(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る一実施形態について説明する。
図1は、超音波測定装置1の概略構成を示す斜視図である。
超音波測定装置1は、超音波装置に相当し、
図1に示すように、超音波プローブ2と、超音波プローブ2にケーブル3を介して電気的に接続された制御装置10と、を備える。
この超音波測定装置1は、超音波プローブ2が生体(例えば人体)の表面に接触された状態で、超音波プローブ2から生体内に超音波を送出する。また、生体内の器官にて反射された超音波を超音波プローブ2にて受信し、その受信信号に基づいて、例えば生体内の内部断層画像を取得したり、生体内の器官の状態(例えば血流等)を測定したりする。
【0017】
[1.制御装置の構成]
制御装置10は、制御部に相当し、例えば、
図1に示すように、ボタンやタッチパネル等を含む操作部11と、表示部12と、を備える。また、制御装置10は、図示は省略するが、メモリー等により構成された記憶部と、CPU(Central Processing Unit)等により構成された演算部と、を備える。制御装置10は、記憶部に記憶された各種プログラムを、演算部に実行させることにより、超音波測定装置1を制御する。例えば、制御装置10は、超音波プローブ2の駆動を制御するための指令を出力したり、超音波プローブ2から入力された受信信号に基づいて、生体の内部構造の画像を形成して表示部12に表示させたり、血流等の生体情報を測定して表示部12に表示させたりする。このような制御装置10としては、例えば、タブレット端末やスマートフォン、パーソナルコンピューター等の端末装置を用いることができ、超音波プローブ2を操作するための専用端末装置を用いてもよい。
【0018】
[2.超音波プローブの構成]
図2は、超音波プローブ2の外観を示す斜視図である。
図3は、
図2のA−A線(平面S
A)で切断した超音波プローブ2の断面図であり、
図4は、
図2のB−B線(平面S
B)で切断した超音波プローブ2の断面図である。
超音波プローブ2は、超音波探触子に相当し、
図1から
図4に示すように、筐体21と、筐体21の内部に格納される超音波デバイスユニット4と、を備える。また、超音波デバイスユニット4は、超音波デバイス5と、フレキシブルプリント基板(フレキ板6)と、第一補強板71と、第二補強板72と、を備えて構成される。
以下、各構成について詳細に説明する。
【0019】
[2−1.超音波デバイス5の構成]
超音波デバイスユニット4を構成する超音波デバイス5は、
図3及び
図4に示すように、超音波基板51と、封止板52と、配線基板53と、音響レンズ54と、を含み、配線基板53、封止板52、超音波基板51、及び音響レンズ54の順に積層されることで構成されている。本実施形態では、超音波デバイス5は、配線基板53、封止板52、超音波基板51、及び音響レンズ54の積層方向(Z方向)から見た平面視において、例えば矩形状に形成されている。
[2−1−1.超音波基板51の構成]
図5は、本実施形態の超音波基板51の概略構成を示す平面図である。
図5に示すように、超音波基板51には、X方向(第二方向:スキャン方向)及びY方向(第一方向:スライス方向)に沿って、複数の超音波トランスデューサーTrが2次元アレイ状に配置されている。本実施形態では、Y方向に配置された複数の超音波トランスデューサーTr(超音波素子)により、1CH(チャネル)の送受信列Ch(振動子)が構成される。また、当該1CHの送受信列ChがY方向に沿って複数並んで配置されることで、1次元アレイ構造の超音波基板51が構成される。ここで、超音波基板51のうち、超音波トランスデューサーTrが配置される領域をアレイ領域Ar1とする。
なお、
図5は、説明の便宜上、超音波トランスデューサーTrの配置数を減らしているが、実際には、より多くの超音波トランスデューサーTrが配置されている。
【0020】
図6は、超音波基板51を
図5のC−C線で切断した際の概略断面図である。
超音波基板51は、
図6に示すように、素子基板511と、素子基板511上に設けられる支持膜512と、支持膜512上に設けられる圧電素子513と、を備えて構成されている。
素子基板511は、例えばSi等の半導体基板により構成されている。この素子基板511は、各々の超音波トランスデューサーTrに対応した基板開口部511Aが設けられている。本実施形態では、各基板開口部511Aは、素子基板511の基板厚み方向を貫通した貫通孔であり、当該貫通孔の一端側(封止板52側)に支持膜512が設けられる。
また、基板開口部511Aの支持膜512が設けられない側には、生体に近い音響インピーダンスを有する音響層515が充填されている。
さらに、素子基板511の支持膜512と反対側の面には、素子基板511及び音響層515に接する音響レンズ54が設けられている。この音響レンズ54は、超音波デバイスユニット4を筐体21に格納した際に、筐体21に設けられたセンサー窓211B(
図1等参照)から露出される部分であり、超音波測定の実施時に被検体に接する部分となる。当該音響レンズ54は、音響層515と同様、生体に近い音響インピーダンスを有する例えばシリコーン等により構成されており、X方向を軸としたシリンドリカル形状に形成されている。
【0021】
支持膜512は、例えばSiO
2及びZrO
2の積層体等より構成され、素子基板511の封止板52側全体を覆って設けられている。すなわち、支持膜512は、基板開口部511Aを構成する隔壁511Bにより支持され、基板開口部511Aの封止板52側を閉塞する。この支持膜512の厚み寸法は、素子基板511に対して十分小さい厚み寸法となる。
なお、本実施形態では、支持膜512は、Siにより構成される素子基板511の一面側を熱酸化処理してSiO
2とし、さらにZrO
2を積層することで形成されている。この場合、SiO
2を含む支持膜512をエッチングストッパーとして、素子基板511をエッチングすることで、容易に基板開口部511A及び隔壁511Bを形成することが可能となる。
【0022】
圧電素子513は、各基板開口部511Aを閉塞する支持膜512上にそれぞれ設けられている。この圧電素子513は、例えば、支持膜512側から下部電極513A、圧電膜513B、及び上部電極513Cを積層した積層体により構成されている。
ここで、支持膜512のうち、基板開口部511Aを閉塞する部分は振動部512Aを構成し、この振動部512Aと、圧電素子513とにより、1つの超音波トランスデューサーTrが構成される。
このような超音波トランスデューサーTrでは、下部電極513A及び上部電極513Cの間に所定周波数の矩形波電圧(駆動信号)が印加されることで、圧電膜513Bが撓んで振動部512Aが振動して超音波が送出される。また、生体から反射された超音波(反射波)により振動部512Aが振動されると、圧電膜513Bの上下で電位差が発生する。これにより、下部電極513A及び上部電極513Cの間に発生する電位差を検出することで、受信した超音波を検出することが可能となる。
なお、本実施形態の超音波基板51は、図5における紙面裏側の方向、つまり、図6の+Z側に向かって超音波を送信する。
【0023】
本実施形態では、
図5に示すように、下部電極513Aは、Y方向に沿って直線状に形成されており、1CHの送受信列Chを構成する複数の超音波トランスデューサーTrを接続する。この駆動端子513Dは、例えば封止板52に設けられた貫通電極を介して配線基板53に電気接続されている。
【0024】
また、上部電極513Cは、X方向に沿って直線状に形成されており、X方向に並ぶ超音波トランスデューサーTrを接続する。そして、上部電極513Cの±X側端部は共通電極線514に接続される。この共通電極線514は、Y方向に沿って複数配置された上部電極513C同士を結線し、その端部には、配線基板53に電気接続される共通端子514Aが設けられている。この共通端子514Aは、例えば封止板52に設けられた貫通電極により、配線基板53に電気接続されている。
【0025】
[2−1−2.封止板52の構成]
封止板52は、厚み方向から見た際の平面形状が例えば超音波基板51と同形状に形成されている。また、封止板52は、超音波基板51の支持膜512側で、かつ基板厚み方向から見て隔壁511Bと重なる位置において、例えば樹脂等の固定部材により接合されて、超音波基板51を補強する。
この封止板52には、素子基板511の駆動端子513D及び共通端子514Aに対向する位置には、図示略の開口が設けられ、当該開口に、駆動端子513D及び共通端子514Aと配線基板53とを接続する例えば貫通電極521(
図7参照)が挿通される。
【0026】
[2−1−3.配線基板53の構成]
図7は、配線基板53の概略構成を示す平面図である。
配線基板53は、
図7に示すように、各駆動端子513D及び各共通端子514Aに対向する位置に、デバイス側端子(第一デバイス側端子531及び第二デバイス側端子532)を備えている。これらのデバイス側端子は、それぞれ、封止板52に設けられた貫通電極521を介して駆動端子513Dや各共通端子514Aに接続されている。
本実施形態では、駆動端子513D及び共通端子514Aは、Y方向の両端部に設けられている。このため、配線基板53においても、Y方向の両端部にこれらの駆動端子513D及び共通端子514Aに対応したデバイス側端子が設けられる。ここで、−Y側に設けられるデバイス側端子を、第一デバイス側端子531と称し、Y方向の他端側である+Y側に設けられるデバイス側端子を、第二デバイス側端子532と称する。
また、本実施形態では、第一デバイス側端子531及び第二デバイス側端子532は、それぞれn(nは2以上の整数)個設けられている。ここで、−X側端部に配置される第一デバイス側端子を第1の第一デバイス側端子531、−X側端部に配置される第二デバイス側端子を第1の第二デバイス側端子532、+X側端部に配置される第一デバイス側端子を第nの第一デバイス側端子531、+X側端部に配置される第二デバイス側端子を第nの第一デバイス側端子531とする。−X側端部から数えて「i」番目に配置される第一デバイス側端子531及び第二デバイス側端子532は、第iの第一デバイス側端子531及び第二デバイス側端子532となる。
これらの第一デバイス側端子531、及び第二デバイス側端子532には、それぞれフレキ板6が接続される。
【0027】
[2−2.フレキシブルプリント基板(フレキ板6)の構成]
図8は、本実施形態のフレキ板6の表面の概略構成を示す平面図である。
図9は、フレキ板の配線構造を示す図である。
なお、図8は、図3及び図4に示したフレキ板6を平面に展開して、フレキ板6を超音波デバイス5が接続される側の面から見た場合の図である。
フレキ板6は、
図8に示すように、例えば平面視矩形状に形成されている。フレキ板6は、X方向に対して5つの領域に分けられる。
具体的には、フレキ板6は、X方向の中央部に配置されるデバイス接続部61と、デバイス接続部61より−X側に位置する第一コネクター部62と、デバイス接続部61より+X側に位置する第二コネクター部63とを備える。また、デバイス接続部61と第一コネクター部62とは、第一屈折部64を介して連結(接続)され、デバイス接続部61と第二コネクター部63とは、第二屈折部65を介して連結(接続)されている。
【0028】
[2−2−1.デバイス接続部61の説明]
デバイス接続部61は、超音波デバイス5が接続される部分であり、音響レンズ54に対応した略矩形状の開口部611を有する。また、デバイス接続部61は、開口部611の−Y側に設けられる第一配線部612と、開口部611の+Y側に設けられる第二配線部613と、を含んで構成される。
【0029】
第一配線部612は、第一デバイス側端子531に接続される配線が配置される部分であり、第一接続部614と、第一屈曲部615と、第一デバイス積層部616とを備える。
第一接続部614は、開口部611に臨むX方向に沿った接続辺614Aに設けられ、当該接続辺614Aに沿って、各第一デバイス側端子531に接続される接続端子を有する。
第一屈曲部615は、第一接続部614から−Y側(延出方向)に延設される部分である。詳細は後述するが、この第一屈曲部615は、フレキ板6を折り曲げる際に、第一補強板71に設けられる屈曲案内部715(
図4等参照)に対向する。
また、第一接続部614及び第一屈曲部615の−X側の端縁(第一負側端縁612A)は、後述する第一屈折部64に設けられる第一スリット641の開口縁の一部を構成する。さらに、第一接続部614及び第一屈曲部615の+X側の端縁(第一正側端縁612B)は、後述する第二屈折部65に設けられる第二スリット651の開口縁の一部を構成する。
【0030】
第一デバイス積層部616は、第一補強板71に支持された超音波デバイス5にフレキ板6を接続し、第一補強板71に沿ってフレキ板6を第一屈曲部615に沿って折り曲げた際に、第一補強板71と重なり合う部分である。
本実施形態では、
図9に示すように、第一デバイス側端子531のうち、第1から第kまでの第一デバイス側端子531に接続される配線(第一配線661)は、第一デバイス積層部616において第一コネクター部62に向かって延設される。一方、第一デバイス側端子531のうち、第k+1から第nまでの第一デバイス側端子531に接続される配線(第三配線663)は、第一デバイス積層部616において第二コネクター部63に向かって延設される。
【0031】
第二配線部613は、第二デバイス側端子532に接続される配線が配置される部分であり、第一配線部612と同様の構成を有する。つまり、第二配線部613は、開口部611のY方向における中心点を通りX方向に平行となるY中心軸線L
Yに対して、第一配線部612とは略線対称に構成される。
具体的には、第二配線部613は、第二接続部617と、第二屈曲部618と、第二デバイス積層部619とを備える。
第二接続部617は、開口部611に臨むX方向に沿った接続辺617Aに沿って設けられ、当該接続辺617Aに沿って、各第二デバイス側端子532に接続される接続端子を有する。
第二屈曲部618は、第二接続部617から+Y側(延出方向)に延設される部分であり、フレキ板6を折り曲げる際に、後述する第一補強板71の屈曲案内部715に対向する。
【0032】
第二接続部617及び第二屈曲部618の−X側の端縁(第二負側端縁613A)は、後述する第一屈折部64に設けられる第一スリット641の開口縁の一部を構成する。さらに、第二接続部617及び第二屈曲部618の+X側の端縁(第二正側端縁613B)は、後述する第二屈折部65に設けられる第二スリット651の開口縁の一部を構成する。
【0033】
第二デバイス積層部619は、第一補強板71に固定された超音波デバイス5にフレキ板6を接続し、第一補強板71に沿ってフレキ板6の第二屈曲部618を折り曲げた際に、第一デバイス積層部616とともに第一補強板71と重なり合う部分である。
第二デバイス積層部619に設けられる配線のうち、第1から第kまでの第二デバイス側端子532に接続される配線(第二配線662)は、第一コネクター部62に向かって延設される。また、第k+1から第nまでの第二デバイス側端子532に接続される配線(第四配線664)は、第二コネクター部63に向かって延設される。
【0034】
[2−2−2.第一コネクター部62及び第二コネクター部63の説明]
第一コネクター部62及び第二コネクター部63は、デバイス接続部61の±X側に設けられ、デバイス接続部61のX方向の幅寸法よりも小さい幅寸法を有する。
これらの第一コネクター部62及び第二コネクター部63は、複数の外部接続端子622,632(
図9参照)が設けられる複数のコネクター621,631を備える。本実施形態では、
図8及び
図9に示すように、第一コネクター部62及び第二コネクター部63にそれぞれ3つのコネクター621,631が設けられている。また、各コネクター621,631には、配線661,662,663,664の何れかに接続される外部接続端子622,632が設けられている。
なお、本実施形態では、3つのコネクター621,631が設けられる例を示すが、これに限定されず、1つ又は2つのコネクター621,631であってもよく、4つ以上のコネクター621,631であってもよい。
【0035】
ここで、第一コネクター部62の3つのコネクター621のうち、+X側に位置するコネクター621Aには、第1の外部接続端子622から、第k
1(k
1<k)の外部接続端子622までが配置される。また、当該コネクター621Aにおいて、+X側端部に第1の外部接続端子622が配置され、−X側端部に第k
1の外部接続端子622が配置される。
第一コネクター部62の3つのコネクター621のうち、X方向の中央部に位置するコネクター621Bには、第k
1+1の外部接続端子622から、第k
2(k
1<k
2<k)の外部接続端子622までが配置される。また、当該コネクター621Bにおいて、+X側端部に第k
1+1の外部接続端子622が配置され、−X側端部に第k
2の外部接続端子622が配置される。
第一コネクター部62の3つのコネクター621のうち、−X側に位置するコネクター621Cには、第k
2+1の外部接続端子622から、第kの外部接続端子622までが配置される。また、当該コネクター621Cにおいて、+X側端部に第k
2+1の外部接続端子622が配置され、−X側端部に第kの外部接続端子622が配置される。
つまり、第一コネクター部62において、+X側から数えて「i(1≦i≦k)」番目の外部接続端子622が、第iの外部接続端子となる。
【0036】
そして、第iの外部接続端子622には、第iの第一デバイス側端子531に接続された第一配線661及び、第iの第二デバイス側端子532に接続された第二配線662が接続される。
ここで、第一コネクター部62において配置される第一配線661及び第二配線662は、デバイス接続部61と同様、Y中心軸線L
Yに対して略線対称となる。つまり、第一配線661における第一デバイス側端子531から外部接続端子622までの配線長さと、第二配線662における第二デバイス側端子532から外部接続端子622までの配線長さとは、略同一長さとなる。
【0037】
一方、第二コネクター部63の3つのコネクター631のうち、+X側に位置するコネクター631Aには、第k+1の外部接続端子632から、第k
3(k+1≦k
3<n)の外部接続端子632までが配置される。また、当該コネクター631Aにおいて、+X側端部に第k+1の外部接続端子632が配置され、−X側端部に第k
3の外部接続端子632が配置される。
第二コネクター部63の3つのコネクター631のうち、X方向の中央部に位置するコネクター631Bには、第k
3+1の外部接続端子632から、第k
4(k
3<k
4<n)の外部接続端子632までが配置される。また、当該コネクター631Bにおいて、+X側端部に第k
3+1の外部接続端子632が配置され、−X側端部に第k
4の外部接続端子632が配置される。
第二コネクター部63の3つのコネクター631のうち、−X側に位置するコネクター631Cには、第k
4+1の外部接続端子632から、第nの外部接続端子632までが配置される。また、当該コネクター631Cにおいて、+X側端部に第k
4+1の外部接続端子632が配置され、−X側端部に第nの外部接続端子632が配置される。
つまり、第二コネクター部63において、+X側から数えて「i(k+1≦i≦n)」番目の外部接続端子632が、第iの外部接続端子632となる。
【0038】
そして、第iの外部接続端子632には、第iの第一デバイス側端子531に接続された第三配線663及び、第iの第二デバイス側端子532に接続された第四配線664が接続される。
ここで、第二コネクター部63において配置される第三配線663及び第四配線664は、デバイス接続部61と同様、Y中心軸線L
Yに対して略線対称となる。つまり、第三配線663における第一デバイス側端子531から外部接続端子632までの配線長さと、第四配線664における第二デバイス側端子532から外部接続端子622までの配線長さとは、略同一長さとなる。
【0039】
ここで、第一デバイス側端子531のうち、第一コネクター部62の外部接続端子622に接続される第一デバイス側端子531の数(k個)と、第一コネクター部62の外部接続端子622に接続される第一デバイス側端子531の数(n−k個)とは、|(n−k)−k|/n≦0.2の関係を満たすことが好ましい。
【0040】
すなわち、外部接続端子622に接続される第一デバイス側端子531の数(k個)と、外部接続端子632に接続される第一デバイス側端子531の数(n−k個)との差が、第一デバイス側端子531の総数(n個)の20%以下となる配線構成とすることが好ましい。また、nは偶数であり、k=n/2であることがより好ましい。
図10は、各送受信列Chに対して印加される駆動電圧の電圧値を示す図である。
図10において、一点鎖線は、デバイス接続部に対して1つのコネクター部のみを有するフレキ板(従来例)を用いた場合の電圧値を示し、実線は本実施形態における電圧値を示す。
図10に示すように、従来は、デバイス側端子のうちコネクター部に近い位置では、コネクター部のデバイス接続部側に位置する外部接続端子に接続され、デバイス側端子のうちコネクター部から離れるに従って、コネクター部のデバイス接続部から離れた位置の外部接続端子に接続される。したがって、デバイス側端子のうち、コネクター部から離れるに従って、配線の長さも長くなり、電圧降下の影響を受けて、デバイス側端子に接続される各送受信列Chに印加される駆動電圧の電圧値も降下する。
これに対して、本実施形態では、上記のように第一コネクター部62及び第二コネクター部63を有し、これらのコネクター部62,63に対して同数の配線661,662,663,664が配置される。さらに、本実施形態では、超音波デバイス5の中心を通りY方向に平行なX中心軸線L
Xに対して、第一配線661と第三配線663とが略線対称となり、第二配線662と第四配線664とが略線対称となる。つまり、第iの第一デバイス側端子531に接続される第一配線661、第iの第二デバイス側端子532に接続される第二配線662、第(n−i+1)の第一デバイス側端子531に接続される第三配線663、第(n−i+1)の第二デバイス側端子532に接続される第四配線664は、略同じ長さとなり、
図10に示すように、電圧降下の影響が抑制される。
【0041】
[2−2−3.第一屈折部64及び第二屈折部65の構成]
図8に示すように、第一屈折部64は、デバイス接続部61と第一コネクター部62との間に設けられて、デバイス接続部61に対して第一コネクター部62を折り曲げ可能に連結する。同様に、第二屈折部65は、デバイス接続部61と第二コネクター部63との間に設けられて、デバイス接続部61に対して第二コネクター部63を折り曲げ可能に連結する。
第一屈折部64は、デバイス接続部61に設けられる開口部611に連結された第一スリット641と、第一スリット641の±Y側でデバイス接続部61及び第一コネクター部62に連結される第一連結部642と、を有する。
この第一スリット641は、
図8に示すように、Y方向(デバイス接続部61から第一コネクター部62に向かう方向に交差する方向)に沿って長手となる開口であり、+X側の開口縁の一部に、第一接続部614及び第一屈曲部615の−X側の端縁である第一負側端縁612A、第二接続部617及び第二屈曲部618の−X側の端縁である第二負側端縁613Aを含む。本実施形態では、第一負側端縁612A及び第二負側端縁613Aは、Y方向に沿う直線上に位置する。第一スリット641の第一負側端縁612A及び第二負側端縁613Aに対向する開口縁はY方向に沿った直線状の第一対向縁641Aとなる。
【0042】
また、第一スリット641の−Y側の端縁(第一スリット端縁641B)は、第一対向縁641A及び第一負側端縁612Aの−Y側端部間を連結し、第一スリット641の+Y側の端縁(第一スリット端縁641C)は、第一対向縁641A及び第二負側端縁613Aの+Y側端部間を連結する。第一スリット端縁641Bは、第一接続部614から−Y側に寸法D1となる位置に設けられている。同様に、第一スリット端縁641Cは、第二接続部617から+Y側に寸法D1となる位置に設けられている。
ここで、寸法D1は、後述する第一補強板71(
図11参照)に支持された超音波デバイス5に対してフレキ板6を接続した際に、配線基板53から第一補強板71の第一辺71A(
図11参照)までの距離よりも大きい寸法となる。
【0043】
第二屈折部65は、デバイス接続部61に設けられる開口部611に連結された第二スリット651と、第二スリット651の±Y側に設けられデバイス接続部61及び第二コネクター部63に連結される第二連結部652と、を有する。
この第二スリット651は、第一スリット641と略同様の構成を有し、−X側の開口縁の一部に、第一正側端縁612B及び第二正側端縁613Bを含んで、開口部611に連結される。第二スリット651の第一正側端縁612B及び第二正側端縁613Bに対向する開口縁はY方向に沿った直線状の第二対向縁651Aとなる。
また、第二スリット651の−Y側の端縁(第二スリット端縁651B)は、第二対向縁651A及び第一正側端縁612Bの−Y側端部間を連結し、第二スリット651の+Y側の端縁(第二スリット端縁651C)は、第二対向縁651A及び第二正側端縁613Bの+Y側端部間を連結する。第二スリット端縁651Bは、第一接続部614から−Y側に寸法D1となる位置に設けられ、第二スリット端縁651Cは、第二接続部617から+Y側に寸法D1となる位置に設けられている。
ところで、第一接続部614が接続される第一デバイス側端子531は、超音波デバイス5の−Y側端部に設けられ、第二接続部617が接続される第二デバイス側端子532は、超音波デバイス5の+Y側端部に設けられる。第一スリット端縁641B及び第一接続部614、第一スリット端縁641B及び第一接続部614がそれぞれ寸法D1だけ離れていることは、第一スリット641のY方向の幅寸法が超音波デバイス5のY方向の幅寸法よりも大きいことを意味する。同様に、第二スリット651のY方向の幅寸法は、超音波デバイス5のY方向の幅寸法よりも大きい。
【0044】
ここで、第一負側端縁612Aから第一対向縁641Aまでの寸法及び第二負側端縁613Aから第一対向縁641Aまでの寸法は同一寸法となり、当該寸法を第一スリット641におけるX方向の幅寸法W1とする。また、第一正側端縁612Bから第二対向縁651Aまでの寸法及び第二正側端縁613Bから第二対向縁651Aまでの寸法は、同一寸法となり、当該寸法を第二スリット651におけるX方向の幅寸法W2とする。本実施形態では、第一スリット641の幅寸法W1と、第二スリット651の幅寸法W2は、異なる寸法であり、W1<W2となる。
【0045】
[2−3.第一補強板71及び第二補強板72の構成]
[2−3−1.第一補強板71の構成]
図11は、第一補強板71の平面図、正面図、及び側面図である。
なお、図11におけるXYZ軸の各軸は、図3,4のように、フレキ板6に第一補強板71を固定して筐体21に収納した状態での軸を示している。
第一補強板71は、超音波デバイス5を支持し、筐体21に対して固定される。また、第一補強板71は、超音波デバイス5に接続されるフレキ板6と接触した際に、フレキ板6の配線のショートを抑制するために、樹脂部材により構成されている。
この第一補強板71は、
図11に示すように、基板厚み方向から見た平面図において、例えば略矩形状を有し、X方向に沿った第一辺71A(−Y側)及び第三辺71C(+Y側)と、Y方向に沿った第二辺71B(−X側)及び第四辺71D(+X側)を備える。第二辺71B及び第四辺71Dは、超音波デバイス5を第一補強板71に固定してフレキ板6を接続した際に、第一屈曲部615や第二屈曲部618の延出方向に沿う辺となる。第一辺71A及び第三辺71Cは、超音波デバイス5を第一補強板71に固定してフレキ板6を接続した際に、第一屈曲部615や第二屈曲部618の延出方向に交差する辺となる。
【0046】
第一補強板71は、第二辺71B及び第四辺71Dに沿って位置決めブロック711を備える。つまり、第一辺71A及び第二辺71Bの角部から、第二辺71B及び第三辺71Cの角部に亘って位置する位置決めブロック711と、第三辺71C及び第四辺71Dの角部から、第四辺71D及び第一辺71Aとの角部に亘って位置する位置決めブロック711と、が設けられている。これらの位置決めブロック711は、基準角部に相当し、例えば、第二辺71Bに沿って設けられる位置決めブロック711は、第一辺71Aと第二辺71Bとの角部に対する基準角部と、第三辺71Cと第二辺71Bとの角部に対する基準角部と、が含まれる。
【0047】
各位置決めブロック711は、それぞれ、X方向に沿った第一基準面711A、Y方向に沿った第二基準面711B、第一基準面711A及び第二基準面711Bに交差する第三基準面711C及び第四基準面711Dを備える。
具体的には、第一基準面711Aは、位置決めブロック711の±Y側端面であって、XZ面と平行な平面となる。
【0048】
第二基準面711Bは、第二辺71B側の位置決めブロック711における−X側端面、及び第四辺71D側の位置決めブロック711における+X側端面であり、YZ面と平行な平面となる。
【0049】
第三基準面711Cは、各位置決めブロック711の+Z側の端面であり、筐体21に接する。第三基準面711Cは、第一補強板71の中央部の+Z側の面(固定面712)に対して、+Z側に位置する。これにより、第三基準面711Cと、固定面712との間には、段差713が設けられ、当該段差713により、超音波デバイス5の±X側端面が位置決めされる。ここで、段差713の高さ寸法(Z方向の寸法)は、少なくともフレキ板6の厚み寸法以上とすることが好ましい。なお、固定面712は、超音波デバイス5が支持される面であり、支持部に相当する。
【0050】
第四基準面711Dは、第三基準面711Cとは裏面をなす面であり、超音波デバイスユニット4を筐体21内に収納する際に、後述する第二補強板72が載置される。
なお、本実施形態では、第四基準面711Dは、
図11に示すように、裏面714と同一平面に設けられている。
また、各位置決めブロック711のX方向に沿った幅寸法W4は、第一スリット641の幅寸法W1及び第二スリット651の幅寸法W2よりも小さい(
図8参照)。
【0051】
さらに、各位置決めブロック711のうち、第一辺71A及び第三辺71Cに交差する面(第二基準面711Bとは反対側の面)は、ガイド面711Eを構成する。ガイド面711Eは、YZ面と平行な面であり、フレキ板6の第一屈曲部615、第二屈曲部618を屈曲案内部715に沿って湾曲させる際に、端縁612A,612B,613A,613Bが当接される。
【0052】
そして、第一補強板71の固定面712の±Y側には、第一辺71A及び第三辺71Cに沿って、屈曲案内部715が設けられている。この屈曲案内部715は、YZ断面が、固定面712から離れる方向に凸となる円弧形状となり、固定面712及び裏面714に連続する。
ここで、屈曲案内部715の突出先端は、第一基準面711Aよりも固定面712側に位置する。つまり、第一辺71Aの両端側に位置する第一基準面711Aは、第一辺71Aに沿った屈曲案内部715の−Y側端部より、少なくともフレキ板6の厚み寸法以上、−Y側に位置する。また、第三辺71Cの両端側に位置する第一基準面711Aは、第三辺71Cに沿った屈曲案内部715の+Y側端部より、少なくともフレキ板6の厚み寸法以上、+Y側に位置する。
また、第一辺71Aを挟んで対向する一対のガイド面711Eの間のX方向に沿った距離は、フレキ板6の第一接続部614及び第一屈曲部615のX方向の幅寸法W3と略同一となる。
【0053】
ところで、上述したように、第一補強板71は、樹脂部材により構成されているため、例えば金属により構成されている場合に比べて、強度が小さい。このため、第一補強板71は、基板強度を高めるために、裏面714に凹部714Aが設けられており、当該凹部714Aに金属板716が設けられている。この金属板716は、凹部714Aの底面に設けられ、裏面714よりも外側 (−Z側)に突出しない。これにより、フレキ板6を第一補強板71の裏面714側に折り曲げた際でも、フレキ板6と金属板716が干渉しない。
【0054】
[2−3−2.第二補強板72の構成]
第二補強板72は、
図3及び
図4に示すように、第二コネクター部63を支持する。
図12は、第二補強板72の平面図、正面図、及び側面図である。
なお、図12におけるXYZ軸の各軸は、図3,4のように、フレキ板6に第二補強板72を固定して筐体21に収納した状態での軸を示している。
図12に示すように、第二補強板72は、第一補強板71と同様に、板厚み方向から見た平面視において、第五辺72A、第六辺72B,第七辺72C、第八辺72Dを有する略矩形状となる。
第二補強板72は、第二コネクター部63の中央部(コネクター631が配置される領域)が接するコネクター支持面721と、コネクター支持面721の反対側の裏面722とを備える。そして、第二補強板72は、第一補強板71と同様、X方向に沿う第五辺72A,第七辺72Cに、円弧状に湾曲する第二屈曲案内部723が設けられている。
【0055】
また、第二補強板72は、第一補強板71と同様に、±X側の第六辺72B、第八辺72Dに沿って、第二位置決めブロック724が設けられている。
第二位置決めブロック724は、コネクター支持面721とは反対側の面において、凹部724Aを備えている。この凹部724Aは、フレキ板6の第一屈折部64及び第二屈折部65の配置スペースとなる。すなわち、−X側に位置する第二位置決めブロック724の凹部724AのY方向の幅寸法D2は、第一屈折部64の−Y側端縁から第一スリット端縁641Bまでの寸法D3(
図8参照)、及び第一屈折部64の+Y側端縁から第一スリット端縁641Cまでの寸法D4(
図8参照)以上であり、好ましくは、D2=D3=D4である。
また、図示は省略するが、+X側に位置する第二位置決めブロック724の凹部724AのY方向の幅寸法は、第二屈折部65の−Y側端縁から第二スリット端縁651Bまでの寸法D6(
図8参照)、及び第二屈折部65の+Y側端縁から第二スリット端縁651Cまでの寸法D7(
図8参照)以上であり、好ましくは、寸法D6及びD7と同一寸法である。
つまり、凹部724AのY方向の幅寸法を、第一連結部642及び第二連結部652のY方向の幅寸法と同値とすることで、凹部724Aの内周側面で、第一連結部642や第二連結部652の±Y側の端縁(第一外縁部6A,第二外縁部6B、第一スリット端縁641B,641C,第二スリット端縁651B,651C)を支持することができる。
【0056】
また、第二位置決めブロック724のコネクター支持面721とは反対側の面には、凹部724Aを挟む載置面724Bが設けられている。この載置面724Bは、第二補強板72を筐体21内に格納する際に、第四基準面711Dに載置される。
本実施形態では、載置面724Bは、裏面722よりも−Z側(筐体21内に格納する際には+Z側)に位置する。これにより、載置面724Bを第四基準面711Dに載置した際に、第一補強板71の裏面714と、第二補強板72の裏面722との間に、少なくとも、多重に折り曲げられたフレキ板6と第一コネクター部62のコネクター621の配置スペースS以上の空間が形成される。
【0057】
第二位置決めブロック724の第五辺72A及び第七辺72C側の面は、フレキ板6の第二スリット651の第二対向縁651A、及びフレキ板6の−X側の外周縁を案内する第二ガイド面724Cとなる。
【0058】
[2−4.筐体21の構成]
筐体21は、
図2に示すように、格納部211と、蓋部212とを備える。
格納部211は、
図3及び
図4に示すように、超音波デバイスユニット4を格納する器状部材であり、底部211Aに超音波デバイス5の音響レンズ54が外部に露出するセンサー窓211Bを有する。
また、格納部211の底部211Aには、センサー窓211Bを囲うように、デバイス設置部213(ユニット保持部)が設けられている。このデバイス設置部213は、底部211Aから立ち上がり、第一補強板71の4角部を嵌合する枠状に形成されている。
【0059】
[2−5.超音波デバイスユニット4の筐体21への格納]
上述したような超音波プローブ2では、まず、超音波デバイス5を第一補強板71の固定面712に固定する。
次に、フレキ板6の第一接続部614を、超音波デバイス5の配線基板53の−X側に接続する。これにより、第一接続部614の各接続端子と第一デバイス側端子531とが導通する。また、第二接続部617を、超音波デバイス5の配線基板53の+X側に接続する。これにより、第二接続部617の各接続端子と第二デバイス側端子532とが導通する。
この際、フレキ板6の第一負側端縁612Aを第一辺71Aの−X側に位置するガイド面711Eに当接(案内)させ、第一正側端縁612Bを第一辺71Aの+X側に位置するガイド面711Eに当接(案内)させる。また、フレキ板6の第二負側端縁613Aを第三辺71Cの−X側に位置するガイド面711Eに当接(案内)させ、第二正側端縁613Bを第三辺71Cの+X側に位置するガイド面711Eに当接(案内)させる。
【0060】
図13は、本実施形態において、フレキ板6をX方向に沿って湾曲させた際の斜視図である。
この後、フレキ板6を、X方向に沿った第一屈曲部615を含む第一屈曲領域Ar3(
図8参照)で湾曲させ、フレキ板6の−Y側の端縁を+Y側に折り返す。また、フレキ板6を、X方向に沿った第二屈曲部618を含む第二屈曲領域Ar4(
図8参照)で湾曲させ、フレキ板6の+Y側の端縁を−Y側に折り返す。なお、第一屈曲領域Ar3及び第二屈曲領域Ar4のうち、いずれを先に折り返してもよい。
【0061】
ここで、
図13に示すように、第一屈曲部615の±X側の端縁(第一負側端縁612A及び第一正側端縁612B)及び第二屈曲部618の±X側の端縁(第二負側端縁613A及び第二正側端縁613B)は、ガイド面711Eにガイドされ、屈曲案内部715の円弧に沿って湾曲される。
これにより、フレキ板6は、第一屈曲領域Ar3を、第一補強板71の第一辺71Aに沿って(X方向に平行に)折り曲げることができ、第一デバイス積層部616が、第一補強板71の裏面714側に積層されて重ね合わされる。また、第二屈曲領域Ar4を、第一補強板71の第三辺71Cに沿って(X方向に平行に)折り曲げることができ、第二デバイス積層部619が、第一補強板71の裏面714側に積層されて重ね合わされる。
【0062】
同様に、第一コネクター部62、第一屈折部64、第二屈折部65のうち、第一屈曲領域Ar3より−Y側の領域が、中央領域Ar5に重ね合わされる。また、第一コネクター部62、第一屈折部64、第二屈折部65のうち、第二屈曲領域Ar4より+Y側の領域が、中央領域Ar5に重ね合わされる。
さらに、第二コネクター部63の第一屈曲領域Ar3及び第二屈曲領域Ar4は、第二ガイド面724Cに案内されて、第二補強板72の第二屈曲案内部723に沿って湾曲され、第二コネクター部63の第一屈曲領域Ar3より−Y側の領域、及び第二屈曲領域Ar4より+Y側の領域が、第二補強板72の裏面に重ね合わされる。
【0063】
上記のように、フレキ板6を湾曲させると、第一スリット641の第一スリット端縁641B,641C、第二スリット651の第二スリット端縁651B,651Cが、中央領域Ar5に重ね合わされる位置に移動する。したがって、フレキ板6を第一屈曲領域Ar3及び第二屈曲領域Ar4で折り返して、略筒状形状に変形させた場合でも、第一屈折部64及び第二屈折部65においては、第一補強板71の裏面714側のみに2枚の第一連結部642(第二屈折部65では、第二連結部652)が重ね合される形状となる。つまり、第一屈折部64や第二屈折部65は筒状とならず、第一補強板71の裏面714側に、容易に折り曲げ可能となる。
【0064】
また、本実施形態では、第一屈折部64における第一スリット641のX方向の幅寸法W1が、第二屈折部65における第二スリット651のX方向の幅寸法W2よりも小さい。よって、第一屈折部64及び第二屈折部65の折り曲げでは、まず、第一屈折部64を屈曲させ、第一コネクター部62を第一補強板71に重ね合わせる。ここで、第一コネクター部62のX幅寸法は、第一補強板71のX幅寸法よりも小さいため、第二屈折部65側に突出せず、第二屈折部65の折り曲げを阻害しない。
また、第一屈折部64を第一補強板71の裏面714側に折り曲げることで、第一コネクター部62のコネクター621が、−Z側に向かって突出する。
【0065】
次に、第一補強板71を筐体21の格納部211に固定する。
具体的には、
図3及び
図4に示すように、第一補強板71の位置決めブロック711の第一基準面711A、及び第二基準面711Bを、筐体21に設けられたデバイス設置部213に当接させて、嵌合する。これにより、第一補強板71の第三基準面711Cが筐体21の底部211Aに当接し、センサー窓211Bから超音波デバイス5の音響レンズ54が突出する。
また、この際、第一コネクター部62の各コネクター621が、格納部211の底部211Aとは反対側に露出する。そして、コネクター621に対してケーブル3の先端に設けられた端子を接続する。
【0066】
図14は、筐体21に収納されている超音波デバイスユニット4を第一屈折部64側から見た側面図であり、
図15は、第二屈折部65側から見た側面図である。なお、
図14及び
図15において、第二補強板72の図示は省略している。
この後、第二屈折部65を折り曲げ、第二コネクター部63が支持された第二補強板72を第一補強板71に重ね合わせる。これにより、第二補強板72の第二位置決めブロック724の載置面724Bが、第一補強板71の位置決めブロック711の第四基準面711Dに載置される。
この際、第二屈折部65における第二スリット651の幅寸法W2は、W2>W1となるため、
図14及び
図15に示すように、第二コネクター部63が第一コネクター部62に干渉せず、かつ、第一屈折部64や第二屈折部65が外側に突出することがないので、フレキ板6の小型化を促進できる。
【0067】
また、第一補強板71の第四基準面711Dに、第二補強板72の載置面724Bを載置すると、第一補強板71の裏面714と、第二補強板72の裏面722との間に、フレキ板6及び第一コネクター部62を配置する配置スペースSが形成される。この配置スペースSに、第一デバイス積層部616、第二デバイス積層部619、折り曲げられることで3重に重なった第一コネクター部62、第二補強板72の裏面722側に折り曲げられて2重に重なった第二コネクター部63、第一コネクター部62のコネクター、及びコネクターに接続されるケーブル3の端子が配置される(
図2及び
図3では、ケーブル3の端子の図示を省略)。
また、第二補強板72に支持された第二コネクター部63のコネクター631が−Z側に露出するので、コネクター631に対してケーブル3の先端に設けられた端子を接続する。この後、格納部211に蓋部212を固定し、センサー窓211Bと音響レンズ54との間を例えばシリコーン樹脂等の樹脂材によりシールすることで、超音波プローブ2が組み立てられる。
【0068】
[3.本実施形態の作用効果]
本実施形態の超音波デバイスユニット4は、超音波デバイス5と、超音波デバイス5に接続されるフレキ板6と、超音波デバイス5を支持する第一補強板71と、を備える。フレキ板6は、超音波デバイス5に接続する第一接続部614及び第二接続部617と、これらの第一接続部614及び第二接続部617から延設される第一屈曲部615及び第二屈曲部618を備える。そして、第一補強板71は、超音波デバイス5を固定面712に固定し、超音波デバイス5にフレキ板6を接続した際に、第一屈曲部615及び第二屈曲部618に対向する屈曲案内部715を有する。さらに、第一補強板71は、この屈曲案内部715の両側(±X側)に、第一屈曲部615及び第二屈曲部618の端縁(第一負側端縁612A,第一正側端縁612B、第二負側端縁613A,第二正側端縁613B)を案内するガイド面711Eを備える。
【0069】
このため、フレキ板6を超音波デバイス5に接続する際、及び、フレキ板6を第一屈曲領域Ar3及び第二屈曲領域Ar4で湾曲させる際、第一屈曲部615や第二屈曲部618の端縁がガイド面711Eに接して案内されることができる。これにより、フレキ板6のXY方向と、超音波デバイス5や第一補強板71のXY方向に合わせることができ、フレキ板6の傾斜が抑制され、適正な位置にフレキ板6を配置できる。
また、第一屈曲部615や第二屈曲部618を円弧曲面形状の屈曲案内部715に沿わせることで、第一屈曲部615や第二屈曲部618に配置される配線661,662,663,664の断線を抑制できる。これに加え、第一屈曲部615や第二屈曲部618を屈曲案内部715に沿って湾曲させることで、フレキ板6が傾斜されることなく、フレキ板6の第一屈曲領域Ar3及び第二屈曲領域Ar4を第一補強板71の第一辺71A及び第三辺71Cに沿って折り曲げることができる。
以上により、フレキ板6の一部が第一補強板71と重なり合わずに、平面視で第一補強板71の外縁(第一辺71A,第二辺71B、第三辺71C、第四辺71D)から突出する不都合を抑制でき、超音波デバイスユニット4の小型化を図れる。
これにより、超音波デバイスユニット4を収納する超音波プローブ2や、超音波測定装置1における小型化をも促進できる。
【0070】
本実施形態の超音波デバイスユニット4では、第一辺71Aの両端側に位置する第一基準面711Aは、第一辺71Aに沿った屈曲案内部715の−Y側端部より、少なくともフレキ板6の厚み寸法以上、−Y側に位置する。また、第三辺71Cの両端側に位置する第一基準面711Aは、第三辺71Cに沿った屈曲案内部715の+Y側端部より、少なくともフレキ板6の厚み寸法以上、+Y側に位置する。つまり、Y方向において、ガイド面711Eの端部(第一基準面711A)が、屈曲案内部715の突出先端よりも、フレキ板6の厚み寸法以上突出している。
このため、第一屈曲部615や第二屈曲部618を屈曲案内部715に沿わせる際に、第一屈曲部615や第二屈曲部618が常にガイド面711Eに接する。これにより、フレキ板6を第一屈曲領域Ar3及び第二屈曲領域Ar4で適切に湾曲させて折り曲げることができる。また、超音波デバイスユニット4を筐体21のデバイス設置部213に嵌合させた際に、フレキ板6が筐体21に干渉せず、フレキ板6の破損等も抑制できる。
【0071】
本実施形態では、位置決めブロック711が、第一辺71Aと第二辺71Bの交差位置から第二辺71Bと第三辺71Cの交差位置まで、及び第三辺71Cと第四辺71Dの交差位置から第四辺71Dと第一辺71Aの交差位置まで、に亘って設けられている。つまり、位置決めブロック711は、第一補強板71の4角部のそれぞれに位置している。
このため、超音波デバイスユニット4を筐体21に格納する際に、これらの位置決めブロック711の第一基準面711A及び第二基準面711Bを筐体21に設けられたデバイス設置部213の壁面に当接させて位置決めすることができる。よって、超音波プローブ2に対して超音波デバイスユニット4を適正な位置に固定することができる。
【0072】
本実施形態では、フレキ板6は、第一屈曲部615の第一負側端縁612A、及び第二屈曲部618の第二負側端縁613A、第一対向縁641Aを含む第一スリット641と、第一屈曲部615の第一正側端縁612B、及び第二屈曲部618の第二正側端縁613B、第二対向縁651Aを含む第二スリット651を備える。そして、第一スリット641のX方向の幅寸法W1、及び、第二スリット651のX方向の幅寸法W2は、それぞれ、位置決めブロック711のX方向の幅寸法よりも大きい。
このため、第一屈曲部615や第二屈曲部618の端縁(第一負側端縁612A,第一正側端縁612B、第二負側端縁613A,第二正側端縁613B)をガイド面711Eに案内(当接)させた際に、位置決めブロック711が第一スリット641や第二スリット651に挿通される。このため、フレキ板6と位置決めブロック711との干渉を抑制され、例えば、位置決めブロック711の上にフレキ板6が被さり、超音波デバイスユニット4のサイズが大きくなる不都合を抑制できる。
【0073】
本実施形態では、第一補強板71は、樹脂部材により構成されている。これにより、フレキ板6を設置した際の配線661,662,663,664のショートを抑制できる。また、第一補強板71は、超音波デバイス5が固定される固定面712とは反対側の裏面714に、凹部714Aが設けられ、当該凹部714Aに金属板716が配置されている。これにより、第一補強板71を樹脂部材により構成した場合でも、金属板716によって第一補強板71の強度を向上させることができる。
【0074】
[変形例]
なお、本発明は上述の各実施形態及び変形例に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良、及び各実施形態を適宜組み合わせる等によって得られる構成は本発明に含まれるものである。
【0075】
上記実施形態において、第一補強板71が、第二辺71B及び第四辺71Dに亘って位置決めブロック711を備える構成としたが、例えば、第二辺71Bの両端、第四辺71Dの両端の4角のそれぞれに、第一基準面711Aや第二基準面711Bを備えるブロック状の基準角部が設けられる構成としてもよい。また、このような構成では、4角のうちのいずれか3角に位置決めブロックが設けられる構成とすればよい。
【0076】
上記実施形態において、第一スリット641及び第二スリット651のX方向の幅寸法が、位置決めブロック711のX方向の幅寸法より大きいとしたが、これに限定されない。例えば、第一スリット641及び第二スリット651のX方向の幅寸法が、位置決めブロック711のX方向の幅寸法より小さくともよい。ただし、第一屈曲領域Ar3及び第二屈曲領域Ar4において、フレキ板6を湾曲させた際に、第一コネクター部62や第二コネクター部63の一部が、位置決めブロック711の第三基準面711Cから第四基準面711Dに亘って被さる。よって、第一屈折部64及び第二屈折部65でフレキ板6を折り曲げる際に、上記第三基準面711C側に被さった第一コネクター部62や第二コネクター部63をX方向に引き出す必要があり、フレキ板6を折り曲げる際に煩雑な作業が伴う。
この場合、位置決めブロック711の第三基準面711Cから第二基準面711Bに亘って、傾斜面や湾曲面を形成すればよい。これにより、第一屈折部64及び第二屈折部65でフレキ板6を折り曲げる際に、第三基準面711C側に被さった第一コネクター部62や第二コネクター部63を容易に引き出すことができる。
【0077】
上記実施形態では、第一補強板71の裏面714に凹部714Aが設けられ、当該凹部714Aに金属板716が設けられる構成としたが、これに限定されない。
例えば、第一補強板71に凹部714Aが設けられず、金属板716が内部に埋め込まれる構成などとしてもよい。
【0078】
上記実施形態では、位置決めブロック711の第一基準面711A及び第二基準面711Bを筐体21のデバイス設置部213に当接させて位置決めする構成を示したが、これに限定されない。例えば位置決めブロック711に複数の孔部が設けられ、筐体21に前記孔部に係合可能なピンが設けられる構成などとしてもよい。
【0079】
上記実施形態において、Y方向において、ガイド面711Eの端部が、屈曲案内部715よりも突出する例を示したが、例えばガイド面711Eの±Y側端部と、屈曲案内部715の±Y端部とが同じ位置であってもよい。
【0080】
上記実施形態では、超音波デバイス5が、基板開口部511A側から超音波を送信し、基板開口部511Aに入射する超音波を受信する例を示した。これに対して、封止板52が、基板開口部511A側に設けられ、基板開口部511Aとは反対側に超音波を出力する構成などとしてもよい。
また、超音波デバイス5に設けられる振動子として、超音波トランスデューサーTrを複数備えた送受信列Chを例示したが、これに限定されない。例えば、個々の超音波トランスデューサーTrのそれぞれが振動子として構成されてもよい。
また、超音波トランスデューサーTrとして、支持膜512を圧電素子513により振動させることで超音波を送信し、支持膜512の振動を圧電素子513にて電気信号に変換することで超音波を受信する例を示したが、これに限定されない。例えば、バルク型の圧電体を振動させることで超音波を送受信する構成としてもよく、また、一対の膜材に対向する電極を配置し、電極間に周期駆動電圧を印加することで、静電力によって膜材を振動させる構成などとしてもよい。
【0081】
上記各実施形態では、超音波装置として、生体内の器官を測定対象とする超音波測定装置1を例示したが、これに限定されない。例えば、各種構造物を測定対象として、当該構造物の欠陥の検出や老朽化の検査を行う測定機に、上記実施形態及び各変形例の構成を適用できる。また、例えば、半導体パッケージやウェハ等を測定対象として、当該測定対象の欠陥を検出する測定機についても同様である。
【0082】
その他、本発明の実施の際の具体的な構造は、本発明の目的を達成できる範囲で上記各実施形態及び変形例を適宜組み合わせることで構成してもよく、また他の構造などに適宜変更してもよい。