(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1記載の作業アタッチメントであって、前記第1のインサートブームに取付けられて当該第1のインサートブームの伸長及び折り曲げを行うインサートブームシリンダをさらに備え、当該インサートブームシリンダは前記中間関節よりも基端側に位置する部位と前記先端側に位置する部位とに連結される両端部を有して当該インサートブームシリンダの伸縮により前記第1のインサートブームの折り曲げ角度を変化させるように構成されている、作業アタッチメント。
請求項1または2記載の作業アタッチメントであって、前記メインブームの前記先端部と前記使用インサートブームとの間に追加的に介在することが可能なオプションブームをさらに備え、当該オプションブームは、前記メインブームの先端部に着脱可能に連結されることが可能な基端部と、前記第1のインサートブームの基端部及び第2のインサートブームの基端部のいずれにも着脱可能に連結されることが可能な先端部と、を有する、作業アタッチメント。
請求項4記載の作業機械であって、前記第1のインサートブームは、前記第1の倒伏姿勢において前記先端作業装置の先端が前記ベースマシンの前端に到達するような位置で前記アームが地面上に横たわることを可能にする程度まで前記中間関節で折れ曲がることが可能となるように構成されている、作業機械。
請求項5記載の作業機械であって、前記作業アタッチメントは、前記メインブームの前記先端部と前記使用インサートブームとの間に追加的に介在することが可能なオプションブームをさらに備え、当該オプションブームは、前記メインブームの先端部に着脱可能に連結されることが可能な基端部と、前記第1のインサートブームの基端部及び第2のインサートブームの基端部のいずれにも着脱可能に連結されることが可能な先端部と、を有し、前記第1のインサートブームは、当該第1のインサートブームと前記メインブームとの間に前記オプションブームが介在する状態での前記第1の倒伏姿勢において前記先端作業装置の先端が前記ベースマシンの前端に到達するような位置で前記アームが地面上に横たわることを可能にする程度まで前記中間関節で折れ曲がることが可能となるように構成されている、作業機械。
請求項4〜6のいずれかに記載の作業機械であって、前記作業アタッチメントは前記ベースマシンに対して前記メインブームを起伏させるメインブームシリンダをさらに備え、当該メインブームシリンダは、前記ブーム回動軸と平行な軸回りに回動可能となるように前記ベースマシンに連結されるマシン側端部と、前記ブーム回動軸と平行な軸回りに回動可能となるように前記メインブームに連結されるブーム側端部と、を有し、当該メインブームシリンダの伸縮によって前記ベースマシンに対して前記メインブームを起伏させかつ当該メインブームの水平面に対する起立角度の増大に伴って当該メインブームシリンダの水平面に対する起立角度が増大するように配置されている、作業機械。
【背景技術】
【0002】
地上から離れた高所での作業、例えば建物の解体作業、を行うための作業機械は、一般に、地盤上を走行可能なベースマシンと、当該ベースマシンに取付けられる作業アタッチメントと、を備える。前記作業アタッチメントは、ベースマシンに起伏自在に取り付けられるブームと、当該ブームの先端部に回動可能に取付けられるアームと、当該アームの先端に取付けられる作業装置と、を含む。
【0003】
前記作業アタッチメントは、前記作業装置による高所での作業を可能とするために、起立した状態で長尺であることが要求される。その一方、当該作業アタッチメントは、コンパクトな姿勢で地面上に倒伏することが求められる。これらの要求を満たす作業アタッチメントとして、互いに直列に接続される複数のブームを含むものが知られている。
【0004】
その例として、
図11は、特許文献1に記載される油圧ショベルのフロント装置7を示す。前記フロント装置7は、共通ブーム3と、継ぎブーム4と、中間アーム5と、アーム6と、を有する。前記共通ブーム3は、前記油圧ショベルのベースマシン2に起伏可能に取付けられる基端部と、その反対側の先端部と、を有する。前記継ぎブーム4は、前記共通ブーム3の先端部に着脱可能に連結される基端部と、その反対側の先端部と、を有する。前記中間アーム5は、前記継ぎブーム4の先端部に回動可能に連結されるブーム側端部と、その反対側のアーム側端部と、を有する。前記アーム6は、前記中間アーム5の前記アーム側端部に回動可能に連結される基端部と、その反対側の先端部と、を有する。前記カッタ8は、対象物を切断する動作を行う先端作業装置であり、前記アーム6の先端部に回動可能に連結される。
【0005】
前記フロント装置7は、当該フロント装置7の姿勢を変更するための複数の油圧シリンダ、すなわち、ブームシリンダC3、中間アームシリンダC5、アームシリンダC6、及び作業具シリンダC8、をさらに備える。前記ブームシリンダC3は、前記ベースマシン2と前記共通ブーム3との間に介在して当該共通ブーム3を当該ベースマシン2に対して起伏させるように伸縮する。前記中間アームシリンダC5は、前記共通ブーム3と前記中間アーム5との間に介在して当該共通ブーム3に対して当該中間アーム5を回動させるように伸縮する。前記アームシリンダC6は、前記中間アーム5と前記アーム6との間に介在して当該中間アーム5に対して当該アーム6を回動させるように伸縮する。前記作業具シリンダC8は前記アーム6と前記カッタ8との間に介在して当該アーム6に対して当該カッタ8を回動させるように伸縮する。
【0006】
前記中間アーム5は前記継ぎブーム4及び前記アーム6に比べて短尺であり、これにより、フロント装置7全体が
図11に示されるような折り畳み状態で倒伏姿勢をとることを可能にする。当該倒伏姿勢では、前記共通ブーム3及び前記継ぎブーム4が水平方向に延び、前記中間アーム5が前記フロント装置7の最前端の位置で上下方向に延び、前記アーム6が前記継ぎブーム4の下方で水平方向に延びながら着地している。つまり、当該倒伏姿勢は、フロント装置7全体が前記中間アーム5を境に略180°折り返された状態で地面G上に倒伏した姿勢である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記フロント装置7のように折り返し状態での倒伏姿勢をとる作業アタッチメントでは、当該倒伏姿勢のまま当該作業アタッチメントを起立方向に回動させるために与えられる駆動力に限りがあるため、当該作業アタッチメントの高所作業能力を向上させることが難しい、という課題がある。例えば前記フロント装置7の場合、当該フロント装置7が起立した姿勢で前記カッタ8が届く位置をより高くするためには、前記継ぎブーム4及び前記アーム6の長さをさらに増やすことが考えられるが、当該長さの増大は、
図11に示されるような倒伏姿勢にあるフロント装置7全体の重心をベースマシン2から遠ざけ、その分、当該倒伏姿勢にあるフロント装置7をそのまま起立方向(上向き)に回動させるために必要なモーメントを大きくしてしまう。その一方、当該モーメントを生じさせるための駆動力(
図7ではブームシリンダC3の推力)には限りがあるため、結果として、前記継ぎブーム4及び前記アーム6の長尺化による高所作業能力の向上には著しい制約がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前記のような課題を解決するためになされたものであり、作業機械を構成する作業アタッチメントであって、折り畳み状態で倒伏姿勢をとることが可能であり、かつ、その倒伏姿勢で起立方向に回動するために必要な駆動力の著しい増大を伴うことなく作業を行うことが可能な高さを大きくすることが可能な作業アタッチメント、及びこれを備えた作業機械、を提供することを目的とする。
【0010】
提供されるのは、作業機械のベースマシンに起伏自在に取り付けられ、当該ベースマシンの前方で地面上に倒伏する倒伏姿勢をとることが可能な作業アタッチメントであって、起伏可能となるように前記ベースマシンに特定のブーム回動軸回りに回動可能に連結される基端部とその反対側の先端部とを有するメインブームと、前記メインブームの前記先端部に着脱可能に連結可能な基端部とその反対側の先端部とを有する第1のインサートブームと、前記メインブームの前記先端部に着脱可能に連結可能な基端部とその反対側の先端部とを有する第2のインサートブームと、前記第1のインサートブームの先端部及び前記第2のインサートブームの先端部のいずれにも着脱可能に連結されることが可能な基端部とその反対側の先端部とを有するインターブームと、前記インターブームに対して前記ブーム回動軸と平行な軸回りに回動可能となるように当該インターブームの前記先端部と連結される基端部とその反対側の先端部とを有するアームと、前記アームの前記先端部に連結され、特定の作業動作を行うことが可能な先端作業装置と、を備える。前記第1のインサートブーム及び前記第2のインサートブームは、それぞれ、前記メインブームの前記先端部と前記インターブームの前記基端部との間に択一的に介設されて使用インサートブームとして使用されることが可能である。前記インターブームは、第1関節及び当該第1関節よりも先端側に位置する第2関節を有し、当該第1関節及び当該第2関節のそれぞれにおいて外向きに凸となるように前記ブーム回動軸と平行な軸回りに折れ曲がり可能に構成されている。前記第2のインサートブームは、前記メインブームの前記先端部と前記インターブームの前記基端部とを結ぶように特定方向に延びる一定の形状を有し、当該第2のインサートブームが前記使用インサートブームに選ばれた場合に前記作業アタッチメント全体が第2の倒伏姿勢をとることを可能にする長さを有する。前記第2の倒伏姿勢は、前記メインブーム及び前記第2のインサートブームが水平方向に延び、前記インターブームが前記作業アタッチメントの最前端の位置において前記第1関節及び前記第2関節でそれぞれ外向きに凸となるように折れ曲がることにより当該インターブームの前記基端部及び前記先端部がともに後方を向き、前記アームが前記メインブーム及び前記第2のインサートブームの下方の位置で水平方向に延びながら着地する姿勢である。前記第1のインサートブームは、当該第1のインサートブームの前記基端部と前記先端部との間の位置に中間関節を有し、当該中間関節において外向きに凸となるように前記ブーム回動軸と平行な軸回りに折れ曲がることが可能となるように構成される。当該第1のインサートブームが前記使用インサートブームに選ばれたときの前記作業アタッチメントの総重量は前記第2のインサートブームが前記使用インサートブームに選ばれたときの前記作業アタッチメントの総重量よりも大きい。前記第1のインサートブームは、前記中間関節において直線状に延びた状態では前記第2のインサートブームの全長よりも大きな全長を有し、前記中間関節において外向きに凸に折れ曲がった状態では前記作業アタッチメント全体が第1の倒伏姿勢をとることを可能にする形状を有する。前記第1の倒伏姿勢は、前記メインブームがその基端部から先端部に向かって上向きに傾斜し、前記第1のインサートブームのうち前記中間関節よりも基端側の部分である基端側部分が当該第1のインサートブームの前記基端部から前記中間関節に向かって上向きに傾斜するとともに前記中間関節よりも先端側の部分である先端側部分が前記中間関節から前記インターブームの前記基端部に向かって下向きに傾斜するように前記中間関節において上向きに凸となるように折れ曲がり、前記インターブームが前記作業アタッチメントの最前端の位置で前記第1関節及び前記第2関節でそれぞれ外向きに凸となるように折れ曲がることにより当該インターブームの前記基端部及び前記先端部がともに後方を向き、前記アームが前記メインブーム及び前記第1のインサートブームの下方の位置で水平方向に延びながら着地する姿勢であって、前記第1のインサートブームの前記中間関節での折れ曲がりの分だけ前記先端作業装置の位置が前記ブーム回動軸に水平方向に近づいた姿勢である。
【0011】
この作業アタッチメントによれば、前記第1のインサートブーム及び第2のインサートブームのうち適当なものを前記使用インサートブームとして選択して前記メインブームと前記インターブームとの間に介在させることにより、作業内容や作業環境に適した形状及び構造を当該作業アタッチメントに与えることができる。具体的に、前記第1及び第2のインサートブームのうちの前記第2のインサートブームを前記使用インサートブームに選択することにより、作業アタッチメントの総重量を抑えながら比較的低い位置での前記先端作業装置による作業を迅速に行うことができる。また、当該第2のインサートブームを含んだ前記第2の倒伏姿勢では、前記メインブームと前記インターブームとの間に介在する前記第2のインサートブームの全長が伸長状態における第1のインサートブームの全長よりも小さい分、作業アタッチメント全体を前記第2の倒伏姿勢のまま起立方向に回動させるために必要なモーメント及び当該モーメントを発生させるための駆動力を抑えることができる。一方、前記第1のインサートブームを前記使用インサートブームに選択することにより、当該第1のインサートブームを前記中間関節で延ばした状態で高所での前記先端作業装置による作業を行うことが可能である。しかも、当該第1のインサートブームを含んだ前記第1の倒伏姿勢では、前記第1のインサートブームをその中間関節において上向きに凸となるように折り曲げる分だけ作業アタッチメント全体の重心を前記ブーム回動軸に近づけることができるので、当該第1のインサートブームの使用によって作業アタッチメント全体の総重量が大きくなっても、前記第1の倒伏姿勢にある前記作業アタッチメント全体を起立方向に回動させるために必要なモーメント及び当該モーメントを発生させるための駆動力を小さく抑えることが可能である。
【0012】
前記作業アタッチメントは、前記第1のインサートブームに取付けられて当該第1のインサートブームの伸長及び折り曲げを行うインサートブームシリンダをさらに備え、当該インサートブームシリンダは前記中間関節よりも基端側に位置する部位と前記先端側に位置する部位とに連結される両端部を有して当該インサートブームシリンダの伸縮により前記第1のインサートブームの折り曲げ角度を変化させるように構成されていることが、好ましい。この態様では、前記インサートブームシリンダの両端部が前記第1のインサートブームに連結された状態のままで当該第1のインサートブームと前記第2のインサートブームとの入れ替えを行うことができる。つまり、前記インサートブームシリンダの一方の端部が他の部材(例えばメインブームまたはインターブーム)に連結されるような態様と異なり、前記第1のインサートブームを前記メインブーム及び前記インターブームに対して着脱する際に前記インサートブームシリンダを前記他の部材に対して着脱する手間が不要となる。
【0013】
前記第1及び第2のインサートブームの基端部は前記メインブームの先端部に直接連結されるものに限らず、他の部材を介して連結されるものであってもよい。具体的に、前記作業アタッチメントは、前記メインブームの前記先端部と前記使用インサートブームとの間に追加的に介在することが可能なオプションブームをさらに備え、当該オプションブームは、前記メインブームの先端部に着脱可能に連結されることが可能な基端部と、前記第1のインサートブームの基端部及び第2のインサートブームの基端部のいずれにも着脱可能に連結されることが可能な先端部と、を有することが、好ましい。
【0014】
前記オプションブームは、前記使用インサートブームとして前記第1及び第2のインサートブームのいずれが選択される場合にも、その使用インサートブームの基端部と前記メインブームの先端部との間に介設されることによって、前記先端作業装置の作業可能高さをさらに増大させることが可能である。
【0015】
また、本発明によれば、地面上を走行可能なベースマシンと、上述した作業アタッチメントと、を備えた作業機械であって、前記作業アタッチメントの前記メインブームが起伏可能となるように当該メインブームの前記基端部が前記ベースマシンに特定のブーム回動軸回りに回動可能に連結された作業機械が、提供される。
【0016】
前記作業機械において、前記作業アタッチメントは前記ベースマシンに対して前記メインブームを起伏させるメインブームシリンダをさらに備え、当該メインブームシリンダは、前記ブーム回動軸と平行な軸回りに回動可能となるように前記ベースマシンに連結されるマシン側端部と、前記ブーム回動軸と平行な軸回りに回動可能となるように前記メインブームに連結されるブーム側端部と、を有し、当該メインブームシリンダの伸縮によって前記ベースマシンに対して前記メインブームを起伏させかつ当該メインブームの水平面に対する起立角度の増大に伴って当該メインブームシリンダの水平面に対する起立角度が増大するように配置されていることが、好ましい。前記第1の倒伏姿勢では、前記第1のインサートブームが前記中間関節において上向きに凸となるように折れ曲がる分だけ前記メインブームの前記起立角度が増大し、これに伴って前記メインブームシリンダの前記起立角度も増大するため、当該メインブームシリンダの推力の上向き方向の成分が大きくなる。このことは、前記メインブームシリンダの推力により生成される起立モーメント(つまり前記メインブームを起立方向に回動させるためのモーメント)を大きくする。換言すれば、より小さいメインブームシリンダの推力で前記第2の倒伏姿勢にある前記作業アタッチメントを起立させることを可能にする。
【0017】
前記作業機械において、前記第1のインサートブームは、前記第1の倒伏姿勢において前記先端作業装置の先端が前記ベースマシンの前端に到達するような位置で前記アームが地面上に横たわることを可能にする程度まで前記中間関節で折れ曲がることが可能となるように構成されていることが、好ましい。このことは、前記第1の倒伏姿勢にある前記作業アタッチメントを起立方向に回動させるために必要なモーメントをより小さくすることを可能にする。
【0018】
さらに、前記作業アタッチメントが前記オプションブームを含む作業機械では、前記第1のインサートブームは、当該第1のインサートブームと前記メインブームとの間に前記オプションブームが介在する状態での前記第1の倒伏姿勢においても前記先端作業装置の先端が前記ベースマシンの前端に到達するような位置で前記アームが地面上に横たわることを可能にする程度まで前記中間関節で折れ曲がることが可能となるように構成されていることが、好ましい。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本発明によれば、作業機械を構成する作業アタッチメントであって、折り畳み状態で倒伏姿勢をとることが可能であり、かつ、その倒伏姿勢のまま起立方向に回動するために必要な駆動力の著しい増大を伴うことなく作業可能な高さを増大することが可能な作業アタッチメント、及びこれを備えた作業機械、が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の好ましい実施の形態を
図1〜
図10を参照しながら説明する。
【0022】
図1〜
図10は、前記実施の形態に係る作業アタッチメントAT及びこれを備えた作業機械を示す。この実施の形態において、前記作業機械は解体機であり、前記作業アタッチメントATは解体作業を行うように構成されている。ただし、本発明が適用される作業機械は前記解体機に限定されない。本発明は、高所での作業を必要とする作業アタッチメント及びこれを備えた作業機械に広く適用されることが可能である。例えば、本発明に係る作業アタッチメントの先端作業装置はブレーカーやリフティングマグネットであってもよい。
【0023】
前記実施の形態に係る作業機械は、前記作業アタッチメントATと、ベースマシン10と、を備える。前記ベースマシン10は、下部走行体11と上部旋回体12とを有する。前記下部走行体11は、図示されない下部フレームと、その左右に配置された一対のクローラ13を有し、当該クローラ13の作動によって地面G上を走行することが可能である。前記上部旋回体12は、旋回フレーム14と、その上に搭載される複数の旋回要素と、を含む。前記旋回フレーム14は、前記下部走行体11の前記下部フレームの上に縦軸回りに旋回可能に搭載される。前記複数の旋回要素は、キャブ15、機械室16、カウンタウェイト17等を含む。
【0024】
前記作業アタッチメントATは、メインブーム20と、
図1〜
図3等に示される第1のインサートブーム30Aと、
図4,
図5等に示される第2のインサートブーム30Bと、インターブーム40と、アーム50と、先端作業装置60と、を備える。前記メインブーム20と、前記第1及び第2のインサートブーム30A,30Bの中から選ばれる使用インサートブームと、前記インターブーム40と、前記アーム50と、前記先端作業装置60と、がこの順に直列に配置されて相互に連結されることにより、前記作業アタッチメントATを構成する。
【0025】
前記メインブーム20は、基端部21とその反対側の先端部22と、を有し、当該基端部21から当該先端部22に向かって延びる形状を有する。前記基端部21は、地面Gと平行な左右方向に延びるブーム回動軸回りに回動可能となるように前記ベースマシン10に連結される。具体的に、当該基端部21は、前記ブーム回動軸を中心軸とするブームフットピン18を介して前記上部旋回体12の適当な部位に連結され、当該ブームフットピン18回りに(すなわち前記ブーム回動軸を中心として)回動する。これにより、前記メインブーム20は前記ベースマシン10に対して起伏方向すなわち上下方向に回動することが可能である。
【0026】
前記第1のインサートブーム30Aは、基端部31Aとその反対側の先端部32Aと、を有し、前記基端部31Aは、前記ブーム回動軸と平行な一対のピン23,23を介して前記メインブーム20の前記先端部22に着脱可能に連結されることが可能である。同様に、前記第2のインサートブーム30Bは、基端部31Bとその反対側の先端部32Bと、を有し、前記基端部31Bは、前記ピン33,33を介して前記メインブーム20の前記先端部22に着脱可能に連結されることが可能である。つまり、前記第1及び第2のインサートブーム30A,30Bのそれぞれの基端部31A,31Bは択一的に前記メインブーム20の前記先端部22に連結されることが可能である。
【0027】
前記第1及び第2のインサートブーム30A,30Bの具体的な形状及び構造については後に詳述する。
【0028】
前記インターブーム40は、基端部41とその反対側の先端部42とを有する。前記基端部41は、前記第1のインサートブーム30Aの前記先端部32A及び前記第2のインサートブーム30Bの前記先端部32Bのいずれにも一対のピン43,43を介して着脱可能に連結されることが可能である。換言すれば、前記第1及び第2のインサートブーム30A,30Bのそれぞれの先端部32A,32Bは択一的に前記インターブーム40の前記基端部41に連結されることが可能である。つまり、当該第1及び第2のインサートブーム30A,30Bは択一的に前記メインブーム20の前記先端部22と前記インターブーム40の前記基端部41との間に介設されることが可能である。
【0029】
前記インターブーム40は、第1関節及びこれよりも先端側に位置する第2関節を有し、当該第1及び第2関節のそれぞれにおいて外向きに凸となるように前記ブーム回動軸と平行な軸回りに折れ曲がることが可能である。具体的に、当該インターブーム40は、当該インターブーム40の前記基端部41から順に並ぶ基端側部材44,中間部材45及び先端側部材46を有する。前記基端側部材44は、基端部及びその反対側の先端部を有し、当該基端側部材44の当該基端部が前記インターブーム40全体の前記基端部41を構成する。前記中間部材45は、基端部及びその反対側の先端部を有し、当該中間部材45の当該基端部が前記基端側部材44の前記先端部にピン47を介して前記ブーム回動軸と平行な軸回りに相対回動可能に連結されている。従って、当該ピン47は前記第1関節を構成している。前記先端側部材46は、基端部及びその反対側の先端部を有し、当該先端側部材46の当該基端部が前記中間部材45の前記先端部にピン48を介して前記ブーム回動軸と平行な軸回りに相対回動可能に連結されている。従って、当該ピン48は前記第2関節を構成している。前記先端側部材46の前記先端部は前記インターブーム40全体の前記先端部42を構成する。前記中間部材45は、前記基端側部材44及び前記先端側部材46に比べて短尺である。
【0030】
前記アーム50は、基端部51とその反対側の先端部52とを有し、当該基端部51から当該先端部52に向かって直線状に延びる形状を有する。前記基端部51は、一対のピン53を介して前記インターブーム40の前記先端部42に着脱可能に連結されることが可能である。
【0031】
前記先端作業装置60は、前記アーム50の前記先端部52に当該アーム50に対して相対回動可能に連結されている。この実施の形態では、前記先端作業装置60と前記先端部52との間にリンク機構62が介在し、当該リンク機構62は、前記先端作業装置60が前記先端部52に対して前記ブーム回動軸と平行な軸回りに相対回動するのを許容するように当該先端作業装置60と当該先端部52とを相互連結している。
【0032】
この実施の形態に係る先端作業装置60は、いわゆる破砕機であり、破砕機本体63と、一対の破砕刃64,64と、一対の破砕用シリンダ65,65と、を有する。前記破砕機本体63は、前記リンク機構62に連結されるとともに、前記一対の破砕刃64,64を開閉可能に、つまり互いに平行な軸回りに回動可能に、支持する。前記一対の破砕用シリンダ65,65は、前記一対の破砕刃64,64と前記破砕機本体63との間にそれぞれ介在し、当該一対の破砕刃64,64を開閉方向に回動させるように伸縮する。
【0033】
前記第2のインサートブーム30Bは、一定の形状を保つ単一のブーム部材36により構成される。当該ブーム部材36の形状は、前記基端部31Bから前記先端部32Bに向かって延びる形状であって、前記メインブーム20の前記先端部22と前記インターブーム40の前記基端部41とを結ぶように特定方向に延びる形状である。より具体的に、この実施の形態に係る第2のインサートブーム30Bは、前記メインブーム20及び前記インターブーム40にそれぞれ連結された状態で当該メインブーム20及び当該インターブーム40の前記基端側部材44とともに直線状に延びる形状を有する。
【0034】
前記第2のインサートブーム30Bは、当該第2のインサートブーム30Bが前記使用インサートブームに選ばれた場合、つまり当該第2のインサートブーム30Bが前記メインブーム20と前記インターブーム40との間に介設された場合、に前記作業アタッチメントAT全体が
図4に示されるような第2の倒伏姿勢をとることを可能にする長さを有する。前記第2の倒伏姿勢は、次の条件(B1)(B2)及び(B3)を満たす姿勢である。
(B1)前記メインブーム20及び前記第2のインサートブーム30Bが水平方向に延びる。ここで「水平方向に延びる」とは、当該メインブーム20及び当該第2のインサートブーム30Bの中心軸が正確に水平となる態様に限定する意味ではなく、それぞれの中心軸が水平線に対して多少傾く態様も包含する。
(B2)前記インターブーム40が前記作業アタッチメントATの最前端(
図1及び
図2では左端)の位置で前記第1関節及び前記第2関節(この実施の形態ではピン47,48)でそれぞれ外向きに凸となるように折れ曲がることにより当該インターブーム40の前記基端部41及び前記先端部42がともに後方を向く。より具体的には、当該インターブーム40の前記中間部材45が上下方向に延びる状態で当該中間部材45の上下端部から前記基端側部材44及び前記先端側部材46が前記ベースマシン10に向かって延びる。ここで、前記基端部41及び前記先端部42がともに後方を向くとは、両者が完全に水平方向を向く態様に限定する意味ではなく、水平線に対して多少傾いた方向を向く態様も包含する。
(B3)前記アーム50が前記メインブーム20及び前記第2のインサートブーム30Bの下方の位置で水平方向に延びながら着地する。この実施の形態では、前記アーム50の背面(
図1に示される第2の倒伏姿勢では下面)に突設されたスペーサ54が地面Gに接する。ここで、「水平方向に延びながら着地する」とは前記アーム50の中心軸が完全に水平である態様に限定する意味ではなく、当該中心軸が水平線に対して多少傾いた態様も含む。
【0035】
一方、前記第1のインサートブーム30Aは、前記基端部31Aと前記先端部32Aとの間の中間位置に中間関節を有し、当該中間関節において外向きに凸となるように前記ブーム回動軸と平行な軸回りに折れ曲がることが可能な構造を有する。具体的に、当該第1のインサートブーム30Aは、前記メインブーム20の前記先端部22に連結可能な基端側部材33と、前記インターブーム40の前記基端部41に連結可能な先端側部材34と、を有する。前記基端側部材33は、基端部及びその反対側の先端部を有し、当該基端側部材33の当該基端部が前記第1のインサートブーム30A全体の前記基端部31Aを構成する。前記先端側部材34は、基端部及びその反対側の先端部を有し、当該先端側部材34の当該基端部が前記基端側部材33の前記先端部にピン35を介して前記ブーム回動軸と平行な軸回りに相対回動可能に連結されている。従って、当該ピン35が前記中間関節を構成している。前記先端側部材34の前記先端部は前記第1のインサートブーム30A全体の前記先端部32Aを構成する。この実施の形態では、前記基端側部材33及び前記先端側部材34はともに直線状に延びる形状を有し、前記先端側部材34は前記基端側部材33よりも長尺である。
【0036】
前記第1のインサートブーム30Aは、前記中間関節において直線状に延びた状態、つまり
図3に示すように前記基端側部材33と前記先端側部材34とのなす開き角度が略180°となった状態、において前記第2のインサートブーム30Bの全長(この実施の形態では前記ブーム部材36の全長)よりも大きな全長を有する。一方、当該第1のインサートブーム30Aは、前記中間関節において外向きに凸に折れ曲がった状態、この実施の形態では
図2に示すように前記基端側部材33と前記先端側部材34とがその内側において形成する開き角度が約90°となった状態、において前記作業アタッチメントAT全体が
図2に示すような第1の倒伏姿勢をとることを可能にする形状を有する。前記第1の倒伏姿勢は、次の条件(A1)(A2)及び(A3)を満たす姿勢である。
(A1)前記第1のインサートブーム30Aが前記中間関節において上向きに凸となるように折れ曲がる。具体的には、前記メインブーム20がその基端部21から先端部22に向かって上向きに傾斜し、前記第1のインサートブーム30Aのうち前記中間関節よりも基端側の部分である前記基端側部材33が当該第1のインサートブーム30Aの前記基端部31Aから前記中間関節を構成する前記ピン35に向かって上向きに傾斜し、前記中間関節よりも先端側の部分である前記先端側部材34が前記中間関節を構成する前記ピン35から前記インターブーム40の前記基端部41に向かって下向きに傾斜する。
ここで、前記基端側部材33及び前記先端側部材34の傾斜角度は特に限定されない。従って、両部材33,34が形成する前記開き角度も限定されない。この実施の形態では、前記基端側部材33が前記メインブーム20とともに前記ブームフットピン18から斜め上向きに直線状に延び、前記先端側部材34が前記インターブーム40の前記基端側部材44とともに前記ピン35から斜め下向きに直線状に延びる。
(A2)前記第2の倒伏姿勢と同様、前記インターブーム40が前記作業アタッチメントATの最前端(
図1及び
図2では左端)の位置で前記第1関節及び前記第2関節(この実施の形態ではピン47,48)でそれぞれ外向きに凸となるように折れ曲がることにより当該インターブーム40の前記基端部41及び前記先端部42がともに後方を向く。より具体的には、当該インターブーム40の前記中間部材45が上下方向に延びる状態で当該中間部材45の上下端部から前記基端側部材44及び前記先端側部材46が前記ベースマシン10に向かって延びる。ただし、この第1の倒伏姿勢では、前記基端側部材44が前記第1のインサートブーム30Aの前記先端側部材34とともに前記ピン47から後方に向かって(つまり前記ベースマシン10に向かって)斜め上向きに直線状に延びる姿勢をとる。つまり、この実施の形態では、前記メインブーム20、前記第1のインサートブーム30A及び前記インターブーム40の前記基端側部材44が前記中間関節を構成する前記ピン35を頂点として上向きに凸に折れ曲がる山型状をなす。
(A3)前記第2の倒伏姿勢と同様、前記アーム50が前記メインブーム20及び前記第2のインサートブーム30Bの下方の位置で水平方向に延びながら着地する。この実施の形態では、前記アーム50の背面に突設された前記スペーサ54が地面Gに接する。ここでも、「水平方向に延びながら着地する」とは前記アーム50の中心軸が完全に水平である態様に限定する意味ではなく、当該中心軸が水平線に対して多少傾いた態様も含む。
【0037】
この第1の倒伏姿勢での前記第1のインサートブーム30Aの上向きに凸の折れ曲がりは、その折れ曲がりの分だけ前記先端作業装置60の先端が前記ブームフットピン18に水平方向に近づくことを可能にする。この実施の形態では、前記先端作業装置60の先端が前記ベースマシン10の前端(この実施の形態では左右クローラ13の前端)またはそれよりも後方の位置(
図1に示す例では前記左右クローラ13同士の間で前記下部フレームに干渉しない程度まで当該左右クローラ13の前端よりも後方の位置)に届く程度まで前記第1のインサートブーム30Aが折れ曲がることが可能である。
【0038】
前記作業アタッチメントATは、当該作業アタッチメントATの姿勢を変更するための複数の油圧シリンダをさらに備える。当該複数の油圧シリンダは、前記ベースマシン10からの作動油の供給を受けて伸縮することにより前記作業アタッチメントATの構成要素同士のなす角度を変化させ、これにより、当該作業アタッチメントAT全体の姿勢を変更する。
【0039】
具体的に、前記複数の油圧シリンダは、メインブームシリンダC20と、インサートブームシリンダC30と、第1インターブームシリンダC41と、第2インターブームシリンダC42と、先端作業装置シリンダC60と、を含む。これらのシリンダC20,C30,C41,C42,C60は、図面において一点鎖線により簡略的に示されている。
【0040】
前記メインブームシリンダC20は、その伸縮によって前記ベースマシン10に対して前記メインブーム20を起伏させるように、当該ベースマシン10と当該メインブーム20との間に介在する。具体的に、当該メインブームシリンダC20は、マシン側端部とその反対側のブーム側端部とを有する。前記マシン側端部は、前記ブーム回動軸と平行な軸回りに回動可能となるように前記ベースマシンの適当な部位(この実施の形態では前記ブームフットピン18よりも前方かつ下方の部位)にシリンダピンP10を介して連結され、前記ブーム側端部は、前記ブーム回動軸と平行な軸回りに回動可能となるように前記メインブーム20の適当な部位(この実施の形態では前記先端部22の背面側部位)にシリンダピンP20を介して連結される。従って、当該メインブームシリンダC20は、前記メインブーム20の水平面に対する起立角度の増大に伴って当該メインブームシリンダC20の水平面に対する起立角度も増大するように、配置されている。
【0041】
前記第1インターブームシリンダC41は、その伸縮によって前記インターブーム40における前記基端側部材44と前記中間部材45とのなす角度を変化させるように、つまり当該基端側部材44と当該中間部材45とを互いに相対的に回動させるように、当該基端側部材44と当該中間部材45との間に介在する。具体的に、当該第1インターブームシリンダC41は、基端側端部と第1中間側端部とを有する。前記基端側端部は、前記ブーム回動軸と平行な軸回りに回動可能となるように前記基端側部材44の適当な部位(この実施の形態では前記基端部41に近い背面側部位)にシリンダピンP44を介して連結される。前記第1中間側端部は、前記ブーム回動軸と平行な軸回りに回動可能となるように前記中間部材45の適当な部位(この実施の形態では前記中間部材45の内側端部)にシリンダピンP41を介して連結される。
【0042】
前記第2インターブームシリンダC42は、その伸縮によって前記インターブーム40における前記中間部材45と前記先端側部材46とのなす角度を変化させるように、つまり当該中間部材45と当該先端側部材46とを互いに相対的に回動させるように、当該中間部材45と当該先端側部材46との間に介在する。具体的に、当該第2インターブームシリンダC42は、第2中間側端部と先端側端部とを有する。前記第2中間側端部は、前記ブーム回動軸と平行な軸回りに回動可能となるように前記中間部材45の適当な部位(この実施の形態では前記中間部材45の内側端部)にシリンダピンP42を介して連結される。前記先端側端部は、前記ブーム回動軸と平行な軸回りに回動可能となるように前記先端側部材46の適当な部位(この実施の形態では前記先端部42に近い背面側部位)にシリンダピンP46を介して連結される。
【0043】
前記先端作業装置シリンダC60は、その伸縮によって前記アーム50に対して前記先端作業装置60を前記ブーム回動軸と平行な軸回りに回動させるように、当該アーム50と前記リンク機構62との間に介在する。具体的に、当該先端作業装置シリンダC60は、アーム側端部とその反対側の装置側端部とを有する。前記アーム側端部は、前記ブーム回動軸と平行な軸回りに回動可能となるように前記アーム50の適当な部位(この実施の形態では前記アーム50の背面側の部位)にシリンダピンP50を介して連結され、前記装置側端部は、前記ブーム回動軸と平行な軸回りに回動可能となるように前記リンク機構62にシリンダピンP60を介して連結される。
【0044】
前記インサートブームシリンダC30は、その伸縮によって前記第1のインサートブーム30Aの伸長及び折り曲げを行うように、つまり前記基端側部材33と前記先端側部材34とのなす角度を変化させるように、前記第1のインサートブーム30Aに取付けられる。具体的に、当該インサートブームシリンダC30は、基端側端部とその反対側の先端側端部とを有する。前記基端側端部は、前記ブーム回動軸と平行な軸回りに回動可能となるように、前記中間関節よりも基端側に位置する部位である前記基端側部材33の適当な部位(この実施の形態では前記基端部31Aの背面側部位)シリンダピンP33を介して連結される。前記先端側端部は、前記ブーム回動軸と平行な軸回りに回動可能となるように、前記中間関節よりも先端側に位置する部位である前記先端側部材34の適当な部位(この実施の形態では前記基端部31Aの背面側部位)シリンダピンP34を介して連結される。
【0045】
このように、前記インサートブームシリンダC30の両端部がともに前記第1のインサートブーム30Aに連結されていることは、前記インサートブームシリンダC30の一方の端部が他の部材(例えばメインブーム20またはインターブーム40)に連結されるような態様と異なり、前記第1のインサートブーム30Aを前記メインブーム20及び前記インターブーム40に対して着脱する際に前記インサートブームシリンダC30を前記他の部材に対して着脱する手間を不要にする。
【0046】
この実施の形態に係る前記作業アタッチメントATは、
図7〜
図10に示されるオプションブーム70をさらに備える。当該オプションブーム70は、前記メインブーム20の前記先端部22と前記使用インサートブームの基端部(前記第1のインサートブーム30Aの基端部31Aまたは前記第2のインサートブーム30Bの基端部31B)との間に追加的に介在することが可能である。
【0047】
具体的に、当該オプションブーム70は、基端部71とその反対側の先端部72とを有し、当該基端部71と当該先端部72とを結ぶように延びる形状を有する。前記基端部71は、前記第1のインサートブーム30Aの前記基端部31Aまたは前記第2のインサートブーム30Bの前記基端部31Bに代わり前記メインブーム20の前記先端部22に前記一対のピン23,23を介して着脱可能に連結されることが可能である。前記先端部72は、前記メインブーム20の前記先端部22に代わり、前記第1のインサートブーム30Aの前記基端部31A及び前記第2のインサートブーム30Bの前記基端部31Bのいずれにも一対のピン24を介して着脱可能に連結されることが可能である。
【0048】
従って、前記オプションブーム70は、前記使用インサートブームとして前記第1及び第2のインサートブーム30A,30Bのいずれが選択される場合にも、その使用インサートブームの基端部と前記メインブーム20の先端部22との間に介在するように追加されることによって、前記先端作業装置60の作業可能高さをさらに増大させることを可能にする。ただし、このオプションブーム70は本発明において必須の要素ではなく、適宜省略されることが可能である。
【0049】
以上説明した構成を有する、この実施の形態に係る前記作業アタッチメントATは、少なくとも次の4つの使用態様を有する。
【0050】
(1)第1の使用態様:この第1の使用態様は、
図1〜
図3に示されるように、前記使用インサートブームとして前記第1のインサートブーム30Aが選ばれ、かつ、当該第1のインサートブーム30Aのみが前記メインブーム20の前記先端部22と前記インターブーム40の前記基端部41との間に介在する態様である。この第1の使用態様では、
図3に示されるように前記メインブーム20を起立させかつ前記第1のインサートブーム30Aを伸長させることにより、前記先端作業装置60による作業が可能な高さの最大である最大作業高さとして第1最大高さH1を得ることができる。
【0051】
(2)第2の使用態様:この第2の使用態様は、
図4,
図5に示されるように、前記使用インサートブームとして前記第2のインサートブーム30Bが選ばれ、かつ、当該第2のインサートブーム30Bのみが前記メインブーム20の前記先端部22と前記インターブーム40の前記基端部41との間に介在する態様である。この第2の使用態様では、
図3に示されるように前記メインブーム20を起立させることにより、前記最大作業高さとして第2最大高さH2を得ることができる。この第2最大高さH2は、前記第1のインサートブーム30Aの伸長状態の全長が前記第2のインサートブーム30Bの全長よりも大きいため、前記第1最大高さH1よりも小さい(H1<H2)。
【0052】
(3)第3の使用態様:この第3の使用態様は、
図6,
図7に示されるように、前記使用インサートブームとして前記第1のインサートブーム30Aが選ばれ、かつ、当該第1のインサートブーム30Aの基端部31Aと前記メインブーム20の前記先端部22との間に前記オプションブーム70がさらに付加される態様である。また、当該オプションブーム70の追加により倒伏姿勢でのブームフットピン18からインターブーム40の基端側のピン47までの長さが増えた分、その下方に位置するアームとして前記アーム50に代えて当該アーム50よりも全長の大きい長尺アーム50Lが使用されることが可能となっている。この第3の使用態様では、
図8に示されるように前記メインブーム20を起立させかつ前記第1のインサートブーム30Aを伸長させることにより、前記最大作業高さとして第3最大高さH3を得ることができる。この第3最大高さH3は、追加される前記オプションブーム70の長さと、前記長尺アーム50Lの長さと前記アーム50の長さの差分と、により、前記第1最大高さH1よりも大きい(H3>H1>H2)。
【0053】
(4)第4の使用態様:この第4の使用態様は、
図9,
図10に示されるように、前記使用インサートブームとして前記第2のインサートブーム30Bが選ばれ、かつ、当該第2のインサートブーム30Bの基端部31Bと前記メインブーム20の前記先端部22との間に前記オプションブーム70がさらに付加される態様である。また、前記第3の使用態様と同様、当該オプションブーム70の追加により、前記アーム50に代えて前記長尺アーム50Lの使用が可能となっている。この第4の使用態様では、
図10に示されるように前記メインブーム20を起立させることにより、前記最大作業高さとして第4最大高さH4を得ることができる。この第4最大高さH4は、前記第3最大高さH3よりも小さいが、追加される前記オプションブーム70の長さと、前記長尺アーム50Lの長さと前記アーム50の長さの差分と、により、前記第2最大高さH2よりも大きい(H3>H4>H2)。前記第1最大高さH1と前記第4最大高さH4の大小は、前記オプションブーム70の全長や長尺アーム50Lの全長にも拠るが、この実施の形態では前記第4最大高さH4と前記第1最大高さH1とはほぼ等しい(H4≒H1>H2)。
【0054】
前記作業アタッチメントATの総重量に着目すると、前記第1の使用態様では前記第2のインサートブーム30Bよりも伸長状態における全長が大きい第1のインサートブーム30Aが使用され、かつ、この第1のインサートブーム30Aにはその伸長及び折り曲げのためのインサートブームシリンダC30が搭載されているので、当該第1の使用態様における作業アタッチメントATの総重量は当該第2の使用態様における当該作業アタッチメントATの総重量よりも大きい。同じ理由により、前記第3の使用態様における作業アタッチメントATの総重量は前記第4の使用態様における当該作業アタッチメントATの総重量よりも大きい。
【0055】
以上のような複数の使用態様を有する作業アタッチメントATによれば、前記第1及び第2のインサートブーム30A,30Bの中から適当なものを使用インサートブームとして選択すること(さらにこの実施の形態ではオプションブーム70の追加の有無を選択すること)により、作業内容や作業環境に適した形状及び構造を当該作業アタッチメントATに与えて良好な作業を行うことが可能である。
【0056】
具体的に、前記第1及び第2のインサートブームのうち伸長状態にある前記第1のインサートブームよりも短尺の前記第2のインサートブームを前記使用インサートブームに選択して作業アタッチメントATを
図4及び
図5に示すような第2の使用態様とすることにより、当該作業アタッチメントATの総重量を抑えながら比較的低い位置での前記先端作業装置60による作業を迅速に行うことが可能である。しかも、当該第2のインサートブーム30Bを含んだ前記第2の倒伏姿勢では、
図4に示されるように、前記メインブーム20と前記インターブーム40との間に介在する前記第2のインサートブーム30Bの全長が伸長状態における第1のインサートブーム30Aの全長よりも小さい分、例えば
図6に示すように前記第1のインサートブーム30Aが伸長状態のまま倒伏したと仮定した場合の仮想倒伏姿勢におけるブームフットピン18から作業アタッチメントATの重心(以下「アタッチメント重心」と称する。)GC1eまでの距離L1eに比べ、当該第2の倒伏姿勢での前記ブームフットピン18から前記アタッチメント重心GC2までの距離L2を小さく抑えることができる。このことは、前記仮想姿勢に比べて前記作業アタッチメントAT全体を起立方向に回動させるために必要なモーメント及び当該モーメントを発生させるための駆動力を抑えることを可能にする。
【0057】
一方、前記第1のインサートブーム30Aを前記使用インサートブームに選択して前記作業アタッチメントATを
図1〜
図3に示すような第1の使用態様にすることにより、当該第1のインサートブーム30Aを前記中間関節で延ばした状態(伸長状態)で
図3に示されるように高所での前記先端作業装置60による作業を行うことが可能である。しかも、当該第1のインサートブーム30Aを含んだ前記第1の倒伏姿勢では、
図1に示されるように前記第1のインサートブーム30Aをその中間関節において上向きに凸となるように折り曲げる分だけ前記ブームフットピン18からアタッチメント重心GC1までの距離L1を前記仮想姿勢における距離L1eよりも小さくすることができるので、当該第1のインサートブーム30Aの使用によって作業アタッチメントAT全体の総重量が大きくなっても、前記第1の倒伏姿勢にある前記作業アタッチメントAT全体を起立方向に回動させるために必要なモーメント及び当該モーメントを発生させるための駆動力を小さく抑えることが可能である。
【0058】
特に、この実施の形態では、
図1に示すように前記先端作業装置60の先端が前記ベースマシン10の前端またはこれよりも後方の位置に至るまで前記第1のインサートブーム30Aが折れ曲がることによって、このときのアタッチメント重心GC1を前記第2の倒伏姿勢におけるアタッチメント重心GC2よりも前記ブームフットピン18に近づけることが可能となっている(L1<L2)。このことは、前記先端作業装置60として比較的重い装置がアーム50の先端に装着された場合に、第1の倒伏姿勢にある前記作業アタッチメントATを前記第2の倒伏姿勢に比べてより小さなモーメントで起立方向に回動させることを可能にする。
【0059】
さらに、この実施の形態では、前記第1の使用態様にオプションブーム70を付加した態様である第3の使用態様(
図7,
図8)を選択することにより、当該第1の使用態様よりも高所での先端作業装置60での作業が可能になる。同様に、前記第2の使用態様にオプションブーム70を付加した態様である第4の使用態様(
図9,
図10)を選択することにより、当該第2の使用態様よりも高所での先端作業装置60での作業が可能になる。この実施の形態では、前記オプションブーム70が付加される前記第3の使用態様においても
図7に示されるように前記先端作業装置60の先端が前記ベースマシン10の前端またはこれよりも後方の位置に至るまで前記第1のインサートブーム30Aが折れ曲がることによって、当該第3の使用態様におけるブームフットピン18からアタッチメント重心GC3までの距離L3を第4の使用態様におけるブームフットピン18からアタッチメント重心GC4までの距離L4さらには前記第2の使用態様における当該距離L2よりも小さくすることが可能である。一方、前記第3の使用形態における前記ブームフットピン18から前記インターブーム40の前記中間部材45に至るまでの距離が他の使用形態よりも長くて倒伏姿勢が可能となるアーム長さに余裕があるため、
図9に示される長尺アーム50Lよりもさらに長尺のアームを用いて最大作業高さをさらに増大させることも可能である。
【0060】
この実施の形態において、前記第1の使用態様における第1最大高さH1(
図3)と前記第4の使用態様における第4最大高さH4(
図10)とは互いに略同等であるが、当該第1の使用態様におけるブームフットピン18からアタッチメント重心GC1までの距離L1を当該第4の使用態様におけるブームフットピン18からアタッチメント重心GC4までの距離L4よりも小さく抑えることが可能である。このような観点から、同じ最大作業高さが必要とされる場合であってもそれ以外の作業条件に基づいて第1又は第4の使用態様を使い分けることが可能である。例えば、先端作業装置60の重量が大きいために倒伏姿勢から作業アタッチメントATを起立方向に回動させるためのモーメントの抑制を優先する必要がある場合には、前記のように第1の倒伏姿勢においてい前記ブームフットピン18からアタッチメント重心GC1までの距離L1を小さくすることができる第1の使用態様が選択されることが好ましい。逆に、先端作業装置60の重量が小さくて倒伏姿勢からの起立方向の必要モーメントの抑制よりも作業の迅速性が重視される場合、あるいは地面Gの硬度が比較的低いためにベースマシン10の接地圧に制限がある(つまり作業機械総重量に制限がある)場合には、作業アタッチメントATの総重量が小さい第4の使用態様が選択されることが好ましい。
【0061】
前記実施の形態では、前記メインブーム20を起伏させるための前記メインブームシリンダC20が、前記ベースマシン10に回動可能に連結されるマシン側端部と、前記メインブーム20に回動可能に連結されるブーム側端部と、を有し、前記メインブーム20の水平面に対する起立角度の増大に伴って当該メインブームシリンダC20の水平面に対する起立角度が増大するように配置されているので、前記第1のインサートブーム30Aが上向きに凸に折れ曲がる前記第1の倒伏姿勢における前記メインブームシリンダC20の起立角度を前記第2の倒伏姿勢のそれよりも大きくすることができる。従って、前記第1の倒伏姿勢において前記メインブームシリンダC20の推力により生成される前記ブームフットピン18回りのモーメントの半径(第1の使用態様では
図1に示される半径Rm1、第3の使用態様では
図7に示される半径Rm3)を前記第2の倒伏姿勢におけるモーメントの半径(第2の使用態様では
図4に示される半径Rm2、第4の使用態様では
図10に示される半径Rm4)よりも大きくして前記作業アタッチメントATを起立方向に回動させるために必要なメインブームシリンダC20の推力をさらに抑えることが可能である。