特許第6922903号(P6922903)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本精機株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6922903-ヘッドアップディスプレイ装置 図000002
  • 特許6922903-ヘッドアップディスプレイ装置 図000003
  • 特許6922903-ヘッドアップディスプレイ装置 図000004
  • 特許6922903-ヘッドアップディスプレイ装置 図000005
  • 特許6922903-ヘッドアップディスプレイ装置 図000006
  • 特許6922903-ヘッドアップディスプレイ装置 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6922903
(24)【登録日】2021年8月2日
(45)【発行日】2021年8月18日
(54)【発明の名称】ヘッドアップディスプレイ装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/01 20060101AFI20210805BHJP
   B60K 35/00 20060101ALI20210805BHJP
【FI】
   G02B27/01
   B60K35/00 A
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-520855(P2018-520855)
(86)(22)【出願日】2017年5月25日
(86)【国際出願番号】JP2017019521
(87)【国際公開番号】WO2017208961
(87)【国際公開日】20171207
【審査請求日】2020年3月13日
(31)【優先権主張番号】特願2016-107836(P2016-107836)
(32)【優先日】2016年5月30日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】村澤 透
(72)【発明者】
【氏名】広川 拓郎
【審査官】 廣崎 拓登
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−270416(JP,A)
【文献】 特開2011−150099(JP,A)
【文献】 特開2007−163654(JP,A)
【文献】 特開平11−128041(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/01
B60K 35/00
G02B 5/10
G09G 3/20
H04N 5/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体に投射器及び凹面鏡が収納され、前記投射器から投射された光を前記凹面鏡によって反射させ、反射された光が前記筐体の外部に配置された表示部に画像として表示されるヘッドアップディスプレイ装置において、
前記凹面鏡は、基体と、この基体の表面に形成され光を反射する反射膜と、からなり、
前記基体の左右の端部は、回転軸を介して前記筐体に回転可能に支持され、
前記基体は、前記凹面鏡の下縁に沿って延びる下縁部と、この下縁部の両端から上方に延びると共に前記回転軸が設けられた左縁部、右縁部と、からなる縁部を有し、
この縁部は、前記反射膜の端部から傾斜し、前記左縁部と、前記右縁部との幅は、それぞれ、前記下縁部の幅よりも広いことを特徴とするヘッドアップディスプレイ装置。
【請求項2】
筐体に投射器及び凹面鏡が収納され、前記投射器から投射された光を前記凹面鏡によって反射させ、反射された光が前記筐体の外部に配置された表示部に画像として表示されるヘッドアップディスプレイ装置において、
前記凹面鏡は、基体と、この基体の表面に形成され光を反射する反射膜と、からなり、
前記基体は、前記光が入射する方向から見て、前記反射膜の下方、左側方又は右側方の少なくともいずれかに縁部を有し、
この縁部は、前記反射膜の端部から傾斜し、前記縁部の表面は、粗面によって構成されていることを特徴とするヘッドアップディスプレイ装置。
【請求項3】
筐体に投射器及び凹面鏡が収納され、前記投射器から投射された光を前記凹面鏡によって反射させ、反射された光が前記筐体の外部に配置された表示部に画像として表示されるヘッドアップディスプレイ装置において、
前記凹面鏡は、基体と、この基体の表面に形成され光を反射する反射膜と、からなり、
前記基体は、前記光が入射する方向から見て、前記反射膜の下方、左側方又は右側方の少なくともいずれかに縁部を有し、
この縁部は、前記反射膜の端部から傾斜し、前記縁部の表面には、吸光材料が設けられていることを特徴とするヘッドアップディスプレイ装置。
【請求項4】
前記縁部の傾斜角度は、前記縁部に投射された光を前記筐体の内部に反射させるような角度に設定されていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項記載のヘッドアップディスプレイ装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改良されたヘッドアップディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のフロントガラス等に各種情報を表示し、表示された情報を周囲の背景と共に視認可能とするいわゆるヘッドアップディスプレイ装置がある。例えば、ヘッドアップディスプレイ装置に関する従来技術として特許文献1に開示される技術がある。
【0003】
特許文献1に開示されたヘッドアップディスプレイ装置は、筐体に投射器及び凹面鏡が収納されており、投射器から投射された光が凹面鏡によって反射し、反射された光がフロントガラスに画像として表示される。
【0004】
この凹面鏡は、矩形状の基体と、この基体の表面に形成され光を反射する反射膜と、からなる。基体は、一般的に、射出成形等により形成された樹脂成形品やガラスが採用される。樹脂成形品の一般的な課題として、金型のキャビティ内に充填した樹脂が固化するときに、表面の一部が凹む現象であるヒケが知られている。凹面鏡の場合、基体の外周の縁にヒケが発生することがある。
【0005】
基体の縁にヒケが発生すると、基体の縁付近に形成される反射膜が歪む。基体の素材には、ガラスが採用されることもあるが、基体がガラスであってもガラスの外周の縁が僅かに歪むこともある。そのため、反射膜の端部付近に入射する光の反射角は、設計上の反射角からずれるおそれがある。フロントガラスに向かう光の角度がずれるため、フロントガラスに表示される画像の外形が歪む。
【0006】
表示画像を大きくするために凹面鏡を大型化すると、この傾向がより顕著となるため対策が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011−150099号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、歪むおそれのある画像の外形を表示する光を表示部に表示させにくくするヘッドアップディスプレイ装置の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本実施形態の第一の態様によれば、筐体に投射器及び凹面鏡が収納され、前記投射器から投射された光を前記凹面鏡によって反射させ、反射された光が前記筐体の外部に配置された表示部に画像として表示されるヘッドアップディスプレイ装置において、
前記凹面鏡は、基体と、この基体の表面に形成され光を反射する反射膜と、からなり、
前記基体の左右の端部は、回転軸を介して前記筐体に回転可能に支持され、
前記基体は、前記凹面鏡の下縁に沿って延びる下縁部と、この下縁部の両端から上方に延びると共に前記回転軸が設けられた左縁部、右縁部と、からなる縁部を有し、
この縁部は、前記反射膜の端部から傾斜し、前記左縁部と、前記右縁部との幅は、それぞれ、前記下縁部の幅よりも広いことを特徴とするヘッドアップディスプレイ装置が提供される。
【0010】
本実施形態の第二の態様によれば、筐体に投射器及び凹面鏡が収納され、前記投射器から投射された光を前記凹面鏡によって反射させ、反射された光が前記筐体の外部に配置された表示部に画像として表示されるヘッドアップディスプレイ装置において、
前記凹面鏡は、基体と、この基体の表面に形成され光を反射する反射膜と、からなり、
前記基体は、前記光が入射する方向から見て、前記反射膜の下方、左側方又は右側方の少なくともいずれかに縁部を有し、
この縁部は、前記反射膜の端部から傾斜し、前記縁部の表面は、粗面によって構成されていることを特徴とするヘッドアップディスプレイ装置が提供される。
【0011】
本実施形態の第三の態様によれば、筐体に投射器及び凹面鏡が収納され、前記投射器から投射された光を前記凹面鏡によって反射させ、反射された光が前記筐体の外部に配置された表示部に画像として表示されるヘッドアップディスプレイ装置において、
前記凹面鏡は、基体と、この基体の表面に形成され光を反射する反射膜と、からなり、
前記基体は、前記光が入射する方向から見て、前記反射膜の下方、左側方又は右側方の少なくともいずれかに縁部を有し、
この縁部は、前記反射膜の端部から傾斜し、前記縁部の表面には、吸光材料が設けられていることを特徴とするヘッドアップディスプレイ装置が提供される。
【0012】
本実施形態の第一の態様ないし第三の態様のいずれかに従属する第四の態様によれば、前記縁部の傾斜角度は、前記縁部に投射された光を前記筐体の内部に反射させるような角度に設定されていることを特徴とするヘッドアップディスプレイ装置が提供される。

【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る発明では、凹面鏡を構成する基体は、光が入射する方向から見て、反射膜の下方、左側方又は右側方の少なくともいずれかに縁部を有し、この縁部は、反射膜の端部から傾斜している。投射器から投射された光が凹面鏡に入射すると、反射膜は、筐体の外部に配置された表示部に向けて光を反射させる。一方、縁部は、反射膜の端部から傾斜しているため、縁部に入射した光は、表示部に向かいにくくなる。即ち、歪む虞のある画像の外形を表示する光は、表示部に入射しにくくなる。そのため、外形の歪みが抑えられた画像が表示される。
【0015】
請求項2に係る発明では、縁部の傾斜角度は、縁部に投射された光を筐体の内部に反射させるような角度に設定されている。即ち、縁部に反射した光は、筐体の外部に配置された表示部に向かわない。歪む虞のある画像の外形は、表示部に表示されないため、歪みのない画像が表示される。
【0016】
請求項3に係る発明では、基体の左右の端部は、回転軸を介して筐体に回転可能に支持され、縁部は、凹面鏡の下縁に沿って延びる下縁部と、この下縁部の両端から上方に延びると共に回転軸が設けられた左縁部、右縁部と、からなる。さらに、縁部と、右縁部との幅は、それぞれ、下縁部の幅よりも広い。左縁部及び右縁部は、それぞれ、回転軸を有するため、下縁部と比較すると、ヒケが発生する領域が大きくなる虞がある。ただし、左縁部と、右縁部との幅は、それぞれ、下縁部の幅よりも広い。そのため、左縁部、右縁部にヒケが発生した場合であっても、投射された光を表示部からずらして反射させるための部位は確保されやすくなる。
【0017】
請求項4に係る発明では、縁部の表面は、粗面によって構成されている。そのため、縁部に投射された光は拡散され、表示部に向かいにくくなり、画像の外形が表示部に表示されることを抑制できる。
【0018】
請求項5に係る発明では、縁部の表面には、吸光材料が設けられている。そのため、縁部に投射された光は反射しにくくなる。表示部に向かう光が弱くなり、画像の外形が表示部に表示されることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施例によるヘッドアップディスプレイ装置が搭載された車両を説明する図である。
図2図1に示されたヘッドアップディスプレイ装置の内部の構造を説明する図である。
図3図2に示されたヘッドアップディスプレイ装置を構成する凹面鏡の三面図である。
図4図3に示された凹面鏡の作用図である。
図5】本発明の実施例2によるヘッドアップディスプレイ装置を構成する凹面鏡の三面図である。
図6図5の6−6線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、説明中、左右とは車両の乗員を基準として左右、前後とは車両の進行方向を基準として前後を指す。また、図中Frは前、Rrは後、Lは乗員から見て左、Rは乗員から見て右、Upは上、Dnは下を示している。
<実施例1>
【0021】
図1を参照する。図1には、本発明によるヘッドアップディスプレイ装置10が搭載された車両11が示されている。車両11の車室12には、運転者の前方に車幅方向に延びるインストルメントパネル14が設けられている。インストルメントパネル14の上部には、ヘッドアップディスプレイ装置10が内蔵されている。ヘッドアップディスプレイ装置10から投射された表示光Lは、フロントガラス15(表示部15)に画像として表示され、運転者は、車両11の前方の背景と共に、画像(虚像V)を視認できる。なお、フロントガラス15とは別に表示光Lのみ受光するパネルを準備してもよい。
【0022】
図2を参照する。ヘッドアップディスプレイ装置10は、筐体16の内部に、表示光Lを投射する液晶表示器20(投射器20)と、投射された表示光Lを反射させる第1反射器30,第2反射器40とが収納されて構成されている。
【0023】
筐体16は、主要部が遮光性を有する合成樹脂により形成され、箱状を呈する。筐体16は、下部筐体16aに上部筐体16bが被せられて構成されている。上部筐体16bの一部は、表示光Lが透過可能な透過部17で構成されている。
【0024】
液晶表示器20は、配線基板21に実装された発光ダイオードからなる光源22と、この光源22からの照明光が透過して表示光Lを形成する液晶表示素子23と、からなる。液晶表示素子23は、TFT型の液晶パネルが採用される。表示光Lは、例えば、車両11の速度やエンジン回転数を表示する。液晶表示素子23は、周知の技術が採用される。詳細な説明は省略する。
【0025】
第1反射器30は、液晶表示器20から投射された表示光Lを第2反射器40に向けて反射させる反射部31と、この反射部31を筐体上部16の側面に固定する固定部材32と、からなる。
【0026】
反射部31は、主に可視光を反射させ赤外線を透過させるいわゆるコールドミラーである。この反射部31は、ガラス基板33と、このガラス基板33に対して表示光Lが投射される面に形成された反射層34と、からなる。反射層34は、膜厚が異なる多層の干渉膜からなる。
【0027】
図2図3を参照する。第2反射器40は、第1反射器30から入射した表示光Lを拡大してフロントガラス15(図1参照)に向けて反射させる凹面鏡41と、この凹面鏡41の傾斜角度を調節するモータ42と、からなる。凹面鏡41は、左右の回転軸44,45を介して、上部筐体16bの側部に回転可能に支持されている。以下、凹面鏡41の詳細について説明する。
【0028】
凹面鏡41は、ポリカーボネート等の樹脂を原料として射出成形により成形される基体50と、この基体50に対して表示光Lが入射する入射面51にアルミニウムが蒸着されて表示光Lを反射する反射膜52と、からなる。入射面51は、所定の曲率による凹状を呈している。なお、基体50の素材には、ガラスを採用してもよい。
【0029】
基体50は、表示光Lが入射する方向から見て略矩形状を呈し(図3参照)、反射膜52の下方、左側方及び右側方を囲む縁部54を有する。なお、基体50は、表示光Lが入射する方向から見て多角形の形状でもよく、さらには、基体の外形を構成する部位は、直線に限らず、曲線であっても良い。
【0030】
縁部54は、反射膜52の下縁に沿って延びる下縁部55と、この下縁部55の両端から上方に延びる左縁部56、右縁部57と、からなる。なお、縁部54にも反射膜52を形成してもよい。
【0031】
左縁部56には、左回転軸44が一体的に形成されている。右縁部57には、右回転軸45がギヤ46と共に、一体的に形成されている。ギヤ46は、モータ42を駆動源として回転し、凹面鏡41の角度は調節される。
【0032】
下縁部55は、反射膜52の下端52aから基体50の背面59に向かって傾斜している。同様に、左縁部56は、反射膜52の左端52bから基体50の背面59に向かって傾斜し、右縁部57は、反射膜52の右端52cから基体50の背面59に向かって傾斜している。
【0033】
右縁部57の幅W1は、左縁部56の幅W2よりも広く、かつ、左縁部56の幅W2は、下縁部55の幅W3よりも広い。即ち、各縁部55〜57の幅は、W1>W2>W3の関係にある。
【0034】
加えて、各縁部55〜57の表面は、シボ加工が施されている(粗面によって構成されている)。即ち、各縁部55〜57の表面は凹凸状に形成されている。
【0035】
次に本発明の作用及び効果について説明する。
【0036】
図3図4を参照する。基体50は、表示光Lが入射する方向から見て略矩形状を呈し、反射膜52の下縁に沿って延びる下縁部55と、この下縁部55の両端から上方に延びる左縁部56、右縁部57と、を有する。各縁部55〜57は、それぞれ、反射膜52の端部52a〜52cから基体50の背面59に向かって傾斜している。
【0037】
図4(a)を参照する。液晶表示器20(図2参照)から投射された表示光Lは、凹面鏡41に入射する。詳細には、表示光Lは、反射膜52に入射すると共に各縁部55〜57に入射する。反射膜52に入射した光は、フロントガラス15に向かって反射する。
【0038】
次に、下縁部55に入射する光について、従来技術と比較しながら、説明する。図4(b)を参照する。従来技術では、反射膜152の下縁部155に反射した表示光Lは、フロントガラス15に向かって反射するため、反射膜152の縁が歪んでいた場合、表示される画像の外形も歪む虞があった。
【0039】
図4(c)を参照する。一方、本発明による下縁部55は、反射膜52の下端52aから背面59に向かって傾斜しているため、下縁部55に入射した光は、フロントガラス15に向かいにくくなる。即ち、歪む虞のある画像の外形を表示する光は、フロントガラス15に入射しにくくなる。
【0040】
同様に、右縁部57、左縁部56に入射する表示光Lもフロントガラス15に入射しにくくなる。説明は省略する。結果、外形の歪みが抑えられた画像が視認できる。
【0041】
図2を参照する。下縁部55の傾斜角度θ(図4(c)参照)は、下縁部55に投射された表示光Lを筐体16の内部に反射させるような角度に設定されている。即ち、下縁部55に反射した表示光Lは、フロントガラス15に向かわない。歪む虞のある画像の外形は、フロントガラス15に表示されないため、歪みのない画像が表示される。右縁部57、左縁部56に入射する表示光Lも同様である。説明は省略する。
【0042】
図3に戻る。加えて、左縁部56には、左回転軸44が一体的に形成されている。右縁部57には、右回転軸45がギヤ46と共に、一体的に形成されている。そのため、右縁部57及び左縁部56は、下縁部55と比較すると、ヒケが発生する領域が大きくなる虞がある。ただし、右縁部57の幅W1は、左縁部56の幅W2よりも広く、かつ、左縁部56の幅W2は、下縁部55の幅W3よりも広い。即ち、各縁部55〜57に一体的に形成される部材の大きさに応じて、幅は広く設定されている。そのため、左縁部56、右縁部57にヒケが発生した場合であっても、表示光Lをフロントガラス15からずらすように反射させるための部位は確保されやすくなる。
【0043】
加えて、各縁部55〜57の表面は、シボ加工が施されている。そのため、各縁部55〜57に投射された表示光Lは拡散され、フロントガラス15に向かいにくくなる。
【0044】
<実施例2>
図5図6を参照する。次に、本発明の実施例2について説明する。実施例2では、基体の縁部が異なる。その他の構成については、実施例1のヘッドアップディスプレイ装置と同様であり、符号を流用すると共に説明を省略する。
【0045】
図5を参照する。基体50Aの下縁部55A、左縁部56A、右縁部57Aの表面には、黒のフェルト61(吸光材料61)が張られている。なお、下縁部55A、右縁部57A、左縁部56Aの表面には、例えば、ホットスタンプ印刷により黒色の箔を転写してもよく、さらには、黒色の塗料を塗布してもよい。
【0046】
図6を参照する。凹面鏡41Aの下縁部55Aは、反射膜52の下端52aよりも背面59側に位置している。即ち、反射膜52の下端52aと下縁部55Aとは、段差が形成されている。同様に、左縁部56A、右縁部57Aは、それぞれ、左端52b、右端52cよりも背面59側に位置し、段差が形成されている。
【0047】
凹面鏡41Aにおいても、本発明所定の効果を得ることができる。さらに、凹面鏡41Aによれば、上記の構成により、以下の特有の効果を得ることができる。
【0048】
実施例1と比較すると、下縁部55Aに入射した表示光Lは、下縁部55Aからより離れる方向に反射する。そのため、反射した表示光Lは、さらにフロントガラス15(図1参照)に向かいにくくなる。
【0049】
加えて、下縁部55Aの表面には、黒のフェルト61が張られている。そのため、下縁部55Aに投射された表示光Lは反射しにくくなる。フロントガラス15に向かう表示光Lが弱くなり、画像の外形がフロントガラス15に表示されることを抑制できる。右縁部56A、左縁部57Aも同様である。説明は省略する。
【0050】
尚、本発明によるヘッドアップディスプレイ装置10は、車両11を例に説明したが、その他の乗り物にも適用可能であり、これらの形式のものに限られるものではない。即ち、本発明の作用及び効果を奏する限りにおいて、本発明は、実施例に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明のヘッドアップディスプレイ装置は、乗用車に搭載するのに好適である。
【符号の説明】
【0052】
10…ヘッドアップディスプレイ装置
15…フロントガラス
16…筐体、16a…筐体下部、16b…筐体上部
20…液晶表示器(投射器)
40…第2反射器
41…凹面鏡
43…左回転軸
44…右回転軸
45…ギヤ
50…基体
52…反射膜
54…縁部
55…下縁部
56…左縁部
57…右縁部
61…フェルト(吸光材料)
L…光(表示光)
図1
図2
図3
図4
図5
図6