一に塗布できる。このように、本塗布方法によれば、薬液Gを基板Wに適切に塗布できる。
【0113】
さらに、第1工程によれば、基板Wの全体に溶剤Fを効率良く供給できる。よって、溶剤Fの使用量を抑制しつつ、基板Wの全体にわたって均一に溶剤Fを供給できる。
【0114】
第1回転速度R1は比較的に低いので、溶剤Fは各凹部41に容易に入ることができる。溶剤Fが凹部41に入ることによって、薬液供給工程では薬液Gが各凹部41に円滑に入ることができる。よって、薬液Gを各凹部41に好適に埋め込むことができる。
【0115】
第1回転速度R1は、0rpmより大きく、且つ、500rpm未満である場合、溶剤Fは各凹部41に円滑に入ることができる。第1回転速度R1は、0rpmより大きく、且つ、300rpm以下である場合、溶剤Fは各凹部41に一層円滑に入ることができる。第1回転速度R1は、100rpm以上で、且つ、200rpm以下である場合、溶剤Fは各凹部41により一層円滑に入ることができる。
【0116】
第1工程において溶剤ノズル26が中心位置Paと周縁位置Pbの間を移動する期間に基板Wが回転する回数は、基準値N以上である。このため、第1工程では、溶剤Fは、基板Wのほとんどの部分に落下する。よって、第1工程は、基板Wの全体にわたって一層均一に、溶剤Fを供給できる。
【0117】
第1工程において、溶剤ノズル26が中心位置Paと周縁位置Pbの間を移動する期間は、第1基準時間T1以上である。このため、第1工程では、溶剤Fは、基板Wのほとんどの部分に落下する。よって、第1工程は、基板Wの全体にわたって一層均一に、溶剤Fを供給できる。
【0118】
第1工程では、溶剤ノズル26は、周縁位置Pbよりも先に中心位置Paで溶剤Fを吐出する。溶剤ノズル26が中心位置Paにあるとき、溶剤ノズル26は基板Wに溶剤Fを円滑に供給できる。ちなみに、溶剤ノズル26が周縁位置Pbにあるとき、溶剤Fが基板Wの周縁端に落下してしまい、溶剤Fが大きく飛散するおそれがある。これに対して、溶剤ノズル26が中心位置Paにあるとき、溶剤Fが大きく飛散するおそれはない。
【0119】
さらに、第1工程では、溶剤ノズル26が中心位置Cから周縁位置Eに移動する。このため、溶剤Fを基板Wの中心部Cから周縁部Eにわたって円滑に供給し続けることができる。
【0120】
第1工程では、溶剤ノズル26は中心位置Paで溶剤Fを供給し始める。よって、第1工程は、溶剤Fの供給を円滑に開始できる。
【0121】
溶剤ノズル26から吐出された溶剤Fは、棒状に流下する。このため、溶剤ノズル26は、基板W上に溶剤Fを好適に落下させることができる。
【0122】
溶剤供給工程は液盛工程を備える。このため、基板Wに溶剤Fを好適にしみ込ませることができる。さらに、溶剤Fは各凹部41に一層容易に入ることができる。
【0123】
溶剤供給工程は、第1工程と類似の第2工程を備える。よって、基板Wの全体にわたって一層均一に、溶剤Fを供給できる。
【0124】
第2回転速度R2は比較的に低いので、溶剤Fは各凹部41に容易に入ることができる。
【0125】
第2回転速度R2は、0rpmより大きく、且つ、500rpm未満である場合、溶剤Fは各凹部41に円滑に入ることができる。第2回転速度R2は、0rpmより大きく、且つ、300rpm以下である場合、溶剤Fは各凹部41に一層円滑に入ることができる。第2回転速度R2は、100rpm以上で、且つ、200rpm以下である場合、溶剤Fは各凹部41により一層円滑に入ることができる。
【0126】
第2工程において溶剤ノズル26が中心位置Paと周縁位置Pbの間を移動する期間に基板Wが回転する回数は、基準値N以上である。このため、溶剤Fは、基板Wのほとんどの部分に同じ様に落下する。よって、第2工程は、基板Wの全体にわたって一層均一に、溶剤Fを供給できる。
【0127】
第2工程において、溶剤ノズル26が中心位置Paと周縁位置Pbの間を移動する期間は、第2基準時間T2以上である。このため、溶剤Fは、基板Wのほとんどの部分に同じ様に落下する。よって、第2工程は、基板Wの全体にわたって一層均一に、溶剤Fを供給できる。
【0128】
溶剤供給工程は薄膜化工程を備える。このため、溶剤Fの膜の厚みを好適に薄くできる。薬液供給工程は、溶剤Fの薄膜上に薬液Gを供給する。その結果、厚みが略均一な薬液Gの塗膜を基板W上に形成できる。薬液Gの塗膜の厚みがばらつくことを好適に防止できる。
【0129】
基板Wは平面視で円形状を有する。このため、溶剤供給工程は、基板Wの全体にわたって一層均一に、溶剤Fを供給できる。同様に、薬液供給工程は、基板Wの全体にわたって一層均一に、薬液Gを供給できる。
【0130】
基板Wは凹部41を有する。この場合であっても、本塗布方法の溶剤供給工程は、基板Wの全体にわたって均一に、溶剤Fを供給できる。その結果、薬液供給工程は、薬液Gを基板Wに適切に塗布できる。このように、基板Wが凹部41を有する場合には、本塗布方法は特に高い有用性を有する。
【実施例2】
【0131】
以下、図面を参照して、本発明の実施例2を説明する。なお、実施例1と同じ構成については同符号を付すことで詳細な説明を省略する。
【0132】
実施例2の基板処理装置1の概要は、実施例1の基板処理装置1の概要と略同じである。このため、実施例2の基板処理装置1の概要に関する説明を省略する。
【0133】
1.薬液ノズル36およびこれに関連する構成
図14は、薬液ノズル36の底面図である。薬剤ノズル36はスリットノズルである。薬剤ノズル36は、薬液Gを吐出する吐出口36aを有する。吐出口36aは薬液ノズル36の下面に形成される。吐出口36aは細長い形状を有する。吐出口36aは略長方形状を有する。
【0134】
図15は、基板処理装置1の平面図である。図15は、移動機構27の図示を省略する。
【0135】
移動機構37は、アーム部37aと軸部37bと駆動部37cを有する。アーム部37aは略水平方向に延びる。アーム部37aは、薬液ノズル36を保持する先端部を有する。薬液ノズル36は、回転保持部11に保持される基板Wよりも高い位置に配置される。薬液ノズル36は、吐出口36aの長手方向が平面視で基板Wの径方向と一致するように、配置される。アーム部37aは、軸部37bに接続される基端部を有する。軸部37bはアーム部37aを支持する。軸部37bは略鉛直方向に延びる。駆動部37cは軸部37bに連結される。駆動部37cは軸部37bを略水平方向に移動する。駆動部37cは飛散防止カップ38の外方に配置される。駆動部37cが軸部37bを移動することによって、薬液ノズル36は略水平方向に移動する。より詳しくは、薬液ノズル36は、平面視で、吐出口36aの長手方向と同じ方向に移動する。吐出口36aの長手方向が平面視で基板Wの径方向と一致した状態で、薬液ノズル36は平面視で中心部Cに向かって移動する。
【0136】
移動機構37は、中心位置Paと周縁位置Pbと退避位置Pcにわたって、薬液ノズル36を移動する。平面視で、中心位置Paは、基板Wの中心部Cと重なる位置である。平面視で、周縁位置Pbは、基板Wの周縁部Eと重なる位置である。平面視で、退避位置Pcは、基板Wと重ならない位置である。
【0137】
薬液ノズル36の中心位置Paは、溶剤ノズル26の中心位置Paと同じ位置でもよいし、溶剤ノズル26の中心位置Paと異なる位置でもよい。薬液ノズル36の周縁位置Pbおよび退避位置Pcも、同様である。
【0138】
2.実施例2の塗布方法
次に、基板処理装置1によって実行される塗布方法を例示する。図16は、実施例2に係る塗布方法の手順を示すフローチャートである。塗布方法は、溶剤供給工程(ステップS10)と薬液供給工程(ステップS20)を含む。
【0139】
溶剤供給工程は、第1工程(ステップS15)と薄膜化工程(ステップS16)を含む。薬液供給工程は、周縁吐出工程(ステップS23)と吐出工程(ステップS24)と液溜まり形成工程(ステップS25)と回転工程(ステップS26)を含む。各工程について説明する。
【0140】
<ステップS15> 第1工程
図17(a)、17(b)は、第1工程を模式的に示す図である。第1工程は、基板Wを第1回転速度R1で回転させ、中心位置Paと周縁位置Pbとにわたって溶剤ノズル26を移動させ、且つ、溶剤ノズル26から溶剤Fを吐出させる。より詳しくは、第1工程は、溶剤ノズル26を中心位置Paから周縁位置Pbに移動させる。第1工程は、中心位置Paから周縁位置Pbへの溶剤ノズル26の移動を、1度行う。第1工程は、溶剤ノズル26が中心位置Paから周縁位置Pbに移動する期間にわたって、溶剤ノズル26から溶剤Fを吐出させる。
【0141】
溶剤Fは、溶剤ノズル26から鉛直下方に落下する。落下する溶剤Fは棒形状または柱形状を呈する。すなわち、溶剤ノズル26から吐出された溶剤Fは、棒形状または柱形状で流下する。溶剤ノズル26と基板Wとの間には、溶剤Fの液柱が形成される。溶剤Fの液柱は略鉛直方向に延びる。
【0142】
溶剤Fは基板Wの上面に落下する。すなわち、溶剤Fは基板Wの上面に接触する。溶剤Fは、基板Wの上面に対して略垂直に落下する。溶剤Fが基板Wに落下した後、溶剤Fは基板Wの上面において略水平方向に広がる。
【0143】
第1回転速度R1は比較的に大きい。具体的には、第1回転速度R1は、500rpm以上であることが好ましい。第1回転速度R1は、1000rpm以下であることが好ましい。
【0144】
第1回転速度R1は、一定であることが好ましい。第1工程における溶剤ノズル26の移動速度は、一定であることが好ましい。
【0145】
図17(a)を参照する。溶剤ノズル26が中心位置Paに位置するとき、溶剤ノズル26が吐出した溶剤Fは凹部41aに落下する。溶剤Fは、凹部41aの真上から凹部41aに落下する。ただし、第1回転速度R1が比較的に高いので、溶剤Fは凹部41aに入りにくい。第1回転速度R1が比較的に高いので、溶剤Fは基板Wの上面を略水平方向に移動し易い。
【0146】
図17(b)を参照する。溶剤ノズル26が周縁位置Pbに位置するとき、溶剤ノズル26が吐出した溶剤Fが凹部41bに落下する。溶剤Fは、凹部41bの真上から凹部41bに落下する。ただし、第1回転速度R1が比較的に高いので、溶剤Fは凹部41bに入にくい。第1回転速度R1が比較的に高いので、溶剤Fは基板Wの上面を略水平方向に移動し易い。
【0147】
さらに、基板Wの上面上には溶剤Fの膜が形成される。溶剤Fの膜は基板Wの上面の全体に及ぶ。溶剤Fの膜は基板Wの上面の全体を覆う。
【0148】
その結果、凹部41を溶剤Fで満たさずに、凹部41の上方を溶剤Fの膜で覆う。溶剤Fの膜は、凹部41内の空間を閉塞する蓋として機能する。ここで、凹部41を溶剤Fで満たさずに凹部41の上方を溶剤Fで覆うことを、「凹部41を溶剤Fでテンティングする」と言う。
【0149】
溶剤ノズル26が中心位置Paから周縁位置Pbに移動する期間に基板Wが回転する回数は、基準値Nの±20%の範囲内である。換言すれば、溶剤ノズル26が中心位置Paから周縁位置Pbに移動する期間に、基板Wは、基準値Nの80%以上で、且つ、基準値Nの120%以下の回数、回転する。溶剤ノズル26が中心位置Paから周縁位置Pbに移動する期間は、第1基準時間T1の±20%の範囲内である。換言すれば、溶剤ノズル26は、第1基準時間T1の80%の以上で、且つ、第1基準時間T1の120%以下の時間をかけて、中心位置Paから周縁位置Pbに移動する。
【0150】
例えば、基板Wの半径rが150[mm]であり、吐出口26aの寸法Dが3[mm]であり、第1回転速度R1が600[rpm]であるとする。この場合、基準値Nは50であり、第1基準時間T1は5[sec](1/12[min])である。したがって、溶剤ノズル26が中心位置Paから周縁位置Pbに移動する期間に、基板Wは、40以上、且つ、60以下の回数、回転することが好ましい。溶剤ノズル26は、4[sec]以上、且つ、6[sec]以下の時間をかけて、中心位置Paから周縁位置Pbに移動することが好ましい。
【0151】
溶剤ノズル26が中心位置Paと周縁位置Pbとの間を移動することによって、落下領域Bは中心部Cから周縁部Eに移動する。溶剤ノズル26が移動し、且つ、基板Wが回転することによって、落下領域Bは、中心部Cを中心とした渦巻き状(螺旋状)に移動する。
【0152】
溶剤ノズル26が中心位置Paから周縁位置Pbに移動する期間に、基板Wは、基準値Nの±20%の範囲内の回数、回転する。溶剤ノズル26は、第1基準時間T1の±20%の範囲内の時間をかけて、中心位置Paから周縁位置Pbに移動する。これらの結果、落下領域Bは、基板Wの上面のほとんどの部分に及ぶ。すなわち、溶剤Fは、基板Wのほとんどの部分に落下する。
【0153】
以上のとおり、第1工程では、溶剤Fは、中心部Cにも周縁部Eにも、落下する。溶剤Fは基板Wのほとんどの部分に落下する。このように、溶剤Fは、基板Wの全体にわたって均一に、供給される。溶剤Fは凹部41に入らない。溶剤Fは、各凹部41をテンティングする。
【0154】
<ステップS16> 薄膜化工程
図17(c)は、薄膜化工程を模式的に示す図である。薄膜化工程は、第1工程の後に行われる。薄膜化工程は、基板Wを回転させ、溶剤ノズル26からの溶剤Fの吐出を停止する。
【0155】
薄膜化工程における基板Wの回転速度は、第1回転速度R1よりも大きい。薄膜化工程における基板Wの回転速度は、数百[rpm]から数千[rpm]であることが好ましい。薄膜化工程の期間は、例えば、1[sec]であることが好ましい。
【0156】
薄膜化工程は、基板W上の溶剤Fを振り切る。薄膜化工程は、基板W上の溶剤Fを基板Wの外に飛散させる。薄膜化工程は、基板W上に形成される溶剤Fの膜の厚みを薄くする。薄膜化工程により、溶剤Fの膜の厚みは、基板Wの全体にわたって一層均一になる。ただし、薄膜化工程は、基板W上の溶剤Fを乾燥させない。薄膜化工程の終了時においても、溶剤Fの薄膜が、基板Wの上面の全体を覆ったままである。薄膜化工程の終了時においても、各凹部41は溶剤Fでテンティングされたままである。
【0157】
薄膜化工程の終了によって、溶剤供給工程を終了する。上述のとおり、溶剤供給工程は、第1工程と薄膜化工程のみを行う。
【0158】
<ステップS20> 薬液供給工程
薬液供給工程は、比較的に高い粘度を有する薬液Gを供給する。薬液Gは、例えば200cP以上の粘度を有することが好ましい。薬液Gは、例えば400cP以上の粘度を有することがより好ましい。
【0159】
図18(a)−18(c)は、薬液供給工程を模式的に示す図である。図18(a)−18(c)の右側の図は、平面図である。図18(a)−18(c)の左側の図は、側面図である。
【0160】
薬液供給工程では、周縁吐出工程、吐出工程および液溜まり工程が、薬液Gを吐出する。ここで、各工程が吐出する薬液を区別する場合には、周縁吐出工程が吐出する薬液Gを「薬液G1」と呼び、吐出工程が吐出する薬液Gを「薬液G2」と呼び、液溜まり工程が吐出する工程を「薬液G3」と呼ぶ。
【0161】
<ステップS23> 周縁吐出工程
図18(a)は、周縁吐出工程を模式的に示す図である。周縁吐出工程は、基板Wを回転させ、薬液ノズル36を周縁位置Pbに静止させ、且つ、薬液ノズル36から薬液G1を吐出させる。周縁吐出工程は、基板Wを1回転以上させる。周縁吐出工程は、基板Wが1回転以上する期間にわたって、薬液ノズル36から薬液G1を吐出させる。
【0162】
薬液G1は周縁部Eに供給される。薬液G1は、周縁部Eに置くように供給される。凹部41bは溶剤Fでテンティングされているので、薬液G1は凹部41bに入らない。
【0163】
<ステップS24> 吐出工程
図18(b)は、吐出工程を模式的に示す図である。吐出工程は、周縁吐出工程の後に行われる。吐出工程は、基板Wを回転させ、中心位置Paと周縁位置Pbとにわたって薬液ノズル36を移動させ、且つ、薬液ノズル36から薬液G2を吐出させる。具体的には、吐出工程は、薬液ノズル36を、周縁位置Pbから中心位置Paに移動させる。基板Wが1回転する期間に薬液ノズル36が径方向に移動する距離は、吐出口36aの長手方向の長さ以下であることが好ましい。吐出工程は、薬液ノズル36が周縁位置Pbから中心位置Paに移動する期間にわたって、薬液ノズル36から薬液G2を吐出させる。
【0164】
薬液G2は周縁部Eの内方に供給される。基板W上に薬液Gを置くように、薬液G2は供給される。基板W上に置かれた薬液G2は、平面視で渦巻き状(螺旋状)に連なる。このように、平面視で渦巻き状(螺旋状)に薬液Gを置くように、薬液G2は基板Wに供給される。薬液G2は、隙間無く置くように供給される。各凹部41は溶剤Fでテンティングされているので、薬液G1は凹部41のいずれにも入らない。
【0165】
<ステップS25> 液溜まり工程
図18(c)は、液溜まり工程を模式的に示す図である。液溜まり工程は、吐出工程の後に行われる。液溜まり工程は、薬液ノズル36を中心位置Paに静止させ、且つ、薬液ノズル36から薬液G3を吐出させる。液溜まり工程は、基板Wを回転させてもよいし、基板Wを静止させてもよい。
【0166】
薬液G3は、中心部Cに供給される。中心部Cには、薬液G3の液溜まりが形成される。薬液G3の液溜まりは、薬液G1、G2よりも上方に盛り上がる。中心部Cにおける単位面積当たりの薬液Gの量は、中心部C以外の基板Wの部分における単位面積当たりの薬液Gの量よりも、大きい。凹部41aは溶剤Fでテンティングされているので、薬液G1は凹部41aに入らない。
【0167】
<ステップS26> 回転工程
図19は、回転工程を模式的に示す図である。回転工程は、液溜まり工程の後に行われる。回転工程は、基板Wを回転させ、薬液ノズル36からの薬液Gの吐出を停止する。
【0168】
薬液Gは、基板Wの上面において略水平方向に円滑に広がる。特に薬液G3は、略水平方向に円滑に広がる。薬液Gは、基板Wの上面の全体に円滑に広がる。基板W上に薬液Gの塗膜が形成される。
【0169】
各凹部41は溶剤Fでテンティングされているので、薬液G1は凹部41のいずれにも入らない。凹部41を薬液Gで満たさずに凹部41の上方を薬液Gの塗膜で覆う。薬液Gの塗膜は、凹部41内の空間を閉塞する蓋として機能する。ここで、凹部41を薬液Gで満たさずに凹部41の上方を薬液Gで覆うことを、「凹部を薬液Gでテンティングする」と言う。
【0170】
回転工程の終了によって、薬液供給工程を終了する。実施例2の塗布方法は、以上の通りである。
【0171】
3.実施例2に関する考察
ここで、実施例2の塗布方法では凹部41を薬液Gで好適にテンティングできる理由について、本発明者らは、以下のように推察する。
【0172】
図20(a)、20(b)は、実施例2の第1工程の概念図である。第1工程では、基板Wの第1回転速度R1が比較的に大きく、且つ、溶剤Fが中心部Cに落下する。このため、溶剤Fが中心部Cに落下したとき、溶剤Fは基板Wの回転方向に強く動かされる。換言すれば、溶剤Fが基板W上に落下(接触)すると、溶剤Fが下向きに移動するエネルギーが分散されやすい。よって、溶剤Fが凹部41aに入ることを好適に抑制できる(図20(a)参照)。
【0173】
さらに、第1工程では、溶剤ノズル26が中心位置Paから周縁位置Pbに移動する期間に、基板Wは、基準値Nの±20%の範囲内の回数、回転する。第1工程では、第1基準時間T1の±20%の範囲内の時間をかけて、溶剤ノズル26は中心位置Paから周縁位置Pbに移動する。これにより、溶剤Fは、基板Wの全体にまんべんなく、落下する。溶剤Fは、基板Wの一部に集中的に落下しない。基板Wは、溶剤Fが局所的に落下する部分を有しない。よって、溶剤Fが凹部41a以外の凹部41に入ることを、好適に抑制できる(図20(b)参照)。
【0174】
このように、溶剤供給工程では、溶剤Fで各凹部41を均一にテンティングできる。
【0175】
その結果、薬液供給工程では、薬液Gは各凹部41に入ることを好適に防止できる。薬液供給工程では、薬液Gで各凹部41を均一にテンティングできる。
【0176】
このように、実施例2の塗布方法では、各凹部41を溶剤Fでテンティングするので、各凹部41を薬液Gで好適にテンティングできる。
【0177】
4.実施例2の効果
実施例2に係る塗布方法によれば、以下の効果を奏する。
【0178】
第1工程は、基板Wを第1回転速度R1で回転させ、中心位置Paと周縁位置Pbとにわたって溶剤ノズル26を移動させ、且つ、溶剤ノズル26から溶剤Fを吐出させる。溶剤ノズル26が中心位置Paに位置するとき、溶剤ノズル26は中心部Cに溶剤Fを落下させる。溶剤ノズル26が周縁位置Pbに位置するとき、溶剤ノズル26は周縁部Eに溶剤Fを落下させる。このように、中心部Cにも周縁部Eにも、第1工程は溶剤Fを同じ様に供給する。よって、第1工程は、基板Wの全体にわたって均一に、溶剤Fを供給できる。このため、薬液供給工程では薬液Gは基板Wの全体にわたって円滑に広がる。よって、薬液供給工程は基板Wに薬液Gを均一に塗布できる。このように、本塗布方法によれば、薬液Gを基板Wに適切に塗布できる。
【0179】
第1回転速度R1は比較的に高いので、溶剤Fは凹部41に入りにくい。このため、凹部41を溶剤Fで好適にテンティングできる。凹部41が溶剤Fでテンティングされているので、薬液供給工程では、凹部41を薬液Gで好適にテンティングできる。
【0180】
第1回転速度R1が500rpm以上である場合、凹部41を溶剤Fで一層好適にテンティングできる。このため、凹部41を薬液Gで一層好適にテンティングできる。
【0181】
第1回転速度R1が1000rpm以下である場合、溶剤Fの乾燥を好適に防止できる。
【0182】
第1工程において溶剤ノズル26が中心位置Paと周縁位置Pbの間を移動する期間に基板Wが回転する回数は、基準値Nの±20%の範囲内である。このため、第1工程では、溶剤Fは基板Wのほとんどの部分に落下する。よって、第1工程は、基板Wの全体にわたって一層均一に、溶剤Fを供給できる。
【0183】
第1工程において溶剤ノズル26が中心位置Paと周縁位置Pbの間を移動する期間は、第1基準時間T1の±20%の範囲内である。このため、第1工程では、溶剤Fが基板Wのほとんどの部分に落下する。よって、第1工程は、基板Wの全体にわたって一層均一に、溶剤Fを供給できる。
【0184】
第1工程では、溶剤ノズル26は、周縁位置Pbよりも先に中心位置Paで溶剤Fを吐出する。溶剤ノズル26が中心位置Paにあるとき、溶剤ノズル26は基板Wに溶剤Fを円滑に供給できる。ちなみに、溶剤ノズル26が周縁位置Pbにあるとき、溶剤Fが基板Wの周縁端に落下してしまい、溶剤Fが大きく飛散するおそれがある。これに対して、溶剤ノズル26が中心位置Paにあるとき、溶剤Fが大きく飛散するおそれはない。
【0185】
さらに、第1工程では、溶剤ノズル26が中心位置Cから周縁位置Eに移動する。このため、溶剤Fを基板Wの中心部Cから周縁部Eにわたって円滑に供給し続けることができる。
【0186】
第1工程では、溶剤ノズル26は中心位置Paで溶剤Fを供給し始める。よって、第1工程は、溶剤Fの供給を円滑に開始できる。
【0187】
溶剤ノズル26から吐出された溶剤Fは、棒状に流下する。このため、溶剤ノズル26は、基板W上に溶剤Fを好適に落下させることができる。
【0188】
溶剤供給工程は薄膜化工程を備える。このため、溶剤Fの膜の厚みを好適に薄くできる。薬液供給工程は、溶剤Fの薄膜上に薬液Gを供給する。その結果、厚みが略均一な薬液Gの塗膜を基板W上に形成できる。薬液Gの塗膜の厚みがばらつくことを好適に防止できる。
【0189】
溶剤供給工程は、第1工程と薄膜化工程のみを行う。このため、溶剤供給工程に要する時間を短縮できる。さらに、溶剤供給工程で使用する溶剤Fの量を低減できる。これらの結果、溶剤Fが凹部41に入ることを一層好適に防止できる。すなわち、凹部41を溶剤Fで一層好適にテンティングできる。
【0190】
第1工程と薄膜化工程の組み合わせによって、中心部Cと周縁部Eとの間で溶剤Fの量がばらつくことを好適に抑制できる。
【0191】
具体的には、第1工程では、溶剤ノズル26が中心位置Paから周縁位置Pbに移動する。溶剤ノズル26が周縁位置Pbに移動すると、中心部Cに溶剤Fが供給されなくなる。このため、第1工程の終了時点では、中心部Cにおける単位面積当たりの溶剤Fの量は、周縁部Eにおける単位面積当たりの溶剤Fの量よりも、少ない。他方、薄膜化工程では、周縁部Eは中心部Cよりも速い速度で移動する。このため、周縁部Eにおける溶剤Fの減少量は、中心部Cにおける溶剤の減少量よりも、大きい。その結果、薄膜化工程の終了時点において、中心部Cにおける単位面積当たりの溶剤Fの量と、周縁部Eにおける単位面積当たりの溶剤Fの量が、ばらつくことを好適に抑制できる。
【0192】
薬液Gは比較的に高い粘度を有する。このため、薬液Gは凹部41に一層入りにくい。よって、薬液供給工程は、凹部41を薬液Gで一層好適にテンティングできる。
【0193】
薬液Gが200cP以上の粘度を有する場合、薬液供給工程は、凹部41を薬液Gで一層好適にテンティングできる。薬液Gが400cP以上の粘度を有する場合、薬液供給工程は、凹部41を薬液Gでより一層好適にテンティングできる。
【0194】
基板Wは平面視で円形状を有する。このため、溶剤供給工程は、基板Wの全体にわたって一層均一に、溶剤Fを供給できる。同様に、薬液供給工程は、基板Wの全体にわたって一層均一に、薬液Gを供給できる。
【0195】
基板Wは凹部41を有する。この場合であっても、本塗布方法の溶剤供給工程は、基板Wの全体にわたって均一に、溶剤Fを供給できる。その結果、薬液供給工程は、薬液Gを基板Wに適切に塗布できる。このように、基板Wが凹部41を有する場合には、本塗布方法は特に高い有用性を有する。
【0196】
本発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0197】
(1)上述した各実施例1、2では、溶剤ノズル26は1つの吐出口26aを有したが、これに限られない。例えば、溶剤ノズル26は複数の吐出口26aを有してもよい。
【0198】
(2)上述した各実施例1、2では、溶剤ノズル26の吐出口26aは略円形状を有したが、これに限られない。例えば、吐出口26aは、例えば、楕円形状や多角形状を有してもよい。例えば、吐出口26aは細長い形状を有してもよい。例えば、溶剤ノズル26は、スリット型ノズルであってもよい。
【0199】
(3)上述した実施例1、2では、溶剤ノズル26は、第1工程において中心位置Paから周縁位置Pbに移動したが、これに限られない。溶剤ノズル26は、第1工程において周縁位置Pbから中心位置Paに移動してもよい。
【0200】
(4)上述した実施例1では、溶剤ノズル26は、第2工程において周縁位置Pbから中心位置Paに移動したが、これに限られない。溶剤ノズル26は、第2工程において中心位置Paから周縁位置Pbに移動してもよい。
【0201】
(5)上述した実施例1では、第1工程において溶剤ノズル26が中心位置Paと周縁位置Pbとの間で移動する向きは、第2工程において溶剤ノズル26が中心位置Paと周縁位置Pbとの間で移動する向きと反対であったが、これに限られない。第1工程において溶剤ノズル26が中心位置Paと周縁位置Pbとの間で移動する向きは、第2工程において溶剤ノズル26が中心位置Paと周縁位置Pbとの間で移動する向きと同じであってもよい。
【0202】
(6)上述した実施例2では、第1工程において溶剤ノズル26が中心位置Paから周縁位置Pbに移動する期間は、第1基準時間T1の±20%の範囲内であったが、これに限られない。例えば、第1工程において溶剤ノズル26が中心位置Paと周縁位置Pbの間を移動する期間は、第1基準時間T1の±1[sec]の範囲内であってもよい。換言すれば、溶剤ノズル26は、第1工程において、第1基準時間T1の±1[sec]の範囲内の時間をかけて、中心位置Paと周縁位置Pbの間を移動してもよい。
【0203】
(7)上述した各実施例1、2では、溶剤ノズル26が中心位置Paと周縁位置Pbとの間で移動する経路L1は、平面視で、基板Wの径方向に近似する曲線であったが、これに限られない。例えば、溶剤ノズル26は、平面視で、基板Wの径方向に移動してもよい。例えば、溶剤ノズル26は、平面視で、中心位置Paと周縁位置Pbの間を直線的に移動してもよい。本変形実施例では、移動機構27の構造を適宜に変更してもよい。例えば、移動機構27の構造を、移動機構37と同等の構造に変更してもよい。
【0204】
(8)上述した実施例1、2では、溶剤ノズル26の移動速度は、第1工程において一定であったが、これに限られない。溶剤ノズル26の移動速度は、第1工程において変動してもよい。
【0205】
(9)上述した実施例1では、溶剤ノズル26の移動速度は、第2工程において一定であったが、これに限られない。溶剤ノズル26の移動速度は、第2工程において変動してもよい。
【0206】
(10)上述した実施例1、2において、溶剤ノズル26は鉛直方向に移動可能に設けられてもよい。例えば、溶剤供給工程において、溶剤ノズル26は鉛直方向に移動してもよい。本変形実施例によれば、溶剤ノズル26の高さ位置を変えながら、溶剤ノズル26は溶剤Fを基板Wに吐出できる。本変形実施例によれば、基板Wと溶剤ノズル26との間隔を変えながら、溶剤ノズル26は溶剤Fを基板Wに吐出できる。
【0207】
(11)上述した実施例1では、溶剤供給工程は凹部41を溶剤Fで満たしたが、これに限られない。すなわち、溶剤供給工程は、凹部41を溶剤で満たさなくてもよい。例えば、溶剤供給工程は、凹部41の内壁および底部の少なくともいずれかに溶剤Fを塗布してもよい。これによっても、薬液Gは凹部41に円滑に入ることができる。
【0208】
(12)上述した実施例2では、溶剤供給工程では溶剤Fが凹部41に入らなかったが、これに限られない。溶剤供給工程では、凹部41を溶剤Fでテンティングできれば、溶剤Fが凹部41に多少入ってもよい。
【0209】
(13)上述した実施例1では、溶剤供給工程は液盛工程を備えたが、これに限られない。すなわち、溶剤供給工程は、液盛工程を備えなくてもよい。
【0210】
(14)上述した実施例1では、溶剤供給工程は第2工程を備えたが、これに限られない。すなわち、溶剤供給工程は、第2工程を備えなくてもよい。
【0211】
(15)上述した実施例1、2では、溶剤供給工程は薄膜化工程を備えたが、これに限られない。すなわち、溶剤供給工程は、薄膜化工程を備えなくてもよい。
【0212】
(16)上述した実施例2では、薄膜化工程における基板Wの回転速度は、第1回転速度R1よりも大きかったが、これに限られない。例えば、薄膜化工程における基板Wの回転速度は、第1回転速度R1と同じであってもよい。例えば、薄膜化工程における基板Wの回転速度は、第1回転速度R1より低くてもよい。
【0213】
(17)上述した実施例1では、液盛工程を第1工程の後であって、第2工程の前に行ったが、これに限られない。例えば、液盛工程を第2工程の後に行ってもよい。例えば、第1工程に続いて、第2工程を行ってもよい。
【0214】
(18)実施例1における薬液供給工程を、実施例2における薬液供給工程に置き換えてもよい。具体的には、実施例1における溶剤供給工程の後に、実施例2における薬液供給工程を行ってもよい。本変形実施例によっても、実施例1と同様の効果を得ることができる。
【0215】
(19)実施例2における薬液供給工程を、実施例1における薬液供給工程に置き換えてもよい。具体的には、実施例2における溶剤供給工程の後に、実施例1における薬液供給工程を行ってもよい。本変形実施例によっても、実施例2と同様の効果を得ることができる。
【0216】
(20)実施例1の薬液ノズル36は、実施例2で説明した薬液ノズル36と同じ構造を有してもよい。例えば、実施例1の薬液ノズル36は、実施例2で説明した吐出口36aを有してもよい。あるいは、実施例1の薬液ノズル36は、実施例2で説明した薬液ノズル36と異なる構造を有してもよい。例えば、実施例1の薬液ノズル36は、略円形状の吐出口を有してもよい。
【0217】
(21)上述した実施例1、2において、薬液ノズル36は鉛直方向に移動可能に設けられてもよい。例えば、薬液供給工程において、薬液ノズル36は鉛直方向に移動してもよい。本変形実施例によれば、薬液ノズル36の高さ位置を変えながら、薬液ノズル36は薬液Gを基板Wに吐出できる。本変形実施例によれば、基板Wと薬液ノズル36との間隔を変えながら、薬液ノズル36は薬液Gを基板Wに吐出できる。
【0218】
(22)上述した実施例1、2では、基板Wは凹部41を有していたが、これに限られない。すなわち、基板Wは凹部41を有しなくてもよい。例えば、基板Wの上面は平坦であってもよい。
【0219】
(23)上述した実施例1、2および上記(1)から(22)で説明した各変形実施例については、さらに各構成を他の変形実施例の構成に置換または組み合わせるなどして適宜に変更してもよい。
【符号の説明】
【0220】
1 … 基板処理装置
11 … 回転保持部
26 … 溶剤ノズル
26a … 吐出口
27 … 移動機構
36 … 薬液ノズル
36a … 吐出口
37 … 移動機構
39 … 制御部
41、41a、41b … 凹部
43 … 凸部
B … 落下領域
C … 中心部
D … 吐出口26aの寸法
E … 周縁部
F … 溶剤
G、G1、G2、G3 … 薬液
Pa … 中心位置
Pb … 周縁位置
r … 基板Wの半径
R1 … 第1回転速度
R2 … 第2回転速度
N … 基準値
T1 … 第1基準時間
T2 … 第2基準時間
W … 基板
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