(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本願に係る画像形成装置をプリンタに具体化した一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1は、本実施形態のプリンタ10の概略構成を示している。尚、以下の説明において、前後方向及び上下方向は、紙面に記載された通りである。
【0012】
[プリンタの全体構成]
本実施形態に係るプリンタ10は、電子写真方式のカラーレーザプリンタであり、シートPに所望の画像を印字する。但し、プリンタ10は、モノクロレーザプリンタでもよい。プリンタ10は、本体筐体11、操作パネル13、3つの給紙トレイ15A,15B,15C、印刷部17、及び定着部19等を備えている。
【0013】
本体筐体11は、略箱型形状をなし、内部に印刷部17や給紙トレイ15A〜15C等を収容している。操作パネル13は、例えば、タッチパネルであり、本体筐体11の上面に設けられている。操作パネル13は、プリンタ10の動作状況の表示やユーザによる入力操作の受け付けを行う。ここでいうユーザによる入力操作には、例えば、印刷部17による印字の中止を指示する操作の他、給紙トレイ15A〜15Cに補充したシートPに係わるシート情報を入力する操作等を含む。
【0014】
シート情報には、例えば、シートPの厚さを示すシート種別がある。シート種別には、例えば、厚紙、普通紙、及び薄紙がある。
【0015】
給紙トレイ15A〜15Cの各々は、本体筐体11内における下部に設けられており、画像の印字に供される複数のシートPを収容している。例えば、給紙トレイ15A〜15Cの各々は、異なる厚さのシートPをそれぞれ収納している。尚、以下の説明では、給紙トレイ15A〜15Cの各々を区別せずに総称して説明する場合には、給紙トレイ15と表記する。
【0016】
給紙トレイ15は、本体筐体11に対して前方側に引き出し可能に構成されている。また、給紙トレイ15は、前方側に引き出した後、本体筐体11に対して取り外し、及び取り付け可能に構成されている。ユーザは、給紙トレイ15を本体筐体11から引き出して、各給紙トレイ15A〜15C上にシートPを補充することができる。
【0017】
本体筐体11には、給紙トレイ15A〜15Cの各々に対応して設けられ、給紙トレイ15A〜15Cの取り付けの有無を検出するトレイセンサ21A,21B,21Cが設けられている。トレイセンサ21A〜21Cは、給紙トレイ15A〜15Cの前方且つ上方に設けられている。トレイセンサ21A〜21Cの各々は、例えば、光学式センサであり、各給紙トレイ15A〜15Cに向けて発光し、反射光の強弱に応じた信号を制御装置51(
図2参照)に出力する。トレイセンサ21A〜21Cは、給紙トレイ15A〜15Cが装着状態にある時と装着状態にない時とで、異なる強度の信号を制御装置51に出力する。
【0018】
また、本体筐体11には、各給紙トレイ15A〜15Cの各々に収納されたシートPを給紙するための給紙ローラ23A,23B,23Cが設けられている。各給紙トレイ15A〜15C上のシートPは、給紙ローラ23A〜23Cの各々によって一枚毎に分離され搬送経路31へ搬送される。搬送経路31に搬送されたシートPは、印刷部17まで搬送される。つまり、装着状態にある給紙トレイ15内に収納されたシートPは、給紙ローラ23A〜23CでシートPを印刷部17に供給することが可能な位置にあると言える。
【0019】
印刷部17は、本体筐体11内において給紙トレイ15の上方に設けられ、シートPに所望の画像を印字する。印刷部17は、スキャナユニット33、4つの画像形成ユニット35、及びベルトユニット37等を備えている。スキャナユニット33は、本体筐体11内の上部に設けられており、ポリゴンモータ、ポリゴンミラー、レーザ光源、反射ミラー、及びレンズ等(図示略)を備えている。スキャナユニット33は、所望の画像に起因したレーザ光をレーザ光源から出射し、ポリゴンミラー、反射ミラー、及びレンズ等を介して、各画像形成ユニット35の感光体ドラム38の表面に静電潜像を生成する。
【0020】
4つの画像形成ユニット35は、スキャナユニット33とベルトユニット37との上下方向の間に設けられ、前後方向に沿って並設されている。各画像形成ユニット35は、例えば、前方から順に、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナー色に対応している。画像形成ユニット35は、帯電器(図示略)によって感光体ドラム38の表面を一様に正極性に帯電させる。画像形成ユニット35は、感光体ドラム38の表面に生成された静電潜像に現像剤(トナー)を供給し、当該静電潜像を現像してトナー像を生成する。
【0021】
ベルトユニット37は、4つの画像形成ユニット35の下方であって、給紙トレイ15の上方に設けられている。ベルトユニット37は、環状のベルトを回転させることで、シートPを定着部19へ搬送する。また、ベルトユニット37の内側に転写ローラ39が設けられている。転写ローラ39は、負極性の転写バイアスを印加されることによって、感光体ドラム38の表面のトナー像をシートPへ転写する。
【0022】
定着部19は、ベルトユニット37の後方に設けられ、シートPに転写したトナー像を熱定着させる。定着部19は、加熱ローラ41、及びニップローラ43を備えている。加熱ローラ41は、ハロゲンランプ等のヒータ49を備え、回転駆動可能に設けられている。尚、ヒータ49は、交流電源から供給される電力によって加熱ローラ41を加熱する加熱装置であり、後述のように交流電源とヒータ49との間に設けられる切替素子によって、交流電源とヒータ49とを導通させる状態であるオン状態と、交流電源とヒータ49とを導通させない状態であるオフ状態とが切り替わる。ニップローラ43は、加熱ローラ41の下方に配置され、加熱ローラ41を押圧するように接触している。定着部19は、トナー像を坦持したシートPを加熱しつつ、加熱ローラ41とニップローラ43とによって狭持することによって、シートPを通過させる。
【0023】
定着部19の内部には、定着部19の温度を検出するための温度センサ47が設けられている。温度センサ47は、加熱ローラ41の軸方向に沿って、加熱ローラ41に接触しない程度の近い位置に設けられている。温度センサ47は、サーミスタ等であり、加熱ローラ41の外周温度に応じた信号を出力する。
【0024】
定着部19の下流であって本体筐体11の上部には、排紙トレイ45が設けられている。搬送経路31は、
図1に示すように、給紙トレイ15の給紙位置から印刷部17を介して排紙トレイ45までの略S字形状の経路を備えている。
【0025】
[プリンタの電気的構成]
図2は、プリンタ10の電気的構成を示している。プリンタ10は、制御装置51、タイマ53、及びメモリ55等を備えている。制御装置51は、CPU及びRAMを備え、メモリ55に格納された制御プログラムに基づく処理を実行することによって、プリンタ10の各部を統括的に制御する。ここでいう各部とは、上記した操作パネル13、印刷部17、及び定着部19(ヒータ49を含む)等である。例えば、制御装置51は、シートPが定着部19を通過中に、後述のように定着部19(より具体的には定着部19を構成する加熱ローラ41)の温度を目標温度に維持するように制御する。それによって、加熱ローラ41の温度は、目標温度を含んだ許容温度範囲内に収められる。目標温度は、例えば、200℃である。尚、以下の説明では、加熱ローラ41の温度は、定着部19の温度とも表記する。また、制御装置51は、CPUで制御プログラムを実行するソフト処理に限らず、ASIC等の専用のハードウェアを備え、ハード処理を実行することによって、プリンタ10の各部を制御する構成でもよい。
【0026】
タイマ53は、制御装置51の信号を入力したことに応じて、時間の計測を開始又は停止する。タイマ53は、時間の計測を開始すると、一定時間が経過する毎にタイマカウント値をカウントアップする。尚、タイマ53は、制御装置51に内蔵されたハードウェアであってもよいし、CPUで制御プログラムを実行するソフト処理で構成してもよい。
【0027】
メモリ55には、プリンタ10を制御するための各種制御プログラムや、後述の温度テーブル、各種の設定データ等が記憶されている。メモリ55には、シート情報及び印刷データが記憶されている。メモリ55内のシート情報は、給紙トレイ15及び印刷ジョブに対応付けられて記憶されている。このシート情報には、シートPのシート種別など情報が設定されている。メモリ55内の印刷データは、印刷ジョブに対応付けられて記憶されている。制御装置51は、印字を行う際に、給紙トレイ15A〜15Cのうち、印刷ジョブに設定された給紙トレイからシートPを供給し、印刷ジョブの印刷データに基づく画像を印刷部17によって印字する。尚、
図2中の「トレイ1〜3」は、給紙トレイ15A〜15Cの各々に対応している。
【0028】
操作パネル13は、ユーザによるタッチパネルへの入力操作に応じた信号を制御装置51に出力する。また、操作パネル13は、制御装置51からの指令に応じた画像を表示する。
【0029】
トレイセンサ21A〜21Cは、給紙トレイ15の挿抜動作に応じた信号を制御装置51に出力する。これにより、制御装置51は、給紙トレイ15の装着状態又は取り外し状態を検知することが可能となる。ここでいう、給紙トレイ15の装着状態とは、本体筐体11内に給紙トレイ15の全体を収容した状態をいう。また、給紙トレイ15の取り外し状態とは、例えば、本体筐体11から給紙トレイ15の一部又は全部を引き出した状態をいう。言い換えると、給紙トレイ15の取り外し状態とは、給紙トレイ15が装着状態にない状態をいう。尚、トレイセンサ21A〜21Cは、光学式センサでなく、例えば、装着状態にある給紙トレイ15に押下されるスイッチ式のセンサであってもよい。また、給紙ローラ23A〜23CでシートPを印刷部17に供給することが可能な位置にシートPがあるか否かを判断するために、トレイセンサ21A〜21Cを用いて給紙トレイ15が装着状態にあるか否かを検出するのに替えて、例えば、本体筐体11における、装着状態にある給紙トレイ15と対向する位置に設けられ、給紙トレイ15内のシートPの有無に応じた信号を制御装置51に出力するセンサを用いて、給紙トレイ15内のシートPの有無を検出してもよい。
【0030】
温度センサ47は、加熱ローラ41の外周温度に応じた信号を制御装置51に出力する。これにより、制御装置51は、加熱ローラ41の外周温度を、定着部19の検出温度として取得することが可能となる。
【0031】
ゼロクロス検出回路57及び切替素子59は、制御装置51が定着部19の温度を制御する際に使用される。その詳細については、後述する。
【0032】
以下では、特に定着部19の温度制御を行うために必要な電気的構成について
図3を用いて説明する。
【0033】
ゼロクロス検出回路57は、交流電源である電源61から印加される駆動電圧のゼロクロスタイミングを検出して、その検出信号を制御装置51に出力する。ゼロクロスタイミングは、駆動電圧波形において電圧が0(零)になるポイントである。このゼロクロスタイミングにおいて電流値も0になる。切替素子59は、電源61とヒータ49との間に設けられ、制御装置51による制御の下で、電源61とヒータ49とを導通させる状態であるオン状態と、電源61とヒータ49とを導通させない状態であるオフ状態とを切り替える。
【0034】
そして、制御装置51は、ゼロクロス検出回路57の検出信号に基づいた位相制御及び波数制御を切替素子59で行うことによって、ヒータ49の通電制御を行う。その際、制御装置51は、温度センサ47によって取得された定着部19の検出温度と目標温度との温度差と、メモリ55に記憶された温度テーブルと用いて上記オン状態とオフ状態とを切り替える。
【0035】
より具体的には、温度テーブルは、交流電源の波形の連続する複数の半波を制御周期として、異なる温度毎に、制御周期において切替素子59をオン状態にする期間を示す情報であるオン情報を対応させたテーブルである。そして、制御装置51は、温度テーブルを参照して、温度センサ47によって取得された定着部19の検出温度に対応するオン情報を設定し、設定したオン情報で示される期間、切替素子59がオン状態となるように、切替素子59を制御する。これにより、定着部19の温度制御が行われる。尚、温度テーブルの詳細について後述する。
【0036】
また、本実施形態では定着部19の温度制御として、半波単位でオン又はオフに制御する波数制御と、半波内の任意の位相角でオン又はオフに制御する位相制御(又は逆位相制御)を組み合わせた制御を行う。例えば、波数制御では半波が始まるゼロクロスタイミングによって切替素子59がオン状態となってから、半波が終わるゼロクロスタイミングまで切替素子59のオン状態が継続するように、切替素子59を制御する。尚、位相制御及び波数制御については、公知技術であるので、その詳細な説明は省略する。また、以下の説明では、ヒータ49の通電比率をデューティ(Duty)比と表記する。
【0037】
[温度テーブル]
次に、
図4を用いてメモリ55に記憶されている温度テーブルを示す。
図4は定着部19の温度制御に用いる温度テーブルの一例を示す。
図4に示すように交流電源の波形の連続する複数の半波を制御周期として、異なる温度毎に、制御周期において切替素子59をオン状態にする期間を示す情報(以下、オン情報という)を対応させたテーブルである。尚、温度は特に目標温度に対する差分の温度を対応させており、特に
図4では目標温度に対して下回っている温度の差分(℃)を『目標温度からの差分』として対応付けている。例えば、『目標温度からの差分』が1.0であれば目標温度から1℃低い温度であることを示す。また、“オン情報”は、
図4に示す温度テーブルの内、特に『Total』、『波数』、『波数パターン』、『位相』、『半波中の位相Duty比』の各情報が相当する。
【0038】
また、“オン情報”に含まれる各情報について説明する。
『波数パターン』・・・制御周期を構成する複数の半波のうち切替素子59が第1期間オン状態とされる一又は複数の半波(波数制御の為の半波)を示す情報であり、本発明の“第1情報”に相当する。例えば[100]は半波単位でオン、オフ、オフの順に制御された3つの半波からなる波形パターンを示す。
『波数』・・・制御周期に対する、『波数パターン』で示される各半波における第1期間の合計の割合である第1割合を示す情報であり、本発明の“第2情報”に相当する。
『半波中の位相Duty比』・・・制御周期を構成する複数の半波のうち『波数パターン』で示される半波以外の一又は複数の半波(位相制御の為の半波)それぞれにおいて、切替素子59がオン状態とされる第2期間であって、第1期間よりも短い第2期間を示す情報であり、本発明の“第3情報”に相当する。
『位相』・・・制御周期に対する、『半波中の位相Duty比』で示される各半波における第2期間の合計の割合である第2割合を示す情報であり、本発明の“第4情報”に相当する。
『Total』・・・上記『波数』の第1割合と『位相』の第2割合を合計した値である。
【0039】
ここで、
図5は温度テーブルに含まれるオン情報で制御する場合に、ヒータ49に供給される電流の波形パターンの一例を示した図である。
図5に示す例では特に『Total』43%、『波数』33%、『波数パターン』[100]、『位相』10%、『半波中の位相Duty比』15%のオン情報で制御する場合の電流の波形パターンを示す。なお、『波数パターン』は、本実施形態においては例えば『波数』33%のときに[100]に設定されているが、[010]や[001]のように、オンする半波とオフする半波の順番は適宜変えてもよい。
【0040】
図5に示すようにオン情報に基づいて制御された場合の電流の波形パターンは、波数制御の為の半波と位相制御の為の半波が組み合わされた波形パターンとなる。波数制御の為の半波は半波単位でオン又はオフされる半波であり、特にオン状態とされる期間が上述した第1期間となる。一方、位相制御の為の半波は半波内の任意の位相角でオンに制御される半波であり、特にオン状態とされる期間が上述した第2期間となる。尚、本実施形態では半波内の任意の位相角でオンに制御する位相制御を用いているが、半波内の任意の位相角でオフに制御する逆位相制御を用いても良い。
【0041】
また、
図5に示す温度テーブルは一例であり、『波数』の第1割合と『位相』の第2割合の各数値は適宜変更可能であるが、第2割合の最大値は10%以下とするのが望ましい。更に、交流電源の半周期に対する第1期間の割合については90%以上とするのが望ましい。
【0042】
また、
図4に示すように温度テーブルは、『波数』で示される第1割合が同値で『位相』で示される第2割合が互いに異なるオン情報をまとめてグループ単位で区分する。例えば、
図4に示す例ではグループ1〜10の10のグループに区分されるが、グループ数は適宜変更可能である。以下の説明では、『波数』で示される第1割合が小さい順にグループ1、グループ2、・・・・(以下略)と称する。
【0043】
[定着部の温度制御処理]
続いて、前記構成を有するプリンタ10の制御装置51が実行する定着部19の温度制御処理について
図6に基づき説明する。
図6は本実施形態に係る定着部19の温度制御処理プログラムのフローチャートである。ここで、温度制御処理プログラムは、プリンタ10の印刷動作が開始された後に実行され、定着部19の目標温度との温度差と温度テーブル(
図4)とに基づいて、ヒータ49の通電状態を最適なパターンに順次切り替えることによって、定着部19を目標温度へと到達させるとともに、到達後は目標温度に対して一定に保つ為のプログラムである。尚、以下の
図6にフローチャートで示されるプログラムは、プリンタ10が備えているメモリ55に記憶されており、制御装置51により実行される。
【0044】
先ず、ステップ(以下、Sと略記する)1において、制御装置51は、温度テーブル(
図4)に規定されるオン情報の内、特にパターンAのオン情報を設定する。尚、パターンAのオン情報は、各グループ内で最も『位相』の第2割合が高いオン情報である。
【0045】
尚、印刷動作の開始直後はできる限り早く定着部19の温度を目標温度まで到達させる為に、『Total』の割合が高いオン情報を優先的に設定するのが望ましい。例えば、最初は最も『Total』の割合が高いグループ1のパターンAのオン情報を設定し、温度センサ47により検出した定着部19の温度が上昇するのに従って、段階的に『Total』の割合がより低いパターンAのオン情報へと切り替える。尚、目標温度との差分が−33℃以下となった時点で、
図4の温度テーブルの差分温度と対応させて設定するオン情報を選択するのが望ましい。例えば、差分温度が−24℃となった場合には、グループ4のパターンAのオン情報を設定し、その後に差分温度が−20.5℃となった場合には、グループ5のパターンAのオン情報を設定する。
【0046】
続いて、S2において制御装置51は、温度センサ47により検出した定着部19の温度に基づいて、定着部19の温度が目標温度に到達し、且つ温度リップルが規定値以下(温度変化がある程度落ち着いた)となった否か判定する。
【0047】
そして、定着部19の温度が目標温度に到達し、且つ温度リップルが規定値以下となったと判定された場合(S2:YES)には、S3へと移行する。それに対して、定着部19の温度が目標温度に到達していない、或いは到達していたとしても温度リップルが規定値以下でないと判定された場合(S2:YES)には、S1へと戻る。
【0048】
S3において制御装置51は、温度テーブル(
図4)に規定されるオン情報の内、パターンAのオン情報を継続して設定する。尚、前記S3で継続設定されるパターンAのオン情報は、直近に実施された前記S1、或いはS8、S13、S16で最終的に設定されたオン情報となる。
【0049】
次に、S4において制御装置51は、温度センサ47により検出した定着部19の温度が上昇したか否かを判定する。
【0050】
そして、定着部19の温度が上昇したと判定された場合(S4:YES)には、S5へと移行する。それに対して、定着部19の温度が下降したと判定された場合(S4:NO)には、S15へと移行する。
【0051】
S5において制御装置51は、現在設定されているオン情報が属する同グループにおいて位相がより小さいパターンBのオン情報へと切り替える。尚、位相が現在のオン情報よりも1段階のみ小さいパターンBのオン情報へと切り替えても良いし、現在の温度差分に対応するパターンBのオン情報(即ち位相が現在のオン情報よりも2段階以上小さいオン情報)へと切り替えても良い。
【0052】
次に、S6において制御装置51は、温度センサ47により検出した定着部19の温度が上昇したか否かを判定する。
【0053】
そして、定着部19の温度が上昇したと判定された場合(S6:YES)には、S7へと移行する。それに対して、定着部19の温度が下降したと判定された場合(S6:NO)には、S12へと移行する。
【0054】
S7において制御装置51は、現在設定されているパターンBのオン情報が、該オン情報が属するグループ内で最小の位相(第2割合が最も小さい)であるか否かを判定する。
【0055】
そして、現在設定されているパターンBのオン情報が、該オン情報が属するグループ内で最小の位相であると判定された場合(S7:YES)には、S8へと移行する。それに対して、現在設定されているパターンBのオン情報が、該オン情報が属するグループ内で最小の位相ではないと判定された場合(S7:NO)には、S9へと移行する。
【0056】
S8において制御装置51は、現在設定されているオン情報が属するグループよりも波数が一段階小さいグループのパターンAのオン情報へと切り替える。例えば、
図4に示すグループ6のパターンAのオン情報が設定されていた場合には、グループ7のパターンAのオン情報へと切り替える。その後、S10へと移行する。
【0057】
一方、S9において制御装置51は、現在設定されているオン情報が属する同グループにおいて位相がより小さいパターンBのオン情報へと切り替える。尚、位相が現在のオン情報よりも1段階のみ小さいパターンBのオン情報へと切り替えても良いし、現在の温度差分に対応するパターンBのオン情報(即ち位相が現在のオン情報よりも2段階以上小さいオン情報)へと切り替えても良い。
【0058】
その後、S10において制御装置51は、定着部19の温度制御を継続するか否か、即ち印刷動作を継続するか否かを判定する。
【0059】
そして、定着部19の温度制御を継続すると判定された場合(S10:YES)、即ち印刷動作を継続すると判定された場合には、S11へと移行する。それに対して、定着部19の温度制御を継続しないと判定された場合(S10:NO)、即ち印刷動作を終了すると判定された場合には、当該温度制御処理プログラムを終了する。
【0060】
続いて、S11において制御装置51は、現在設定されているオン情報がパターンAのオン情報であるか否かを判定する。
【0061】
そして、現在設定されているオン情報がパターンAのオン情報であると判定された場合(S11:YES)には、S4へと移行する。それに対して、現在設定されているオン情報がパターンBのオン情報であると判定された場合(S11:NO)には、S6へと移行する。
【0062】
一方、S12において制御装置51は、現在設定されているパターンBのオン情報が、該オン情報が属するグループ内で最大の位相(第2割合が最も大きい)であるか否かを判定する。
【0063】
そして、現在設定されているパターンBのオン情報が、該オン情報が属するグループ内で最大の位相であると判定された場合(S12:YES)には、S13へと移行する。それに対して、現在設定されているパターンBのオン情報が、該オン情報が属するグループ内で最大の位相でもないと判定された場合(S12:NO)には、S14へと移行する。
【0064】
S13において制御装置51は、現在設定されているオン情報が属する同グループにおいて位相が最も大きいパターンAのオン情報へと切り替える。その後、S10へと移行する。
【0065】
一方、S14において制御装置51は、現在設定されているオン情報が属する同グループにおいて位相がより大きいパターンBのオン情報へと切り替える。尚、位相が現在のオン情報よりも1段階のみ大きいパターンBのオン情報へと切り替えても良いし、現在の温度差分に対応するパターンBのオン情報(即ち位相が現在のオン情報よりも2段階以上大きいオン情報)へと切り替えても良い。その後、S10へと移行する。
【0066】
また、S15において制御装置51は、定着部19の温度が、現在設定されているオン情報が属するグループよりも波数が一段階大きいグループのパターンAのオン情報に対応する温度まで下がったか否か判定する。例えば、
図4に示すグループ6のパターンAのオン情報が設定されていた場合には、グループ5のパターンAのオン情報に対応する温度である目標温度−20.5℃まで下がったか否か判定される。
【0067】
そして、定着部19の温度が、現在設定されているオン情報が属するグループよりも波数が一段階大きいグループのパターンAのオン情報に対応する温度まで下がったと判定された場合(S15:YES)には、S16へと移行する。それに対して、定着部19の温度が、現在設定されているオン情報が属するグループよりも波数が一段階大きいグループのパターンAのオン情報に対応する温度まで下がっていないと判定された場合(S15:NO)には、S17へと移行する。
【0068】
S16において制御装置51は、現在設定されているオン情報が属するグループよりも波数が一段階大きいグループのパターンAのオン情報へと切り替える。例えば、
図4に示すグループ6のパターンAのオン情報が設定されていた場合には、グループ5のパターンAのオン情報へと切り替える。その後、S10へと移行する。
【0069】
その後、S17において制御装置51は、定着部19の温度が、現在設定されているオン情報が属するグループよりも波数が一段階大きいグループのパターンAのオン情報に対応する温度まで下がりきる前に、安定してしまったか否か判定する。例えば、
図4に示すグループ6のパターンAのオン情報が設定されていた場合には、グループ5のパターンAのオン情報に対応する温度である目標温度−20.5℃よりも高い目標温度−18℃〜−19℃前後で安定する(それよりも下がらない)状況となった場合が該当する。
【0070】
そして、定着部19の温度が、現在設定されているオン情報が属するグループよりも波数が一段階大きいグループのパターンAのオン情報に対応する温度まで下がる前に安定したと判定された場合(S17:YES)には、S18へと移行する。それに対して、定着部19の温度が安定していないと判定された場合(S17:NO)には、S3へと移行する。
【0071】
S18において制御装置51は、現在設定されているオン情報が属するグループよりも波数が一段階大きいグループの内、安定した検出温度に対応するパターンBのオン情報へと切り替える。例えば、
図4に示すグループ6のパターンAのオン情報が設定されていた場合であって、定着部19の目標温度−19℃まで下がった後に安定した場合には、グループ5のパターンBのオン情報の内、目標温度−19℃に対応するオン情報へと切り替える。その後、S10へと移行する。
【0072】
以上説明したS1〜S18の各処理を実行した場合のオン情報の切り換え態様について、以下に2つの具体例を挙げて説明する。
例えば、
図7に示す第1の例では、最初にグループ7のパターンAのオン情報が設定されていた場合において、検出温度が下がる。このような場合には、グループ6のパターンAのオン情報に対応する温度(目標温度−17℃)まで下がるのを待って、グループ6のパターンAのオン情報へと切り替える。従って、オン情報の切換えを行う場合において位相が変化しない(切り替え前も後も10%である)のでフリッカを抑制できる。
また、グループ6のパターンAのオン情報が設定された後において、検出温度が上がった場合には、同じグループ6に属するオン情報の内、より位相の小さいパターンBのオン情報へと切り替える。従って、オン情報の切換えを行う場合において波数は変化せず、且つ位相も大きく変化しない(1段階下げても1%のみしか変化しない)のでフリッカを抑制でき、温度リップルも低減可能となる。
その後、検出温度が上昇するにつれて段階的に位相の小さいオン情報へと切り替え、最終的に温度が安定した場合には、安定した温度に対応するオン制御が設定されることとなる。尚、本実施形態のような波数制御と位相制御を組み合わせた制御では、急峻な電流も流れないので、高調波も抑えることが可能となる。
【0073】
一方、
図8に示す第2の例では、最初にグループ7のパターンAのオン情報が設定されていた場合において、検出温度が上がる。このような場合には、同じグループ7のより位相の小さいパターンBのオン情報へと段階的に切り替える。従って、オン情報の切換えを行う場合において波数は変化せず、且つ位相も大きく変化しない(1段階下げても1%のみしか変化しない)のでフリッカを抑制でき、温度リップルも低減可能となる。
その後、グループ7において最も位相の小さいパターンBのオン情報が設定された後において検出温度が更に上がった場合には、グループ8のパターンAのオン情報へと切り替える。
その後、最終的に温度が安定した場合には、安定した温度に対応するオン制御が設定されることとなる。尚、本実施形態のような波数制御と位相制御を組み合わせた制御では、急峻な電流も流れないので、高調波も抑えることが可能となる。
【0074】
ちなみに、本実施形態において、プリンタ10は、「画像形成装置」の一例である。
【0075】
[実施例の効果]
上記した実施形態によれば、以下の効果を奏する。
【0076】
制御装置51は、いずれかのグループに含まれるオン情報の内、第2割合が最大値となるパターンAのオン情報を設定しているときに、検出温度が下降した場合には、現在よりも波数が1段階大きいグループに含まれるオン情報のうち第2割合が最大値となるパターンAのオン情報に対応する温度に到達するまでは現在のオン情報を維持して設定し、対応する温度に到達した後に当該オン情報へと切り替えて設定する。それによって、設定するオフ情報の切り換えによって位相が大きく変化することを防止し、温度リップルやフリッカを抑制可能となる。
【0077】
制御装置51は、いずれかのグループに含まれるオン情報の内、第2割合が最大値となるパターンAのオン情報を設定しているときに、検出温度が下降した場合であって、検出温度が現在よりも波数が1段階大きいグループに含まれるオン情報のうち第2割合が最大値となるパターンAのオン情報に対応する温度に到達する前に安定した場合には、安定した検出温度に対応するオン制御へと切り替えて設定する。それによって、検出温度が下降中に安定した場合であっても、安定した温度に応じたオフ情報へ切り換えることが可能となる。
【0078】
制御装置51は、いずれかのグループに含まれるオン情報の内、第2割合が最大値となるパターンAのオン情報を設定しているときに、検出温度が上昇した場合には、同グループに含まれるオン情報の内、第2割合が最大値より小さい値となるオン情報へと切り替えて設定する。また、その後更に検出温度が上昇した場合には、第2割合が段階的に小さいオン情報へと切り替えて設定する。それによって、設定するオフ情報の切り換えによって位相や波数が大きく変化することを防止し、温度リップルやフリッカを抑制可能となる。
【0079】
制御装置51は、いずれかのグループに含まれるオン情報の内、第2割合が最小値となるオン情報を設定しているときに、検出温度が上昇した場合には、現在よりも波数が1段階小さいグループに含まれるオン情報のうち第2割合が最大値となるパターンAのオン情報へと切り替えて設定する。それによって、設定するオフ情報の切り換えによって位相や波数が大きく変化することを防止し、温度リップルやフリッカを抑制可能となる。
【0080】
制御装置51は、いずれかのグループに含まれるオン情報の内、第2割合が最大値より小さい第3値となるパターンBのオン情報を設定しているときに、検出温度が下降した場合には、同グループに含まれるオン情報の内、第2割合が第3値より大きい第4値となるオン情報へと切り替えて設定する。それによって、設定するオフ情報の切り換えによって位相や波数が大きく変化することを防止し、温度リップルやフリッカを抑制可能となる。
【0081】
制御装置51は、検知温度が目標温度に到達するまで或いは温度リップルが閾値以下となるまでの間において、各グループ内で第2割合が最大値となるパターンAのオン情報のみを設定する。それによって、目標温度への到達を迅速に行うことが可能となる。
【0082】
また、温度テーブルでは、第2割合の最大値を10%以下とし、交流電源の半周期に対する第1期間の割合を90%以上とするので、位相が大きく変化することが無いのでフリッカを抑制できる。また、急峻な電流が流れることなく高調波を抑えることが可能となる。
【0083】
[変更例]
尚、本発明は上記実施形態に限定されるものでなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、本実施形態では波数制御と位相制御を組み合わせる場合に、
図9に示すように波数制御のオフ状態の半波に対して、半波内の任意の位相角でオンに制御する位相制御を組み合わせているが以下のような制御も可能である。
(変形例1)波数制御のオフ状態の半波に対して、半波内の任意の位相角でオフに制御する逆位相制御を組み合わせるパターン。
(変形例2)波数制御の代わりに半波内の任意の位相角でオンに制御する位相制御を入れ、更にオフ状態の半波に対して、半波内の任意の位相角でオンに制御する位相制御を組み合わせるパターン。
(変形例3)波数制御の代わりに半波内の任意の位相角でオンに制御する位相制御を入れ、更にオフ状態の半波に対して、半波内の任意の位相角でオフに制御する逆位相制御を組み合わせるパターン。
(変形例4)波数制御の代わりに半波内の任意の位相角でオフに制御する逆位相制御を入れ、更にオフ状態の半波に対して、半波内の任意の位相角でオンに制御する位相制御を組み合わせるパターン。
(変形例5)波数制御の代わりに半波内の任意の位相角でオフに制御する逆位相制御を入れ、更にオフ状態の半波に対して、半波内の任意の位相角でオフに制御する逆位相制御を組み合わせるパターン。
【0084】
また、本実施形態では、
図4に示す温度テーブルを用いているが、温度テーブルに含めるオフ情報の数やグループの数は適宜変更可能である。