特許第6922654号(P6922654)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6922654
(24)【登録日】2021年8月2日
(45)【発行日】2021年8月18日
(54)【発明の名称】車両用グリルシャッタ装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 11/04 20060101AFI20210805BHJP
【FI】
   B60K11/04 J
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-208643(P2017-208643)
(22)【出願日】2017年10月27日
(65)【公開番号】特開2019-81403(P2019-81403A)
(43)【公開日】2019年5月30日
【審査請求日】2019年12月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】特許業務法人 共立
(72)【発明者】
【氏名】近藤 武司
【審査官】 中川 隆司
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2013/0012115(US,A1)
【文献】 特開2013−220783(JP,A)
【文献】 特表2016−511193(JP,A)
【文献】 特開2014−024474(JP,A)
【文献】 特開2013−199178(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0247779(US,A1)
【文献】 特開2014−206267(JP,A)
【文献】 特開2012−035829(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体前部に湾曲した状態で配置され、前後方向に貫通する開口部が設けられたグリルと、
前記開口部を開閉させるフィンが車幅方向に並んで複数設けられ、各前記フィンが前記グリルの湾曲形状に合わせて湾曲して形成されたシャッタと、
前記開口部が前記フィンにより開閉されるように前記シャッタを駆動する駆動源と、
を備える車両用グリルシャッタ装置であって、
前記フィンはそれぞれ、
前記開口部の対応部位の形状に合致する形状に形成された本体板部と、
前記本体板部に固定され、前記開口部の対応部位の車幅方向の両端部間を直線状に繋ぐ方向に延び、前記グリルに対して前記駆動源の駆動によって回転できるように支持された支持軸と、
を有し、
前記シャッタは、互いに車幅方向に隣接する2つの前記フィンの前記支持軸同士を連結する自在継手を有し、
前記自在継手は、前記フィンとは別体で設けられている、車両用グリルシャッタ装置。
【請求項2】
前記支持軸は、軸本体部と、前記軸本体部に対して軸方向一端側に設けられた円柱状の第一連結部と、前記軸本体部に対して軸方向他端側に設けられた円柱状の第二連結部と、を有し、
前記自在継手は、前記自在継手に対する車幅方向一方側の前記フィンの前記第一連結部が係合する円柱状の第一支持孔と、前記自在継手に対する車幅方向他方側の前記フィンの前記第二連結部が係合する円柱状の第二支持孔と、を有し、
前記第一支持孔の軸線方向の延びる方向と前記第二支持孔の軸線方向の延びる方向とは、互いに90°異なる、請求項1に記載された車両用グリルシャッタ装置。
【請求項3】
前記シャッタは、3個以上の前記フィンが前記自在継手を介して車幅方向に直列に連結されて構成されている、請求項1又は2に記載された車両用グリルシャッタ装置。
【請求項4】
前記駆動源の出力軸は、前記シャッタの車幅方向の何れか一方の端部に配置された前記フィンの前記支持軸に接続されている、請求項1乃至3の何れか一項に記載された車両用グリルシャッタ装置。
【請求項5】
車幅方向に複数並んだ前記フィンと前記自在継手とは、二色成形されている、請求項1乃至4の何れか一項に記載された車両用グリルシャッタ装置。
【請求項6】
前記シャッタは、複数の前記フィンが車幅方向に並んだフィン列が上下方向に複数列並んで構成されている、請求項1乃至5の何れか一項に記載された車両用グリルシャッタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用グリルシャッタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車体前部に設けられる車両用グリルシャッタ装置が知られている(例えば、特許文献1)。車両用グリルシャッタ装置は、グリルと、シャッタと、駆動源と、を備えている。グリルは、車体前部に配置されており、前後方向に貫通する開口部を有している。開口部は、車幅方向に水平に延在しており、車両前方から見て長方形状に形成されている。シャッタは、開口部の対応部位を開閉させる複数のフィンを有している。複数のフィンは、上下方向に並んで配置されている。駆動源は、一つ設けられており、グリルの開口部が開閉されるようにすべてのフィンを閉鎖状態と開放状態との間で切り替えるシャッタ駆動を行う。
【0003】
シャッタの各フィンはそれぞれ、本体板部と、支持軸と、を有している。本体板部は、グリルの形状に合致する形状に形成されている。支持軸は、車幅方向に延びており、本体板部に固定されている。支持軸は、駆動源の駆動によって回転できるようにグリルに対して支持されている。上記特許文献1記載の車両用グリルシャッタ装置において、開口部内のすべてのフィンは、互いに平行に並んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2016−501762号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、車体前部は車幅方向において前方に凸状に湾曲しているので、グリルも車幅方向において前方に凸状に湾曲して、開口部の開口面が車幅方向中央において前方に向けて凸となる曲面をなす。この場合において、開口部の閉鎖状態での意匠性を確保するためには、フィンの本体板部を、開口部の開口面に合わせて曲面をなすように形成することが好ましい。
【0006】
しかし、フィンの本体板部が曲面をなすように形成されると共にフィンの支持軸が車幅方向に直線状に延びている構造では、フィンが支持軸を中心にして回動して開口部が開放されたときに、フィンの本体板部の曲面が上方に凸状に湾曲するため、その本体板部の曲面形状が車両前方から開口部を通じて見え易くなる。この傾向は、特に、フィン一枚当たりの車幅方向長さが長いほど顕著である。開口部の開放状態でフィンの本体板部の曲面形状が開口部を通じて見え易いと、意匠上、見栄えが良くない。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、グリルの湾曲形状に合わせて湾曲したフィンの、グリル開口部の開放状態での見栄えを向上させた車両用グリルシャッタ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、車体前部に湾曲した状態で配置され、前後方向に貫通する開口部が設けられたグリルと、前記開口部を開閉させるフィンが車幅方向に並んで複数設けられ、各前記フィンが前記グリルの湾曲形状に合わせて湾曲して形成されたシャッタと、前記開口部が前記フィンにより開閉されるように前記シャッタを駆動する駆動源と、を備える車両用グリルシャッタ装置であって、前記フィンはそれぞれ、前記開口部の対応部位の形状に合致する形状に形成された本体板部と、前記本体板部に固定され、前記開口部の対応部位の車幅方向の両端部間を直線状に繋ぐ方向に延び、前記グリルに対して前記駆動源の駆動によって回転できるように支持された支持軸と、を有し、互いに車幅方向に隣接する2つの前記フィンの前記支持軸同士は、自在継手を介して連結されている、車両用グリルシャッタ装置である。
【0009】
この構成によれば、互いに車幅方向に隣接する2つのフィンの支持軸同士が自在継手を介して連結されているので、一方の支持軸の軸回りの回転を他方の支持軸に伝達することができる。また、自在継手を介して互いに連結した2つの支持軸の相対的な角度を変更することができる。かかる構成においては、各フィンそれぞれの回動による開口部の開閉を、フィンの支持軸をグリルに対してほとんど位置移動(或いは角度ズレ)させることなくその支持軸を回動中心にして行うことができる。この場合、シャッタのフィンが自在継手を用いた多関節構造となるので、各フィンがグリルの湾曲形状に合わせて湾曲していても、グリル開口部が開放されたときに、各フィンを支持軸の背面側に隠れるように位置させることができる。従って、グリルの湾曲形状に合わせて湾曲するフィンの、グリル開口部が開放されたときの見栄えを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る車両用グリルシャッタ装置が搭載される車体前部の斜視図である。
図2】本実施形態の車両用グリルシャッタ装置の車両後方から見たときの要部の斜視図である。
図3】本実施形態の車両用グリルシャッタ装置の車両前方から見たときの正面図である。
図4】本実施形態の車両用グリルシャッタ装置の図3に示す直線IV−IVで切断した際の断面図である。
図5】本実施形態の車両用グリルシャッタ装置の図3に示す直線V−Vで切断した際の断面図である。
図6】本実施形態の車両用グリルシャッタ装置の図3に示す直線VI−VIで切断した際の断面図である。
図7】本実施形態の車両用グリルシャッタ装置の図3に示す直線VII−VIIで切断した際の断面図である。
図8】本実施形態の車両用グリルシャッタ装置の図3に示す直線VIII−VIIIで切断した際の断面図である。
図9】本発明の第1変形形態に係る車両用グリルシャッタ装置の車両前方から見たときのグリル開口部閉時における斜視図である。
図10】第1変形形態に係る車両用グリルシャッタ装置の車両前方から見たときのグリル開口部開時における斜視図である。
図11】第1変形形態の車両用グリルシャッタ装置の車両前方から見たときの正面図である。
図12】第1変形形態の車両用グリルシャッタ装置の図11に示す直線XII−XIIで切断した際の断面図である。
図13】第1変形形態の車両用グリルシャッタ装置の図11に示す直線XIII−XIIIで切断した際の断面図である。
図14】本発明の第2変形形態に係る車両用グリルシャッタ装置の車両前方から見たときのグリル開口部閉時における斜視図である。
図15】第2変形形態に係る車両用グリルシャッタ装置の車両前方から見たときのグリル開口部開時における斜視図である。
図16】第2変形形態の車両用グリルシャッタ装置の車両前方から見たときの正面図である。
図17】第2変形形態の車両用グリルシャッタ装置の図16に示す直線XVII−XVIIで切断した際の断面図である。
図18】第2変形形態の車両用グリルシャッタ装置の図16に示す直線XVIII−XVIIIで切断した際の断面図である。
図19】第2変形形態の車両用グリルシャッタ装置の図16に示す直線XIX−XIXで切断した際の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図1図19を用いて、本発明に係る車両用グリルシャッタ装置の具体的な実施形態について説明する。なお、以下の各実施形態では、説明する時に使われる「前」、「後」、「上」、「下」の方向は、乗員が車両の前方に向いて座る時に、乗員の「前」、「後」、「上」、「下」の方向と一致しているものとする。
【0012】
(1.車両用グリルシャッタ装置の構成)
本実施形態の車両用グリルシャッタ装置1は、車両に搭載される装置である。車両の車体前部のエンジンルームには、エンジン冷却のためのラジエータが配置されている。ラジエータは、車体ボディに固定されている。車両用グリルシャッタ装置1は、図1に示す如く、ラジエータに対する車両前方の車体前部2に配置されている。車両用グリルシャッタ装置1は、ラジエータに車両前方から空気を導いてエンジン冷却水を冷却する機能を有している。尚、車両用グリルシャッタ装置1は、車両の空力特性を改善する機能を有することとしてもよい。
【0013】
車両用グリルシャッタ装置1は、図2に示す如く、グリル10と、シャッタ20と、駆動源30と、を備えている。車両用グリルシャッタ装置1は、駆動源30の駆動によってシャッタ20を駆動させることによりグリル10に設けられた後述の開口部を開閉して、ラジエータに導く空気量の調整を行い或いは空力特性の調整を行うことが可能である。
【0014】
グリル10は、車幅方向に延在して帯状に設けられた部材である。グリル10は、ラジエータに対する車両前方側の車体最前部に配置されている。グリル10は、上下方向から見た場合に車幅方向中央部が車両前側へ膨らんで車幅方向両端部が車両後方に位置するように湾曲した円弧形状に形成されている。尚、グリル10は、上部の前後位置と下部の前後位置とが互いに異なるように前後方向に傾斜していてもよい。また、グリル10は、車体前部に設けられたグリル領域のうちの全部であってもよいが、図1に示す如く一部であってもよい。
【0015】
グリル10には、前後方向に貫通する開口部11が設けられている。開口部11は、略車幅方向に延在しており、図3に示す如く、略長方形状に形成されている。尚、開口部11は、後に詳述するシャッタ20により開閉可能となるように長方形状の角部がカットされたものであってよい。開口部11は、枠部材12により複数の開口孔13に区分けされている。
【0016】
枠部材12は、直線状に延びる板状の部材である。枠部材12は、グリル10の開口部11を形成するための基枠14に固定されている。尚、枠部材12は、グリル10に一体成形されていてもよい。枠部材12は、車幅方向両端のうちの一端が上方に位置しかつ他端が下方に位置するように、すなわち、車幅方向両端間で上下方向に所定角度で傾斜するように配置されている。尚、図3において、枠部材12は、左上側から右下側にかけて傾斜している。枠部材12は、互いに平行に並ぶように複数設けられている。
【0017】
開口部11の各開口孔13は、前後方向に貫通している。開口孔13は、基枠14と枠部材12とで囲まれつつ帯状に形成された孔である。開口孔13は、車幅方向両端間で上下方向に所定角度で傾斜している。複数の開口孔13は、枠部材12を介して互いに平行に並んでいる。尚、図3においては、互いに平行に並んだ開口孔13が7つ設けられたものを示しており、最上方の開口孔13から最下方の開口孔13にかけて順に、開口孔13−1,13−2,13−3,13−4,13−5,13−6,13−7と称す。また、各開口孔13が帯状に延びる方向を孔長手方向と、複数の開口孔13が並んだ方向を孔隣接方向と、それぞれ称す。孔長手方向は、車幅方向及び上下方向の双方を含む。また、孔隣接方向も、車幅方向及び上下方向の双方を含むが、車両前方から見た場合に孔長手方向とは左右対称となる方向である。
【0018】
シャッタ20は、駆動により開口孔13ひいては開口部11を開閉させることが可能な開閉装置である。シャッタ20は、翼形状のフィン21を有している。フィン21は、開口部11全域を閉鎖可能に構成されている。フィン21は、複数設けられている。フィン21は、開口孔13ごとにその孔長手方向に並ぶように配置されている。フィン21は、グリル10の湾曲形状に合わせて前後方向に湾曲した円弧形状に形成されている。フィン21は、樹脂により成形されている。各フィン21は、車両前方から見て菱形状になるように形成されている。各フィン21は、開口部11を閉鎖させる位置(閉鎖位置)と、開口部11を開放させる位置(開放位置)と、の間で回動されることが可能である。
【0019】
各フィン21は、本体板部22と、支持軸23と、を有している。本体板部22は、菱形状に形成されている。本体板部22の菱形状は、グリル10の開口部11の開口孔13の対応部位の形状に合致する曲面をなしている。同一の開口孔13には、複数のフィン21がその開口孔13の孔長手方向に並ぶように配置されている。フィン21の本体板部22は、同一の開口孔13において孔長手方向に隣接して並ぶフィン21の本体板部22に対して、菱形状の一辺同士を隣接させた状態で斜に配置されている。各フィン21の本体板部22は、同一の開口孔13において、車両前方から見て、斜め上方に配置されたフィン21の本体板部22に対して菱形状の左斜め上方の辺22a側で隣接すると共に、斜め下方に配置されたフィン21の本体板部22に対して菱形状の右斜め下方の辺22b側で隣接する。同一の開口孔13において孔長手方向に互いに隣接して並ぶフィン21の間には、僅かな隙間が形成されている。
【0020】
支持軸23は、フィン21の回動中心となる断面円形状の軸である。支持軸23は、本体板部22に固定されている。支持軸23は、辺22bに沿うように配置されており、辺22bの車幅方向両端間を直線状に繋ぐ方向に延びている。支持軸23は、車両前方から見て、自フィン21が配置された開口孔13を左斜め上方領域と右斜め下方領域とに二分するように傾斜している。支持軸23は、グリル10の枠部材12が傾斜する角度に対して左右対称となる角度で傾斜するように配置されている。
【0021】
支持軸23は、所定の軸方向長さを有している。この所定の軸方向長さは、フィン21が配置された開口孔13を形成するための、孔隣接方向に互いに隣接する2つの枠部材12が、その支持軸23の延びる傾斜方向において離間する離間距離程度に設定されている。支持軸23の両端は、図4に示す如くグリル10に設けられた軸受15に回転可能に支持されている。軸受15は、枠部材12の背面側すなわち後面側に取り付けられている。フィン21は、軸受15に支持された支持軸23を回動中心にして回動することで開口孔13を開閉することが可能である。フィン21による開口孔13の開放状態は、フィン21の本体板部22が支持軸23を回動中心にして後方に倒れるように回動することで実現される。
【0022】
フィン21は、自フィン21が配置された開口孔13に対して孔隣接方向に隣接する開口孔13に配置されたフィン21に対して、支持軸23同士が連結するように構成されている。シャッタ20は、フィン21の支持軸23同士を連結する自在継手24を有している。自在継手24は、互いに連結した2つの支持軸23の相対的な角度を変更可能としつつ、一方の支持軸23の軸回りの回転を他方の支持軸23に伝達することが可能な継手である。
【0023】
支持軸23の端部は、支持軸23の軸回りの回転を自在継手24の回転に変換できかつ自在継手24(具体的には、その第1軸A1又は第2軸A2)に対する支持軸23の回動を許容する形状に形成されている。支持軸23は、図8に示す如く、軸中心の軸本体部23aと、軸方向両端の一対の連結部23bと、からなる。軸本体部23aは、支持軸23の軸本体をなす断面円形状の部位である。連結部23bは、例えば、軸本体部23aに一体的に連結する円柱状の部位である。連結部23bは、軸本体部23aの軸方向に対して直交する方向に軸が延びる円柱体である。支持軸23は、軸方向両端それぞれの連結部23bの円柱軸の延びる方向が互いに90°異なるように形成されている。
【0024】
自在継手24は、枠部材12の背面側に取り付けられた軸受15により回転可能に支持されている。尚、自在継手24は、軸受15に対して揺動可能であってもよい。自在継手24は、例えば略球状に形成された球体である。自在継手24は、第1支持孔24aと、第2支持孔24bと、を有している。第1支持孔24aは、軸の延びる方向が第1軸A1の延びる方向に一致する円柱状の孔である。第2支持孔24bは、軸の延びる方向が第2軸A2の延びる方向に一致する円柱状の孔である。自在継手24は、第1支持孔24a及び第2支持孔24bそれぞれの軸の延びる方向が互いに90°異なるように形成されている。第1支持孔24aには、支持軸23の一端側の連結部23bが係合されている。また、第2支持孔24bには、支持軸23の他端側の連結部23bが係合されている。
【0025】
2つのフィン21の支持軸23同士が自在継手24を介して連結する方向には、更に別のフィン21の支持軸23が直列に自在継手24を介して連結することが可能である。以下、複数のフィン21が自在継手24を介して直列に連結する一群のフィン21を纏めてフィン列25と称す。フィン列25は、車幅方向に隣接する2つのフィン21の支持軸23同士がグリル10の湾曲形状に合わせて自在継手24を介して屈曲しながら全体として車幅方向に延びている。フィン列25は、開口孔13の孔長手方向に複数列並ぶように配置されている。また、開口孔13の孔長手方向に並んだ複数のフィン列25はそれぞれ、構成するフィン21の数が異なるものであってもよい。
【0026】
尚、図3においては、フィン列25が5列あるものを示しており、最上方のフィン列25から最下方のフィン列25にかけて順に、フィン列25−1,25−2,25−3,25−4,25−5と称す。また、図3においては、各フィン列25−1,25−2,25−3,25−4,25−5を構成するフィン21の数が、”3“,”5“,”7“,”5“,”3“であるものを示している。
【0027】
フィン列25を構成する複数のフィン21それぞれの支持軸23が延びる方向は、すべてが一致するものではなく、車両前方から見れば一直線であっても、車両上方から見ればグリル10の湾曲形状に合わせて自在継手24ごとに自在継手24を起点として僅かにずれた角度をなしている。尚、このずれ角度は、自在継手24ごとに異なっていてよい。また、このずれ角度は開口部11の閉時と開時とで異なることが許容されている。
【0028】
フィン列25を構成する孔隣接方向に複数並んだフィン21と自在継手24とは、二色成形されている。具体的には、まず、フィン列25を模した孔が空いた金型にフィン列25を成形するための樹脂を流し込んで、フィン列25を構成するすべてのフィン21を成形する。その後、自在継手24を模した孔が空いた金型に2つのフィン21間の自在継手24を成形するための樹脂を流し込んで、フィン21の支持軸23の両端に形成された連結部23bが支持孔24a,24bに係合された自在継手24を成形する。このフィン21と自在継手24との二色成形は、フィン列25ごとに行われる。フィン21及び自在継手24は、フィン列25ごとに一体化された状態でシャッタ20としてグリル10に対して組み付けられる。
【0029】
駆動源30は、シャッタ20を駆動するアクチュエータであって、例えば電気モータである。駆動源30は、車両用グリルシャッタ装置1に一つ設けられている。例えば、駆動源30は、グリル10の開口部11の車幅方向一方側に取り付けられている。駆動源30の出力軸は、図5及び図6に示す如く、リンク機構40を介してシャッタ20のすべてのフィン21に連結されている。駆動源30は、すべてのフィン21を閉鎖位置と開放位置との間で回動させることが可能である。
【0030】
リンク機構40は、フィン列25ごとに対応したアーム41を有している。アーム41は、駆動源30の出力軸を、そのフィン列25を構成する一つのフィン21(例えば、車幅方向一端側のフィン21)の支持軸23に連結させる。フィン列25の各フィン21は、リンク機構40のアーム41を介して伝達された駆動源30の回転により支持軸23を回動中心にして、図7に示す如く閉鎖位置と開放位置との間で回動する。
【0031】
(2.車両用グリルシャッタ装置の動作)
本実施形態の車両用グリルシャッタ装置1において、グリル10の開口部11に対する閉要求がなされると、駆動源30が開口部11を閉鎖する方向に回転する。駆動源30が閉方向に回転(以下、閉方向と称す。)すると、リンク機構40が各フィン列25の最も車幅方向一端側のフィン21の支持軸23にその駆動源30の閉回転を伝達する。各フィン列25の最も車幅方向一端側のフィン21の支持軸23に駆動源30の閉回転が伝達されると、その閉回転がそのフィン21から自在継手24を介して車幅方向他端側に隣接するフィン21の支持軸23に伝達され、その伝達が最も車幅方向他端側のフィン21に達するまで行われる。この伝達は、3個以上のフィン21が自在継手24を介して車幅方向に直列に連結されている構造でもその3個以上のフィン21で直ちに行われる。
【0032】
各フィン列25のすべてのフィン21は、車幅方向(具体的には、孔隣接方向)に隣接するフィン21に対して自在継手24を介して連結されているので、駆動源30の閉回転は、車幅方向一端側のフィン21から車幅方向他端側のフィン21まで略同時に伝達される。駆動源30の閉回転がフィン列25のフィン21に伝達されると、各フィン21の本体板部22が支持軸23を回動中心にして起立して開口部11を塞ぐように回動する。この回動は、すべてのフィン列25において略同時に行われる。これにより、グリル10の開口部11が閉鎖される。
【0033】
また、グリル10の開口部11に対する開要求がなされると、駆動源30が開口部11を開放する方向(以下、開方向と称す。)に回転する。駆動源30が開方向に回転すると、リンク機構40が各フィン列25の最も車幅方向一端側のフィン21の支持軸23にその駆動源30の開回転を伝達する。各フィン列25の最も車幅方向一端側のフィン21の支持軸23に駆動源30の開回転が伝達されると、閉回転のときと同様に、その開回転がそのフィン21から自在継手24を介して車幅方向他端側に隣接するフィン21の支持軸23に伝達され、その伝達が最も車幅方向他端側のフィン21に達するまで行われる。この伝達は、3個以上のフィン21が自在継手24を介して車幅方向に直列に連結されている構造でもその3個以上のフィン21で直ちに行われる。
【0034】
駆動源30の開回転は、車幅方向一端側のフィン21から車幅方向他端側のフィン21まで略同時に伝達される。駆動源30の開回転がフィン列25のフィン21に伝達されると、各フィン21の本体板部22が支持軸23を回動中心にして後方に倒れて開口部11を開放するように回動する。この回動は、すべてのフィン列25において略同時に行われる。これにより、グリル10の開口部11が開放される。
【0035】
(3.車両用グリルシャッタ装置の効果)
このように、車両用グリルシャッタ装置1によれば、シャッタ20のフィン21が車幅方向(具体的には、孔隣接方向)にグリル10の湾曲形状に合わせて複数並べられ、車幅方向に隣接する2つのフィン21の支持軸23同士が自在継手24を介して屈曲しながらフィン列25の全体が車幅方向に延びていると共に、各フィン21が閉鎖位置でグリル10の湾曲形状に合わせて前後に湾曲するように円弧形状に形成されている。また、駆動源30の出力軸は、リンク機構40を介して各フィン21に連結されている。かかる構造によれば、単一の駆動源30の駆動によりリンク機構40及び自在継手24を用いてシャッタ20のすべてのフィン21を同時に開閉駆動させることができる。
【0036】
また、上記の構造によれば、フィン21の支持軸23同士を連結する各自在継手24がそれぞれ、グリル10の枠部材12の背面側に取り付けられた軸受15により回転可能に支持されている。各フィン21それぞれの支持軸23の両端の連結部23bは共に、自在継手24に係合しているので、各フィン21はそれぞれ、自在継手24に係合した支持軸23を回動中心にして回動して開口孔13を開閉させる。この場合、各フィン21それぞれの回動による開口孔13の開閉は、支持軸23をグリル10に対してほとんど位置移動させることなくかつ角度ずれさせることなくその支持軸23を回動中心にして行われる。
【0037】
このため、シャッタ20の動作によりグリル10の開口部11が開放されたときは、車両前方から見て、フィン21の本体板部22の曲面が上方に凸状に湾曲したものとなるが、シャッタ20のフィン21が自在継手24を用いた多関節構造となることで、各フィン21の本体板部22それぞれが支持軸23の背面側に隠れるように位置することとなるので、本体板部22の曲面形状が開口部11を通じて見え難くなる。従って、グリル10の湾曲形状に合わせて湾曲したフィン21の、グリル10の開口部11が開放されたときの見栄えを向上させることができ、これにより、デザイン性の優れたグリル表現を実現することができる。
【0038】
すなわち、本実施形態の車両用グリルシャッタ装置1は、車体前部2に湾曲した状態で配置され、前後方向に貫通する開口部11が設けられたグリル10と、開口部11を開閉させるフィン21が車幅方向に並んで複数設けられ、各フィン21がグリル10の湾曲形状に合わせて湾曲して形成されたシャッタ20と、開口部11がフィン21により開閉されるようにシャッタ20を駆動する駆動源30と、を備える。フィン21はそれぞれ、開口部11の対応部位の形状に合致する形状に形成された本体板部22と、本体板部22に固定され、開口部11の対応部位の車幅方向の両端部間を直線状に繋ぐ方向に延び、グリル10に対して駆動源30の駆動によって回転できるように支持された支持軸23と、を有する。そして、互いに車幅方向に隣接する2つのフィン21の支持軸23同士は、自在継手24を介して連結されている。
【0039】
この構成によれば、各フィン21それぞれの回動による開口部11の開閉を、フィン21の支持軸23をグリル10に対してほとんど位置移動(或いは角度ズレ)させることなくそれぞれの支持軸23を回動中心にして行うことができる。この場合、シャッタ20のフィン21が自在継手24を用いた多関節構造となるので、各フィン21がグリル10の湾曲形状に合わせて湾曲していても、グリル10の開口部11が開放されたときに、各フィン21を支持軸23の背面側に隠れるように位置させることができる。従って、グリル10の湾曲形状に合わせて湾曲するフィン21の、グリル10の開口部11が開放されたときの見栄えを向上させることができる。
【0040】
また、車両用グリルシャッタ装置1において、シャッタ20は、3個以上のフィン21が自在継手24を介して車幅方向に直列に連結されて構成されている。この構成によれば、3個以上のフィン21が自在継手24を介して車幅方向に直列に連結されたシャッタ20でも、駆動源による回転が3個以上のフィン21に直ちに伝達されるので、3個以上のフィン21それぞれの回動による開口部11の開閉を、各フィン21の支持軸23をグリル10に対して位置移動させることなく行うことができる。このため、3個以上のフィン21がそれぞれグリル10の湾曲形状に合わせて湾曲していても、フィン21の、グリル10の開口部11が開放されたときの見栄えを向上させることができる。
【0041】
また、車両用グリルシャッタ装置1において、駆動源30の出力軸は、シャッタ20の車幅方向の何れか一方の端部に配置されたフィン21の支持軸23に接続されている。この構成によれば、駆動源30による回転をシャッタ20の車幅方向一端部のフィン21に伝達した後、その回転を車幅方向他端側に隣接するフィン21に伝達することができるので、各フィン21それぞれの回動による開口部11の開閉を単一の駆動源30を用いて実現することができる。
【0042】
また、車両用グリルシャッタ装置1において、自在継手24は、グリル10に固定された軸受15によりグリル10に対して回転可能である。この構成によれば、各フィン21の支持軸23をその支持軸23の端部を自在継手24で支持しながらその自在継手24と一緒に回動させることができるので、各フィン21それぞれの回動による開口部11の開閉を、それぞれの支持軸23をグリル10に対して位置移動させることなく行うことができる。
【0043】
また、車両用グリルシャッタ装置1において、車幅方向に複数並んだフィン21と自在継手24とは、二色成形されている。この構成によれば、シャッタ20としてのフィン21及び自在継手24を容易に製造することができ、シャッタ20のグリル10への組み付けを簡易かつ低廉で実現することができる。
【0044】
更に、車両用グリルシャッタ装置1において、シャッタ20は、複数のフィン21が車幅方向に並んだフィン列25が上下方向に複数列並んで構成されている。この構成によれば、シャッタ20として、複数のフィン21が車幅方向に並んだフィン列25が上下方向に複数列並んでいるので、各フィン列25のフィン21の上下寸法を小さく抑えることができる。このため、フィン21の回動による開口部の開時に、フィン21が前後方向に占める幅や領域を小さく抑えることができるので、フィン21の開閉に必要なデッドスペースが過剰に広くなるのを回避することができる。
【0045】
(4.変形形態)
[第1変形形態]
上記した実施形態の車両用グリルシャッタ装置1において、グリル10の開口部11は、車幅方向両端間で上下に傾斜する枠部材12により複数の開口孔13に区分けされ、各開口孔13は、車幅方向両端間で上下に傾斜して延びている。そして、車幅方向に複数のフィン21が連結するフィン列25は、枠部材12に交差してその枠部材12と左右対称となるように延びている。これに対して、本発明の第1変形形態の車両用グリルシャッタ装置1においては、図9図10、及び図11に示す如く、グリル10の開口部11が、上下方向に延びる枠部材12により複数の開口孔13に区分けされ、各開口孔13が、上下方向に延びている。そして、そして、車幅方向に複数のフィン21が連結するフィン列25が、枠部材12に直交して左右方向(車幅方向)に延びている。
【0046】
シャッタ20のフィン21は、開口部11全域を閉鎖可能に構成されている。フィン21は、複数設けられている。フィン21は、開口孔13ごとに上下方向に並ぶように配置されている。フィン21は、グリル10の湾曲形状に合わせて前後方向に湾曲した円弧形状に形成されている。フィン21は、樹脂により成形されている。各フィン21は、車両前方から見て長方形状になるように形成されている。各フィン21は、開口部11を閉鎖させる閉鎖位置と、開口部11を開放させる開放位置と、の間で回動されることが可能である。
【0047】
各フィン21は、本体板部22と、支持軸23と、を有している。本体板部22は、グリル10の開口部11の開口孔13の対応部位の形状に合致する曲面をなした状態で長方形状に形成されている。フィン21の本体板部22は、同一の開口孔13において上下方向に隣接して並ぶフィン21の本体板部22に対して、長方形状の上辺と下辺とを隣接させた状態で僅かな隙間を空けつつ配置されている。
【0048】
支持軸23は、フィン21の回動中心となる断面円形状の軸である。支持軸23は、本体板部22に固定されている。支持軸23は、本体板部22の枠外の車幅方向両側それぞれに突出するように設けられ、車幅方向に延びる下辺に沿った仮想の軸線に沿うように配置されており、その下辺の車幅方向両端間を直線状に繋ぐ方向に延びている。フィン21による開口孔13の開放状態は、図13に示す如く、本体板部22が支持軸23を回動中心にして後方に倒れるように回動することで実現される。
【0049】
フィン21は、自フィン21が配置された開口孔13に対して左右方向に隣接する開口孔13に配置されたフィン21に対して、図12に示す如く、自在継手24を介して支持軸23同士が連結するように構成されている。複数(図9図11においては6個)のフィン21が自在継手24を介して直列に連結するフィン列25は、開口孔13の孔長手方向すなわち上下方向に複数列(図9図11においては4列)並ぶように配置されている。
【0050】
フィン列25を構成する複数のフィン21それぞれの支持軸23が延びる方向は、すべてが一致するものではなく、車両前方から見れば一直線であっても、車両上方から見ればグリル10の湾曲形状に合わせて自在継手24ごとに自在継手24を起点として僅かにずれた角度をなしている。尚、このずれ角度は、自在継手24ごとに異なっていてよい。また、このずれ角度は開口部11の閉時と開時とで異なることが許容されている。
【0051】
この第1変形形態の車両用グリルシャッタ装置1の構造においても、上記した実施形態の車両用グリルシャッタ装置1と同様の効果を得ることが可能である。
【0052】
[第2変形形態]
また、本発明の第2変形形態の車両用グリルシャッタ装置1においては、図14図15、及び図16に示す如く、グリル10の開口部11が、枠部材12により、それぞれ六角形状に形成された複数の開口孔13に区分けされ、開口孔13が、上下方向に複数個(図14図16においては4個)並んでいると共に、車幅方向に複数個(図14図16においては9個)並んでいる。各開口孔13はそれぞれ、車幅方向に隣接する開口孔13に対して斜に配置されており、車幅方向に並んだ複数の開口孔13の全体は、車幅方向に三角波状に並んでいる。尚、図16において、車幅方向に並んだ複数の開口孔13を右から順に開口孔13−1,13−2,13−3,13−4,13−5,13−6,13−7,13−8,13−9とする。
【0053】
シャッタ20のフィン21は、開口部11全域を閉鎖可能に構成されている。フィン21は、開口孔13ごとに設けられている。フィン21は、グリル10の湾曲形状に合わせて前後方向に湾曲した円弧形状に形成されている。フィン21は、樹脂により成形されている。各フィン21は、車両前方から見て六角形状になるように形成されている。各フィン21は、開口部11を閉鎖させる閉鎖位置と、開口部11を開放させる開放位置と、の間で回動されることが可能である。
【0054】
各フィン21は、本体板部22と、支持軸23と、を有している。本体板部22は、グリル10の開口部11の開口孔13の対応部位の形状に合致する曲面をなした状態で六角形状に形成されている。フィン21の本体板部22は、他のフィン21の本体板部22に対して枠部材12を介して隣接するように配置されている。
【0055】
支持軸23は、フィン21の回動中心となる断面円形状の軸である。支持軸23は、本体板部22に固定されている。開口孔13−1,13−3,13−5,13−7,13−9を開閉させるフィン21の支持軸23は、本体板部22の上下中央部において枠外の車幅方向両側それぞれに突出するように設けられ、車幅方向に沿った仮想の軸線に沿うように配置されており、その車幅方向両端間を直線状に繋ぐ方向に延びている。また、開口孔13−2,13−4,13−6,13−8を開閉させるフィン21の支持軸23は、そのフィン21の車幅方向に延びる下辺に沿うように配置されており、その下辺の車幅方向両端間を直線状に繋ぐ方向に延びている。フィン21による開口孔13の開放状態は、図18及び図19に示す如く、本体板部22が支持軸23を回動中心にして後方に倒れるように回動することで実現される。
【0056】
フィン21は、自フィン21が配置された開口孔13に対して左右方向に斜に配置された何れか一方の開口孔13に配置されたフィン21に対して、図17に示す如く、自在継手24を介して支持軸23同士が連結するように構成されている。複数(図14図16においては9個)のフィン21が自在継手24を介して直列に連結するフィン列25は、車幅方向に隣接する2つのフィン21同士が斜に配置された状態でも、支持軸23同士が車両前方から見て直線的に連結されたものとなる。フィン列25は、開口孔13の孔長手方向すなわち上下方向に複数列(図14図16においては4列)並ぶように配置されている。
【0057】
フィン列25を構成する複数のフィン21それぞれの支持軸23が延びる方向は、すべてが一致するものではなく、車両前方から見れば一直線であっても、車両上方から見ればグリル10の湾曲形状に合わせて自在継手24ごとに自在継手24を起点として僅かにずれた角度をなしている。尚、このずれ角度は、自在継手24ごとに異なっていてよい。また、このずれ角度は開口部11の閉時と開時とで異なることが許容されている。
【0058】
この第2変形形態の車両用グリルシャッタ装置1の構造においても、上記した実施形態や第1変形形態の車両用グリルシャッタ装置1と同様の効果を得ることが可能である。
【0059】
また、上記の実施形態においては、自在継手24として、それぞれフィン21の支持軸23の端部が係合される円柱状の第1支持孔24a及び第2支持孔24bを有する球体などとした。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、自在継手24として、互いに連結した2つの支持軸23の相対的な角度を変更可能としつつ、一方の支持軸23の軸回りの回転を他方の支持軸23に伝達することが可能な継手であれば、構造は如何なるものであってもよい。
【0060】
尚、本発明は、上述した実施形態や変形形態,適用例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0061】
1:車両用グリルシャッタ装置、2:車体前部、10:グリル、11:開口部、12:枠部材、13:開口孔、14:基枠、15:軸受、20:シャッタ、21:フィン、22:本体板部、23:支持軸、23a:軸本体部、23b:連結部、24:自在継手、24a,24b:支持孔、25:フィン列、30:駆動源、40:リンク機構。
図1
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