特許第6921949号(P6921949)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6921949
(24)【登録日】2021年7月30日
(45)【発行日】2021年8月18日
(54)【発明の名称】遠心コンプレッサ用のダイアフラム
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/42 20060101AFI20210805BHJP
【FI】
   F04D29/42 H
   F04D29/42 M
【請求項の数】15
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-521073(P2019-521073)
(86)(22)【出願日】2017年10月18日
(65)【公表番号】特表2019-535945(P2019-535945A)
(43)【公表日】2019年12月12日
(86)【国際出願番号】EP2017076583
(87)【国際公開番号】WO2018077691
(87)【国際公開日】20180503
【審査請求日】2019年5月28日
(31)【優先権主張番号】102016000106889
(32)【優先日】2016年10月24日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】517029381
【氏名又は名称】ヌオーヴォ・ピニォーネ・テクノロジー・ソチエタ・レスポンサビリタ・リミタータ
【氏名又は名称原語表記】Nuovo Pignone Tecnologie S.R.L.
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】特許業務法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】リカルド・ブロジェッリ
【審査官】 松浦 久夫
(56)【参考文献】
【文献】 中国特許出願公開第101012837(CN,A)
【文献】 特開2003−148397(JP,A)
【文献】 特開2007−177737(JP,A)
【文献】 特開2012−057726(JP,A)
【文献】 特開昭61−053500(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0224032(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸(C)を有するインペラ(3)に少なくとも部分的に面するように構成された後面(2)であって、前記後面(2)が、ディフューザ(4)を少なくとも部分的に規定する第1の部分(2a)を有し、前記後面(2)が、前記インペラ(3)に面する第2の部分(2b)を有する、前記後面(2)を有する、遠心コンプレッサ用のダイアフラム(1)であって、前記ダイアフラム(1)が、前記第2の部分(2b)に位置する出口(7)と、前記出口(7)における静圧よりも静圧が高いポイントにおいて、前記後面(2)に位置する入口(6)と、を有するダクト(5)を有し、
前記ダクト(5)が、前記入口(6)から前方に向かって延びる第1の部分(5a)と、前記出口(7)から前方に向かって延びる第2の部分(5b)と、前記第1の部分(5a)と前記第2の部分(5b)とを結合する中間部分(5c)とを備え、
前記中間部分(5c)が、少なくとも部分的に径方向(A)に沿って延び、前記第1の部分(5a)と前記第2の部分(5b)の各々と実質的に角度をなすように結合し、
前記入口(6)が、前記第2の部分(2b)に位置している、ダイアフラム(1)。
【請求項2】
中心軸(C)を有するインペラ(3)に少なくとも部分的に面するように構成された後面(2)であって、前記後面(2)が、ディフューザ(4)を少なくとも部分的に規定する第1の部分(2a)を有し、前記後面(2)が、前記インペラ(3)に面する第2の部分(2b)を有する、前記後面(2)を有する、遠心コンプレッサ用のダイアフラム(1)であって、前記ダイアフラム(1)が、前記第2の部分(2b)に位置する出口(7)と、前記出口(7)における静圧よりも静圧が高いポイントにおいて、前記後面(2)に位置する入口(6)と、を有するダクト(5)を有し、
前記ダクト(5)が、前記入口(6)から前方に向かって延びる第1の部分(5a)と、前記出口(7)から前方に向かって延びる第2の部分(5b)と、前記第1の部分(5a)と前記第2の部分(5b)とを結合する中間部分(5c)とを備え、
前記中間部分(5c)が、少なくとも部分的に径方向(A)に沿って延び、前記第1の部分(5a)と前記第2の部分(5b)の各々と実質的に角度をなすように結合し、
前記ダクト(5)の前記第1の部分(5a)と前記第2の部分(5b)が、前記中心軸(C)と実質的に平行に延びる、ダイアフラム(1)。
【請求項3】
中心軸(C)を有するインペラ(3)に少なくとも部分的に面するように構成された後面(2)であって、前記後面(2)が、ディフューザ(4)を少なくとも部分的に規定する第1の部分(2a)を有し、前記後面(2)が、前記インペラ(3)に面する第2の部分(2b)を有する、前記後面(2)を有する、遠心コンプレッサ用のダイアフラム(1)であって、前記ダイアフラム(1)が、前記第2の部分(2b)に位置する出口(7)と、前記出口(7)における静圧よりも静圧が高いポイントにおいて、前記後面(2)に位置する入口(6)と、を有するダクト(5)を有し、
前記ダクト(5)が、前記入口(6)から前方に向かって延びる第1の部分(5a)と、前記出口(7)から前方に向かって延びる第2の部分(5b)と、前記第1の部分(5a)と前記第2の部分(5b)とを結合する中間部分(5c)とを備え、
前記中間部分(5c)が、少なくとも部分的に径方向(A)に沿って延び、前記第1の部分(5a)と前記第2の部分(5b)の各々と実質的に角度をなすように結合し、
前記ダクト(5)が、それぞれが前記出口(7)に接続される複数の前記第2の部分(5b)を備えている、ダイアフラム(1)。
【請求項4】
前記入口(6)が、前記第1の部分(2a)に位置している、請求項2又は3に記載のダイアフラム(1)。
【請求項5】
前記入口(6)が、前記第2の部分(2b)に位置している、請求項2又は3に記載のダイアフラム(1)。
【請求項6】
前記ダクト(5)の前記第1の部分(5a)と前記第2の部分(5b)が、前記中心軸(C)と実質的に平行に延びる、請求項1又は3に記載のダイアフラム(1)。
【請求項7】
前記ダクト(5)が、それぞれが前記出口(7)に接続される複数の前記第2の部分(5b)を備えている、請求項1又は2に記載のダイアフラム(1)。
【請求項8】
前記ダクト(5)の前記第2の部分(5b)が、前記インペラ(3)の前記中心軸(C)に対して傾いている、前記出口(7)の出る方向(B)に実質的に沿って延びる、請求項1又は3に記載のダイアフラム(1)。
【請求項9】
前記中心軸(C)周りに所定間隔で配置された複数の前記ダクト(5)を備えている、請求項1からのいずれか1項に記載のダイアフラム(1)。
【請求項10】
請求項1からのいずれか1項記載のダイアフラム(1)と、
入口(3d)及び出口(3e)を有し、少なくとも部分的に前記ダイアフラム(1)に面しているインペラ(3)と、
前記後面(2)の前記第2の部分(2b)上において前記インペラ(3)の前記入口(3d)の近位に配置されたシール(8)と、を備えた、ダイアフラム−インペラアセンブリ(17)。
【請求項11】
前記ダクト(5)の前記第1の部分(5a)及び前記第2の部分(5b)の少なくとも1つが、前記シール(8)に組み込まれている、請求項10に記載のダイアフラム−インペラアセンブリ(17)。
【請求項12】
前記ダクト(5)が、前記シール(8)に組み込まれている、請求項10に記載のダイアフラム−インペラアセンブリ(17)。
【請求項13】
前記後面(2)の前記第2の部分(2b)上にさらなるシール(11)を備え、前記さらなるシール(11)が、前記インペラ(3)の前記出口(3e)の近くに配置されている、請求項10から12のいずれか1項に記載のダイアフラム−インペラアセンブリ(17)。
【請求項14】
前記ダクト(5)の前記出口(7)が、前記シール(8)と前記さらなるシール(11)との間に配置されている、請求項13に記載のダイアフラム−インペラアセンブリ(17)。
【請求項15】
請求項10から14いずれか1項に記載のダイアフラム−インペラアセンブリ(17)を複数備えている、遠心コンプレッサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の主題は、遠心コンプレッサ用のダイアフラムに関する。
【背景技術】
【0002】
コンプレッサは、機械的エネルギを使用して、圧縮可能な流体、たとえばガスの粒子を加速し、その圧縮可能な流体の圧力を増大させる機械である。コンプレッサは、ガスタービンエンジンの最初の段として動作することを含み、複数の様々な用途で使用されている。様々なタイプのコンプレッサの中には、いわゆる遠心コンプレッサが存在する。この遠心コンプレッサでは、機械的エネルギが、遠心加速度を介して、コンプレッサへのガス入力に作用する。この遠心加速度は、たとえば、ガスが通る遠心インペラを回転させることにより、ガス粒子を加速させる。より一般的には、遠心コンプレッサは、「ターボマシン」または「ターボ回転マシン」として知られている機械装置のクラスの一部である。
【0003】
遠心コンプレッサは、単一のインペラ、すなわち、単一の段の構成にフィットするか、直列の複数のインペラにフィットすることができる。直列の複数のインペラのケースでは、遠心コンプレッサは、しばしば、複数段のコンプレッサと称される。遠心コンプレッサの段の各々は、通常、加速されるガスのための入口導管と、入力ガスに運動エネルギを提供することができるインペラと、インペラを出るガスの運動エネルギを圧力エネルギに変換するディフューザとを含んでいる。インペラは、シュラウドで囲むか、シュラウドで囲まないようにすることができる。本開示は、シュラウドで囲まれたインペラに言及する。
【0004】
コンプレッサは、1つまたは複数のバランスドラムも備えている。バランスドラムは、すなわち、インペラ及び、スラストベアリングによって生成された全体の推力に関し、逆向きでバランスを取る推力を生成する要素である。スラストベアリングは、すなわち、残留する軸方向の推力を相殺する要素である。これら要素の両方は、概して、シャフトに取り付けられている。
【0005】
より詳細には、遠心コンプレッサの段は、回転構成要素と静的構成要素との両方を備えている。静的構成要素は、異なる圧力レベルのゾーンを分離する。むしろ、可変数の静的ダイアフラムが、インペラ間、入口プレナムと第1のインペラとの間、または、最後のインペラの後に配置され、ケーシングに固定される。ダイアフラムは、それ自体の中で、インペラ間で作動流体を導入するダクトを規定する。したがって、ダイアフラムの形状は、コンプレッサの内側の流体力学に顕著に影響する。
【0006】
より詳細には、ダイアフラムは、インペラの前面に部分的に面する後面を有している。ダイアフラムはまた、第1のインペラの前にある場合は、別のインペラの後面か入口プレナムに、部分的に面している前面を有する。本開示によれば、用語「ダイアフラム(diaphragm)」は、たとえば、内側ケーシングまたは、構造的役割と流路を形成する役割とを合わせるケーシングなどの、ダイアフラムの代わりをすることができる、考えられる構造的構成要素のすべてを示していることに留意されたい。より一般的には、用語ダイアフラムは、インペラ間、第1の段のインペラの前方、または、最後の段のインペラの後方にある、コンプレッサの静的構成要素のいずれかを示している。
【0007】
最新技術に関係する問題は、インペラシュラウドとダイアフラムとの間の隙間における作動流体の動きである。このエリアでは、流体が、インペラの出口(高圧)から入口(低圧)への流れを生成する。換言すると、インペラシュラウドにわたる作動流体の再循環が生じる。インペラアイ、すなわち、シュラウドの外側の、直径が小さい部分に置かれたシールには、そのような再循環を制限する目的がある。
【0008】
シールは、特定の回転要素と静的要素との間で、遠心コンプレッサ内への望ましくない漏洩を低減するために使用することができる。たとえば、ラビリンスシールまたはハニカムシールは、たとえば、バランスピストン及びインペラアイ(または、多段遠心コンプレッサのインペラアイの各々)において、内部シールとして使用することができる。概して、ラビリンスシールは、流体が流れるのに困難な通路を提供するために、溝と平らな部分とを使用し、一方、ハニカムシールは、流体の流れを阻むために、6角形の形状のセルを使用する。両方のタイプのシールは、回転表面と静的表面との間にわずかな隙間(または均等の特徴)を可能にする。ターボマシンの誕生以来、様々なシールの設計が実施されてきた。
【0009】
ダイアフラム/シュラウドの隙間に流れる流体が、インペラの回転ベーンを通ることから、インペラと同じ回転方向を有する、本技術分野で「スワール」と呼ばれる、接線方向の成分を有する速度を有している。
【0010】
この流れにより、いくつかの望ましくない影響が発生する。具体的には、渦巻き状の流れにより、その入口に向かって、インペラの自然な軸方向の推力を増大させる、シュラウドの外側表面上に放射状の圧力勾配が生成される。このことは、バランスドラムのサイズ、及び、スラストベアリングのサイズの増大に繋がる。これら作用の両方により、コンプレッサの必要とされる吸収される出力が増大する。
【0011】
また、スワールにより、潜在的に負の値まで、コンプレッサの、ロータの動的な安定性が低下する(対数関数的な減少として測定される)。この極端なケースにおいては、コンプレッサは、作動できない。
【0012】
スワールは、ときには、「スワールブレーキ」として知られているデバイスによって低減される。これらデバイスは、インペラアイのシールの入口において、スワールを低減する、小さいウイングレットである。
【0013】
スワールブレーキの効率には、いくらかの制限があり、そのため、問題は低減されるが解消はされない。
【発明の概要】
【0014】
上述の最新技術において、本発明者は、新たな、向上された、遠心コンプレッサ用のダイアフラムのバージョンを開発した。このダイアフラムは、例として、いくつかの実施形態を記載することによって説明される。そのような実施形態の多くのさらなる変形形態が、添付の、非限定的な記載によって明らかとなることに留意されたい。
【0015】
したがって、本発明の第1の実施形態は、遠心コンプレッサ用のダイアフラムに関する。そのようなダイアフラムは、中心軸を有している。
【0016】
ダイアフラムは、少なくとも部分的にインペラに面するように構成された後面も有している。後面は、少なくとも部分的にディフューザを規定し、さらなるダイアフラムに面する第1の部分を有している。後面は、インペラに面する第2の部分を有している。
【0017】
ダイアフラムは、入口及び出口を有するダクトを有している。入口及び出口は、第2の部分に位置している。むしろ、入口は、出口における静圧よりも静圧が高いポイントにおいて、後面に位置している。
【0018】
本発明のさらなる実施形態は、遠心コンプレッサのインペラの周りの渦巻き状の流れの低減方法に関する。本方法には、作動流体の一部分を、第1の位置から、インペラの付近の第2の位置に伝達するステップが含まれる。第1の位置は、第2の位置よりも高い静圧を有している。
【0019】
さらなる詳細及び特定の実施形態は、添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第1の実施形態に係る、ダイアフラムの概略側断面図である。
図2】本発明の第2の実施形態に係る、ダイアフラムの概略側断面図である。
図3】本発明の第3の実施形態に係る、ダイアフラムの概略側断面図である。
図4図3のダイアフラムの変形形態の詳細な図である。
図5】本発明の第4の実施形態に係る、ダイアフラムの概略側断面図である。
図6】本発明の第5の実施形態に係る、ダイアフラムの概略側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
例示的実施形態の以下の説明は、添付図面を参照する。異なる図における同じ参照符号は、同じであるか同様の要素を示している。以下の詳細な説明は、本発明を限定するものではない。その代わりに、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義される。
【0022】
本明細書を通して、「1つの実施形態(one embodiment)」または「一実施形態(an embodiment)」の参照は、一実施形態に関して記載した特定の特徴、構造、または特性が、開示される主題の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味している。このため、明細書を通しての様々な箇所における「1つの実施形態において(in one embodiment)」または「一実施形態において(in an embodiment)」という語句の出現は、必ずしも、同じ実施形態を参照するものではない。さらに、特定の特徴、構造、または特性は、1つまたは複数の実施形態において、任意の適切な方式で組み合わせられる場合がある。
【0023】
添付図面を参照すると、数字1が、遠心コンプレッサ用のダイアフラムを示している。ダイアフラム−インペラアセンブリは、数字17で示される。
【0024】
図1に概略的に示すように、ダイアフラムは、少なくとも部分的にインペラ3に面するように構成された後面2を有している。ダイアフラム1は、中心軸「C」も有している。
【0025】
インペラ3は、ハブ3a及びシュラウド3cを有している。シャフト9は、ハブ3aに接続されており、流体に伝達されることになる出力を提供する。
【0026】
インペラ3は、ハブ3aとシュラウド3cとの間に配置された複数のブレード16も備えている。ベーン3bが、ハブ3aから外向きに展開しており、インペラ3の外周において、入口3dから出口3eに、作動流体を押し出すために、最適な形状になっている。入口3dは、特に、インペラ3の前面エリアに配置されている。本技術分野では、インペラ3のアイ3fは、シュラウドの前面部、通常は、最小の直径として規定されている。シュラウド3cは、ハブ3aに対して反対側で、ブレード16に取り付けられている。ダイアフラム1がインペラ3のシュラウド3cに面し、また、ダイアフラム1が、本開示の以下の部分で明らかになるような方法で、シュラウド3cと相互作用することに留意されたい。慣習的な種類であるインペラ3は、当業者には既に知られており、さらに詳細には記載しない。
【0027】
インペラ3は、ハブ3aとシュラウド3cとの間に配置された複数のブレード16も備えている。
【0028】
動作の間、作動流体は、ブレード16間のベーン3bに入り、インペラ3の先端において、エネルギが与えられた状態で、出口3eから出る。作動流体のほとんどの部分は、ディフューザ4へと流れ続け、このディフューザ4において、運動エネルギの一部が、静圧に変換される。回転するブレード16によってエネルギが与えられた流体の一部は、後退するように再循環し、インペラ3とダイアフラム1との間の隙間10を流れる。
【0029】
より詳細には、ダイアフラム1の後面2は、少なくとも部分的にディフューザ4を規定する第1の部分2aを有し、最終的に、ベンドまたは、排出スクロール(図示せず)を有している。第1の部分2aは、さらなるダイアフラム1にも面している場合がある。後面2は、インペラ3、特にシュラウド3cに面する第2の部分2bも有している。前述の隙間10は、後面2の第2の部分2cと、インペラ3のシュラウド3bとの間に規定されている。
【0030】
ダイアフラム−インペラアセンブリ17の一部であるシール8は、ダイアフラム1とインペラ3との間の隙間10に配置されている。具体的には、シール8は、後面2の第2の部分2bと、シュラウド3cとの間に配置されている。換言すると、後面2の第2の部分2bは、シール8によって境界が定められている。
【0031】
シール8は、概して、インペラ3のアイ3fの近くに配置されている。より詳細には、シール表面12は、アイ3fの近くにおいて、インペラ3のシュラウド3c上に規定されている。さらに詳細には、シール表面12は、概して平滑であるか、ステップ状であるか、歯状であるものとすることができ、ダイアフラム1の中心軸「C」と実質的に一致する中心軸を有している。シール8は、後面2に取り付けられ、シール表面12に面している。
【0032】
そのようなシール8は、回転する、及び/または固定の歯、セルなどを伴う、様々な技術及び形状によって形成することができ、また、インペラ3周りの作動流体の逆流を制限する目的がある。シール8の特に有利である実施形態の1つが、同じ出願人による、EP2737179A1の特許出願に概説されている。シール8の存在に関わらず、作動流体のいくらかの逆流が、それでも存在することになる。
【0033】
図1図2図3図5、及び図6に示すように、ダイアフラム1はダクト5を有している。ダクト5は、処理流体のための入口6及び出口7を有している。出口7は、後面2の第2の部分2bに位置している。一方、入口6は、出口7における静圧よりも静圧が高いポイントにおいて、後面2に位置している。したがって、作動流体の一部は、ダクト5の内側に再度方向付けられ、隙間10に出ることになる。
【0034】
図1に示す実施形態では、入口6は、後面2の第1の部分2aに位置することができる。代替的には、図2に示すように、入口6は、後面2の第2の部分2bに位置することができる。さらにまた、図6に示すように、入口6は、コンプレッサのスクロール18にさえ配置することができる。
【0035】
ダクト5は、入口6から、特に径方向「A」に対して横断する方向に展開する第1の部分5aを備えている。ダクト5は、出口7から、特に径方向「A」に対して横断する方向に展開する第2の部分5bを備えている。さらにまた、中間部分5cは、第1の部分5aと第2の部分5bとを接続している。中間部分5cは、少なくとも部分的に、径方向「A」に沿って展開している。図5に示すように、ダクト5の複数の枝部が存在し得、ダクト5が、各々がそれぞれの出口7に繋がる複数の第2の部分5bを備えていることに留意されたい。
【0036】
好ましい実施形態では、ダクト5の第2の部分5bは、ダクト5の出口7における流れが、出口7に面するインペラ3の表面上の流れの接線方向の速度とは逆向きの、接線方向の速度を有しているように、配置されている。いずれのケースにおいても、接線方向の速度は、同じ直径において、インペラ3の接線方向の速度よりもかなり低いか、逆向きでさえある。換言すると、ダクト5の第2の部分5bは、ゼロまたは負でさえあり得る、限定されたスワールを伴って流体が出るような形状及び向きであり、このため、インペラ3によって生成されたものとは回転が逆向きである。有利には、これにより、コンプレッサの、ロータの動的な安定性に対し、重要な正の寄与が提供される。
【0037】
ダクト5の第2の部分5bは、必要とされる接線方向の速度を作動流体に与えるために、インペラ3の中心軸「C」に対して傾いている場合がある、出口の出る方向「B」に実質的に沿って展開している。ダクト5は、入口7から出口6に流体を提供することができる任意の形状を有することができる。
【0038】
有利には、前述のダクト5または、前述のダクト5の第1の部分5a及び第2の部分5bの少なくとも1つは、シール8に組み込まれている場合がある。
【0039】
任意選択的には、たとえば図3に示すように、ダイアフラム−インペラアセンブリ17は、ダイアフラム1とインペラ3との間にさらなるシール11を備えている。具体的には、さらなるシールは、インペラ3のシュラウド3cと、ダイアフラム1の後面2の第2の部分2bとの間に配置されている。そのようなさらなるシールは、具体的には、図3に示すように、インペラ3の出口3eの近くに配置されている。場合によっては、さらなるシール11は、図4に示すように、シュラウド3cの上端に配置することができる。さらなるシール11は、好ましくは、シール8の1つと、シュラウド3cの最大直径との間に含まれる直径を有している。この場合、シール表面12に類似したさらなるシール表面13が、インペラ3のシュラウド3b上に規定されている。
【0040】
さらなるシール11が存在する場合、ダクト5の出口7は、シール8と、さらなるシール11との間に配置されていることに留意されたい。
【0041】
有利には、さらなるシール11は、ダクト5の出口7からインペラ3の出口3eへの逆流を制限する。結果として、さらなるシール11を伴わない解決策に関し、圧縮段の全体の効率はより高くなり、隙間10内の圧力は増大し、それにより、インペラの後方に向かう軸方向の逆の推力を生成する。
【0042】
この逆の推力は、インペラ3の動作によって正常に生じる推力に対して逆の方向であり、流体の再循環を制限することにより、遠心コンプレッサのバランスドラム(複数可)のシール直径(複数可)を低減することが可能になる。さらにまた、このことにより、スラストベアリングのサイズを低減することが可能になる。これら利点の両方により、コンプレッサの全体の効率が上昇する。
【0043】
本発明の好ましい実施形態によれば、ダイアフラム1は、複数のダクト5を備えている。これらは、好ましくは、中心軸「C」に関し、一様な角度で離間している。ダクト5の数は、コンプレッサのサイズ及び種類に応じて変化するが、この数は、通常、2から30の間に含まれる。
【0044】
ダクトは、互いに同一ではないものとすることもできる。
【0045】
本発明の一部は、インペラ3の周りの渦巻き状の流れを低減するための方法に関する実施形態でもある。本方法は、作動流体の一部分を、第1の位置14から、インペラ3の付近の第2の位置15に伝達するステップが含まれる。第1の位置14は、第2の位置15よりも高い静圧を有するものとする。上で示したように、第1の位置は、ダクト5の入口6の位置によって規定されている。同様に、第2の位置15は、ダクト5の出口7の位置によって規定されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6