【実施例】
【0021】
検討 1 DHA及び/又はEPAを含有する油脂の抗酸化処理
表1−1の配合で、「○DHA及び/又はEPAを含有する油脂の抗酸化処理法」に従い、高度不飽和脂肪酸含有油脂の抗酸化処理を行った。
【0022】
表1−1 配合
・カテキンには太陽化学株式会社製「サンフェノン90S」を使用した。
・乳化剤には阪本薬品工業株式会社製ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル「CRS-75」を使用した。
・粉糖には、粉末化したグラニュー糖を使用した
・大豆油には不二製油株式会社製「大豆白絞油」を使用した。
・PUFA油1にはDHAとEPAを合計48.8重量%含有する油脂を用いた。
・試験例1において、水相中の水溶性抗酸化剤量は23.0質量%であった。
・試験例1において、水相中の水溶性固形分量は72質量%であった。
・試験例1において、水相の量は2.39質量%であった。
・以下、試験例1の油脂を「安定化PUFA油1」と称した。
【0023】
○DHA及び/又はEPAを含有する油脂の抗酸化処理法
1.水相に分類されている成分、及び油相に分類されている成分をそれぞれ混合し、溶解した。
2.水相と油相を混合し、略乳化した。
3.2の乳化液を高圧ホモゲナイザー(37Mpa、20パス)にて乳化した。
【0024】
検討2 乳化組成物調製用プレミックスの調製
表2−1の配合に基づき、「○乳化組成物調製用プレミックスの調製法」に従い、乳化組成物調製用プレミックスを調製した。
得られたプレミックスについて、以下に記載の方法により、乳化安定性及び風味を評価した。結果を表2−2に示した。
【0025】
表2−1 乳化組成物調製用プレミックスの配合
・乳化剤1には太陽化学株式会社製のポリグリセリン脂肪酸エステル「サンソフトA−181E」(HLB:13)を使用した。
・乳化剤2には三菱化学フーズ製のショ糖脂肪酸エステル「S−1670」(HLB:16)を使用した。
・乳化剤3には理研ビタミン製蒸留モノグリセライド「リケマールH−100」(HLB:4.3)を使用した。
・乳化剤4には三菱化学フーズ製のショ糖脂肪酸エステル「S-170」(HLB:1以下)を使用した。
・油脂1には不二製油株式会社製「精製パーム核油」(融点27.5℃)(ラウリン系油脂)を使用した
・油脂2には不二製油株式会社製精製硬化パーム核油 融点38℃「ニューメラリン38」(ラウリン系油脂)を使用した。
・油脂3には不二製油株式会社製パーム主体エステル交換油「メラノサンド38」(融点:38℃)(非ラウリン系油脂)を使用した。
・油脂4には不二製油株式会社製パーム、菜種混合硬化油「メラノフレッシュ31」(融点:31℃)(非ラウリン系油脂)を使用した。
・油脂5には不二製油株式会社製スーパーパームオレイン「パームエース10」(融点:10℃)(非ラウリン系油脂)を使用した。
・油脂6には不二製油株式会社製大豆白締油(融点:0℃以下)(非ラウリン系油脂)を使用した。
・表中、「水相/油相」にて、水相の油相に対する重量倍を示した。
・表中、「油脂(A)/(B)」にて、融点が10〜42℃の油脂の、DHAとEPAの合計量に対する重量倍を示した。
【0026】
○乳化組成物調製用プレミックスの調製法1
1.配合に従い、水相及び油相に分類された原材料をそれぞれ混合し、水相及び油相を調製した。
2.攪拌している水相へ油相を投入し、混合した。
3.2の混合物を、高圧ホモゲナイザー(150kg/cm2で均質化した。)
4.殺菌後、5℃に冷却した。
【0027】
○プレミックスの乳化安定性の評価法
1 調製されたプレミックスを、3〜7℃で12時間静置した。
2 静置後、目視により分離状態を確認し、以下の基準で採点した。
採点基準
5点 全く分離が見られないもの。
4点 注視して初めて分離に気づく程度の、極めてわずかに分離が見られるに過ぎないもの。
3点 わずかながら分離が見られるもの。
2点 一見して分離していることが判別できるもの。
1点 ほぼ完全に分離しているもの。
4点以上を合格と判断した。
【0028】
○プレミックスの風味評価法
1 調製されたプレミックスを、3〜7℃で12時間静置した。
2 パネラー3名の合議により、以下の基準で採点した。
採点基準
5点 異風味が全く感じられないもの。
4点 パネラー3名中1名以下が異風味を感じる程度の、ごくわずかな異風味しかないもの。
3点 パネラー3名中2名以上が異風味を感じるが、許容範囲と感じられるもの。
2点 パネラー3名全員が異風味を感じ、かつその異風味が許容範囲を超えるもの。
1点 パネラー3名全員が異風味を感じ、かつその異風味が許容範囲を大きく超えるもの。
3点以上を合格と判断した。
【0029】
○表2−2 乳化安定性及び風味評価結果
【0030】
考察
・実施例8〜10、実施例1の検討より、プレミックスの水相として各種のものが使用できることが明らかとなった。特に、水相として生乳を使用することで、風味はより良好となった。
・実施例19〜22、比較例2の検討より、プレミックスに使用する「融点が10〜42℃の油脂」としては、各種の油脂が使用できることが明らかとなった。しかし、融点が10℃に満たない大豆油を使用した場合には、風味の改善効果が見られなかった(比較例2)。また、比較例5〜7の検討から、油相にDHA,EPA含有油以外の油脂を使用しない場合も、風味の改善効果が見られなかった。
・比較例3の検討より、融点が10〜42℃の油脂が、DHAとEPAの合計量の0.8重量倍以上ない場合は、プレミックスの風味の改善効果が見られなかった。
・実施例23〜29、比較例4の検討より、水相の量が油相に対して0.8重量倍に満たない場合は、プレミックスにおける乳化が不安定になることが明らかとなった。
【0031】
検討3 飲料の調製
検討2で調製したプレミックスを用い飲料(乳飲料)を調製した。
配合は表3−1に示した。調製法は以下の「○飲料の調製法」に従った。
得られた飲料を以下の「○飲料の評価法」に従い評価し、結果を表3−2に記載した。
【0032】
表3−1 飲料の配合
【0033】
○飲料の調製法
「比較例2,3について」
1. 配合に従い、生乳、無脂肪牛乳もしくは水を50〜55℃に昇温し、乳化剤1、脱脂粉乳を溶解した。
2.配合に従い、1へ、プレミックス、安定化PUFA油1、及び加温融解した油脂1を添加した。
3.50〜55℃で15分間、ミキサーで予備乳化した。
4.高圧ホモゲナイザー(150kg/cm2で均質化した。
5.殺菌後、5℃に冷却した。
【0034】
○飲料の評価法
調製後1日冷蔵保管したサンプルをパネラー3名により以下の基準で評価した。採点は合議で行った。
5点 市販の牛乳ないし乳飲料と差が感じられないもの。
4点 わずかながらDHA油の風味が感じられるが、差はほとんどないもの。
3点 DHA油の存在が感じられるが、許容範囲と感じられるもの。
2点 DHA油の存在が違和感として感じられるもの。
1点 強いDHA油の風味が感じられ、不味であるもの。
3点以上を合格とした。
【0035】
表3−2
【0036】
考察
・抗酸化処理された「安定化PUFA油」を使用した場合でも、プレミックスを調製せずに飲料とした場合に、一定の違和感が感じられた。しかし、プレミックスを調製した後に飲料とした場合は、そのような違和感はまったく感じられず、風味良好な飲料を得ることができた。
・実施例58の風味が、特に良好であった。