(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。
【0011】
(ハイブリッド発電システムの構成の概要)
図1は、本実施形態におけるハイブリッド発電システム100(発電システム)の構成の例を示した図である。ハイブリッド発電システム100で発電された電力は、商用電力系統200へ送電される。詳細には、第1発電設備P1から出力される第1発電電力が電線C1を介して、第2発電設備P2から出力された第2発電電力が電線C2を介して、それぞれ商用電力系統200の連系点210まで送電される。なお、本実施形態では、第1発電設備P1を風力発電システム、第2発電設備P2を太陽光発電システムとして説明するが、他の種類の発電設備であってもよい。さらに、第1発電設備P1および第2発電設備P2の発電設備の種類は異なっていてもよいし、同一であってもよい。
【0012】
ハイブリッド発電システム100は、第1発電設備P1と、第2発電設備P2と、出力制御装置110と、第1発電設備P1を監視する計測監視装置120と、第2発電設備P2を監視する計測監視装置130と、第1発電設備P1から出力される第1発電電力値、電圧、抵抗値及び力率を計測可能なメータM1と、第2発電設備P2から出力される第2発電電力値、電圧、抵抗値及び力率を計測可能なメータM2と、を含む。
【0013】
また、商用電力系統200は、ハイブリッド発電システム100で発電された電力が供給される連系点210と、連系点210で供給される電力値、電圧、抵抗値及び力率を計測可能なメータM3と、を含む。そして、ハイブリッド発電システム100は、メータM3が測定した測定値を取得する。なお、
図1には、第1発電設備P1から出力された第1発電電力と、第2発電設備P2から出力された第2発電電力とが、一つの連系点210に供給され、電力値等の計測のために一つのメータM3が設けられた構成を示すが、本発明はこの構成に限定されない。すなわち、第1発電電力と、第2発電電力とが、それぞれ別個の連系点に供給されてもよい。その場合、各連系点に設けたメータによって計測したそれぞれのデータに基づいて計算することにより、
図1と同様の結果が得られる。
【0014】
また、ハイブリッド発電システム100は、商用電力系統200に供給することのできる電力容量(以下、連系契約容量とする)が定められており、連系契約容量以上の電気を連系点210に供給することはできない。
【0015】
本実施形態では、出力制御がなされるのはハイブリッド発電システム100に含まれる発電設備のうち1つ(本実施形態では第2発電設備P2)であり、他の発電設備(本実施形態では第1発電設備P1)は、該発電設備がその時点で可能である最大出力で発電するものとし、連系点210における供給電力の合計は、連系契約容量を超えないものとする。
【0016】
出力制御装置110は、データ取得部111と、計算部112と、記憶部113と、出力制御部114とを含む。データ取得部111は、計測監視装置120および計測監視装置130などから各発電設備に関する、例えば出力等の情報を取得する。メータM1は計測監視装置120に、メータM2は計測監視装置130に、メータM3はデータ取得部111にそれぞれの計測データを渡す。計算部112は、必要なパラメータを計算する。記憶部113は、例えば、連系契約容量等の定数や、計算部112によって算出されたパラメータ等を保持する。出力制御部114は、例えば、計測監視装置130を通じて、計算されたパラメータに基づき第2発電設備P2の出力を制御する。
【0017】
以上のように、出力制御装置110は、1以上の第1発電設備P1、および第2発電設備P2から出力されたそれぞれの発電電力を、各発電設備P1及びP2から商用電力系統200の連系点210へそれぞれ供給するハイブリッド発電システム100の出力制御装置であって、前記ハイブリッド発電システム100は、前記連系点210における供給電力値の総和の上限値として連系契約容量が設定されており、第1発電設備P1から出力される第1発電電力値を取得するデータ取得部111と、各発電設備P1およびP2と前記連系点210とを接続する各電線C1およびC2における送電ロスを考慮して、前記連系点210における供給電力値の総和が前記連系契約容量を上回らず、かつ、前記第1発電設備P1および前記第2発電設備P2における発電電力値の総和が前記連系契約容量を上回るように、前記第2発電設備P2が出力すべき発電電力値を算出する計算部112とを備える。この構成により、連系契約容量を超えずに第1発電設備P1および第2発電設備P2の総出力をより大きくすることができる。
【0018】
さらに、出力制御装置110は、第2発電設備P2が出力する電力値が計算部112が算出した電力値になるように、第2発電設備P2が出力する電力を制御する。
【0019】
以下、計算部112が、第2発電設備P2が出力すべき電力値を算出する計算方法の例を説明する。
【0020】
(計算方法1)
図2は、第1の計算方法に基づいて第2発電設備P2の出力を算出する場合のフローチャートである。
【0021】
(ステップS301)
ステップS301において、データ取得部111は、メータM1、メータM2及びメータM3にて測定された電力値をそれぞれ取得して計算部112に渡す。なお、データ取得部111は、メータM1及びメータM2にて測定された電力値に代えて、それぞれ計測監視装置120及び130が第1発電設備P1及び第2発電設備P2にそれぞれ設定した出力電力値を取得してもよい。
【0022】
(ステップS302)
ステップS302において、計算部112は、メータM1での電力値とメータM2での電力値を加算した値からメータM3での電力値を減算し、電線C1および電線C2におけるロス見込み電力値を算出する。
【0023】
(ステップS303)
ステップS303において、計算部112は、記憶部113から連系契約容量を読み込む。
【0024】
(ステップS304)
ステップS304において、計算部112は、連系契約容量とロス見込み電力値を加算した値からメータM1における電力値を減算することで、第2発電設備P2の出力上限値を算出する。算出された第2発電設備P2の出力上限値は、例えば記憶部113に保持されてもよい。
【0025】
(ステップS305)
ステップS305において、出力制御部114は、計測監視装置130を通じ、第2発電設備P2の出力を前記出力上限値に設定する。
【0026】
以上のように、計算方法1を用いる場合、出力制御装置110は、データ取得部111が、前記第1発電設備P1の発電電力値とともに、前記第2発電設備P2の発電電力値、および前記連系点210におけるそれぞれの供給電力値を取得し、計算部112が、前記第1発電設備P1の発電電力値と前記連系点210における電力値との差から、前記第1発電設備P1から前記連系点210までの電線C1においてロスする電力値を算出するとともに、前記第2発電設備P2の発電電力値と前記連系点210における電力値との差から、前記第2発電設備P2から前記連系点210までの電線C2においてロスする電力値を算出し、前記連系契約容量と前記各電線C1及びC2においてロスする電力値との和から、前記第1発電設備P1の発電電力を減算して、前記第2発電設備P2が出力すべき電力値を算出する。この構成により、電力値の実測値に応じて、電線C1、C2によるロスを考慮した第1発電設備P1および第2発電設備P2の出力制御ができる。
【0027】
(計算方法2)
図3は、第2の計算方法に基づいて第2発電設備P2の出力を算出する場合のフローチャートである。なお、前出のステップと同じステップについては、説明を繰り返さない。
【0028】
(ステップS3011)
ステップS3011において、データ取得部111は、メータM1及びメータM2から、各メータでの電力値、電圧をそれぞれ取得して計算部112に渡す。なお、データ取得部111は、メータM1及びメータM2にて測定された電力値及び電圧に代えて、それぞれ計測監視装置120及び130が第1発電設備P1及び第2発電設備P2にそれぞれ設定した出力電力値及び電圧を取得してもよい。
【0029】
(ステップS3032)
ステップS3032において、計算部112は、電線C1および電線C2におけるロス見込み電力値をそれぞれ算出する。ここでは、一例として、電線C1におけるロス率を算出する。計算部112は、記憶部113に保存された電線C1の設計値を読み込む。電線C1の設計値は、抵抗が1kmあたり0.124Ω、長さが5kmであるとする。また、メータM1での計測値は、電力値が10MW、電圧が22kVであるとする。この場合、第1発電設備P1から連系点210までの電線C1におけるロス見込み電力値は以下のように算出される。
【0030】
幹線電流は、10MW÷(22kV×√3)=262Aである。抵抗値は、0.124(Ω/km)×5(km)=0.62Ωである。そこで、電圧降下は、0.62(Ω)×262(A)×√3=281.35Vである。したがって、ロス見込み電力値は、281.35×262(A)×√3=127676Wとなる。
【0031】
(ステップS303〜S305)
ステップS303からステップS305までは、
図2と同様である。
【0032】
なお、上記の計算例では、力率を1.0とした。しかし、ステップS3011において、データ取得部111がメータM1及びメータM2にて計測された各力率を取得し、ステップS3021において、計算部112が各力率を考慮して計算を行ってもよい。このように力率を考慮することで、電線C1、C2におけるロス見込み電力値および第2発電設備P2の出力上限値をより正確に算出することができる。
【0033】
また、メータM1、M2での計測値に対応するロス見込み電力値は、
図4のように、あらかじめ算出しておくことができる。そこで、
図4のようなデータを記憶部113に保存しておき、メータM1、M2での計測値に応じて基づいてロス見込み電力値を読み取っても良い。
図4の「第1発電設備P1」の1行目が、上記の計算例にあたる。
【0034】
以上のように、計算方法2を用いる場合、出力制御装置110は、データ取得部111が、前記第1発電設備P1の発電電力値とともに、前記第2発電設備P2の発電電力値を取得し、計算部112が、前記第1発電設備P1の発電電力値、前記第2発電設備P2の発電電力値、および、前記各電線C1及びC2の設計値に基づいて、前記各電線C1及びC2においてロスする電力値を算出し、前記連系契約容量と前記各電線C1及びC2においてロスする電力値との和から、前記第1発電設備P1の発電電力値を減算して、前記第2発電設備P2が出力すべき電力値を算出する。この構成により、メータM3を利用できない場合でも、電線C1、C2によるロスを考慮した第1発電設備P1および第2発電設備P2の出力制御ができる。
【0035】
(計算方法3)
図5は、第3の計算方法に基づいて第2発電設備P2の出力を算出する場合のフローチャートである。なお、前出のステップと同じステップについては、説明を繰り返さない。
【0036】
(ステップS3012)
ステップS3012において、データ取得部111は、メータM1にて測定された電力値、電圧、並びにメータM2にて測定された電圧の値をそれぞれ取得して計算部112に渡す。なお、データ取得部111は、メータM1及びメータM2にて測定された電力値及び電圧に代えて、それぞれ計測監視装置120及び130が第1発電設備P1及び第2発電設備P2にそれぞれ設定した出力電力値及び電圧を取得してもよい。
【0037】
(ステップS3032)
ステップS3032において、計算部112は、記憶部113から連系契約容量及び電線C1、C2の抵抗値を読み込む。
【0038】
なお、電線C1、C2の抵抗値は、メータM1、M2以外のハイブリッド発電システム100の外部に設けられたセンサーによる計測値を用いて算出してもよい。これにより、より精度の高い抵抗値を用いて、第2発電設備P2の出力上限値を算出することが可能となる。
【0039】
(ステップS3042)
ステップS3042において、計算部112は、以下の数式(10)(11)を演算することにより、第2発電設備P2の出力上限値を算出する。
【0041】
なお、上記数式(10)(11)は、以下の数式によって導出される。数式中の記号は以下のとおりである。
S:連系契約容量[W]
S
w:第1発電設備P1の発電設備の出力[W]
S
p:第2発電設備P2の発電設備の出力[W]
V
W:第1発電設備P1の発電設備の電圧[V]
V
p:第2発電設備P2の発電設備の電圧[V]
L
W:第1発電設備P1から連系点210までのロス[W]
L
p:第2発電設備P2から連系点210までのロス[W]
I
W:第1発電設備P1から流れる電流[A]
I
p:第2発電設備P2から流れる電流[A]
R
W:第1発電設備P1から連系点210までの電線の抵抗値[Ω]
R
p:第2発電設備P2から連系点210までの電線の抵抗値[Ω]
なお、電線C1、C2の導体温度の変化速度は極めて遅いため、温度変化による抵抗値の変化は無視するものとする。
【0046】
数式(6)及び(7)を数式(1)に代入して、変形する。
【0049】
数式(9)を解の公式に当てはめると、数式(10)及び(11)が得られる。
【0050】
(ステップS305)
ステップS305は、
図2と同様である。
【0051】
なお、上記の計算例では、力率を1.0とした。しかし、ステップS3012において、データ取得部111がメータM1及びメータM2にて計測された各力率を取得し、ステップS3042において、計算部112が各力率を考慮して計算を行ってもよい。このように力率を考慮することで、電線C1、C2におけるロス見込み電力値および第2発電設備P2の出力上限値をより正確に算出することができる。
【0052】
以上のように、計算方法3を用いる場合、出力制御装置110は、データ取得部111が、前記第1発電設備P1の発電電力値とともに、前記第1発電設備P1の発電電圧、前記第2発電設備P2の発電電圧を取得し、計算部112が、前記第1発電設備P1の発電電力値、前記第1発電設備P1の発電電圧、前記第2発電設備P2の発電電圧、前記各電線C1及びC2の抵抗値に基づいて、前記第2発電設備P2が出力すべき電力値を算出する。この構成により、ロス見込み量を算出することなく、ロスを見込んだ出力上限値を直接算出して、電線C1、C2によるロスを考慮した第1発電設備P1および第2発電設備P2の出力制御ができる。よって、より厳密な出力上限値を設定できる。
【0053】
図6は、第3の計算方法による計算結果を示す表である。
図5のステップS3042において、計算部112は、上記計算の代わりに、記憶部113からこのような計算済みの表を読み込んで第2発電設備P2の出力上限値を算出してもよい。例えば、連系契約容量が10000kWであるとして、
図6のパターン1においては、第1発電設備P1の出力が9000kWのとき、第2発電設備P2の出力上限値を1209.3943kWに設定すれば、連系点における合計出力は9999.3943kWとなり、連系契約容量を超えない最大出力となる。
【0054】
〔変形例〕
本実施形態では、データ取得部111が第1発電設備P1の発電電力値をメータM1から取得する場合について説明した。しかし、第1発電設備P1の発電電力値を記憶部113に予め格納しておき、データ取得部111は記憶部113から第1発電設備P1の発電電力値を取得してもよい。このように、P1の発電設備の電力を固定値とし、記憶部113に予め格納しておくことで、メータからの読み取りが不要になる。なお、この場合でも、第2発電設備P2の電力値、電圧、抵抗値及び力率は、メータM2から取得される。
【0055】
また、ハイブリッド発電システム100は、第1発電設備P1を複数含んでいてもよい。さらに、該複数の発電設備および第2発電設備P2の発電設備の種類は異なっていてもよいし、すべて同一であってもよい。第1発電設備P1が複数である場合、該複数の第1発電設備P1からのそれぞれの出力を測定した値を1つにまとめることで、
図1のメータM1での測定値と等価な値を得ることができる。また、該複数の第1発電設備P1からそれぞれの連系点に供給される出力を測定した値を1つにまとめることで、
図1のメータM3での測定値と等価な値を得ることができる。そして、これら等価な値を用いることで、上述した計算方法1〜3により、第2発電設備P2の出力を算出することができる。
【0056】
〔ソフトウェアによる実現例〕
出力制御装置110(特に計算部112及び出力制御部114)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0057】
後者の場合、出力制御装置110は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータを備えている。このコンピュータは、例えば少なくとも1つのプロセッサ(制御装置)を備えていると共に、前記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な少なくとも1つの記録媒体を備えている。そして、前記コンピュータにおいて、前記プロセッサが前記プログラムを前記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。前記プロセッサとしては、例えばCPU(Central Processing Unit)を用いることができる。前記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、前記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などをさらに備えていてもよい。また、前記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して前記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、前記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0058】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る出力制御装置は、1以上の第1発電設備、および第2発電設備から出力されたそれぞれの発電電力を、前記第1発電設備および前記第2発電設備から商用電力系統の連系点へそれぞれ供給する発電システムの出力制御装置であって、前記発電システムは、前記連系点における供給電力値の総和の上限値として連系契約容量が設定されており、前記第1発電設備の発電電力値を取得し、各発電設備と前記連系点とを接続する各電線における送電ロスを考慮して、前記連系点における供給電力値の総和が前記連系契約容量を上回らず、かつ、前記第1発電設備および前記第2発電設備における発電電力値の総和が前記連系契約容量を上回るように、前記第2発電設備が出力すべき発電電力値を算出する。
【0059】
前記の構成によれば、電線によるロスを考慮して、連系契約容量を超えずに各発電設備の出力の合計をより大きくできる。
【0060】
本発明の態様2に係る出力制御装置は、前記態様1において、前記第1発電設備の発電電力値とともに、前記第2発電設備の発電電力値、および前記連系点におけるそれぞれの供給電力値を取得し、前記第1発電設備の発電電力値と前記連系点における電力値との差から、前記第1発電設備から前記連系点までの電線においてロスする電力値を算出するとともに、前記第2発電設備の発電電力値と前記連系点における電力値との差から、前記第2発電設備から前記連系点までの電線においてロスする電力値を算出し、前記連系契約容量と前記各電線においてロスする電力値との和から、前記第1発電設備の発電電力を減算して、前記第2発電設備が出力すべき電力値を算出してもよい。
【0061】
前記の構成によれば、実測値に応じて、電線によるロスを考慮した発電設備の出力制御ができる。
【0062】
本発明の態様3に係る出力制御装置は、前記態様1において、前記第1発電設備の発電電力値とともに、前記第2発電設備の発電電力値を取得し、前記第1発電設備の発電電力値、前記第2発電設備の発電電力値、および、前記各電線の設計値に基づいて、前記各電線においてロスする電力値を算出し、前記連系契約容量と前記各電線においてロスする電力値との和から、前記第1発電設備の発電電力値を減算して、前記第2発電設備が出力すべき電力値を算出してもよい。
【0063】
前記の構成によれば、連系点にて電力値を取得することができない場合でも、電線によるロスを考慮した発電設備の出力制御ができる。
【0064】
本発明の態様4に係る出力制御装置は、前記態様1において、前記第1発電設備の発電電力値とともに、前記第1発電設備の発電電圧、前記第2発電設備の発電電圧を取得し、前記第1発電設備の発電電力値、前記第1発電設備の発電電圧、前記第2発電設備の発電電圧、前記各電線の抵抗値に基づいて、前記第2発電設備が出力すべき電力値を算出してもよい。
【0065】
前記の構成によれば、計算過程を抑えつつ電線によるロスを正確に考慮した発電設備の出力制御ができる。
【0066】
本発明の態様5に係る出力制御装置は、前記態様1から4において、前記算出した前記電力値に、前記第2発電設備が出力する電力を制御してもよい。
【0067】
前記の構成によれば、電線によるロスを考慮して、連系契約容量を超えずに各発電設備の出力の合計をより大きくできる。
【0068】
本発明の態様6に係る出力制御装置は、前記態様1から5において、前記第2発電設備は、太陽光発電設備であってもよい。
【0069】
本発明の態様7に係る発電システムは、前記態様1から6の、出力制御装置と、前記第1発電設備と、前記第2発電設備と、前記第1発電設備の発電電力値を計測するメータと、を備えていてもよい。
【0070】
前記の構成によれば、前記態様1と同様の効果を奏する。
【0071】
本発明の態様8に係る出力制御方法は、1以上の第1発電設備、および第2発電設備から出力されたそれぞれの発電電力を、前記第1発電設備および前記第2発電設備から商用電力系統の連系点へそれぞれ供給する発電システムの出力制御方法であって、前記発電システムは、前記連系点における電力値の総和の上限値として連系契約容量が設定されており、前記第1発電設備の発電電力値を取得し、各発電設備と前記連系点とを接続する各電線におけるロスを考慮して、前記連系点における電力の総和が前記連系契約容量を上回らず、かつ、前記第1発電設備および前記第2発電設備の発電電力の総和が前記連系契約容量を上回るように、前記第2発電設備が出力すべき電力値を算出してもよい。前記の構成によれば、前記態様1と同様の効果を奏する。
【0072】
本発明の各態様に係る出力制御装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを前記出力制御装置が備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることにより前記出力制御装置をコンピュータにて実現させる発電設備の出力制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【0073】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。