(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施形態に係る画像形成装置の一例について
図1〜
図26に従って説明する。なお、各図に示す矢印Hは、鉛直方向であって装置上下方向を示し、矢印Wは、水平方向であって装置幅方向(記録媒体の搬送方向)を示し、矢印Dは、水平方向であって装置奥行方向を示す。
【0020】
(全体構成)
画像形成装置10は、
図24に示されるように、記録媒体としての連続紙Pを搬送する搬送機構20と、インクジェット方式によって画像を形成する吐出ユニット30と、各部を制御する制御部18とを備えている。さらに、画像形成装置10は、吐出ユニット30を移動させる移動機構48(
図15参照)と、吐出ユニット30を保守する保守装置50とを備えている。なお、吐出ユニット30、移動機構48、及び保守装置50については、詳細を後述する。
【0021】
〔搬送機構20〕
搬送機構20は、連続紙Pを巻き出す巻出ロール22と、連続紙Pを巻き取る巻取ロール24と、連続紙Pを搬送する複数の搬送ロール26とを備えている。巻取ロール24は、駆動部28によって回転駆動される。これにより、巻取ロール24が連続紙Pを巻き取ると共に、巻出ロール22が連続紙Pを巻き出すようになっている。
【0022】
複数の搬送ロール26は、所謂従動ロールであって、巻出ロール22と巻取ロール24との間で連続紙Pに巻き掛けられている。これにより、複数の搬送ロール26は、巻出ロール22から巻取ロール24までの連続紙Pの搬送経路を定めるようになっている。
【0023】
(要部構成)
次に、吐出ユニット30と、吐出ユニット30を移動させる移動機構48と、吐出ユニット30を保守する保守装置50とについて説明する。
【0024】
〔吐出ユニット30〕
吐出ユニット30は、連続紙Pが装置幅方向へ搬送される部分で、かつ、搬送される連続紙Pの上方に配置されている。吐出ユニット30は、吐出部の一例である。
【0025】
吐出ユニット30は、
図23に示されるように、長手方向を装置奥行方向として、複数の吐出ヘッド31、32、33、34、35(以下、「吐出ヘッド31〜35」と記載する)と、吐出ヘッド31〜35を支持する支持板42とを備えている。
【0026】
夫々の吐出ヘッド31〜35は、同様の構成とされており、装置奥行方向に延びる直方体状とされ、下方から見て、装置奥行方向に沿って千鳥状に配置されている。さらに、夫々の吐出ヘッド31〜35は、黒色(K)のインク滴(液的の一例)を収納するタンク(図示省略)にチューブを介して接続されている。そして、タンクから夫々の吐出ヘッド31〜35へインクが供給されるようになっている。
【0027】
さらに、夫々の吐出ヘッド31〜35には、複数のノズル38が形成されたノズル面36が形成されており、このノズル面36が、搬送される連続紙Pと対向するようになっている(
図24参照)。
【0028】
支持板42は、板面が上下方向を向き、装置奥行方向に延びる矩形状とされている。さらに、支持板42には、夫々の吐出ヘッド31〜35が貫通する貫通孔(符号省略)が形成されている。そして、夫々の吐出ヘッド31〜35は、支持板42に形成された貫通孔を貫通した状態で、図示せぬ取付具によって、支持板42に取り付けられている。
【0029】
この状態で、夫々の吐出ヘッド31〜35に形成されているノズル面36は、支持板42の下面44に対して下方に配置されている。また、支持板42の下面44には、下方から見て、吐出ヘッド31〜35を囲む囲い面44A(
図23の斜線で示す範囲)が形成されている。
【0030】
〔移動機構48〕
移動機構48(
図15参照)は、既知のボールねじやベルトなどの機械要素を用いて吐出ユニット30を装置上下方向へ移動させるようになっている。
【0031】
本実施形態では、移動機構48は、吐出ユニット30を待機位置(
図4参照)、キャップ位置(
図2参照)、塗布位置(
図8参照)、及び画像形成位置(
図12参照)へ移動させるようになっている。なお、待機位置、キャップ位置、塗布位置、及び画像形成位置の順番で、高さが低くなる。キャップ位置は、第一位置の一例で、塗付位置は、第二位置の一例である。
【0032】
〔保守装置50〕
保守装置50は、
図4に示されるように、ワイピング機構60と、キャップ機構70と、洗浄液供給機構110とを備えている。
【0033】
<ワイピング機構60>
ワイピング機構60は、
図23に示されるように、ワイパ62、64と、ワイパ62、64を装置奥行方向へ移動させる移動機構66(
図15参照)とを備えている。
【0034】
ワイパ62は、非稼動状態で、待機位置に配置されている吐出ユニット30の吐出ヘッド32、34の装置奥行方向の手前側に配置されている。また、ワイパ64は、非稼働状態で、待機位置に配置されている吐出ユニット30の吐出ヘッド31、33、35の装置奥行方向の手前側に配置されている。そして、ワイパ62、64は、板面を装置奥行方向に向けた板状で、上側部分は、ゴム部材で形成されている。
【0035】
移動機構66(
図15参照)は、既知のボールねじやベルトなどの機械要素を用いてワイパ62、64を装置奥行方向へ移動させるようになっている。
【0036】
この構成において、移動機構66が、非稼動状態のワイパ62、64を移動させることで、
図10に示されるように、ワイパ62、64は、装置奥行方向へ往復移動して、吐出ヘッド31〜35のノズル面36を払拭する。
【0037】
<キャップ機構70>
キャップ機構70は、
図1、
図22に示されるように、凹状の貯留部68と、貯留部68の内部に配置されている複数のパッド71、72、73、74、75(以下、「パッド71〜75」と記載する)とを備えている。さらに、キャップ機構70は、貯留部68の外周に取り付けられている接触部150と、接触部150と貯留部68との隙間を塞ぐ閉塞部140と、貯留部68を装置幅方向へ移動させる移動機構80(
図15参照)を備えている。さらに、キャップ機構70は、接触部150を付勢する付勢部材170と、接触部150の移動を規制する規制部182、184と、貯留部68の内部の気体を排出する排出弁190とを備えている。
【0038】
−移動機構80−
移動機構80(
図15参照)は、既知のボールねじやベルトなどの機械要素を用いて貯留部68を装置幅方向へ移動するようになっている。そして、移動機構80は、貯留部68を、貯留部68が待機位置の吐出ユニット30と上下方向で対向する対向位置(
図4参照)と、貯留部68が吐出ユニット30と対向しないように退避する退避位置(
図5参照)とに移動させるようになっている。
【0039】
−貯留部68−
貯留部68は、
図1、
図22に示されるように、上方が開放された凹状で、上方から見て、装置奥行方向に延びる矩形状とされている。また、貯留部68の内部には、洗浄液Lが貯留されている。そして、貯留部68は、装置奥行方向に対向する一対の周壁68Aと、装置幅方向に対向する一対の周壁68Bと、底板68Cとを有している。
【0040】
また、貯留部68の一方の周壁68Bには、貯留部68の内部に貯留された洗浄液Lの液面の高さが予め定められた上限高さ以上となると、上限高さ以上の部分の洗浄液Lを排出する図示せぬ排出孔が形成されている。
【0041】
なお、洗浄液Lとして、増粘又は固化したインクを再溶解可能な液体が用いられる。具体的には、一例として、インクに含まれる溶媒が用いられる。なお、洗浄液Lとしては、ノズル面36での濡れ性を向上させるため、表面張力がインクよりも低い液体を用いることが望ましい。
【0042】
−パッド71〜75−
パッド71〜75は、貯留部68の内部に配置されている。そして、貯留部68が対向位置に配置され、吐出ユニット30が待機位置に配置された状態(
図4参照)で、パッド71は、吐出ヘッド31のノズル面36と上下方向で対向するようになっている。同様に、パッド72は、吐出ヘッド32のノズル面36と上下方向で対向し、パッド73は、吐出ヘッド33のノズル面36と上下方向で対向し、パッド74は、吐出ヘッド34のノズル面36と上下方向で対向するようになっている。さらに、パッド75は、吐出ヘッド35のノズル面36と上下方向で対向するようになっている。
【0043】
夫々のパッド71〜75は、同様の構成とされており、上方から見て、装置奥行方向に延びる矩形状とされている。また、夫々のパッド71〜75は、
図1に示されるように、含浸部86と、布材88とを備えている。
【0044】
含浸部86は、一例として、弾性を有するスポンジ状の多孔質体(具体的には、軟質ウレタンフォームなど)によって形成されている。この含浸部86は、上方へ凸状に膨らんだかまぼこ形状とされている。そして、含浸部86は、貯留部68の底板68Cに支持されている。これにより、含浸部86は、上側部分を除いて貯留部68に貯留されている洗浄液Lに浸っている。
【0045】
布材88は、筒状に形成されており、装置奥行方向から見て、含浸部86を含浸部86の全周から覆っている。具体的には、布材88は、含浸部86の上面、一対の側面、及び下面を覆っている。そして、装置奥行方向から見た、布材88の周長は、自由状態(荷重が付与されていない状態)の含浸部86の周長に対して短くなっている。このため、含浸部86は布材88によって圧縮され、布材88には、圧縮した含浸部86によって張力が付与されている。
【0046】
そして、布材88は、上側部分を除いて貯留部68に貯留されている洗浄液Lに浸っている。また、パッド71〜75は、図示せぬ取付具を用いて、貯留部68の底板68Cに取り付けられている。
【0047】
−接触部150−
接触部150は、
図1、
図21に示されるように、上方から見て、貯留部68の周壁68A、68Bの内側(貯留されている洗浄液L側)に配置されている。そして、接触部150は、シール部材152と、シール部材152を支持する支持部材156とを備えている。
【0048】
支持部材156は、貯留部68の周壁68A、68Bの内側に隙間を空けて配置されており、板面が周壁68A、68Bに沿っていると共に、上方から見て、装置奥行方向に延びる筒状の筒部156Aを有している。また、支持部材156は、筒部156Aの上端に接続され、板面が上下方向を向いた天板156Bを有している。この天板156Bは、上方から見て、矩形枠状で、パッド71〜75を囲むように形成されている。
【0049】
さらに、支持部材156の装置奥行方向の奥側の部分には、
図19、
図21に示されるように、天板156Bに対して凹んだ凹部156Cが形成されている。また、凹部156Cの底板158は、板面が上下方向を向いており、この底板158には、貫通孔158Aが形成されている。
【0050】
さらに、支持部材156の装置奥行方向の手前側の部分には、
図16、
図21に示されるように、天板156Bに対して凹む凹部156Dが形成されている。また、凹部156Dの底板160は、板面が上下方向を向いており、この底板160には、貫通孔160Aと、貫通孔160Bとが形成されている。貫通孔160Aは、底板160において装置幅方向の中央側の部分に配置されており、貫通孔160Bは、貫通孔160Aの隣りに配置されている。
【0051】
また、凹部156Dの底板160の上方には、凹部156Dを覆う覆い板156Eが配置されている。覆い板156Eは、板面が上下方向を向いており、全周で天板156Bに隙間無く取り付けられている。さらに、この覆い板156Eには、貫通孔157が形成されている。
【0052】
シール部材152は、発泡ゴム等の弾性部材で形成されており、
図1、
図22に示されるように、支持部材156の天板156Bの上面に取り付けられ、上方から見て矩形枠状に配置されている。このシール部材152の断面は、上端側の部分が半円状とされている。
【0053】
そして、シール部材152は、貯留部68が対向位置に配置され、吐出ユニット30が待機位置に配置された状態で、上下方向で吐出ユニット30の囲い面44Aと対向するようになっている。
【0054】
なお、前述した支持部材156の凹部156Cは、上方から見て、矩形枠状とされたシール部材152の内側に配置されており、前述した支持部材156の凹部156Dは、矩形枠状とされたシール部材152に対して装置奥行方向の手間側に配置されている。つまり、凹部156Dは、矩形枠状とされたシール部材152の外側に配置されている。
【0055】
この構成において、接触部150は、貯留部68の周壁68A、68B、及び閉塞部140に対して上下方向(囲い面44Aの交差方向)へ移動する。そして、シール部材152は、対向位置に貯留部68が配置された状態で、キャップ位置、及び塗布位置に配置された吐出ユニット30の囲い面44Aと接触する(
図2、
図8参照)。具体的には、キャップ位置に配置された吐出ユニット30は、接触部150を貯留部68側(下側)に押し込むことで、塗布位置へ移動する。つまり、つまり、吐出ユニット30が塗布位置に配置された状態の接触部150の貯留部68に対する押込み量は、吐出ユニット30がキャップ配置された状態の接触部150の貯留部68に対する押込み量と比して多くなる。
【0056】
−閉塞部140−
閉塞部140は、
図1、
図18(A)に示されるように、貯留部68の内部で、周壁68A、68Bと、底板68Cとで形成されている角部に配置されており、上方から見て、矩形枠状とされている。そして、閉塞部140は、スポンジ状の多孔質体で形成され、弾性変形する弾性部142と、周壁68A、68B、及び底板68Cとの間で弾性部142を保持する保持部144とを備えている。
【0057】
弾性部142は、断面矩形状とされている。そして、弾性部142の周壁68A、68B側の部分に支持部材156の筒部156Aの下端が弾性部142を上方から圧縮している。
【0058】
保持部144は、断面L字状とされており、端部が貯留部68の底板68Cに図示せぬ取付具を用いて取り付けられている。そして、保持部144は、周壁68A、68B、及び底板68Cに弾性部142を押し付けている。
【0059】
−付勢部材170−
付勢部材170は、4個設けられ、
図22に示されるように、上方から見て(吐出ユニット30側から見て)、貯留部68の四隅に配置されている。
【0060】
付勢部材170は、
図16、
図19に示されるように、上下方向に延びる圧縮コイルスプリングであって、貯留部68の底板68Cと支持部材156の天板156Bとの間に、圧縮状態で配置されている。
【0061】
ここで、「四隅」の「隅」とは、
図25に示されるように、装置奥行方向においては、貯留部68の内部の装置奥行方向の長さをL1としたした場合に、周壁68AからL1に対して20〔%〕までの領域である。さらに、装置幅方向においては、貯留部68の内部の装置幅方向の長さをL2としたした場合に、周壁68BからL2に対して20〔%〕までの領域である。つまり、「隅」とは、
図25に示す斜線部の範囲である。
【0062】
この構成において、付勢部材170は、支持部材156(接触部150)を吐出ユニット30(囲い面44A)側に付勢している。
【0063】
−規制部182、184−
規制部182は、
図19に示されるように、一部が支持部材156の凹部156Cに配置されており、規制部184は、
図16に示されるように、一部が支持部材156の凹部156Dに配置されている。
【0064】
規制部182は、
図19に示されるように、基端が貯留部68の底板68Cに取り付けられ、上下方向に延びると共に貫通孔158Aを貫通している柱状の柱部材182Aと、柱部材182Aの先端に取り付けられている規制板182Bとを備えている。
【0065】
規制板182Bは、板面が上下方向を向き、支持部材156の凹部156Cに配置されている。そして、規制板182Bは、付勢部材170によって上方に付勢されている支持部材156の底板158と上下方向で接触して、支持部材156において装置奥行方向の奥側の部分の上方への移動を規制している。
【0066】
規制部184は、
図16に示されるように、基端が貯留部68の底板68Cに取り付けられ、上下方向に延びると共に貫通孔160Aを貫通している柱状の柱部材184Aと、柱部材184Aの先端に取り付けられている規制板184Bとを備えている。
【0067】
規制板184Bは、板面が上下方向を向き、支持部材156の凹部156Dに配置されている。また、規制板184Bには、底板160の貫通孔160Bと、上下方向で重なる貫通孔185が形成されている。そして、規制板184Bは、付勢部材170によって上方に付勢されている支持部材156の底板160と上下方向で接触して、支持部材156において装置奥行方向の手前側の部分の上方への移動を規制している。
【0068】
この構成において、規制部182、184は、上下方向に移動する支持部材156(接触部150)の上方への移動を規制する。そして、規制部182、184によって上方への移動が規制された接触部150は、接触部150の上限位置に配置される。
【0069】
また、接触部150が上限位置に配置された状態で、支持部材156の筒部156Aは、全周に亘って、貯留部68の周壁68A、68Bと装置幅方向、又は装置奥行方向で重なっている。さらに、この状態で、筒部156Aの下端が、弾性部142に入り込んでいる。
【0070】
これにより、貯留部68の内部の気体が、貯留部68の周壁68A、68Bと、筒部156Aとの隙間から貯留部68の外部へ漏れるのが抑制される。また、接触部150に外力が作用して、接触部150が下方に移動した場合であっても、弾性部142に対する、筒部156Aの圧縮量(入り込み量)が変わることで、周壁68A、68Bと、筒部156Aとの隙間からの気体の漏れが抑制される(
図17、
図20参照)。
【0071】
−排出弁190−
排出弁190は、ゴム板で形成されており、
図16に示されるように、覆い板156Eの貫通孔157を上方(凹部156Dとは反対方向)から覆うように配置されている。そして、排出弁190の一部が、覆い板156Eに図示せぬ取付具で取り付けられている。排出弁190は、抑制部の一例である。
【0072】
この構成において、貯留部68の内部の気圧が上昇しない場合には、
図16に示されるように、排出弁190は、貫通孔157を閉止している。つまり、貯留部68の内部の気体が、貫通孔157から貯留部68の外部へ漏れない。
【0073】
これに対して、貯留部68の内部の気圧が上昇した場合に、
図17に示されるように、排出弁190が、貯留部68の内部の気体に押されて変形して、貫通孔157を開放する。つまり、貯留部68の内部の気圧の上昇が抑制される。つまり、貯留部68の内部と外部との間に差圧が生じるが抑制される。
【0074】
<洗浄液供給機構110>
洗浄液供給機構110は、
図5に示されるように、退避位置に配置された貯留部68の上方に配置されている。この洗浄液供給機構110は、供給ヘッド112、114と、流通管116と、タンク118と、ポンプ120とを備えている。
【0075】
供給ヘッド112は、装置奥行方向に延びており、パッド72、74の上方に配置されており、供給ヘッド114は、装置奥行方向に延びており、パッド71、73、75の上方に配置されている。そして、供給ヘッド112、114には、パッド71〜75に向けて洗浄液Lの液滴を吐出するノズル(図示省略)が形成されている。
【0076】
タンク118は、供給ヘッド112、114の上方に配置されており、内部に夫々の供給ヘッド112、114に送られる洗浄液Lを収容している。
【0077】
流通管116の一端は、タンク118に接続されており、流通管116の他端側の部分は、分岐管116Aと分岐管116Bとに分岐している。そして、分岐管116Aは、供給ヘッド112に接続されており、分岐管116Bは、供給ヘッド114に接続されている。
【0078】
ポンプ120は、流通管116の一端側の部分に配置されている。そして、ポンプ120を稼動させることで、タンク118から夫々の供給ヘッド112、114へ洗浄液Lが送られ、夫々の供給ヘッド112、114のノズルから夫々のパッド71〜75へ洗浄液Lが滴下されるようになっている(
図6参照)。
【0079】
(制御部)
制御部18は、
図15に示されるように、吐出ユニット30、移動機構48、移動機構66、移動機構80、ポンプ120、及び搬送機構20を制御するようになっている。なお、制御部18による各部の制御については、後述する作用と共に説明する。
【0080】
(要部構成の作用)
次に、制御部18による各部の制御について、比較形態に係る画像形成装置510と比較しつつ、
図13、
図14に示すフロー図を用いて説明する。先ず、比較形態に係る画像形成装置510について、画像形成装置10と異なる部分を主に説明する。
【0081】
−画像形成装置510−
比較形態に係る画像形成装置510は、
図26に示されるように、キャップ機構570を備えている。このキャップ機構570は、貯留部568と、貯留部568の内部に配置されている複数のパッド71〜75と、貯留部68に取り付けられているシール部材578とを備えている。さらに、キャップ機構570は、貯留部68を装置幅方向へ移動させる移動機構80を備えている。このように、キャップ機構570は、接触部150、閉塞部140、付勢部材170、規制部182、184、及び排出弁190を備えていない。
【0082】
また、貯留部568は、凹状で、上方から見て、装置奥行方向に延びる矩形状とされている。さらに、貯留部568が対向位置に配置された状態で、貯留部568の外周縁部568Aは、吐出ユニット30の囲い面44Aと、上下方向で対向する。
【0083】
また、シール部材578は、発泡ゴム等の弾性部材で形成されている。さらに、シール部材578は、貯留部568の周壁の上端部を構成する外周縁部568Aに取り付けられ、上方から見て矩形枠状に配置されている。このシール部材578の断面は、上端側の部分が半円状に形成され、上下方向に延びている。そして、対向位置に貯留部568が配置された状態で、シール部材578は、キャップ位置、又は塗布位置に配置された吐出ユニット30の囲い面44Aと接触するようになっている。つまり、吐出ユニット30が塗布位置に配置された状態のシール部材578の圧縮量は、吐出ユニット30がキャップ配置された状態のシール部材578の圧縮量と比して多くなる。
【0084】
−制御部18による各部の制御−
次に、制御部18による各部の制御について説明する。なお、画像形成装置510については、画像形成装置10と異なる部分を主に説明する。
【0085】
先ず、画像形成装置10の非稼働状態では、
図2に示されるように、貯留部68は対向位置に配置されており、吐出ユニット30はキャップ位置に配置されている。さらに、貯留部68の内部には、液面の高さが決められた上限高さとされた洗浄液Lが貯留されている。なお、吐出ユニット30がキャップ位置に配置されていることで、接触部150のシール部材152と、吐出ユニット30の囲い面44Aと接触しており、貯留部68の内部の気密性は、確保されている。
【0086】
ここで、比較形態に係る画像形成装置510(
図26参照)では、シール部材578は、貯留部568の外周縁部568Aに直接取り付けられている。つまり、貯留部568とシール部材578とは、相対的に移動しない。このため、貯留部568と吐出ユニット30との相対位置が、単品ばらつきや組み付けばらつき等で、ばらつくことによって、囲い面44Aに対するシール部材578の接触圧力が、接触している部位間でばらついてしまう。
【0087】
これに対して、画像形成装置10では、シール部材152を備えた接触部150は、貯留部68の周壁68A、68Bに直接取り付けられていない。つまり、接触部150は、貯留部68に対して相対的に移動する。このため、貯留部68と吐出ユニット30との相対位置がばらついた場合でも、接触部150が貯留部68に対して移動することで、囲い面44Aに対するシール部材152の接触圧力が、接触している部位間でばらついてしまうのが抑制される。具体的には、接触部150の四隅の位置が夫々変化することで、接触部150が、囲い面44Aに倣うように移動する。
【0088】
なお、「接触圧力」とは、シール部材152が囲い面44Aに接触している状態で、囲い面44Aに対するシール部材152、578の圧力である。
【0089】
このため、貯留部68の内部の湿度は、貯留部68の外部の湿度と比して高く、安定している。そこで、ノズル38内のインクの増粘が、画像形成装置510を用いた場合と比して、抑制されている。
【0090】
画像形成装置10に印刷ジョブが入力されると、
図13に示すステップS100へ移行する。
【0091】
ステップS100では、制御部18が、吐出ユニット30を制御して、
図3に示されるように、夫々の吐出ヘッド31〜35のノズル38から夫々のパッド71〜75へ向けてインク滴を排出させる(所謂パージ動作)。これにより、増粘されたインク滴がノズル38から吐き出される。ノズル38からインク滴が吐き出されると、ステップS200へ移行する。
【0092】
ステップS200では、制御部18が、移動機構48(
図15参照)を制御して、
図3、
図4に示されるように、キャップ位置に配置された吐出ユニット30を待機位置へ移動させる。吐出ユニット30が待機位置に移動することで、吐出ユニット30の囲い面44Aが、シール部材152と離間する。そして、付勢部材170(
図17、
図19参照)の付勢力によって、接触部150は、上限位置へ移動する。吐出ユニット30が待機位置へ移動すると、ステップS300へ移行する。
【0093】
ステップS300では、制御部18が、移動機構80を制御して、
図4、
図5に示されるように、対向位置に配置された貯留部68を退避位置へ移動させる。貯留部68が退避位置へ移動すると、ステップS400へ移行する。
【0094】
ステップS400では、制御部18は、ポンプ120を制御して、
図6に示されるように、夫々の供給ヘッド112、114のノズルから夫々のパッド71〜75へ洗浄液Lを滴下させる。これにより、夫々のパッド71〜75の含浸部86が洗浄液Lを含浸する。夫々の供給ヘッド112、114のノズルから夫々のパッド71〜75へ洗浄液Lが滴下すると、ステップS500へ移行する。
【0095】
ステップS500では、制御部18は、移動機構80を制御して、
図6、
図7に示されるように、退避位置に配置された貯留部68を対向位置へ移動させる。これにより、貯留部68は、吐出ユニット30と上下方向で対向する。貯留部68が対向位置へ移動すると、ステップS600へ移行する。
【0096】
ステップS600では、制御部18は、移動機構48を制御して、
図7、
図8に示されるように、待機位置に配置された吐出ユニット30を、キャップ位置を通過させて塗布位置へ移動させる。これにより、夫々の吐出ヘッド31〜35のノズル面36は、夫々のパッド71〜75へ押し付けられ、ノズル面36には、含浸部86から染み出た洗浄液Lが塗布される。
【0097】
ここで、比較形態に係る画像形成装置510(
図26参照)では、待機位置に配置された吐出ユニット30がキャップ位置へ移動すると、吐出ユニット30の囲い面44Aは、シール部材578と接触する。さらに、画像形成装置510の吐出ユニット30は、シール部材578を圧縮しながら塗布位置へ移動する。
【0098】
画像形成装置510では、シール部材578は、貯留部568の外周縁部568Aに直接取り付けられている。つまり、貯留部568とシール部材578とは、相対的に移動しないようになっている。このため、貯留部568と吐出ユニット30との相対位置が、ばらつくことによって、囲い面44Aに対するシール部材578の接触圧力が、接触している部位間でばらついてしまう。
【0099】
さらに、吐出ユニット30がキャップ位置から塗布位置へ移動することで、貯留部568の内部の気圧が上昇する。そして、貯留部568の内部の気圧が上昇することで、シール部材578の接触圧力が低い部分から、貯留部568の内部の空気が漏れてしまうことがある。この空気の漏れに伴って、洗浄液Lが霧状に貯留部568の側方の外部に漏れてしまい、装置内が汚れてしまう。
【0100】
これに対して、画像形成装置10では、シール部材152を備えた接触部150は、貯留部68の周壁68A、68Bに直接取り付けられていない。接触部150は、貯留部68に対して相対的に移動する。
【0101】
このため、待機位置に配置された吐出ユニット30がキャップ位置へ移動することで、吐出ユニット30の囲い面44Aが、シール部材152を下方へ押し付ける。これにより、圧縮状態の付勢部材170がさらに圧縮されることで、上限位置に配置されていた接触部150は、下方へ移動する。また、吐出ユニット30がキャップ位置から塗布位置へ移動することで、吐出ユニット30の囲い面44Aが、シール部材152をさらに下方へ押し付ける。これにより、圧縮状態の付勢部材170がさらに圧縮されることで、接触部150は、さらに下方へ移動する。
【0102】
ここで、貯留部68とシール部材152を備えた接触部150とは、前述したように相対的に移動する。このため、貯留部68と吐出ユニット30との相対位置がばらついた場合でも、接触部150が貯留部68に対して移動することで、囲い面44Aに対するシール部材152の接触圧力が、接触している部位間でばらついてしまうのが抑制される。
【0103】
さらに、吐出ユニット30がキャップ位置から塗布位置へ移動することで、貯留部68の内部の気圧が上昇する。貯留部68の内部の気圧が上昇した場合には、貯留部68の内部の気体の一部が、貫通孔160B、貫通孔186、及び貫通孔157を通り、排出弁190を押し上げる(
図17参照)。排出弁190が、貯留部68の内部の気体に押されて弾性変形して、貫通孔157を開放する。これにより、貯留部68の内部の気体の一部が貯留部568の上方の外部に放出され、貯留部68の内部の気圧の上昇が抑制される。気体が外部に放出されると、排出弁190は、弾性復帰して貫通孔157を閉止する。これにより、貯留部68の内部の気密性が確保される。
【0104】
そして、吐出ユニット30が塗布位置へ移動するとステップS700へ移行する。
【0105】
ステップS700では、制御部18は、移動機構48を制御して、
図8、
図9に示されるように、塗布位置に配置された吐出ユニット30を待機位置へ移動させる。吐出ユニット30が待機位置へ移動すると、ステップS800へ移行する。
【0106】
ステップS800では、制御部18は、移動機構66を制御して、
図10に示されるように、ワイパ62、64を装置奥行方向へ往復移動させる。これにより、ワイパ62、64が、洗浄液Lが塗布されているノズル面36を払拭することで、ノズル面36に付着している異物等を除去する。ワイパ62、64が往復移動すると、ステップS900へ移行する。
【0107】
ステップS900では、制御部18は、移動機構48を制御して、
図9、
図11に示されるように、対向位置に配置された貯留部68を退避位置へ移動させる。これにより、貯留部68は、洗浄液供給機構110と上下方向で対向する。貯留部68が退避位置へ移動すると、ステップS1000へ移行する。
【0108】
ステップS1000では、制御部18は、移動機構48を制御して、
図11、
図12に示されるように、待機位置に配置された吐出ユニット30を画像形成位置へ移動させる。これにより、夫々の吐出ヘッド31〜35のノズル面36は、連続紙Pと対向する。
【0109】
さらに、制御部18は、搬送機構20を制御して、連続紙Pを搬送させる。また、連続紙Pが搬送されると、制御部18は、吐出ユニット30を制御して、夫々の吐出ヘッド31〜35のノズル面36に形成されたノズル38(
図23参照)からインク滴(液滴)を吐出させて、連続紙Pに画像を形成させる。連続紙Pに画像が形成されると、ステップS1100へ移行する。
【0110】
ステップS1100では、制御部18は、移動機構48を制御して、
図11に示されるように、画像形成位置に配置された吐出ユニット30を待機位置へ移動させる。吐出ユニット30が待機位置へ移動するとステップS1200へ移行する。
【0111】
ステップS1200では、制御部18は、移動機構80を制御して、
図9に示されるように、退避位置に配置された貯留部68を対向位置へ移動させる。これにより、貯留部68が、吐出ユニット30と上下方向で対向する。貯留部68が対向位置へ移動するとステップS1300へ移行する。
【0112】
ステップS1300では、制御部18は、移動機構48を制御して、
図2に示されるように、待機位置の吐出ユニット30をキャップ位置へ移動させる。そして、夫々の吐出ヘッド31〜35のノズル面36は、夫々のパッド71〜75と上下方向で対向して、離間している。さらに、接触部150のシール部材152と、吐出ユニット30の囲い面44Aと接触する。そして、貯留部68の内部の気密性は、確保されている。
【0113】
ここで、前述したように、画像形成装置10では、接触部150は、貯留部68に対して相対的移動する。このため、貯留部68と吐出ユニット30との相対位置がばらついた場合でも、接触部150が貯留部68に対して移動することで、囲い面44Aに対するシール部材152の接触圧力が、接触している部位間でばらついてしまうのが抑制される。
【0114】
このため、貯留部68の内部の湿度は、貯留部68の外部の湿度と比して高く、安定している。そこで、ノズル38内のインクの増粘が抑制されている。
【0115】
そして、吐出ユニット30がキャップ位置へ移動すると一連の動作が終了する。
【0116】
(まとめ)
以上説明したように、画像形成装置10の非稼働状態、及びステップS1300では、吐出ユニット30の囲い面44Aが、シール部材152を下方へ押し付けている。ここで、貯留部68とシール部材152を備えた接触部150とは、相対的に移動するようになっている。これにより、貯留部68と吐出ユニット30との相対位置がばらついた場合でも、画像形成装置510を用いる場合と比して、囲い面44Aに対するシール部材152の接触圧力が、接触している部位間でばらついてしまうのが抑制される。
【0117】
また、画像形成装置10は、上方(囲い面44A側)に接触部150を付勢する付勢部材170を備えている。このため、例えば、接触部150が貯留部68の周壁68A、周壁68Bとの間で生じる摩擦力だけで、貯留部68に保持されている場合と比して、囲い面44Aに対するシール部材152の接触圧力が、接触している部位間でばらついてしまうのが抑制される。
【0118】
また、付勢部材170は、上方(吐出ユニット30側)から見て、貯留部68の四隅に配置されている。このため、例えば、付勢部材170が、一の隅と他の隅との中間部だけに配置されている場合と比して、接触部150のぐらつきが抑制される。つまり、付勢部材170は、付勢部材170が、一の隅と他の隅との中央部だけに配置されている場合と比して、囲い面44Aに対するシール部材152の接触圧力が、接触している部位間でばらついてしまうのが抑制される。
【0119】
また、付勢部材170は、上方(吐出ユニット30側)から見て、貯留部68の四隅に配置されている。このため、例えば、接触部150を貯留部68に対して上下方向にガイドするガイド部材が不要となる。
【0120】
また、吐出ユニット30がキャップ位置から塗布位置へ移動することで、貯留部68の内部の気圧が上昇した場合に、排出弁190は、貯留部68の内部の気体に押されて弾性変形して、貯留部68の内部の気体を外部に放出する。これにより、例えば、貯留部の内部の気圧が上昇しても内部の圧力の上昇を維持しようとする画像形成装置510と比して、シール部材578の接触圧力が低い部分から、洗浄液Lが霧状に貯留部568の外部に放出されるのが抑制される。
【0121】
また、排出弁190は、貯留部68の内部の気圧が上昇した場合に、貯留部68の内部の気体に押されて弾性変形してすることで貯留部68の内部の気体を外部に放出して、貯留部68の内部の気圧の上昇を抑制する。このため、例えば、貯留部68の内部の洗浄液Lの量を、ポンプ等を用いて減らすことで貯留部68の内部の気圧の上昇を抑制する場合と比して、電力を用いることなく貯留部68の内部の気圧の上昇が抑制される。
【0122】
なお、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明は係る実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態をとることが可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記実施形態では、付勢部材170が貯留部68の内部の四隅だけに配置されたが、付勢部材170が四隅とは別に、さらに四隅とは異なる場所に付勢部材170を配置してもよい。
【0123】
また、上記実施形態では、排出弁190が設けられたが、排出弁が設けられていなくてもよい。この場合には、排出弁が設けられていることで奏する作用は奏しない。
【0124】
また、上記実施形態では、支持部材156の筒部156Aは、貯留部68の周壁68A、68Bの内側に配置されたが、筒部が貯留部68の周壁68A、68Bの外側に配置されてもよい。この場合には、筒部156Aと周壁68A、68Bとの間をシールするシール部材が必要となる。
【0125】
また、上記実施形態では、吐出ユニット30は、黒色(K)のインクを用いたが、例えば、吐出ユニット30は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の色ごとに吐出ユニットを複数備えられていてもよい。
【0126】
また、上記実施形態では、貯留部68の内部の気圧が上昇するのを抑制する抑制部として、排出弁190を用いたが、貯留部68の内部の洗浄液Lの量を、ポンプ等を用いて減らすことで貯留部68の内部の気圧の上昇を抑制してもよい。この場合には、排出弁190を用いることで奏する作用は奏しない。