特許第6921708号(P6921708)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6921708
(24)【登録日】2021年7月30日
(45)【発行日】2021年8月18日
(54)【発明の名称】セラミック基板
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/02 20060101AFI20210805BHJP
   H05K 3/46 20060101ALI20210805BHJP
   H05K 3/34 20060101ALI20210805BHJP
【FI】
   H05K1/02 A
   H05K3/46 H
   H05K3/46 N
   H05K3/34 501Z
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-203016(P2017-203016)
(22)【出願日】2017年10月20日
(65)【公開番号】特開2019-79835(P2019-79835A)
(43)【公開日】2019年5月23日
【審査請求日】2019年11月25日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004547
【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098615
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 学
(74)【代理人】
【識別番号】100165489
【弁理士】
【氏名又は名称】榊原 靖
(72)【発明者】
【氏名】林 貴広
【審査官】 三森 雄介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−017081(JP,A)
【文献】 特開2004−288660(JP,A)
【文献】 特開2004−103607(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/102107(WO,A1)
【文献】 特開2012−114183(JP,A)
【文献】 特開2007−234662(JP,A)
【文献】 特開平5−267392(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/00−1/02
H05K 3/34,3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミックからなり、平面視の外形が矩形状で且つ対向する表面および裏面を有する基板本体と、
上記基板本体の表面の平面視における中央側に位置し、平面視の外形が矩形状で且つ上記基板本体の厚み方向に沿って配設された複数のビア導体を有する実装領域と、を備えたセラミック基板であって、
上記基板本体の表面において、平面視で上記実装領域の外側に沿って前記基板本体の厚み方向に沿って形成された複数のダミービア導体を配設してなると共に、
平面視で上記基板本体の表面における上記実装領域および複数のダミービア導体を含み、且つ側面視で上記基板本体の裏面側に凸となる凹部を有し
複数の上記ダミービア導体は、平面視で上記実装領域における四隅の近傍のみに沿って平面視でL字状に配設されている、
ことを特徴とするセラミック基板。
【請求項2】
前記基板本体は、複数のセラミック層を積層したものであり、前記ダミービア導体は、その上端面が上記基板本体の表面に露出している、
ことを特徴とする請求項1に記載のセラミック基板。
【請求項3】
前記ダミービア導体の上端面は、アライメントマークを兼ねている、
ことを特徴とする請求項に記載のセラミック基板。
【請求項4】
前記基板本体は、複数のセラミック層を積層したものであり、前記ダミービア導体は、上記基板本体における中層のセラミック層に形成されている、
ことを特徴とする請求項に記載のセラミック基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミックからなる基板本体の表面の平面視における中央側に複数のビア導体が比較的密集して配設されたセラミック基板に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、セラミック基板は、複数のセラミックグリーンシートの表面やこれに設けた貫通穴に金属粉末を含む導電性ペーストを印刷あるいは充填した後、これらのグリーンシートを積層し、更に焼成することで製造されている。しかし、前記焼成時において、セラミックと金属との間における収縮量の差に起因して、得られるセラミック基板に不用意な反りが生じることが知られている。
例えば、複数のセラミック層を積層してなり、外部配線パターン、内部配線パターン、およびこれらの間を接続するビア(ビア導体)が形成された複数の配線部と、該配線部の周囲に沿って配置された矩形枠状の非配線部とからなり、該非配線部にダミービア(ダミービア導体)を設けることによって、不用意な反りの発生を抑制して、電子部品の実装工程における歩留まりを改善するようにしたセラミック多層基板が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ところで、セラミックからなる基板本体の表面の中央側には、該表面上に追って電子部品を実装するための複数のパッドが形成され、且つ該パッドごとの真下には、上記基板本体の厚み方向に沿って配設された複数のビア導体が個別に接続されている。該複数のビア導体が比較的密集して配設された基板本体の表面における中央側と周辺側との間では、製造時の焼成工程における収縮量の差に起因して、平面視で中央側の表面が周辺側の表面よりも上記複数のビア導体全体の収縮により一層厚み方向に沿って収縮する。その結果、上記ビア導体の収縮量がセラミックの収縮量よりも大きい場合には、前記表面の中央側には、対向する裏面側に凸となる凹部が、平面視で上記複数のビア導体を含む実装領域に沿って形成される。該凹部が生じると、追って上記複数のパッド上に実装される電子部品の底面の周辺部が、当該凹部の周辺側の傾斜面あるいは湾曲面に接触あるいは接近し過ぎることにより、上記電子部品を所要の姿勢および位置に実装できず、電気的な接続が不安定になり得る。更に、上記凹部が湾曲面で形成されていることにより、該凹部の端に近い周辺側のパッドと、中央側のパッドとの間では、両者の接続高さが異なるため、周辺側のパッドにおける接続信頼性が低下する、という問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−114183号公報(第1〜13頁、図1〜5)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、背景技術で説明した問題点を解決し、セラミックからなる基板本体の表面における平面視の中央側に複数のビア導体が比較的密集して配設されていても、該複数のビア導体の上方に追って電子部品を精度良く、且つ電気的に確実に実装できるセラミック基板を提供する、ことを課題とする。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0006】
本発明は、前記課題を解決するため、セラミックからなる基板本体の表面において、複数のビア導体が配設された実装領域の外側に沿ってダミービア導体を配設することで、平面視で追って実装される電子部品の底面よりも広い凹部を形成する、ことに着想して成されたものである。
即ち、本発明のセラミック基板(請求項1)は、セラミックからなり、平面視の外形が矩形状で且つ対向する表面および裏面を有する基板本体と、該基板本体の表面の平面視における中央側に位置し、平面視の外形が矩形状で且つ上記基板本体の厚み方向に沿って配設された複数のビア導体を有する実装領域と、を備えたセラミック基板であって、上記基板本体の表面において、平面視で上記実装領域の外側に沿って前記基板本体の厚み方向に沿って形成された複数のダミービア導体を配設してなると共に、平面視で上記基板本体の表面における上記実装領域および複数のダミービア導体を含み、且つ側面視で上記基板本体の裏面側に凸となる凹部を有し、複数の上記ダミービア導体は、平面視で上記実装領域における四隅の近傍のみに沿って平面視でL字状に配設されている、ことを特徴とする。
【0007】
前記セラミック基板によれば、以下の効果(1),(1′)が得られる。
(1)前記基板本体の表面において、平面視で該表面の中央側に複数の前記ビア導体が比較的密集して配設された実装領域を有し、且つ該実装領域の外側に沿って複数のダミービア導体が配設されている。そのため、製造時における焼成工程で、上記複数のビア導体と共に上記複数のダミービア導体も、これらの軸方向に沿って収縮するため、上記基板本体の表面には、平面視で前記実装領域とこれらの外側に位置する複数のダミービア導体とを含み、且つ側面視で上記基板本体の裏面側に凸となる比較的扁平で、且つ追って実装される電子部品の実装領域よりも広い面積の凹部が形成されている。従って、上記複数のビア導体の上端面ごと対し、あるいは、該ビア導体ごとの上端面に接合された複数のパッドなどを介して、ロウ付けなどにより上記電子部品を実装した際に、該電子部品を所要の姿勢および位置に精度良く容易に実装できるので、前記各ビア導体と上記電子部品との電気的な接続を確実に得ることが可能となる。
(1′)前記実装領域は、平面視で矩形(正方形あるいは長方形)状を呈し、且つ該実装領域内に配設される複数の前記ビア導体の外形も平面視で実装領域の外形とほぼ相似形となっている。そのため、製造時の焼成工程で、実装領域の四隅付近は、ビア導体が比較的密集しており、且つビア導体が存在する領域(即ち、収縮の大きい領域)と、ビア導体が存在していない領域(即ち、収縮の小さい領域)との境界となっている。その結果、上記四隅付近は、他の部位よりも、比較的収縮しにくく、前記のように、複数の前記ダミービア導体を、平面視で前記実装領域における四隅の近傍のみに沿ってL字状に配設することにより、前記同様の電子部品の実装領域よりも比較的広い凹部を基板本体の表面に有するセラミック基板となる。従って、前記効果(1)を奏することが可能である。
【0008】
尚、前記セラミックは、例えば、アルミナや窒化アルミニウムなどの高温焼成セラミック、あるいは、ガラス−セラミックなどの低温焼成セラミックである。
また、前記実装領域は、平面視で矩形(正方形または長方形)状を呈する。
更に、前記ビア導体は、基板本体が上記高温焼成セラミックの場合には、タングステン(以下、単にWと記載する)またはモリブデン(以下、単にMoと記載する)からなり、上記低温焼成セラミックの場合には、銅または銀からなる。
また、上記ダミービア導体は、同じ基板本体において、異なる深さに位置するセラミック層ごとに形成されていても良い。
更に、上記ビア導体は、その上端面に基板本体の表面上に突出するパッドが接合されていても良い。
また、前記ダミービア導体は、上記ビア導体と同じ金属か同種の金属からなる。
更に、前記凹部は、側面視で扁平状の円弧形または扁平な逆台形状を呈する。
加えて、前記セラミック基板は、複数の該セラミック基板を平面視で縦横に隣接して併設した製品領域を含む多数個取りの形態からなるものであっても良い。
【0010】
更に、本発明には、前記基板本体は、複数のセラミック層を積層したものであり、前記ダミービア導体は、その上端面が上記基板本体の表面に露出している、セラミック基板(請求項)も含まれる。
これによれば、複数の上記ダミービア導体の上端面が上記基板本体の表面に露出しているので、製造時の焼成工程で上記複数のダミービア導体が位置している基板本体の表面側を含めた位置に前記凹部が形成されている。その結果、追って実装領域内に位置する複数のビア導体の上端面ごとに導体のボール(例えば、ハンダボール)を介して、あるいは、予め接合したパッドを介して、電子部品を精度良く実装することができる。従って、前記効果(1)を確実に奏することが可能である。
尚、前記複数のダミービア導体は、基板本体の表面を有する最上層のセラミック層、あるいは該セラミック層とこれに隣接する中層のセラミック層とを貫通するものであっても良い。
【0011】
また、本発明には、前記ダミービア導体の上端面は、アライメントマークを兼ねている、セラミック基板(請求項)も含まれる。
これによれば、例えば、平面視で前記実装領域が矩形である場合、該実装領域における2つの対角線ごとの延長線上となる四隅に、上端面がアライメントマークを兼ねる4つのダミービア導体を配設したり、あるいは、上記該実装領域の外形において、対向する一対ずつの辺の中間点を縦横に直交して通過する一対の中間線ごとの延長線上に、アライメントマークを兼ねる4つのダミービア導体を配設することが例示される。その結果、追ってなされる電子部品の実装時に、上記各ダミービア導体の位置をCCDカメラなどを用いる画像処理によって確認することで、一層正確な実装が可能となる。従って、アライメントマークを兼ねるダミービア導体を併用することで、前記効果(1)を一層顕著に得ることが可能となり、更に画像処理による実装も可能となる(以下、効果(2)と称する)。
尚、前記アライメントマークを兼ねるダミービア導体は、前記ビア導体と同じでも良いし、その上端面にメッキまたは塗装により色彩を付加したものでも良い。
【0012】
加えて、本発明には、前記基板本体は、複数のセラミック層を積層したものであり、前記ダミービア導体は、上記基板本体における中層のセラミック層に形成されている、セラミック基板(請求項)も含まれる。
これによれば、複数の上記ダミービア導体が、上記基板本体における中層のセラミック層に形成されていることで、焼成時の収縮が基板本体の表面側や裏面側では健在化しにくくなっている。その結果、平面視で前記実装領域よりも広く、且つ周辺側に位置する傾斜面の傾斜度あるいは湾曲面の急峻度を抑制した前記凹部を、基板本体の表面における中央側に有したセラミック基板とされている。従って、前記効果(1)を一層確実に得ることが可能なセラミック基板となる。
また、前記形態によれば、実装用のパッドと混同して、電子部品を誤った領域に実装する事態を確実に予防することができる(以下、効果(3)とする)。
更に、前記形態によれば、ビア導体が外部に露出しないので、後述する電解メッキによるニッケル膜や金膜の使用量を削減できる(以下、効果(4)とする)。
尚、上記ダミービア導体は、例えば、実装領域の四隅近傍では、最上層のセラミックおよび中層のセラミック層を貫通する比較的縦長の形態とし、且つ上記実装領域の四辺ごとにおける中間位置には、中層のセラミック層のみを貫通する比較的短い形態としても良い。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】(A)は本発明の前提となる一参考形態のセラミック基板を示す平面図、(B)は(A)中のX−X線の矢視に沿った垂直断面図、(C)は電子部品を実装した状態を示す前記と同様な垂直断面図。
図2】(A)は異なる配列のダミービア導体を含む実施形態のセラミック基板の部分平面図、(B)は応用形態のダミービア導体を含む上記セラミック基板の部分平面図。
図3】異なる形態の配列のダミービア導体を含む実施形態または参考形態の上記セラミック基板の垂直断面図。
図4】(A)は異なる参考形態のダミービア導体を含む上記セラミック基板の部分平面図、(B)は更に異なる参考形態のダミービア導体を含む上記セラミック基板の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下において、本発明を実施するための形態について説明する。
図1(A)は、本発明の前提となる一参考形態のセラミック基板1を示す平面図、図1(B)は、(A)中のX−X線の矢視に沿った垂直断面図である。
上記セラミック基板1は、図1(A),(B)に示すように、平面視の外形が正方形(矩形)状で且つ対向する表面3および裏面4を有する基板本体2と、該基板本体2の表面3における平面視で中央側に位置し、前記基板本体2の厚み方向に沿って配設された複数のビア導体7を有する実装領域5と、を備えている。
上記基板本体2は、3層(複数)のセラミック層(セラミック)c1〜c3を一体に積層してなり、該セラミック層c1〜c3は、例えば、主にアルミナからなる。
【0015】
また、前記実装領域5は、追って基板本体2の表面3に実装される後述する電子部品を配置するための仮想のエリアであり、該電子部品の底面とほぼ同じ広さである。該実装領域5内の表面3には、平面視で格子状に配列された複数のビア導体7の上端面が露出している。該ビア導体7は、WあるいはMoからなり、基板本体2の最上層および中層のセラミック層c1,c2を貫通している。
上記複数のビア導体7は、平面視で基板本体2の表面3における周辺側に比べて、比較的密集して配設されている。該複数のビア導体7は、平面視で市松模様(千鳥状)のパターンで配列されていても良い。
更に、図1(A),(B)に示すように、上記複数のビア導体7の上端面ごとには、前記基板本体2の表面3上に突出する円盤形状のパッド9が予め個別に接合されている。該パッド9もWあるいはMoからなり、外部に露出する表面には、電解メッキによるニッケル膜および金膜(何れも図示せず)が被覆されている。
【0016】
尚、前記セラミックc1〜c3間には、図示しない内層配線が適宜形成され、該内層配線は、前記ビア導体7の何れかと接続されると共に、中層および最下層のセラミック層c2,c3を貫通する図示しないビア導体を介して、基板本体2の裏面4に形成された複数の外部接続端子(図示せず)とも電気的に接続されている。上記内層配線、ビア導体、および外部接続端子も、WまたはMoからなる。
また、図1(A),(B)に示すように、前記基板本体2の表面3において、平面視で前記実装領域5の外側に沿って、複数のダミービア導体8が矩形枠形状で且つほぼ等間隔に配設されている。該ダミービア導体8も、WあるいはMoからなり、且つ何れも前記セラミック層c1,c2を貫通している。尚、当該ダミービア導体8は、製造時において、前記ビア導体7と同様に、同じ打ち抜き加工によりセラミックグリーンシートに形成された複数のビアホール内ごとに、充填されたW粉末またはMo粉末を含む導電性ペーストを焼成したものである。
【0017】
加えて、図1(A),(B)に示すように、前記基板本体2の表面3には、平面視で前記実装領域5および前記複数のダミービア導体8を含む矩形状を呈し、且つ側面視で基板本体2の裏面4側に浅い凸となる凹部10を有している。該凹部10は、前記基板本体2となる3層のセラミックグリーンシート積層体を焼成した際に、未焼成であった前記複数のビア導体7および複数のダミービア導体8が焼成後において、それらの軸方向に沿って収縮した結果、形成されたものである。尚、該収縮の具合などによっては、基板本体2の裏面4の中央側にも平面視が相似形で、且つ更に小さくて浅い凹部(図示せず)がほぼ線対称で形成されていても良い。
【0018】
図1(C)は、前記基板本体2の表面3における実装領域5上に電子部品12を実装した状態を示す前記同様の垂直断面図である。
図示のように、全体が扁平状の直方体を呈する電子部品12は、前記実装領域5内に位置する複数のビア導体7の上端ごとに接合された複数のパッド9の上方に、図示しないハンダなどを介して実装される。しかも、上記基板本体2の表面3における前記複数のダミービア導体8を含む領域にも前記凹部10が形成されており、且つ該凹部10は、平面視の中央側が比較的平坦で、且つ該中央側よりも周辺側が比較的急峻な湾曲面を有している。その結果、図1(C)に示すように、前記電子部品12は、その底面の全周辺が上記凹部10の内側に位置すると共に、該電子部品12の底面に設けられた図示しない複数の外部電極は、上記ハンダなどやパッド9を介して、前記複数のビア導体7と個別に導通可能とされる。
従って、前記のようなセラミック基板1によれば、上記電子部品12を所定の位置および姿勢にして精度良く実装するこが容易となる(前記効果(1))。
【0019】
図2(A)は、前記とは異なる配列のダミービア導体8を含む実施形態の前記セラミック基板1を示す部分平面図である。
図2(A)に示すように、基板本体2の表面3における平面視の中央側には、前記同様に配設された複数のビア導体7を有する実装領域5が位置しており、該実装領域5の四隅の外側には、その近傍にのみ沿って複数のダミービア導体8がほぼ等間隔に配設されている。前述した焼成時における収縮は、平面視が矩形状を呈する実装領域5において、該実装領域5の各辺における中間側よりも2つの辺が隣接する四隅付近において、比較的生じにくい傾向にある。
従って、実装領域5の外側における四隅の近傍にのみ複数のダミービア導体8を配設する上記の形態によっても、前記効果(1)を得ることが可能である。
尚、図2(A)中において、平面視がL字形状を呈する四隅の5個ずつのダミービア導体8のうち、角部ごとに位置するダミービア導体8を省略しても良い。
【0020】
図2(B)は、前記図2(A)に示した形態の応用形態を示す前記セラミック基板1の部分平面図である。
図2(B)に示すように、基板本体2の表面3の中央側には、前記同様の実装領域5が位置し、且つ該実装領域5の四隅の外側に近傍のみに沿って、複数のダミービア導体8が平面視でL字形状にして配設されている。そとて、該平面視でL字形状を呈する四隅ごとの5個のダミービア導体8のうち、角部ごとに位置するものを平面視で画像認識が容易なアライメントマークを兼ねたダミービア導体8aとしたものである。該ダミービア導体8aは、他のダミービア導体8と同じく、上端面の最外層にメッキによる金膜を被覆した形態のほか、例えば、白色などの明色系の色彩を有する塗膜(何れも図示せず)を塗布したものでも良い。
図示のように、4個の上記ダミービア導体8aは、平面視で実装領域5における2つの対角線(仮想線)が、該実装領域5の中心を個別に通過する位置にある。そのため、前記電子部品12を実装領域5上に実装する際に、予め、図示しないCCDカメラなどにより、上記4個のダミービア導体8aの位置を認識しておくことにより、上記電子部品12の実装精度をより顕著に高めることが可能となる。
従って、上記形態によれば、前記効果(1),(2)を得ることが可能となる。
【0021】
図3は、異なる形態の配列のダミービア導体8bを含む実施形態または参考形態の前記セラミック基板1の垂直断面図である。
図3に示すように、本セラミック基板1では、基板本体2の表面3の平面視における中央側に、前記同様の実装領域5が位置し、且つ該実装領域5の外側に沿って、中層のセラミック層c2のみを貫通する複数のダミービア導体8bを配設している。基板本体2の表面3および裏面4に露出しない該ダミービア導体8bは、平面視で実装領域5の外側の全周に沿って形成しても良いし、前記実装領域5の四隅の近傍付近にのみ配設した形態としても良い。
上記ダミービア導体8bを用いることで、図3に示すように、基板本体2の表面3側に形成される凹部10は、その周辺部の曲面おける急峻度がより緩和されるので、前記効果(1)をより確実に得ることが可能となる。
加えて、前記効果(3),(4)を併せて奏することもできる。
【0022】
図4(A)は、異なる参考形態のダミービア導体8,8bを含む前記セラミック基板1の部分平面図である。
図4(A)に示すように、本セラミック基板1でも、基板本体2の表面3の平面視における中央側に、前記同様の実装領域5が位置している。平面視で該実装領域5の外側に沿って、その四隅ごとの近傍に前記セラミック層c1,c2を貫通し且つ基板本体2の表面3に上端面が露出する複数のダミービア導体8を配設している共に、上記実装領域5の各辺の中程ごとに前記セラミック層c2のみを貫通し且つ上記表面3に露出しない複数のダミービア導体8bを配設している。
【0023】
前記のように、実装領域5の四隅の近傍に複数の前記ダミービア導体8を配設し、且つこれらの間である実装領域の各辺の中間に複数の前記ダミービア導体8bを配設することにより、焼成後の収縮過程において、上記実装領域5の四隅の近傍において、前記凹部10のコーナー付近ごとに前記基板本体2の厚み方向に沿った急峻な曲面を形成すると共に、上記実装領域5の各辺の中間位置ごとに隣接して比較的緩やかな曲面の周辺部を有する凹部10を形成することができる。
従って、上記形態のセラミック基板1も前記効果(1)を有している。
尚、図4(A)中において、凹部10の四隅付近にアライメントマークを兼ねる前記ダミービア導体8aを個別に追加して配設しても良い。
【0024】
図4(B)は、更に異なる参考形態のダミービア導体8,8aを含む前記セラミック基板1の平面図である。
図4(B)に示すように、本セラミック基板1でも、基板本体2の表面3の平面視における中央側に、前記同様の実装領域5が位置している。平面視で該実装領域5の外側に沿って、その四隅ごとの近傍に内外2列で且つ千鳥状に複数のダミービア導体8を配設すると共に、これらの間ごとである上記実装領域5の各辺の中程ごとに該実装領域5寄りの内側に沿って複数のダミービア導体8を1列にして配設している。
【0025】
更に、図示のように、前記実装領域5の各角(コーナー)部の外側には、アライメントマークを兼ねる前記ダミービア導体8aを1個ずつ配設している。
前記のような形態によれば、前記基板本体2の表面3における平面視の中央側に、比較的広い面積の凹部10を有するセラミック基板1とすることができると共に、前記効果(1),(2)を奏することができる。
尚、平面視で前記実装領域5の外側の全周に沿って、複数のダミービア導体8を内外2列以上にして配設した形態としても良い。この場合、該複数のダミービア導体8は、平面視で千鳥状に限らず、格子状の位置ごとに配列しても良い。
また、前記前記ダミービア導体8aを、通常のダミービア導体8にしても良い。
【0026】
本発明は、以上において説明した各形態に限定されるものではない。
例えば、前記基板本体2を構成するセラミックは、例えば、窒化アルミニウムやムライトなどの高温焼成セラミックとしたり、ガラス−セラミックなどの低温焼成セラミックとしても良い。後者の場合、前記ビア導体7、ダミービア導体8,8a,8b、およびパッド9などの導体には、銅あるいは銀が適用される。
また、前記基板本体2は、2層のセラミック層あるいは4層以上のセラミック層を積層したものでも良い。例えば、4層のセラミック層からなる基板本体2の場合、前記ビア導体7およびダミービア導体8,8aは、前記表面3を有する最上層のセラミック層のみ、あるいは該最上層のセラミック層とこれに隣接するセラミック層とを貫通する形態とし、前記ダミービア導体8bは、中層の2つのセラミック層の一方あるいは双方を貫通する形態としても良い。
【0027】
更に、前記基板本体2の表面3および裏面4は、平面視で互いに対向する長方形状を呈する形態であっても良い。
また、前記基板本体2の表面3における中央側に、平面視の外形が長方形状を呈する実装領域5を設けた形態としても良い。かかる形態の場合、前記ダミービア導体8(前記ダミービア導体8a,8bを含む)は、上記長方形状を構成する各辺のうち、対向する一対の短辺の外側に沿ってのみ配設するか、あるいは、一対の短辺の外側に沿って配設するピッチを、対向する一対の長辺の外側に沿って配設するピッチよりも小さくする形態が推奨される。
更に、前記パッド9を省略し、前記ビア導体7の上端面を基板本体2の表面に露出させた形態としても良い。
【0028】
また、前記アライメントマークを兼ねるダミービア導体8aは、平面視が矩形状を呈する前記実装領域5の各辺における中間位置の外側ごとの4カ所に配設した形態、あるいは、上記実装領域5の角部ごとにおける何れか3カ所に配設した形態としも良い。
加えて、前記凹部10は、平面視が矩形状である前記実装領域5を囲むほぼ相似形を呈すると共に、各辺の中程が前記表面3の周辺側あるいは中心側に緩くカーブしている形態であっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明によれば、セラミックからなる基板本体の表面における中央側に複数のビア導体が比較的密集して配設されていても、該複数のビア導体の上方に追って電子部品を精度良く、且つ電気的に確実に実装できるセラミック基板を確実に提供できる。
【符号の説明】
【0030】
1………………セラミック基板
2………………基板本体
3………………表面
4………………裏面
5………………実装領域
7………………ビア導体
8,8a,8b…ダミービア導体
10……………凹部
c1〜c3……セラミック層(セラミック)
図1
図2
図3
図4