(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0033】
{第1実施形態}
以下、第1実施形態に係る配線モジュールについて説明する。
図1は第1実施形態に係る配線モジュール10を示すブロック図である。
【0034】
この配線モジュール10は、共通電源ライン20と、電源分岐部30A、30Bとを備える。配線モジュール10は、車両等に搭載され、当該車両に搭載された電源12から、車両に搭載された負荷16に電力を供給する配線である。電源12は、車両に搭載されるバッテリ等である。負荷16は、車両に搭載される電子制御ユニット(ECU)、モータ、ランプ、センサ等である。
【0035】
共通電源ライン20は、一端が電源12に電気的に接続された配線である。共通電源ライン20は、例えば、配線用金属板、電線、基板に形成されたプリント回路等の一般的な配線部材、又は、これらの複数の組合せ等によって構成される。配線用金属板は、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属板によって形成された帯状の部材として構成される。好ましくは、配線用金属板は、樹脂等の絶縁被覆によって覆われる。電線は、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等で形成された芯線の周囲に樹脂等の絶縁被覆を形成した部材である。基板に形成されたプリント回路は、樹脂等の絶縁基板の主面に銅等の金属箔によって形成された回路である。これらの組合せによって共通電源ライン20を形成する場合、各部材間が端子を介して、又は、半田付、溶接等を介して接続される。
【0036】
複数の電源分岐部30A、30Bは、共通電源ライン20の途中に設けられている。ここでは、共通電源ライン20の途中において、電源12から遠ざかる順に、電源分岐部30A、電源分岐部30Bがこの順で設けられている。また、共通電源ライン20において、電源12から最も遠い箇所に、末端電源中継部40が設けられている。
【0037】
電源分岐部30Aは、電源分岐ライン32A1、32A2と、過電流遮断部34A1、34A2とを少なくとも1組以上、ここでは、2組備える。
【0038】
電源分岐ライン32A1は、共通電源ライン20の途中で分岐している。電源分岐ライン32A1は、配線用金属板、電線、基板に形成されたプリント回路等の一般的な配線部材、又は、これらの複数の組合せ等によって構成される。電源分岐ライン32A1は、直接或いは他の配線部材等を介して、負荷16に接続されている。
【0039】
過電流遮断部34A1は、電源分岐ライン32A1に設けられて、当該電源分岐ライン32A1に許容電流を流れる電流が流れたときに非導通状態となるように構成されている。過電流遮断部34A1としては、電源分岐ライン32A1に流れる電流を監視する電流監視回路、電源分岐ライン32A1に介挿された半導体スイッチ及び電流監視回路の検出結果に基づいて半導体スイッチのオンオフ制御を行う電子制御ユニット等を備えた構成を採用することができる。この場合、通常状態では、半導体スイッチはオン状態(導通状態)となっており、電流監視回路による検出結果、電源分岐ライン32A1に流れる電流が予め設定された許容電流を越えると、半導体スイッチがオフ状態に切替えられ、半導体スイッチが非導通状態となる。半導体スイッチに代えて、リレーが用いられてもよい。また、過電流遮断部34A1として、一般的なヒューズが用いられてもよい。
【0040】
電源分岐ライン32A2は、上記電源分岐ライン32A1と同じ箇所で、共通電源ライン20の途中から分岐している。電源分岐ライン32A2は、電源分岐ライン32A1と同様構成であり、これに設けられる過電流遮断部34A2は、上記過電流遮断部34A1と同様構成である。
【0041】
電源分岐部30Bは、上記電源分岐部30Aよりも電源12から遠い箇所で、共通電源ライン20の途中に設けられている。
【0042】
電源分岐部30Bは、電源分岐ライン32Bと、過電流遮断部34Bとを少なくとも1組以上、ここでは、1組備える。電源分岐ライン32Bは、電源分岐ライン32A1と同様構成であり、これに設けられる過電流遮断部34Bは、上記過電流遮断部34A1と同様構成である。
【0043】
もちろん、電源分岐部は1つであってもよく、3つ以上設けられていてもよい。
【0044】
末端電源中継部40は、各電源分岐部30A、30Bに対して電源12から最も遠い箇所で、共通電源ライン20に接続されている。
【0045】
末端電源中継部40は、末端電源ライン42と、過電流遮断部44とを少なくとも1組以上、ここでは、1組備える。末端電源ライン42は、共通電源ライン20の末端に接続されており、これに設けられる過電流遮断部44は、上記過電流遮断部34A1と同様構成である。
【0046】
この配線モジュール10によると、共通電源ライン20の途中に電源分岐部30A、30Bが設けられている。電源12から電源分岐部30Aに至る部分は、共通電源ライン20によって電源供給がなされる。ここでは、電源12と当該電源12に最も近い電源分岐部30Aに至る部分は共通電源ライン20によって電源が供給される。また、電源分岐部30A、30Bの間でも、共通電源ライン20によって電源が供給される。そして、各電源分岐部30A、30Bにおいて、共通電源ライン20から電源分岐ライン32A1、32A2,32B及び過電流遮断部34A1、34A2、34Bを介して各負荷16に電源供給される。このため、共通電源ライン20を介して電源を供給し、各負荷16の近くで共通電源ライン20を電源分岐部30A、30Bにより分岐さえて電源供給することが可能となり、電源ラインの総距離をなるべく短くすることができる。
【0047】
なお、
図2は、比較例として電源12の近くに過電流遮断部800を設け、当該過電流遮断部800から各負荷16に向かう別々の電源ライン820を設けた場合を示している。この場合、過電流遮断部800から各負荷16に向かう各電源ライン820が過電流遮断部800の近くの部分において共通する経路821、822、823、824を通るとしても、別々の配線部材を用いる必要がある。このため、各電源ライン820の総距離は長くなってしまう。
【0048】
これに対して、上記実施形態では、電源12と電源分岐部30Aとの間では、各負荷16に至る電源ラインを共通電源ライン20とすることができる。また、電源分岐部30Aと電源分岐部30Bとの間においても、底から先の負荷16に至る電源ラインを共通電源ライン20とすることができる。このため、電源ラインの総距離をなるべく短くすることができる。
【0049】
また、各負荷16に至る電源ラインを共通電源ライン20として1つにまとめることができる結果、配線材数の削減、断面積の削減が可能となり、電源用の配線を全体として細くすることができる。
【0050】
また、過電流遮断部34A1、34A2、34Bとして、半導体スイッチを含む構成が採用されることで、許容電流を越える電流が流れて非導通状態となっても、その後、導通状態への復帰が容易となる。このため、過電流遮断部としてヒューズを用いた場合と比較して、ヒューズの交換作業等が不要となり、メンテナンスが容易となる。
【0051】
{第2実施形態}
第2実施形態に係る配線モジュールについて説明する。
図3は第2実施形態に係る配線モジュール110を示す概略図であり、
図4は同配線モジュール110の概略断面図である。
【0052】
配線モジュール110は、固定対象部材190の表面に沿って配設されるものである。配線モジュール110は、電源用偏平配線体150と、アース用偏平配線体160とを備える。
【0053】
電源用偏平配線体150は、固定対象部材190の表面に沿って配設される。より具体的には、電源用偏平配線体150は、電源用偏平導体151と、被覆部152とを備える。電源用偏平導体151は、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等で形成された金属製の帯状部材である。ここでは、電源用偏平導体151は、真っ直ぐ延在しているが、途中で幅方向又は厚み方向に曲がっていてもよい。被覆部152は、樹脂等によって形成された絶縁部材であり、電源用偏平導体151の周囲を覆っている。
【0054】
アース用偏平配線体160は、電源用偏平配線体150に対して固定対象部材190とは反対側の表面に沿って配設されるものである。より具体的には、アース用偏平配線体160は、アース用偏平導体161と、被覆部162とを備える。アース用偏平導体161は、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等で形成された金属製の帯状部材である。ここでは、アース用偏平導体161は、電源用偏平導体151と同じ幅寸法及び同じ厚み寸法に形成されており、電源用偏平導体151と同じ断面積を有している。もっとも、アース用偏平導体161の幅寸法及び厚み寸法は、電源用偏平導体151の幅寸法及び厚み寸法と異なっていてもよい。被覆部162は、樹脂等によって形成された絶縁部材であり、アース用偏平配線体160の周囲を覆っている。上記被覆部152及び被覆部162の少なくとも一方が省略されていてもよい。被覆部152及び被覆部162の両方が省略される場合、例えば、それらの間に樹脂等の絶縁性板材を介在させ、電源用偏平導体151とアース用偏平導体161との間を絶縁すればよい。
【0055】
電源用偏平配線体150とアース用偏平配線体160とは、それらの延在方向を揃えて積層した状態に組み合わされる。組み合わせ状態は、粘着テープ、接着剤等によって維持される構成であってもよいし、樋状のケースに収容されて維持される構成であってもよい。
【0056】
固定対象部材190に対する配線モジュール110の固定は、粘着テープ、接着剤等によってなされてもよいし、固定対象部材190に嵌込構造又はネジ止構造等で取付けられた固定用の部材が配線モジュール110を固定対象部材190に押え付ける構成によってなされてもよい。
【0057】
第2実施形態に係る配線モジュール110によると、電源用偏平配線体150が比較的大きい面積で固定対象部材190に接触する。このため、電源用偏平配線体150で生じた熱が固定対象部材190に伝達され易くなる。このため、電源用偏平配線体150で生じた熱を、固定対象部材190を介して外部に放熱し易くできる。特に、固定対象部材190としては、車両の金属ボディ、後述するリンフォース等、車両内において比較的大きく広がる部材であることが想定されるため、電源用偏平配線体150で生じた熱を、比較的表面積の固定対象部材190で効果的に放熱することができる。
【0058】
{第3実施形態}
第3実施形態に係る配線モジュール210について説明する。
図5は配線モジュール210を車両290に組込んだ状態を示す説明図である。
【0059】
例えば、車両290におけるエンジンルーム291にバッテリ等の電源12が組込まれている。エンジンルーム291にエンジン制御等を行うECU214(電磁制御ユニット)が設けられている。エンジンルーム291内において、丸端子等のアース端子を用いた接地箇所が設けられている。これらの電源12、ECU214及び設置箇所は、エンジンルーム291以外の箇所である場合もある。
【0060】
電源12に接続された電源線211a、アース接地されたアース線211b、ECU214等に接続された信号線211cがリンフォース292に向けて引回されている。リンフォース292は、インストルメントパネルの内側等に設けられる補強メンバであり、車幅方向に沿って延在する長尺形状に形成されている。電源線211a、アース線211b及び信号線211cは、リンフォース292の一端部に向けて引回されている。
【0061】
配線モジュール210は、上記リンフォース292に沿って配設される配線部材である。配線モジュール210は、電源線211a、アース線211b及び信号線211cを、リンフォース292に沿って存在する各負荷16に接続する配線部材である。
図5に示す例では、リンフォース292の両端部に負荷16が設けられると共に、リンフォース292の延在方向中間部に少なくとも1つ(ここでは2つ)の負荷16が設けられた例を示している。電源線211a、アース線211b及び信号線211cは、電源側分岐ボックス240で分岐して負荷16に接続され、中間分岐ボックス250で分岐して負荷16に接続され、末端ボックス270を経由して負荷16に接続される。
【0062】
上記電源線211a、アース線211b及び信号線211cは、リンフォース292の一端部で、配線モジュール210の各配線に接続される。配線モジュール210の各配線は、電源線211a、アース線211b又は信号線211cから一体的に連続するものであってもよい。あるいは、配線モジュール210の各配線は、電源線211a、アース線211b又は信号線211cに対してコネクタ等を介して接続されてもよい。
【0063】
図6はリンフォース292に組込まれた配線モジュール210を示す概略斜視図であり、
図7は配線モジュール210をリンフォース292に組込む前の状態を示す概略斜視図であり、
図8は
図6のVII−VII線における概略断面図である。
【0064】
配線モジュール210は、リンフォース292に組込まれる。
【0065】
ここで、リンフォース292は、金属等で形成された部材であり、長尺形状に形成されている。リンフォース292の両端部は、車両における金属簿ティに溶接、ネジ止等で固定される。
【0066】
リンフォース292は、底部293と、一対の側壁部294とを含む。
【0067】
底部293は、長尺板状に形成されている。ここでは、底部293は、外板部293aと内板部293bとを含み、外板部293aと内板部293bとの間に隙間が形成された二重構造とされている。底部は1枚の細長板によって構成されていてもよい。
【0068】
一対の側壁部294は、長尺板形状に形成されており、底部293の両側部から底部293の一方主面側に立設されている。このため、底部293と一対の側壁部294との間に配線モジュール210を収容可能な長尺形状の空間が形成される。
【0069】
配線モジュール210は、配線部220と、少なくとも1つの中間分岐ボックス250とを備える。
図6及び
図7に示す例では、電源側分岐ボックス240及び1つの中間分岐ボックス250が示されている。
【0070】
配線部220は、電源側分岐ボックス240と少なくとも1つの中間分岐ボックス250と末端ボックス270とを接続する配線用の部材である。
【0071】
配線部220は、固定対象部材であるリンフォース292に沿って配設されるものであり、電源用偏平配線体222と、アース用偏平配線体224と、信号用配線体226とを備える。
【0072】
電源用偏平配線体222は、リンフォース292の表面に沿って配設される。ここでは、電源用偏平配線体222は、上記第2実施形態で説明した電源用偏平配線体150と同様に、電源用偏平導体222aと、電源用偏平導体222aの周囲に形成された被覆部222bとを備える。電源用偏平配線体222は、その一方主面を底部293の内板部293bの内向き面に接触させた状態で、リンフォース292内に配設されている。
【0073】
アース用偏平配線体224は、第2実施形態で説明したアース用偏平配線体160と同様に、アース用偏平導体224aと、アース用偏平導体224aの周囲に形成された被覆部224bとを備える。アース用偏平配線体224は、電源用偏平配線体222に対して上記底部293とは反対側の表面に沿った状態で当該電源用偏平配線体222に積層された状態で、リンフォース292内に配設されている。
【0074】
このため、電源用偏平配線体222及びアース用偏平配線体224がリンフォース292内の空間を利用した形態で、比較的コンパクトな形態で当該リンフォース292内に収容されている。また、電源用偏平配線体222で熱が生じると、当該熱は、当該電源用偏平配線体222に面接触するリンフォース292の底部293に効率よく伝達され、リンフォース292の表面全体から外部に放熱される。
【0075】
信号用配線体226は、複数の信号線226aが並列状態となるように保たれたフラット配線体である。より具体的には、信号用配線体226としては、信号線226aとして被覆電線を用い、複数の信号線226aを並列させた状態で、一対の樹脂フィルムで挟込んだ構成を採用することができる。一対の樹脂フィルムの挟込み状態は、粘着剤によって保たれてもよいし、超音波溶着等の溶着によって保たれてもよい。信号用配線体226としては、その他、間隔をあけて並列状態に配設された複数の裸芯線を一対の樹脂フィルムで挟込んだもの、樹脂基材の一方主面上に銅箔等の金属箔によって並列状態の信号線を形成したもの、間隔をあけて並列状態で送られる裸芯線の周囲に、軟化した樹脂を押出被覆して被覆部を形成したもの等を採用することができる。
【0076】
信号用配線体226は、電源用偏平配線体222に対してリンフォース292とは反対側に設けられている。ここでは、アース用偏平配線体224に対して電源用偏平配線体222の反対側の表面に沿って配設された状態で、電源用偏平配線体222及びアース用偏平配線体224に積層されている。この状態で、信号用配線体226もリンフォース292内に収容されている。
【0077】
電源用偏平配線体222、アース用偏平配線体224及び信号用配線体226は、上記各電源側分岐ボックス240、中間分岐ボックス250及び末端ボックス270において、分岐されて各負荷16に接続される。中間分岐ボックス250において、電源用偏平配線体222、アース用偏平配線体224及び信号用配線体226は、分断されていてもよいし、連続していてもよい。ここでは、後述するように、電源用偏平配線体222、アース用偏平配線体224及び信号用配線体226は、中間分岐ボックス250において分断されており、当該中間分岐ボックス250内に形成された回路を通じて、分断された相互間で電気的に接続されている。信号用配線体226は、中間分岐ボックス250において分断されずに連続している。
【0078】
図9は配線モジュール210の一例に係る回路図である。
図9では1つの中間分岐ボックス250に着目した内容を示しており、電源側分岐ボックス240等は省略されている。
【0079】
同図に示すように、配線モジュール210は、共通電源ライン211、共通アースライン212、複数の信号ライン213を含む。電源側分岐ボックス240には、コネクタ242が設けられており、共通電源ライン211、共通アースライン212、複数の信号ライン213は、当該コネクタ242及びコネクタ242に接続されたワイヤーハーネス等を通じて車両の他の部位に設けられた電源12、ECU214、アース設置箇所に接続されている。
【0080】
中間分岐ボックス250において、共通電源ライン211の途中に電源分岐ライン251が当該共通電源ライン211から分岐するように接続されている。ここでは、電源分岐ライン251が2つ示されているが、1つ、又は、3つ以上設けられていてもよい。
【0081】
電源分岐ライン251には、過電流遮断部253が設けられている。ここでは、過電流遮断部253は、半導体スイッチである。過電流遮断部253は、リレー、ヒューズ等であってもよい。また、電源分岐ライン251には、電流監視部254が設けられている。電流監視部254としては、電源分岐ライン251を流れる電流を監視する周知の構成を採用することができる。電流監視部254によって検出された電流検出信号は、中間分岐ボックス250に組込まれたECU255に与えられる。通常状態では、過電流遮断部253は導通状態となっており、電源分岐ライン251に負荷16を駆動するための電流が流れている。ECU255は、電流監視部254からの検出結果に基づき、電源分岐ライン251に流れる電流が予め設定された許容電流を越えると判断したときに、過電流遮断部253を非導通状態に切替える。これにより、電源分岐ライン251が遮断され、電源分岐ライン251に過電流が流れることが抑制される。過電流を流す異常状態等が解消されると、ECU255の制御下、過電流遮断部253が導通状態に復帰し、負荷16に対する電源供給が可能な状態となる。この際、中間分岐ボックス250自体には、ヒューズの交換作業等のメンテナンス作業は不要である。複数の電源分岐ライン251が設けられる場合、複数の電源分岐ライン251のそれぞれに対して、上記過電流遮断部253及び電流監視部254が設けられる。
【0082】
中間分岐ボックス250において、共通アースライン212の途中にアース分岐ライン256が当該共通アースライン212から分岐するように接続されている。ここでは、アース分岐ライン256が2つ示されているが、1つ、又は、3つ以上設けられていてもよい。
【0083】
上記電源分岐ライン251及びアース分岐ライン256は、中間分岐ボックス250に設けられたコネクタ257に設けられたコネクタ端子に接続されている。負荷16から引出されたワイヤーハーネスの端部に設けられたコネクタがコネクタ257に接続されることで、負荷16に対する電源供給ながされる。コネクタ257は、各負荷16に設けられてもよいし、各負荷16に対して共通するものとして設けられてもよい。後者の場合であっても、共通するコネクタ257に接続された複数の電線を、当該ワイヤーハーネスの途中で分岐させて、別々に負荷16に接続することができる。
図1では1つのコネクタ257が図示されているが、複数のコネクタが設けられてもよい。
図6、
図7等では、2つのコネクタ257が設けられた場合が図示されている。
【0084】
複数の信号ライン213の一部は、中間分岐ボックス250内においてECU255に接続され、他の一部はGWECU258(ゲートウエイECU)に接続され、他の一部は、負荷16に接続され、残りは中間分岐ボックス250を通過して他の中間分岐ボックス250、末端ボックス270、負荷16等に接続される。なお、負荷16に接続された信号ライン213が中間分岐ボックス250に導かれ、新たな信号配線として組込まれることもあり得る。
【0085】
ECU255は、上記過電流遮断部253のオンオフ制御、負荷16の制御等を行う電子制御ユニットであり、中間分岐ボックス250内に組込まれている。ECU255は、他の配線、コネクタ257等を通じて負荷16にも接続されることがある。
【0086】
GWECU258(ゲートウエイECU)は、車両内通信におけるプロトコル変換等を行う通信制御ユニットであり、中間分岐ボックス250内に組込まれている。信号ライン213の一部が当該GWECU258に接続され、GWECU258は、他の配線、コネクタ257等を通じて負荷16に接続されている。
【0087】
複数の信号ライン213の一部は、そのままコネクタ257の端子に接続されて、負荷16と接続されることもあり得る。
【0088】
上記ECU255及びGWECU258は省略されてもよい。
【0089】
なお、電源側分岐ボックス240については、電源12、ECU214及びアース設置箇所と接続するためのコネクタ等を備える他、上記中間分岐ボックス250と同様構成とすることができる。また、末端ボックス270についても、下流側への電源ライン、アースライン、信号ラインを省略する他は、上記中間分岐ボックス250と同様構成とすることができる。
【0090】
図10は中間分岐ボックス250の一構成例を示す分解斜視図であり、
図11は中間分岐ボックス250の内部構造例を示す説明図である。
【0091】
中間分岐ボックス250は、ケース261と、第1基板262と、第2基板263とを備える。
【0092】
ケース261は、樹脂等で形成された筺状に形成されている。ここでは、ケース261は、収容本体部261aと、蓋部261bとを備える。
【0093】
収容本体部261aには、コネクタを外部に露出させるためのコネクタ用開口261a1が形成されている。また、収容本体部261aの底部は開口しており、当該外側の開口が蓋部261bによって閉じられる。また、収容本体部261aの延在方向両端部の一部に開口261a2が形成されている。配線部220が当該開口261a2を通ってケース261内に導かれる。
【0094】
第1基板262及び第2基板263は、樹脂等の絶縁部材で形成された基板上に、銅箔等の金属箔、又は、銅等の金属板で形成されたバスバにより所定の配線回路が形成された構成とされている。また、第1基板262及び第2基板263には、上記過電流遮断部253を構成する半導体スイッチ、電流監視部254、ECU255、GWECU258等を構成する各種実装部品等が実装されている。
【0095】
第1基板262には、コネクタ257が実装されている。コネクタ257のコネクタ端子は、第1基板262に形成された回路に対して半田付、圧入構造等によって電気的及び機械的に接続されている。また、第1基板262と第2基板263とは、それらの間に介在するように中継コネクタ259が設けられている。中継コネクタ259に組込まれた中継端子が、第1基板262及び第2基板263に形成された回路に対して半田付又は圧入構造等によって電気的及び機械的に接続されている。
【0096】
第1基板262及び第2基板263に形成された配線回路は、
図9に示す電気回路において、中間分岐ボックス250における電源ライン、アースライン、信号ラインを形成している。
【0097】
電源用偏平配線体222は、本中間分岐ボックス250において電源12側のものと、電源12よりも遠いものとに分断されている。
【0098】
電源用偏平配線体222の端部において、被覆部222bが部分的に剥離されている。ここでは、電源用偏平配線体222の端部において、一側に近い部分の被覆部222bが剥離されており、ここに、電源用偏平導体222aが露出している。露出する電源用偏平導体222aの一方主面に電源中継端子222Tが接続されており、当該電源中継端子222Tが電源用偏平配線体222の一方主面側から突出している。ここでは、電源中継端子222Tは、銅等の金属板により形成されたL字状の部材に形成されている。電源中継端子222Tの一端部が電源用偏平導体222aの一方主面に半田付等で接続されている。電源中継端子222Tの他端部には、複数の突起部が形成されている。そして、2つの電源用偏平配線体222の端部を対向配置した状態で、その上側に第2基板263が配設され、電源中継端子222Tの他端部の各突起部が第2基板263の形成されたスルーホールに挿入されて、第2基板263に半田付されている。これにより、2つの電源用偏平配線体222の電源用偏平導体222aが電源中継端子222Tを介して第2基板263又は第1基板262に形成された電源分岐ライン251に電気的に接続される。なお、両電源用偏平導体222aは、第2基板263又は第1基板262に形成された電源中継用の回路を介して接続されている。中間分岐ボックスの両側に設けられる偏平導体が直接繋がっていてもよい。
【0099】
アース用偏平配線体224は、本中間分岐ボックス250において電源12側のものと、電源12よりも遠いものとに分断されている。
【0100】
アース用偏平配線体224の端部において、被覆部224bが部分的に剥離されている。ここでは、アース用偏平配線体224の端部において、一側に近い部分の被覆部224bが剥離されており、ここに、アース用偏平導体224aが露出している。露出するアース用偏平導体224aの一方主面にアース中継端子224Tが接続されており、当該アース中継端子224Tがアース用偏平配線体224の一方主面側から突出している。ここでは、アース中継端子224Tは、銅等の金属板により形成されたL字状の部材に形成されている。アース中継端子224Tの一端部がアース用偏平導体224aの一方主面に半田付等で接続されている。アース中継端子224Tの他端部には、複数の突起部が形成されている。そして、2つのアース用偏平配線体224の端部を対向配置した状態で、その上側に第2基板263が配設される。なお、2つのアース用偏平配線体224の端部の間には、上記電源中継端子222Tが通過する分の間隔が空いている。アース中継端子224Tの他端部の各突起部が第2基板263の形成されたスルーホールに挿入されて、第2基板263に半田付されている。これにより、2つのアース用偏平配線体224のアース用偏平導体224aがアース中継端子224Tを介して第2基板263又は第1基板262に形成されたアース分岐ライン256に電気的に接続される。なお、両アース用偏平導体224aは、第2基板263又は第1基板262に形成されたアース中継用の回路を介して接続されている。もちろん、中間分岐ボックスの両側に設けられる偏平導体が直接繋がっていてもよい。
【0101】
信号用配線体226は、中間分岐ボックス250の両側で繋がるフラット配線体である。信号用配線体226の延在方向中間部で部分的な凹部226rが形成されている。ここでは、信号用配線体226の延在方向中間部で一側部が方形状に除去されることで、方形状の凹部226rが形成されている。上記電源中継端子222T及びアース中継端子224Tは、凹部226rが形成を通って第2基板263に向っている。
【0102】
信号用配線体226には、信号中継コネクタ227が設けられている。信号中継コネクタ227は、樹脂等で形成されたハウジングに信号中継端子227Tを組込んだものである。信号中継端子227Tは、信号中継コネクタ227の一端側(下側)で信号用配線体226の複数の信号線226aのうちの少なくとも1つの芯線に半田付又は圧接構造等によって電気的及び機械的に接続されている。ここでは、信号用配線体226のうち凹部226rの両側で、信号線226aが信号中継端子227Tに接続されている。また、信号中継端子227Tは、信号中継コネクタ227の他端側(上側)で当該信号中継コネクタ227より突出しており、上記第2基板263の回路に対して半田付、圧入構造等によって電気的、機械的に接続される。
【0103】
信号線226aのうち凹部226rで分断されるものについては、当該信号中継端子227Tを通じて第2基板263又は第2基板263側に引き出すことができる。信号線226aのうち凹部226rで分断されないものについては、そのまま信号用配線体226の凹部の側方を経由することができる。もっとも、信号用配線体226が中間分岐ボックス250で分断され、分断された信号線同士が信号中継コネクタ、第1基板又は第2基板を経由して接続される構成であってもよい。
【0104】
中間分岐ボックス250においては、第1基板262及び第2基板263が中継コネクタ259を介して間隔をあけて複数層に積層された形態で、ケース261の上側空間内に、で収容される。この際、第1基板262のコネクタ257は、コネクタ用開口261a1を通じて外部に露出している。このため、負荷16側のコネクタを当該コネクタ257に接続することができる。なお、第1基板262及び第2基板263は、必要に応じて、ネジ止、嵌込構造、接着剤等によって、ケース261内に固定される。
【0105】
また、電源用偏平配線体222、アース用偏平配線体224及び信号用配線体226が、電源中継端子222T、アース中継端子224T及び信号中継コネクタ227を介して第2基板263と一体化された形態で、ケース261の下側空間内に収容される。電源用偏平配線体222、アース用偏平配線体224及び信号用配線体226は、ケース261の両側の開口261a2を通じて外部に引出される。
【0106】
この状態で、蓋部261bがケース261の下側開口を閉じるように当該ケース261に取付けられる。なお、蓋部261bは、必要に応じて、ネジ止、嵌込構造、接着剤等によってケース261に固定される。
【0107】
なお、電源側分岐ボックス240及び末端ボックス270についても、上記中間分岐ボックス250から延出する配線部220の方向を一方向とすれば、上記中間分岐ボックス250と同様の構成とすることができる。
【0108】
この配線モジュール210は、上記配線部220をリンフォース292の底部293の内向き面に沿って配設された状態で、当該配線部220の少なくとも一部及び中間分岐ボックス250の少なくとも一部がリンフォース292内に収容される。ここでは、配線部220の全体がリンフォース292内に収容され、中間分岐ボックス250のうちケース261から突出するコネクタ257部分を除く部分がリンフォース292内に収容されている。リンフォース292に対する配線モジュール210の固定は、両面テープ、ネジ止等によって行うことができる。
【0109】
このように構成された配線モジュール210によると、共通電源ライン211の途中に、電源分岐ライン251と過電流遮断部253とを含む電源分岐部が設けられている。このため、電源12から電源分岐部に至る部分は、共通電源ライン211の一部である電源用偏平配線体222によって電源供給がなされ、そこから電源12から遠い部分でも、共通電源ライン211の一部である電源用偏平配線体222によって電源が供給される。そして、電源分岐部において、過電流遮断部253及び電源分岐ライン251を介して負荷16に電源供給される。このため、共通電源ライン211を介して電源を供給し、各負荷16の近くで共通電源ライン211を電源分岐部により分岐させて電源供給することが可能となり、電源ラインの総距離をなるべく短くできる。
【0110】
これにより、第1実施形態でも説明したように、電源用偏平配線体222の断面積の削減が可能となる。
【0111】
また、過電流遮断部253として、半導体スイッチを含む構成が採用されることで、許容電流を越える電流が流れて非導通状態となっても、その後、導通状態への復帰が容易となる。このため、過電流遮断部としてヒューズを用いた場合と比較して、ヒューズの交換作業等が不要となり、メンテナンスが容易となる。また、半導体スイッチを用いることによって、過電流遮断部253の小型化、ひいては、中間分岐ボックス250のコンパクト化が可能となる。
【0112】
また、中間分岐ボックス250にECU255、GWECU258等の電子制御部が組込まれているため、配線モジュール210、接続先となる負荷16等に対して必要とされる電子制御機能を、中間分岐ボックス250の機能又はそれに接続される負荷に対して必要とされる機能毎に分割して、中間分岐ボックス250に電子制御機能統合することが可能となる。これにより、通信用配線のレイアウト制限の緩和となり、また、各機器間の通信距離を短くすることによる通信性能の向上等が可能となる。また、上記ECU255に、過電流遮断部253をオンオフ制御する機能と、接続先となる負荷16を制御する機能とを持たせることで、電子制御機能の統合が可能となり、省電力化及び低燃費化に貢献する。
【0113】
また、共通電源ライン211を構成する電源用偏平配線体222の少なくとも一部、及び、電源分岐部を含む中間分岐ボックス250の少なくとも一部がリンフォース292内に収容された状態で、電源用偏平配線体222がリンフォース292に沿って配設されているため、配線モジュール210をなるべくコンパクトな形態でリンフォース292に沿って配設することができる。
【0114】
また、配線モジュール210は、固定対象部材であるリンフォース292に沿って配設される電源用偏平配線体222を含むため、電源用偏平配線体222が比較的大きい面積でリンフォース292に接触する。このため、電源用偏平配線体222で生じた熱がリンフォース292に伝達され易くなり、電源用偏平配線体222で生じた熱を、リンフォース292を介して外部に放熱し易くすることができる。
【0115】
また、電源用偏平配線体222は偏平であるため、電源用偏平配線体222の設置スペースをなるべく小さくすることができる。また、アース用偏平配線体224も偏平であるため、アース用偏平配線体224の設置スペースもなるべく小さくすることができる。さらに、信号用配線体226も偏平であるため、フラット配線体の形態で、電源用偏平配線体222等に沿わせてコンパクトな形態で配設することができる。
【0116】
また、電源用偏平配線体222、ここでは、アース用偏平配線体224、さらに、信号用配線体226をリンフォース292内に配設しているため、リンフォース292内空間を有効に利用しつつ、それらを配設することができる。
【0117】
また、リンフォース292は、底部293の両側部に一対の側壁部294が立設された構成であるため、電源用偏平配線体222、ここで、アース用偏平配線体224、さらに、信号用配線体226をリンフォース292内に容易に組込むことができる。リンフォース292内におけるスペースを有効利用するためには、電源用偏平配線体222の幅寸法が一対の側壁部294間の寸法と一致していることが好ましいが、これは必須ではない。アース用偏平配線体224及び信号用配線体226についても、同様に、一対の側壁部294間の寸法と一致する幅寸法に形成されていることが好ましいが、これも必須ではない。
【0118】
また、電源分岐部は、電源分岐ライン251を負荷に接続するためのコネクタ257を含むため、電源分岐部を、コネクタ257を介して負荷16に容易に接続することができる。
【0119】
{変形例}
上記実施形態を前提として、変形例について説明する。
【0120】
図12は第3実施形態を前提とする第1変形例を示す概略図である。
図13は
図12におけるXIII−XIII線断面部分をリンフォース292内に収容した状態を示す断面図であり、
図14は
図12におけるXIV−XIV線断面部分をリンフォース292内に収容した状態を示す断面図である。
図13及び
図14では、信号用配線体226が省略されている。
【0121】
この配線モジュール310が第3実施形態の配線モジュール210と異なるのは次の点である。すなわち、配線モジュール310は、電源分岐部を含む中間分岐ボックス350で分割された複数の配線体として、複数の電源用偏平配線体322A、322Bを含む。電源用偏平配線体322Aは、電源側に近い電源用配線であり、電源用偏平配線体322Bは、電源用偏平配線体322Aよりも電源から遠い電源用配線である。
【0122】
複数の電源用偏平配線体322A、322Bの断面積は、電源から遠ざかるのに従って順次小さい。ここでは、電源用偏平配線体322Aの導体322Aa厚み寸法が、電源用偏平配線体322Bの導体322Baの厚み寸法よりも大きく、電源用偏平配線体322Aの導体322Aaの幅寸法及び電源用偏平配線体322Bの導体322Baの幅寸法は同じに設定されている。
【0123】
複数の電源用偏平配線体322A、322Bを含む共通電源ラインは、中間分岐ボックス250において負荷16に分岐して接続されるため、複数の電源用偏平配線体322Bの導体322Baを流れる電流は、電源用偏平配線体322Aの導体322Aaを流れる電流よりも小さくなる。そこで、電源に近い電源用偏平配線体322Aの導体322Aaについては断面積を比較的大きくする一方で、電源から遠い電源用偏平配線体322Bの導体322Baについては断面積を比較的小さくすることが可能となる。
【0124】
これにより、配線モジュール210全体として、導体を構成する金属等の使用量の削減が可能となり、軽量化及び低コスト化が可能となる。
【0125】
また、上記第3実施形態では、二重構造の底部293及び一対の側壁部294を有するリンフォース292に配線モジュール210を組込む例で説明したが、必ずしもその必要は無い。
【0126】
例えば、
図15に示す第2変形例のように、一重構造の底部401及び一対の側壁部402を含む断面U字状のリンフォース400に配線モジュール210、特に、電源用偏平配線体222及びアース用偏平配線体224が組込まれてもよい。
【0127】
また、
図16に示す第3変形例のように、リンフォース410の外面に配線モジュール210、特に、電源用偏平配線体222及びアース用偏平配線体224が組込まれてもよい。
図16に示す例では、角筒状に形成されたリンフォース410の1つの外面に、電源用偏平配線体222及びアース用偏平配線体224が組込まれている。
【0128】
また、
図17に示す第4変形例又は
図18に示す第5変形例のように、円筒状に形成されたリンフォース420、430に、配線モジュール210、特に、電源用偏平配線体222及びアース用偏平配線体224が組込まれてもよい。
【0129】
図17に示す第4変形例では、円筒状に形成されたリンフォース420の内周面に、配線モジュール510、特に、電源用偏平配線体522及びアース用偏平配線体524が組込まれている。本例では、電源用偏平配線体522をリンフォース420の内周面に対してなるべく大きい接触面積で接触させるため、電源用偏平配線体522は、その延在方向に対して直交する断面視において弧状に湾曲する形状に形成されている。電源用偏平配線体522の外周側の曲率半径は、リンフォース420の内周面の曲率半径と一致している。ここでは、アース用偏平配線体524についても、同様に弧状に湾曲する断面形状としている。
【0130】
図17に示す第5変形例では、リンフォース420内に電源用偏平配線体522及びアース用偏平配線体524を容易に配設できるようにするため、リンフォース420がその軸方向に沿って2分割された構造とされている。2分割構造とされたリンフォース420は、配線モジュール510を配設した後に、溶接、ネジ止等によって合体状態に保つとよい。
【0131】
もっとも、リンフォース420が2分割構造とされていることは必須ではなく、リンフォース420の端部開口から電源用偏平配線体522及びアース用偏平配線体524を通すように配設してもよい。
【0132】
本変形例において、外部接続されるコネクタ(第3実施形態におけるコネクタ257参照)を設ける場合、リンフォース420の延在方向における部分的な位置に、当該コネクタを外部に露出させる開口を形成するとよい。
【0133】
図18に示す例では、円筒状に形成されたリンフォース430の外周面に、配線モジュール610、特に、電源用偏平配線体622及びアース用偏平配線体624が組込まれている。本例では、電源用偏平配線体622をリンフォース430の外周面に対してなるべく大きい接触面積で接触させるため、電源用偏平配線体622は、その延在方向に対して直交する断面視において弧状に湾曲する形状に形成されている。電源用偏平配線体622の外周側の曲率半径は、リンフォース430の外周面の曲率半径と一致している。ここでは、アース用偏平配線体624についても、同様に弧状に湾曲する断面形状としている。
【0134】
上記実施形態及び各変形例では、電源用偏平配線体、アース用偏平配線体及び信号用配線体がそれぞれ1層である例で説明したが、そのうちの少なくとも1つが複数層であってもよい。例えば、異なる電圧の電源が存在する場合には、各電圧に応じて異なる電源用偏平配線体が設けられてもよい。この場合、少なくとも1つの電源用偏平配線体が固定対象部材に面接触していればよい。
【0135】
なお、上記各実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組合わせることができる。
【0136】
本明細書は下記の開示を含む。
第1の態様に係る配線モジュールは、一端が電源に電気的に接続される共通電源ラインと、前記共通電源ラインの途中に設けられた電源分岐部と、を備え、前記電源分岐部は、前記共通電源ラインの途中で分岐する電源分岐ラインと、前記電源分岐ラインに設けられて許容電流を越える電流が流れたときに非導通状態となる過電流遮断部とを少なくとも1組以上備える。
第2の態様は、第1の態様に係る配線モジュールであって、前記過電流遮断部は、半導体スイッチを含む。
第3の態様は、第1又は第2の態様に係る配線モジュールであって、前記共通電源ラインは、前記電源分岐部で分割された複数の配線体を含み、前記複数の配線体の断面積が、前記電源から遠ざかるのに従って、順次小さいものである。
第4の態様は、第1から第3のいずれか1つの態様に係る配線モジュールであって、前記電源分岐部に電子制御部が組込まれているものである。
第5の態様は、第1から第4のいずれか1つの態様に係る配線モジュールであって、前記共通電源ラインの少なくとも一部及び前記電源分岐部の少なくとも一部がリンフォース内に収容された状態で、前記共通電源ラインが前記リンフォースに沿って配設されているものである。
第6の態様は、第5の態様に係る配線モジュールであって、前記共通電源ラインは、前記リンフォースの表面に沿って配設される偏平配線体を含むものである。
第7の態様は、第1から第6のいずれか1つの態様に係る配線モジュールであって、前記電源分岐部は、前記電源分岐ラインを負荷に接続するためのコネクタを含むものである。
第2の課題を実現するため、第8の態様は、固定対象部材に沿って配設される配線モジュールであって、固定対象部材の表面に沿って配設される電源用偏平配線体と、前記電源用偏平配線体に対して固定対象部材とは反対側の表面に沿って配設されるアース用偏平配線体とを備える。
第9の態様は、第8の態様に係る配線モジュールであって、複数の信号線が並列状態となるように保たれ、前記電源用偏平配線体に対して前記固定対象部材とは反対側に設けられたフラット配線体をさらに備えるものである。
第10の態様は、第8又は第9の態様に係る配線モジュールであって、前記電源用偏平配線体は、固定対象部材としてのリンフォースに沿って配設されるものである。
第11の態様は、第10の態様に係る配線モジュールであって、前記電源用偏平配線体及び前記アース用偏平配線体が、リンフォース内に配設されるものである。
第12の態様は、第11の態様に係る配線モジュールであって、前記電源用偏平配線体及び前記アース用偏平配線体が、底部の両側部に一対の側壁部が立設されたリンフォースに対して、前記電源用偏平配線体を前記底部の内向きの表面に接触させた状態で、リンフォース内に配設されているものである。
第1から第7の態様によると、共通電源ラインの途中に電源分岐部が設けられている。電源から電源分岐部に至る部分は、共通電源ラインによって電源供給がなされ、そこから電源から遠い部分でも、共通電源ラインによって電源が供給なされる。そして、電源分岐部において、共通電源ラインから過電流遮断部及び電源分岐ラインを介して各負荷に電源供給される。このため、共通電源ラインを介して電源を供給し、各負荷の近くで共通電源ラインを電源分岐部により分岐させて電源供給することが可能となり、電源ラインの総距離をなるべく短くできる。
第2の態様によると、過電流遮断部は、半導体スイッチを含むため、許容電流を越える電流が流れたときに非導通状態となったとしても、復帰が容易であり、メンテナンスが容易となる。
第3の態様によると、複数の配線体の断面積が、電源から遠ざかるのに従って、順次小さいため、軽量化及び低コスト化が可能となる。
第4の態様によると、電源分岐部に対して、電子制御機能を統合することができる。
第5の態様によると、配線モジュールをなるべくコンパクトな形態でリンフォースに沿って配設することができる。
第6の態様によると、共通電源ラインは、リンフォースの表面に沿って配設される偏平配線体を含むため、偏平配線体で生じた熱がリンフォースを伝って放熱され易い。
第7の態様によると、電源分岐部を、コネクタを介して負荷に容易に接続することができる。
第8から第12の態様によると、電源用偏平配線体が比較的大きい面積で固定対象部材に接触する。このため、電源用偏平配線体で生じた熱が固定対象部材に伝達され易くなり、電源用偏平配線体で生じた熱を、固定対象部材を介して外部に放熱し易くできる。
第9の態様によると、複数の信号線を、フラット配線体の形態で、電源用偏平配線体に沿わせてコンパクトな形態で配設することができる。
第10の態様によると、電源用偏平配線体で生じた熱を、リンフォースを介して外部に放熱し易くできる。
第11の態様によると、電源用偏平配線体及びアース用偏平配線体を、リンフォース内空間を有効に利用しつつ配設することができ、かつ、リンフォースを介して外部に放熱し易くできる。
第12の態様によると、電源用偏平配線体及びアース用偏平配線体をリンフォース内に容易に組込むことができる。
以上のようにこの発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。