(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6922128
(24)【登録日】2021年8月2日
(45)【発行日】2021年8月18日
(54)【発明の名称】薄膜キャパシター及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01G 4/33 20060101AFI20210805BHJP
H01G 4/30 20060101ALI20210805BHJP
【FI】
H01G4/33 102
H01G4/30 547
H01G4/30 541
【請求項の数】16
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-29136(P2017-29136)
(22)【出願日】2017年2月20日
(65)【公開番号】特開2017-204630(P2017-204630A)
(43)【公開日】2017年11月16日
【審査請求日】2019年12月27日
(31)【優先権主張番号】10-2016-0058750
(32)【優先日】2016年5月13日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】リム、スン モー
(72)【発明者】
【氏名】リー、ハイ ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン、ホー ピル
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジョン ボム
(72)【発明者】
【氏名】リー、キョー ヨル
(72)【発明者】
【氏名】オー、ドン ジュン
【審査官】
鈴木 駿平
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2009/078225(WO,A1)
【文献】
特開2010−267953(JP,A)
【文献】
国際公開第2008/026708(WO,A1)
【文献】
特開平05−251258(JP,A)
【文献】
特開平11−111947(JP,A)
【文献】
特開2001−085624(JP,A)
【文献】
国際公開第2009/122774(WO,A1)
【文献】
特開2004−292239(JP,A)
【文献】
特開2000−223666(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 4/00−4/224
H01G 4/255−4/40
H01G 13/00−13/06
H01L 27/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に誘電体層を挟んで交互に積層された複数の第1電極層及び複数の第2電極層を含む本体を含み、
前記複数の第1電極層及び前記複数の第2電極層の表面粗さは前記誘電体層の表面粗さより小さく、
前記第1及び第2電極層の表面粗さは0.5〜1.5nmであり、
前記誘電体層の上面の表面粗さは、前記第1及び第2電極層の表面粗さとの差が1nm〜4nmである、薄膜キャパシター。
【請求項2】
前記誘電体層の表面粗さは2〜5nmである、請求項1に記載の薄膜キャパシター。
【請求項3】
少なくとも一面に下部電極が形成された基板を提供する段階と、
前記下部電極上に誘電体層を形成する段階と、
前記誘電体層上に電極層を形成する段階と、を含み、
前記誘電体層と前記電極層は2層以上の多層構造を成して交互に積層され、
前記電極層の表面粗さは前記誘電体層の表面粗さより小さく、
前記第1及び第2電極層の表面粗さは0.5〜1.5nmであり、
前記誘電体層の上面の表面粗さは、前記第1及び第2電極層の表面粗さとの差が1nm〜4nmである、薄膜キャパシターの製造方法。
【請求項4】
前記誘電体層の表面粗さは2〜5nmである、請求項3に記載の薄膜キャパシターの製造方法。
【請求項5】
前記誘電体層を形成する段階において、
前記誘電体層を形成する多結晶質粒塊の結晶成長方向が(100)面、(111)面、及び(110)面の少なくとも2種以上である、請求項3または4に記載の薄膜キャパシターの製造方法。
【請求項6】
前記誘電体層を形成する多結晶質粒塊の結晶成長方向は温度によって調節される、請求項5に記載の薄膜キャパシターの製造方法。
【請求項7】
前記誘電体層を形成する多結晶質粒塊は、柱状、四面体状、及び三角柱状の少なくとも一つの形状を有する、請求項5または請求項6に記載の薄膜キャパシターの製造方法。
【請求項8】
前記電極層を形成する段階で前記電極層の表面に表面処理を行う、請求項3から請求項7の何れか一項に記載の薄膜キャパシターの製造方法。
【請求項9】
前記表面処理は前記電極層を平坦化することである、請求項8に記載の薄膜キャパシターの製造方法。
【請求項10】
前記平坦化は、前記電極層をドライエッチングするか、または前記電極層を化学機械研磨することにより行われる、請求項9に記載の薄膜キャパシターの製造方法。
【請求項11】
前記誘電体層を薄くする段階をさらに含む、請求項3から請求項10の何れか一項に記載の薄膜キャパシターの製造方法。
【請求項12】
前記誘電体層を薄くする段階は、誘電体層をドライエッチングするか、または誘電体層を化学機械研磨することにより行われる、請求項11に記載の薄膜キャパシターの製造方法。
【請求項13】
基板と、
複数の誘電体層と、
第1外部電極と電気的に接続される複数の第1電極層と、
前記複数の第1電極層、及び複数の誘電体層の各々を間に挟んで前記複数の第1電極層と交互に積層され、第2外部電極とそれぞれ電気的に接続される複数の第2電極層と、を含み、
前記複数の誘電体層のそれぞれの一方の面の表面粗さが前記複数の誘電体層のそれぞれの他方の面の表面粗さより大きく、
前記第1及び第2電極層の表面粗さは0.5〜1.5nmであり、
前記誘電体層の上面の表面粗さは、前記第1及び第2電極層の表面粗さとの差が1nm〜4nmである、薄膜キャパシター。
【請求項14】
前記複数の誘電体層のそれぞれの前記他方の面は前記基板に向かって相対する、請求項13に記載の薄膜キャパシター。
【請求項15】
前記複数の第1電極層及び前記複数の第2電極層のそれぞれの一方の面の表面粗さは、前記複数の第1電極層及び前記複数の第2電極層のそれぞれの他方の面の表面粗さより大きい、請求項13または請求項14に記載の薄膜キャパシター。
【請求項16】
前記複数の第1電極層及び前記複数の第2電極層の前記一方の面は前記基板に向かって相対する、請求項15に記載の薄膜キャパシター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄膜キャパシター及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォンのAP(Application processor)の薄型化により、積層セラミックキャパシター(MLCC;multi layer ceramic capaciter)よりも厚さの小さい薄膜キャパシターの必要性が増大している。
【0003】
薄膜キャパシターは、薄膜(thin film)技術を用いて薄型のキャパシターを開発することができるという利点を有するが、MLCCに比べて積層できる誘電体の層数の制約が大きいため、大容量を実現するには困難さがある。
【0004】
薄膜技術であるゾル−ゲル(sol−gel)法、スパッタリング(sputtering)法、CVD(Chemical Vapor Deposition)及びPLD(Pulsed Laser Deposition)などにより蒸着された薄膜は、蒸着条件に応じて非常に良好な特性を有することができる。しかし、それを多層に積層する場合、下部電極またはシード(seed)層の役割を果たす層の膜質が、その上に蒸着される誘電体層の特性に影響するため、通常、層数が増加するほど誘電体層の特性が急激に劣化する恐れがある。
【0005】
具体的に、キャパシターの製造工程時に、下部電極は、非常に良好に平坦な膜を蒸着することが可能であるが、上記下部電極上に誘電体層を蒸着し、上記誘電体層上に電極層を蒸着すると、誘電体層を形成する誘電体材料の結晶粒度(grain)によっては電極層の粗さ(roughness)が大幅に増加し得る。これは、誘電体層の表面の粗さが上部電極の表面状態においてもほぼ類似した粗さで反映されるためである。
【0006】
粗い表面を有する電極層をシード層として当該電極層上に誘電体層を蒸着する場合、平坦でないシード層上に誘電体材料が蒸着されることにより、上記誘電体層の結晶性が非常に悪くなり、誘電体層表面の粗さも大幅に増加し得る。
【0007】
上記のような積層が多数繰り返されると、キャパシターの積層構造は、誘電体層が不規則に形成された粗粒度の多結晶質粒塊を含むことになり、誘電率が劣化するだけでなく、粒界(grain boundary)を介した電流の漏れ(leakage)特性が悪化し、積層によりキャパシターを製作することが困難となる。
【0008】
したがって、誘電体層の特性を良好に維持しながらも、従来よりも多層に積層することができる薄膜キャパシターを開発する必要性がある。
【0009】
下記先行技術文献に記載の特許文献は、キャパシターについて開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2008−085291号公報
【特許文献2】韓国公開特許第2007−0033258号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の様々な目的の一つは、積層構造内に平坦な表面状態を有する電極層を有することで、従来よりも多層に積層することが可能となるため、大きな静電容量を確保するとともに、誘電体層の特性を良好に維持することができる薄膜キャパシターを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明により提案する様々な解決手段の一つは、基板上に誘電体層を挟んで互いに交互に積層された複数の第1電極層及び複数の第2電極層を含む本体を含み、第1及び第2電極層の表面粗さが誘電体層の表面粗さより小さいようにすることで、容量及び誘電体層の特性の両方を確保することができるようにすることである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一実施形態による薄膜キャパシターは、誘電体層よりも表面粗さが小さい電極層を含んで積層構造を形成することで、従来よりも多層に積層することができるため、大きな静電容量を確保するとともに、誘電体層の特性を良好に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態による薄膜キャパシターの概略的な断面図を示したものである。
【
図3a】本発明の他の実施形態による薄膜キャパシターの製造方法を説明するための概略的な工程断面図を示したものである。
【
図3b】本発明の他の実施形態による薄膜キャパシターの製造方法を説明するための概略的な工程断面図を示したものである。
【
図3c】本発明の他の実施形態による薄膜キャパシターの製造方法を説明するための概略的な工程断面図を示したものである。
【
図3d】本発明の他の実施形態による薄膜キャパシターの製造方法を説明するための概略的な工程断面図を示したものである。
【
図3e】本発明の他の実施形態による薄膜キャパシターの製造方法を説明するための概略的な工程断面図を示したものである。
【
図3f】本発明の他の実施形態による薄膜キャパシターの製造方法を説明するための概略的な工程断面図を示したものである。
【
図3g】本発明の他の実施形態による薄膜キャパシターの製造方法を説明するための概略的な工程断面図を示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下では、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(または強調表示や簡略化表示)されることがある。
【0016】
以下、本発明による薄膜キャパシターについて説明する。
【0017】
図1は本発明の一実施形態による薄膜キャパシターの概略的な断面図を示したものであり、
図2は
図1のA部分の拡大図を示したものである。
【0018】
図1及び
図2を参照すると、本発明の一実施形態による薄膜キャパシターは、基板10上に誘電体層12を挟んで交互に積層された第1電極層11、14及び複数の第2電極層13を含む本体を備え、上記第1及び第2電極層15の表面粗さが上記誘電体層12の表面粗さより小さくなるように形成されている。
【0019】
上記基板10は、上記第1電極層11と接し、絶縁性を有するものであって、Al
2O
3、SiO
2/Si、MgO、LaAlO
3、及びSrTiO
3から選択された一つ以上の材料からなることができるが、これに限定されるものではない。上記基板10は十分な平坦度及び表面粗さを有することが好ましい。
【0020】
上記本体は、上記基板10上に第1電極層11が形成され、上記第1電極層11上に誘電体層12が形成され、上記誘電体層12上に第2電極層13が形成された積層構造を有し、複数の第1電極層11と第2電極層13とが誘電体層12を挟んで交互に複数個積層された積層体を含む。
【0021】
本発明において、「第1」及び「第2」とは互いに異なる極性を意味することができる。
【0022】
上記本体は、上記第1及び第2電極層15とそれぞれ電気的に接続された第1及び第2ビア31、32と、上記本体の上面に配置され、上記第1及び第2ビアとそれぞれ接続された第1及び第2接続電極41、42と、上記第1及び第2接続電極上に配置された第1及び第2電極パッド51、52と、上記積層体、第1及び第2ビア、及び第1及び第2接続電極を囲むように形成された保護層25と、を含むことができる。
【0023】
上記第1及び第2ビアと第1及び第2接続電極は、同一の材料からなり、めっき工程により形成することができる。
【0024】
上記第1及び第2電極パッドは、導電性材料からなり、めっき工程により形成することができる。
【0025】
上記導電性材料は、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)などを含むことができるが、これに限定されるものではない。
【0026】
上記第1及び第2電極パッド51、52は、シード(seed)層51a、52aと、上記シード層上に形成された電極層51b、52bと、を含むことができる。
【0027】
上記保護層25は、外部からの湿度と酸素との化学反応による材料の劣化または汚染、及び基板に実装時における上記積層体、第1及び第2ビア、及び第1及び第2接続電極の破損を防止するために形成することができる。
【0028】
上記保護層25は、耐熱性の高い材料からなることができ、例えば、ポリイミドなどの有機系の熱硬化性材料または光硬化性材料からなることができる。
【0029】
上記第1及び第2電極層15は、一定のパターンを有しない一つの層に形成されることができる。
【0030】
上記第1及び第2電極層15は導電性材料からなることができる。
【0031】
上記導電性材料は、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)などを含むことができるが、これに限定されるものではない。
【0032】
高誘電率の薄膜である誘電体層の形成過程で高温の熱履歴が付随して生じる恐れがある。そのため、熱により電極層が誘電体層に拡散するか、誘電体層と反応してキャパシターに漏れ電流が増加するという問題が発生し得る。
【0033】
上記第1及び第2電極層15の場合、電極層に高融点材料である白金(Pt)を含有させることで、高温状態において誘電体層中に拡散することや誘電体層と反応することを減少させることができる。
【0034】
上記誘電体層12は、高い誘電率を有する物質としてペロブスカイト(perovskite)材料を含むことができる。
【0035】
上記ペロブスカイト(perovskite)材料は、これに限定されるものではないが、誘電率が大きい誘電体材料、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO
3)系材料、チタン酸ストロンチウム(SrTiO
3)系材料、(Ba、Sr)TiO
3系材料、PZT系材料などであることができる。
【0036】
通常、粗い表面を有する電極層上に誘電体層を形成すると、シード層の役割を果たす上記電極層が充分に平坦な表面を有しないため、上記誘電体層の結晶性が非常に悪くなり、表面状態の粗さも大幅に増加し得る。上記のような積層が多数繰り返されると、誘電体層が不規則に形成された粗粒度の多結晶質粒塊を含むことになり、誘電率が劣化するだけでなく、粒界(grain boundary)を介した電流の漏れ(leakage)特性が悪くなって、積層によりキャパシターを製作することが困難となる。
【0037】
図2を参照すると、本発明の一実施形態による薄膜キャパシターは、上記第1及び第2電極層15の表面粗さが上記誘電体層12の表面粗さより小さくなるように形成される。これにより、電極層と誘電体層を多層に積層することが可能となるため、キャパシターの容量及び誘電体層の特性を確保することができる。
【0038】
上記第1及び第2電極層15並びに上記誘電体層12の表面粗さは上面の表面粗さであり、上記第1及び第2電極層15は上記誘電体層12に比べて平坦な表面を有することができる。
【0039】
上記誘電体層12の表面粗さ(Ra)は2〜5nmとすることができ、上記第1及び第2電極層15の表面粗さ(Ra)は0.5〜1.5nmとすることができる。
【0040】
キャパシターの容量は、誘電体層の物質の誘電率が高いほど増加し、誘電体層と電極層とが接する表面積を広くするほど、または誘電体層の厚さを小さくするほど、増加する。したがって、キャパシターの容量を充分に確保するための方法として、誘電体層と内部電極とが接する表面積を広げるためには、電極層と誘電体層が多層に積層された構造を有し、且つ層の厚みが電流の漏れ特性についての要件を満たす厚さとなるように薄く製作されなければならない。
【0041】
本発明による薄膜キャパシターにおいては、上記誘電体層12の上面と上記第1及び第2電極層15の下面とが接する表面積を増加させることができ、上記誘電体層を連続的に形成することができるため、キャパシターの高容量を確保することができる。
【0042】
具体的に、上記誘電体層12の上面の表面粗さと上記第1及び第2電極層15の表面粗さとの差が1nm〜4nmである場合、誘電体層の上面が鏡面形態であって平坦な表面状態を有する場合に比べて、上記第1及び第2電極層の下面と接する表面積を増加させることができるという効果を得ることができる。
【0043】
また、上記薄膜キャパシターは、誘電体層を形成するためのシード層の役割を果たす上記第1及び第2電極層の表面を平坦にして、上記第1及び第2電極層上に形成された誘電体層の表面粗さが不規則に形成されないようにすることができ、第1及び第2電極層並びに誘電体層が多層に積層されることができる。これにより、キャパシターの容量を確保することができ、誘電体層の特性劣化を防止することができる。
【0044】
すなわち、上記第1及び第2電極層15の上面の表面粗さが上記誘電体層12の上面の表面粗さより小さいと、上記第1及び第2電極層の上面と上記誘電体層の下面の界面が平坦なものになることで、第1及び第2電極層並びに誘電体層が多層に積層された構造を実現することができる。
【0045】
以下、本発明による薄膜キャパシターの製造方法について説明する。
【0046】
図3a〜
図3gは、本発明の他の実施形態による薄膜キャパシターの製造方法を説明するための概略的な工程断面図を示したものである。
【0047】
上記
図3a〜
図3gを参照すると、本発明の一実施形態による薄膜キャパシターの製造方法は、少なくとも一面に下部電極11が形成された基板10を提供する段階と、下部電極11上に誘電体層12を形成する段階と、誘電体層上に電極層15を形成する段階と、を含み、上記誘電体層12と電極層15は2層以上に交互に積層され、電極層15の表面粗さが誘電体層12の表面粗さより小さい。
【0048】
図3aを参照すると、一面に下部電極11が形成された基板10を提供する。
【0049】
上記基板10は、上記第1電極層11の直下の層で、絶縁性を有するものであって、Al
2O
3、SiO
2/Si、MgO、LaAlO
3及びSrTiO
3から選択された一つ以上の材料からなることができるが、これに限定されるものではない。上記基板は十分な平坦度及び表面粗さを有することが好ましい。
【0050】
上記下部電極11は、上記基板上に形成され、導電性材料からなることができる。
【0051】
上記導電性材料は、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)などであることができるが、これに限定されるものではない。
【0052】
上記下部電極11は、スパッタリング(sputtering)法、真空蒸着(vapor deposition)法などの気相合成法により形成することができ、フォトリソグラフィ(photolithography)工程とドライエッチング(dry etching)工程により加工することができる。
【0053】
上記下部電極11は、上面に形成される誘電体層の高い結晶性のために平坦な表面を有することができる。
【0054】
次に、
図3bを参照すると、上記下部電極11上に誘電体層12を形成する。上記誘電体層12は、高い誘電率を有する物質としてペロブスカイト(perovskite)材料を含むことができる。
【0055】
上記ペロブスカイト(perovskite)材料は、これに限定されるものではないが、誘電率が大きく変わり得る誘電体材料、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO
3)系材料、チタン酸ストロンチウム(SrTiO
3)系材料、(Ba、Sr)TiO
3系材料、PZT系材料などであることができる。
【0056】
上記誘電体層12は、ゾル−ゲル(sol−gel)法、スパッタリング法、レーザーアブレーション(laser ablation)法などにより形成することができる。
【0057】
上記誘電体層12は、高誘電率を確保するために、高い結晶性を有することができる。
【0058】
上記誘電体層の結晶性は、誘電体層の形成時の温度、または形成後のアニール温度によって調節されることができる。
【0059】
上記誘電体層の形成時の温度または形成後のアニール温度が高温である場合、上記誘電体層の結晶性が高くなることができる。
【0060】
上記誘電体層を形成する時に、上記誘電体層を構成する多結晶質粒塊(grain)は、結晶成長方向が(100)面、(111)面、及び(110)面の少なくとも2種以上であることができ、上記多結晶質粒塊の結晶成長方向は、上記形成時の温度または形成後のアニール温度によって調節されることができる。
【0061】
上記誘電体層を構成する多結晶質粒塊が(100)面方向に成長する場合、上記誘電体層は大きい柱状に結晶が成長することができ、上記誘電体層のグレインが(111)面方向に成長する場合、上記誘電体層は四面体状に結晶が成長することができ、上記誘電体層を構成する多結晶質粒塊が(110)面方向に成長する場合、上記誘電体層は三角柱状に結晶が成長することができる。
【0062】
上記誘電体層がスパッタリング法により形成される場合、上記誘電体層は、数十nm〜数百nm程度のサイズの粒度を有する多結晶質粒塊で構成することができる。上記粒度を有する多結晶質粒塊は柱状または塊状に成長させることができ、上記誘電体層の上部表面は、各結晶粒の凹凸形状によって粗くなり得る。
【0063】
上記誘電体層12の表面粗さ(Ra)は2〜5nmであることができる。
【0064】
上記誘電体層の膜厚が薄いほど、電場強度が大きくなるため、高い容量を確保することができる。上記誘電体層の膜厚が目標の厚さ値より厚く形成される場合、トリミング(trimming)工程により緩やかな粗さを有するようにすることができる。
【0065】
上記トリミング工程は、イオンビームエッチング(ion beam etching)法などの乾式エッチング法または化学機械研磨(CMP;Chemical Mechanical Polishing)などの方法であることができる。
【0066】
上記誘電体層の膜厚が薄すぎる場合、漏れ電流が増加したり、誘電率が減少したりするという問題が発生し得るため、適正な誘電体層の厚さを設定する必要がある。
【0067】
上記誘電体層を形成する前に、上記下部電極が形成された基板を高い温度で所定時間維持するか、上記下部電極の表面にプラズマまたはイオンを照射することで、表面の平坦化のための表面処理を行うことができる。
【0068】
次に、
図3c〜
図3gを参照すると、上記誘電体層12上に電極層15を形成する。
【0069】
上記電極層15は、導電性材料からなることができ、例えば、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)などであることができるが、これに限定されるものではない。上記電極層は上記下部電極と同一の材料からなることができる。
【0070】
上記電極層は、上記誘電体層上にスパッタリング(sputtering)法、真空蒸着(vapor deposition)法などの気相合成法により形成することができ、フォトリソグラフィ(photolithography)工程とドライエッチング(dry etching)工程により加工することができる。
【0071】
上記電極層の表面粗さ(Ra)は0.5〜1.5nmであることができ、上記誘電体層の表面粗さより小さい。すなわち、上記電極層は上記誘電体層に比べて平坦な表面を有することができる。
【0072】
上記電極層が平坦な表面を有することで、上記誘電体層12と上記電極層15を2層以上に交互に積層することができる。
【0073】
上記電極層の表面粗さが0.5〜1.5nmの範囲を満たすと、後で形成される誘電体層の高い結晶性を確保することができる。
【0074】
上記電極層の形成工程が完了した後、上記電極層の表面粗さが1.5nmを超える場合には、
図3d及び
図3gのように上記電極層の表面に表面処理を施すことで平坦な表面を有する電極層15を形成することができる。
【0075】
上記表面処理は上記電極層の表面を平坦化する工程であって、エッチング(etching)及び研磨(polishing)により行うことができ、例えば、イオンビームエッチング(ion beam etching)法などの乾式エッチング法または化学機械研磨(CMP;Chemical Mechanical Polishing)などの方法であることができるが、これに限定されるものではない。
【0076】
本発明による薄膜キャパシターの製造方法は、上記誘電体層の粗さを大きくし、上記誘電体層を形成するためのシード層の役割を果たす電極層の表面を平坦にして、多層に積層可能とすることで、キャパシターの容量を確保することができ、誘電体層の特性劣化を防止することができる。
【0077】
その後、上記電極層が外部と電気的に接続されるように上記本体にビアを形成する工程を行うことができる。
【0078】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有する者には明らかである。
【符号の説明】
【0079】
10 基板
11 第1電極層(下部電極)
12 誘電体層
13 第2電極層
14 第1電極層