(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を説明する。むろん、以下の実施形態は本発明を例示するものに過ぎず、実施形態に示す特徴の全てが発明の解決手段に必須になるとは限らない。
【0013】
(1)本発明に含まれる技術の概要:
まず、
図1〜26に示される例を参照して本発明に含まれる技術の概要を説明する。尚、本願の図は模式的に例を示す図であり、これらの図に示される各方向の拡大率は異なることがあり、各図は整合していないことがある。むろん、本技術の各要素は、符号で示される具体例に限定されない。
【0014】
[態様1]
本技術の一態様に係るプロファイル調整方法は、入力色空間CS4の入力座標値と出力色空間CS5の出力座標値との対応関係を規定したプロファイル500を調整するプロファイル調整方法であって、調整点受付工程ST1、調整点追加工程ST2、調整データ生成工程ST3、及び、プロファイル調整工程ST4を含む。前記調整点受付工程ST1では、第一座標の第一調整点P1、及び、第二座標の第二調整点P2の設定を受け付ける。前記調整点追加工程ST2では、前記第一座標及び前記第二座標に基づいて第三座標の第三調整点Qを設定する。前記調整データ生成工程ST3では、前記第一調整点P1における調整の程度を表す第一調整データ(例えば第一目標T1及び第一調整範囲A1)、及び、前記第二調整点P2における調整の程度を表す第二調整データ(例えば第二目標T2及び第二調整範囲A2)に基づいて、前記第三調整点Qにおける調整の程度を表す第三調整データ(例えば第三目標T3及び第三調整範囲A3)を生成する。前記プロファイル調整工程ST4では、前記第一調整データ、前記第二調整データ、及び、前記第三調整データに基づいて前記プロファイル500を調整する。
【0015】
上記態様1では、ユーザーが第一座標の第一調整点P1、及び、第二座標の第二調整点P2を設定すれば、自動的に第三座標の第三調整点Qが設定され、さらに該第三調整点Qにおける調整の程度を表す第三調整データが生成され、この第三調整データもプロファイル500の調整に用いられる。従って、本態様は、容易に出力画像の階調性を向上させるプロファイル調整方法を提供することができる。
【0016】
ここで、入力色空間には、CMYK色空間、CMY色空間、RGB色空間、CIE Lab色空間、CIE XYZ色空間、等が含まれる。尚、Rは赤を意味し、Gは緑を意味し、Bは青を意味する。
出力色空間にも、CMYK色空間、CMY色空間、RGB色空間、CIE Lab色空間、CIE XYZ色空間、等が含まれる。
調整点(第一調整点、第二調整点、及び、第三調整点)の座標(第一座標、第二座標、及び、第三座標)は、入力色空間の座標でもよいし、出力色空間の座標でもよいし、プロファイル接続空間の座標でもよいし、これらの色空間とは異なる色空間の座標でもよい。また、第一調整点に対して複数の第二調整点が設定されてもよいし、第二調整点に対して複数の第一調整点が設定されてもよい。
調整データ(第一調整データ、第二調整データ、及び、第三調整データ)には、調整点における調整の目標、調整点を基点とする調整範囲、等が含まれる。前記目標は、色空間の座標値で表されてもよいし、色空間の現在の座標値からの差分で表されてもよい。
尚、上記態様1の付言は、以下の態様も同様である。
【0017】
[態様2]
図6,7,11B等に例示するように、前記調整点受付工程ST1では、前記第一調整データと前記第二調整データの少なくとも一方の設定を受け付けてもよい。この態様は、ユーザーが第一調整データと第二調整データの少なくとも一方を設定することができるので、さらに容易に出力画像の階調性を向上させる技術を提供することができる。
【0018】
[態様3]
図13A等に例示するように、前記調整点追加工程ST2では、前記第一座標と前記第二座標との間に前記第三座標の前記第三調整点Qを設定してもよい。この態様は、第一調整点P1と第二調整点P2との間に第三調整点Qが設定されてプロファイル500が調整されるので、容易に出力画像の階調性を向上させる好適な技術を提供することができる。
【0019】
[態様4]
図13B等に例示するように、前記第一調整データは、前記第一調整点P1における調整の第一目標T1を含んでもよい。前記第二調整データは、前記第二調整点P2における調整の第二目標T2を含んでもよい。前記第三調整データは、前記第三調整点Qにおける調整の第三目標T3を含んでもよい。前記調整データ生成工程ST3では、前記第一目標T1及び前記第二目標T2に基づいて前記第三目標T3を決定してもよい。本態様は、自動的に第三調整点Qの第三目標T3が設定され、この第三目標T3もプロファイル500の調整に用いられる。従って、本態様は、容易に出力画像の階調性を向上させる好適な技術を提供することができる。
【0020】
[態様5]
図13A等に例示するように、前記第一調整データは、前記プロファイル500のうち前記第一調整点P1を基点とする第一調整範囲A1を含んでもよい。前記第二調整データは、前記プロファイル500のうち前記第二調整点P2を基点とする第二調整範囲A2を含んでもよい。前記第三調整データは、前記プロファイル500のうち前記第三調整点Qを基点とする第三調整範囲A3を含んでもよい。前記調整データ生成工程ST3では、前記第一調整範囲A1及び前記第二調整範囲A2に基づいて前記第三調整範囲A3を決定してもよい。本態様は、自動的に第三調整点Qの第三調整範囲A3が設定され、プロファイル500のうち第三調整範囲A3も調整される。従って、本態様は、容易に出力画像の階調性を向上させる好適な技術を提供することができる。
【0021】
[態様6]
図13A等に例示するように、前記第一座標、前記第二座標、及び、前記第三座標が前記入力色空間CS4の座標であると、第一調整点P1及び第二調整点P2を容易に設定することができる。従って、本態様は、さらに容易に出力画像の階調性を向上させる技術を提供することができる。
【0022】
[態様7]
図3等に例示するように、前記プロファイル500は、前記入力色空間CS4に配置された複数の格子点GD0について前記入力座標値と前記出力座標値との対応関係を規定してもよい。前記調整点追加工程ST2では、前記入力色空間CS4の前記格子点GD0の間隔ΔGDに基づいた数N0の前記第三調整点Qを設定してもよい。本態様は、入力色空間CS4において第一調整点P1と第二調整点P2との間にある色を変換するために参照される格子点GD0の間隔ΔGDに基づいた数の第三調整点Qが設定されるので、容易に出力画像の階調性を向上させる好適な技術を提供することができる。
【0023】
[態様8]
図13A等に例示するように、前記調整点追加工程ST2では、前記入力色空間CS4の複数の座標軸の内、前記格子点GD0の間隔ΔGDを単位として前記第一調整点P1と前記第二調整点P2との間の距離が最も長い座標軸の方向において、前記格子点GD0の間隔ΔGD以下の間隔となる数N0の前記第三調整点Qを設定してもよい。この態様は、格子点GD0の間隔ΔGD以下の間隔となる数の第三調整点Qが設定されるので、容易に出力画像の階調性を向上させる好適な技術を提供することができる。
【0024】
[態様9]
図24に例示するように、前記調整点追加工程ST2では、前記第三調整点Qの数N0を変えるための設定を受け付け、受け付けた設定に基づいた数N0の前記第三調整点Qを設定してもよい。この態様は、ユーザーが第三調整点Qの数N0を変えることができるので、容易に出力画像の階調性を向上させる好適な技術を提供することができる。
【0025】
[態様10]
図13A,13B等に例示するように、前記調整データ生成工程ST3では、前記第一座標に対する前記第一調整データ、及び、前記第二座標に対する前記第二調整データに基づいて、前記第三座標に対する前記第三調整データを内挿してもよい。この態様は、容易に出力画像の階調性を向上させる好適な技術を提供することができる。
【0026】
[態様11]
図26A,26Bに例示するように、前記入力色空間CS4は、プロファイル接続空間CS3でもよい。前記プロファイル500は、前記プロファイル接続空間CS3とは異なる第一の色空間CS1(例えばCMYK色空間)の座標値(例えばCMYK値)と前記プロファイル接続空間CS3との対応関係を規定した入力プロファイル610と組み合わされる出力プロファイル620でもよい。前記第一調整点P1の前記第一座標、及び、前記第二調整点P2の前記第二座標は、前記第一の色空間CS1の座標でもよい。前記調整点追加工程ST2では、前記入力プロファイル610に従って前記第一調整点P1の前記第一座標を前記プロファイル接続空間CS3の第四座標に変換してもよい。該調整点追加工程ST2では、前記入力プロファイル610に従って前記第二調整点P2の前記第二座標を前記プロファイル接続空間CS3の第五座標に変換してもよい。該調整点追加工程ST2では、前記第四座標及び前記第五座標に基づいて前記プロファイル接続空間CS3において前記第三座標の前記第三調整点Qを設定してもよい。前記調整データ生成工程ST3では、前記第一の色空間CS1の座標を基準とした前記第一調整データ(例えば第一目標T1及び第一調整範囲A1)を前記入力プロファイル610に従って前記プロファイル接続空間CS3の座標を基準とした第四調整データに変換してもよい。該調整データ生成工程ST3では、前記第一の色空間CS1の座標を基準とした前記第二調整データ(例えば第二目標T2及び第二調整範囲A2)を前記入力プロファイル610に従って前記プロファイル接続空間CS3の座標を基準とした第五調整データに変換してもよい。該調整データ生成工程ST3では、前記第四調整データ及び前記第五調整データに基づいて前記プロファイル接続空間CS3の座標を基準として前記第三調整データ(例えば第三目標T3及び第三調整範囲A3)を生成してもよい。前記プロファイル調整工程ST4では、前記第一調整データから変換された前記第四調整データ、前記第二調整データから変換された前記第五調整データ、及び、前記第三調整データに基づいて前記出力プロファイル620を調整してもよい。
【0027】
上記態様11では、出力プロファイルを入力プロファイルと組み合わせて調整する場合に容易に出力画像の階調性を向上させる好適な技術を提供することができる。
【0028】
[態様12]
ところで、本技術の一態様に係るプロファイル調整プログラムPR0は、態様1の各工程に対応する機能、すなわち、調整点受付工程ST1に対応する調整点受付機能FU1、調整点追加工程ST2に対応する調整点追加機能FU2、調整データ生成工程ST3に対応する調整データ生成機能FU3、及び、プロファイル調整工程ST4に対応するプロファイル調整機能FU4をコンピューターに実現させる。本態様は、容易に出力画像の階調性を向上させるプロファイル調整プログラムを提供することができる。
【0029】
[態様13]
また、本技術の一態様に係るプロファイル調整システム(例えばホスト装置100)は、態様1の各工程に対応するユニット、すなわち、調整点受付工程ST1に対応する調整点受付部U1、調整点追加工程ST2に対応する調整点追加部U2、調整データ生成工程ST3に対応する調整データ生成部U3、及び、プロファイル調整工程ST4に対応するプロファイル調整部U4を含む。本態様は、容易に出力画像の階調性を向上させるプロファイル調整システムを提供することができる。
【0030】
さらに、本技術は、プロファイル調整システムの制御方法、プロファイル調整システムを含む複合システム、複合システムの制御方法、プロファイル調整システムの制御プログラム、複合システムの制御プログラム、プロファイル調整プログラムや前記制御プログラムを記録したコンピューター読み取り可能な媒体、等に適用可能である。前述の装置は、分散した複数の部分で構成されてもよい。
【0031】
(2)プロファイル調整システムの構成の具体例:
図1は、プロファイル調整システムの構成例としてホスト装置100を模式的に示している。このホスト装置100は、CPU(Central Processing Unit)111、ROM(Read Only Memory)112、RAM(Random Access Memory)113、記憶装置114、表示装置115、入力装置116、測色装置117、通信I/F(インターフェイス)118、等が接続されて互いに情報を入出力可能とされている。
【0032】
記憶装置114は、図示しないOS(オペレーティングシステム)、プロファイル調整プログラムPR0、等を記憶している。これらは、適宜、RAM113に読み出され、プロファイル500の調整処理に使用される。ここで、プロファイル500は、入力プロファイル610、出力プロファイル620、及び、デバイスリンクプロファイル630を総称している。RAM113と記憶装置114の少なくとも一方には、各種情報、例えば、入力プロファイル610、出力プロファイル620、デバイスリンクプロファイル630、調整履歴700、等が格納される。記憶装置114には、フラッシュメモリー等の不揮発性半導体メモリー、ハードディスク等の磁気記憶装置、等を用いることができる。
【0033】
表示装置115には、液晶表示パネル等を用いることができる。入力装置116には、ポインティングデバイス、キーボードを含むハードキー、表示パネルの表面に貼り付けられたタッチパネル、等を用いることができる。測色装置117は、カラーチャートが形成される媒体の例である被印刷物(print substrate)に形成された各カラーパッチを測色して測色値を出力可能である。パッチは、色票とも呼ばれる。測色値は、例えば、CIE Lab色空間における明度L及び色度座標a,bを表す値とされる。測色装置117は、ホスト装置100の外部に設けられてもよい。ホスト装置100は、測色装置117から複数の測色値を含む測色データを取得して各種処理を行う。通信I/F 118は、プリンター200の通信I/F 210に接続され、プリンター200に対して印刷データ等といった情報を入出力する。通信I/F 118,210の規格には、USB(Universal Serial Bus)、近距離無線通信規格、等を用いることができる。通信I/F 118,210の通信は、有線でもよいし、無線でもよく、LAN(Local Area Network)やインターネット等といったネットワーク通信でもよい。
【0034】
図1に示すプロファイル調整プログラムPR0は、調整点受付機能FU1、調整点追加機能FU2、調整データ生成機能FU3、及び、プロファイル調整機能FU4をホスト装置100に実現させる。
【0035】
尚、ホスト装置100には、パーソナルコンピューター(タブレット型端末を含む。)といったコンピューター等が含まれる。ホスト装置100は、一つの筐体内に全構成要素111〜118を有してもよいが、互いに通信可能に分割された複数の装置で構成されてもよい。また、プリンターがホスト装置100にあっても、本技術を実施可能である。
【0036】
図1に示すプリンター200は、色材としてC(シアン)インク、M(マゼンタ)インク、Y(イエロー)インク、及び、K(ブラック)インクを記録ヘッド220から吐出(噴射)して印刷データに対応する出力画像IM0を形成するインクジェットプリンターであるものとする。記録ヘッド220は、インクカートリッジCc,Cm,Cy,CkからそれぞれCMYK(シアン、マゼンタ、イエロー、及び、ブラック)のインクが供給され、ノズルNc,Nm,Ny,NkからそれぞれCMYKのインク滴280を吐出する。インク滴280が被印刷物ME1に着弾すると、インクドットが被印刷物ME1に形成される。その結果、被印刷物ME1上に出力画像IM0を有する印刷物が得られる。
【0037】
(3)カラーマネジメントシステムの具体例:
次に、
図2を参照して、本技術を適用可能なカラーマネジメントシステムの例を説明する。
図2に示すカラーマネジメントシステムは、印刷原稿データD0をRIP(Raster Image Processor)400で印刷色cmyk
p(シアン、マゼンタ、イエロー、及び、ブラック)を表す出力データに変換してインクジェットプリンター200に印刷物を形成させる。印刷原稿データD0は、色合わせのターゲット装置の例であるターゲット印刷機300のCMYKのインク(色材)で目標とする色(目標色C
t)を再現するためのプロセスカラーCMYK
inを表す。印刷原稿データD0には、カラーライブラリーの色名も指定可能である。カラーライブラリーには、例えば、Pantone(登録商標)カラーライブラリー等を使用可能である。
【0038】
ターゲット印刷機300は、オフセット印刷機であるものとするが、グラビア印刷機、フレキソ印刷機、等でもよい。目標色C
tは、例えば、CIE Lab色空間の座標値(Lab値)で表される。
図2には、ターゲット印刷機300が被印刷物に目標色C
tを表すカラーチャートを印刷し、測色装置がカラーチャートの各パッチを測色して測色値Lab
tを取得する様子が示されている。プロセスカラーCMYK
inは、ターゲット印刷機300で使用されるCMYKのインクの使用量に対応し、ターゲット印刷機300に依存するCMYK色空間の座標を表す。
【0039】
RIP400は、入力プロファイル610、出力プロファイル620、及び、カラーライブラリー640を有している。入力プロファイル610は、ターゲット印刷機300で使用されるインクの色特性を記述したファイルである。出力プロファイル620は、インクジェットプリンター200で使用されるインクの色特性を記述したファイルである。両プロファイル610,620には、例えば、ICCプロファイルのデータフォーマットを用いることができる。印刷原稿データD0のプロセスカラーCMYK
inは、入力プロファイル610に従ってLab色空間の色Lab
sに変換され、出力プロファイル620に従って印刷色cmyk
pに変換される。プリンター200がCMYKの計4色のインクを使用する場合、印刷色cmyk
pは、プリンター200に出力され、印刷物に再現される。
図2には、プリンター200が被印刷物に印刷色cmyk
pを表すカラーチャートを印刷し、測色装置がカラーチャートの各パッチを測色して測色値Lab
pを取得する様子が示されている。プリンター200がLc(ライトシアン)、Lm(ライトマゼンタ)、Dy(ダークイエロー)、Lk(ライトブラック)、等のインクも使用する場合、RIP400又はプリンター200が印刷色cmyk
pを濃色と淡色に分版すると、プリンター200が印刷色cmyk
pを印刷物に再現することができる。むろん、印刷色自体も、CMYKの計4色に限定されない。
また、印刷原稿データD0に色名が設定されている場合、RIP400は、カラーライブラリー640を参照して色名をLab色空間の色Lab
sに変換することがある。
【0040】
尚、RIP400は、プロセスカラーCMYK
in以外にも、減法混色となる三原色CMYのみの色材の使用量を表すプロセスカラー(CMY
inとする。)、加法混色となる三原色R(赤)、G(緑)、及び、B(青)の強度を表すプロセスカラー(RGB
inとする。)、等とLab色空間の座標値とを変換するための入力プロファイルも有している。従って、RIP400は、プロセスカラーCMY
inやプロセスカラーRGB
in等もLab色空間経由で印刷色cmyk
pに変換可能である。加えて、RIP400は、Lab色空間の色Lab
sを入力して印刷色cmyk
pに変換することも可能である。
【0041】
以上により、インクジェットプリンター200でターゲット印刷機300の色に近い色を再現することができる。しかし、実際には、プロファイルの誤差、色測定誤差、プリンターの変動、等により、期待する色が再現できない場合がある。このような場合、プロファイル610,620を修正することにより、対象の色の変換精度を上げている。出力プロファイル620を修正する場合、PCS(プロファイル接続空間)でのLab
s値を目標値とし、プリンター200で印刷した色を測色した結果(Lab
p)を現在値として、両者の色差を計算し、この色差を少なくするように出力プロファイル620を修正することが考えられる。また、入力プロファイル610を修正する場合、カラーチャートのデータを入力プロファイル610と出力プロファイル620とで変換してカラーチャートを印刷し、各パッチの測色結果(Lab
p)と目標色彩値(Lab
t)との色差を計算し、この色差を少なくするように入力プロファイル610を修正することが考えられる。
【0042】
ただ、以下の理由によって期待する色が得られなかったり、手間がかかったりする場合がある。
理由1.印刷した結果を測色する必要があるので、測定機が必要であり、目視での色合わせに対応することができない。
理由2.入力プロファイル610を修正する場合、色差の計算結果を入力プロファイル610にフィードバックしている。しかし、誤差の原因が出力プロファイル620にあると考えられる場合、他の入力プロファイルについても修正する必要がある。(この場合、計算結果を出力プロファイル620にフィードバックして出力プロファイル620を修正することにより、他の出力プロファイルを修正する必要が無くなる。)
【0043】
本具体例では、プロファイル調整プログラムPR0が実現させる機能FU1〜FU4により、色空間の座標値の変換に使用するプロファイルを調整する作業の利便性を向上させ、さらに高い色再現精度や階調性を実現させている。
【0044】
(4)プロファイルの具体例:
図3は、プロファイル610,620,630の関係を模式的に例示している。
図3に示すように、入力プロファイル610は、ターゲット印刷機300の使用インクに合わせたCMYK色空間(第一の色空間CS1の例)のCMYK値(C
i,M
i,Y
i,K
i)と、Lab色空間(PCS(プロファイル接続空間)CS3の例)のLab値(L
i,a
i,b
i)と、の対応関係を規定したデータである。この場合のA2Bテーブルの格子点GD1は、通常、CMYK色空間にC軸方向、M軸方向、Y軸方向、及び、K軸方向へ略等間隔となるように並べられる。尚、ここでの変数iは、CMYK色空間(CS1)に設定された格子点GD1を識別する変数である。CMYK値は、第一座標値の例である。Lab値は、第三座標値の例である。入力プロファイル610において、CMYK色空間(CS1)は入力色空間CS4の例であり、Lab色空間(CS3)は出力色空間CS5の例である。
【0045】
出力プロファイル620は、Lab色空間(CS3)のLab値(L
j,a
j,b
j)と、インクジェットプリンター200の使用インクに合わせたcmyk色空間(第二の色空間CS2の例)のcmyk値(c
j,m
j,y
j,k
j)と、の対応関係を規定したデータである。この場合のB2Aテーブルの格子点GD2は、通常、Lab色空間にL軸方向、a軸方向、及び、b軸方向へ略等間隔となるように並べられる。尚、ここでの変数jは、Lab色空間(CS3)に設定された格子点GD2を識別する変数である。「cmyk色空間」と表現しているのは、プリンター200の使用インクに合わせた色空間をターゲット印刷機300に合わせた色空間と区別するためである。cmyk値は、第二座標値の例である。出力プロファイル620において、Lab色空間(CS3)は入力色空間CS4の例であり、cmyk色空間(CS2)は出力色空間CS5の例である。
【0046】
デバイスリンクプロファイル630は、CMYK色空間(CS1)のCMYK値(C
i,M
i,Y
i,K
i)と、cmyk色空間(CS2)のcmyk値(c
i,m
i,y
i,k
i)と、の対応関係を規定したデータである。ここでの変数iは、CMYK色空間(CS1)に設定された格子点GD1を識別する変数である。デバイスリンクプロファイル630は、入力プロファイル610と出力プロファイル620とを結合することにより得られる。入力プロファイル610において、CMYK色空間(CS1)は入力色空間CS4の例であり、cmyk色空間(CS2)は出力色空間CS5の例である。
【0047】
図4は、プロファイル500の構造を模式的に例示している。
図4に示すプロファイル500は、ICCプロファイルであり、プロファイルヘッダー510とタグテーブル520を含む。プロファイル500には、PCSと機器従属色空間(device dependent color space)との間でカラー情報を変換するために必要な情報であるタグ(tag)521が含まれている。タグ521には、プロファイル500をカスタマイズするためのプライベートタグ523が含まれてもよい。
【0048】
デバイス(300,200)用のA2Bxタグ(
図4に示すxは0、1、又は、2)は、エレメントデータ530として、機器従属色空間(CMYK色空間、cmyk色空間)からLab色空間に変換するための色変換テーブルを含んでいる。デバイス(300,200)用のB2Axタグは、エレメントデータ530として、Lab色空間から機器従属色空間(CMYK色空間、cmyk色空間)に変換するための色変換テーブルを含んでいる。
【0049】
図4に示すA2B0タグ、及び、B2A0タグは、知覚的(Perceptual)な色変換を行うための情報である。知覚的な色変換は、階調再現を重視しているので、主に、色域の広い写真画像の変換に用いられる。
図4に示すA2B1タグ、及び、B2A1タグは、相対的で測色的(Media-Relative Colorimetric)な色変換、又は、絶対的で測色的(Absolute Colorimetric)な色変換を行うための情報である。測色的な色変換は、測色値に忠実であるので、主に、正確な色の一致が求められるデジタルプルーフの色校正出力用の変換に用いられる。
図4に示すA2B2タグ、及び、B2A2タグは、彩度重視(Saturation)の色変換を行うための情報である。彩度重視の色変換は、色味の正確さよりも色の鮮やかさ重視しているので、主に、ビジネスグラッフィクスでのグラフ表示等の変換に用いられる。
【0050】
(5)プロファイル調整システムで行われるプロファイル調整処理の具体例:
図5は、
図1に示すホスト装置100で行われるプロファイル調整処理の例を示している。
図6は、
図5のステップS102で行われるプロファイル及びパラメーター設定処理の例を示している。むろん、これらの処理は、順番を入れ替える等、適宜、変更可能である。
図7は、
図6のステップS202で表示されるUI(ユーザーインターフェイス)画面800の例を示している。ホスト装置100は、マルチタスクにより複数の処理を並列して実行している。ここで、
図6のステップS214,S215は、調整点受付工程ST1、調整点受付機能FU1、及び、調整点受付部U1に対応している。
図6のステップS220は、調整点追加工程ST2、調整点追加機能FU2、及び、調整点追加部U2に対応している。
図6のステップS224は、調整データ生成工程ST3、調整データ生成機能FU3、及び、調整データ生成部U3に対応している。
図5のステップS104〜S120は、プロファイル調整工程ST4、プロファイル調整機能FU4、及び、プロファイル調整部U4に対応している。以下、「ステップ」の記載を省略する。
【0051】
図5に示すプロファイル調整処理が開始されると、ホスト装置100は、
図6に示すプロファイル及びパラメーター設定処理を行う(S102)。このプロファイル及びパラメーター設定処理が開始されると、ホスト装置100は、
図7に示すUI画面800を表示装置115に表示する(
図6のS202)。UI画面800は、入力プロファイル選択欄811、出力プロファイル選択欄812、デバイスリンクプロファイル選択欄813、調整対象プロファイル指定欄820、調整対象色空間選択欄830、目標受付領域840、「画像から指定」ボタン841、追加ボタン842、削除ボタン843、調整データ選択欄845、調整範囲指定欄850、インテント指定欄860、調整実施ボタン870、履歴ロードボタン881、及び、履歴セーブボタン882を有している。
【0052】
ホスト装置100は、上述した欄、及び、ボタンへの操作を入力装置116により受け付け(S210)、調整実施ボタン870への操作を受け付けるとプロファイル及びパラメーター設定処理を終了させる。S210の処理は、以下の処理S211〜S216を含んでいる。
(S211)CMYK値からcmyk値への変換に使用するプロファイルの組合せと、CMYK値からcmyk値への変換に使用する調整対象プロファイル550としての一つのプロファイルと、のいずれか一方の選択を受け付ける処理。
(S212)プロファイル610,620,630の中からいずれか一つを調整対象プロファイル550として受け付ける処理。
(S213)CMYK色空間(CS1)、cmyk色空間(CS2)、及び、Lab色空間(CS3)の内の2種類以上の色空間の中からいずれか一つを調整対象色空間CS6として受け付ける処理。
(S214)調整点P0(調整対象の色の例)を表す座標における調整の目標T0の入力を受け付ける処理。
(S215)CMYK色空間(CS1)において調整対象プロファイル550のうち目標T0に基づいて調整する調整範囲の指定を受け付ける処理。
(S216)調整対象プロファイル550の対応関係を規定するための複数のレンダリングインテントの中からいずれか一つを指定インテントとして受け付ける処理。
【0053】
まず、
図7,8A〜8D、14A〜14Eを参照して、S211の処理を説明する。ここで、
図14A〜14Eにおいて太線で囲まれた要素は調整対象プロファイル550を示している。
図14Cに示すデバイスリンクプロファイル630において、調整対象はデバイスリンクテーブルであり、「元のA2B」は元の入力プロファイルを示し、「元のB2A」は出力プロファイルを示している。
ホスト装置100は、選択欄811〜813への操作を入力装置116により受け付けることにより、記憶装置114に記憶されているプロファイル500の中からプロファイルの選択操作を受け付ける。
【0054】
入力プロファイル選択欄811では、入力プロファイル610を色変換に使用する場合に記憶装置114に記憶されている入力プロファイル610の中から色変換に使用する入力プロファイルを選択可能である。入力プロファイル610を色変換に使用しない場合、入力プロファイル選択欄811を空欄にしておけばよい。
出力プロファイル選択欄812では、出力プロファイル620を色変換に使用する場合に記憶装置114に記憶されている出力プロファイル620の中から色変換に使用する出力プロファイルを選択可能である。出力プロファイル620を色変換に使用しない場合、出力プロファイル選択欄812を空欄にしておけばよい。
デバイスリンクプロファイル選択欄813では、デバイスリンクプロファイル630を色変換に使用する場合に記憶装置114に記憶されているデバイスリンクプロファイル630の中から色変換に使用するデバイスリンクプロファイルを選択可能である。デバイスリンクプロファイル630を色変換に使用しない場合、デバイスリンクプロファイル選択欄813を空欄にしておけばよい。
【0055】
図8Aに示すように入力プロファイル選択欄811のみにおいて入力プロファイル610が選択された場合、
図14Aに示すように入力プロファイル610のみ色変換に使用することになり、自動的に入力プロファイル610が調整対象プロファイル550となる。この場合、CMYK値が第一座標値に当てはまり、Lab値が第二座標値に当てはまる。
図8Bに示すように出力プロファイル選択欄812のみにおいて出力プロファイル620が選択された場合、
図14Bに示すように出力プロファイル620のみ色変換に使用することになり、自動的に出力プロファイル620が調整対象プロファイル550となる。この場合、Lab値が第一座標値に当てはまり、cmyk値が第二座標値に当てはまる。
図8Cに示すようにデバイスリンクプロファイル選択欄813のみにおいてデバイスリンクプロファイル630が選択された場合、
図14Cに示すようにデバイスリンクプロファイル630を色変換に使用することになり、自動的にデバイスリンクプロファイル630(具体的には内部のデバイスリンクテーブル)が調整対象プロファイル550となる。この場合、CMYK値が第一座標値に当てはまり、cmyk値が第二座標値に当てはまる。
図8Dに示すように入力プロファイル選択欄811において入力プロファイル610が選択され、さらに、出力プロファイル選択欄812において出力プロファイル620が選択された場合、
図14D,14Eに示すように入力プロファイル610と出力プロファイル620とを組み合わせて色変換に使用することになる。この場合、CMYK値が第一座標値に当てはまり、cmyk値が第二座標値に当てはまる。
【0056】
以上より、選択欄811〜813において色変換に使用するプロファイルの組合せと、色変換に使用する調整対象プロファイル550としての一つのプロファイルと、のいずれか一方が選択される。
【0057】
次に、
図7,9A〜9D等を参照して、S212の処理を説明する。
ホスト装置100は、上述した選択欄811〜813における選択に応じて調整対象プロファイル指定欄820の指定項目を変える処理を行っている。
【0058】
図8Aに示すように入力プロファイル選択欄811のみにおいて入力プロファイル610が選択された場合、
図9Aに示すように調整対象プロファイル指定欄820には調整対象として入力プロファイル610しか指定することができない。
図8Bに示すように出力プロファイル選択欄812のみにおいて出力プロファイル620が選択された場合、
図9Bに示すように調整対象プロファイル指定欄820には調整対象として出力プロファイル620しか指定することができない。
図8Cに示すようにデバイスリンクプロファイル選択欄813のみにおいてデバイスリンクプロファイル630が選択された場合、
図9Cに示すように調整対象プロファイル指定欄820には調整対象としてデバイスリンクプロファイル630しか指定することができない。
【0059】
図8Dに示すように入力プロファイル選択欄811において入力プロファイル610が選択され、さらに、出力プロファイル選択欄812において出力プロファイル620が選択された場合、
図9Dに示すように調整対象プロファイル指定欄820において複数の指定項目の中からいずれか一つの指定項目を選択可能である。複数の指定項目には、入力プロファイル610、出力プロファイル620、及び、デバイスリンクプロファイル630が含まれる。
図9Dには入力プロファイル610が選択されていることが示されている。この場合は、
図14Dに示す「(b−1)入出力プロファイルを組み合わせて入力プロファイルを指定」に相当する。調整対象プロファイル指定欄820において出力プロファイル620が選択された場合は、
図14Eに示す「(b−2)入出力プロファイルを組み合わせて出力プロファイルを指定」に相当する。調整対象プロファイル指定欄820においてデバイスリンクプロファイル630が選択された場合は、
図14Cに示す「(a−3)デバイスリンクプロファイルを選択」に当てはめることにする。
【0060】
以上より、入力プロファイル610と出力プロファイル620の組合せが選択された場合に調整対象プロファイル指定欄820においてプロファイル610,620,630の中からいずれか一つが調整対象プロファイル550として指定される。
【0061】
尚、調整対象プロファイル指定欄820には調整対象として入力プロファイル610と出力プロファイル620とデバイスリンクプロファイル630のいずれも選択可能として、この選択に応じて上述した選択欄811〜813への操作の有効又は無効を制御してもよい。
【0062】
さらに、
図7,10A〜10C等を参照して、S213の処理を説明する。
ホスト装置100は、上述した選択欄811〜813における選択に応じて調整対象色空間選択欄830の選択項目を変える処理を行っている。
【0063】
図8Aに示すように入力プロファイル選択欄811のみにおいて入力プロファイル610が選択された場合、
図10Aに示すように調整対象色空間選択欄830において複数の選択項目のうち一つの選択項目を指定可能である。この場合の複数の選択項目には、「入力データ」と「PCS値」が含まれる。「入力データ」は、CMYK色空間(第一の色空間CS1及び入力色空間CS4の例)を調整対象色空間CS6(
図16A参照)として選択する項目である。「PCS値」は、Lab色空間(第三の色空間CS3及び出力色空間CS5の例)を調整対象色空間CS6(
図16B参照)として選択する項目である。
図8Bに示すように出力プロファイル選択欄812のみにおいて出力プロファイル620が選択された場合、
図10Bに示すように調整対象色空間選択欄830において複数の選択項目のうち一つの選択項目を指定可能である。この場合の複数の選択項目には、「PCS値」と「出力データ」が含まれる。「PCS値」は、Lab色空間(第三の色空間CS3及び入力色空間CS4の例)を調整対象色空間CS6(
図16C参照)として選択する項目である。「出力データ」は、cmyk色空間(第二の色空間CS2及び出力色空間CS5の例)を調整対象色空間CS6(
図16D参照)として選択する項目である。
【0064】
図8Dに示すように入力プロファイル選択欄811において入力プロファイル610が選択され、さらに、出力プロファイル選択欄812において出力プロファイル620が選択された場合、
図10Cに示すように調整対象色空間選択欄830において複数の選択項目の中からいずれか一つの選択項目を指定可能である。この場合の複数の選択項目には、「入力データ」と「出力データ」と「PCS値」が含まれる。「入力データ」は、CMYK色空間(第一の色空間CS1、及び、入力プロファイル610における入力色空間CS4の例)を調整対象色空間CS6(
図17A参照)として選択する項目である。「出力データ」は、cmyk色空間(第二の色空間CS2、及び、出力プロファイル620における出力色空間CS5の例)を調整対象色空間CS6(
図17B参照)として選択する項目である。「PCS値」は、Lab色空間(第三の色空間CS3、入力プロファイル610における出力色空間CS5、及び、出力プロファイル620における入力色空間CS4の例)を調整対象色空間CS6(
図17C参照)として選択する項目である。
図8Cに示すようにデバイスリンクプロファイル選択欄813のみにおいてデバイスリンクプロファイル630が選択された場合も、
図10Cに示すように調整対象色空間選択欄830において「入力データ」と「出力データ」と「PCS値」からいずれか一つを指定可能である。
【0065】
以上より、CMYK色空間(CS1)、cmyk色空間(CS2)、及び、Lab色空間(CS3)の内の2種類以上の色空間の中からいずれか一つが調整対象色空間CS6として選択される。
【0066】
さらに、
図7,11A,11B,12等を参照して、S214の処理を説明する。
ホスト装置100は、上述した欄811〜813,830における選択に応じて目標受付領域840の入力項目を変える処理を行っている。また、ホスト装置100は、調整データ選択欄845への選択に応じて目標受付領域840の入力項目を変える処理を行っている。
【0067】
図11Aに示すように、調整データ選択欄845においては、「絶対値」と「相対値」のいずれか一方を選択可能である。「絶対値」は、調整の目標T0を色空間の座標値として受け付ける選択肢である。「相対値」は、調整の目標T0を色空間の現在の座標値からの差分として受け付ける選択肢である。
【0068】
調整データ選択欄845において「絶対値」が選択されると、
図11Bに示すように、色空間の現在の座標値(C_L,C_a,C_b)の表示欄とともに調整目標T0の座標値(T_L,T_a,T_b)の入力欄が目標受付領域840に表示される。
図11Bには、調整対象色空間CS6としてLab色空間が選択された場合の例を示している。
調整データ選択欄845において「相対値」が選択されると、
図7に示すように、色空間の現在の座標値からの差分としての調整目標T0の座標値(ΔL,Δa,Δb)の入力欄が目標受付領域840に表示される。
図7は、調整対象色空間CS6としてLab色空間が選択された場合の例を示している。
【0069】
図11Cに示すように、調整目標T0を設定するための調整点P0は、CMYK色空間(CS1)に設定される。ここで、CMYK色空間は4次元の色空間であるため、
図11CではC軸とM軸とY軸とで形成される3次元の仮想空間を示している。
【0070】
例えば、ホスト装置100は、
図7,11Bに示すUI画面800の「画像から指定」ボタン841の操作を受け付けると、CMYK色空間(CS1)を模式的に表す画面を表示装置115に表示し、入力装置116による操作に応じたCMYK値を取得して目標受付領域840の情報を更新する。新たな調整点P0が指定されると、ホスト装置100は、対応するID(識別情報)を付与し、取得したCMYK値、及び、該CMYK値から求められる出力色空間CS5の座標値等をIDに対応させて目標受付領域840に表示する。追加ボタン842が操作されると、ホスト装置100は、IDを追加し、目標受付領域840に追加したIDに対応する入力欄を増やす。削除ボタン843が操作されると、ホスト装置100は、削除するIDの指定を受け付け、指定されたIDに対応する入力欄を削除する。
また、ホスト装置100は、履歴ロードボタン881の操作を受け付けると、記憶装置114に記憶されている調整履歴700を読み出して目標受付領域840に追加する。履歴セーブボタン882の操作が受け付けられると、ホスト装置100は、目標受付領域840の情報を調整履歴700として記憶装置114に記憶する。
【0071】
目標受付領域840で受け付けられる調整目標T0は、調整対象色空間選択欄830の選択内容、及び、調整データ選択欄845の選択内容に応じて、以下のように変わる。
(選択内容1)調整対象色空間CS6としてCMYK色空間が選択され、調整目標T0の入力に「絶対値」が選択された場合。この場合、調整目標T0の入力は、CMYK値(T_C,T_M,T_Y,T_Kとする。)となる。このCMYK値は、例えば、0〜100%で表現される。
(選択内容2)調整対象色空間CS6としてCMYK色空間が選択され、調整目標T0の入力に「相対値」が選択された場合。この場合、調整目標T0の入力は、CMYK値の現在値(C_C,C_M,C_Y,C_Kとする。)に対する目標値(T_C,T_M,T_Y,T_K)の差分(ΔC,ΔM,ΔY,ΔKとする。)となる。
(選択内容3)調整対象色空間CS6としてLab色空間が選択され、調整目標T0の入力に「絶対値」が選択された場合。この場合、調整目標T0の入力は、Lab値(T_L,T_a,T_bとする。)となる。
(選択内容4)調整対象色空間CS6としてLab色空間が選択され、調整目標T0の入力に「相対値」が選択された場合。この場合、調整目標T0の入力は、Lab値の現在値(C_L,C_a,C_bとする。)に対する目標値(T_L,T_a,T_b)の差分(ΔL,Δa,Δbとする。)となる。
(選択内容5)調整対象色空間CS6としてcmyk色空間が選択され、調整目標T0の入力に「絶対値」が選択された場合。この場合、調整目標T0の入力は、cmyk値(T_c,T_m,T_y,T_kとする。)となる。このcmyk値は、例えば、0〜100%で表現される。
(選択内容6)調整対象色空間CS6としてcmyk色空間が選択され、調整目標T0の入力に「相対値」が選択された場合。この場合、調整目標T0の入力は、cmyk値の現在値(C_c,C_m,C_y,C_kとする。)に対する目標値(T_c,T_m,T_y,T_k)の差分(Δc,Δm,Δy,Δkとする。)となる。
【0072】
以上より、調整対象色空間CS6において調整点P0を表す座標における調整目標T0が受け付けられる。
【0073】
図7,11Bに示す目標受付領域840は、複数の調整点P0を関連付けて調整を行うためのペア指定領域844を有している。調整点P0のペア指定は、例えば、
図23に示すグラデーション画像IM1のように或る色(例えば白。
図23に示す第一調整点P1)と別の色(例えば赤や青。
図23に示す第二調整点P2)との間のグラデーションの全色を調整したい場合に用いられる。ペア指定領域844には、或る調整点に関連付ける別の調整点のIDが格納される。例えば、ID=1の調整点はID=0の調整点に関連付けられ、ID=2の調整点もID=0の調整点に関連付けられていることが示されている。ペア指定領域844の「−1」は、別の調整点に関連付けられていないことを示している。
例えば、ホスト装置100は、
図7,11Bに示すペア指定領域844への操作を受け付けると、
図12に示すようなペア指定画面910を表示装置115に表示する。
【0074】
図12は、例としてID=0〜9の調整点P0が設定された場合に複数の調整点P0を関連付けるためのペア指定画面910を示している。例えば、ホスト装置100は、第一調整点P1にする調整点の第一表示領域911への操作を入力装置116により受け付け、第二調整点P2にする調整点の第二表示領域912への操作を入力装置116により受け付けると、第一表示領域911の色913を第二表示領域912内に表示する。ホスト装置100は、OKボタン915への操作を入力装置116により受け付けると、第一座標の第一調整点P1、及び、第二座標の第二調整点P2の設定を受け付けたことになる。ここで、調整点P1,P2の位置をCMYK色空間の座標値で表す場合、
図7に示す例では、第一座標のCMYK値が(0.00,0.00,0.00,0.00)であり、第二座標のCMYK値が(5.10,100.00,100.00,1.18)である。この場合、
図7,11Bに示すペア指定領域844のうち第二表示領域912に対応する第二調整点P2の表示領域に第一表示領域911に対応する第一調整点P1のID「0」が表示される。
【0075】
ここで、
図7,11Bに示す第一調整点P1における目標T0は、第一調整点P1における調整の第一目標T1(
図13B参照)であり、第一調整点P1における調整の程度を表す第一調整データの例である。
図7,11Bに示す第二調整点P2における目標T0は、第二調整点P2における調整の第二目標T2(
図13B参照)であり、第二調整点P2における調整の程度を表す第二調整データの例である。
以上より、第一目標T1及び第二目標T2が設定される。
【0076】
さらに、
図7等を参照して、S215の処理を説明する。
ホスト装置100は、調整目標T0に基づいて調整する調整範囲A0を色空間全体にするか否かの指定を調整範囲指定欄850において受け付ける。
図7に示す調整範囲指定欄850の複数の指定項目には、図示を省略しているが、「入力空間全域」と「半径」とが含まれている。「入力空間全域」が指定された場合、調整範囲A0は色空間全体に設定される。「半径」が指定された場合、ホスト装置100は、
図11Bに示すように目標受付領域840の「Radius」の入力欄に調整点P0を基点とした半径の入力を受け付ける。この半径は、例えば、第一の色空間CS1におけるユークリッド距離の相対値0〜100%で表現される。
図11Cには、半径(Radius)が指定された場合の調整範囲A0の例が模式的に示されている。
【0077】
ここで、
図11Bに示す第一調整点P1における半径は、第一調整点P1を基点とする第一調整範囲A1(
図13A参照)であり、第一調整点P1における調整の程度を表す第一調整データの例である。
図7,11Bに示す第二調整点P2における半径は、第二調整点P2を基点とする第二調整範囲A2(
図13A参照)であり、第二調整点P2における調整の程度を表す第二調整データの例である。
以上より、第一の色空間CS1において調整対象プロファイル550のうち第一調整範囲A1及び第二調整範囲A2が設定される。
【0078】
さらに、
図7等を参照して、S216の処理を説明する。
ホスト装置100は、調整対象プロファイル550の対応関係を規定するためのレンダリングインテントの指定をインテント指定欄860において受け付ける。
図7に示すインテント指定欄860の複数の指定項目は、図示を省略しているが、「Perceptual」(知覚的)、「Relative Colorimetric」(相対的測色的)、及び、「Saturation」(彩度重視)の3種類である。むろん、指定項目に「Absolute Colorimetric」(絶対的測色的)が含まれてもよいし、「Perceptual」と「Relative Colorimetric」と「Saturation」の内の一部が指定項目に無くてもよい。
図7には、指定インテントとして「Perceptual」が指定されている例が示されている。
【0079】
以上より、調整対象プロファイル550の対応関係を規定するための複数のレンダリングインテントの中からいずれか一つが指定インテントとして受け付けられる。
【0080】
ホスト装置100は、
図7に示す調整実施ボタン870の操作を受け付けると、
図6のS210の処理を終了させ、ペアの調整点P1,P2の間に第三調整点Qxを追加する処理を行う(S220)。ここでの変数xは、第三調整点Qを識別する変数である。S220の処理では、第一調整点P1の第一座標と、第二調整点P2の第二座標と、の間に第三座標の第三調整点Qxを設定している。ここで、調整点P1,P2,Qxの位置を表す座標を調整対象プロファイル550の入力色空間CS4の座標値で表すことにしている。例えば、入力プロファイル610が調整対象プロファイル550である場合、調整点P1,P2,Qxの座標はCMYK値で表される。出力プロファイル620が調整対象プロファイル550である場合、調整点P1,P2,Qxの座標はLab値で表される。デバイスリンクプロファイル630が調整対象プロファイル550である場合、調整点P1,P2,Qxの座標はCMYK値で表される。
【0081】
図13Aは、入力色空間CS4がCMYK色空間である場合に第一調整点P1と第二調整点P2との間に第三調整点Qxを追加して第三調整点Qxを基点とする第三調整範囲A3を決定する様子を模式的に例示している。CMYK色空間には座標軸としてC軸、M軸、Y軸、及び、K軸があるが、
図13Aでは、分かり易く示すため、C軸とM軸とを通る平面において調整対象プロファイル550の入力色空間CS4を示している。ここで、白丸は調整対象プロファイル550の格子点GD0を示し、黒丸は調整点P1,P2を示し、ハッチングを付した丸印は第三調整点Qxを示している。
図13AのC軸及びY軸には、格子点GD0の間隔ΔGDを1単位とした座標値を示している。
【0082】
追加する第三調整点Qxは、調整対象プロファイル550の入力色空間CS4において調整点P1,P2を結んだ線上に生成することにしている。追加する第三調整点Qxは、入力色空間CS4の格子点GD0の間隔ΔGDに基づいた数N0にしている。ここで、調整対象プロファイル550の格子点間に最低1箇所の第三調整点Qxが入る範囲でなるべく少なくなるように数N0を設定している。
【0083】
例えば、入力色空間CS4がCMYK色空間であり、格子点GD0の間隔ΔGDを単位とした第一調整点P1の座標が(C1,M1,Y1,K1)であり、格子点GD0の間隔ΔGDを単位とした第二調整点P2の座標が(C2,M2,Y2,K2)であるとする。この場合、第三調整点Qxの位置は、例えば、以下のようにして設定することができる。
まず、CMYK色空間のC軸、M軸、Y軸、及び、K軸の内、格子点GD0の間隔ΔGDを単位とした第一調整点P1と第二調整点P2との間の距離が最も長い座標軸を選択する。これは、|C2−C1|、|M2−M1|、|Y2−Y1|、及び、|K2−K1|のうち最も大きい値となる座標軸を選択すればよい。
図13Aの例では、5<|C2−C1|<6、及び、4<|M2−M1|<5であり、|C2−C1|が|M2−M1|、|Y2−Y1|、及び、|K2−K1|よりも大きいとして、C軸が選択されたことが示されている。
【0084】
次に、選択された座標軸の方向において、格子点GD0の間隔ΔGD以下の間隔となる数N0の第三調整点Qxを設定する。
図13Aには、第三調整点Qxの数N0をなるべく少なくする例を示している。例えば、C軸が選択され、N1<|C2−C1|≦N1+1(N1は正の整数)である場合、N0=N1にすれば、C軸方向において第三調整点Qxの間隔が格子点GD0の間隔ΔGD以下となり、調整対象プロファイル550の格子点間に最低1箇所の第三調整点Qxが入る。
図13Aの例では、5<|C2−C1|<6であるので、N0=5となる。
第三調整点Qxの数N0をなるべく少なくするのは、
図5のS104〜S120の処理にかかる時間をなるべく少なくするためである。一方、処理時間は長くなっても出力画像の階調性をさらに向上させるため、例えば、
図25Aに示すように第三調整点Qxの数N0を増やしてもよい。
【0085】
入力色空間CS4がLab色空間である場合も、同様にして第三調整点Qxを追加することができる。ここで、格子点GD0の間隔ΔGDを単位とした第一調整点P1の座標が(L1,a1,b1)であり、格子点GD0の間隔ΔGDを単位とした第二調整点P2の座標が(L2,a2,b2)であるとする。まず、Lab色空間のL軸、a軸、及び、b軸の内、|L2−L1|、|a2−a1|、及び、|b2−b1|のうち最も大きい値となる座標軸を選択すればよい。次に、選択された座標軸の方向において、格子点GD0の間隔ΔGD以下の間隔となる数N0の第三調整点Qxを設定すればよい。
【0086】
図14Eに示す(b−2)の場合、すなわち、色変換用にプロファイル610,620の組合せが選択されて調整対象プロファイル550に出力プロファイル620が指定された場合、ホスト装置100は、CMYK値で指定された調整点P1,P2の座標をLab値に変換して第三調整点Qxを設定する。この場合、入力プロファイル610のA2Bテーブルを参照して、第一調整点P1の座標(C1,M1,Y1,K1)を(L1,a1,b1)に変換し、第二調整点P2の座標(C2,M2,Y2,K2)を(L2,a2,b2)に変換すればよい。
【0087】
ここで、
図15にも示すように、プロファイル(例えばICCプロファイル)に従った変換をf
icc(第1引き数,第2引き数,第3引き数)で表すことにする。ただし、第1引き数は、使用するプロファイルを表す。第1引き数において、InputProfileは入力プロファイルを表す。第2引き数において、A2Bはデバイスカラーからデバイス非依存カラーへの変換を表し、B2Aはデバイス非依存カラーからデバイスカラーへの変換を表す。第3引き数のInputは、調整点P0の入力値(CMYK、RGB、Lab、等)を表す。入力プロファイル610のA2Bテーブルを参照したCMYK値からLab値への変換は、f
icc(InputProfile,A2B,Input)で表される。
【0088】
Lab色空間において第三調整点Qxの座標(L3,a3,b3とする。)を設定すると、入力プロファイル610のB2Aテーブルを参照して第三調整点Qxの座標(L3,a3,b3)をCMYK値(C3,M3,Y3,K3とする。)に変換すればよい。この変換は、f
icc(InputProfile,B2A,Input)で表される。
【0089】
第三調整点Qの追加後、ホスト装置100は、第一調整点P1の第一目標T1、及び、第二調整点P2の第二目標T2に基づいて、第三調整点Qxの第三目標T3を決定する(S222)。S222の処理では、第一調整点P1の第一座標に対する第一目標T1、及び、第二調整点P2の第二座標に対する第二目標T2に基づいて、第三調整点Qxの第三座標に対する第三目標T3を内挿している。
【0090】
図13Bは、第三調整点Qxにおける調整の第三目標T3を内挿補間により決定する様子を模式的に示している。
図13Bにおいて、横軸は調整点P1,Qx,P2の位置を示し、縦軸は調整量AdjustDataを示している。この調整量AdjustDataは、相対値で表され、CMYK値(ΔCp,ΔMp,ΔYp,ΔKpとする。)、Lab値(ΔLp,Δap,Δbpとする。)、又は、cmyk値(Δcp,Δmp,Δyp,Δkpとする。)で表される。
【0091】
例えば、調整量AdjustDataがCMYK値であり、第一調整点P1の調整量AdjustData(第一目標T1の例)が(ΔC1,ΔM1,ΔY1,ΔK1)であり、第二調整点P2の調整量AdjustData(第二目標T2の例)が(ΔC2,ΔM2,ΔY2,ΔK2)であるとする。第三調整点Qxの調整量AdjustData(第三目標T3の例)を(ΔC3x,ΔM3x,ΔY3x,ΔK3x)で表すと、以下の補間式により第三調整点Qxの調整量AdjustDataを算出することができる。
ΔC3x=ΔC1+x・(ΔC2−ΔC1)/(N0+1)
ΔM3x=ΔM1+x・(ΔM2−ΔM1)/(N0+1)
ΔY3x=ΔY1+x・(ΔY2−ΔY1)/(N0+1)
ΔK3x=ΔK1+x・(ΔK2−ΔK1)/(N0+1)
調整量AdjustDataがLab値やcmyk値である場合も、同様にして第三調整点Qxの調整量AdjustDataを算出することができる。尚、第三調整点Qxの調整量AdjustDataは、調整点P1,P2の調整量AdjustDataの内挿値に限定されず、内挿値からずれた値にすることも可能である。
【0092】
また、ホスト装置100は、第一調整点P1を基点とする第一調整範囲A1、及び、第二調整点P2を基点とする第二調整範囲A2に基づいて、第三調整点Qxを基点とする第三調整範囲A3を決定し(S224)、プロファイル及びパラメーター設定処理を終了させる。S224の処理は、S222の処理の前に行ってもよい。S224では、第一調整点P1の第一座標に対する第一調整範囲A1、及び、第二調整点P2の第二座標に対する第二調整範囲A2に基づいて、第三調整点Qxの第三座標に対する第三調整範囲A3を内挿している。
【0093】
図13Aには、第三調整点Qxを基点とする第三調整範囲A3を内挿補間により決定する様子も模式的に示している。例えば、第一調整点P1を基点とする第一調整範囲A1がRadius_1であり、第二調整点P2を基点とする第二調整範囲A2がRadius_2であるとする。第三調整点Qxを基点とする第三調整範囲A3をRadius_3xで表すと、以下の補間式により第三調整範囲A3を求めることができる。
Radius_3x=Radius_1+x・(Radius_2−Radius_1)/(N0+1)
尚、第三調整点Qxを基点とする第三調整範囲A3は、調整点P1,P2を基点とする調整範囲A1,A2の内挿値に限定されず、内挿値からずれた値にすることも可能である。
【0094】
ホスト装置100は、
図6のS224の処理を終了させると、
図5のS104以降の処理を行う。ここで、インテント指定欄860で「Perceptual」(知覚的)が指定された場合、ホスト装置100は、S104以降の処理においてプロファイル500のうち
図4で示したA2B0タグ、及び、B2A0タグに従った情報を使用する。インテント指定欄860で「Relative Colorimetric」(相対的測色的)が指定された場合、ホスト装置100は、S104以降の処理においてプロファイル500のうち
図4で示したA2B1タグ、及び、B2A1タグに従った情報を使用する。インテント指定欄860で「Saturation」(彩度重視)が指定された場合、ホスト装置100は、S104以降の処理においてプロファイル500のうち
図4で示したA2B2タグ、及び、B2A2タグに従った情報を使用する。
【0095】
まず、ホスト装置100は、目標受付領域840に入力された各調整点P0、及び、追加された第三調整点Qxについて、プロファイル選択欄811〜813で指定された色変換用のプロファイル(プロファイルの組合せを含む。)に従って現在の出力値CurrentOutを求める(S104)。これは、被印刷物ME1に形成される出力画像IM0の色に対応する出力色cmyk
pを基準として調整を行うためである。指定インテントに応じた情報がプロファイルにある場合は、指定インテントに応じた情報に従って色変換が行われる。
以下の説明において、単に調整点P0と記載する場合、調整点P0に第三調整点Qxが含まれるものとする。
【0096】
例えば、
図14Aに示すように色変換用に入力プロファイル610のみ指定された場合(a−1)、各調整点P0の入力値Inputは、CMYK値(Cp,Mp,Yp,Kpとする。)となる。この場合、現在の出力値CurrentOutは、Lab値(Lp,ap,bpとする。)となる。ここでの変数pは、調整点P0を識別する変数である。
【0097】
ここで、上述したように、プロファイルに従った変換をf
icc(第1引き数,第2引き数,第3引き数)で表すことにする。ただし、第1引き数は、使用するプロファイルを表す。第1引き数において、InputProfileは入力プロファイルを表し、OutputProfileは出力プロファイルを表し、DLProfileはデバイスリンクプロファイルを表す。第2引き数において、A2Bはデバイスカラーからデバイス非依存カラーへの変換を表し、B2Aはデバイス非依存カラーからデバイスカラーへの変換を表し、A2B0はデバイスリンクテーブルによる変換を表す。第3引き数のInputは、調整点P0の入力値(CMYK、RGB、Lab、等)を表す。
【0098】
上記(a−1)の場合、調整対象プロファイル550は自動的に入力プロファイル610となり、以下の式により現在の出力値CurrentOutを算出することができる(
図15参照)。
CurrentOut=f
icc(InputProfile,A2B,Input)
【0099】
図14Bに示すように、色変換用に出力プロファイル620のみ指定された場合(a−2)、各調整点P0の入力値Inputは、Lab値(Lp,ap,bpとする。)となる。この場合、現在の出力値CurrentOutは、cmyk値(cp,mp,yp,kpとする。)となる。
上記(a−2)の場合、調整対象プロファイル550は自動的に出力プロファイル620となり、以下の式により現在の出力値CurrentOutを算出することができる(
図15参照)。
CurrentOut=f
icc(OutputProfile,B2A,Input)
【0100】
図14Cに示すように、色変換用にデバイスリンクプロファイル630が指定された場合(a−3)、各調整点P0の入力値Inputは、CMYK値(Cp,Mp,Yp,Kp)となる。この場合、現在の出力値CurrentOutは、cmyk値(cp,mp,yp,kp)となる。
上記(a−3)の場合、調整対象プロファイル550は自動的にデバイスリンクプロファイル630となり、以下の式により現在の出力値CurrentOutを算出することができる(
図15参照)。
CurrentOut=f
icc(DLProfile,A2B0,Input)
【0101】
図14D,14Eに示すように、色変換用にプロファイル610,620の組合せが指定された場合(b−1),(b−2)、各調整点P0の入力値Inputは、CMYK値(Cp,Mp,Yp,Kp)となる。この場合、現在の出力値CurrentOutは、cmyk値(cp,mp,yp,kp)となる。
上記(b−1),(b−2)の場合、調整対象プロファイル550が入力プロファイル610であっても出力プロファイル620であっても、以下の式により現在の出力値CurrentOutを算出することができる(
図15参照)。
CurrentOut=f
icc(OutputProfile,B2A,f
icc(InputProfile,A2B,Input))
【0102】
現在の出力値CurrentOutの算出後、ホスト装置100は、各調整点P0(第三調整点Qxを含む。)について、プロファイル選択欄811〜813で指定された色変換用のプロファイル(プロファイルの組合せを含む。)、及び、調整対象色空間選択欄830で指定された調整対象色空間CS6に従って目標出力値TargetOutを求める(S106)。これは、被印刷物ME1に形成される出力画像IM0の色に対応する出力色cmyk
pを基準として調整を行うためである。指定インテントに応じた情報がプロファイルにある場合は、指定インテントに応じた情報に従って色変換が行われる。
【0103】
例えば、
図16Aに示すように色変換用に入力プロファイル610のみ指定されて調整対象色空間CS6に入力色空間CS4が指定された場合(a−1−1)、CMYK色空間においてCMYK値(Cp,Mp,Yp,Kp)に調整量AdjustDataが加えられる。この調整量AdjustDataは、相対値(ΔCp,ΔMp,ΔYp,ΔKp)で表される。CMYK色空間において、調整後のCMYK値は、(Cp+ΔCp,Mp+ΔMp,Yp+ΔYp,Kp+ΔKp)で表される。
上記(a−1−1)の場合、以下の式により目標出力値TargetOutを算出することができる(
図18参照)。
TargetOut=f
icc(InputProfile,A2B,Input+AdjustData)
【0104】
図16Bに示すように色変換用に入力プロファイル610のみ指定されて調整対象色空間CS6に出力色空間CS5が指定された場合(a−1−2)、Lab色空間においてLab値(Lp,ap,bp)に調整量AdjustDataが加えられる。この調整量AdjustDataは、相対値(ΔLp,Δap,Δbp)で表される。Lab色空間において、調整後のLab値は、(Lp+ΔLp,ap+Δap,bp+Δbp)で表される。
上記(a−1−2)の場合、以下の式により目標出力値TargetOutを算出することができる(
図18参照)。
TargetOut=f
icc(InputProfile,A2B,Input)+AdjustData
【0105】
図16Cに示すように色変換用に出力プロファイル620のみ指定されて調整対象色空間CS6に入力色空間CS4が指定された場合(a−2−1)、Lab色空間においてLab値(Lp,ap,bp)に調整量AdjustDataが加えられる。この調整量AdjustDataは、相対値(ΔLp,Δap,Δbp)で表される。Lab色空間において、調整後のLab値は、(Lp+ΔLp,ap+Δap,bp+Δbp)で表される。
上記(a−2−1)の場合、以下の式により目標出力値TargetOutを算出することができる(
図18参照)。
TargetOut=f
icc(OutputProfile,B2A,Input+AdjustData)
【0106】
図16Dに示すように色変換用に出力プロファイル620のみ指定されて調整対象色空間CS6に出力色空間CS5が指定された場合(a−2−2)、cmyk色空間においてcmyk値(cp,mp,yp,kp)に調整量AdjustDataが加えられる。この調整量AdjustDataは、相対値(Δcp,Δmp,Δyp,Δkp)で表される。cmyk色空間において、調整後のcmyk値は、(cp+Δcp,mp+Δmp,yp+Δyp,kp+Δkp)で表される。
上記(a−2−2)の場合、以下の式により目標出力値TargetOutを算出することができる(
図18参照)。
TargetOut=f
icc(OutputProfile,B2A,Input)+AdjustData
【0107】
色変換用にデバイスリンクプロファイル630が指定されて調整対象色空間CS6に入力色空間CS4が指定された場合(a−3−1)、CMYK色空間においてCMYK値(Cp,Mp,Yp,Kp)に調整量AdjustDataが加えられる。この調整量AdjustDataは、相対値(ΔCp,ΔMp,ΔYp,ΔKp)で表される。CMYK色空間において、調整後のCMYK値は、(Cp+ΔCp,Mp+ΔMp,Yp+ΔYp,Kp+ΔKp)で表される。
上記(a−3−1)の場合、以下の式により目標出力値TargetOutを算出することができる(
図18参照)。
TargetOut=f
icc(DLProfile,A2B0,Input+AdjustData)
【0108】
色変換用にデバイスリンクプロファイル630が指定されて調整対象色空間CS6に出力色空間CS5が指定された場合(a−3−2)、cmyk色空間においてcmyk値(cp,mp,yp,kp)に調整量AdjustDataが加えられる。この調整量AdjustDataは、相対値(Δcp,Δmp,Δyp,Δkp)で表される。cmyk色空間において、調整後のcmyk値は、(cp+Δcp,mp+Δmp,yp+Δyp,kp+Δkp)で表される。
上記(a−3−2)の場合、以下の式により目標出力値TargetOutを算出することができる(
図18参照)。
TargetOut=f
icc(DLProfile,A2B0,Input)+AdjustData
【0109】
尚、図示していないが、調整対象色空間CS6にLab色空間が指定されることを想定してもよい。この場合、Lab色空間は、入力プロファイル610における出力色空間CS5であり、出力プロファイル620における入力色空間CS4である。目標出力値TargetOutは、例えば、デバイスリンクプロファイル630を作成するために用いられた出力プロファイルを参照することにより算出することができる。
【0110】
図17Aに示すように色変換用にプロファイル610,620の組合せが指定されて調整対象色空間CS6に入力プロファイル610の入力色空間CS4が指定された場合(b−1−1)、CMYK色空間においてCMYK値(Cp,Mp,Yp,Kp)に調整量AdjustDataが加えられる。この調整量AdjustDataは、相対値(ΔCp,ΔMp,ΔYp,ΔKp)で表される。CMYK色空間において、調整後のCMYK値は、(Cp+ΔCp,Mp+ΔMp,Yp+ΔYp,Kp+ΔKp)で表される。
上記(b−1−1)の場合、以下の式により目標出力値TargetOutを算出することができる(
図18参照)。
TargetOut
=f
icc(OutputProfile,B2A,f
icc(InputProfile,A2B,Input+AdjustData))
上記式は、調整対象プロファイル550が出力プロファイル620であっても同じになる。
【0111】
図17Bに示すように色変換用にプロファイル610,620の組合せが指定されて調整対象色空間CS6に出力プロファイル620の出力色空間CS5が指定された場合(b−1−2)、cmyk色空間においてcmyk値(cp,mp,yp,kp)に調整量AdjustDataが加えられる。この調整量AdjustDataは、相対値(Δcp,Δmp,Δyp,Δkp)で表される。cmyk色空間において、調整後のcmyk値は、(cp+Δcp,mp+Δmp,yp+Δyp,kp+Δkp)で表される。
上記(b−1−2)の場合、以下の式により目標出力値TargetOutを算出することができる(
図18参照)。
TargetOut
=f
icc(OutputProfile,B2A,f
icc(InputProfile,A2B,Input))+AdjustData
上記式は、調整対象プロファイル550が出力プロファイル620であっても同じになる。
【0112】
図17Cに示すように色変換用にプロファイル610,620の組合せが指定されて調整対象色空間CS6にPCS(入力プロファイル610における出力色空間CS5、及び、出力プロファイル620における入力色空間CS4)が指定された場合(b−1−3)、Lab色空間においてLab値(Lp,ap,bp)に調整量AdjustDataが加えられる。この調整量AdjustDataは、相対値(ΔLp,Δap,Δbp)で表される。Lab色空間において、調整後のLab値は、(Lp+ΔLp,ap+Δap,bp+Δbp)で表される。
上記(b−1−3)の場合、以下の式により目標出力値TargetOutを算出することができる(
図18参照)。
TargetOut
=f
icc(OutputProfile,B2A,f
icc(InputProfile,A2B,Input)+AdjustData)
上記式は、調整対象プロファイル550が出力プロファイル620であっても同じになる。
【0113】
尚、目標出力値TargetOutの算出は、調整目標T0が出力座標値で表されている場合には省略可能であり、調整目標T0が出力座標値で表されていない場合に限定して行ってもよい。
【0114】
目標出力値TargetOutの算出後、ホスト装置100は、各調整点P0について、調整対象プロファイル550における入力値Input_P、及び、調整目標値TargetOut_Pを取得する(S108)。これは、調整対象プロファイル550における入力値と出力値との対応関係を調整するためである。指定インテントに応じた情報がプロファイルにある場合は、指定インテントに応じた情報に従って色変換が行われる。
【0115】
図14A,14B,14Cで示した(a−1),(a−2),(a−3)の場合、すなわち、色変換用に一つのプロファイル(プロファイル610,620,630のいずれか一つ)が指定された場合、指定されたプロファイルが調整対象プロファイル550である。従って、指定されたプロファイルの入力値Inputが調整対象プロファイル550における入力値Input_Pとして用いられ、指定されたプロファイルの目標出力値TargetOutが調整対象プロファイル550における調整目標値TargetOut_Pとして用いられる。式としては、以下のように表される(
図20参照)。
Input_P=Input
TargetOut_P=TargetOut
【0116】
また、調整対象プロファイル550における現在の出力値CurrentOut_Pは、指定されたプロファイルの現在の出力値CurrentOutである。
CurrentOut_P=CurrentOut
調整目標T0の相対値を調整対象プロファイル550の出力色空間CS5で表すと、TargetOut_P−CurrentOut_Pとなる。
【0117】
図19Aに示すように、
図14Dで示した(b−1)の場合、すなわち、色変換用にプロファイル610,620の組合せが選択されて調整対象プロファイル550に入力プロファイル610が指定された場合、プロファイル610,620の組合せの入力値Inputは調整対象プロファイル550における入力値Input_Pとして用いられる。調整対象プロファイル550の調整目標値TargetOut_P(Lab値)は、cmyk値である目標出力値TargetOutから算出することができる(
図20参照)。
Input_P=Input
TargetOut_P=f
icc(OutputProfile,A2B,TargetOut)
調整対象プロファイル550の調整目標値TargetOut_P(Lab値)を目標出力値TargetOut(cmyk値)から求めるのは、出力画像IM0の色に対応する出力色cmyk
pを基準として調整を行うためである。
【0118】
また、調整対象プロファイル550における現在の出力値CurrentOut_P(Lab値)は、以下の式で表される。
CurrentOut_P=f
icc(InputProfile,A2B,Input)
調整目標T0の相対値を調整対象プロファイル550の出力色空間CS5で表すと、TargetOut_P−CurrentOut_Pとなる。
【0119】
図19Bに示すように、
図14Eで示した(b−2)の場合、すなわち、色変換用にプロファイル610,620の組合せが選択されて調整対象プロファイル550に出力プロファイル620が指定された場合、プロファイル610,620の組合せの目標出力値TargetOutは調整対象プロファイル550における調整目標値TargetOut_Pとして用いられる。調整対象プロファイル550の入力値Input_P(Lab値)は、CMYK値である入力値Input(CMYK値)から算出することができる(
図20参照)。
Input_P= f
icc(InputProfile,A2B,Input)
TargetOut_P=TargetOut
【0120】
また、調整対象プロファイル550における現在の出力値CurrentOut_P(cmyk値)は、プロファイル610,620の組合せの現在の出力値CurrentOutである。
CurrentOut_P=CurrentOut
調整目標T0の相対値を調整対象プロファイル550の出力色空間CS5で表すと、TargetOut_P−CurrentOut_Pとなる。
【0121】
調整対象プロファイル550における入力値Input_P、及び、調整目標値TargetOut_Pの取得後、ホスト装置100は、S110〜S112において、調整目標T0に基づいて調整対象プロファイル550の調整範囲A0を調整する。
【0122】
まず、
図21A,21Bを参照して、調整範囲A0において調整対象プロファイル550を調整する概念を説明する。ここで、
図21A,21Bにおいて、横軸は入力色空間CS4の或る座標軸に沿った入力値を示し、縦軸は出力色空間CS5の或る座標軸に沿った出力値を示している。例えば、入力色空間CS4がCMYK色空間である場合、横軸は、C軸、M軸、Y軸、又は、K軸となる。出力色空間CS5がLab色空間である場合、縦軸は、L軸、a軸、又は、b軸となる。横軸上の白丸は、格子点GD0を示している。
【0123】
図21Aは、出力値を調整する場合の各格子点GD0の調整量ADを模式的に例示している。調整点P0は、入力値Input_Pに対応している。調整目標T0として調整量AdjustDataが与えられると、入力値Input_Pに対応する現在の出力値CurrentOut_Pに調整量AdjustDataが加えられた調整目標値TargetOut_Pが設定される。むろん、調整対象色空間CS6がcmyk色空間であれば、現在の出力値CurrentOut_P、及び、調整目標値TargetOut_Pはcmyk値で表され、調整量AdjustDataはcmyk値の相対値(Δcp,Δmp,Δyp,Δkp)で表される。調整対象色空間CS6がLab色空間であれば、現在の出力値CurrentOut_P、及び、調整目標値TargetOut_PはLab値で表され、調整量AdjustDataはLab値の相対値(ΔLp,Δap,Δbp)で表される。
図7で示した調整範囲指定欄850及び目標受付領域840への入力、並びに、
図6のS224の処理により、調整量AdjustDataには調整範囲A0が設定されている。調整範囲指定欄850に対して「半径」が指定された場合、基本的には、入力値Input_Pに対する出力値の調整量を最大にして調整範囲A0の境界で調整量を0にするようにしている。ただし、実際の調整は調整対象プロファイル550の格子点GD0に対して行われるため、設定された調整範囲A0よりも広い範囲まで調整が影響することがある。
【0124】
図21Bは、入力値を調整する場合の各格子点GD0の調整量ADを模式的に例示している。調整点P0は、入力値Input_Pに対応している。調整目標T0として調整量AdjustDataが設定されると、入力値Input_Pに調整量AdjustDataが加えられた入力値Input_P+AdjustDataに対応する出力値が調整点P0において期待される出力値となる。むろん、調整対象色空間CS6がCMYK色空間であれば、入力値Input_PはCMYK値で表され、調整量AdjustDataはCMYK値の相対値(ΔCp,ΔMp,ΔYp,ΔKp)で表される。調整対象色空間CS6がLab色空間であれば、入力値Input_PはLab値で表され、調整量AdjustDataはLab値の相対値(ΔLp,Δap,Δbp)で表される。
【0125】
上述した補正は、入力色空間CS4の全座標軸、及び、出力色空間CS5の全座標値について、行われる。
【0126】
次に、
図22A,22Bを参照して、調整範囲A0の各格子点GD0に調整量ADを設定する例を説明する。ここで、
図22A,22Bにおいて、横軸は入力値を示し、縦軸は出力値の調整量ADを示している。また、横軸上の三角印は調整範囲A0にある格子点(最近傍格子点GDnearestを除く。)を示し、横軸上の四角印は調整範囲A0外の出力値が修正されない格子点を示している。
まず、
図22Aに示すように、ホスト装置100は、各調整点P0について、調整点P0に最も近い格子点である最近傍格子点GDnearestに対する出力値の調整量AD1を決定する(
図5のS110)。
図22Aには、入力色空間CS4の或る座標軸上に調整点P0(入力値Input_P)が4点ある場合の出力値の調整量AD1を決定する例を示している。
図22Aの例では、入力値Input_Pに対する調整量AdjustDataをそのまま最近傍格子点GDnearestに対する出力値の調整量AD1にしている。むろん、本技術は、最近傍格子点GDnearestに対する出力値の調整量AD1を調整量AdjustDataにすることに限定されない。
【0127】
最近傍格子点GDnearestに対する出力値の調整量AD1の決定後、
図22Bに示すように、ホスト装置100は、調整範囲A0において最近傍格子点GDnearestの周囲にある格子点(三角印の格子点)に対する出力値の調整量AD2を決定する(
図5のS112)。例えば、調整範囲A0外の格子点に対する出力値の調整量を0にしておき、上述した各最近傍格子点GDnearestに対する出力値の調整量AD1をAdjustDataにして、3次元又は4次元の3次スプライン関数による補間演算を行うことにより、周囲の格子点に対する出力値の調整量AD2を決定することができる。ここで、入力色空間CS4がCMYK色空間である場合は前記補間演算を4次元の3次スプライン関数により行えばよく、入力色空間CS4がLab色空間である場合は前記補間演算を3次元の3次スプライン関数により行えばよい。このような補間演算を行うことにより、周囲の格子点に対する出力値の調整量AD2が、各最近傍格子点GDnearestに対する出力値の調整量AD1と、調整範囲A0外の格子点に対する出力値の調整量「0」と、の間で滑らかに繋がる。
むろん、本技術は、補間演算にスプライン関数を用いることに限定されない。
【0128】
ユーザーによっては、
図23に示すグラデーション画像IM1のように第一調整点P1から第二調整点P2まで連続するグラデーションの全色を調整したい場合がある。入力色空間CS4において第一調整点P1と第二調整点P2とが離れていると、調整点P1,P2の調整範囲A1,A2が重ならず、調整点P1,P2だけ調整量AdjustDataを設定しても、調整点P1,P2の間の色が調整されず、出力画像の階調性が低下することがある。しかし、調整点P1,P2の調整範囲A1,A2を広くすると、調整を望まない色までも調整することになる。これを防ぐためには、調整点P1,P2の間にも多くの調整点及び調整量AdjustDataを設定する必要がある。特に、調整点P1,P2が離れていると、その分、調整点及び調整量AdjustDataの設定が煩雑となる。
【0129】
本具体例では、ペア指定された調整点P1,P2の間に第三調整点Qxが自動的に追加され、第三調整点Qxの調整量AdjustData及び調整範囲A3も自動的に決定され、これらの調整データもプロファイル500の調整に反映される。従って、出力画像の階調性を向上させる作業が軽減される。
【0130】
調整範囲A0の各格子点に対する出力値の調整量ADの決定後、ホスト装置100は、決定した調整量ADを調整対象プロファイル550に反映する(
図5のS114)。すなわち、調整範囲A0の各格子点について、現在の出力値に調整量ADを加えた値を更新後の出力値として調整対象プロファイル550に対して書き込めばよい。例えば、調整対象プロファイル550の出力色空間CS5がcmyk色空間であれば、現在の出力値(cq,mq,yq,kqとする。)に調整量(Δcq,Δmq,Δyq,Δkqとする。)に加えた値(cq+Δcq,mq+Δmq,yq+Δyq,kq+Δkq)が更新後の出力値となる。調整対象プロファイル550の出力色空間CS5がLab色空間であれば、現在の出力値(Lq,aq,bqとする。)に調整量(ΔLq,Δaq,Δbqとする。)に加えた値(Lq+ΔLq,aq+Δaq,bq+Δbq)が更新後の出力値となる。ここでの変数qは、調整範囲A0内の格子点を識別する変数である。
以上のようにして、第二の色空間CS2において現在の出力値CurrentOutが目標出力値TargetOutに近付くように調整対象プロファイル550の対応関係が調整される。指定インテントに応じた情報が調整対象プロファイル550にある場合は、指定インテントに応じた対応関係において調整対象プロファイル550が調整される。
【0131】
調整対象プロファイル550の更新後、ホスト装置100は、各調整点P0(第三調整点Qxを含む。)について、更新後の調整対象プロファイル550、又は、更新後の調整対象プロファイル550を含むプロファイルの組合せを用いて現在の出力値CurrentOutを求める(S116)。更新後の現在の出力値CurrentOutは、
図14A〜14E,15を参照して説明したS104の処理と同じ式を用いて算出することができる。指定インテントに応じた情報がプロファイルにある場合は、指定インテントに応じた情報に従って色変換が行われる。
【0132】
また、ホスト装置100は、各調整点P0(第三調整点Qxを含む。)について、更新後の現在の出力値CurrentOutと目標出力値TargetOutとの差分dを求める(S118)。この差分は、例えば、調整対象プロファイル550の出力色空間CS5において出力値CurrentOutに対応する点と目標出力値TargetOutに対応する点とのユークリッド距離とすることができる。
【0133】
その上で、ホスト装置100は、S108〜S120の繰り返し処理の終了条件が成立したか否かを判断し(S120)、終了条件が成立していない場合にはS108〜S120の処理を繰り返し、終了条件が成立した場合にはプロファイル調整処理を終了させる。例えば、全調整点P0について差分dが所定の閾値以下である場合に終了条件成立とすることができる。また、規定の回数に達した場合に終了条件成立としてもよい。
【0134】
以上より、調整点P0に対応する入力座標値から現在の調整対象プロファイル550、又は、調整対象プロファイル550を含むプロファイルの組合せに従って得られる現在の出力値CurrentOutが目標出力値TargetOutに近付くように調整対象プロファイル550が調整される。このように、出力色cmyk
pを表す座標値を基準として調整対象プロファイル550が調整されるので、本具体例は、色空間の座標値の変換に使用するプロファイルを良好な色再現精度となるように調整することができる。その際、調整対象プロファイル550や調整対象色空間CS6を指定することができるので、本具体例は、ユーザーの利用環境に応じて柔軟に対応することができる。
【0135】
また、ペア指定された調整点P1,P2の間に第三調整点Qが自動的に追加され、第三調整点Qの調整の第三目標T3及び調整範囲A3も自動的に決定され、これらの調整データもプロファイル500の調整に用いられる。従って、本具体例は、容易に出力画像の階調性を向上させる技術を提供することができる。
【0136】
(6)変形例:
本発明は、種々の変形例が考えられる。
例えば、出力デバイスは、インクジェットプリンターに限定されず、レーザープリンターといった電子写真方式のプリンター、3次元プリンター、表示装置、等でもよい。
画像を形成する色材の種類は、C,M,Y,Kに限定されず、C,M,Y,Kに加えて、Lc、Lm、Yよりも高濃度のDy(ダークイエロー)、Or(オレンジ)、Gr(グリーン)、Kよりも低濃度のLk(ライトブラック)、画質向上用の無着色の色材、等を含んでもよい。
むろん、第二の色空間は、cmyk色空間に限定されず、CMY色空間、RGB色空間、等でもよい。
ターゲットデバイスは、ターゲット印刷機に限定されず、表示装置等でもよい。
むろん、第一の色空間は、CMYK色空間に限定されず、CMY色空間、RGB色空間、等でもよい。
調整対象色空間として選択可能な色空間は、第一の色空間と第二の色空間とプロファイル接続空間との3種類に限定されず、第一の色空間と第二の色空間との2種類でもよいし、第一の色空間とプロファイル接続空間との2種類でもよいし、第二の色空間とプロファイル接続空間との2種類でもよい。
【0137】
第三調整点Qは、調整点P1,P2を結ぶ線上に限定されず、調整点P1,P2を結ぶ線上からずれた位置に設定されてもよい。
尚、調整範囲A0が一定である場合も、第一調整点P1における調整の第一目標T1、及び、第二調整点P2における調整の第二目標T2に基づいて第三調整点Qxにおける第三目標T3を決定することができる。また、目標T1,T2が予め決められていても、第一調整点P1を基点とする第一調整範囲A1、及び、第二調整点P2を基点とする第二調整範囲A2に基づいて第三調整範囲A3を決定することができる。
【0138】
図24に示すように、第三調整点Qの数N0を変えるための追加調整点指定欄920を、
図7で示したUI画面800、又は、別の画面に表示してもよい。
図24に示す追加調整点指定欄920の複数の指定項目には、「標準の調整点数」と「調整点数を2倍にする(細かい)」とが含まれている。「標準の調整点数」が指定された場合、ホスト装置100は、上述したように、調整対象プロファイル550の格子点間に最低1箇所の第三調整点Qxが入る範囲でなるべく少なくなる数N0の第三調整点Qxを調整点P1,P2の間に追加する(
図6のS220)。「調整点数を2倍にする(細かい)」が指定された場合、ホスト装置100は、
図6のS220において、「標準の調整点数」が指定された場合と比べて約2倍の数の第三調整点Qxを調整点P1,P2の間に追加する。このようにして、第三調整点Qxの数N0を変えるために受け付けた設定に基づいた数N0の第三調整点Qxが設定される。
【0139】
図25Aは、入力色空間CS4がCMYK色空間である場合に調整点P1,P2の間に追加する第三調整点Qxの間隔を1/2にして第三調整点Qxを基点とする第三調整範囲A3を決定する様子を模式的に例示している。
図13A,25Aを比較すると、
図25Aの場合には第三調整点Qxの間隔が1/2となったことにより第三調整点Qxが
図13Aの第三調整点Q1〜Q5(N0=5)から
図25Aの第三調整点Q1〜Q11(N0=11)に増えている。第三調整点Qxを基点とする第三調整範囲A3は、N0=11の第三調整点Q1〜Q11について決められる。
図25Bに示すように、第三調整点Qxにおける調整の第三目標T3も、N0=11の第三調整点Q1〜Q11について決められる。この場合、
図5のS104〜S120の処理にかかる時間は長くなるものの、出力画像の階調性がさらに向上する。
以上より、ユーザーは、好みに応じて処理時間を優先するか階調性の向上を優先するかを選択することができる。
【0140】
図26A,26Bに示すように、CMYK色空間(第一の色空間CS4の例)において設定された調整点P1,P2をLab色空間(プロファイル接続空間CS3の例)に変換してから第三調整点Qを追加し、第三目標T3及び第三調整範囲A3を決定してもよい。
図26A,26Bに示す例は、CMYK値からcmyk値への変換に入力プロファイル610と出力プロファイル620が組み合わせられ、出力プロファイル620が調整対象プロファイル550に指定される場合に好適である。ここで、
図26Aは、Lab色空間(CS3)において調整点P1,P2の間に第三調整点Qxを追加して第三調整点Qxを基点とする第三調整範囲A3を決定する様子を模式的に例示している。
図26Bは、Lab色空間(CS3)の座標を基準として第三調整点Qxにおける調整の第三目標T3を決定する様子を模式的に例示している。
【0141】
図6を参照して説明すると、第三調整点Qxを追加するS220の処理の前に、ホスト装置100は、まず、第一調整点P1の第一座標を表すCMYK値(C1,M1,Y1,K1)を入力プロファイル610に従ってLab値(L1,a1,b1)に変換し、第二調整点P2の第二座標を表すCMYK値(C2,M2,Y2,K2)を入力プロファイル610に従ってLab値(L2,a2,b2)に変換すればよい。Lab値(L1,a1,b1)は第四座標の例であり、Lab値(L2,a2,b2)は第五座標の例である。
【0142】
S220の処理において、ホスト装置100は、Lab色空間(CS3)において第一調整点P1(L1,a1,b1)と第二調整点P2(L2,a2,b2)とに基づいてLab値で表される第三座標の第三調整点Qxを設定する。追加する第三調整点Qxは、Lab色空間(CS3)において調整点P1,P2を結んだ線上に生成することにしている。追加する第三調整点Qxは、調整対象プロファイル550である出力プロファイル620の格子点GD0、すなわち、Lab色空間(CS3)の格子点GD0の間隔ΔGDに基づいた数N0にしている。ここで、出力プロファイル620の格子点間に最低1箇所の第三調整点Qxが入る範囲でなるべく少なくなるように数N0を設定している。
【0143】
例えば、Lab色空間のL軸、a軸、及び、b軸の内、格子点GD0の間隔ΔGDを単位とした第一調整点P1と第二調整点P2との間の距離が最も長い座標軸を選択する。
図26Aの例では、5<|a2−a1|<6、及び、4<|b2−b1|<5であり、|a2−a1|が|b2−b1|、及び、|L2−L1|よりも大きいとして、a軸が選択されたことが示されている。次に、選択された座標軸の方向において、格子点GD0の間隔ΔGD以下の間隔となる数N0の第三調整点Qxを設定する。
図26Aの例では、5<|a2−a1|<6であるので、N0=5となる。
【0144】
S222の処理において、ホスト装置100は、まず、CMYK色空間(CS1)の座標を基準とした調整点P1,P2の目標T1,T2を入力プロファイル610に従ってLab色空間(CS3)の座標を基準とした目標に変換すればよい。例えば、調整量AdjustDataがCMYK値であり、第一調整点P1の調整量AdjustData(第一目標T1の例)が(ΔC1,ΔM1,ΔY1,ΔK1)であり、第二調整点P2の調整量AdjustData(第二目標T2の例)が(ΔC2,ΔM2,ΔY2,ΔK2)であるとする。調整量(ΔC1,ΔM1,ΔY1,ΔK1)は入力プロファイル610に従ってLab値の調整量(ΔL1,Δa1,Δb1とする。)に変換し、調整量(ΔC2,ΔM2,ΔY2,ΔK2)は入力プロファイル610に従ってLab値の調整量(ΔL2,Δa2,Δb2とする。)に変換すればよい。調整量(ΔL1,Δa1,Δb1)は第四調整データの例であり、調整量(ΔL2,Δa2,Δb2)は第五調整データの例である。
【0145】
また、ホスト装置100は、第一調整点P1の調整量(ΔL1,Δa1,Δb1)、及び、第二調整点P2の調整量(ΔL2,Δa2,Δb2)に基づいて、第三調整点Qxの調整量(ΔL3,Δa3,Δb3とする。)を決定すればよい。この処理は、例えば、Lab色空間(CS3)の座標を基準として、第一調整点P1の調整量(ΔL1,Δa1,Δb1)、及び、第二調整点P2の調整量(ΔL2,Δa2,Δb2)に基づいて、第三調整点Qxの調整量(ΔL3,Δa3,Δb3)を内挿する処理とすることができる。
【0146】
S224の処理において、ホスト装置100は、まず、CMYK色空間(CS1)の座標を基準とした調整点P1,P2の調整範囲A1,A2を入力プロファイル610に従ってLab色空間(CS3)の座標を基準とした調整範囲に変換すればよい。変換後の第一調整範囲A1は第四調整データの例であり、変換後の第二調整範囲A2は第五調整データの例である。
【0147】
また、ホスト装置100は、第一調整点P1の第一調整範囲A1、及び、第二調整点P2の第二調整範囲A2に基づいて、第三調整点Qxの第三調整範囲量A3を決定すればよい。この処理は、例えば、Lab色空間(CS3)の座標を基準として、第一調整点P1の第一調整範囲A1、及び、第二調整点P2の第二調整範囲A2に基づいて、第三調整点Qxの第三調整範囲量A3を内挿する処理とすることができる。
【0148】
ホスト装置100は、
図6のS224の処理を終了させると、
図5のS104以降の処理を行い、Lab色空間(CS3)の座標を基準とした調整目標T1,T2及び調整範囲A1,A2に基づいて出力プロファイル620を調整すればよい。
以上のようにして、出力プロファイルを入力プロファイルと組み合わせて調整する場合に容易に出力画像の階調性を向上させることができる。
【0149】
(7)結び:
以上説明したように、本発明によると、種々の態様により、容易に出力画像の階調性を向上させる技術等を提供することができる。むろん、独立請求項に係る構成要件のみからなる技術でも、上述した基本的な作用、効果が得られる。
また、上述した例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、公知技術及び上述した例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、等も実施可能である。本発明は、これらの構成等も含まれる。