特許第6922926号(P6922926)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6922926
(24)【登録日】2021年8月2日
(45)【発行日】2021年8月18日
(54)【発明の名称】電子蒸気供給システム
(51)【国際特許分類】
   A61M 15/00 20060101AFI20210805BHJP
   A24F 47/00 20200101ALI20210805BHJP
   A61M 11/04 20060101ALI20210805BHJP
【FI】
   A61M15/00 A
   A24F47/00
   A61M11/04 300Z
【請求項の数】23
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2018-548374(P2018-548374)
(86)(22)【出願日】2017年3月21日
(65)【公表番号】特表2019-515704(P2019-515704A)
(43)【公表日】2019年6月13日
(86)【国際出願番号】GB2017050781
(87)【国際公開番号】WO2017163044
(87)【国際公開日】20170928
【審査請求日】2018年11月13日
【審判番号】不服2020-12431(P2020-12431/J1)
【審判請求日】2020年9月4日
(31)【優先権主張番号】1605106.2
(32)【優先日】2016年3月24日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ネッテンストローム, マシュー
(72)【発明者】
【氏名】マッキーオン, トーマス マイケル
(72)【発明者】
【氏名】シェンナム, スティーブン マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ピアート, ジャスティン バンカー
【合議体】
【審判長】 千壽 哲郎
【審判官】 平瀬 知明
【審判官】 栗山 卓也
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2007/0045288(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0050975(US,A1)
【文献】 中国特許出願公開第104544570(CN,A)
【文献】 特表2010−512876(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 15/00
A61M 11/04
A24F 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者が吸引するための蒸気を蒸気前駆材料から生成する気化器を備える蒸気供給デバイスであって、
当該蒸気供給デバイスが、長さ方向に沿った長さLと、前記長さ方向に直交する厚さ方向に沿った厚さTと、前記長さ方向と前記厚さ方向とに垂直である幅方向に沿った幅Wとを有し、
前記幅W及び前記長さLが共に前記厚さTの少なくとも2倍であり、
前記厚さ方向に垂直な平面における当該蒸気供給デバイスの周辺縁部の最小曲率半径Rが、前記幅Wの少なくとも0.1倍であり、
当該蒸気供給デバイスの外面には、当該蒸気供給デバイスの使用者による把持のための少なくとも一つの凹部が設けられ、前記凹部は、最深部で1mm〜5mmの深さがあり、0.2W〜0.8Wの幅がある、蒸気供給デバイス。
【請求項2】
前記長さLが、前記厚さTよりも少なくとも2倍、少なくとも2.5倍、少なくとも3倍、少なくとも3.5倍、少なくとも4倍、少なくとも4.5倍、又は少なくとも5倍大きい、請求項1に記載の蒸気供給デバイス。
【請求項3】
前記幅Wが、前記厚さTよりも少なくとも2倍、少なくとも2.5倍、少なくとも3倍、少なくとも3.5倍、少なくとも4倍、少なくとも4.5倍、又は少なくとも5倍大きい、請求項1又は2に記載の蒸気供給デバイス。
【請求項4】
前記長さLが、前記幅よりも少なくとも1.25倍、少なくとも1.3倍、少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、少なくとも2.5倍、又は少なくとも3倍大きい、請求項1〜3のいずれか一項に記載の蒸気供給デバイス。
【請求項5】
前記厚さTが、25mm未満、22mm未満、20mm未満、18mm未満、16mm未満、14mm未満、12mm未満、又は10mm未満である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の蒸気供給デバイス。
【請求項6】
前記幅が、20mmよりも大きい、25mmよりも大きい、30mmよりも大きい、35mmよりも大きい、40mmよりも大きい、45mmよりも大きい、又は50mmよりも大きい、請求項1〜5のいずれか一項に記載の蒸気供給デバイス。
【請求項7】
前記長さが、120mm未満、110mm未満、100mm未満、90mm未満、又は80mm未満である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の蒸気供給デバイス。
【請求項8】
Lが60mm〜100mm、より好ましくは70mm〜90mmである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の蒸気供給デバイス。
【請求項9】
Wが30mm〜45mm、より好ましくは35mm〜40mmである、請求項1〜8のいずれか一項に記載の蒸気供給デバイス。
【請求項10】
Tが12mm〜20mm、より好ましくは15mm〜17mmである、請求項1〜9のいずれか一項に記載の蒸気供給デバイス。
【請求項11】
前記厚さ方向に垂直な前記平面における当該蒸気供給デバイスの周辺縁部の前記最小曲率半径Rが、前記幅Wの少なくとも0.2倍、前記幅Wの少なくとも0.3倍、前記幅Wの少なくとも0.4倍、又は前記幅Wの少なくとも0.5倍である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の蒸気供給デバイス。
【請求項12】
前記厚さ方向に垂直な前記平面における当該蒸気供給デバイスの周辺縁部の前記最小曲率半径Rが、少なくとも3mm、少なくとも4mm、少なくとも5mm、少なくとも6mm、少なくとも7mm、少なくとも8mm、少なくとも9mm、又は少なくとも10mmである、請求項1〜11のいずれか一項に記載の蒸気供給デバイス。
【請求項13】
前記厚さ方向に垂直な前記平面における当該蒸気供給デバイスの面積の大きさが、前記幅と前記長さの積よりも小さく、0.95倍未満、0.9倍未満、0.85倍未満、及び0.8倍未満である、請求項1〜12のいずれか一項に記載の蒸気供給デバイス。
【請求項14】
前記厚さ方向に垂直な当該蒸気供給デバイスの表面のうちの少なくとも一つが、当該蒸気供給デバイスの前記幅の大部分に沿って前記幅方向に湾曲している、請求項1〜13のいずれか一項に記載の蒸気供給デバイス。
【請求項15】
前記厚さ方向に垂直な当該蒸気供給デバイスの表面のうちの少なくとも一つが、当該蒸気供給デバイスの前記長さの大部分に沿って前記長さ方向に湾曲している、請求項1〜14のいずれか一項に記載の蒸気供給デバイス。
【請求項16】
前記幅方向に垂直な当該蒸気供給デバイスの側面のうちの少なくとも一つが、当該蒸気供給デバイスの前記長さの大部分に沿って前記長さ方向に湾曲している、請求項1〜15のいずれか一項に記載の蒸気供給デバイス。
【請求項17】
前記幅方向に垂直な当該蒸気供給デバイスの端面のうちの少なくとも一つが、当該蒸気供給デバイスの前記幅の大部分に沿って前記幅方向に湾曲している、請求項1〜16のいずれか一項に記載の蒸気供給デバイス。
【請求項18】
当該蒸気供給デバイスの外面には少なくとも一つの凹部が設けられ、前記凹部は、最深部で2mm〜4mmの深さがあり、0.25W〜0.75W、0.3W〜0.7W、0.35W〜0.65W、0.4W〜0.6W、又は0.45W〜0.65Wの幅がある、請求項1〜17のいずれか一項に記載の蒸気供給デバイス。
【請求項19】
当該蒸気供給デバイスが制御ユニットと着脱可能なカートリッジとを具備し、前記カートリッジが蒸気前駆材料を含み、前記制御ユニットが、電力を前記気化器に供給して蒸気を蒸気前駆材料から選択的に生成させる電源を備える、請求項1〜18のいずれか一項に記載の蒸気供給デバイス。
【請求項20】
前記着脱可能なカートリッジが気化器をさらに備える、請求項19に記載の蒸気供給デバイス。
【請求項21】
前記蒸気前駆材料が液体製剤を含む、請求項1〜20のいずれか一項に記載の蒸気供給デバイス。
【請求項22】
使用者が吸引するための蒸気を蒸気前駆材料から生成する気化器を備える蒸気供給デバイスであって、
当該蒸気供給デバイスの外面の大部分が湾曲しており、
当該蒸気供給デバイスが、長さ方向に沿った長さLと、前記長さ方向に直交する厚さ方向に沿った厚さTと、前記長さ方向と前記厚さ方向とに垂直である幅方向に沿った幅Wとを有し、
当該蒸気供給デバイスの外面には、当該蒸気供給デバイスの使用者による把持のための少なくとも一つの凹部が設けられ、前記凹部は、その最深部で1mm〜5mmの深さがあり、0.2W〜0.8Wの幅がある、蒸気供給デバイス。
【請求項23】
蒸気を蒸気前駆材料から生成する気化器を備える蒸気供給デバイスであって、
当該蒸気供給デバイスが、長さ方向に沿った長さLと、前記長さ方向に直交する厚さ方向に沿った厚さTと、前記長さ方向と前記厚さ方向とに垂直である幅方向に沿った幅Wとを有し、
前記幅W及び前記長さLが共に前記厚さTの少なくとも2倍であり、
前記厚さ方向に垂直な平面における当該蒸気供給デバイスの周辺縁部の大部分が湾曲しており、
当該蒸気供給デバイスの外面には、当該蒸気供給デバイスの使用者による把持のための少なくとも一つの凹部が設けられ、前記凹部は、最深部で1mm〜5mmの深さがあり、0.2W〜0.8Wの幅がある、蒸気供給デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ニコチン送達システム(例えば電子タバコ等)のような電子蒸気供給システムに関し、特にこのようなシステムの形状に関する。
【背景技術】
【0002】
電子タバコ(eシガレット)等の電子蒸気供給システムは、一般的に、製剤、典型的にはニコチンを含む原料液体(source liquid)のリザーバのような蒸気前駆材料、又はたばこ葉由来製品のような固体材料を含み、そこから、使用者による吸引によって、例えば熱による気化を通して蒸気が生成される。したがって、蒸気供給システムは、典型的には、気化器、例えば加熱要素を含む蒸気生成チャンバを備え、気化器は、蒸気生成チャンバ内で蒸気を生成するために前記材料の一部を気化するように配置されている。使用者がデバイスで吸引を行い、電力が気化器に供給されると、空気が、入口孔を通ってデバイス内に、そして蒸気生成チャンバ内に引き込まれ、そこで空気は気化された前駆材料と混合される。蒸気生成チャンバとマウスピースの開口との間を接続する流路があり、蒸気生成チャンバを通して引き入れられた流入空気が、流路に沿ってマウスピースの開口へと進み、その空気と共に蒸気の一部を移送し、使用者の吸引によってマウスピースの開口を通って流出するようになっている。
【0003】
蒸気供給システムでは、二つの主要機能部分、すなわち再使用可能な部分と、使捨て可能/交換可能なカートリッジ部を備えるのが一般的である。通常ではカートリッジ部は、消費し得る蒸気前駆材料及び気化器を備え、再使用可能なデバイス部は、再充電可能なバッテリー、デバイス制御回路、作動センサ、及びユーザインターフェース機能等の寿命が長い部品を備える。再使用可能な部分は制御ユニット又はバッテリー部分と呼ばれることもあり、交換可能な部分はカトマイザと呼ばれることもある。
【0004】
制御ユニットとカトマイザは、使用するのに、例えばねじ式固定具やバヨネット式固定具を用いて境界部で機械的に連結される。カトマイザ内の蒸気前駆材料が使い果たされたとき、又は使用者が異なる蒸気前駆材料を有する別のカトマイザに切り換えたいと望むとき、カトマイザを制御ユニットから取り外すことができ、交換用カトマイザをデバイスのその場所に取り付けることができる。
【0005】
電子タバコは通常、長手方向軸線に関してある程度の円対称性をもつ略円筒形の構成を成す。しかし、他の構成、例えば円筒形カトマイザが取り付けられた箱状の再使用可能な部分から成る形体も知られている。
【0006】
本発明者らは、例えば取扱いの容易さ及び心地よさ、並びにバッテリー等の内部構成要素用に使用可能なスペースに対する制約という点で、電子タバコの既存の構成についてのいくつかの欠点を認識している。したがって、電子タバコ等の蒸気供給システムの代替的な構成が求められている。
【発明の概要】
【0007】
いくつかの実施形態の第1の態様によれば、使用者が吸引するための蒸気を蒸気前駆材料から生成する気化器を備える蒸気供給デバイスが提供され、このデバイスは、長さ方向に沿った長さLと、長さ方向に直交する厚さ方向に沿った厚さTと、長さ方向と厚さ方向とに垂直である幅方向に沿った幅Wとを有し、幅W及び長さLが共に厚さTの少なくとも2倍であり、厚さ方向に垂直な平面におけるこのデバイスの周辺縁部の最小曲率半径Rが、幅Wの少なくとも0.1倍である。
【0008】
いくつかの実施形態によれば、長さLは、厚さTよりも少なくとも2倍、少なくとも2.5倍、少なくとも3倍、少なくとも3.5倍、少なくとも4倍、少なくとも4.5倍、又は少なくとも5倍大きい。
【0009】
いくつかの実施形態によれば、幅Wは、厚さTよりも少なくとも2倍、少なくとも2.5倍、少なくとも3倍、少なくとも3.5倍、少なくとも4倍、少なくとも4.5倍、又は少なくとも5倍大きい。
【0010】
いくつかの実施形態によれば、長さLは、幅よりも少なくとも1.25倍、少なくとも1.3倍、少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、少なくとも2.5倍、又は少なくとも3倍大きい。
【0011】
いくつかの実施形態によれば、厚さTは、25mm未満、22mm未満、20mm未満、18mm未満、16mm未満、14mm未満、12mm未満、又は10mm未満である。
【0012】
いくつかの実施形態によれば、幅は、20mmよりも大きい、25mmよりも大きい、30mmよりも大きい、35mmよりも大きい、40mmよりも大きい、45mmよりも大きい、又は50mmよりも大きい。
【0013】
いくつかの実施形態によれば、長さは、120mm未満、110mm未満、100mm未満、90mm未満、又は80mm未満である。
【0014】
いくつかの実施形態によれば、Lは60mm〜100mm、より好ましくはLは70mm〜90mmであり、及び/又はWは30mm〜45mm、より好ましくは35mm〜40mmであり、及び/又はTは12mm〜20mm、より好ましくは15mm〜17mmである。
【0015】
いくつかの実施形態によれば、厚さ方向に垂直な平面におけるデバイスの周辺縁部の最小曲率半径Rは、幅Wの少なくとも0.2倍、幅Wの少なくとも0.3倍、幅Wの少なくとも0.4倍、又は幅Wの少なくとも0.5倍である。
【0016】
いくつかの実施形態によれば、厚さ方向に垂直な平面におけるデバイスの周辺縁部の最小曲率半径Rは、少なくとも3mm、少なくとも4mm、少なくとも5mm、少なくとも6mm、少なくとも7mm、少なくとも8mm、少なくとも9mm、又は少なくとも10mmである。
【0017】
いくつかの実施形態によれば、厚さ方向に垂直な平面におけるデバイスの面積の大きさは、幅と長さの積よりも小さく、0.95倍未満、0.9倍未満、0.85倍未満、及び0.8倍未満である。
【0018】
いくつかの実施形態によれば、厚さ方向に垂直なデバイスの表面のうちの少なくとも一つは、デバイスの幅の大部分に沿って幅方向に湾曲している。
【0019】
いくつかの実施形態によれば、厚さ方向に垂直なデバイスの表面のうちの少なくとも一つは、デバイスの長さの大部分に沿って長さ方向に湾曲している。
【0020】
いくつかの実施形態によれば、幅方向に垂直なデバイスの側面のうちの少なくとも一つは、デバイスの長さの大部分に沿って長さ方向に湾曲している。
【0021】
いくつかの実施形態によれば、幅方向に垂直なデバイスの端面のうちの少なくとも一つは、デバイスの幅の大部分に沿って幅方向に湾曲している。
【0022】
いくつかの実施形態によれば、デバイスの外面が少なくとも一つの凹部を備え、その最深部で1mm〜5mm、又は2mm〜4mmの深さがあり、0.2W〜0.8W、0.25W〜0.75W、0.3W〜0.7W、0.35W〜0.65W、0.4W〜0.6W、又は0.45W〜0.65Wの幅がある。
【0023】
いくつかの実施形態によれば、デバイスは制御ユニット及び着脱可能なカートリッジを具備し、このカートリッジは蒸気前駆材料を含み、制御ユニットは、電力を気化器に供給して蒸気を蒸気前駆材料から選択的に生成する電源を備える。
【0024】
いくつかの実施形態によれば、着脱可能なカートリッジは気化器をさらに備える。
【0025】
いくつかの実施形態によれば、蒸気前駆材料は液体製剤を含む。
【0026】
いくつかの実施形態の別の態様によれば、使用者が吸引するための蒸気を蒸気前駆材料から生成する気化器を備える蒸気供給デバイスが提供され、このデバイスの外面の大部分が湾曲している。
【0027】
いくつかの実施形態の別の態様によれば、蒸気を蒸気前駆材料から生成する気化器を備える蒸気供給デバイスが提供され、このデバイスは、長さ方向に沿った長さLと、長さ方向に直交する厚さ方向に沿った厚さTと、長さ方向と厚さ方向とに垂直である幅方向に沿った幅Wとを有し、幅W及び長さLは共に厚さTの少なくとも2倍であり、厚さ方向に垂直な平面におけるデバイスの周辺縁部の大部分が湾曲している。
【0028】
特定の実施形態のこれら対応及び別の態様は、添付の特許請求の範囲の独立項及び従属項に記載されている。従属項における特徴は互いに組み合わされ、また、請求項において明示的に記載されたもの以外の組合せにおいて互いに独立した請求項の特徴と組み合わされ得ることを理解されたい。さらに、本書に記載の手段は、以下に示すような特定の実施形態に限定されるものではなく、本書に提示される特徴の任意の適切な組合せを含み、それを考慮するものである。例えば、蒸気供給システムは、適当なものとして後述する様々な特徴のうちの任意の一つ以上を適宜含む、本書に記載された手段に従って提供されてもよい。
【0029】
次に、本発明の実施形態について、単なる例として添付の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本開示のいくつかの実施形態による蒸気供給システムを概略的に示す断面図である。
図2図1に示された蒸気供給システムの外形を概略的に示す斜視図である。
図3A図2の蒸気供給システムを概略的に示す上面図である。
図3B図2の蒸気供給システムを概略的に示す底面図である。
図4A図2の蒸気供給システムを概略的に示す側面図である。
図4B図2の蒸気供給システムを概略的に示す側面図である。
図5A図2の蒸気供給システムを概略的に表す端面図である。
図5B図2の蒸気供給システムを概略的に表す端面図である。
図6】本開示の他の例示的な実施形態による、略平坦で丸みのある蒸気供給システムの概略図である。
図7】本開示の他の例示的な実施形態による、略平坦で丸みのある蒸気供給システムの概略図である。
図8】本開示の他の例示的な実施形態による、略平坦で丸みのある蒸気供給システムの概略図である。
図9】本開示の他の例示的な実施形態による、略平坦で丸みのある蒸気供給システムの概略図である。
図10】本開示の他の例示的な実施形態による、略平坦で丸みのある蒸気供給システムの概略図である。
図11】本開示の他の例示的な実施形態による、略平坦で丸みのある蒸気供給システムの概略図である。
図12】本開示の他の例示的な実施形態による、略平坦で丸みのある蒸気供給システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
特定の例及び実施形態の態様及び特徴について、本書にて論じ説明する。特定の例及び実施形態のいくつかの態様及び特徴は、従来どおり実施することができ、これらについては、話を簡潔にする目的で、詳細には論ぜず説明もしない。したがって、本書にて言及するが詳細には説明していない装置及び方法の態様及び特徴は、そのような態様及び特徴を実施するための任意の従来の手法によって実施できることを理解されたい。
【0032】
本開示は、eシガレット等の蒸気供給システムとも呼ばれるエアロゾル供給システムに関する。以下の説明全体にわたって、「eシガレット」又は「電子タバコ」という用語を使用することがあるが、この用語は、蒸気供給システム又は電子蒸気供給システムと互換的に使用することができることを理解されたい。さらに、当該技術分野では一般的であるように、「蒸気」及び「エアロゾル」という用語、並びに「気化」及び「エアロゾル化」等の関連の用語もまた、互換的に使用され得る。
【0033】
図1は、本開示のいくつかの実施形態による例示的なeシガレット100の断面図である。eシガレット100は、2つの主要構成要素、すなわちカトマイザ200と制御ユニット300とを備える。
【0034】
カトマイザ200は、液体の供給源を収容するリザーバ21、アトマイザ又は気化器として機能するヒータ22、及びマウスピース250を含む。この例では、ヒータ22は、ニッケルクロム合金(Cr20Ni80)線を備える。リザーバ21内の液体(e液又は原料液体とも呼ばれる)は通常、適切な溶剤中にニコチンを含み、またさらなる成分を、例えばエアロゾル生成を助長するために、及び/又は付加的な加香のために含むことがある。カトマイザ200はさらに、ある量の液体をリザーバ21からヒータ22の上又は隣り合う加熱位置まで移送するための、この例ではガラス繊維束から成るウィック23、又は同様の機構を含む。気化器(ヒータ)22は、蒸気生成チャンバ17内に配置されている。蒸気生成チャンバ17は空気流路に配置され、この空気流路は、カトマイザ200と制御ユニット300との間の接合部に設けられた空気入口/通気スロット24からカトマイザ200に、そしてヒータ(気化器)22を経て蒸気生成チャンバ17を通り、蒸気生成チャンバ17と、マウスピース250に設けられた蒸気出口19との間の流体連通を行う空気チャネル18に沿って延びている。
【0035】
制御ユニット300はハウジング33の中に、eシガレット100に電力を供給するための再充電可能なセル又はバッテリー31と、従来一般の技術によって動作することができる、eシガレットの動作を全体的に制御するための回路を備える制御プリント回路基板32(PCB)とを含む。再充電可能なバッテリー31は、従来一般の技術による充電ポート、例えばUSBベースの充電ポート37を介して充電することができる。
【0036】
図1では明らかではないが、制御ユニットは、エアロゾル供給システムの動作と関連した機能を提供するための別の回路基板を備えてもよい。ヒータ22が、例えば制御PCB32によって制御されたバッテリー31から電力を受け取ると、ヒータ22は、ウィック23からの液体の一部分を気化して蒸気生成チャンバ17内で蒸気を生成し、この蒸気は通気スロット24から入ってくる空気と混合され、空気チャネル18に沿って蒸気出口19から吸い出され、eシガレット100を吸引する使用者の口に入る。
【0037】
参照及びさらなる説明を容易にするために、X軸、Y軸及びZ軸で定義されるデカルト座標系が図1に含まれる。この座標系は、X軸がeシガレットの幅方向(図1の方向では左から右へ延びる)と一致し、Y軸がeシガレットの長さ方向(図1に示された方向では底面から上面へ延びる)と一致し、Z軸がeシガレットの厚さ方向(図1の方向では前方から後方へ延びる)と一致するように配置されている。
【0038】
カトマイザ200と制御ユニット300は、図1に矢印Sで示されたY軸と平行な方向に引き離すことによって互いに取外し可能であるが、デバイス100の使用時には、カトマイザ200と制御ユニット300の間で機械的且つ電気的な接続が得られるように結合される(図1の通り)。機械的な接続は、ラッチ要素40によって容易に行われる。カトマイザリザーバ21内のe液が使い尽くされた場合、又は使用者が、例えば異なる香味の蒸気前駆材料を含む別のカトマイザに切り換えたいと望む場合、カトマイザ200は取り外され、新しいカトマイザが制御ユニット300に取り付けられる。したがって、カトマイザ200はeシガレット100の使捨て部分と呼ばれることもあるが、制御ユニット300は再使用可能部分である。或いはまた、カトマイザはe液が再充填可能になるように構成してもよく、充填ポートにアクセスするために制御ユニットから取り外すことが必要としてもよい。
【0039】
eシガレット100は、制御ユニット300とカトマイザ200との間の略平坦な物理的境界面15に、これら二つの構成要素が使用のために連結されるときに配置される封止部材すなわちシール34を含む。この例では、シール34は、制御ユニット300の中に制御PCB32を覆うように配置される。シール34は、カトマイザ200と制御ユニット300が結合され、全体的に制御ユニットハウジング33の側壁の内側に延びるときにある程度の弾性圧縮を受けるように、シリコーン、ゴム、スポンジ、コルク又は可撓性プラスチック等の弾性圧縮可能な材料から作製され、(Y軸に沿って)サイズ設定される。したがって、シール34は、カトマイザとコントローラユニットとが連結されるときにこれらの間の機械的な境界面にY軸に沿って(その弾性圧縮により)付勢力も加えながら、制御ユニット300とカトマイザ200との間の固定と緊密な嵌合とを可能とする助けになる。シール34の外面(すなわちカトマイザと向かい合う面)は、空気入口/通気スロット24と気化チャンバ/蒸気生成チャンバ17との間の流体連通路の一部を形成するチャネルを備える。
【0040】
シール34は、さらに以下で論じるように、ばねピン35の形の電気伝導性コネクタを受けるための貫通開口を有し、このコネクタは、連結されたときに制御ユニットとカトマイザの間の電気的接続を行う。ばねピン(「ポゴピン」)35は、この例では基板32に装着され、このようなコネクタを提供するための従来の手段によって得ることができる。
【0041】
使用者がマウスピース250から吸引を行うと、電子タバコの蒸気生成機能が起動する。すなわち、電力が気化器/ヒータ22に供給される。蒸気生成機能の起動は従来の手段に基づくことができ、例えば使用者起動ボタン、又は吸引センサ(例えば、使用者がデバイスを吸引すると圧力の低下を検出するように構成された圧力センサ/マイクロフォンの周囲に配置される)を使用することができる。上記及び他の、本書に記載の原理によるエアロゾル供給システムの従来一般の動作態様は従来の手段によって実現することができ、これ以上説明しない。
【0042】
使用者がマウスピース250を吸引すると、空気が空気入口孔214を通ってカトマイザ200に流入する(制御ユニット300及びカトマイザ/カートリッジ200の外側縁部間の接合部に形成された通気スロット24から続く通路を経由して)。この流入空気は、リザーバ21からの(特にウィック23からの)液体を気化するように、制御ユニット300内のバッテリーから電力を受け取るヒータを経て流れる。この気化された液体は次に、カトマイザを通る空気流に混合/随伴され、カトマイザ200から、使用者が吸引するためのマウスピース250を通して吸い出される。
【0043】
図2は、図1のeシガレット100の、その組み立てられた構成での斜視図であり、カトマイザ200が、eシガレットを使用する用意ができているように制御ユニット300に結合されている。組み合わされたボタン/インジケータ光源47もまた図2で明らかであり、このボタン機能は、使用者入力制御(例えばアトマイザを起動すること)を可能にし、インジケータ光源機能は、使用者への状態フィードバック(例えばデバイスが使用されているとき、又は使用する用意ができているときに表示すること)を可能にする。
【0044】
図1に関連する図2に表された方向は、X、Y及びZ軸の表示から明らかである。図2に示されるように、Z軸(厚さ方向)は、電子タバコの大きさが最小である方向と平行であり、Y軸は、電子タバコの大きさが最大であり厚さ方向に垂直である方向と平行であり、X軸は、厚さ方向にも長さ方向にも垂直な方向の電子タバコの大きさが最大である方向と平行である。
【0045】
図2に概略的に示されるように、電子タバコ100は、Z軸に沿った最大寸法(すなわち厚さ)のT、X軸に沿った最大寸法(すなわち幅)のW、Y軸に沿った最大寸法(すなわち長さ)のLを有する。この例でX、Y及びZ軸によって定義された座標系は、X軸が、図1に示された方向では左から右へと増大し、Y軸が、図1に示された方向では底面から上面へと(すなわち、デバイスの充電ポート37端面からデバイスのマウスピース/蒸気出口端面へと)増大し、Z軸が、図1の平面の上方から図1の平面の下方へと増大するようなものである。
【0046】
図3Aは、減少するZ方向に沿って見た、すなわちここでは上面図と呼ぶことができる(すなわち、光源とボタンの組合せ47を示す)、XY面内のeシガレット100の概略図である。X及びY軸の方向は図に示される通りである。
【0047】
図3Bは、増大するZ方向に沿って見た、すなわちここでは底面図と呼ぶことができる(すなわち、光源/ボタン組み合わせ47を示していない)、XY面内のeシガレットの概略図である。X及びY軸の方向は図に示される通りである。
【0048】
図4Aは、増大するX方向に沿って見た、すなわちここでは左側面図と呼ぶことができる、YZ面内のeシガレット100の概略図である。Y軸及びZ軸の方向は図に示される通りである。
【0049】
図4Bは、減少するX方向に沿って見た、すなわちここでは右側面図と呼ぶことができる、YZ面内のeシガレット100の概略図である。Y軸及びZ軸の方向は図に示される通りである。
【0050】
図5Aは、増大するY方向に沿って見た、すなわちここでは充電ポート端面図と呼ぶことができる(すなわち、充電ポート37を示している)、XZ面内のeシガレット100の概略図である。X軸及びZ軸の方向は図に示される通りである。
【0051】
図5Bは、減少するZ方向に沿って見た、すなわちここではマウスピース端面図と呼ぶことができる(すなわち、蒸気出口19を示している)、XZ面内のeシガレット100の概略図である。X軸及びZ軸の方向は図に示される通りである。
【0052】
図2図5から分かるように、電子タバコ100の全体形状/輪郭/形は、知られている構成とは著しく異なる。特に厚さTは長さLよりも、また幅Wよりも著しく小さい。さらに、厚さ方向に垂直な面の電子タバコの全体形状/輪郭/形は、概して丸みがあり/滑らかである(すなわち、目立った角がない)。すなわち、組み立てられたカトマイザ200及び制御ユニット300を厚さ方向に垂直な平面内に備える電子タバコ100の輪郭には最少曲率半径Rがあり(図3Aに示された特定のデバイスでは下方左角及び下方右角にある)、これは、電子タバコ100の他の特徴的な寸法と比べて相対的に大きい最小閾値よりも大きい。例えば、厚さに垂直な平面の電子タバコの輪郭の最小曲率半径Rは、厚さに対してかなりの割合(例えば、0.5以上)とすることができる。いくつかの例では、厚さに垂直な平面内の電子タバコの輪郭の大部分は非平坦にする/湾曲させることができる。さらに別の例では、全体としては略平坦な構成を有するデバイスにもかかわらず、その外面全体の大部分は非平坦にする/湾曲させることができる。
【0053】
したがって、また図4及び図5で最も明らかなように、電子タバコの上面及び下面、すなわち厚さ方向に概ね垂直な面は、厚さ方向に垂直な平面内で平坦ではなく、それぞれの面の大部分にわたって厚さ方向(図5A及び図5Bに見える)及び長さ方向(図4A及び図4Bに見える)に沿って湾曲している。さらに、電子タバコのサイズ、すなわち幅方向に概ね垂直である面もまた、幅方向に垂直な平面内で平坦ではなく、全長の大部分で長さ方向に沿って湾曲している。
【0054】
この構成の結果として、全体的に平坦又は平らな形態を有し(二つの最大の対向する面がXY面に略平行に延びる)、また概ね滑らかな/丸みのある全体形状を有するeシガレット100が得られる。本発明者らは、この略平坦で丸みのある形状は、使用者が保持するのに好都合で快適であるものとし、その一方で、所与の最大限度(すなわち長さ)に対して比較的大きい容積をなお確保して、例えば、それ相応に比較的大きいバッテリーを、他の場合ならコンパクトであるといえるデバイスで受け入れられるようにすることを認識した。さらに、略平坦/滑らかな形態により、例えば、略平坦なバッテリーに(厚さ方向に)隣り合って配置された制御回路基板を用いた層状構造を可能にすることができ、こうして組立てをある点で簡略化することが、例えば積層構成要素の軸方向及び回転方向の位置合わせの要件を軽減することによって可能となる。
【0055】
特定の例示的なサイズでは、図1図5に示された電子タバコは、約70mmの長さL(Y軸に沿って)、約35mmの幅W(X軸に沿って)、及び約14mmの厚さT(Z軸に沿って)を有し得る。すなわち、この例での幅Wは厚さTの約2.5倍であり、長さLは厚さTのおよそ5倍である。さらに、この例で、厚さ方向に垂直な平面におけるデバイスの輪郭の最小曲率半径Rは、約7mmである(すなわち、長さの約10分の1(すなわち、0.1L)、幅の約5分の1と同等(すなわち、0.2W)、厚さの約半分と同等(すなわち0.5T))。加えて、電子タバコの最も大きい面の曲率は、厚さ方向に垂直な平面における電子タバコの外周部の厚さが、このデバイスの最大厚さの約半分になるようなものである(すなわち、デバイスの外周部の厚さTは、XY面内のデバイスの中心辺りの厚さTの約半分になる)。
【0056】
しかし、本書に記載の原理は、サイズ及び形状が一般に異なる電子タバコにも同様に適用され得ることを当然ながら理解されたい。いくつかの実施形態によれば、重要であることは特定のサイズ及び形状ではなく、デバイスがその幅にも長さにも満たない厚さを有し、厚さ方向に垂直な平面におけるデバイスの輪郭が上記で論じた最小曲率半径を有すること、すなわち、それによりデバイスが、この平面において全体的に湾曲した/滑らかな形状を特徴とすることである。
【0057】
例えば、別の構成では、XY面(すなわち、厚さ方向に垂直な面)におけるデバイスの特徴的な輪郭は、図1図5に示された例のものよりもっと細長くても、それより細長くなくてもよい。例えば、図6は、図3Aの図と類似している、またその図から理解されるであろう状態を概略的に表すが、デバイス600では、(図1図5の例におけるような、その幅の約2倍とは異なり)その幅の約3倍の長さがある。逆に図7は、図3Aの図と類似している、またその図から理解されるであろう状態を概略的に表すが、デバイス700では、その幅とほぼ同一の長さがある。
【0058】
同様に、別の構成では、Z方向に沿ったデバイスの特徴的な相対的厚さは、図1図5に示された例の場合よりも厚くすることも薄くすることもできる。例えば、図8は、図4Aの図と類似している、またその図から理解されるであろう状態を概略的に表すが、デバイス800では、その長さの約4分の1の厚さがある(図1図5の例のようにその長さの約5分の1とは異なり)。逆に図9は、図4Aの図と類似している、またその図から理解されるであろう状態を概略的に表すが、デバイス900では、その長さの約7分の1の厚さがある(図1図5の例のようにその長さの約5分の1とは異なり)。
【0059】
さらに、本書に記載の原理による別の実施態様のデバイスでは、その幅に垂直な平面に、また実際は他の平面に、全体的に異なる輪郭を有することができる。例えば、図10は、図3Aの図と類似している、またその図から理解されるであろう状態を概略的に表すが、デバイス1000では、その厚さに垂直な平面に、全体的に丸みのある三角形の全体形状を有する。別の例として、図11は、図3Aの図と類似している、またその図から理解されるであろう状態を概略的に表すが、デバイス1100では、その厚さに垂直な平面に、全体的に円形の全体形状を有する。
【0060】
図12は、図2に示された電子タバコデバイス100の図と類似している、またその図から理解されるであろう状態を概略的に表すが、わずかに異なる全体形状を有する、特に、図2に示されたものよりも、例えば、長さ(Y)軸線方向に垂直な平面において見たデバイスの輪郭の最小曲率半径という点でさらに丸みのある形状を有する、デバイス1200を示す。図1図11に表された例でのように、図12に表されたデバイス1200は、制御ユニット部1230及び分離可能/交換可能なカートリッジ部1220を備える。しかし、図12のデバイスの1200はまた、図2のデバイス100とは、例えば円形又は楕円形の丸みのある凹部1250をデバイスの外面に、特にこの例では、厚さ方向に概して垂直である制御ユニット部1230の面の(すなわち、概してXY平面の)図12の最上部に示された面に、有する点が異なり、この凹部の寸法は、凹部がデバイス1200の全幅Wの約半分に相当する幅を有するようなものとすることができる。しかし、別の実施態様では、凹部は異なるサイズを有することができ、例えば凹部は幅方向に、0.2W〜0.8W、0.25W〜0.75W、0.3W〜0.7W、0.35W〜0.65W、0.4W〜0.6W、及び0.45W〜0.65Wに相当する分量だけ延びることができる。凹部/へこみ/くぼみは幅方向に、長さ方向と同程度に幅広のかなりの広がりを有することができ、或いは幅方向に、長さ方向と比べて異なる広がりを有することができる。例えば、長さ方向の凹部の広がりは、幅方向の凹部の広がりよりも約1.5倍以上、いくつかの例では大きくすることができる。デバイスの厚さ方向の凹部の深さは約3mmとすることができる。しかし、別の実施形態によれば、もっと深い、又はもっと浅い凹部もまた使用することができる。例えば、凹部は1mm〜5mm、又はより好ましくは2mm〜4mmの深さを有することができる。本発明者らは、デバイスの表面のこの種の凹部が、例えばより確実な把持を可能にすることによって、デバイスを保持する際の使用者の快適さをさらに促進できると認識した。一つ以上の凹部を設けることができ、例えば、凹部をデバイスの反対面に対称的に、又は別様に設けることができると理解されたい。異なる実施態様によるデバイスの特定の形状及びサイズは様々であり得るが、保持するのに都合がよく快適なデバイスであって、所与の固有の最大限度に対して比較的大きな容積を与えるデバイスを実現する同一の基本原理が、本書に論じられたようにして適用され得ることを理解されたい。
【0061】
したがって、本開示のいくつかの実施形態によれば、その厚さの少なくとも2倍、少なくとも2.5倍、少なくとも3倍、少なくとも3.5倍、少なくとも4倍、少なくとも4.5倍、又は少なくとも5倍の長さを有する、またその厚さの少なくとも2倍、少なくとも2.5倍、少なくとも3倍、少なくとも3.5倍、少なくとも4倍、少なくとも4.5倍、又は少なくとも5倍の幅も有する、蒸気供給デバイスを提供することができる。長さは幅と同等にすることができ、或いは幅よりも例えば、少なくとも1.25倍、少なくとも1.3倍、少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、少なくとも2.5倍、又は少なくとも3倍大きくすることができる。
【0062】
いくつかの特定の例示的な寸法に関して、本開示のいくつかの実施形態による電子タバコは、25mm未満、22mm未満、20mm未満、18mm未満、16mm未満、14mm未満、12mm未満、又は10mm未満の厚さを、20mmよりも大きい、25mmよりも大きい、30mmよりも大きい、35mmよりも大きい、40mmよりも大きい、45mmよりも大きい、又は50mmよりも大きい幅と一緒にして/組み合わせて有することができ、所与の実施態様の厚さと幅の特定の組み合わせは、いくつかの例では幅が厚さの少なくとも2倍であることが条件となる。
【0063】
したがって、図1図5に示された電子タバコ100は、具体的な例示の目的で70mm×35mm×14mmの大きさのL×W×Tを有すると仮定されているのに対し、別の例では、幅広の同様の全体形状を有する電子タバコは、90mm×40mm×16mmの大きさのL×W×Tを有し得る。より一般的には、いくつかの例によれば、本書に記載の原理による電子タバコは、60mm〜100mm、若しくはより好ましくは70mm〜90mmの特徴的な長さ、及び/又は30mm〜45mm、若しくはより好ましくは35mm〜40mmの特徴的な幅、及び/又は12mm〜20mm、若しくはより好ましくは15mm〜17mmの特徴的な厚さを有することができる。
【0064】
いくとかの場合において、本書に記載の原理による電子タバコを120mm未満の、例えば110mm未満、例えば100mm未満、例えば90mm未満、又は例えば80mm未満の、長さLにすることが役に立ち得る。こうすることは、例えば、比較的コンパクトなデバイスとの関連において、比較的大きいバッテリーを使用できるようにするために本明に記載の原理を採用しながら、比較的コンパクトなデバイスを実現するのに役に立ち得る。
【0065】
さらに、本開示のいくつかの実施形態によれば、幅Wを有するデバイスは、その厚さに垂直な平面に、最小曲率半径が少なくとも0.1W、少なくとも0.2W、少なくとも0.3W、少なくとも0.4W、又は少なくとも0.5Wの輪郭形状を有することができる。
【0066】
いくつかの特定の例示的な寸法に関して、本開示のいくつかの実施形態によるデバイスは、その厚さに垂直な平面に、最小曲率半径が少なくとも3mm、少なくとも4mm、少なくとも5mm、少なくとも6mm、少なくとも7mm、少なくとも8mm、少なくとも9mm、又は少なくとも10mmの輪郭形状を有することができる。
【0067】
本書に記載の原理によるデバイスの全体的に丸みのある形状の結果として、本開示の実施形態によるデバイスの、デバイス厚さTに垂直な平面における面積の大きさは、この平面におけるデバイスの長さと幅の積よりもいくらか小さいことがあることを理解されたい(角の丸み付けの故に)。例えば、いくつかの実施態様では、デバイスの、その厚さに垂直な平面における面積の大きさは、この平面におけるデバイスの幅と長さの積の0.95倍未満、0.9倍未満、0.85倍未満、及び0.8倍未満まで小さくなり得る。
【0068】
上記のように、本発明者らは、これらのタイプの形態が、既存のデバイスよりも使用するのに都合がよく、また心地よくできるエアロゾル供給システムを実現する助けになり得ると認識した。デバイスの全体固有スケールは、平均的な人の手のひらの全体固有スケールと広く適合して快適に把持しやすくする助けになるように、さらに選択することができる。その上、本書に記載の原理による形態は、いくつかの実施態様において、例えば使用者がデバイスを包むようにして自分の手を心地よく閉じられるようにすることによって、使用者が既存のデバイスよりも慎重に保持できるデバイスを実現することができる。
【0069】
いくつかの特定の例を上で説明したが、他の実施態様に応じて加えることができる多くの変更があり得ることを理解されたい。
【0070】
例えば、使用者にとって保持するのが快適で都合のよいデバイス形状を実現する助けにするために、上述したもの等の特徴を組み込む蒸気供給システムは、場合により、使用中の使用者の快適さを向上するためのさらなる特徴を含み得ることを理解されたい。
【0071】
例えば、図4A及び図4Bの側面図、並びに図5Bの端面図からは、上述の例のマウスピース250の厚さが、使用中に使用者の唇が受けることが意図されたデバイスの端部(すなわち、蒸気出口19)に向かって減少していることが分かる。したがって、マウスピース部250には実際上、デバイスの中心辺りの厚さTよりも薄い厚さにテーパが付いているが、マウスピースの幅はデバイス全体の幅よりもわずかに小さいだけである。例えば、蒸気出口の付近のマウスピース(すなわち、通常使用中に使用者の唇の間で受ける位置)の厚さは、0.8T未満、0.7T未満、0.6T未満、0.5T未満、又は0.4T未満とすることができる。蒸気出口の付近のマウスピース(すなわち、通常使用中に使用者の唇の間で受ける位置)の幅は、いくつかの例では0.3Wより大きく、0.4Wより大きく、0.5Wより大きく、0.6Wより大きく、又は0.7Wより大きくすることができる。絶対寸法(absolute dimension)では、いくつかの例によれば、蒸気出口の付近のマウスピース(すなわち、通常使用中に使用者の唇の間で受ける位置)の厚さは、12mm未満、10mm未満、8mm未満、又は6mm未満とすることができる。蒸気出口の付近のマウスピース(すなわち、通常使用中に使用者の唇間で受ける位置)の幅は、いくつかの例では10mmより大きく、15mmより大きく、20mmより大きく、25mmより大きく、又は30mmより大きくすることができる。この結果、サイズも形状も使用者の唇の開きに広く適合する形状が得られる。したがって、マウスピース250のこの形状及びサイズ設定は、口の通常の静止位置からの変形が少なくても、吸引のために使用者の唇がマウスピースに係合する助けになることができ、例えば、マウスピースが小さい円形であるストロー又は従来の紙巻きタバコのように、唇をすぼめる必要がない。これにより、eシガレット100のマウスピース250を使用することが、一部の使用者にとってよりくつろぐことになるのに役立つことができ、また口とマウスピースの間のより均一な封止を確かなものにする助けにもなり得る。マウスピースの厚さが蒸気出口19に向かって、急峻な変化とは対照的に比較的緩やかに減少することもまた、使用者の唇の輪郭に比較的自然な安静位において心地よく適合する助けになり得る。
【0072】
さらに、上述の実施形態では、原料液体を加熱するための電気ヒータベースの気化器に主として注目したが、同じ原理を別の技術に基づく気化器(例えば圧電振動子ベースの気化器)、並びに他のエアロゾル前駆材料(例えば、たばこ葉派生材料等の植物由来材料のような固体材料)に基づくデバイスに応じて採用できることを理解されたい。
【0073】
本書で厚さ、長さ、及び幅に様々に言及しているのは、このようなパラメータが特徴的に表れるものに言及することを意図したものであることもさらに理解されたい。例えば、本書に記載の原理によるデバイスの全体的に丸みのある本質の結果として、デバイスには、その長さに沿って、またその厚さにわたって、同一の幅がすべての位置において無いことを理解されたい。同様に、他の寸法(長さ及び厚さ)も同一のものがデバイスのすべての位置において無く、その寸法は、全体的に丸みのあるデバイスの特徴により、どこで測定されたかによって変わり得る。したがって、長さ、幅、厚さ等の用語は、これらの寸法の特徴的な測定値、例えば、これらの寸法の最大値若しくは平均値、又はデバイスの中心における値を反映することが意図される。平均値は、例えば、デバイス全体にわたる複数の異なるサンプリング点の平均値、最頻値、又は中央値から成り得る。
【0074】
このように、使用者が吸引するための蒸気を蒸気前駆材料から生成する気化器を備える蒸気供給デバイスを説明したが、このデバイスは、長さ方向に沿った長さL、長さ方向に直交する厚さ方向に沿った厚さT、及び長さ方向にも厚さ方向にも垂直である幅方向に沿った幅Wとを有し、幅Wも長さLも厚さTの少なくと2倍であり、厚さ方向に垂直な平面におけるデバイスの周辺縁部の最小曲率半径は、少なくとも0.1Wである。
【0075】
本書に記載の様々な実施形態は、特許請求された特徴を理解及び教示する助けにするためにのみ提示されている。これらの実施形態は単に実施形態の代表例として提示されており、包括的及び/又は排他的なものではない。本書に記載の利点、実施形態、例、機能、特徴、構造、及び/又は他の態様は、特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲に対する限定、又は特許請求の範囲の等価物に対する限定と解釈されるべきものではないこと、並びに、特許請求された本発明の範囲から逸脱することなく他の実施形態を利用することができ、また変更を加えることができることを理解されたい。本発明の様々な実施形態は、本書に特に記載されたもの以外の、開示された要素、構成要素、特徴、部材、ステップ、手段等の適切な組み合わせを適切に含むか、これらから成るか、これらから本質的に成ることができる。加えて、本開示は、現在は特許請求されていないが将来は特許請求される可能性がある、他の発明を含み得る。
【0076】
様々な問題に対処し、技術を進歩させるために、本開示では例示によって、特許請求された本発明を実施できる様々な実施形態を示す。本開示の利点及び特徴は、諸実施形態の単なる代表例であり、包括的及び/又は排他的なものではない。これらの利点及び特徴は、特許請求された本発明を理解することを助け教示するためにだけ提示されている。本開示の利点、実施形態、例、機能、特徴、構造、及び/又は他の態様は、特許請求の範囲によって定義される本開示に対する限定、又は特許請求の範囲の等価物に対する限定と解釈されるべきものではないこと、並びに、特許請求の範囲から逸脱することなく他の実施形態を利用することができ、また変更を加えることができることを理解されたい。様々な実施形態は、本書に特に記載されたもの以外の、開示された要素、構成要素、特徴、部材、ステップ、手段等の様々な組み合わせを適切に含むか、これらから成るか、これらから本質的に成ることができ、したがって、従属項の特徴は、請求項に明示されているもの以外に、独立項の特徴と組み合わせて一緒にされ得ることを理解されたい。本開示は、現在は特許請求されていないが将来は特許請求される可能性のある他の発明を含み得る。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12